2017-11-12

『 IT イット “それ”が見えたら、終わり。』アンディ・ムスキエティ監督、ジェイデン・リーバハー、ビル・スカルスガルド、フィン・ヴォルフハルト、ソフィア・リリス、他

注・内容、台詞に触れています。
IT イット “それ”が見えたら、終わり。
IT

監督 : アンディ・ムスキエティ
出演 : ジェイデン・リーバハー
ビル・スカルスガルド
フィン・ウォルフハード
ソフィア・リリス
ジェレミー・レイ・テイラー
ワイアット・オレフ
チョーズン・ジェイコブズ
ニコラス・ハミルトン
ジャクソン・ロバート・スコット、他

物語・とある田舎町で児童が行方不明になる事件が相次ぐ中、おとなしい少年ビルの弟が大雨の日に出掛け、大量の血痕を残して姿をくらます。自分を責めるビルの前に突如現れた“それ”を目撃して以来、彼は神出鬼没、変幻自在の“それ”の恐怖に襲われる。彼と同じく“それ”に遭遇した人々とビルは手を組み、“それ”に立ち向かうが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

It1

Memo1
なるほど。
この方法があった。
原作を読んでいる人、昔の映像版を見たことがある人、全く予備知識無しで見た人。
それぞれでうける印象は変わりそう。
既に知っている人からすると原作から重要なポイントを上手く抽出しての鋭い脚本に唸り、初めて見る方にとっても、漂うジュブナイル感とドキドキがミックスされたホラーの秀作となっている。
年代も27年後が現在の2016~2017年になるように設定された1980年代に置き換えている点は偶然なのかマーケティングによるものなのか?
小説が出た年、さらに90年のテレビ版を見た世代が、その時代へのノスタルジーを加味した上で見ることのプラスアルファ。
親の過度な干渉、性的虐待、いじめなど、それぞれが抱えている問題(心の奥に押し込めてしまう「それ」自体)が恐怖となって増幅される。
ラスト、ペニーワイズが「Fear…」(本当の恐怖は…)とつぶやくように消えていく。(まだつづく感が半端ではない締め方)
さらに川のそばでそれぞれが手のひらに傷をつけ、血の誓いを告げる。
"IT"がまた戻ってきた時は、みんなまたここに戻ってくると…。
(このあと、ひとりとひりの去っていく順番って、もしかして…???)
一番怖いシーンは冒頭の7歳の弟、ジョージがペニーワイズと遭遇するところ。
容赦なく腕を噛みちぎる場面はインパクトが大きい。その後、ペニーワイズが出てくる度に身構えてしまう。
で、身構えが過ぎるところへべバリーが浴室で「エルム街の悪夢」再現の鮮血シーン。ふりかえると「ギャッ」と突然現れるところは悲鳴があがっていた。
監督インタビューによると本作撮影中に『ストレンジャー・シングス』の配信が始まったのでフィン・ヴォルフハルトの両作品出演は偶然ということみたい。
(『ストレンジャー・シングス』マイクと違ってこちらはひたすら喋ってますが…笑)
自転車「Silver」
字幕にも出ていたけれど本編中では際立って重要ポイントはなかったので、これは続編で再登場ということだろうか?
スティーヴン・キング作品に時折登場する「亀」もレゴをはじめ水遊びをしているときに「足になにか触った」「亀がいる」と言った台詞なども出てきた。
蛇足
全く関係ないけれど最初に読んだ時から思ってたので、ちょっとメモ w
ペニーワイズとベニズワイガニで踏める。

It2

Memo2
Main Titles → Picture Mill
End Credits → SCARLET LETTERS
使用曲リスト
Songs and music featured in It (2017)
https://www.tunefind.com/movie/it-2017
カラーリスト(Colorist)は『ゾディアック』や『スノーデン』など多数手がけているCOMPANY 3Stephen Nakamura
町全体に漂う不穏当な空気。夜間や曇天シーンを多用するわけではなく、青春ものとしての真夏の空、陽の光もしっかりととらえ、その上でギラギラ感を少し薄めたカラー調整は見事。
判別できないほどのペールトーンとしてイエローアンダーベースをレンズフィルターソフトで後調整しているようにも見える濁りの少ない黄色みが足された空の色
http://www.company3.com/artists/stephen-nakamura-2/

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。
オフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/itthemovie/

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2017-10-28

『ブレードランナー 2049(Blade Runner 2049)』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード、アナ・デ・アルマス、シルヴィア・フークス、ジャレッド・レトー、他

注・内容、ラストシーン、会話など盛大にネタばれしています。
ブレードランナー 2049
Blade Runner 2049

監督 : ドゥニ・ヴィルヌーヴ
撮影 : ロジャー・ディーキンス
出演 : ライアン・ゴズリング
ハリソン・フォード
アナ・デ・アルマス
シルヴィア・フークス
ジャレッド・レトー
ロビン・ライト
カーラ・ジュリ、他

物語・2022年にアメリカ西海岸で大規模な停電が起きたのをきっかけに世界は食物供給が混乱するなど危機的状況を迎える。2025年、科学者ウォレス(ジャレッド・レトー)が遺伝子組み換え食品を開発し、人類の危機を救う。そして、元捜査官デッカード(ハリソン・フォード)が突然行方をくらませて以来30年の月日が流れた2049年には、レプリカントの寿命に制限がなくなっていた。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Br2049a

