2017-06-15

『今日までそして明日からも、吉田拓郎』tribute to TAKURO YOSHIDA

tribute to TAKURO YOSHIDA
今日までそして明日からも、吉田拓郎

Ttty

企画制作プロデューサー、武部聡志による吉田拓郎トリビュートアルバム
ただ集めましたというトリビュートではなくアレンジや選曲などバラエティ豊かな魅力的アルバム。

ひとりで全部(バックインストも)の奥田民生『今日までそして明日から
歌特番でNMB48/山本彩と『チェリー』を歌っている時の印象そのままに、この楽曲に合ってるなぁと思ったchay『結婚しようよ
寺岡呼人アレンジ、Vocal 竹原ピストル、Steel Guitar高田漣による『落陽
スパニッシュな味わいの艶やかな一青窈『メランコリー
(クセをつけて歌うのかと思いきや)ものすごーく普通に歌っていて新鮮な鬼束ちひろ『夏休み
拓郎も『ラジオでナイト』で「ぶっとびました」と褒めていたMrs. GREEN APPLE『流星
既発表の井上陽水によるボサノバ(オルケスタ・デ・ラ・ルス参加)『リンゴ
ガットギターの音色にのせてしっとりと歌われる高橋真梨子『旅の宿
軽やかな徳永英明『やさしい悪魔
織田哲郎自らバックトラックの演奏も行った渋い『おきざりにした悲しみは
3人それぞれが順に歌い、最後のサビで重なり合っていく"ハードロック"THE ALFEE『人生を語らず
既に作曲者の中島みゆき本人自らも歌っていてボーカリスト"吉田拓郎"に焦点をあてたというポルノグラフィティ『永遠の嘘をついてくれ』(これは意外な選曲だった。『LOVE LOVE あいしてる』で広島弁バージョン『アポロ』歌っていたので直球すぎるかもしれないけれど『唇をかみしめて』もよかったのでは?)
ジャケットイラストはTYIS会報表紙および2016年首都圏ライヴでのポスターも手がけた下田昌克
(文中全て敬称略)

楽曲解説/アーティストコメントが読める公式サイト。
「今日までそして明日からも、吉田拓郎」 
tribute to TAKURO YOSHIDA」

UNIVERSAL MUSIC JAPAN
http://www.universal-music.co.jp/jp/takuro/

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2017-06-07

タイトルデザイン_51 カイル・クーパー(Kyle Cooper) 『夜に生きる(Live by Night)』ベン・アフレック監督・主演、エル・ファニング、シエナ・ミラー、ゾーイ・サルダナ、他

注・内容、台詞に触れています。
夜に生きる
Live by Night

原作 : デニス・ルヘイン
監督 : ベン・アフレック
出演 : ベン・アフレック
エル・ファニング
シエナ・ミラー
ゾーイ・サルダナ
ブレンダン・グリーソン
クリス・メッシーナ
クリス・クーパー

物語・禁酒法時代のボストンで、ジョー(ベン・アフレック)は警察幹部の父親に厳しくしつけられた。だが、彼はその反動でギャングの世界に足を踏み入れる。ある日、ジョーは強盗に入った賭博場でエマと運命の出会いを果たすが、彼女は対立している組織のボスの愛人で…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Lbn2

