2018-10-15

『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー(Solo: A Star Wars Story)』ロン・ハワード監督、オールデン・エアエンライク、ウディ・ハレルソン、エミリア・クラーク、他

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー
Solo: A Star Wars Story

監督 : ロン・ハワード
脚本 : ローレンス・カスダン
出演 : オールデン・エアエンライク
ウディ・ハレルソン
エミリア・クラーク
ドナルド・グローヴァー
ヨーナス・スオタモ、他

物語・帝国軍が支配する時代。惑星コレリアで生まれ育ち、自分の力だけで生き抜いてきたハン・ソロ(オールデン・エアエンライク)は、銀河で一番のパイロットになるという夢を抱いていた。やがて宇宙に飛び出した彼は、チューバッカ(ヨーナス・スオタモ)という相棒を得る。彼らは、幼なじみの美女キーラ(エミリア・クラーク)らと一緒に、危険な世界に通じたトバイアス・ベケット(ウディ・ハレルソン)が率いるチームに加わり、壮大な冒険に身を投じる。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Solo1

Memo
あまりに量産されすぎて、やや分が悪い感じで評され(公開当時)興業不調が伝えられるスピンオフ作品だが、このテンポとか風合いはとても好み
(ディズニー傘下以前の、特にSW旧3部作ファンが喝采云々記事もなるほどと思える)
いろいろ漏れ伝え聞くハン・ソロ伝説のいくつかが描かれる点(チューバッカとの出会いや信頼関係を紡いでいく場面やなんといっても初めてふたりならんでのミレニアム・ファルコン号操縦シーンはウルッときた。)
ロン・ハワード監督の新作であり"白いドレスの女"ローレンス・カスダン(親子ですが)脚本作品であることがとりもなおさず嬉しい。
台詞にあらわれるローレンス・カスダン味
「あなたはいい人よ」
言われて戸惑うハン。
最後にキーラが一緒に冒険をしてどういう気持だったかを告げる。
「スマイル」
ラストでのキーラへむけられたファムファタール照明。
(ハン・ソロとはなればなれになってからの期間に起こった出来事の闇の面、もしくはこれからのことを暗示しているのだろうか…。)
それにしても、もう少しエミリア・クラークのキーラを見たいのだが、このあとの予想できる暗黒展開をディズニー傘下のルーカスフィルムは作らないだろうなぁ、と思うと残念。
いろいろ解釈ものを読むとレイの母親がキーラでは?というのも。
これって結構、希望的にも「そうだったら、いいなぁ」と思う。
・『フォースの覚醒』でレイが「ポンコツ」といっていたファルコン号に乗り込んだ際の操縦の勘は、既に母親が乗っていたからといった繋がりだといいなぁ
・レイがハン・ソロをメンターであると同時に父親を見るような目で見ているのも、キーラのことあってのことだったらいいなぁ
Main Title Design → PRODIGAL PICTURES
End Title → SCARLET LETTERS

Solo2

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー
公式サイト

https://starwars.disney.co.jp/movie/hansolo.html

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Netflix『オペレーション・フィナーレ』クリス・ワイツ監督、ベン・キングズレー、オスカー・アイザック、メラニー・ロラン、他

