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2017-04-23

"Are You Lonesome Tonight"『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件(A Brighter Summer Day)』エドワード・ヤン監督、チャン・チェン、リサ・ヤン、他

注・内容、台詞、ラストシーンに触れています。
牯嶺街少年殺人事件
(クーリンチェ少年殺人事件)
A Brighter Summer Day

監督 : エドワード・ヤン
出演 : チャン・チェン
リサ・ヤン、リン・ホンミン
ワン・チーザン、
チャン・ホンユー、他

物語・1960年代の台湾・台北。夜間高校に通うシャオスー : 小四(チャン・チェン)は、不良グループ・小公園のワンマオ : 小猫王 : リトルプレスリー(ワン・チーザン)たちといつもつるんでいた。ある日、シャオスーは小公園のリーダーのハニー(リン・ホンミン)と付き合っている少女・シャオミン : 小明(リサ・ヤン)と出会う。ハニーは、小公園と対立するグループ・217のボスとシャオミンをめぐって衝突し、相手を殺して姿を消していた。シャオスーはシャオミンにほのかな思いを抱いていたが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Absd

Memo1
とにかくスマートである。
湿気をおびたり泥臭さが際立ったりもせず、一定のリズムは壊れることなく、途切れることなく最後まで描かれる。
黒澤明監督が『デルス・ウザーラ』撮影に入る際の「私の監督方針大要」に書かれていた
「カメラはカメラを意識させてはいけない(役者が止まればカメラも止まる)」(←正確ではありませんが大意はこんな感じ)を思いだした。
見ている間、カメラがケレン味ある動きを見せたり、演者が熱が入りすぎてオーバーアクト気味になることもなく、かといって冷徹な視線でもない(むしろ監督のまなざしの温かみすら感じる)
この4時間版はその監督のまなざしが全編に降り注いでいる気がする。
それはラスト、シャオスーが捕まり事情を聞かれる警察署でのシャオマーを写したシーンにいたるまで…
「彼だけが唯一の友だちだったのに」
撮影スタジオでシャオスーを見つけた映画監督
「オーディションを受けた、彼女、連絡がとれないんだ」
「彼女の自然な演技がよかった」
「自然?」
「監督なのに何も見ていない」
そこに残ったのは映画冒頭からずっとシャオスーの行先を(行く末を、未来を)照らし続けていた懐中電灯が。
自転車置き場
(この自転車置き場から角を曲がってお店などが並ぶ広場へ向かうところの動線が最初の方にもあり、素晴らしくよい。また、他にも父親とシャオスー、母親と娘などゆっくり道を歩く場面は繰り返し出てくる←これがまたよい)
シャオマーをまちぶせているところをシャオリンに見つかり立ち去ろうとするシャオスー。
声をかけ追いかけてくるシャオリン
言い合いになるふたり。
「私を変えたいのね?」
「あなたも他の人たちと一緒なのね」
「この社会と同じ。変わらないのよ」
そして…
今回、再見して発見したのだが、刺された直後シャオミンの左腕がシャオスーの首に(まるで)抱きつくように回っていて、その姿が一瞬抱擁しているかのようにさえ見えてしまった。
それゆえの最初の出会い、パーラーでのにこにこしながらお互いを見つめ合う姿などが浮かんできて、なんともいたたまれない気持ちでいっぱいになった。
バストショットからロングになったタイミングでバイクが横切っていく。
「起きてよ」「こんなことで死なないだろ」
続いて自転車が横切り、次第に周囲の人間が気がつき始める。
(このシーンの前に満月が写されていて、その時間帯の明るさも考えぬかれている。バックの屋台の並ぶ木と木の間にかすかに見える宵闇ブルーの美しいこと←これは今回のデジタルリマスター・バージョンで再発見)
隣に住む本省人に対しての台詞。
「8年間、日本と戦ってきて、今では日本家屋に住み日本の歌がとなりから聞こえてくる」
(この辺の本省人と外省人についての経緯は予備知識として知った上で見るのがベスト。今回は3時間版を見ていたので理解しているが最初に見たときは少しわかりにくかった)
印象的な2曲
・英語タイトルの元となったプレスリーによる"Are You Lonesome Tonight"(邦題 : 今夜は一人かい?)
映画では使われていないが、観終えてから聞くと途中に入る台詞部分が沁みる。
・フランキー・アヴァロン(Frankie Avalon)の1959年に全米1位 "Why"
これまたパーラーでのコンサートでキャラ立ち素晴らしきワンマオの台に乗って歌うハイトーンヴォイス。(またワンマオ、いい奴なんだなぁ)

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Memo2
初公開時と1998年リバイバル公開時のチラシ。
共に188分版。
上映館はそれぞれ今は閉館してしまったシネマ・ヴェリテ、シネマアルゴ梅田。
1998年リバイバル時のチラシ解説面には、わざわざ"ビデオ、LDリリース版は4時間バージョンでなされているため、3時間版はこの上映でしかご覧になれません"の記載も。
(188分版の再公開はできないものなのだろうか?)
3時間版と4時間版。
シャオスーをとりまく家族の描写、シャオミンからうける印象の違いが最も大きいと記憶。特にシャオミンについては今回再見して全く違った見方をしていたのかもと思われるほど。(いわゆるファム・ファタール性。その道しか選べなかったのか宿命的なものなのか…)
『牯嶺街少年殺人事件』ロケ地
(↑参考として個人サイトにつきリンク切れの場合あり)
http://www.gangm.net/taiwan/summerDay/index.html
映画評論家・川口敦子さんと川野正雄さんの対談形式によるシネマディスカッション。
(↑修復作業について、80年代台湾ニューウェーブについて、そして本編について。素晴らしい内容です)
Cinema discussion
http://lecerclerouge.jp/wp/category/cinema/cinemadisussion/
Criterioncollectionによる4Kレストアについて
ワークフロー動画 (修復後、小公園のパーラーから出て行くハニーの後ろ姿。左側に見える時計の文字盤が判別できる!また写さないことで際立つ医務室でのシャオミンとシャオスーの会話部分の壁!)
Restoration Spotlight: A BRIGHTER SUMMER DAY
https://www.youtube.com/watch?v=2AMSHs2adWk

『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』公式サイト
http://www.bitters.co.jp/abrightersummerday/


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