Memo1
第一次大戦と第二次大戦、ふたつの戦争の間をめぐる父と子(娘)の物語。
警察官(警視正から警部に降格される)である父親とコクリン、タンパ警察署長と娘。そしてジョーと息子。
デニスル・ヘインによる3部作『運命の日』(ジョーの父親を軸に書かれている)『夜に生きる』『過ぎ去りし世界』(ジョーと息子のその後)の中間部分。
上下巻の長さのため映画としては端折っているところもあるが、全体の語り口がよくて落ち着いて見られるいい映画だった。
役者の顔が全ていい。
面構えというのだろうか。
(知人に言わせると昔の映画に比べたら手緩いらしいが、それでも本作、素晴らしいと思います)
対立するふたつの組織。
アイルランド系ギャングのボス、アルバート・ホワイトとイタリア系ギャングのボス、マソ・ペスカトーレ。フロリダ、タンパ警察署長フィギス(クリス・クーパー)
KKKのリーダー、RD(喋り方がまたイラッとする)の、この顔一度、見たら忘れまへんでー(←関西弁)
そして、ジョーの父親。
(いかにもな警視正かと思いきや、息子の服役期間を縮めるために少しゆすりをかけたりもする場面もあり、一面だけでは計り知れない善悪についての"揺れ"が描かれる)
そしてエマ(シエナ・ミラー)、クラシエラ(ゾーイ・サルダナ)、ロレッタ(エル・ファニング)。3人の女性がジョーの運命にかかわってくる。
アルバートの女だったエマを内通者としての賭博場襲撃シーン。
「靴下を私の口に?」
「大丈夫だ。使っていないやつだ」
「そうやって嘘をつく」
(この時、テープを頭に巻く際に妙に目線が…、と、思っていたら暫く経っての場面でそこを使ってキスシーンにつなぐ上手い描き方が出てきた←こういった、ちょっとしたところが気がきいていてベン・アフレック監督、いいなぁ、と思えるところ)
薬物中毒から立ち直り教会のカルト的説教者となるフィギスの娘、ロレッタ(エル・ファニング)。
彼女の説教の影響力は大きくカジノ建設が頓挫しそうになる。
しかし、ジョーにはロレッタを殺すことができない。
(最初のモノローグにも出てきているが、彼の中には父親から引き継いでいるとも言える"善的なもの"があるのだ)
ふたりがレストランで会話をするシーン。
「私たちはみんな地獄に行くの」
あなたは違うというジョーに。
「私たちは学ぶの」
「ここが天国だということを」
「法律でもKKKでも阻止できなかったカジノ建設をあなたは阻止できた」
「私が?」
ここでニッコリと微笑む。
(このあと自ら命を絶つこととなるだけに、このシーン、本作白眉といえる)
クラシエラには駅でジョーが見かけた時から、ほぼひとめぼれだ。
そしてクラシエラはジョーの中の"善的なもの"を見抜いていたともみえるところがある。
服役中に亡くなった父親の葬儀。
墓の前に佇むジョー。
(ここ、カメラがスコープサイズ中央に配したジョーに寄っていくのだが、ちょっとブルース・ウェインにみえたw こんな感じのショットBvSで無かっただろうかと既視感)
ラスト、ジョーと息子。
(ボイスオーバーで)
「週末は映画を見に行った」
(ニュース映像にヒトラーの姿)
「ドイツ野郎が暴れているみたいだが戦争にはならないだろう」
(西部劇が流れ)
「いたく気に入ったみたいだ」
脚本に兄(ダニエル・コフリン)の名前を見つける。
(すごく嬉しそうに)
「ほら、お前の叔父さんだ」
(海にでかけて)
「天国はどこにあるの?」
(ロレッタから聞いたことを息子に伝えた)
「ここが、その場所だ」

Memo2
プロローグ部分(セピア色調で写真、ニュース映像などを静かにフェードイン、アウトを繰り返しながらモノローグがかぶさる)とメインタイトルデザインはカイル・クーパー(Kyle Cooper)
プロダクション表記なし。
本編に使われているタイトルロゴのデザインが既製フォントを少し変えて作っていいて、これが絶妙のバランス。
End Title > SCARLET LETTERS

映画 『夜に生きる』 公式サイト
https://warnerbros.co.jp/c/movies/yoruni-ikiru/

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2017-06-04

"最後のウルヴァリン"『LOGAN ローガン』ジェームズ・マンゴールド監督、ヒュー・ジャックマン、ダフネ・キーン、パトリック・スチュワート、他

注・内容、台詞に触れています。
LOGAN ローガン

監督 : ジェームズ・マンゴールド
出演 : ヒュー・ジャックマン
ダフネ・キーン
パトリック・スチュワート
ボイド・ホルブルック
スティーヴン・マーチャント、他

