2017-04-23

"Are You Lonesome Tonight"『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件(A Brighter Summer Day)』エドワード・ヤン監督、チャン・チェン、リサ・ヤン、他

注・内容、台詞、ラストシーンに触れています。
牯嶺街少年殺人事件
(クーリンチェ少年殺人事件)
A Brighter Summer Day

監督 : エドワード・ヤン
出演 : チャン・チェン
リサ・ヤン、リン・ホンミン
ワン・チーザン、
チャン・ホンユー、他

物語・1960年代の台湾・台北。夜間高校に通うシャオスー : 小四(チャン・チェン)は、不良グループ・小公園のワンマオ : 小猫王 : リトルプレスリー(ワン・チーザン)たちといつもつるんでいた。ある日、シャオスーは小公園のリーダーのハニー(リン・ホンミン)と付き合っている少女・シャオミン : 小明(リサ・ヤン)と出会う。ハニーは、小公園と対立するグループ・217のボスとシャオミンをめぐって衝突し、相手を殺して姿を消していた。シャオスーはシャオミンにほのかな思いを抱いていたが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Absd

Memo1
とにかくスマートである。
湿気をおびたり泥臭さが際立ったりもせず、一定のリズムは壊れることなく、途切れることなく最後まで描かれる。
黒澤明監督が『デルス・ウザーラ』撮影に入る際の「私の監督方針大要」に書かれていた
「カメラはカメラを意識させてはいけない(役者が止まればカメラも止まる)」(←正確ではありませんが大意はこんな感じ)を思いだした。
見ている間、カメラがケレン味ある動きを見せたり、演者が熱が入りすぎてオーバーアクト気味になることもなく、かといって冷徹な視線でもない(むしろ監督のまなざしの温かみすら感じる)
この4時間版はその監督のまなざしが全編に降り注いでいる気がする。
それはラスト、シャオスーが捕まり事情を聞かれる警察署でのシャオマーを写したシーンにいたるまで…
「彼だけが唯一の友だちだったのに」
撮影スタジオでシャオスーを見つけた映画監督
「オーディションを受けた、彼女、連絡がとれないんだ」
「彼女の自然な演技がよかった」
「自然?」
「監督なのに何も見ていない」
そこに残ったのは映画冒頭からずっとシャオスーの行先を(行く末を、未来を)照らし続けていた懐中電灯が。
自転車置き場
(この自転車置き場から角を曲がってお店などが並ぶ広場へ向かうところの動線が最初の方にもあり、素晴らしくよい。また、他にも父親とシャオスー、母親と娘などゆっくり道を歩く場面は繰り返し出てくる←これがまたよい)
シャオマーをまちぶせているところをシャオリンに見つかり立ち去ろうとするシャオスー。
声をかけ追いかけてくるシャオリン
言い合いになるふたり。
「私を変えたいのね?」
「あなたも他の人たちと一緒なのね」
「この社会と同じ。変わらないのよ」
そして…
今回、再見して発見したのだが、刺された直後シャオミンの左腕がシャオスーの首に(まるで)抱きつくように回っていて、その姿が一瞬抱擁しているかのようにさえ見えてしまった。
それゆえの最初の出会い、パーラーでのにこにこしながらお互いを見つめ合う姿などが浮かんできて、なんともいたたまれない気持ちでいっぱいになった。
バストショットからロングになったタイミングでバイクが横切っていく。
「起きてよ」「こんなことで死なないだろ」
続いて自転車が横切り、次第に周囲の人間が気がつき始める。
(このシーンの前に満月が写されていて、その時間帯の明るさも考えぬかれている。バックの屋台の並ぶ木と木の間にかすかに見える宵闇ブルーの美しいこと←これは今回のデジタルリマスター・バージョンで再発見)
隣に住む本省人に対しての台詞。
「8年間、日本と戦ってきて、今では日本家屋に住み日本の歌がとなりから聞こえてくる」
(この辺の本省人と外省人についての経緯は予備知識として知った上で見るのがベスト。今回は3時間版を見ていたので理解しているが最初に見たときは少しわかりにくかった)
印象的な2曲
・英語タイトルの元となったプレスリーによる"Are You Lonesome Tonight"(邦題 : 今夜は一人かい?)
映画では使われていないが、観終えてから聞くと途中に入る台詞部分が沁みる。
・フランキー・アヴァロン(Frankie Avalon)の1959年に全米1位 "Why"
これまたパーラーでのコンサートでキャラ立ち素晴らしきワンマオの台に乗って歌うハイトーンヴォイス。(またワンマオ、いい奴なんだなぁ)

Abrightersummerday_2

Memo2
初公開時と1998年リバイバル公開時のチラシ。
共に188分版。
上映館はそれぞれ今は閉館してしまったシネマ・ヴェリテ、シネマアルゴ梅田。
1998年リバイバル時のチラシ解説面には、わざわざ"ビデオ、LDリリース版は4時間バージョンでなされているため、3時間版はこの上映でしかご覧になれません"の記載も。
(188分版の再公開はできないものなのだろうか?)
3時間版と4時間版。
シャオスーをとりまく家族の描写、シャオミンからうける印象の違いが最も大きいと記憶。特にシャオミンについては今回再見して全く違った見方をしていたのかもと思われるほど。(いわゆるファム・ファタール性。その道しか選べなかったのか宿命的なものなのか…)
『牯嶺街少年殺人事件』ロケ地
(↑参考として個人サイトにつきリンク切れの場合あり)
http://www.gangm.net/taiwan/summerDay/index.html
映画評論家・川口敦子さんと川野正雄さんの対談形式によるシネマディスカッション。
(↑修復作業について、80年代台湾ニューウェーブについて、そして本編について。素晴らしい内容です)
Cinema discussion
http://lecerclerouge.jp/wp/category/cinema/cinemadisussion/
Criterioncollectionによる4Kレストアについて
ワークフロー動画 (修復後、小公園のパーラーから出て行くハニーの後ろ姿。左側に見える時計の文字盤が判別できる!また写さないことで際立つ医務室でのシャオミンとシャオスーの会話部分の壁!)
Restoration Spotlight: A BRIGHTER SUMMER DAY
https://www.youtube.com/watch?v=2AMSHs2adWk

