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2013-04-11

沖田修一監督『横道世之介』高良健吾、吉高由里子主演

注・内容、台詞に触れています。
吉田修一
原作の小説『横道世之介』を「キツツキと雨」の沖田修一監督が映画化。上京したての大学一年生・横道世之介の日常と、彼を取り巻く人々の姿を描く。出演は高良健吾吉高由里子池松壮亮伊藤歩綾野剛朝倉あき。音楽・高田漣、主題歌・ASIAN KUNG-FU GENERATION「今を生きて」

Yo2

Memo1
あー、いたいた。あいつ、そういえばどうしてるんだ。えー、そんな奴いたっけ?あれ、お前知らなかったんだっけ。そんな会話の先に世之介がいる。

見どころ、いろいろな台詞
映画の冒頭
引っ越してきたときの新生活始まる感。隣から目覚まし時計の音がずっと鳴り続けるのでドアをノックしてみるが誰も出てこない。そのまた 隣の人が窓から顔を出して世之介に「ずっと、そうなんですよ。あ、シチュー、食べます」「は、ハイ」「あ、いや、別にそんな」(この人本気にするんだという間合いで)
で、1年ほど経過して終幕近く。同じく隣の隣の人が久しぶりに世之介を見て「結構、しっかりしてきたね。最初見たとき、どーなるんだろうって思ったけど…なんか、隙だらけで」
そんな世之介の1年
なんといっても面白くなるのが(いつの間にかずけずけと友だちになった)加藤(綾野剛)のダブルデートのつきあいで行ったとき現れたひとり、与謝野祥子(吉高由里子)が登場して以降。まさに監督のいう"ロマンティック・コメディ"の骨格を持った展開となっていく。
そのデートシーンで世之介の名前だけでウケてひと言
「韻を踏んでらっしゃるのね」
続くハンバーガーをかぶりついて、ふたり楽しく笑うシーンの微笑ましさ。
祥子の実家に呼ばれてのシーン
告白シーンにカーテンぐるぐる巻きになって照れまくる祥子←これ、歴史的名シーンw
こたつの中に入ってケーキの箱の裏に嬉々として「ベルサイユのばら」の落書きを描く祥子。
「これは?」「知らないのですか〜」「オスカルさまですよぉ」
「この子は」
「ピエールです。銃殺されるんですよぉ」
「シャルロットです。自殺しちゃうんですよ」
世之介の実家に行ったときに垣間見せた嫉妬シーン(しかし、世之介は気づいていない)
カメラを始めた世之介に祥子の台詞
「世之介の作品を見る。最初の女になりたいんです」
飄々とした世之介と、どこか浮世離れした祥子を見ているこちらもニコニコしながらを、ふたりの行く末を見守っていく事に(この雰囲気こそが映画全体を覆う多幸感の秘密の一端?)
考えてみたら、このふたり。環境は違えど真っ直ぐさという点では似た者どうしなんですよね。

※ここまで書いて全く倉持くんエピソードを書いていないけど銭湯のシーンや引っ越しのシーンなどいいシーンがあったなぁ、と追記。

80年代という時代設定もあってということで35ミリフィルムで撮影された(けど、上映はデジタルという、まあ現在ではあたりまえになってきた環境)。撮影は「海炭市叙景」「マイバックページ」「霧島、部活やめるってよ」と素晴らしい作品が続く近藤龍人。
フリースタイル22号の中の対談記事でこんなことを語っていました→"70年代を描いた「マイバックページ」は16ミリで、80年代の「横道世之介」は35ミリで撮影したことになるんですよね"
"初めから今回はフィルム撮影でいこうと決めていました"

Memo2
観客は話が進んでいくにつれ、誰もが知りたくなっている世之介の現在を本当に不意打ちのように、DJをやっている千春(伊藤歩)が読んだニュースとして知ることとなる。そのニュース原稿の下読みのシーンが1回目ではよくわからなかったけど2回目に見ると何故、何度も読めていなかったのがよくわかる。
「昨日、じゅうしち、しち…」
「なんか、うまく喋られない。しちって苦手なのかな」
(実はその後の事故で亡くなったカメラマンとなった世之介のことが…)
加藤が一緒に暮らす男性に
「あ、そうか、お前知らないのか」「世之介のこと」ニマニマする加藤。
俺、あいつと知り合っただけで、なんかだいぶ得した気分だ
ラスト
世之介の母から祥子への手紙
(世之介、処女作スナップ写真とともに)
「最近おばさん、こう思うの。世之介に出会えたことが自分にとって、1番幸せではなかったかって。また遊びに来てくださいね。思い出話でもできたらと思います。きっと笑い話ばかりになりそうね」

奇しくも同時期に「世界にひとつのプレイブック」「横道世之介」と自分の中では対になる多幸感にみ満ちた(変則型)ロマンティック・コメディの傑作の誕生です。

Yo1

映画『横道世之介』公式サイト
http://yonosuke-movie.com/


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