2017-08-17

『オクジャ/Okja』ポン・ジュノ監督、アン・ソヒョン、ティルダ・スウィントン、ポール・ダノ、ジェイク・ギレンホール、他

オクジャ/Okja
Okja

監督 : ポン・ジュノ
出演 : アン・ソヒョン
ティルダ・スウィントン
ポール・ダノ
ジェイク・ギレンホール
リリー・コリンズ
スティーヴン・ユアン
ピョン・ヒボン、他

物語・心優しい巨大生物オクジャと一人の少女ミジャ、そしてお祖父ちゃん。田舎で平和に暮らしていた彼らが、現代社会の科学倫理と動物愛護主義、企業欲の醜い争いの渦に巻き込まれていく。

Okja

Memo
本年エポックメーキングな出来事として記憶されるであろうストリーミング配信によるポン・ジュノ監督新作。
本作のためにNetflixに入った知人が3人(無料期間でお試しだったけれど、湯浅政明監督『デビルマン』もあるし、そのまま継続。コンスタントにオリジナル新作映画が送り出され、アーカイヴとしてもメル・ブルックスからドラン監督、映画祭のみで公開されていた作品など全方位的リサーチ力にしてまったくもって"沼"である。←また、知人と意見の一致をみたのが、もし劇場公開されたら既に見ていたとしても絶対に観に行くということ。これすごく重要なポイントだと思う)
音も良い!
(韓国パートでの高速道路、トンネルに入った瞬間途切れる音のタイミングなど緩急極まる使い分け←良い音の劇場で見たいなぁ…)
入口天国、出口は地獄。
前半、誰もが思うは宮崎駿作品(トトロやもののけ姫の森)
後半はこれまた多くの方が書かれていたアウシュビッツ収容所の如き、暗黒食肉工場。
(これ、本当に通常の映画会社だったら絶対NGな内容)
列車内という移動制限される中という設定と初の英語劇ということもあってか『スノーピアサー』では100%ポン・ジュノ印が出てなかったように思うけれど、本作は時にスピルバーグ、時にテリー・ギリアム、時にエミール・クストリッツァ感が復活していてめちゃくちゃ面白かった。
ティルダ・スウィントンが『スノーピアサー』に続いて(もはやポン・ジュノ組と呼べるほどの馴染み具合で)怪演(ミランド双子姉妹ネタは、もう少しふくらませられそうな気もするけれど、そうなると本線から逸脱するほど濃いキャラになるか…笑)。
そして、出てくるだけで不安と不穏当な気分にさせてくれる(マスクの下のおよいだ眼)ポール・ダノ(環境保護団体ALF・ジェイ)。
『ナイトクローラー』でキレた眼をしていたジェイク・ギレンホールがハイテンションで演じたジョニー・ウィルコックス博士(動物学者公式キャラクターって 笑)
ミジャ、オクジャとその語感からもわかるとおり、どちらかというと兄弟姉妹(時に母親のようでもありますが)のような、ふたり関係(ひとりと一匹)。
「夕食の時間だよ~」とお祖父ちゃんの山中放送。
急いで危ない崖っぷち近道を通ろうとするミジャに嫌な顔を浮かべるオクジャ。
すると案の定、本当に危ない目に。
そのあとオクジャの「ほらぁ、言わんこっちゃないでしょー」というミジャに対しての態度 笑
(しばらく見ていると、このミジャを演じた子役アン・ソヒョンの顔がオクジャにそっくり!)
撮影ダリウス・コンジはウディ・アレン作品が続いていたけれど、このようなタイプの凄いデジタル撮影を行っていたことに驚き。
カラコレも素晴らしい。
に映えるの色。
一転して、研究所、工場内のダークな色調。
お祖父ちゃんを演じていたのが『ほえる犬は噛まない』のピョン警備員(こちらは犬を……ている。この頃から"食"に!?)と『ほえる犬は~』パンフレットデザインの大島依提亜さんツイートで気づく。(どこかで見た顔だなぁ、と思いつつ、喋り方が変わっていないけれど見事なお爺ちゃん役者に!)

