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2016-03-17

『フランス組曲(Suite Francaise)』ソウル・ディブ監督、ミシェル・ウィリアムズ、マティアス・スーナールツ、クリスティン・スコット・トーマス、他

注・内容に触れています。
フランス組曲
Suite Francaise

原作 : イレーヌ・ネミロフスキー
監督 : ソウル・ディブ
出演 : ミシェル・ウィリアムズ
マティアス・スーナールツ
クリスティン・スコット・トーマス
サム・ライリールース・ウィルソン
マーゴット・ロビー、ランベール・ウィルソン
トム・シリング

物語・1940年、ナチス・ドイツの占領下にあるフランス。田舎町で厳格な義母と生活しながら、出征した夫の帰りを待っているリュシル(ミシェル・ウィリアムズ)。彼女の前に、ナチス・ドイツのブルーノ(マティアス・スーナールツ)が現れる。占領国の男と被占領国の女、さらに人妻という立場でありながら、共に愛している音楽を通じながら心の距離を縮めていく二人。ふつふつとわき上がるブルーノへの思いに戸惑うと同時にリュシルは住んでいる田舎町しか知らず、誰かに従うように生きてきたそれまでの自分を見つめ直す。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

France

Memo1
原作未読での鑑賞。
その小説の発表経緯自体が既にドラマティック。
(本作に登場するユダヤ人母娘がモデル?)
その母親役が「ヒトラー〜最後の12日間〜」でヒトラーの秘書役を好演していたアレクサンドラ・マリア・ララ!(「コッポラの胡蝶の夢」にも出演していて印象的)
映画本編中、ナチスという言葉は出てこない。
特徴的なハーケンクロイツもほんの少し写るぐらいだ。
(町長が処刑されることとなった朝、ドイツ軍本部を俯瞰から捉えたショットとあと数カ所に)
だが占領の際の第一歩が強制的に変えられるドイツ時間であることからも、まごうことなくドイツ軍なのだ。
(この"自分たちの時間"を勝手に変えられることというのは、そこに住む者にとって本当に屈辱的なことだろうなぁ、と思う)
田舎町での陰口がドイツ軍に告げ口の手紙として届いている歪さ。
元々、この土地自体を支配していた貴族や領主などの特権階級への不満は強者が現れたときに告げ口という形で顕在化していく。
ミシェル・ウィリアムズが亡き父親の言われるがままに、それが愛なのか何なのかもわからないで結婚したリュシル役。
そこに滞在することとなったドイツ軍中尉のブルーノ。
(音楽、ピアノを愛していることがわかる)
戦地へ夫が赴いて3年。揺れるリュシルのこころ。
ブルーノから手紙を書けばよい、と言われて書いてみるもののなかなか書けない。この時の庭でのやりとりが、ふたりのはじめて交わした会話らしい会話。
義母(まー、なんとも息が詰まる窮屈な空気を醸し出しまくっている姑)であるクリスティン・スコット・トーマスがさすがの上手さ。
スコープサイズに広がる畑と直線的な道路。
(この田舎町の風景が美しい)
冒頭パリから逃げ延びていく人々を乗せた列車や、その道路を歩く列にドイツ軍からの砲撃。意外な始まり方に少し驚いた。
ラスト、その同じ畑に置かれた検問所。
ブルーノに疑いを持つドイツ兵が通行証に書き添えた「怪しいのでチェック」という文のせいで車から降ろされ、検問所のドイツ兵を撃ってしまうレジスタンスのブノワ(サム・ライリー←確か前述、アレクサンドラ・マリア・ララと実生活で結婚している)
そこに現れたブルーノ。
逃がしてくれる際のふたりの距離。
抱き合うこともなく一瞬、ブルーノの手がリュシルの身体に触れる。
すっと避けるような仕草が切ない。
乗り込んだ際に、泣いているリュシル。
全く言葉は交わさない、ふたり。
そして車を出しハンドルを握るリュシルの後部座席のガラスに見えるブルーノ。
ここが、またスコープサイズならではのショット。
(ボイスオーバーで、その後の事が語られてエンド)

Memo2
Main and End Title DesignerはMatt Curtis
エンドタイトルは、そのバックベースの映像(画像)が推敲のあとがみてとれる原作の原稿の上にクレジットが表示される美しいもの。
音楽はラエル・ジョーンズ
重要なモチーフであるピアノ曲の作曲は(またしてもまたしても)アレクサンドル・デスプラ。もう、めちゃくちゃ多忙すぎて実際デスプラ10人位いるのじゃないかと思える多作ぶり。
衣装デザインがマイケル・オコナー
リュシルのファッションが最初は小花模様でいかにも従順な感じを醸し出していたのがラスト、意を決してレジスタンスのブノワ(サム・ライリー←確か前述、アレクサンドラ・マリア・ララと実生活で結婚している)をパリへ送り届ける際の帽子、スーツ(まるで「カサブランカ」のバーグマンのような)のパキっとした変化が印象的。

映画『フランス組曲』公式サイト
http://francekumikyoku.com/

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