オペレーション・フィナーレ
Operation Finale

監督 : クリス・ワイツ
出演 : ベン・キングズレー
オスカー・アイザック
メラニー・ロラン、他

物語・1960年、イスラエル諜報特務庁の諜報員たちはある重要任務につく。
それは、悪名高いナチスの戦犯アドルフ・アイヒマンを捕らえること。
史実に基づくドラマ。

Of

Memo
アイヒマンをベン・キングズレー、モサド(イスラエル諜報特務庁)側にオスカー・アイザック、メラニー・ロランら。
懐かしグレタ・スカッキ(『グッドモーニング・バビロン!』)を発見。(←アイヒマンの妻役。エンドクレジット読むまでわからなかった!)
なんといってもベン・キングズレーの凄み。
(一筋縄ではいかない人物。殺戮の実行命令者であるにもかかわらず、時に弱い面を見せたり、目隠しされた状態で食事を取るときの催促する際の不遜な態度。「自分は無実だ。ただ命令に従っただけだ。君もそうするだろ?」それらが交錯する)
最も怖かったシーンはアルゼンチン国内に残るユダヤ人迫害を支持する者たち(アイヒマンを匿う母体)の集会。ただのキリスト教関連の集まりと思っていたら起こる「ジーハイル」の歓声と、あのポーズ。(ラストのハーケンクロイツも怖い…)
最初、イメージしていた物語はアイヒマンを如何にして捕獲するかが重点かと思っていたところ、いかにイスラエルへ送り届けるかがポイント。
法規上、アイヒマン本人のイスラエル行き同意のサインが必要となる。
尋問、交渉のプロがいくらやっても折れないアイヒマンに対峙した過去、実姉をナチスに殺害されたピーター(オスカー・アイザック)とアイヒマンの密室空間での緊迫感が素晴らしい。
(ピーターがアイヒマンの髭を剃るシーンの怖いこと、怖いこと。かつて『カラーパープル』で同じような場面があったけれど、とにかく怖いです)
もうひとつ、本性なのかピーターへの嫌がらせなのか「殺戮の日のことを覚えている」と克明にあてつけのようにわめきながら話すシーンも実に怖い…
音楽はアレクサンドル・デスプラ
公式サイト
https://www.alexandredesplat.net/index.php
タイトルデザイン(Main Title Sequence Design)
SHINE
(画像、動画あり)
http://shinestudio.com/projects/operation-finale/

オペレーション・フィナーレ
Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

https://www.netflix.com/jp/title/80986885

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2018-10-01

『クワイエット・プレイス(A Quiet Place)』ジョン・クラシンスキー監督、エミリー・ブラント、ジョン・クラシンスキー、他

注・内容、ラストに触れています
クワイエット・プレイス
A Quiet Place

監督 : ジョン・クラシンスキー
出演 : エミリー・ブラント
ジョン・クラシンスキー
ミリセント・シモンズ
ノア・ジュープ、他


物語・音に反応して襲撃してくる何かによって、人類は滅亡の危機にさらされていた。リー(ジョン・クラシンスキー)とエヴリン(エミリー・ブラント)の夫婦は、 聴覚障害の娘ら3人の子供と決して音を立てないというルールを固く守ることで生き延びていた。手話を用い、裸足で歩くなどして、静寂を保ちながら暮らして いたが、エヴリンの胎内には新しい命が宿っていた。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Acp

Memo
「はじめの第一歩」(これは動いてもアカン)か積木くずし(これ、ちょっと近い)か「テレビにらめっこ」(これは笑ったらアカン。じっと我慢して音を出さないで)
まあ、なんといっても頼もしいエミリー・ブラントのこと。
『オール・ユー・ニード・キル』『ボーダーライン』と見てきた限り、大丈夫でしょー、と思ったら案の定。
モニター越しに走ってくる2匹のクリーチャー。
最高ボリュームにあげられるスピーカー。
ラストはショットガンを充填。
ガシャという音と少しニヤリとした口もとと共にピタリと決まった見事なショットでエンドクレジットへ。
(評価が高さは、実はこのラストショット部分もあってのことだろうなぁと惚れ惚れ)
とはいえ、バランス的にはツッコミどころが多いのも確か。
多分、第一義に音を立てたらの「音」はどのような質の音なのか、大きさなのかが、曖昧(滝の裏側であれだけ大きな叫び声があげられるのだったら、相当大きな音も大丈夫では?)
クリーチャーの姿を見たとき思わず「嫌ぁぁぁー(ear)!」という日本だけでしか通じないフレーズを思いつくぐらい「耳」である。
その造詣が素晴らしい。聞き耳ならぬ集音器のような増幅された音もあいまってなかなかのもの。
タイトルデザイン(Main Titles and End Titles)
IGNITION CREATIVE.
予告編やTVスポットも
http://ignitioncreative.com/work/detail/a-quiet-place

映画『クワイエット・プレイス』公式サイト
https://quietplace.jp/

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2018-06-25

「I bite(噛むぞ)」『犬ヶ島(Isle of Dogs)』ウェス・アンダーソン監督、ブライアン・クランストン、コーユー・ランキン、他

犬ヶ島
Isle of Dogs

監督 : ウェス・アンダーソン
出演 : ブライアン・クランストン
コーユー・ランキン
エドワード・ノートン
ビル・マーレイ
ジェフ・ゴールドブラム
スカーレット・ヨハンソン
ヨーコ・オノ
野村訓市
野田洋次郎
村上虹郎
渡辺謙
夏木マリ
グレタ・ガーウィグ
フランシス・マクドーマンド
ティルダ・スウィントン、他