『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』公式サイト
http://www.bitters.co.jp/abrightersummerday/


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2017-04-12

"こうして出逢ったのも、何かのご縁"『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦原作、湯浅政明監督、星野源、花澤香菜、他

注・内容、台詞、原作、ラストに触れています。
夜は短し歩けよ乙女

原作 : 森見登美彦
監督 : 湯浅政明
Voice Cast : 星野源
花澤香菜、神谷浩史
秋山竜次(ロバート)
中井和哉、甲斐田裕子
吉野裕行、新妻聖子
山路和弘、麦人、他

物語・クラブの後輩である“黒髪の乙女”に恋心を抱く“先輩”は、「なるべく彼女の目に留まる」略してナカメ作戦を実行する。春の先斗町に夏の古本市、秋の学園祭と彼女の姿を追い求めるが、季節はどんどん過ぎていくのに外堀を埋めるばかりで進展させられない。さらに彼は、仲間たちによる珍事件に巻き込まれ…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Yoru

Memo1
これが詭弁踊りだ!おともだちパンチだ!
赤玉パンチだ!李白三階建て電車だ!
偽電気ブランだ!プリンセス・ダルマだ!
韋駄天コタツだ!ジュンパイロだ!
(浅田飴もあるよ 笑)
もう、まさに湯浅政明監督ならではのミラクルアニメーション映画化。
93分超ハイテンション!
途中から湯浅ワールドが爆発してどうなることかと思っていたら見事な着地。
ご都合主義万歳!なむなむ!
(黒髪の乙女が探していた絵本『ラ・タ・タ・タム』も然るべき帰着点!!)
京都先斗町のバー。
還暦祝いにあつまっている人たち。
何やら神妙、しんみり。
樋口さんをしても盛り上がらず。
「もっと楽しませてほしいのぉ。わしら年寄りには時間がないんじゃ」
「時間がどんどん早くなる」
「お嬢さん、あなたの時計を見せて」
黒髪の乙女の時計をみる。
「おおっなんとゆっくりだ!」
「わしらのはこんなんじゃ」
カチカチカチカチ
「そんな、われわれにくらべたら」
さらに早くカチカチカチカチ(目盛りが干支)
「光陰矢のごとしです」
ここでの時間やりとり(後半、李白とも)があってーの、春夏秋冬が黒髪の乙女のひと晩に凝縮されていく時間逆転感覚の面白み。
(このあと詭弁踊りへと 笑)
原作における「第三章・御都合主義かく語りき」の学園祭パート。
おやおや?おやおやおやおやおや!?!?
パンツ総番長のお相手が…ち、違う?…(以下略)
と、思いきや、実に見事なミュージカルパートへ変貌を遂げ、続く冬の嵐吹きすさぶ風の中の風邪旋風"ぐにゃぐにゃワールド"へ突入していくブリッジ的役割も果たしている。
黒髪の乙女の声、花澤香菜さんピッタリではないですか!
(モノローグでもナレーションでも台詞でもない"口語体"ならぬ"森見体"を表現すると、こんな感じというイメージ通り)
そしていつぞやのTBSドラマで秒速1万語に近い早口で台詞を喋っていた星野源さんならではの先輩の声。パンツ総番長は実写化も可能なロバート秋山さん、そして(まさかのミュージカルパートがいきてくる)新妻聖子さん、『四畳半神話大系』で小津の声も演じた吉野裕行さんとVoice Castも鉄壁。
これは、もしや世に言う「デート」というものではありませんか?
ラストは原作と同じ、この台詞で幕を閉じる
(そして場所も同じ)
「こうして出逢ったのも、何かのご縁」
(パチパチパチパチ)

Memo2
来場者特典の「夜は短し歩けよ乙女 銀幕篇」作者もブログに書いているとおり"黒幕の悪辣な陰謀"←笑 で「先輩から乙女への手紙」「乙女から先輩への手紙」とそれぞれ期間を区切っての配布。うーむ…。
来場者特典(正々堂々と"その1"って記載されてる 笑) 銀幕編、本文7ページの可愛らしい小説の続き(こうなると"その2"が読みたくなって、まんまと製作委員会"ナカメの会"の「2回は見ろよ」の陰謀に…以下略)
『文藝・2011年夏号/特集・森見登美彦』
(6年前の河出書房新社の文芸誌『文藝』80ページにわたる大特集。『夜は短し歩けよ乙女』や『有頂天家族』についても、いろいろ語っていてオモチロイ)
「太陽の塔」などの小説のモデルになった明石氏(仮名)との対談。
明石 "突然森見君が押井守を知ってるかって言い出して(笑)「短編集のレーザーディスクとか一式持ってるから、今から俺の下宿に観に来るか」って"
森見 "それはね、高校の時には、誰とも押井守の話とかできなかったんですよ。〜"
明石 "たまたま『攻殻機動隊』が好きだっただけなんですけどね。後日森見君の家に泊まったら、押井守のレーザーディスクをかたっぱしから見せられた(笑)"