Memo1
独特のペシミスティックさがもたらす、実世界の延長線上にあってもおかしくない直近未来。
ヴィルヌーヴ監督の美意識が隅々まで行き届いた端正な作品。
それはロジャー・ディーキンスの撮影からサウンドデザイン、エンドクレジットで使用されるフォント(その色も)まで全てにおいて。
『ブレードランナー』(1982年)にも出ていた用語「SKIN JOB」が本作にも。
署内でKとすれ違う署員から完全に差別用語として吐き捨てられていた。
訳は「人間もどき」「もどき」
(「人間もどき」というと『マグマ大使』を思い出してしまいますが 笑)
前作のフォークト=カンプフ検査と同じようにレプリカントに対しての検査が行われる。
Kが警察署に入る前に行われる部屋の会話。
「接続」の意の「interlinked」を何度も言わされる。
最後は3回繰り返して
「Within cells interlinked」
「Within cells interlinked」
「Within cells interlinked」
(ふたつで十分かもしれないけれど)前作繋がりでもうひとつ。
一角獣を折っていたガフの折り紙が。
それも羊って…笑 (もっとも主人公がKというのも原作者もじりかもしれませんが←未確認)

Memo2
冒頭、デッカードに解任(処分)されたレプリカント、サッパー・モートンの住居近くの木の下から見つかった骨(のちにレイチェルのものと判明するのだが、このときはまだ知らない)を調べるデッカード。
ホログラフィAI、ジョイ(アナ・デ・アルマス)との会話。
「A、G、T、C…」
たったの4文字で表される
わたしは0と1の2文字
(鋭く、どこか切なさもある会話)
ハンディ機器エマネーターで初めて屋外に釣れだしてもらった際の手のひらでうける雨、他人のボディと同期してデッカードとの肉体的に交わり…。
その4と2文字の差異。
ジョイはどこまで感じていたのだろう。
どのような感じだったのだろう?
ラストシーン。
自分の記憶(移植された記憶とわかるまでのほんの僅かなあいだだが)としての、よりどころであった木馬をデッカードに手渡す。
(前作では揺らぐ記憶、存在証明、時間…その補完として写真を集めていたレプリカント)
デッカードのためにラヴと死闘をくりひろげ、命燃え尽きようとするK(命を託す前作のロイのようだ。さらにはロビン・ライト演じるジョシが台詞でふれていた自己犠牲?)
ステリン研究所の前で静かに横たわるK
その上に、ひたひたと雪が舞う。
続いて、手に落ちる雪のカットに。
デッカードとレイチェルとの間に生まれた娘。
アナ・ステライン(カーラ・ジュリ)。
「少し待ってください」
隔離された室内の中央に立っている。
「美しい…」
そして、近づいてくるアナ。
視線をあわせる。
手のひらを隔てているガラスにあてるデッカード。
このアナ・ステラインがレプリカントにうめこむための記憶を作り出す、最高の研究者という設定が素晴らしい。
Kがもしかすると自分が探しているレプリカントから生まれた子どもではないかと思って、訪ねてきた際のシーンもとてつもなく美しい。
(ここでアナはKの記憶は自分のものであることに、気づいて涙する)
オランダ出身という意味も含めて、前作のルトガー・ハウアーと対になると思しきウォレス社のラヴ(シルヴィア・フークス)←メチャクチャ強いし、意志強固にして冷徹。
最後のウォールでのKとの海上対決。
死の間際。
溺れゆく中、見たのはKの顔ではなく自分の創造主であるウォレスの姿が重なるように映しだされる。(この死の間際に…という点でも前作の屋上シーンと重なる部分が)
公開前に発表された30年間の空白を埋める短編。
ブレードランナー ブラックアウト 2022
2036:ネクサス・ドーン
2048:ノーウェア・トゥ・ラン
特にこの2048は本作冒頭にそのまま繋がっていくレプリカント/ネクサス8型、サッパー・モートンのエピソードが描かれている。
映画は女優でという小林信彦先生の教えに従ってジョイ役が魅力的だったアナ・デ・アルマスの他作品をNetflixでチェック。
キアヌ・リーヴスがノックアウトされた『ノック・ノック』と主演サスペンス『サイレント・ウェイ』(←タイトルシークエンス最高!)が現在配信中。
黒いブレードランナーと白いブレードランナー。
ロンドン・イメージの酸性雨の降る『ブレードランナー』とグレーの空・イメージの『ブレードランナー 2049』
色彩トーンアプローチの仕方が全く違う。
本作では、前半のロスアンゼルスPARTと後半ラスベガスPARTでの色調がグレイッシュオレンジブラウンと分かれている。

Br2049_ab

Memo3
タイトルデザイン
今年のベスト!タイトルデザインと言えるデジタルノイズとオレンジ色のフォントとの饗宴(競演ではなく)。
Prodigal pictures
Danny Yount
http://www.prodigalpictures.com/
メイキング、クリップなど
Created with Blade Runner 2049
いくつかのbehind Scene動画を見たけれど、VICE取材による、このメイキングが長さとバランスがよい。
(本当に撮影中の現場に取材に行っている)
Inside the Making of 'Blade Runner 2049' (VICE)
https://www.youtube.com/watch?v=T0kobbjpdUg
The Cast and Crew of 'Blade Runner 2049' on the Original Film
https://www.youtube.com/watch?v=T0kobbjpdUg
Blade Runner 2049 Experience LUV
https://www.youtube.com/watch?v=8fzWBNUr8Zo
Blade Runner 2049 - Fire
https://www.youtube.com/watch?v=8QvJajVj28w
ホログラフィAI、ジョイの起動音
(もしかしてSONY製品で既にある?もしくは、これから出てくる?)
プロコフィエフ「ピーターと狼
Joi Notification Sound
Peter and the Wolf Opera 67
Sergei Prokovief
https://www.youtube.com/watch?v=b07U7DtAflY
サウンドデザインについて
SoundWorks Collection: The Sound of Blade Runner 2049
https://www.youtube.com/watch?v=b07U7DtAflY
あのロケ地は何処? Filming Locations
主にブダペストで撮影
(リバティー広場にある旧ブダペスト証券取引所など)
ウォレスの事務所ホールとして、未完成のNeanderthal Museumからイメージをコンセプトアーティストが許可を得て使用したものも(写真あり)。
また、現在識別中のものもあり、新たに判別すると更新。
http://www.atlasofwonders.com/2017/10/blade-runner-2049-filming-locations.html