物語・物語・近未来の日本で、伝染病のドッグ病が大流行し、犬たちは「犬ヶ島」に隔離される。12歳の少年アタリは捕らわれた愛犬スポッツを捜すため、メガ崎市からたった一人で小型飛行機を操縦し犬ヶ島へと降り立つ。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Dog1

Memo1
監督本人のインタビューなどで言及されている黒澤明監督作品(特に現代劇)への音楽、キャラクター造形など多岐にわたってオマージュ。
(「七人の侍」「酔いどれ天使」「天国と地獄」「悪い奴ほどよく眠る」)
もう、ずっと見ていたい!
例によってウェス・アンダーソン監督らしさ満載のポップ、カワイイの背後にあるビター部分を含んでいて素晴らしい。
(以前にも書きましたが綺麗な色ー、と思って食べたら毒キノコ?!!のような感じと例えればよいのか)
『グランドブダペストホテル』では墓地から幕を開けたが、本作は下方向移動で(墓地想起)まるで地霊のように納まるチーフとナツメグで幕を下ろす。
(まあ、確かにいろいろと語弊を生みそうなネーミングの)犬インフルエンザとアナウンスされていた部分はドッグ病に(パンフレット含め記載が変わってた)。
最初に「犬ケ島」で発見したスポッツのものと思われる檻の中で白骨化してる犬の姿にには「わわっ」と思った。
アタリ少年の頭にささったままのプラグも含めて、全体のオーラ通してなにやら不穏当な空気が蔓延としているあたりも実社会との奇妙なシンクロ感もあり、一筋縄では行かぬ作品となっている。
予言犬の名前が「ジュピター」と「オラクル」なんて最高。
冒頭、犬対猫の語りは「オラクル」によるものというのも後で思うと予見的?(あるいは物語誘導性?)
ゴミ捨て場に捨てられているゴミの種類によって背景変化が起こる(色調も)細かさ、そして乱闘シーンでの漫画で表現されてきたポカポカ(ポカスカ)砂塵、カタカナと英語のW表記、細部まで作りこまれた小物類…
もう一回、ずっと見ていたい!

Dog2

Memo2
オープニングタイトルから、お酒のラベル、学生証、タグ、ドッグフード、テレビの「しばらくお待ちください」画面に至るまでグラフィック周りのフォントやデザインがいつにもまして細かい。
リードグラフィックデザイナー(lead graphic designer)
Erica Dorn
https://ericadorn.co.uk/
メイキング映像がいくつか公式公開されているけれど、なかでもVR仕様のこちらは面白い。
360° | ISLE OF DOGS |
Behind The Scenes (in Virtual Reality)
FoxNext VR Studio
https://www.youtube.com/watch?v=JqXC46b1uUg
ウェス・アンダーソン監督作品
タイトルデザイン、タイポグラフィ
(~グランドブダペストホテルまで全作品、各リンク先にタイトル部分画像あり)
http://annyas.com/screenshots/directors/wes-anderson/

映画『犬ヶ島』 公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/inugashima/

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2018-05-31

タイトルデザインやロケ地のこと_1『レディプレイヤー1(Ready Player One)』『ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~(Stronger)』『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル(I, Tonya)』『ホース・ソルジャー(12 Strong)』『アンロック/陰謀のコード(Unlocked)』『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(The Florida Project)』

最近のタイトルデザインやロケ地をまとめて。

レディ・プレイヤー1
Ready Player One
スティーヴン・スピルバーグ監督
Main and End Titles
SCARLET LETTERS
あのロケ地はどこ?
Where was Ready Player One filmed?
https://www.atlasofwonders.com/2018/03/ready-player-one-filming-locations.html

Rpo

ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~
Stronger
デヴィッド・ゴードン・グリーン監督
MAIN TITLE DESIGN & END CRAWL
Plucky

アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル
I, Tonya
クレイグ・ギレスピー監督
Main and End Titles
BIG FILM DESIGN

ホース・ソルジャー
12 Strong
ニコライ・フルシー監督
Titles BY SCARLET LETTERS
Opening Prolog Design BY THOMAS COBB

