2007-02-16

ウディ・アレンと撮影監督

ウディ・アレン監督の映画というとモノクロ作品を除いて、ほぼ暖色系(※)で撮影されている事が特徴。それほど色調には気をつかっている訳ですから撮影監督は本当に超一流ばかり。

アニーホール」(1977年)から「カイロの紫のバラ」(1985年)までがゴードン・ウィリス(元々はドキュメンタリー出身、「ゴッドファーザー」のあの色調 !! アレン監督とは、やはり「マンハッタン」のモノクロ・ワイドスクリーンが美しい)、「ハンナとその姉妹」から「セプテンバー」、間が少し空いて「アリス」(1990年)から「地球は女で回ってる」(1997年)までがカルロ・ディ・パルマ(アントニオーニ監督「欲望」の、あの色彩設計 !! 間が空いているのはインタビューによると病気による手術が必要だったため。アレン作品、暖色系画調の基調を創ったとも言えるのでは? )。「私の中のもうひとりの私」「重罪と軽罪」(共に1989年)「セレブリティ」(1998年)、3人の監督によるオムニバス作品「ニューヨーク・ストーリー」はスヴェン・ニクヴィスト(イングマール・ベルイマン監督の作品多数)。「ギター弾きの恋」(1999年)「おいしい生活」(2000年)「スコルピオンの恋まじない」(2001年)の3作品をチャオ・フェイ(「紅夢」「始皇帝暗殺」)。

以降、1作毎に撮影監督が変わっていく。「さよなら、さよならハリウッド」はウェディゴ・フォン・シュルツェンドーフ(「13F」)、「僕のニューヨークライフ」はダリウス・コンジ(ジャン=ピエール・ジュネ監督の「デリカテッセン」や「ロストチルドレン」、「セブン」もこの人)、「メリンダとメリンダ」はアメリカン・ニューシネマの立役者にして名カメラマン、ヴィルモス・ジグモンド(「さすらいのカウボーイ」「スケアクロウ」、「未知との遭遇」でアカデミー賞撮影賞を受賞、「ブラックダリア」など多数)。ロンドンで制作された「マッチポイント」「タロットカード殺人事件」はイギリス人撮影監督レミ・アデファラシン(「エリザベス」でアカデミー賞撮影賞にノミネート)。


ウディ・アレン DVD-BOX
マンハッタン ギター弾きの恋

タロットカード殺人事件

現在 post-production 中の最新作「Cassandra's Dream」(ユアン・マクレガー、コリン・ファレル、ミッシェル・ウィリアムス)の撮影は「メリンダとメリンダ」に続いてアレン作品2度目の登場となるヴィルモス・ジグモンド。尚、ペネロペ・クルス主演の「Woody Allen Spanish Project」(仮称)が pre-production に入っている(現時点でStaff Credit不明)。

暖色系
おいしい生活」に関しては鮮やかな色彩が用いられている(なんといってもアレンとトレーシー・ウルマンですから…)。「マッチポイント」はロンドンの天候も相まって新局面を開いた色彩設計(少しグレーが加味された)。

おいしい生活 マッチポイント 初回限定版 (特別ブックレット付)

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2006-09-04

ウディ・アレン監督「マッチポイント」

「運」についての深〜い考察。ウディ・アレン監督最新作「マッチポイント」はネットの上で弾むボールがこちら側へ落ちるか相手側に落ちるか、それはコントロールできるものではなく「運」が決めるものだと、ある種のペシミスティックさをもって描いている。
注・ここから物語、大事なプロット、結末に触れています。
野心的なクリス(ジョナサン・リース・メイヤーズ)は最初から「太陽がいっぱい」風の少し屈折した劣等感を持った趣で造形されていて(目線の演技が素晴らしい)、その点でラストぎりぎりまで「太陽がいっぱい」的オチだと思っていたらすっかり騙されてしまいました、と、いうか、のせられていました(事件の重要な鍵となる指輪が河川の柵の上で跳ねて川に落ちるか落ちないかという見せ方も含めて)。全てが(わざと)わかりやすいキャラクター設計(これも計算だったのね)。大金持ちのヒューイット一族、女優をめざしてアメリカから渡ってきているノラ(スカーレット・ヨハンソン)、そしてアイルランド出身のクリス。こんなオチでよいのかと思うが、実はクリスにとっての不幸(罰)は元々不釣り合い(この不釣り合いさの描写が、またすごい)であったヒューイット家で、これからも(この先も)ずっと暮らしていくことになる事自体にあるかもしれないのですから…(実際、もしノラの方を選んだ場合、どうなるかなど、それこそネット上のボールのようなものなのだから。あくまでも上流階級に入ることを第一義として考えた場合の「運」の考察ともいえないだろうか)。見終わった後、いろいろ考えさせられる傑作 !!