(P22より抜粋)
この時、まさか自身の原作『夜は短し歩けよ乙女』が『ゴースト・イン・ザ・シェル』と2017年4月7日・同日公開の日が来ようとは思ってもいなかったと思うのですが…
パンフレット。
星形・型抜きの傷み防止のためと思われる保護ペーパーが付いていた。
「THIS PAPER IS FOR SCRATCH PREVENTION,」
36ページ、インタビューや京都舞台案内、キャラクター設定・美術ボード、など。
そして、これは嬉しい!"パラレルで繋がる『夜は短し歩けよ乙女』と『四畳半神話大系』"と八つの用語解説ページ。

Yoruwa

Memo3
もうひとつの魅力、京都という舞台装置。
鴨川、先斗町、木屋町の南北3軸から始まっての"黒髪の乙女"夜間闊歩は下鴨神社へと続く糺の森を抜け、今出川通・京都大学を経て宝ヶ池へ北進、そしてまた出町柳へと帰りて再び(前述)京都大学北門前・進々堂へと着地。
(花灯路などの夜間ライトアップの時期に少し横道にそれてみると、それはそれは摩訶不思議なオモチロイ世界へと繋がっていくこともあるから、それはそれでまた楽し。そのあやしの雰囲気も本作は出ていて、さらに楽し。)
実写では『きょうのできごと a day on the planet』や『パッチギ!』『鴨川ホルモー』あたりは下鴨・鴨川デルタ付近が登場していて印象深い。
京都市メディア支援センターサイト> ロケ地をめぐる旅 > 作品から探す >
(京都で撮影された映画やドラマのロケ地。アニメーションについては記載なし)
http://kanko.city.kyoto.lg.jp/support/film/tourisms/past_film_list
エンドクレジットにずらりと出てくる本のタイトル。
(古書市のシーンで画面を埋め尽くす本、本、本)
パンフレットにエンドクレジットが記載されていて設定協力として全て判明(『夜は短し歩けよ乙女』もきっちり、こっそり入ってる 笑)
"夜は短し歩けよ乙女、食べたくなるよね阿闍梨餅"…と、歌を詠むように続く感じ。その阿闍梨餅サイト、現時点(2017年4月)では映画の場面が使われています。

『夜は短し歩けよ乙女』公式サイト
http://kurokaminootome.com/

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2017-04-08

"Unchained Melody"『未来よ こんにちは(Things to Come /L'avenir)』ミア・ハンセン=ラブ監督、イザベル・ユペール主演

未来よ こんにちは
Things to Come /L'avenir

監督 : ミア・ハンセン=ラブ
出演 : イザベル・ユペール
アンドレ・マルコン
ロマン・コリンカ
エディット・スコブ
サラ・ル・ピカール、他

物語・教師の夫と巣立っていった2人の子供を持ち、自身も高校で哲学を教えているナタリー(イザベル・ユペール)。高齢の母親を世話しながら、哲学書の執筆に忙しくしている状況で、夫が別に付き合っている女性がいたことがわかる。夫に彼女と生 活を共にすると告げられてあぜんとしていると、今度は母親が亡くなってしまい、さらには付き合いの長かった出版社からも契約を打ち切られる。バカンスシー ズン直前にひとりぼっちになってしまったナタリーは…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

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Memo1
イザベル・ユペール演じるナタリーがスタスタスタと前を向いて歩いて行く姿が、もうとにかくカッコイイ!この姿だけで原題のL'avenirを体現している。
そしてフィルム撮影による光のゆらめきのなんと美しいこと!
室内から見える外の風景。そして樹々のざわめき。
(大好きな)『あの夏の子供たち』の時にも感じたけれど、風がフィルムに定着されている。
いろいろなシーン
・ブルゴーニュの元夫の実家に荷物を取りにいったナタリー。
携帯の電波が届かず、外へ出て海岸をペタペタと裸足で歩く姿(痛っイタタタって感じが実にもう…)
・夫か、もしくは、その彼女によるものと思われる花瓶の花を「何、これ(怒)」みたいな感じでIKEA(?)のバッグにばさばさと投げ入れ、それをそのままゴミ箱に捨てる(勢いあまって指を怪我する)→思い直したようにバッグだけゴミ箱から取り出す。何が起ころうとも動じないようようにみえたナタリーが一瞬みせる八つ当たりシーンだが、すぐに冷静になる場面)
・ナタリーがひとりで観に行く映画が、ふとしたことで夫婦を演じるふたりの話を描いたキアロスタミ監督『トスカーナの贋作』(変な男につきまとわれて最後まで観られない…と、いうことはラストの"鐘の音が鳴るシーン"は見ていない?)
ドキッとする台詞
・母親の養護施設への入所シーン。
「いやな匂い」
「死の匂いがする」
(あまりにも救急隊や周囲へ迷惑がかかりすぎることから、仕方なく施設に入れてしまったナタリーがショック気味につぶやいた台詞)
・教師としての自分の考え。
「自分の頭で考える若者をつくること」
印象的な選曲
(それは場面を伴って)
・母親の葬儀のシーン
César Franck 
前奏曲、フーガと変奏曲 Prélude, Fugue et Variation
・子供たちからは"お気に入りの"とひやかされ、ナタリーは否定しているけれど、ほのかに"いいな"と思っている教え子ファビアンが暮らすアルプス。
迎えに来てくれた車の中で流れる
「いい曲ね」
「この車、これしか、かからなくて覚えてしまった」
Woody Guthrie   
My Daddy (Files A Ship In The Sky)
・ラスト。
クリスマスに集まった娘と孫、そして息子。
孫を抱き抱えているナタリーとダイニングルームを写しつつ、カメラがゆっくりと引いていく。柔らかな暖色の灯り。
(解き放たれた自由、ピッタリの締めくくり)
Fleetwoods
Unchained Melody
そのままエンドクレジットへ。
・そして予告編などでも使われていたシューベルトの歌曲
Dietrich Fischer-Dieskau 歌唱による
Franz Peter Schubert 
水の上で歌う Auf dem Wasser zu singen
https://www.youtube.com/watch?v=m-jwCVMLQj8