アンロック/陰謀のコード
Unlocked
マイケル・アプテッド監督
Title Design & Animation
MATTHIAS BRAUNER

Fp

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法
The Florida Project
ショーン・ベイカー監督
今回は『タンジェリン』のようにiPhoneだけでの撮影ではなく35mmフォーマットも使用されている。
それゆえのラストの美しさ。
ふいにおとずれる魔法。
監督インタビューで印象に残った言葉。
「映画はセルロイドとともに生まれたということを、決して忘れてはいけないと思います。そういう意味では、クリストファー・ノーランとまったく同じ意見です。」
ロケに使われたモーテル
Movie Maps
https://moviemaps.org/movies/3hn

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2018-04-06

『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書(THE POST)』スティーヴン・スピルバーグ監督、メリル・ストリープ、トム・ハンクス

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書
THE POST

監督 : スティーヴン・スピルバーグ
出演 : メリル・ストリープ
トム・ハンクス
サラ・ポールソン
ボブ・オデンカーク
ブラッドリー・ウィットフォード
トレーシー・レッツ
マイケル・スタールバーグ
ブルース・グリーンウッド
サーシャ・スピルバーグ、他

物語・ベトナム戦争の最中だった1971年、アメリカでは反戦運動が盛り上がりを見せていた。そんな中、「The New York Times」が政府の極秘文書“ペンタゴン・ペーパーズ”の存在を暴く。ライバル紙である「The Washington Post」のキャサリン(メリル・ストリープ)と部下のベン(トム・ハンクス)らも、報道の自由を求めて立ち上がり…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Post

Memo1
トランプ米大統領から「ハリウッドで最も過大評価された女優」と名指し攻撃されたメリル・ストリープがワシントン・ポストの社主役(なんと痛烈で痛快な素晴らしいキャスティング!←トランプ氏『ワシントン・ポスト』嫌ってますからねー。最近もamazon批判で間接的に攻撃してたし)。
1971年の物語ながら、まさしく「今そこにある報道の自由の危機」を描いた現代の話となっている。
ヤヌス・カミンスキーによる35mmフィルム撮影。
スキップブリーチではないと思われるが彩度・カラーパレット含め、そこから感じ取れる70年代映画質感。
(後述リンク先にレンズの事などについて書かれたものあり)
アン・ロスによる衣装。
ジョン・ウィリアムズのスコアも控えめながら渋い旋律。
『ニューズウィーク日本版』2018年4月3日号に「ベトナム戦争の嘘を暴いた男」ペンタゴン・ペーパーズをリークしたダニエル・エルズバーグについての記事が掲載されていました。
おぉっ!ここが映画の冒頭で政府側の嘘、欺瞞を知ってしまった が機密文書を持ち出し複写機(デカイ!)をかけてコピーをとる、あのシーンとつながるのか!と膝をうつ内容。
そしてスピルバーグ監督の時間省略など映画的手際よさにも気づく。
(実際は文書持ち出しまでに数年のタイムラグがある)
メリル・ストリープ演じるキャサリン。
夫の死によって突如「ワシントン・ポスト」社主となり完全に男社会丸出しだった世界へ入ってきてやっている感がものすごくよく表れていた(そして経営者でもあり数字も追わなければいけない。そんなこと自分にやれるかしらとオドオドした様子も)。
・会議の時に重たい資料を全部手持ちでテーブルの上に置いた際「そんなものはスタッフが用意するものだ。何も知らないで」的な馬鹿にしたような視線をおくられる。
・ベンがキャサリン宅に訪ねてきた際、就寝時の服で歩きまわり子どもが走り回っている緊張感の無さにやや言葉を失う。
・その後、近しい友人であったマクナマラのついていた嘘(自分へと国民へとの二重の嘘)と報道の公正さの間に立ち、社主としての
・そして、ニクソン側の圧力に対して輪転機が回る締切りぎりぎりの深夜の決断。
ベンや経営陣、弁護士の輪の中。
「出します」
続く台詞が洒落ている。
「寝るわ」
ベン・ブラッドリーの娘が売ってるレモネードに対して「いくらで売ってるんだ?」「25セント」「倍の値段に。インフレだよ」とひとこと。
(次のシーンでダンボールに書かれた値段が50セントに 笑)
これだけで当時のインフレ状態をあらわす茶目っ気たっぷりの上手さ(ちなみにニクソンショックは文書公表記事のあと)
そう言えばトム・ハンクスって『フォレスト・ガンプ』でウォーターゲート事件、目撃してたし…(このシーン、本作のラストカットとそっくりだったような…)