Match Point [Music from the Motion Picture]

「映画の色」について
ウディ・アレン監督曰く「グレイはとてもラブリーな色」「映画の色合いは直接感情に作用するものだから、今作は殺人事件も絡んだりするので無味乾燥な冷たいトーンで見てもらいたくなかったのでウォーム・トーンで撮ることにしたんだ」(キネマ旬報9月上旬号インタビューより)

いろいろ蛇足
今作からロンドン製作の作品が続いているウディ・アレン監督。はじめてのオールロンドン・ロケ作品ということで観光巡り的な(それでいてアレン的な)要素もいっぱい。(下記にロンドンマップ掲載のWEBアドレス記載)

次回作は再びスカーレット・ヨハンソンと組んだ「SCOOP(原題)」スカーレット・ヨハンソンは眼鏡姿で登場。

パンフレットデザイン、今回はウディ・アレン監督前3作をデザインした大島依提亜さん(前述2006-06-06)ではなくて、大寿美トモエさん(前述2006-07-06)によるもの。

ウディ・アレン バイオグラフィー

マッチポイント
http://www.matchpoint-movie.com/

Film London (英文)
http://www.filmlondon.org.uk/
マッチポイントのロケ地マップがPDFでダウンロードできます。
News & Features >>> Movie Maps >>> Match Point
(2006/09/04・掲載を確認)

Woody Allen On Woody Allen Four Films of Woody Allen
マッチポイント 初回限定版 (特別ブックレット付)

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2006-08-01

ウディ・アレン「スコルピオンの恋まじない」

「DVDには、なっていないけれど_8」で取り上げた「ホット・ロック」の呪文は「アフガニスタンバナナスタンド」だったけれど、同じような使われ方(厳密には違うのだが‥)をしていたのがウディ・アレン監督「スコルピオンの恋まじない」。こちらの方は「コンスタンチノープル」と「マダガスカル」〜物語舞台は1940年代、ニューヨーク。一流保険会社に勤務するC.W.ブリッグス(ウディ・アレン)は、自称・腕利き保険調査員。最近入社してきた同僚のベティ・アン・フィッツジェラルド(ヘレン・ハント)とは顔を見るたびに皮肉を言い合う犬猿の仲だ。ある日、二人は同僚の誕生日パーティでインチキ魔術師に催眠術をかけられ、呪文を効くたびに惹かれていくことに‥。一方、その日を境に謎の宝石泥棒が世間を騒がせる。ブリッグスはなんとか犯人を捕まえようと奔走するのだが‥。ここまでプレスより引用。ウディ・アレンと謎の美女役で登場するシャーリーズ・セロンが見たまんま「三つ数えろ」のハンフリー・ボガードとローレン・バコールの図式(「ボギー ! 俺も男だ」と同じソフト帽にトレンチコート姿)。もしくは「深夜の告白」? 衣装もロケ地もセットも色彩設計も全て、1940年代を再現していて素晴らしい。オチもステキ。

スコルピオンの恋まじない ウディ・アレン バイオグラフィー

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2006-06-20

「メリンダとメリンダ」とメイクダウン?

ウディ・アレン監督「メリンダとメリンダ」は「人生の本質は悲劇か、喜劇か」についてのなかなか興味深〜いお話。で、喜劇バージョン、悲劇バージョンそれぞれのメリンダを同じ役者(ラダ・ミッチェル)が演じているわけですが、まぁ、ものの見事に別人になっています。喜劇バージョンのメリンダはブロンドのショートカットに小さい花柄のブラウス、満面の笑みをたたえてのピンクピンクメイク。かたや悲劇バージョンのメリンダはかなりヨレヨレ感のあるソバージュ、どちかというとダークブラウンの暗めの洋服、目の下にクマ、眉間にしわ(この辺がメイクアップならぬ、メイクダウンなんですよね)と、いった具合。実は「悲劇か、喜劇か」というのは、本当のところは「全て見ためで決まっているのでは?」‥もしくは、「外観が中身までも悲観的に変えてしまってるのでは?」‥なんて映画を見て、思った次第(このあたりは主演のラダ・ミッチェルも同様に語っていました)。

メリンダとメリンダ

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2006-06-16

DVDには、なっていないけれど_6

前述(2006-06-11)にも書きましたがウディ・アレン監督・主演、ミラ・ソルヴィーノがアカデミー助演女優賞を受賞した「誘惑のアフロディーテ」も日本では未DVD化の作品。〜以下ビデオ解説より抜粋生まれたばかりのベビーを養子に迎えたワインリブ夫妻。ルックス、IQ、性格の三拍子揃った息子マックスの成長ぶりに、夫レニー(ウディ・アレン)は鼻高々。しかし一方で夫婦仲は崩壊寸前。そこでちょっとした浮気心から息子の実の母親探しに熱中し始めたレニーは、驚くべき真実と直面する。抜粋ここまで〜探し当てた母親(実は娼婦、でも純粋)を演じたミラ・ソルヴィーノとアレンのやりとりが最高におかしい。オチもきいていて素晴らしい。もう一本、ウディ・アレンのもう一つの顔、クラリネット奏者としてニューオリンズ・ジャス・バンドを率いての23日間18都市を巡るヨーロッパツアーの完全密着ドキュメンタリー映画「ワイルド・マン・ブルース」も自身の監督作ではないが未DVD化。素顔のウディ・アレンが見られる貴重な作品。演技なのか素なのか、わからないジタバタ度がおもしろい。

