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2015-11-05

The Sun also Rises. but…『草原の実験(Ispytanie)』アレクサンドル・コット監督、エレーナ・アン主演

注・内容、ラストに触れています。
草原の実験
Ispytanie
監督 : アレクサンドル・コット
出演 : エレーナ・アン
ダニーラ・ラッソマーヒン、カリーム・パカチャコーフ、
ナリンマン・ベクブラートフ=アレシェフ

物語・少女(エレーナ・アン)は、心地よい風が吹き渡る草原にぽつんと立つ家で父親と2人で生活していた。仕事に出て行く父を見送った彼女は、スクラップブックを眺めたり、トラックの荷台を掃除したりしながら時を過ごす。そんな美しい彼女に地元の少年や、風来坊の少年が好意を抱き…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Test

Memo1
冒頭、トラックの荷台。
羊の背中を枕に居眠りする父。
なんとものどかな開巻。
羽のないプロペラ機。まさに飛ぶこともできない訳でこの地から出られないことの暗示?さらに少女が窓越しに綿の上にプロペラ機が載るように見せて、さも飛んでいるかのようにみせる場面(ここで、ある種のファンタジー性、寓話性をもった物語だとわかる)
本作、極めてわかりやすい示唆にとんだシーンや構図が多い。そのどれもが自分としては好み。
地元の少年と途中立ち寄ったと思しき金髪の少年と少女とのやりとり。父親と少女との日常が静かに綴られていく。
父親は毎日どこに出かけているのだろうか?
後に出てくるガイガーカウンターシーン繋がりで考えると、おそらくは実験場のある基地に行っていたのだろうと考えられる。
また、この場所は何処なのか?
監督がインタビューで「場所はどことは決めていなくて」と語っていたが新聞の旧・ソ連のマークや壁に貼られた地図に示された赤いエリアが(過去にあった)"そのこと"を物語っている(ように思える)。
木の葉の押し花で描かれた風景のスクラップブック。
風になびく葉が"この世界のどこか頼りげない何か"を暗示させている。
衝撃的だったのは音。
制作会社のロゴバックの音が驚くほど大きく、そしてキレがあって、その時点で既に意外だったのだが本編中の風の音やピアノ音の音像としての素晴らしさ。
最後の核実験シーンが(予兆に満ちたシーンが続いていたので、うすうす判ってはいたのだが)突如眼前に広がる。
そこまであった静けさを全て吹き飛ばす爆音の中に舞い上がるきのこ雲と爆風、風、風、風。
からみ合う洗濯され吊るされた2人のシャツ。
象徴的な樹(『サクリファイス』想起)の側でベンチに腰掛け、同じポジションばかりを取り合う、あやとり。
世界の終わりを見る風景とは、このようなものではないだろうか。
一瞬の光を表したシーンとしては『父と暮らせば』で8月6日、見上げる宮沢りえの頭上、目に映る光や『太陽の帝国』でジム少年が遥か遠く(日本の方角)に見る光と同じく、衝撃的なインパクトだった。
韓国人とロシア人の血を引くエレーナ・アンのヒロインとしての姿。
屋根に登って双眼鏡で遠くをみている佇まいを見た瞬間、おぉっっっ!『カリオストロの城』『風の谷のナウシカ』や『天空の城ラピュタ』が実写で撮れるのでは!??(と、思った人多いだろうし、事実そう表現されている方も多かったですが)
まさに、このエレーナ・アンの目と表情。
それら全てが台詞無しの本作を成立させた最も大きな要因。
ラスト。
(それまでも幾度となく暗示される太陽のシーンがあって)
昇るはずの太陽は登っていく途中で再び沈み始め…。そして…

Memo2
アレクセイ・アイギによる音楽が秀逸。
エンドロールの呪詛的に聴こえるボーカル(らしきものの)入った部分も?←こちら未確認。公式twitterアカウントによるとサントラが近日発売となっていたので期待。
美術と衣装も素晴らしかったので明記→エドゥアルド・ガルキン

Test2

映画『草原の実験』公式サイト
http://sogennojikken.com/

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