Memo2
ニューズウィーク日本版ウェブの記事
映画で描かれない「ブラッドレー起用」秘話
ワシントン・ポスト社主キャサリン・グラハム自伝・第2章より抜粋。
その3回目
https://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2018/03/post-9860.php
Main and End Title
SCARLET LETTERS
IMDbでアスペクト比を見ると1.85 : 1 (アメリカンビスタ)になっていたので何か理由があるのかと思っていたら、Kodakのニュースレターにこの記事が。
「ヤヌス・カミンスキー(ASC)がスティーヴン・スピルバーグ監督の『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』をコダック35mmフィルムで撮影
https://www.kodakjapan.com/motionjp-mag102
実際のアメリカ国立公文書記録管理局によるペンタゴン・ペーパーズ(全文/英語サイト/ファイルはいくつかのPDFに分割されています)
https://www.archives.gov/research/pentagon-papers

Memo3
2018年「春のスピルバーグまつり
本作と『レディ・プレイヤー1』と続けて見られる幸福感。
デビュー時から現在までリアルタイムで公開時に作品を見続けられている監督って誰だろう?と考えたときにすぐに思い浮かんだのはスピルバーグ監督。
(ヒッチコック監督は遺作となった『ファミリープロット』だったし、ビリー・ワイルダー監督は『フロントページ』からだったし、コッポラ監督は『ゴッドファーザーPART2』からだったしウディ・アレン監督は『アニー・ホール』からだったしと…以下略)
また、見た作品と劇場(映画館)の名前がセットになって覚えているのも思えば個人的映画記憶となっています。
特に1970年代。
『激突』梅田コマゴールド(←こちらはテレビ放送後、劇場公開パターン)『続・激突 カージャック』阪急プラザ劇場『ジョーズ JAWS』梅田東映パラス『未知との遭遇』OS劇場…
ずっと見続けている映画監督が今もなお最新作を撮り、しかも傑作を生み続けているのはとても嬉しい!

映画『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』公式サイト
http://pentagonpapers-movie.jp/


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2018-04-05

Netflix『アナイアレイション 全滅領域(Annihilation)』アレックス・ガーランド監督、ナタリー・ポートマン、オスカー・アイザック、ジェニファー・ジェイソン・リー、他

注・内容、ラストに触れています。
アナイアレイション -全滅領域-
Annihilation

原作 : ジェフ・ヴァンダミア
監督 : アレックス・ガーランド
出演 : ナタリー・ポートマン
オスカー・アイザック
ジェニファー・ジェイソン・リー
ジーナ・ロドリゲス
ソノヤ・ミズノ、他

物語・秘密任務から生還した夫ケイン(オスカーアイザック)が危篤状態に。最愛の人を救うべく、生物学者のレナ(ナタリー・ポートマン)は政府が封鎖した地域へと足を踏み入れる。その異様な世界で、彼女は一体何を見たのか。

Ann

Memo1
原作未読。
監督インタビューなどを読むと映画化にあたった際には3部作として完成したものも構想も知らずに本作原作のみを元に脚本化したと語っているとおり、これ1作品として完結したものとして鑑賞。
人工知能テーマ『エクス・マキナ』の次に撮った(あるいは選んだ)作品が『アナイアレイション』ということに、ひとつの流れを感じる。
衝撃的であり鳥肌モノ。
灯台に落ちた隕石(らしきもの)そこから広がっていき「揺らめく光(シマ―)」に覆われて出来た空間「エリアX」
(囲むという点では後述映画以外に昨年放送されたアニメ『正解するカド』なども思いだしたり…)
「お前は本当にホンモノなのか?」
「ひとつの細胞がふたつに分かれ…」
『エクス・マキナ』でも描かれていたテーマのひとつ。
(ラスト、ネイサンの邸宅から外界へ出たエヴァはあの後どうなったのだろう?)
同じように「エリアX」から外界に出たレナ(らしきもの)と突如、戻ってきた夫ケイン(らしきもの)
彼らはこの後どうなったのだろう?
昨年のヴィルヌーヴ監督『メッセージ』やタルコフスキー監督『ストーカー』などはもちろんのこと、共にダグラス・トランブル監督『ブレインストーム』や諸星大二郎『生物都市』も想起した。
いかなる異界を見せてくれるのかという点では到着した場所(0ポイントとでも呼ぶべき)灯台付近や植物化された村などが個人的見どころ。
そして…
なんともいいようのない怪物。
パッと見、熊や狼などの類いなのだが、よく見ると違う。
しかも鳴き声が(出来れば映画館で聴きたかった)それはそれはおぞましい襲われた人間の絶命する瞬間の声(なんたるサウンドデザイン)
ラスト。
ケインじゃないでしょう?
「そうだ」
君はレナか?
カメラが横に動きガラスがフィルターのように画面の色を変える。
瞳の虹彩の変化が告げているものは?