Okja/オクジャ
Netflix (ネットフリックス) 公式サイト
https://www.netflix.com/title/80091936

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2017-06-04

"地球の果てまでつれてって"『美しい星』三島由紀夫原作、吉田大八監督、リリー・フランキー、亀梨和也、橋本愛、中嶋朋子、佐々木蔵之介、他

注・内容、台詞、ラストに触れています。
美しい星

原作 : 三島由紀夫
監督 : 吉田大八
出演 : リリー・フランキー
亀梨和也橋本愛
中嶋朋子佐々木蔵之介、他

物語・予報が当たらないと話題の気象予報士・重一郎(リリー・フランキー)は、さほど不満も なく日々適当に過ごしていた。ある日、空飛ぶ円盤と遭遇した彼は、自分は火星人で人類を救う使命があると突然覚醒する。一方、息子の一雄(亀梨和也)は水 星人、娘の暁子(橋本愛)は金星人として目覚め、それぞれの方法で世界を救おうと使命感に燃えるが、妻の伊余子(中嶋朋子)だけは覚醒せず地球人のままで…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Hoshi

Memo1
ブログメモ・タイトルには三島由紀夫の書斎に亡くなるまで掲げられていた絵の作者であり「写真集・薔薇刑」デザインも行ない親交の深かった、横尾忠則による著書名『地球の果てまでつれてって』を。
(敬称略、以下本文も)
スコープサイズに浮かぶ亀梨和也×佐々木蔵之助演ずる政治家秘書・黒木(宇宙人?)との夕刻オレンジ色の議員会館シークエンス。
そしてリリー・フランキー×佐々木蔵之介(最初は亀梨和也と)によるディスカッションシークエンス。
どこか既視感あるかと思っていたら『ウルトラセブン』だった!
(ネタバレ防止策として鑑賞後まで関連記事読んでいなかったため、監督自身が「ウルトラセブン」や「岸辺のアルバム」「ときめきに死す」などに触れていて、なるほどと頷くことしきり)
そして、見た目へんてこりんな映画にして、その実、バックボーンに描かれていることが凄まじい。
このブログメモを書いている途中にアメリカのパリ協定離脱のニュースが流れてきて、このタイミングでこれ!?と絶句してしまった。
ホントに気象予報士が火星人のポーズ取るぞ!(シャレじゃなくって)
開巻、すぐ。
家族がそろっての長男、一雄(亀梨和也)の誕生日を祝う食事会。
「ミラノ、また行きたいな」
「そんな余裕無いでしょ」
イライラしながら長男を待つ重一郎(リリー・フランキー)。
ここでのバラバラな空気が覚醒後、それぞれの経路を経て、ラストへと繋がっていく。
前述『ウルトラセブン』的ディスカッションシーン。
「そうなることがわかっていながら」
「どうして引き返さなかった」
「心のなかではきづいていながら、未来を見殺しにしたんだよ」
「痛みは俺たちが背負うんだ」
「家族として話そう」
(ここまで重一郎×一雄)
「地球に救う価値はありますか?」
「あるに決まってるじゃないですか」
「こんなに美しい星なのに」
「考えてみてください。自然が美しいのではなく、自然を美しいと感じるんです、人間が」
「しかしその自然に、人間は人間を含めない。究極の美しい自然には、人間は存在しない」
「この矛盾を解決する方法はひとつです」
「われわれは手助けをしたい」
「ほんとうの意味で美しい星のために」
   ……
(ここのディスカッションシークエンスは音楽の入るタイミング、アングル含めて本作の肝たる部分のひとつ)
原作と違って唯一、地球人として描かれる母、伊余子(中嶋朋子)
「お父さんが火星人だって言うのなら、つきあいたいの私も。地球人として」
"美しい水"勧誘ビジネスに手を出していたのも本当は家族でもういちど旅行とか行けたらいいな、と思ってのことということも吐露される。
原作にも出てくる台詞がラストに。
暁子(橋本愛)が光の射す方を指さして。
「お父さん、来たわよ」
円盤の中(らしい)
「ここってもしかして円盤」
「いつの間に乗ったの」
(いかにもワレワレハウチュウジンダ的な声の応答)
「さあ、帰ろう。故郷でみんなが待っている」
慌てる重一郎が画面奥の窓に向かって行く。
「ドウシタノデスカ」
「ドウシタノデスカ」
「ワスレモノデスカ」
「ワスレモノデスカ」
窓から地球(Home)を見下ろすと手を振る大杉家(Home)の姿が。
『美しい星』というタイトルと呼応するシーンが末期ガンの父、重一郎を連れて家族で円盤の地(地名は出ないが立ち入り禁止区域看板や突然の牛の登場などから福島だと推測できるように描かれている)へと向かう車中から見える東京の街の姿。
このシーンは音楽と合わさって、映画ならではと言える不思議とジーンとさせられる場面でもある。