Memo2
『ふらんす 2017年4月号』(白水社) に対訳シナリオ掲載。
日仏対訳のシナリオ抜粋とともに紹介する、中条志穂さんによる『ふらんす』名物コーナー。目次をよく見たら"寝るまえ5分のパスカル『パンセ』入門"という連載も。
http://www.hakusuisha.co.jp/book/?book_no=285094
アリカム、ライカレンズ、35mmフィルムによる撮影。

Ttc2

Ttc

『未来よ こんにちは』公式サイト
http://crest-inter.co.jp/mirai/

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『レゴバットマン ザ・ムービー(The Lego Batman Movie)』クリス・マッケイ監督、ウィル・アーネット、ザック・ガリフィアナキス、マイケル・セラ、レイフ・ファインズ、他

レゴバットマン ザ・ムービー
The Lego Batman Movie

監督 : クリス・マッケイ
Voice Cast : ウィル・アーネット
ザック・ガリフィアナキス
マイケル・セラ
ロザリオ・ドーソン
レイフ・ファインズ、他

物語・町を守る孤独なヒーロー・バットマンのもとに、ロビンがやって来る。ところが、ロビンのあまりのお調子者ぶりに、二人は全く息が合わない。そんな中、ジョーカーが宇宙に閉じ込められていた悪者たちを脱走させ、世界の危機を救うべくバットマンとロビンは立ち上がるが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

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Memo1
素晴らしい!
まっとうなバットマン正編映画。
遡るバットマンヒストリー(や、それにまつわる小ネタ)を折り込みつつ、ブルースウェインの過去と(合せ鏡としての)ジョーカーとの対峙、そしてロビン、バットガール誕生までをも描く離れ業。
擬音も楽し。
"レゴで遊んでますよ〜"オーラ出しまくりの口で言う光線の音
「ピュ」「ピュピュ」
そして!そして!!クライマックスの割れるゴッサムシティをつなぎとめる最後の音が…
「カチッ」
(レゴでなければなしえない大団円)
笑ったオープニングロゴ紹介
"黒(Black)"
"恐怖に駆り立てる音楽"
「観客と映画会社を不安に落とし入れる」
"ロゴ"
"ワーナー・ブラザース"
「どうしてブラザースではないのか」
"DC"
「バットマンで儲けた会社」
最後に
"役に立ちそうな言葉"(←笑)
またエンドクレジット前には
"白(white)"
「白い画面で終わる映画はいい映画」
"回収される伏線の数々"(←笑)
悪役テンコ盛り
正統バットマンヴィラン総出演はもちろん
ジョーズ、ドラキュラ、半魚人
サウロンからヴォルデモート卿、キングコング
『マトリックス』エージェントスミス
グレムリンが嬉しかったなぁー
(さすがにここはワーナーならでは)
ロブスターをひとりで食べるバットマン
レンジの前でじーっと待つ姿が…(泣)
同じく、ひとり、ホームシアターで映画を見るバットマン
(↑外部出力端子、多い 笑)
…で、そこ、笑うところ違いますよ↓
トム・クルーズ『ザ・エージェント』
(↑ラストでもういちど、伏線回収今度は仲間と同じシーンで大爆笑)
また、ジョーカーにバットケイブを乗っ取られた際にDVDライブラリーを暴露される。
『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』
『理想の恋人』
そして
「セレンディピティ!?」
「セレンディピティー!!!」
アルフレッドの声をレイフ・ファインズ(ヴォルデモート卿ではない)
スーパーマンはチャニング・テイタム、といちいちツボ。
(「俺と同じひとりぼっちのヒーロー」と思いきや「ジャスティスリーグ」の設立周年パーティを盛大に開いている)
さらにコンピューター('Puterと呼んでる)がSiri …って笑
(まあ出てくるスマートフォンがiPhoneですから)

Memo2
タイトルデザインは制作会社と同じアニマル・ロジック(Animal Logic)
http://www.animallogic.com/
End Title > SCARLET LETTERS
前作『LEGO® ムービー(The Lego Movie)』のタイトルデザイン
Main On End TitlesはAlma Mater
こちらはインタビューとメイキング記事
http://www.artofthetitle.com/title/the-lego-movie/

B2

映画『レゴバットマン ザ・ムービー』
http://wwws.warnerbros.co.jp/legobatmanmovie/

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2017-04-02

忘れるな、かつて束の間ありし場所 "キャメロット"での黄金時代を『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命(Jackie)』パブロ・ラライン監督、ナタリー・ポートマン、グレタ・ガーウィグ、ピーター・サースガード、他

ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命
Jackie

監督 : パブロ・ラライン
出演 : ナタリー・ポートマン
グレタ・ガーウィグ
ピーター・サースガード
マックス・カセラ
ベス・グラント
ジョン・ハート、他

物語・1963年11月22日、テキサス州ダラス。パレードをしていたジョン・F・ケネディ大統領が、群衆とファーストレディであるジャクリーン(ナタリー・ポートマン)の目前で暗殺される。父の死を理解できない子供たちと向き合いながら、彼女は葬儀の取り仕切り、リンドン・ジョンソン副大統領の大統領就任式への立ち会い、ホワイトハウスからの退去といった業務に追われる。そんな中、亡き夫が過去の人として扱われていくことに憤りを覚えた彼女は…。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Jac