Memo2
アレックス・ガーランド監督のインタビューを読むとある種の諦観ともプラス思考的ペシミスティック未来像を持っていることがわかる。
以下『WIRED.20』(『エクス・マキナ』公開時)より抜粋
「~人間はこの星で滅びるんだ。それは環境破壊のためかもしれないし、太陽系や太陽で起こる変化のためかもしれない。でもそれが起こるとき、われわれは決してワームホールを通り、別の銀河に行って、古くからある生存可能な惑星を見つけることなんてない。そんなことはありえなくて、われわれの代 わりに生き残るのは AI なんだ。 もちろん生みだせればの話だけど。 問題はなにもない。むしろ望ましいことだよ」
「アナイアレイション」
あのロケ地はどこ?
Where was Annihilation filmed?
http://www.atlasofwonders.com/2018/02/annihilation-filming-locations.html
Main and End Title Design

『エクス・マキナ』と同じくMATT CURTIS
発生、増殖、進化、曼荼羅をイメージさせる秀逸なエンドタイトル。

『アナイアレイション 全滅領域』Netflix公式サイト
https://www.netflix.com/jp/title/80206300

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2018-04-04

『スリー・ビルボード(THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI)』マーティン・マクドナー監督、フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、他

スリー・ビルボード
THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI

監督 : マーティン・マクドナー
出演 : フランシス・マクドーマンド
ウディ・ハレルソン
サム・ロックウェル
ルーカス・ヘッジズ
ピーター・ディンクレイジ
ジョン・ホークス
アビー・コーニッシュ、他

物語・ミズーリ州の田舎町。7か月ほど前に娘を殺されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は、犯人を逮捕できない警察に苛立ち、警察を批判する3枚の広告看板を設置する。彼女は、警察署長(ウディ・ハレルソン)を尊敬する彼の部下や町の人々に脅されても、決して屈しなかった。やがて事態は思わぬ方へ動き始め…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Board

Memo
行間を読むという表現。
映画だとジャンプカットの間合いだとか場面省略などに対して観客の想像にまかせる形となるのだろうけれど本作から受けた「行間を読む」感覚は、はじめて味わったような気がする。
それは見終わった後に湧いてくる登場人物たちの多面性。
驚くべきオリジナルの物語(脚本)。
架空の話の中で動かす人物造詣の深さ、セリフの妙(シニカルでありユーモアもあり)
人の起こす行動、考えは見ただけでは判断がつかない。
そして、時に間違った思い込みを持ってしまう。
警察署長ウィロビー(ウディ・ハレルソン)の自殺
(あとで判るミルドレッドに対して、こっそり広告料を払っていたという行動、残した手紙)
なかでもミルドレッドが小馬鹿にしていた前夫の彼女ペネロープの言葉。
なんとも薀蓄のある的を得たひとこと。
(彼女がホントに言ったの?と聞き返すミルドレッド)
怒りは怒りを来す(きたす)」
「週刊文春」連載コラムで宮藤官九郎さんが3回見たと書いた記事が出た頃にSNS等で話題になっていた「感情移入できる、できない。できないものは駄作?」論。
その意味で言うと本作は誰かに感情移入して云々の作品ではなく、その一元的ではない人間の描き方からくる「味わい」のようなものをじっくりコトコトと煮込んだスープのように楽しんだ次第。
(見終わった後にも、いろいろなシーンをじわ~と思い起こさせてくれる)

3枚のビルボードがある場所が実はミルドレッドの近所、しかも家自体が少し登った土地にあるものだから、いつも目にすることとなる。
(このことは最初の15分ぐらいまでは映らないので気がつかなかった)
そして、広告社と警察署が道を挟んだ斜め真向かいにある(まさにここも西部劇的シチュエーション)など建物の配置からして秀逸。
それまで、ふつふつとしていたものが転調(爆発)する中盤。
ワンシーン・ワンカット(ハンディカメラ)で撮られたディクソン巡査(サム・ロックウェル)が警察署長の死を知り、エビング広告社に乗り込んでレッド(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)を窓から放り投げるシーン。
ラスト。
犯人ではないが、あきらかに同様の事件を他の場所で起こした男を探しにディクソンとミルドレッドが車で向かう(しかし、迷いながら…)。
「本当にやるのか」
「それほど」
I guess we can decide along the way.