COLOR of CINEMA内、過去記事
『デンジャラス・デイズ : メイキング・オブ・ブレードランナー(Dangerous Days: Making Blade Runner)』と粗編集版(ワークプリント)を含む5つの『ブレードランナー』
http://color-of-cinema.cocolog-nifty.com/blog/2017/10/dangerous-days-.html

『ブレードランナー2049』オフィシャルサイト

http://www.bladerunner2049.jp/

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2017-10-26

タイトルデザイン_55 Richie Adams『バリー・シール/アメリカをはめた男(American Made)』ダグ・リーマン監督、トム・クルーズ

注・内容、台詞に触れています。
バリー・シール/アメリカをはめた男
American Made

監督 : ダグ・リーマン
出演 : トム・クルーズ
ドーナル・グリーソン
サラ・ライト・オルセン
、他

物語・民間航空会社のパイロットでトップクラスの操縦技術を持つバリー・シール(トム・クルーズ)は、CIAにスカウトされる。偵察機のパイロットとなった彼は極秘作戦の過程で麻薬組織と接触し、麻薬の運び屋としても才能を発揮する。政府の命令に従う一方で、違法な密輸ビジネスで荒稼ぎするバリーだったが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Am

Memo1
陽気にトンデモ話をヒョイヒョイとこなしていく姿はスターオーラ全開、まさにトム・クルーズ磐石。
(昔、関西で流れてた某引越し会社CM)「ホンマかいなー、そうかいなー」を歌い出したくなるほどキテレツな話が実は実話。
「決して、機内は空っぽで空気を運んだりはしませんよ〜」とばかりに行きは機関銃などの武器(雇い主・CIA)、帰りは麻薬(雇い主・メデジン・カルテル)とある意味ビジネスとしては大正解だけれど、やってることはメチャクチャ。
『アルゴ』(こちらも偽映画撮影を偽ってイランから大使館員を脱出させる実話)にせよ本作『バリー・シール』にせよ、1970年代~1980年代中盤ぐらいが、今なら一瞬でバレる嘘が通ってしまう、ぎりぎりの年代だったのだなぁ、と思う。
↑そしてネタの宝庫年代なのかも。
(それにしても嘘もユルい→CIAを反対に読んだAICという社名が…オイオイ 笑)
CIA側の依頼主シェイファー。
どーなる?ドーナル・グリーソンと思ってみていると、やはり後半になるにしたがって(『エクス・マキナ』や『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』の時のように)「エッ?!どーなる?」状態に。
しかし、今回はイラン・コントラ疑惑事件の絡みもあり、全ての作戦を中止に。
そしてバリーシールにひとこと。
「シェイファー?誰のことだ」
FBIが資金流入調査をしている際、あまりにも莫大なお金がアーカンソー州のミーナという人口5000人の小さな町に流れていることが判明。
調べにいくと、あちらこちらに銀行や不動産会社、はては高級車が何台も走っている。
これをきっかけに(他にもいろいろほころび始め)逮捕へ。
州警察DEA(米国麻薬取締局)とFBI(米国連邦捜査局)とATF(爆発物取締局)が一斉に現れて「で、どこが逮捕するの?」状態のシーンは笑った。
そして捕まったあとの州司法局で。
もう絶対に許せないといきり立つ長官に電話。
バリーシールが部屋に通される前に廊下で。
「いやぁー、本当に迷惑かけたねぇー」「お詫びに車でも」
笑い飛ばすFBIや州警察の面々。
で、部屋から出てきて手錠を外されて。
結果、あっさりと無罪放免。
「車を損したな」
続いて、この台詞(ボイスオーバーで)
今度の雇い主はホワイトハウスだ
妻子を安全な場所に逃し、モーテルからモーテルへと、逃走しつつビデオテープに起こった出来事を時系列にセルフ録画していくバリーシール。
いつJB(義理の弟)と同じこと(麻薬カルテルによる暗殺)が起こるかわからない精神状態で、まわりに人が入れば避けてもらって車のキーを回す。
ドキドキ、ドキドキしながら回す。
近づく人影。
(カルテルからの魔の手のようにもみえるが、もしかすると今でもなかったことになっている事件だし都合が悪い、その筋の人たちかもしれない。その実はわからないような銃声の音)
ダグ・リーマン監督、以前に『フェアゲーム』も撮っているので、本作含めCIAネタ&アメリカ大統領裏面史をエンターテイメントの表カバーに包んだ形で通して描きたかったのかもしれない?

