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2015-06-24

『海街diary』是枝裕和監督、綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、他

注・内容、台詞に触れています。
海街diary
原作 : 吉田秋生
監督・脚本・編集 : 是枝裕和
出演 : 綾瀬はるか長澤まさみ夏帆
広瀬すず、大竹しのぶ、堤真一、加瀬亮
風吹ジュン、リリー・フランキー
前田旺志郎、鈴木亮平、池田貴史
坂口健太郎

物語・鎌倉で暮らす、幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)。そんな彼女たちのもとに、15年前に姿を消した父親が亡くなったという知らせが届く。葬儀がとり行われる山形へと向かった三人は、そこで父とほかの女性の間に生まれた異母妹すず(広瀬すず)と対面する。身寄りがいなくなった今後の生活を前にしながらも、気丈かつ毅然と振る舞おうとするすず。その姿を見た幸は、彼女に鎌倉で自分たちと一緒に暮らさないかと持ちかける。こうして鎌倉での生活がスタートする。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Umimachi2

Umimachi1

Memo1
原作と同じ朝、彼氏の部屋で目覚める佳乃のシーンから映画は始まる。
(携帯からスマホに。電話はかけずにメールで父親の死を知る)
原作のかぶさるような会話部分が映画の中で再現されているところと省略されているところが絶妙のバランス。
是枝監督、傑作法事映画『歩いても歩いても』に続いて「キタァー!!」と思った法事シーン(お葬式シーン)が最初と最後と真ん中に配置された構成。
父親の葬儀、祖母の七回忌、海猫食堂店主二ノ宮さん(風吹ジュン)の葬儀。
それぞれに本作のキーポイントとなるシーンが配されている。
佳乃の性格を表す台詞
(と、いうか、これだとずっと飲んでるみたいですが 笑)
・山形、旅館に着いた途端。
「あー、あ〜、ビール~」
・海猫食堂で「あー、何にしようかな」と千佳たちが迷ってる時に、すかさず「とりあえずビール」
・「3人で話しませんか」とすずの提案に。
「あー、もうめんどくさいなぁ」「梅酒!ロックで」
メイキング特番で実際の撮影前に四姉妹そろっての顔合わせ。
実際に料理を作ったり、拭き掃除をしたり、障子を張り替えたりほんとに四姉妹で生活しているような形を体験させるところからはじまる、まさに是枝監督ならではの手法。
(障子の張替えシーンは本編にも使われた)
すずと幸、佳乃、千佳とそれぞれふたりだけになった時と四姉妹全員で話している時との会話や空気の違いが実に見事に描かれている。
(人によって話す内容が知らず知らずに変わってしまうこと、ありますよね)
・すずと幸。
キッチン(台所)に並んで料理の下ごしらえ中。
「奥さんがいる人を好きになるなんて、お母さんよくないよね」
・すずと千佳。
お祖母ちゃん直伝のちくわのカレーを食べながら
「わたし、ちっちゃかったから、ほとんど父親のこと覚えていないんだ」
「また、話せるようになったら、はなし、聞かせてね」
少し間をおいて、すずが「わたし、嘘ついてたんだ。しらす丼、よくお父さんがつくってくれたんだ。」
「あと、釣りに連れてかれた」
へらぶな釣りをやっている千佳がなんともいえない嬉しそうな顔になる
(ここは、ほんとよいシーンだなぁ)
・ラスト。
幸がすずを連れて高台へ登っていく。
鎌倉の街を見下ろす、その風景は山形ですずがよく父に連れられて登った高台の景色と同じような雰囲気だ。
「わーっ」
突然、叫び出す幸
「おとうさんのバカーっ」
「すずも叫んでみて」
一瞬、躊躇するが声を限りに叫ぶ、すず。
「おかあさんのバカーっ」
抱きしめる幸
「お母さんのこと、話していいんだよ」
「ここにいていいんだよ」
幸とすず。
どことなく似ているのは、この台詞に集約される。
あの娘、子供時代を奪われちゃったんだよ
(幸は出ていった母親のかわりに小さかった妹の世話をし、すずは父親の再婚で連子のいる継母の元気苦労が絶えない上に父親の病気の看病が重なったりと…。)
それゆえの、あのラスト。
すずと同級生の風太とのシーン。
こころにとどめている本音がちらほらのぞく台詞が何度か。
山猫亭でマスター考案のしらすトーストを食べた後、風太と歩きながら。
「お父さん、あそこの店に行ってたのかも。」
「わたし、お姉ちゃんにうそついちゃった。」
砂浜に舞落ちた桜の花びら。
「もう、終わりなんだ…。山形だとこれからなんだけれど」
そのあとの桜のトンネルへ連なる美しい流れ。
また、こんなシーンも。
「わたし、ここにいていいのかな」
「おれ、三男で、女の娘期待されていたのに、あー、男かって感じで、一番写真少ないんだ」(と、なんだか、的はずれな気もするけれど精いっぱいな励ましがすずには嬉しかっただろうなぁ、と思える、これまたいいシーン)
と、他にも母(大竹しのぶ)と幸の会話など本当にたくさんのいいシーンが四季折々の自然や空気の中に綴られた、四姉妹のまさにダイアリーなのである。

Memo2
ロケ地がお馴染みの極楽寺駅や桜橋(下を江ノ電が通る高架)など定番中の定番。ちなみに原作1巻の表紙は近年「スラムダンク」OPとして観光スポット化している鎌倉高校駅前交差点踏切。
印象的な食事シーン。
フードスタイリストは飯島奈美さん。
しらす丼、しらすトースト、ちくわカレー、おはぎ、アジフライ、そして梅酒…
四姉妹の性格、キャラクターがはっはりわかるファッション。
衣装は伊藤佐智子さん。
冒頭、父親の葬儀の際の喪服の違いまでもが如実(バッグや小物、靴にいたるまで)。話題となっていた浴衣も。
撮影は瀧本幹也さん。
(パンフレット掲載インタビューより抜粋)日本家屋を美しく描いてきた名匠たちの系譜がありますねの問いに「最初に四姉妹の座り位置を決める時、是枝さんがずっと悩んでいたのが印象的でした。円卓を斜めに向けると成瀬になる。畳に対して真っすぐに座ると小津になるって」

Umimachi3

アートディレクションは「空気人形」テレビドラマ「ゴーイングマイホーム」に続いて森本千絵さん。
パンフレットの紙質が「空気人形」と同じタイプのもの。選ばれたフォント、色彩チャート(例えば、四姉妹キャストインタビューページの紫陽花をイメージさせる四色の使い美しさ)は是枝監督作品と同じ静謐さ。これはデビュー作から脈々と続いている。
(「幻の光」から「花よりもなほ」「歩いても歩いても」は葛西薫さんによるアートディレクション「そして、父になる」は服部一成さんによるもの)

映画『海街diary』公式サイト
http://umimachi.gaga.ne.jp/




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