物語・近未来では、ミュータントが絶滅の危機に直面していた。治癒能力を失いつつあるローガン(ヒュー・ジャックマン)に、チャールズ・エグゼビア(パトリック・スチュワート)は最後のミッションを託す。その内容は、ミュータントが生き残るための唯一の希望となる少女、ローラ(ダフネ・キーン)を守り抜くことだった。武装組織の襲撃を避けながら、車で荒野を突き進むローガンたちだったが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Logan

Memo1
まさに"最後のウルヴァリン"に相応しい圧倒的な力作。
また泥臭さ溢れるロードムービーであり「X-MEN」本編ラインとは一線を画す、現実世界との地続きSFでもあります。
以下、ウルヴァリン(ジェームズ)の記載はローガン、チャールズ・エグゼビア(プロフェッサーX)はチャールズで記しています。
ローラを演じたダフネ・キーン。
(このキャスティングが決め手ともいえる)
前半の全く喋らない"キーッ"とした表情や動作から、後半の心開き始めた情緒ある芝居まで、本当に素晴らしいです。
オーディション風景の動画。
Logan | Dafne Keen's Audition Tape with Hugh Jackman
(20th Century Fox 公式サイト)
https://www.youtube.com/watch?v=h8YJt6iQPNA
ローガンたちと関わった人々(夕食に招いてくれた家族からスーパーの店員にいたるまで)誰ひとりとして助からない。
ローガンにせよローラにせよ、その躊躇ない戦闘スタイルは制御不能となる戦うためだけに育てられた本来の姿を体現したものだ。
壁にかけられた日本刀、出生のことなどシリーズとしての目配せもあるが、前作を見ていなくても成立させている作り方が上手い。
「世界で最も棄権な脳を持つ男がアルツハイマーだと…?」
その言葉通りチャールズが能力を発揮したオクラホマシティでのカジノホテルシーン。その凄まじさ。
(見ているこちらも力が入ったー 汗)
前年に起ったウェストチェスターでの7人のミュータント死亡についても、このことが原因だということが垣間見られる。
2017年の現在からみても本当に近未来らしく(2029年)既に始まっている事柄が実際に描かれている。自動運転のトラック(運転席が無くコンテナ荷台だけAUTO TRAC)や夜間でも動き続ける巨大農作業機による遺伝子組換えトウモロコシの畑、固いボディの装甲リムジン(いくらなんでもと言えるほど頑丈。後述記事リンクあり)など。
前述どおりの地続きSF。
チャールズとふたり、ホテルで映画を見ている。
(まるでお祖父ちゃんと孫のような構図。ローガンとチャールズも親子のようだ、というよりも最後までローガンのことを気にかけているチャールズの姿は親子以上に思える。ゆえに、あの結末が…)
見ている映画は『シェーン
その台詞。
(それはローガンを埋葬したのち、ローラがローガンへおくった言葉へと繋がる)
「1度、人を殺してしまうと、もう元の生活には戻れない」
「ママのところへ帰りなさい」
「そして、こう伝えて」
「もう谷には銃は無くなったから」
「シェーン」のラストについては有名な「シェーン・カムバック」のあとに続く墓所を通り過ぎるシーンがさまざまな意味を持って描かれて終わる。
(実際の死、或いはガンマンとしての死など)
『シェーン(Shane)』Ending
https://www.youtube.com/watch?v=lOmsbhqs95s
「ローラは君の子どもだ」
ローラがリュックの中に入れていたファイルの中に
SOURCE DNA : JAMES HOWLETT(ローガンの本名)と記載が。
最後の戦い
自分と瓜二つの(エンドクレジットではどちらもヒュー・ジャックマン表記)X-24との戦いは、まさに"影を殺す"が如くの緊迫感。
(X-24の治癒能力のなんたる高さ)
ついにローラの放ったアダマンチウムの弾丸で止めをさしたとき、「ウルヴァリン」の姿ではない本来の人間の姿「ローガン」へと戻っていく息絶えつつあるローガン。
そこでのローラの台詞。
「パパ!」

