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2014-04-09

アデル・エグザルコプロス、レア・セドゥ主演、アブデラティフ・ケシシュ監督『アデル、ブルーは熱い色(La vie d'Adèle – Chapitres 1 et 2)』"絵画のように、彫刻のように"

アデル、ブルーは熱い色
(仏: La vie d'Adèle – Chapitres 1 et 2)
(英: Blue Is the Warmest Colour)
アブデラティフ・ケシシュ監督
アデル・エグザルコプロス
レア・セドゥ

第66回カンヌ国際映画祭
パルム・ドール受賞(主演女優の2人にも)

物語・教師を夢見る高校生アデル(アデル・エグザルコプロス)は、運命的に出会った青い髪の画家エマ(レア・セドゥ)の知性や独特の雰囲気に魅了され、二人は情熱的に愛し合うようになる。数年後、念願の教師になったアデルは自らをモデルに絵を描くエマと一緒に住み、幸せに満ちあふれた毎日を過ごしていた。しかしエマの作品披露パーティーをきっかけに、二人の気持ちは徐々に擦れ違っていき…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

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Memo1
ジュリー・マロ原作のBD「LE BLEU EST UNE COULEUR CHAUDE」は未読。
既報で知ったことだけれど原作と主人公の名前は違う。演じたアデル・エグザルコプロスと同じアデルに(本編でアラビア語で"正義"を意味する名前だという台詞がある)
実際の血筋もキャステイングに影響していると監督が語るとおりエマを演じたレア・セドゥーの存在感、オーラはすごいものがある。そして終始、口元が開いたままの一見何を考えているのか、わからない思春期特有の雰囲気と一途さを合わせ持つアデル・エグザルコプロス。まさに、このふたりなくしては成立し得ない傑作となっている。
誰かを好きになった時のドキドキした高揚感(アデルとエマのようにお互い女性であったとしても)から付き合い始めた充実感、やがて別れを迎え、おとずれる喪失感…、それらのこころの動きをアデルと共に感じ入ることができる。
このタイプの作品は激情型でエキセントリックになりがちだが、そういった気分とは違ったある種の清々しさをも持っている。
「絵画のように、彫刻のように」と監督が語っているとおりクローズアップは塑像の如く、ロングや通常のショットは絵画の如く撮られている。(その光の透過性、うつろう季節の公園、木陰のベンチ)
エマとアデル、ふたりの性描写が濃密にして執拗。本編中盤(1時間以上過ぎてから)に用意されている7分間は劇場で「あ、今、隣の席の人が生唾飲んだな」ということがわかるぐらいの静けさと切迫感。そして彫刻を謹刻するが如くに撮られた映像。
この後2回のふたりの性愛シーンはそれぞれの家族の家に招かれ食事をした後に出てくる(おそらく意図的に配置されたシーン?)
ちなみにこの家庭環境の差(インテリアから食事、会話に至るまで細かく)は、そのままエマとアデルが選ぶ職業(画家と教師)にも影響している。文章を書くことを勧められるが全くその気が無いアデル。
エマの絵のモデルとなるアデル。
自宅でのパーティで「私の創造の女神でもある」と紹介される。
また、絵画についての会話でエゴン・シーレやクリムトについてのやり取り。
クリムトを想起するといった相手に対して。
「クリムトは好きじゃない。装飾的すぎる」
※金箔を配したものは装飾的だが素描などを見ると、この指摘(エマの絵画に対して)は結構的をえてるのでは?と思う。(もちろん、ここのシーンはよくある芸術家やインテリの会話の一端として描かれている)
17歳のあどけなさが残るふっくら顔から卒業して教師の道へ踏み出した大人の女性へ変わっていく姿をヘアスタイルやファツション。
最初、街角ですれ違い一瞬、目が合うエマとアデル。
エマのブルーの髪の色はやがてアデルと一緒に暮らし始め、絵のモデルをする辺りから普通のヘアスタイルへと変化する。
(その象徴的であったブルーはアデルの着る服装に転化されていくかのよう)
ラストはまるで禊のように、身を清めるように、はたまたエマに会える喜びと諦観を諌めるようにシャワーを浴び赤いマニキュアをぬって青いドレスを着てエマの個展ギャラリーへと向かう。
そして、そこには"あんなに愛しあった日々"は遠きにありてといった、空気が漂い、すっとギャラリーを出て煙草に火をつけ立ち去っていくアデルの姿で幕を閉じる。

Memo2
撮影カメラはIMDbのスペックを見るとCanon C300となっていて、2012年発売カメラなので本作撮影時、最新のものを使用していたこととなる。
それにしても、この透明度のある映像はデジタルでもこういった肌触りのものにもなるのかと驚いた。
撮影監督はソファニ・エル=ファニ

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映画『アデル、ブルーは熱い色』公式サイト
http://adele-blue.com/


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