ワイルド・マン・ブルース

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2006-06-11

ウディ・アレンとパンフレット_2

前述(2006-06-03)の「ウディ・アレンとパンフレット」の中で記載していない作品の補足。「ブロードウェイと銃弾」この作品は恵比寿ガーデンシネマが開館してから作成され始めたパンフレット「GARDEN CINEMA EXPRESS」の第9号とて発売されたもの。版型はオーソドックスだが2部構成(第1部「ブロードウェイと銃弾」編、第2部「若い世代のためのウディ・アレン・ガイド」編)でインタビュー、エッセイ、コラム、ウディ・アレン Ato Z(辞典)など読み物がすごく充実した仕上がり。作品も最高(ダイアン・ウィーストがアカデミー賞助演女優賞を受賞)。もう1本はミラ・ソルヴィーノがアカデミー賞助演女優賞を受賞した「誘惑のアフロディーテ」。横長の版型にエッセイ、ジャズ・ピアニスト、ディック・ハイマン(ウディ・アレンの多くの作品に参加。「マンハッタン」「ラジオ・デイズ」「ハンナとその姉妹」「ブロードウェイと銃弾」などのサントラの中にピアノでクレジットされています)のインタビュー、シナリオ採録も掲載されています。ちなみに「誘惑のアフロディーテ」、とてもウディ・アレンらしい作品なのに未DVD化(日本版)です(画像はUS版)。

Allen_1


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2006-06-06

大島依提亜さんのパンフレット・デザイン

映画季刊誌「QRANK vol.15」の宣材グランプリのコーナーで、前述「ウディ・アレンとパンフレット」の中で取り上げていた、近作「さよなら、さよならハリウッド」「メリンダとメリンダ」「僕のニューヨークライフ」をデザインした大島依提亜さんが紹介されています。確かにこの3作品のバリエーションは際立っていて、次回作はどうするのでしょう?と、勝手に心配してしまいます。次のウディ・アレン公開待機作品は欧米共に評価の高いスリラー「マッチ・ポイント」ですが、まさか、テニスボール型とかラケット型なんてことになったりなんかして‥。(あと、テニスボール型ガチャガチャ仕様とか‥)。いずれにせよ本編共々、スゴク楽しみしています!!ちなみに「かもめ食堂」のプレスシートや「ほえる犬は噛まない(「リンダ リンダ リンダ」のぺ・ドゥナが本格的女優業をスタートした作品。やっぱり走ってますよ〜)」のフライヤーなども大島さんのデザインです。

QRANK
http://www.qrank.net/

Match Point [Music from the Motion Picture]

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2006-06-03

ウディ・アレンとパンフレット

毎回、楽しみにしているのがウディ・アレンの映画パンフレット。ミニシアター系での上映に変わってからのバリエーションの多さは特筆もの。公開順ではありませんが以下の通り。「僕のニューヨークライフ」2種類の折り畳んだマップ仕様で出来ていて、片方にはホントにマップ(New York old mop)が描かれていてロケーションガイドになっています。(更に表紙がマップフォルダ仕様)「ギター弾きの恋」黄色のパンフ本体を収納するアウターケースのショーン・ペンの座っている月が切り抜かれていて本体の黄色が見える、おしゃれな仕様。「さよなら、さよならハリウッド」ヴァル(ウディ・アレン)のびっくりメガネ(スリーヴのウディ・アレンのメガネ部分が型抜きされていて下地の縦波線柄が動いて目が回っているように見える)と「すごろく」付き。「地球は女で回ってる」シーンを掲載したミニブック(ホントにミニ)付き(危うく無くしかけましたが‥)「おいしい生活」表から見ると普通のパンフレット、反対から見ると映画シーンによるPhotoコミック仕様(セリフの吹き出し付き)。「メリンダとメリンダ」喜劇と悲劇の2つの話通りにパンフも左右別々にThe Comedy VersionとThe Tragedy Versionに分冊されたものが貼付けられています。「セレブリティ」タブロイド紙をイメージした超大型パンフ(ポスターのように巻いてビニールに入れて発売されていました)。あと、サイズではCDよりひと回り大きい正方形の「スコルピオンの恋まじない」も物語同様、小粋です。最後に「世界中がアイ・ラヴ・ユー」。オーソドックスですが縦に長い版にシナリオ採録も収録されていて色もデザインも綺麗で個人的には一番良いと思っています(淀川長治さんの嬉しさ溢れた批評が素晴らしい。「これぞ今年のベストワン」と書いている通り、ホントにベストワンに選んでいました)。

追記1
「世界中がアイ・ラヴ・ユー」のパンフレットデザインは、TV情熱大陸にも登場した鈴木誠一デザイン室によるもの(村上龍さん他多数の作家の装丁を行っています)

追記2
「セレブリティ」は当時のレオナルド・ディカプリオ人気(「タイタニック」公開後)に伴ってロードショー系の上映でした。

さよなら、さよならハリウッド メリンダとメリンダ オリジナル・サウンドトラック

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