※Memo
厳密な言葉選び、イントネーション。
インタビュアーに対しての受け答え。
涙を流しながら「そのときのことが知りたいんでしょ」と言ったかと思えばケロッとしてタバコ片手に「今の部分は書かないで」と返したりと、本心が全く見えてこない、非常に捉えどころがない人物像をナタリー・ポートマンが貫禄のオーラで演じる。
ケネディ大統領暗殺直後、最後まで脱がなかったシャネルのピンク色のスーツ。
有名なエアフォースワン内でのジョンソン副大統領の大統領への宣誓に立ち会うシーンも再現される。
そのあとも、ずっとスーツを着たままのシーンが続く。
そして、やっと自分の部屋に戻った際にカメラが全身を映し、スカートに付いた血の跡が生々しく残っていることがわかる、ドキッとするシーン。
もうひとりの主役はホワイトハウス。
とにかく、ここ(長い廊下など)を歩いていくカットが多い。
「こどもたちにはわたしから伝えます」
「パパは?」
キャロラインにこう話しかける。
「パトリックの元に行ったのよ」
「また会えるの?」
(キャロラインの名前が出たときに客席で「あー、この子が」といった親近感空気があったような…)
神父との会話。
非常に複雑なジャッキーの心情をあらわすシーン。
次々と投げかける問いは神父を困らせる(困惑しているようにも見える)
まるで禅問答のように。そして…
「失望させてしまうかもしれないが、こうしか言えない」
「答えはないのだということを」
グレタ・ガーウィグの公的秘書ナンシー・タッカーマン役にビックリ!
(あらゆるサジェスチョンを送り、ジャッキーを支えた人物を役柄同様に抑えた芝居で演じていて上手い)
またピーター・サースガード(この人の目が笑っていない表情演技がこのときのボビーの立場や状況にピッタリ)による弟"ボビー"ケネディのキャステイングにも。
ジャッキーがステレオでケネディ大統領が好んでいたというミュージカル『キャメロット』(※)の一節(忘れるな、かつて束の間ありし場所、キャメロットでの黄金時代を)を流すシーン。
追い払われるように去っていかなくてはならない、自分が手塩にかけて威厳を再構築していったホワイトハウス。
「ファーストレディはすぐにホワイトハウスから出ていけるように支度できることよ」
ジョンソン大統領と次のファーストレディがカーテンの色の話をしている傍らを通って行くシーンも。
※「キャメロット」の作者のひとりはアラン・ジェイ・ラーナー(ケネディ大統領とは大学が一緒だった)
SoundtrackにはRichard Burtonによる"Camelot"が収録されている。
アスペクト比がヨーロッパビスタ。
当時のテレビやニュースフィルムの映像がスタンダードサイズ(1.33:1いわゆる、かつてのテレビ4:3)なので差異が少ないサイズで撮られたのだろう。
(16mmフィルムから35mmフィルムへブローアップ、もしくはデジタル化)
(かつて大阪にあった名画座)大毎地下劇場だっら『ジャッキー ファーストレディ 最後の使命(Jackie)』と『ボビー(Bobby)』の2本立て上映をやっていただろうなぁと連想。

映画『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』公式サイト
http://jackie-movie.jp/

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"どうしてこんなに悲しいんだろう"『パンセ』木皿泉脚本、Perfume(あ〜ちゃん、かしゆか、のっち)、勝村政信、片桐はいり、古舘寛治、大島蓉子、他、エンディングテーマ・吉田拓郎

パンセ

脚本 : 木皿泉
監督 : 後藤庸介
出演 : Perfume
(あ〜ちゃん、かしゆか、のっち)
勝村政信、片桐はいり
古舘寛治、大島蓉子

Pensee

Memo
『パンセ』パンジー(三色すみれ)の語源(フランス語の思考・思索)。
力丸がテントの中で読んでいたのはパスカルの『パンセ』
(公開中のミア・ハンセン=ラブ監督『未来よ こんにちは』にもパスカルの『パンセ』が出てくるのは、よくできた偶然?)
主題歌(エンディングテーマ)も、てっきり主演のPerfumeかと思っていたら、拓郎さんの『どうしてこんなに悲しいんだろう』だった。
間のCMもオランジーナ先生『結婚しようよ』が流れて、なんと"春の吉田拓郎まつり"に。
公式サイトに掲載された拓郎さんのコメント
「古い曲です。でも僕の大切な青春の大切な曲です。この曲の存在に気がついてくれて有り難う」
さらに公式サイトによると脚本には最初から「「音楽、忍び寄る。『どうしてこんなに悲しいんだろう』(吉田拓郎)」と書かれていて、音楽までも当て書き?(スゴイ!)
いろいろな場面
・ドラマでもあ~ちゃん必殺の広島弁。
(木皿泉脚本は基本当て書きということを考えると、最初から"広島弁"そのままで書かれていたのですね)
・片桐はいりさん→役名が南野その…って 笑
「チャウチャウちゃうちゃう」
・出汁を取るのは、きっちり"いりこ"
・相撲をムード音楽をかけながらテレビ観戦
「なにしはるんどすぅ〜。かんにんしとくなはれ」笑
(確かに怪しい)
・両親から届いた宅配便。
レモンと一緒に届いた手紙を朗読するあ〜ちゃん
かしゆか、のっちが「カノン」をハミングでバックグラウンドミュージックとして歌う。
力丸「だから音楽付けるなって」
(レモン片手って「ザ・テレビジョン」? 笑)
ホント!これ連ドラにならないかなぁ
いろいろ台詞(前編と後編ミックス)
力丸の部屋を見てのセリフ
「スノードームの中にいるみたい」
前編ラスト
「わたしも力丸はババじゃないと思う」
3枚のトランプを前に。
「ひいてみて」
「何?」
「ハートのエース」
ここで、いいタイミングで拓郎『どうしてこんなに悲しいんだろう』のイントロが始まる。(もう、本当にこれいじょうないタイミング)
ちなみに『どうしてこんなに悲しいんだろう』のバージョンはアルバム「明日に向って走れ」収録のもの。
後編の『どうしてこんなに悲しいんだろう』は2番が使われていて、これまた「おかえりなさい」と遂に外へ出た力丸がおみやげに買って帰った4つのイチゴショートケーキシーンにピッタリ!
最後の最後に出てくるカレンダーに書かれた言葉はパスカル『パンセ』より
われわれの本性は、
運動のうちにある
完全な静止は死である
これは924のことばを集めた著作準備のための草稿ノートの129番
Notre nature est dans le mouvement; le repos entier est la mort.
ちなみに前編、最初の言葉はこちら。
(6日と7日に分けられている)
人間は、
死と不幸と無知とを
癒すことが
できなかったので、
幸福になるために
それらのことについて
考えないことにした
ドラマ根幹(だと思う)セリフ(モノローグ)
「この家に越してきて願うことが増えた」
「わたしがどんなときも人のために願えるひとでありますように」