Memo2
撮影監督が『シティ・オブ・ゴッド』や『ナイロビの蜂』のセザール・シャローン
ジャングルの緑赤茶けた土の色を、ややハイキー気味に撮った画面はこの人ならではの本編とのマッチ具合。
タイトルデザイナー > Richie Adams
(River Road Creative名義はクレジットされていませんでした)
4:3 ビデオ画面のチラツキノイズにトラッキングずれを、わざわざ施した80年代的エンドクレジット。

『バリー・シール/アメリカをはめた男』公式サイト
http://barry-seal.jp/

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2017-10-21

『アトミック・ブロンド(Atomic Blonde)』デヴィッド・リーチ監督、シャーリーズ・セロン、ジェームズ・マカヴォイ、ジョン・グッドマン、ソフィア・ブテラ、他

注・内容、ラストに触れています。
アトミック・ブロンド
Atomic Blonde

監督 : デヴィッド・リーチ
出演 : シャーリーズ・セロン
ジェームズ・マカヴォイ
エディ・マーサン
ジョン・グッドマン
トビー・ジョーンズ
ジェームズ・フォークナー
ソフィア・ブテラ
ビル・スカルスガルド
サム・ハーグレイブ
ティル・シュヴァイガ、他

物語・イギリスの情報機関、MI6ですご腕のスパイとしてその名をとどろかすロレーン・ブロートン(シャーリーズ・セロン)に、新たな指令が下される。それは、何者かに奪われた最高機密クラスのリストを取り戻すというもの。ベルリンを訪れたロレーンを待ち受けていたのは、世界各国のスパイだった。すさまじい争奪戦の中、ロレーンは超人的な戦闘能力を発揮しながら立ちはだかる敵を倒し…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

At_blonde

Memo1
彩度を落としたブルー系レンズフィルタートーンの画面がシャーリーズ・セロンのガラスのような透明度のあるブルーアイズにピッタリ。
もちろんと変幻自在なコート着こなしがカッコイイ。
さらには(足元注目の)靴映画でもあります。
そして、このヒール時折、武器にもなる。
KGB(旧ソ連) CIA(アメリカ) MI6(イギリス) シュタージ(東ドイツ) DGSE(フランス)と万国スパイ博覧会。
発端はMI6のスパイ、ガスコインの死。
二重スパイ、サッチェルのあぶり出し。
そしてスパイが記録されたリストの争奪。
例によって「ジョン・グッドマンの出る映画は良い映画」という格言は本作でも生きていてCIA主任カーツフェルドを悠々と演じている。
ラストへのどんでんどんでん返し。
MI6の事情聴取の部屋。
全て、証言し終わったロレーンがMI6の上司にパシッとひとこと。
「決めないと」
「女王陛下に会う時のドレスを」
続いてのシーン。
黒いドレスにヘアスタイルも変えたロレーン。
KGB側だった!?と思わせつつのKGBスパイのボスらを抹殺、リスト奪還。
(きっちりとMI6死体片付け班がホテルのボーイなどに扮して廊下で待機していて、東ベルリン脱出の際の全員傘をさして狙撃からのがれる方策といい、このチーム「いい仕事してまっせー」)
ラストはさらに反転してロレーン、実はCIAだった。
事情聴取中につぶやいた言葉をきっちり聞いていたカーツフェルド。
「誰がコックサッカー(クソ野郎)って?」
ジェームズ・マカヴォイが『スピリット』ほどではないにしろ本作でもカメレオンぶり(と、いうか「マカヴォイが出れば、その時点でいろいろありそう」という格言もあるあるなので最初からMI6ではないなーと穿った目で見てたら、やっぱり!でした)←とはいえ、散々翻弄していたようで結果的には二重スパイ・サッチェルに仕立て上げられる末路ですが…
パスポート、その他調達のための窓口が「時計屋」というのが、スパイ映画らしく、店の雰囲気や客とのやり取りなどしびれた。
オープニングの「ブルー・マンデー」KGBに捕まった若者たちが持っていたスケボー、そしてラジカセを「西側のゴミ」とばかりに踏みつぶした、その時かかっているネーナ「ロックバルーンは99」エンドタイトル、ボウイ&クイーン「アンダー・プレッシャー」などサントラ(楽曲)がそのままドラマを引っ張ってゆく構成。
(楽曲リストへのリンクは後述)
参考→昨年(2016年)公開された1980年代、社会主義政権下の東ドイツで巻き起こった「ブレイクダンス・ブーム」を題材に描いた映画『ブレイク・ビーターズ』
https://www.youtube.com/watch?v=0q2CdtW5wJI
KGBスパイに尾行されるロレーンが逃げこみ、戦いの場となる東ベルリン、映画館Kino international(タルコフスキー監督『ストーカー』を上映している←ちょうどキャッチーなあのシーンが流れている)
映画的引用として「スクリーンの裏側での戦い」は幾度となく見てきたシーン。
フィルム イン フィルムサイトより、そのシーン画像
http://www.filmsinfilms.com/atomic-blonde/
さらに東ベルリンからの東ドイツ・スタージュのスパイグラスを連れての脱出シークエンス。
階段踊り場から廊下までの長い超至近戦をワンカット?で一気に見せる。
続くカーチェイスシーンと、バリエーションが多く素晴らしい身体性で魅せたシャーリーズ・セロンの独壇場映画だ。

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Memo2
Main Title Design → Ivar Edding
ステンシル系フォントにグラフィティアート・スプレー処理された時代設定に合わせたデザイン。
エンドタイトルの古いコンピュータ(ブラウン管タイプ)にチラツキも再現して映しだされたクレジットも秀逸。
サントラ(楽曲)リスト
(英語サイトですが、どのシーンに使用されたかのメモがあるものもあり)
下記、リストは予告編のみに使用されたものも含めたもの。
Songs and music featured in Atomic Blonde
https://www.tunefind.com/movie/atomic-blonde-2017