本作も『マラソンマン』『リトルショップ・オブ・ホラーズ(フランク・オズ監督版)』や『アウトレイジ』に連なる「歯科治療シーンあるよ」映画の系譜?(とも言える←逆反撃するけれど)

『スリー・ビルボード』公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/threebillboards/

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2018-03-20

If we do nothing neither are we.『シェイプ・オブ・ウォーター(The Shape of Water)』ギレルモ・デル・トロ監督、サリー・ホーキンス、ダグ・ジョーンズ、他

シェイプ・オブ・ウォーター
The Shape of Water

監督 : ギレルモ・デル・トロ
出演 : サリー・ホーキンス
マイケル・シャノン
リチャード・ジェンキンス
ダグ・ジョーンズ
マイケル・スタールバーグ
オクタヴィア・スペンサー、他

物語・1962年、米ソ冷戦時代のアメリカで、政府の極秘研究所の清掃員として働く孤独なイライザ(サリー・ホーキンス)は、同僚のゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)と共に秘密の実験を目撃する。アマゾンで崇められていたという、人間ではない“彼”の特異な姿に心惹かれた彼女は、こっそり“彼”に会いにいくようになる。ところが“彼”は、もうすぐ実験の犠牲になることが決まっており…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Sow1

Memo1
If we do nothing neither are we.
"彼"を助けないと私たちは人間ではない。
イライザが"彼"を助けようとジャイルズに必死に懇願するシーン。
手話による心の声、叫び。
(そのあとに続くシーン。ジャイルズが受けるふたつの疎外)
そして…
冒頭、イライザとジャイルズがテレビで「小連隊長(he Little Colonel)」でのビル・ロビンソンシャーリー・テンプルの階段タップダンスを見ているシーンから続くシーンへの流れがすごくいい!(音楽のタイミングも)
ダグ・ジョーンズは『パンズ・ラビリンス』の時にもその動きにパントマイム的香りが漂っていて素晴らしかったが本作はさらに!
それがイライザの手話とのやりとり、コミュニケーションの中でとても豊かな広がりをみせる。
まるでチャップリンの作品をみているようだ。
マイケル・シャノン演じる政府サイドの責任者ストリックランド。
彼が信奉するもの、それこそがモンスターだ。
アメリカ的豊かさとしての絵に描いたような画一的ピカピカ社会と規範、自己啓発、メンタルマネージメント、歪む人格…。
パンフレットで知ったけれど壁の染みが葛飾北斎神奈川沖浪裏」が描かれていたとは。気がつかなかった!(他にも鱗なども浮世絵によるモチーフ)
この映画そのものが、すべての映画に対するラブレターになっている。モンスター映画、メロドラマ、ミュージカル、スパイ映画、コメディ…いわゆるクラシカルなハリウッドムービーにしたかった。
(TV Bros. 2月24日号 ギレルモ・デル・トロ監督インタビュー)
同じインタビュー記事でカメラ(撮影/ダン・ローストセン)が一時もじっとしていなくて、すべてのシーンで水の中をたゆたうようにゆらゆらと動いていることも知りました。
(と、いうことなどを踏まえて観る2回目の楽しいこと、楽しいこと!)
多くの批評などで指摘があるとおり、わかりやすいからへのカラーアプローチ。(デル・トロ監督インタビューでもカラーパレットについて言及)
イライザのカーディガン、ヘアバンド、研究室の壁やプール、タイムカード、研究室の制服、ジャイルズのワゴン車、ライムケーキ、ストリックランドが買うキャディラック…と、とりわけ緑はベースとなる色。
それがいろづきはじめたとき(生命力として)赤に変わる。
イライザが"彼"と愛を交わした次の日、いつものバス通勤の際のヘアバンドや洋服が赤に。そしてハイヒールも。
この赤と緑といった色相環で対となる補色の関係性をパレットとして設定したことも本作の美しさのひとつだ。
日本語字幕の色。黄色はあったけれど、浅葱色というか鶯色というか、あの色は初?(やはり全体のカラートーンに配慮してのこと?白の字幕だとすごく浮いて目立ってしまうので、これは素晴らしい配慮だなぁ、と思った次第)