ドラマスペシャル【パンセ】 | テレビ東京
http://www.tv-tokyo.co.jp/pensees/

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2017-04-01

"Hello Stranger"『ムーンライト(MOONLIGHT)』バリー・ジェンキンズ監督

注・内容、台詞に触れています。
ムーンライト
MOONLIGHT

監督・脚本 : バリー・ジェンキンズ
出演 :  トレヴァンテ・ローズ
アッシュトン・サンダース
アレックス・R・ヒバート
マハーシャラ・アリ
ナオミ・ハリス
アンドレ・ホランド

物語・マイアミの貧困地域で、麻薬を常習している母親ポーラ(ナオミ・ハリス)と暮らす少年シャロン(アレックス・R・ヒバート)。学校ではチビと呼ばれていじめられ、母親からは育児放棄されている彼は、何かと面倒を見てくれる麻薬ディーラーのホアン(マハーシャラ・アリ)とその妻、唯一の友人のケビンだけが心の支えだった。そんな中、シャロンは同性のケビンを好きになる。そのことを誰にも言わなかったが…。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Moonlight

※Memo1
ドキュメンタリーにならないよう、あえてスコープサイズで撮影し、すごく繊細に室内ライティング(蛍光灯の元での映像は特にドキュメンタリー色が出てしまうと思うのでカラーグレードでの調整込みで)に気を使ったガラス細工のような作品。
LGBTQ、いじめ、ドラッグ、人種などが表立って語られるわけではなく(それはレイヤーとして織りこんで)ひとりの少年の内面を通して描いていく美しさを秘めたドラマである。
幼少期( i.Little )、少年期( ii.Chiron )、青年期( iii.Black )のそれぞれ演じるのは3人の別々の俳優。
(監督が決め手としたのは"同じ雰囲気を感じさせる目")
1章、2章はかなり近い見た目だが、3章は場面が変わるなり「誰!?」と思わせるようなマッチョで金歯で、いかつい車に乗った姿で現れるシャロン(この見た目は変わっていても本質は変わらないことを体現するかのような構成とキャステイングは本当に上手い。そして、その本質の変わらなさがはっきりわかる、酷い仕打ちをしてきて「許して」という母親と交わす言葉とまなざし、態度にあらわれる)
アカデミー賞助演男優賞を受賞したマハーシャラ・アリ演じる麻薬ディーラー、ホアン。
シャロンにとって、父親代わりであり、メンターであり、手を差しのべる人でもある。冒頭、チラッと見た少年たちの走っていく姿。多くは語っていないが自身もそうだったのだろう、すぐにいじめられていると察知したのかシャロンが逃げ込んだ廃屋をみつけて、中へ入っていく。
そこで無理に喋らせないスタンスもよいし、まずは「何か、食うか?」の声のかけ方もひととなりが出ている。
(2017年3月30日放送『カンブリア宮殿』で「こども食堂」の経営者が言っていたが「子どもは自分の家のことをすぐには喋らないし、親のことを悪く言わない」ということがわかったうえでの対処って絶対あると思う。ホアンの台詞でそのことを思いだした。今年公開された荻上直子監督『彼らが本気で編むときは、』での主人公リンコが恋人の姪である母子家庭の子どもトモへも同じようなスタンスで接する姿が描かれていた)
海でシャロンに泳ぎを教えるシーン。
ホアンの台詞
「月明かりで、お前はブルーに輝く」
元となった戯曲のタイトル "In Moonlight Black Boys Look Blue"
ケビンとシャロンとの夜の海岸。
海は真っ暗で何も見えない。
(砂浜と波打ち際の境界線も見えず、画面でいうと上部だけが暗闇)
そこには波の音だけが聞こえる。
何回か繰り返される場面。
ラストシークエンス。
ケビンの営むダイナーのシーン
「シェフのおすすめ」にひとこと。
「いつからキューバ人になったんだ」
そして、「これを聴いて思い出したんだ」とジュークボックスでケビンがかけるバーバラ・ルイス(Barbara Lewis)のHello Stranger(1963)の歌詞が全てを語っている。
どんなに時が経とうとも、それがちょっと苦くつらい傷みをともなっていようとも、ふたりにとっては忘れえぬ思いでなのだ。
あの夜の海岸のできごとは。

※Memo2
美しいカラーグレード!
1章はブルー、2章は黄色み、3章はウォームトーン、そして被写界深度をあげてのクリアライトな風合い。
カラリストはアレックス・ビッケル
Color Collective
http://colorcollective.com/
‘Moonlight’ Glow:
Creating the Bold Color and Contrast of Barry Jenkins’ Emotional Landscape
http://www.indiewire.com/2016/10/moonlight-cinematography-color-barry-jenkins-james-laxton-alex-bickel-1201740402/
『ムーンライト』とウォン・カーウァイ作品を比較検証した動画
"Moonlight and Wong Kar-wai"
(TV Bros.16~17P、ファントムフィルム代表へのインタビューをまじえての記事より)
https://www.youtube.com/watch?v=66cIeb_nNO4
タイトルデザイン
使用フォント > Trade Gothic
Main-on-end titles、チャプタータイトルカード 画像
http://annyas.com/screenshots/updates/moonlight-2016-barry-jenkins/