映画「アトミック・ブロンド」公式サイト
http://atomic-blonde.jp/


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2017-10-19

『猿の惑星: 聖戦記(War for the Planet of the Apes)』マット・リーヴス監督、アンディ・サーキス、ウディ・ハレルソン、スティーヴ・ザーン、アミア・ミラー、他

猿の惑星 : 聖戦記
War for the Planet of the Apes

監督 : マット・リーヴス
出演 : アンディ・サーキス
ウディ・ハレルソン
スティーヴ・ザーン
カリン・コノヴァル
アミア・ミラー、他

物語・猿と人類の全面戦争が始まってから2年が経ち、シーザー(アンディ・サーキス)が率いる猿の群れは、森の奥深くのとりでに姿を隠していた。ある日、奇襲によってシーザーの妻と息子の命が奪われる。シーザーは人類の軍隊のリーダーである大佐(ウディ・ハレルソン)に復讐するため、オランウータンのモーリス(カリン・コノヴァル)らと共に旅立つ。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

War

Memo1
「目は心の窓」のことわざ通りシーザーを演じたアンディー・サーキスの眼の力がCGさえも引っ張っていく素晴らしさ。
(普通にアカデミー賞、ノミネートされないかなぁ)
1968年版への目配せも多々。
(コーネリアスや途中、出会って連れていくこととなる少女の名前ノヴァ、言葉を話せなくなる理由など)
スティーヴ・ザーンによるバッドエイプ。
全体に悲劇性が漂う重いトーンの本編でのコメディリリーフ(←立ち位置ジャージュービンクス説がいくつか 笑)
あるシーンで映画版『トワイライトゾーン』4話、機上のグレムリンよりも目の玉飛び出させて驚かせてくれたジョン・リスゴーなみにビックリ顔をするシーンがあるのだが、これってシンバルでシャンシャンさせて動く猿のオモチャのあの表情そのもの(一瞬、止まるのも可笑しい)←先に見ていた知人が新キャラで坂田利夫師匠が出てるでー(関西弁)って言ってて、もはや、そうとしか見えなくなってしまった 笑
"人間動物園"へ案内することになったバッドエイプが帽子にダウンベストで現れるのは笑った(これも1968年版『猿の惑星』の服を着た猿つながりかも?ALZ-113の影響で体毛を失ったとされていて、それ故寒さへの耐性がなくなっているため服を着用?)
ウディ・ハレルソンの"頭が晴れるぞー"とばかりにスキンヘッドをノーミラーで剃りながら見下ろし現れる姿はまさに。
指摘されているとおり「地獄の黙示録」カーツ大佐。
トンネル内に残された文字→「猿の黙示録(APE-OCALYPSE NOW)」
そして"人間動物園"に収容されたシーザーたちの『大脱走』(トンネルは掘らないけれど)
やっぱり脱獄ものは面白い。(子どもたちの電線伝わり脱出とか猿ならではの軽快なアイデア)
オラウータンのモーリスも3作全てに登場している。
(オリジナル版で政治家や行政を司っていたのがオラウータンだったことと大いに関係ありそう)←シーザーの死を看とったのも伝承者として次作(も、あるらしい)登場の可能性大。
とにもかくにも1作目と本作をまとめあげたマット・リーヴス監督の手腕はスゴイ。リブートでありつつオリジナルへの繋がりを残す余白も素晴らしい。

Memo2
タイトルデザイン
前2作のあらすじを伝えながら、それぞれのサブタイトル(赤い文字で)を浮かび上がらせるシンプルでスマートな手法。
Main Title Design > Elastic
End Title > SCARLET LETTERS

映画『猿の惑星:聖戦記』オフィシャルサイト

http://www.foxmovies.jp/saruwaku-g/

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2017-10-17

『マインドハンター(Mindhunter)』デヴィッド・フィンチャー監督、他 / ジョナサン・グロフ、ホルト・マッキャラニー、アナ・トーヴ、ハンナ・グロス、他

注・内容、ラスト、使用楽曲などに触れています。
マインドハンター
Mindhunter

原作・制作 : ジョー・ペンホール
監督 : デヴィッド・フィンチャー、他
出演 : ジョナサン・グロフ
ホルト・マッキャラニー
アナ・トーヴ
コッター・スミス
ハンナ・グロス、他

物語・1970年代後半、殺人犯の心理を研究して犯罪科学の幅を広げようとするFBI捜査官2人。研究を進めるうち、あまりにリアルな怪物に危ういほど近づいてゆく。(物語項、公式サイトより抜粋)