三島由紀夫文学館で企画展「三島文学とその映画『美しい星』と三島由紀夫映画化作品」が開催中。
直筆原稿、創作ノート(表紙に「わが星雲」「銀河一族」「銀河系の故郷」など未決定だったタイトルがいくつか)など展示。
http://www.mishimayukio.jp/index.html
原作『美しい星』が発表された年が1962年。
(なんといってもロシアはソ連だしフルシチョフが出てくる冷戦時代の頃のお話。キューバ危機は1962年)
キューブリック監督『博士の異常な愛情』が1964年(シドニー・ルメット監督『未知への飛行』も)
そして、個人的思い入れで言うと太陽系惑星連合と聞いて想起したのは手塚治虫『W3』での銀河連邦(1965年)。
それらの作品が続々と生み出されていく前に『美しい星』が執筆されていたことを考えると、三島由紀夫のその先鋭性、時代性に驚かされるばかりである。
さらに、その原作を現代に置き換えて軽々しく飛び越えていった脚色による本作『美しい星』は後年、(いろいろな意味で)ひとつのエポックメーキングとして語り継がれていくことになるのでは?と思っている。

Star

Memo2
パンフレットデザインは岡野登(サイファ。)
(写真は2点共パンフレット表紙)
本文40P。
監督・出演者インタビュー、コラム2点
筒井康隆スペシャルコラム。
そして火星人と金星人の振付け付き。

映画『美しい星』公式サイト
http://gaga.ne.jp/hoshi/


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2016-06-11

2016年の『エクス・マキナ(Ex Machina)』アレックス・ガーランド監督、アリシア・ヴィキャンデル、ドーナル・グリーソン、オスカー・アイザック

注・内容、他含めネタばれしています。
エクス・マキナ
Ex Machina

昨年5月にエクス・マキナ(Ex Machina)-原題(2015-05-24←ブログTBはこちらの記事へお願いします)のタイトルでブログメモを書いたときは、まだ未公開だった作品が遂に日本公開!

その時点で書いたブログメモを読み返してみると、まだキャストも(無名とまでは言わないけれど脚光をあびるほどの)有名さではなく、さらにアカデミー賞視覚効果賞を受賞するとは誰も予測しえなかった作品。
(アリシア・ヴィキャンデルが『リリーのすべて』でアカデミー賞助演女優賞を受賞することも)

そして最も驚くべき点は、今年、人工知能が囲碁で勝利するという2015年末でも予測できなかった事態が現実となっていること。(後述『WIRED』No.20の人工知能特集でも「囲碁という謎」というタイトルで"人工知能はいまだ棋士に勝つことができない"とレポート記事が書かれている)