Memo2
"TVブロス"インタビュー
・イーストウッド監督『許されざる者』の主人公は「シェーン」の年老いた姿だという監督の意見に、同じように「許されざる者」のことが頭に浮かんでいたから面白い一致だ、とヒュー・ジャックマン。
・エンドクレジットにジェームズ・マンゴールド監督の大学時代の恩師であるアレクサンダー・マッケンドリック監督に対してスペシャルサンクスが記されている。
(「3時10分、決断の時」「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」などにも)
さて、あのスペシャルリムジンのデザインは?
(オートトラックやジープなども掲載)
How The Cars Of Logan Grappled With The Very Real Future
http://jalopnik.com/how-the-cars-of-logan-grappled-with-the-very-real-futur-1793099275
どこで撮影されたの?
Where was Logan filmed ?
ロケ地ガイド
http://www.atlasofwonders.com/2017/02/logan-filming-locations.html

Logan2

Memo3
メインタイトルデザインは「ウルヴァリン : SAMURAI」も手がけたPicture Mill and F.Ron Miller
エンドタイトル > SCARLET LETTERS
Opening credits – typography
(タイトルシークエンス画像あり)
使用フォントはAkzidenz-Grotesk
後半に掲載されている Logan Noir : Logan Black & White の雰囲気は「マッドマックスFR : Black & White版」でも感じた構図と陰影の美しさが際立っている。
http://annyas.com/screenshots/updates/logan-2017-james-mangold/

映画『LOGAN/ローガン』オフィシャルサイト
http://www.foxmovies-jp.com/logan-movie/

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"地球の果てまでつれてって"『美しい星』三島由紀夫原作、吉田大八監督、リリー・フランキー、亀梨和也、橋本愛、中嶋朋子、佐々木蔵之介、他

注・内容、台詞、ラストに触れています。
美しい星

原作 : 三島由紀夫
監督 : 吉田大八
出演 : リリー・フランキー
亀梨和也橋本愛
中嶋朋子佐々木蔵之介、他

物語・予報が当たらないと話題の気象予報士・重一郎(リリー・フランキー)は、さほど不満も なく日々適当に過ごしていた。ある日、空飛ぶ円盤と遭遇した彼は、自分は火星人で人類を救う使命があると突然覚醒する。一方、息子の一雄(亀梨和也)は水 星人、娘の暁子(橋本愛)は金星人として目覚め、それぞれの方法で世界を救おうと使命感に燃えるが、妻の伊余子(中嶋朋子)だけは覚醒せず地球人のままで…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Hoshi