Mind_h

Memo1
シーズン1全話、見た。
傑作!
映画ともドラマとも違った、この味わい。
次回へ続くという引っ張り方ではないにもかかわらずやめられない。
この感触はなんだろう?しいて言えばじっくり読む小説の味わい。
エピソード毎の時間が通常ドラマより不規則なのも章立て(チャプター)の感覚。
決して1話完結ではないにも関わらずエンドクレジット(特に有名な楽曲を使っているエピソード)がクロールしている時の締めくくり感も不思議だ。
フィンチャー監督は(1,2,9,10話)の4エピソードを監督しているが、他の監督も全エピソードを通して、そのトーン&マナーにブレはない。
『特捜部Q』などの"変わり者たちだし、何の役にたつかわからない部署だから始まりは地下の窓のない部屋からスタート"する話は大好物なので、この点もまたよいなーと思ったポイント。
ウェンディ・カー博士のアナ・トーヴはキャスティング段階から「おぉっ!」ドラマ『FRINGE/フリンジ』のヒロイン役ではないですか!と期待していた女優(『フリンジ』もFBI捜査官だけれど、J・J・エイブラムスドラマということでパラレルワールドSF)
本作は研究一筋といった趣の博士役。
ホールデンの恋人デビーを演じたハンナ・グロスがよい。
フィンチャー監督は『ソーシャル・ネットワーク』ルーニー・マーラ『ゴーンガール』ロザムンド・パイクと女優を他作品とは一線を画す撮り方で魅力的に(時に発掘して)映す名手と常々思っていたけれど、本作も。
プロファイリング手法が確立されていない時代、それを構築していく段階のドラマ。
途中から"ミイラ取りがミイラになる如き"自身がシリアルキラー(特に最初から登場している殺人鬼エド・ケンパー)と転写同化していくような感じになる。
目つきもおかしい。
日常生活までプロファイリング化して人の行動の先を読み過ぎ空回り。
デビーとの仲もギクシャクしてくる。
(確かにエピソード10でデビーが言うように最初出会ったときは好奇心に満ちた姿で、これからやろうとすることを語っていたホールデンに惹かれていたのだから)
そして、ラスト。
自殺を図ったケンパーの入院している病院。
まさに恐怖をつきつけられる(それは襲われた瞬間の恐怖よりも、あることに気づいた恐怖だ)
心の闇の奥底は、まさに誰にも(当の殺人鬼にも)「わからない」のだと…。
メインタイトル前に何回かあるカンザス州の謎の男の事(それに対しての細かいフリ→ふと、目にとまる現場写真の手首のロープの結び方→船舶関係?→そのカンザス州の男が紐を結んでいるシーン)などは全て続きに?シーズン2?

Memo2
タイトルデザイン
MAIN TITLE DESIGNED BY KELLERHOUSE,INC.
END TITLES BY SCARLET LETTERS
Neil Kellerhouse >「ソーシャル・ネットワーク」「ドラゴン・タトゥーの女」「ゴーン・ガール」のキービジュアルとなる美しく洗練されたポスター類も(他に「レヴェナント」やクライテリオン版「ふたりのベロニカ」パッケージなど多数)
デヴィッド・フィンチャー監督ファンサイト
The Fincher Analyst
https://thefincheranalyst.com/
Adobe Premiere Proによる編集を行っている動画。
(初回アクセス時USA側を選択/現時点ではAdobe USAサイトのみ公開されています)
The minds behind David Fincher's Mindhunter.
https://www.adobe.com/creativecloud/video/customer-stories.html
デヴィッド・ボウイからトーキングヘッズ、ブームタウン・ラッツ、レッド・ツェッペリンまで使用されている楽曲も素晴らしい!
ソングリスト(Songs by Episode)
https://www.tunefind.com/show/mindhunter/season-1
なんとバンド名が「地球の静止する日」由来で名付けられた、クラトゥ(Klaatu)のこの曲が出てきてビックリ!(ドラマ設定年の曲)
エピソード4のラスト
行動科学課の3人が所長に呼ばれ、何か嫌ごと言われるのかと思いきや「予算がついた」「もはや私の手を離れた。監査も厳しくなるぞ」
乗り込んだエレベーターの中。
嬉しさを隠しきれないで、微妙に笑みがもれる3人の姿のバックに流れ、そしてエンドクレジットへ。
Calling Occupants Of Interplanetary Craft
https://www.youtube.com/watch?v=9URM_5R-vWk

マインドハンター | Netflix公式サイト
https://www.netflix.com/jp/title/80114855

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『デンジャラス・デイズ : メイキング・オブ・ブレードランナー(Dangerous Days: Making Blade Runner)』と粗編集版(ワークプリント)を含む5つの『ブレードランナー』

注・デッカードはレプリカントなのか?の問いに答えるリドリー・スコット監督のインタビュー部分などに触れています。

デンジャラス・デイズ
メイキング・オブ・ブレードランナー
Dangerous Days: Making Blade Runner

2007年「ファイナル・カット」公開に合わせて発売された『ブレードランナー』25周年記念版BOX(DVD)に入っていた(現在も収録されているセットあり)3時間34分に及ぶIMDbでも高評価なメイキング作品の傑作!

Br

Memo1
BOXに収録された5つの『ブレードランナー
『粗編集版(ワークプリント)』
『アメリカ劇場公開版』(1982)
『インターナショナル・バージョン(完全版)』(1982)
『ディレクターズ・カット(最終版)』(1992)
『ファイナル・カット』(2007)
『粗編集版(ワークプリント)』(110min)はエンドクレジットなし。
デッカードとレイチェルがエレベーターに乗ってドアが閉まると共にTHE ENDの文字。上映が終わった瞬間、リドリー・スコット監督は「素晴らしい」と声を上げたが周囲は「エッ?!…」といった戸惑いの様相だったと語っている。
しかし、一番最初のこのバージョンの時点で既にのちの「ファイナル・カット」となる完成形はできていたのだ。
その後、追加撮影や新たに加えられることとなるナレーション(ハリソン・フォードによるボイスオーバー)収録なども見ることができる。
以下、いくつかのインタビュー部分より抜粋。
「10万ドルのネオンを作る予定だった。結局彼らは『ワン・フロム・ザ・ハート』のネオンを譲ってもらい撮影した。"お下がり"に見えないように工夫してね」
デッカードはレプリカントなのか?の問いにリドリー・スコット監督が。
ラストに触れて。
「ユニコーンの折り紙だ」
「こうして手に取る」
「これで誰もが気づくだろう?」
彼の脳に移植された情報を知る者がいることに
ハリソン・フォード演じるデッカード衣装について。
「赤っぽいハリスツイードで下襟が小さいヘリンボーンジャケットだ」
「あのネクタイは今でも持っている」
「さほど奇抜ではないんだ。それが衣装のポイントだった」
「彼がひとつだけ出した条件は帽子をかぶらないことだった」
「彼は帽子を見ると機嫌を損ねた」
「前回の映画で帽子をかぶりすぎたから今回は帽子がないと助かると」
(↑前回の映画 笑)
他にも特典ディスクにセット内を歩きながらパーキングメーターのことを解説するシド・ミードなどが記録された初期のメイキング映像などもあり。
先日、地上波(朝日放送)で『ブレードランナー』が放送されました。流れたのはいわゆる最初に映画館でかかった『インターナショナル版』ボイスオーバー付き、ハッピーエンド、鳩が舞う空は青いバージョンでした。