映画『ムーンライト』公式サイト
http://moonlight-movie.jp/

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2017-03-30

タイトルデザイン_50 Picture Mill『パッセンジャー(Passengers)』モルテン・ティルドゥム監督、クリス・プラット、ジェニファー・ローレンス、他

注・内容に触れています。
パッセンジャー
Passengers

監督 : モルテン・ティルドゥム
出演 : クリス・プラット
ジェニファー・ローレンス
マイケル・シーン
ローレンス・フィッシュバーン、他

物語・近未来、5,000人を乗せた豪華宇宙船アヴァロン号が、人々の移住地に向かうべく地球を出発。到着までの120年、冬眠装置で眠る乗客のうちエンジニアのジム(クリス・プラット)と作家のオーロラ(ジェニファー・ローレンス)だけが、予定より90年も早く目覚めてしまう。絶望的な状況を打破しようとする二人は、次第に思いを寄せ合うものの、予期せぬ困難が立ちはだかり…。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Pass

Memo
孤島ひとりぼっち。バレーボールを相手にトム・ハンクスが2時間もたせた『キャスト・アウェイ』のような展開で進むかと思いきや、いろいろあって最後まで結構楽しい(科学的にどうのこうのは置いておいて)
その宇宙船ひとりぼっち、ジムを演じたクリス・プラット。
ほんとうに一枚看板のスターになったんだなー、と感慨深い序盤。
ジェニファー・ローレンス演じる、もうひとりの主人公オーロラという役名は『眠れる森の美女』のお姫様から?
『タイタニック』かと思いきやダグラス・トランブル監督『サイレント・ランニング』を想起した。
特にラスト。
ヒューイとデューイはいないけれど船内全体が完全緑化。
あと、原題がPassengersなのに何故『パッセンジャー』かと思ったら、先にアン・ハサウェイ『パッセンジャーズ』があった。
もうひとつ、予想していたことと違ったのはオーロラのコールドスリープを解いたのはジムだったということ(てっきり同じように隕石衝突による事故によるエラーかと思っていた)。そして中盤、乗組員のガスが目を覚まし船内には3人(正確にはアンドロイド・バーテンダーのアーサーもいる←多くの方が指摘している通りの『シャイニング』オーバールックホテルのバーのイメージ)となること。
クリス・プラットひとり芝居(ほとんど20分間はクリス・プラットを愛でるかのような…って、あの髭はいくらなんでも…笑)からのジェニファー・ローレンスとの2人芝居、そして…。
ラスト。
おややや!?
移住する惑星に近づき5000名の乗客のコールドスリープが解け、船内中央広場のシーン。
まず先頭で入ってきたキャプテンの顔が、まさかの…
で、エッ!?と思いつつ、エンドクレジットで確認してひっくり返ったアンディ・ガルシア(あれだけの出演シーンで、このクレジット表記とも思った)
タイトルデザイン関連。
・Main Title > Picture Mill
http://picturemill.com/passengers/
・additional editor: End Title Sequence
> Dustin Frost
・End Title
> SCARLET LETTERS

映画『パッセンジャー』 | オフィシャルサイト
http://www.passenger-movie.jp/

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2017-03-25

タイトルデザイン_49 Prologue Film/Kyle Cooper『キングコング:髑髏島の巨神』ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督、トム・ヒドルストン、ブリー・ラーソン、サミュエル・L・ジャクソン、他

キングコング:髑髏島の巨神
Kong: Skull Island

監督 : ジョーダン・ヴォート=ロバーツ
出演 : トム・ヒドルストン
サミュエル・L・ジャクソン
ジョン・グッドマン
ブリー・ラーソン
ジン・ティエン
ジョン・C・ライリー、他

Kong

Memo1
とにかく怪獣テンコ盛り。
タコや蜘蛛やトカゲや水牛…。
出し惜しみ、一切なし。
冒頭の第二次世界大戦期シークエンス段階からコングも姿を現す。
(この時のふたりが髑髏島で生き残り、そのひとりがのちのハンク)
タコと対決して、そのまま足を食すコング。
帰りぎわに観客が「大きなゲソが夕食やったねー」(←関西弁)とか言ってて笑ってしまった)
サミュエル・L・ジャクソンとコング。それぞれの目と鼻のアップがどっちがどっちか、わからなくなるぐらいスゴイ!
また、出るだけで、イイ映画になる(映画の守護神)ジョン・グッドマンに合わせて本作はジョン・C・ライリーが最高に素晴らしい!
そのジョン・C・ライリー演じるハンクの髭と写真で見た監督の髭が同じなのだが、これは監督の洒落っ気?
ハンクがコメディ的パート。
こんな台詞。
コングが天敵の巨大な髑髏顔のトカゲ怪獣について。
「スカル・クローラーだ」
「怖そうな名前を今、思いついた」
メインキャストが紹介されるエンドタイトル部分にハンクが無事帰還した姿とカブス(1908年以来優勝がなくて、この1973年でもネタになっている。で、昨年話題となった108年ぶりの優勝)の試合をくつろいでテレビをみるシーンが続いて、なかなかよい締めくくり。
時代設定が1973年。
携帯もインターネットもなく、ランドサット(地球観測衛星)が撮影した画像に髑髏島が写っていたという設定。
ベトナム戦争が終結したばかりで多くの兵士が帰国をしていく時期というのも、ジャングルへと入っていく流れとしてもうまい。
既に監督が言及しているとおり『地獄の黙示録』さながらに。
レンズフィルター、Yellowをかけたようなカラコレ。全体的な色調が1970年代の雰囲気を醸しすことに成功している。
シークエンス毎の場面設定も上手い(川、森、湿地帯、怪獣の墓場…)
『パラノイド/ブラック・サバス』や(博士の異常な愛情で別の意味で有名になった)『また会いましょう』など音楽の使いどころも、変にひねらないで素な感じでよかった。(この監督、性格が歪曲していなくて、そのまま"ど真ん中"投げるタイプだとみた。今後が楽しみ!)