Em2

Memo
監督アレックス・ガーランドへのインタビュー
・「イギリス版 MIT といえるインペリアル・カレッジの認知ロボット工学教授のマレー・シャナハンが書いた本に出合ったときは、その主張に強く共感した」
(教授はじめ、他の何人かに脚本を厳しくチェックしてもらったとも)
・「ぼくが思うに、この映画には互いにまったく独立したふたつの要素がある。ひとつはAIと意識に関するものだけど、もうひとつは人の社会の成り立ちに関するものなんだ。つまり、どうしてこの男は20代前半の女の形をした機械をつくり、テストのためと言ってそれを若い社員に託すのかという問題だね」
・AIと倫理についての最近の議論はフォローしていますか?の質問に答えた後「では、スカイネット(『ターミネーター』シリーズに登場する人類を滅ぼす人工知能 )については心配していないのですね」の問いに。
「ある意味、歓迎するね。人間はこの星で滅びるんだ。それは環境破壊のためかもしれないし、太陽系や太陽で起こる変化のためかもしれない。でもそれが起こるとき、われわれは決してワームホールを通り、別の銀河に行って、古くからある生存可能な惑星を見つけることなんてない。そんなことはありえなくて、われわれの代 わりに生き残るのは AI なんだ。 もちろん生みだせればの話だけど。 問題はなにもない。むしろ望ましいことだよ」
アリシア・ヴィキャンデルへのインタビュー
「Ava に意識があるのかないのかは、見た人が自分自身で判断しなければならないの」
「そして、意識はどこから生じるか。いつ生じたのか。最初からプログラムされているものなのか。何が本質的で、何が環境に依存しているものなのかもね」
上記2本のインタビュー『WIRED.20』より抜粋
NHK『SFリアル』といった番組が放送された。
番組のラスト、このシーンで締めくくられる > 1980年代にコンピュータへのハッキングをきっかけに核戦争が始まる危険性を描いた映画『ウォー・ゲーム』映画の終盤、暴走し始めたコンピューターは核戦争に勝つ方法をシミュレーションし始める。人々はそれを止めようと奔走する。
そしてコンピューターが最後に出した結論。「ウォーゲームに勝つ唯一の方法はゲームを始めないことです」それは戦争を始めないことだった。
「それよりチェスをやりませんか?」
おそらく本作はじめ、ここ数年の人工知能関連の映画や小説に多大なる影響を与えたと思われるレイ・カーツワイルの著書(本当に大著!)「ポスト・ヒューマン誕生―コンピュータが人類の知性を超えるとき」のエッセンス版「シンギュラリティは近い [エッセンス版]―人類が生命を超越するとき」が今年、発刊されました。(←原著が、やや冗長的な部分が多いので、めちゃくちゃ読みやすかった!)
『エクス・マキナ』の、その先。
(さて、何が起こるのか…)
シリコンバレーには既にシンギュラリティ・ユニバーシティ(Singularity University)という教育機関も存在している。
Singularity University
http://singularityu.org/
マット・カーティスによる美しいエンドタイトル。
Ex Machina titles - Fonts In Use
http://fontsinuse.com/uses/10043/ex-machina-titles
※Inspireを受けたデザイナーが幾つかのタイトルシークエンスを作っている方が多々。

Ex3

映画『エクス・マキナ』公式サイト
http://www.exmachina-movie.jp/

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2016-06-07

『海よりもまだ深く』是枝裕和監督、阿部寛、樹木希林、真木よう子、吉澤太陽、小林聡美、池松壮亮、他

注・内容、台詞に触れています。
海よりもまだ深く

監督 : 是枝裕和
出演 : 阿部寛樹木希林
真木よう子吉澤太陽
小林聡美
池松壮亮
リリー・フランキー、他

物語・15年前に1度だけ文学賞を受賞したことのある良多(阿部寛)は「小説のための取材」と理由を付けて探偵事務所で働いている。良多は離婚した元妻の響子(真木よう子)への思いを捨てきれず、響子に新しく恋人ができたことにぼうぜんとしていた。良多、響子、息子の真悟(吉澤太陽)は、良多の母・淑子(樹木希林)の家に偶然集まったある日、台風の一夜を皆で過ごすことになり…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