Br

Memo2
制作会社名義のThe Ladd Companyのロゴ
『ブレードランナー(Blade Runner)』(1982)リサーチ用試写に使用された『粗編集版(ワークプリント)』ではおなじみの黒バックにグリーンのものではなく白地のものが使用されていた。
http://logos.wikia.com/wiki/The_Ladd_Company
『ブレードランナー』タイトルデザイン
Pacific Title and Art Studio
(動画)
http://www.artofthetitle.com/title/blade-runner/
(タイトルカード写真)
http://annyas.com/screenshots/updates/blade-runner-1982-ridley-scott/
劇場公開版、ファイナル・カットなど各バージョンによるシークエンス違い(エンディング、エフェクトなど)
Which "Blade Runner" Cut Should I Watch? A Visual Explainer.
https://www.youtube.com/watch?v=n70PtKIhitA

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2017-10-12

【午前十時の映画祭】黒澤明監督『野良犬(STRAY DOG)』『天国と地獄(HIGH AND LOW)』

【午前十時の映画祭】
黒澤明監督、2作品が4K上映!

野良犬
STRAY DOG
天国と地獄
HIGH AND LOW

Art_of_kurosawa

Memo
上記画像は1991年11月『七人の侍』完全オリジナル版ニュープリント公開記念の際のパンフレットより表紙(部分拡大)と2作品の紹介ページ。
『野良犬』下部分はレーザーディスク発売時のチラシ一部。
『天国と地獄』のロケ地を巡る記事(サイト)で圧倒的な質と量(各シーンと現在の場所写真多数あり。
未見の方は鑑賞後に。
サイト別館には本編に登場する自動車図鑑や電車図鑑も)
荻窪東宝『聖地巡礼・天国と地獄』あのロケ場所は何処?
http://ogikubo-toho.com/seititenjigo.html
『天国と地獄』に登場する、あの鞄。
「吉田カバン」創業者・吉田吉蔵氏による特注・革のブリーフケース。
(制作されたサンプルのひとつ/直営グランフロント大阪店オープン時に展示された際のもの)

Ak_hl

黒澤明監督作品の書家による題字。
『蜘蛛巣城』金子鴎亭『天国と地獄』西川寧『乱』から『まあだだよ』今井凌雪 (エンドクレジット表記や記述資料など確認できているもののみ)
なお広告宣伝についての題字などはデザイナーの益川進 (全て敬称略)
スコープサイズについて
「僕は『天国と地獄』が昔から好きで、人の配置や動かし方が芸術的だと思っているんです。今回はそういったことが狙える作品の気がしました」(是枝裕和監督『三度目の殺人』パンフレット撮影/瀧本幹也氏インタビューより)
今回の4K上映でわかったことは、ほんの少しの人物の動きにまで演出がなされていること。劇場や名画座、ディスクなどで何回も見ているにもかかわらず、はっとさせられる。
『野良犬』約9分間、70カットに及ぶ村上刑事(三船敏郎)が盗まれたピストルを探し求めて、東京の盛り場を歩きまわるシーンを撮影したのはB班を担当していた本多猪四郎監督
ロケーションの見事さは初見の際に圧倒されたが、今回も引きこまれてしまう熱度は変わらない。

午前十時の映画祭 8
http://asa10.eiga.com/2017/cinema/

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2017-09-29

タイトルデザイン_54 Plucky『ドリーム(Hidden Figures)』セオドア・メルフィ監督、タラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、ジャネール・モネイ、ケヴィン・コスナー、他

注・内容、台詞に触れています。
ドリーム
Hidden Figures

監督 : セオドア・メルフィ
出演 : タラジ・P・ヘンソン
オクタヴィア・スペンサー
ジャネール・モネイ
ケヴィン・コスナー
キルステン・ダンスト
マハーシャラ・アリ、他

物語・1960年代の初め、ソ連との宇宙開発競争で遅れを取っていたアメリカは、国家の威信をかけて有人宇宙飛行計画に乗り出す。NASAのキャサリン・G・ジョンソン(タラジ・P・ヘンソン)、ドロシー・ヴォーン(オクタヴィア・スペンサー)、メアリー・ジャクソン(ジャネール・モネイ)は、差別や偏見と闘いながら、宇宙飛行士ジョン・グレンの地球周回軌道飛行を成功させるため奔走する。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Dream