Memo2
エンドロール終了後にも続きあり。
(モナークのこと、そしていよいよ対決への橋渡し!というゴジラに加えてモスラ、ラドン、キングギドラ…って…)
タイトルデザインはギャレス版『ゴジラ』に続いてPrologue Film/Kyle Cooper
ギャレス版『ゴジラ』の時を踏襲した作り。
1944年~1973年までをニュースフィルムを混在させて、ところどころにモナークのことがインサートされている。
現時点(2017年3月25日)でPrologue Filmサイトに『キングコング:髑髏島の巨神』のタイトルシークエンス動画は公開されていませんがギャレス版『ゴジラ』をはじめ、いろいろ見ることができます(サイトがリニューアルされたばかり)
http://www.prologue.com/

映画『キングコング:髑髏島の巨神』オフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/kingkong/

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2017-03-23

『哭声 コクソン(the wailing)』ナ・ホンジン脚本・監督、クァク・ドウォン、ファン・ジョンミン、國村隼、チョン・ウヒ、他

注・内容、台詞に触れています。
哭声 コクソン
the wailing

脚本・監督:ナ・ホンジン
出演 : クァク・ドウォン
ファン・ジョンミン
國村隼チョン・ウヒ、他

物語・警察官ジョング(クァク・ドウォン)が妻と娘と暮らす平和な村に正体不明のよそ者・山の中の男(國村隼)が住み着いて以来、住人たちは彼のうわさをささやいていた。やがて、村で突然村人が自分の家族を手にかける事件が発生する。犯人には、濁った目と湿疹でただれた肌という共通点があり…(物語項・シネマトゥデイより抜粋)

K1

Memo1
●「人々は恐れおののき霊を見ていると思った。そこでイエスは言った。なぜ心に疑いを持つのか。私の手や足を見よ。まさに私だ。触れてみよ。このとおり肉も骨もある」
ルカによる福音書24章 37-39節

監督自身がクリスチャンということもあり、なお且つ噂が疑念へと変わっていく過程についての考察としても、最初からテーマとして掲げらている一節。
(実は終盤に…)

ドラキュラも鬼もゾンビも悪魔も地霊も天使も"もののけ"もイエスも修験者もシャーマンもあらゆるものが混然として提示され、ホラーでもありサスペンスでもありエクソシストでもあり震える舌でもありコメディでもあるという全くジャンル分け不可能な今までにない映画体験をもたらしてくれる超絶怪作。
西欧的解釈図式としてあらわすならば(一応)悪魔とその従者、そして天使ということになるのだろうが、この作品はそうは語りきれないようにパズルのピースをずらして描かれていて如何様にも解釈がとれるというところが、また魅力だ。
さらには悪意の実態化という点で、黒沢清監督『CURE』を連想せずにはいられない。
「ミーに任せてちょ」と「おそ松くん」のイヤミのように登場してドンガラガッチャン、ドンガラガッチャン踊るシャーマン祈祷師として、あっという間に物語を転調してみせたファン・ジョンミン演じるイルグァンの唖然とさせられたパワフルな除霊シーン。
(実際、その場面がめちゃくちゃ面白い!)
そこで、それまでゆったりと或いはモゾモゾと描かれていた「噂」の部分が「エッ!?ホントにそうなの?」と観客までをも信じこませてしまうミスリードの上手さ。
(ここの誰を除霊し、何に祈祷しているのかのシーンはすっかり山の中の男とイルグァンが対峙した状態かと思いこんでしまっていた)
ラストに至っても何を信じるかによって捉え方が変わってしまう…
教会の通訳と山の中の男の対峙、会話、問答。
「お前が"悪魔"と言ったんだ」
「わたしは何者か、わたしの口からいくら言ったところでお前の考えは変わらない」
「お前は今もわたしのことを悪魔だと思い、それを確かめに…」
「わたしはわたしだ…」
並行して謎の女・目撃者ムミョンとジョングとのやりとりも描かれる。
「今、行ってはいけない」
「娘が」
「これは罠…」
「鶏が三度鳴くまで」
(それぞれの考え、取った行動が各々に影響しあっているように思える見事な締めくくり方、冒頭の福音書の一節と呼応する。お前がそう思ったから実体化したのだと言わんばかりに…)
「釣り糸をたらして、そこにひっかかるだけ」
その台詞通り、ファーストカットは釣り針に餌をつけている山の中の男の姿から始まる。
そして、物語の構成自体が、そのまま観客に提示した餌のように次々と提示されていく。(どう考えるのか、誰を疑うのかも委ねられている)
まさにダブルミーニングとしての"HOOK"

K2

K3

K4

Memo2
娘のために奔走したジョングをクァク・ドウォンが『哀しき獣』に続いて、演じ、またしても強烈だ。
最初の頼りな~い、海岸に打ちあげられたアザラシのような姿とラストでの姿は全く別人のよう。
見たこともないアクション祈祷シーンを演じたファン・ジョンミンはやはり上手い!
ムミョンを演じたチョン・ウヒはその立ち姿自体に独特のオーラがあって、これまたイイ!
そして國村隼さん!
もう何も申しません!怪演を通り越した怪演!
泣く子も黙らずに泣きます!

『哭声/コクソン』公式サイト
http://kokuson.com/

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