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2016-06-09

"映画の生き死には宣伝次第よ" 淀川長治さんの映画広告

21世紀の淀川長治
(キネマ旬報社・刊)

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「映画へとひとびとを誘う言葉」と思いが詰まった一冊。
「淀川長治自伝」の「終回」から幕を開ける本書。
(その冒頭部分を引用)
"チャップリンは亡くなったのに映画はある。ジョン・フォードは亡くなったのに映画はある。ヴィスコンティの映画もルノアールの映画も永遠であろう。映画は残る。これは小説も絵画も同じこと。この世に何かを残すということはどれほど偉大なことか。"
シャブロル、ブレッソンから『荒野の一ドル銀貨』成瀬・川島両監督による『夜の流れ』などなど淀川さん口調で声まで聞こえてきそうな映画批評や監督論の数々。きっちりと批判したものも採録されていて初めて読まれる方はドキリとするのでは?
(とはいえ、あるのは映画を愛する心。P60わが映画批評の立脚点を読めば、その指針もうかがうる)
巻末には『キネマ旬報』ベスト・テン他が表だけではなくコメントも(←これは嬉しい!)そのまま採録されています。
カラーページに"淀川長治がつくった広告"といったコーナーが。
ハサミコミと呼ばれるキネマ旬報本誌に綴じこまれた広告を淀川さん自身によるレタリング、レイアウトで作られた話が語られています。
(図版は「駅馬車」「デッドエンド」「牧童と貴婦人」「ゼンダ城の虜」)
※確かキネマ旬報には1970年代中頃までチラシ自体を挟みこんで発刊されていたと記憶する。
そこで思い出したのが今から27年前に広告批評で特集された、この号。

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広告批評』1989年5月号
特集・淀川長治ワンマンショー
43ページにおよぶ大特集。
(本誌自体が130ページなのだから、これは本当に大特集でした)
聞き手に川本三郎さん、島森路子さんをむかえてのインタビューを軸に構成。
第1部・どうしておしゃべりになったか
第2部・こんなふうに生きてきた
第3部・私の美意識
そして<付録>と記された映画広告にもの申す。
こちらには図版として他の著書でも見た記憶があるユナイト宣伝部時代に作られた有名な『駅馬車』の雑誌広告が。
他にはキャストやスタッフなど何も入れず、ただひとこと「駅馬車来る!」
当時としては画期的な広告。

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淀川長治のひとこと広告批評
(前年に公開された作品の中から選ばれたもの)
それぞれにコメントがつけられている。
続くインタビューページ。
(多分、ここで初めて読んだ知らなかった話←島森さんも、はじめて聞いたと答えています)
"角川春樹さんに、僕、呼ばれたの。あの人が映画を始めるときに。「一体なんですか」って言ったら「映画を大事に売りたい、商売したい。どうしたらいいでしょうか」って質問された。「映画の生き死には広告です」って、僕、答えたの。「宣伝しない映画は、絶対に当たりません。映画の第一は宣伝です。あらゆる方法で、見せるなり聞かせるなり、どんどん自信を持っておやりなさい」。春樹さん、一生懸命聞いてたよ。で、宣伝に力を入れられたね。"
(映画の生き死には宣伝次第よ、より抜粋)
この後に、ちゃんと「で、広告負けしたの〜(中略)〜やりすぎちゃったの。」とピシャリと言い切るあたりにも、驚く。(さらには東和の話、セルズニックの話もかぶせているので、ただの苦言でないこともわかる)
※他にも初出だと思われる話がいくつも。どちらかの著書におさめられているのかは未確認です。

追記
『21世紀の淀川長治』読み進めていくと(と、いうか、すぐに数箇所)やたらと誤字が多いなぁと思っていたら下記、告知が記載されていました。
キネマ旬報ムック『キネマ旬報コレクション 21世紀の淀川長治』をご購入のお客様へ お詫びと商品交換のお知らせ
http://www.kinejun.com/book//tabid/95/Default.aspx?ItemId=588


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