Memo1
冒頭からの語り口が素晴らしくよい。
そして、全体から醸しだされるトーンが上品だ。
トイレやバスの座席、学校(白人専用という壁)、図書館など黒人差別がはっきりと行われていた時代。
ロケット軌道計算(チェックのための再計算も)などを行う非常に重要な仕事、計算手。にもかかわらず、黒人で女性というだけで別棟の窓もない部屋に押し込められて働くドロシーたち。
そんな環境の中にあっても深刻にならず持ち前の前向きなエネルギーで突破していく聡明なる女性たち姿に元気づけられる。
そして、本編全体にある"誰かが支えとなって応援している(してくれる)"空気。
押し付けがましいポジティブさではなく、まさに観終えたときに、よい心根と余韻を残してくれる映画だ。
ケビン・コスナー演じる本部長ハリソン。
マーキュリー計画を成功させるためへの静かなる決意を感じる。
そこには人種差別もない。必要なのは安全に確実に宇宙飛行士を送り出し帰還させること。職務のためには壁もない。
いい役だ。
ハリソンが黒人専用とかかれた化粧室の看板を壊す件(くだり)は、ちょっと胸熱なシーン。
『ムーンライト』でも素晴らしかったマハーシャラ・アリ
本作でも包みこむような優しさに溢れている。
夫に先立たれて女手ひとりで子供3人を育てていたキャサリンへの誠実な対応(初対面の時の非礼さの謝り方)そして、プロポーズシーン。
ここにも"支えとなって応援してくれる"人がいる。
当時、導入しようとしていたIBMコンピュータ。
あまりに大きすぎて設置部屋のドアから入らないシーンや実際の社員が動かし方に戸惑っている場面が。
そんな中、管理職をめざすも直接の管轄上司であるミッチェル(キルスティン・ダンスト)には、すげなく却下されていたドロシーが独学でFORTRANを学び、こっそりと動かしてしまう。その上、別棟“西計算グループ”の女性たちにもプログラミングを伝授して準備を整えておく先見性。
『ライトスタッフ』でジョン・グレンを演じていたのはエド・ハリス。
本作はちょっと若い感じだけれど、いかにも海兵隊から選ばれたパイロットで、しかもものすごく陽気、マーキュリー計画記者会見のために飛行場に降り立った際もNASAのスタッフたちとは少し離された位置にいたキャサリンたちに別け隔てなく挨拶していくナイスガイ。
(そのフリもあってのクライマックスのフレンドシップ7シークエンス)
女性は入れないことになっているブリーフィングにハリソンの計らいで参加するキャサリン。
そこでの素早いキャサリンの着陸地点再計算。
ぽかりとしている男性陣。
ジョン・グレンの台詞。
I like her numbers.
また打ちあげ間際での計算ミスが見つかった際も。
Let’s get the girl to check the numbers.
ハリソンの台詞
You think we can get to the moon?
それに対してキャサリン。
We’re already there, sir.

Hidden_figures

Memo2
MAIN ON END TITLES デザインはPlucky
(下記サイト > PROJECTS > MAIN TITLE選択/エンドタイトル動画あり。スマホの場合はPROJECTSで左にスライド)
http://www.plucky.la/projects/
キャサリンが800m離れた別棟へトイレのために走るバックに流れるのがこの曲。
ファレル・ウィリアムスの声が、また映画のトーンにピッタリ!
Pharrell Williams - Runnin'
(公式VEVO動画)
https://www.youtube.com/watch?v=9jXQBMNe01c
Kodak 35mmフィルム撮影・記事
Hidden Figures reunites Kodak and NASA
元々、記録フィルムなどNASAとの関わりにおいて40年の歴史を持つKodak。
まさに記事タイトル通り"NASAとの再会"となった。
撮影やカラーパレットについて興味深い内容。
https://www.kodak.com/Kodak/motion/blog/blog_post/?contentId=4295001217

『ドリーム』オフィシャルサイト
http://www.foxmovies-jp.com/dreammovie/

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2017-09-25

"背中あわせのランデブー" 吉田拓郎 - 松本隆 - 太田裕美。他

背中あわせのランデブー
A面吉田拓郎作曲、B面太田裕美による作曲(作詞も)。

Ohta_1978

『背中合わせのランデブー』に収録されている「失恋魔術師」はシングルとは別アレンジで、これが続く「花吹雪」「」(この3曲が松本隆作詞)への流れにピッタリ。この3曲、拓郎節と言われる独特の譜割りとコード進行全開で名曲だと思う。
とくに「花吹雪」は2度めぐる桜の季節。
恋人と友だちのさかいめを切なく綴った松本隆の詞の世界全開の名作。
画像はアルバム発売時の宣伝チラシ。
(チラシの反対側は当時、太田裕美とよくライヴ共演していた森田公一とトップギャラン)

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『レコードコレクターズ』2017年10月号
特集「作詞家・松本隆の世界
名作100選のきらめくような作品群。
そして執筆者が選ぶ101番目のオススメ曲に吉田拓郎「外は白い雪の夜」と「英雄」が。
(選者は違うのに同一アルバムから)
以前にも書いたけれど「外は白い雪の夜」は最初「そして誰もいなくなった」というタイトルだった。(同曲収録の「ローリング30」レコーディング中の箱根ロックウェルスタジオからの深夜ラジオ「セイヤング」中継内で生演奏)
『レコードコレクターズ』表紙写真の構成が絶妙。中央タイトルを挟んで、それぞれが対になっている。太田裕美と松田聖子。アグネス・チャンと斉藤由貴。鈴木茂とYMO、大滝詠一とナイアガラ・トライアングルなど。

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