Sow2

Memo2
あのロケ地はどこ?
WHERE WAS THE SHAPE OF WATER FILMED?
http://www.atlasofwonders.com/2017/12/shape-water-filming-locations.html
航空宇宙研究センターやゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)の家の外観、イライザ(サリー・ホーキンス)の住む家の階下にある映画館内部(撮影に使用された有名なエルジン・シアター)などのロケ地。
Main Title Designer > CAM McLAUCHLIN

Sow_academy

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2018年 90th アカデミー賞
作品賞、監督賞、作曲賞、美術賞4冠!
パンフレットがFOXサーチライト・マガジンのVol.11仕様。
下記、画像は同じ今年のアカデミー賞で賞をわけあった『スリー・ビルボード』(Vol.10)
(そういえば本作でホフステトラー博士を演じたマイケル・スタールバーグは『スリー・ビルボード』マクドナー監督の戯曲「ピローマン」に出演していたという繋がりも)

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『シェイプ・オブ・ウォーター』オフィシャルサイト
http://www.foxmovies-jp.com/shapeofwater/

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2018-03-04

Netflix 碁盤の上で起こり得る全ての配置は、宇宙に存在する原子の数よりも多いのです。『アルファ碁(AlphaGo)』グレッグ・コーズ監督

アルファ碁
AlphaGo

監督 : グレッグ・コーズ

昨年、映画祭などで限定公開されていた『アルファ碁(AlphaGo)』がNetflixで配信されていたので見た。
人類最強棋士と称されるイ・セドル対人工知能ディープマインド。
ディープマインド陣営のバックヤードに並んだモニター類に映し出されている勝率や予測数値、そして交わされている会話。
1万分の1の手を打ってくるディープ・マインドに対して浮かびあがるもの。
人もまた、新たな地平を切り開くのだ。

Go

Memo
●結果は4勝1敗でAlphaGoが勝利。
最初は楽勝でイセドルに軍配があがると思われていたものが、1戦目2戦目…とその打つ手の凄さに衝撃が走る。
(何故、この手を打ったのかがわからない…。解説者もとまどいを隠せない)
AlphaGo陣営バックヤードで出ていた数字は人間が打つ確率1万分の1 (!)
その一手(37手目)に対して戸惑いを隠せないイ・セドル
(イ・セドルがその起こる出来事に対して常に礼儀正しくて謙虚だ。そこがまた、この歴史的対局の美しさでもある)
この台詞。
「AlphaGoは計算に基づき手を打つ単なる機械だと思っていました」
「でも違いました。創造力があります」
「この手は本当に創造的で美しいとさえ思いました」
そしてイ・セドルが勝利した際に打った手も1万分の1。
そのことに人間とAIの向かい合い方の絶対的ヒントと示唆が含まれているように思える。
「少なくともAlphaGoの37手がイ・セドルの78手を生み出しました」
「イ・セドルの新たな手法を促したのです」
●「アルファ碁(AlphaGo)」が人類最強棋士に勝利してか、しばらくして…。
さらに人間のデータを学習に使わない「アルファ碁ゼロ」や碁以外にも汎用化した「アルファゼロ」が登場して既に「何故、そのような思考なのか」などプロセスについては全く人類が入り込む部分はなくなってしまった。
対戦終了後のイ・セドルの台詞が浮かぶ。
(1勝でもあげられたことについて)
「この勝利が意味することは人間は持ちこたえられるということ」
「今後AIに勝つことは難しいと思います」
「一度でも勝てれば十分だと言う気がします」
●タイトルデザインはElliott Burford
これ以上はないというぐらいシンプルで美しい。
5戦全ての棋譜が浮かびあがる。
しかも37手と78手だけ黒と白ではなくブルーで描く
(デザイナーは違うが同じ人工知能をテーマとした『エクス・マキナ』のエンドタイトルに匹敵)

(↓こちらはドキュメンタリー映画のサイトではなく実際の…)
AlphaGo公式サイト
https://deepmind.com/research/alphago/

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