Memo1
ブログメモ・タイトルには三島由紀夫の書斎に亡くなるまで掲げられていた絵の作者であり「写真集・薔薇刑」デザインも行ない親交の深かった、横尾忠則による著書名『地球の果てまでつれてって』を。
(敬称略、以下本文も)
スコープサイズに浮かぶ亀梨和也×佐々木蔵之助演ずる政治家秘書・黒木(宇宙人?)との夕刻オレンジ色の議員会館シークエンス。
そしてリリー・フランキー×佐々木蔵之介(最初は亀梨和也と)によるディスカッションシークエンス。
どこか既視感あるかと思っていたら『ウルトラセブン』だった!
(ネタバレ防止策として鑑賞後まで関連記事読んでいなかったため、監督自身が「ウルトラセブン」や「岸辺のアルバム」「ときめきに死す」などに触れていて、なるほどと頷くことしきり)
そして、見た目へんてこりんな映画にして、その実、バックボーンに描かれていることが凄まじい。
このブログメモを書いている途中にアメリカのパリ協定離脱のニュースが流れてきて、このタイミングでこれ!?と絶句してしまった。
ホントに気象予報士が火星人のポーズ取るぞ!(シャレじゃなくって)
開巻、すぐ。
家族がそろっての長男、一雄(亀梨和也)の誕生日を祝う食事会。
「ミラノ、また行きたいな」
「そんな余裕無いでしょ」
イライラしながら長男を待つ重一郎(リリー・フランキー)。
ここでのバラバラな空気が覚醒後、それぞれの経路を経て、ラストへと繋がっていく。
前述『ウルトラセブン』的ディスカッションシーン。
「そうなることがわかっていながら」
「どうして引き返さなかった」
「心のなかではきづいていながら、未来を見殺しにしたんだよ」
「痛みは俺たちが背負うんだ」
「家族として話そう」
(ここまで重一郎×一雄)
「地球に救う価値はありますか?」
「あるに決まってるじゃないですか」
「こんなに美しい星なのに」
「考えてみてください。自然が美しいのではなく、自然を美しいと感じるんです、人間が」
「しかしその自然に、人間は人間を含めない。究極の美しい自然には、人間は存在しない」
「この矛盾を解決する方法はひとつです」
「われわれは手助けをしたい」
「ほんとうの意味で美しい星のために」
   ……
(ここのディスカッションシークエンスは音楽の入るタイミング、アングル含めて本作の肝たる部分のひとつ)
原作と違って唯一、地球人として描かれる母、伊余子(中嶋朋子)
「お父さんが火星人だって言うのなら、つきあいたいの私も。地球人として」
"美しい水"勧誘ビジネスに手を出していたのも本当は家族でもういちど旅行とか行けたらいいな、と思ってのことということも吐露される。
原作にも出てくる台詞がラストに。
暁子(橋本愛)が光の射す方を指さして。
「お父さん、来たわよ」
円盤の中(らしい)
「ここってもしかして円盤」
「いつの間に乗ったの」
(いかにもワレワレハウチュウジンダ的な声の応答)
「さあ、帰ろう。故郷でみんなが待っている」
慌てる重一郎が画面奥の窓に向かって行く。
「ドウシタノデスカ」
「ドウシタノデスカ」
「ワスレモノデスカ」
「ワスレモノデスカ」
窓から地球(Home)を見下ろすと手を振る大杉家(Home)の姿が。
『美しい星』というタイトルと呼応するシーンが末期ガンの父、重一郎を連れて家族で円盤の地(地名は出ないが立ち入り禁止区域看板や突然の牛の登場などから福島だと推測できるように描かれている)へと向かう車中から見える東京の街の姿。
このシーンは音楽と合わさって、映画ならではと言える不思議とジーンとさせられる場面でもある。

三島由紀夫文学館で企画展「三島文学とその映画『美しい星』と三島由紀夫映画化作品」が開催中。
直筆原稿、創作ノート(表紙に「わが星雲」「銀河一族」「銀河系の故郷」など未決定だったタイトルがいくつか)など展示。
http://www.mishimayukio.jp/index.html
原作『美しい星』が発表された年が1962年。
(なんといってもロシアはソ連だしフルシチョフが出てくる冷戦時代の頃のお話。キューバ危機は1962年)
キューブリック監督『博士の異常な愛情』が1964年(シドニー・ルメット監督『未知への飛行』も)
そして、個人的思い入れで言うと太陽系惑星連合と聞いて想起したのは手塚治虫『W3』での銀河連邦(1965年)。
それらの作品が続々と生み出されていく前に『美しい星』が執筆されていたことを考えると、三島由紀夫のその先鋭性、時代性に驚かされるばかりである。
さらに、その原作を現代に置き換えて軽々しく飛び越えていった脚色による本作『美しい星』は後年、(いろいろな意味で)ひとつのエポックメーキングとして語り継がれていくことになるのでは?と思っている。

Star

Memo2
パンフレットデザインは岡野登(サイファ。)
(写真は2点共パンフレット表紙)
本文40P。
監督・出演者インタビュー、コラム2点
筒井康隆スペシャルコラム。
そして火星人と金星人の振付け付き。

映画『美しい星』公式サイト
http://gaga.ne.jp/hoshi/


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2017-05-31

『パーソナルショッパー(Personal Shopper)』オリヴィエ・アサイヤス監督、クリステン・スチュワート、他

パーソナルショッパー
Personal Shopper

監督 : オリヴィエ・アサイヤス
出演 : クリステン・スチュワート
シグリッド・ブアジズ
ノラ・フォン・ヴァルトシュテッテン
ラース・アイディンガー、他

物語・パリで、多忙な人々の買い物を代行するパーソナル・ショッパーとして働くモウリーン(クリステン・スチュワート)は、数か月前に双子の兄を亡くし悲しみに暮れていた。そんな折、携帯電話におかしなメッセージが届き、さらに不可解な出来事が発生し…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Ps

Memo
「他の誰かになりたい?」
"忙しいひとの代わりに"買い物をすることと"誰かを見えない何かを引きつける"霊媒体質とが合せ鏡のようになっている。
画面を見ている観客自体が目撃者であるような映画的話法。
(ルイスの姿らしき者が見えたのは映画を見ている観客だけ)
スコープサイズ、35mmフィルム撮影。
"ゴースト"もまた光の変種とするならばフィルム撮影は適していると思う。
3ヶ月前に心臓麻痺で急死した兄との「先に亡くなった方が、向こうから合図を送る事にしよう
その約束自体がモウリーンをパリに縛り付けている。
見方によっては兄が妹であるモウリーンを呪縛から解くために導いていく(後述、インゴによる事件への巻きこまれも含め)話とも読み取れる。
実際に存在する画家、ヒルマ・アフ・クリント(没後20年まで作品を公表しないようにとの遺言も)。そしてヴィクトル・ユゴーが行ったテーブルターニング(音の回数によってイエス、ノー、アルファベットを印す)
さらには、かつて住んでいた家でのエクトプラズムを吐く亡霊との遭遇(階段の途中の引っ掻いたバツ印とテーブルに残されたバツ印の符号、ここ1番怖かった…)
そういったオカルティックな雰囲気が見ているこちら側も"気分としての加担者"たらしめている要因。
兄もその彼女ララも新しい彼氏も、そしてモウリーンも彫刻や絵を描くという芸術的行為に関係している。
もしかして、ここ笑うところ?と思ったのが謎の送信者とのメッセージのやりとりで「怖いものはあるか」に対しての返信が「ホラー映画」って‥…体験している事の方がよほど怖い。
キーラが殺害され(犯人はキーラの不倫相手インゴであることは早い段階で明確だ。ただ、前述のとおり散りばめられたオカルティック雰囲気により何か"別のもの"の犯罪の匂いがするようには見える流れがある)
自分に殺害の容疑がかけられるように仕組まれた罠としてのカルティエのアクセサリーが入った紙袋。
最初に部屋に尋ねてきたのは(メールメッセージで"もう下に来ている""階段をあがっているぞ"などが続々着信する)実はルイスではないのかと思われる。
というのも、モウリーンは全くインゴと顔を合わせていない。
透明人間が歩いて行くように写される、廊下、エレベーター、入口のドアのシーンのあと、ディレイされて描かれるインゴの慌てたように同じところを通って行く場面が続く。
(最後はホテル前でインゴを捕まえようと警察が現れる)
兄が妹を助けたともとれる描かれ方。
ラスト
パリを出て、彼のいるオマーンへ到着したモウリーン。
ララの家に現れたガラスコップが割れた時と同じ現象が、ここでも。
「ルイス?ルイスなの」
ドン(Yesを標す1回だけの激しい音)
いくつかのやりとりがあって…
「全部、気のせい?」
ドンと1回、激しい音
エンドクレジットへ
(なんとも皮肉が効いているし、開放された感じもあるし、宙ぶらりんにされたような気になる面白いラスト)
クリステン・スチュワートはアサイヤス監督『アクトレス〜女たちの舞台〜』に続いての起用。撮る監督によって女優の雰囲気が変わることはよくあると思うけれど、それもまた女優としての"同化憑依体質"を呼び起こす監督との共犯関係のひとつとも言えるかもしれない。

Ps3

日本版含め3種類のポスター。
クリステン・スチュワートのポーズは同じだが、座っている場所がそれぞれベッドや違う種類の椅子になっている。

映画『パーソナル・ショッパー』公式サイト
http://personalshopper-movie.com/

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