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Memo1
脚本の1ページ目に書かれたという、この言葉がそのまま問いかけでもあり(しかし答えがあるわけではない)、監督のまなざしでもある。
「みんながなりたかった大人になれるわけじゃない」
かつて、夏休みにお祖父ちゃん、お祖母ちゃんのいる田舎へ帰るというと"今住んでいる場所より遠く離れた自然のある場所"をイメージしたものだが、それがいつの間にか"電車やバスに乗っていける場所"(さらに、それが団地)に変わっていったのはいつ頃のことだろう?
『海街diary』地上波放送された際に、ふと思ったこと。
CMが入って細切れになっているのだが、普通に流し見として成立すること。それも、おそらく途中から(CMとCMの間のシーンだけ)見たとしても、ちょっと見入ってしまう(入っていける)という不思議な感覚をもった。
もしかするとテレビドラマ『ゴーイング マイ ホーム』を撮った辺りから、意図的に何かそういったことをされているのかなぁ、と。
(刊行されたばかりの著書『映画を撮りながら考えたこと』の中で言及されているかは未確認)
キネ旬、川本三郎さんの連載「映画を見ればわかること」で『海よりもまだ深く』が成瀬巳喜男監督作品を想起させたことについて書かれていて、なるほどなぁ、と納得することしきり。
(川本さんの著書でも成瀬作品はとにかく情けない男とお金の話が出てくると書かれていたけれど、本作もまさに。
本作で重要な台風のシーン、『山の音』にも台風が出てきたことも(←こちらは前半、ろうそくのあかりのもと、すごく饒舌になる登場人物)
『公園対談 クリエイティブな仕事はどこにある?』(是枝 裕和、樋口 景一・著) の中にあったQ&A. 是枝監督が仕事に対する心構えや姿勢について影響をうけた映画1〜3本→ケン・ローチ『ケス』侯孝賢『恋恋風塵』成瀬巳喜男『稲妻』
(そういえば『稲妻』から受ける雰囲気と本作、ちょっと似てるかも?)
テレビドラマ『ゴーイング マイ ホーム』(主人公の名前が『歩いても 歩いても』『海よりもまだ深く』と同じ良多。演じたのが福山雅治による『そして父になる』の主人公も同名)
本作が不在(亡くなっている)であることで存在が浮かび上がる(ラストで明かされる父親の隠された部分。硯のくだり)ことに対して、こちらは父親との話。
これ、今、再放送かけられたらいいのに。
『空気人形』のロケ地として最初、団地をさがしていた話が【東京人】(2009年11月号)に 〜 「僕は公団育ちなんです。40年ぐらいたつ公団なので、今では子供も少なく、お年寄りの一人暮らしが多くなっている。子供の頃に遊んだ芝生は立ち入り禁止だし、夜もまばらにしか灯りがつかない。集合住宅なのにみんなバラバラに住んでいます」
(この部分、後述良多の台詞に)
台詞いろいろ。
(特に冒頭あたりの、何気ない会話シーンを確認したくて2回目鑑賞の際、最後列1番端の席で迷惑にならないようにメモした)
・開巻すぐ
良多の姉・千奈津(小林聡美)と母・淑子の会話。
「宛名ぐらい自分で書きなさいよ」
「手がね、ほら」
(手をぶらぶらさせる)
「やめなさいよ、ドリフじゃないんだから」
「父さん。字だけはうまかったわね」
「大器晩成ってやつじゃない」
「うちにも一人いるけど」
「ま、大きいことは大きいけどね」
・良多と母、淑子との会話。
ベランダから階下を見ている良多
「静かだなぁ」
「もう遊ぶ子どももいないから」
「俺らの子供の頃は野球するのでも芝生の奪い合いだったけどね」
・「あんた覚えてる、みかん」
「俺が高校の時、種、植たやつだろ」
「花も身もつかないんだけどね。あんただと思って毎日水やってんだよ」
(この、なんともいいようのない言い回しの上手さ)
「なんかの役にはたってんだよ」
・妹について良多の台詞
(でも、その実、妹にも借金をしにいっていたりする)
「気をつけたほうがいいよ、あいつ何考えてんだかわからないんだから」
「かじるスネなんて残ってませんよ」
・川本三郎さんが(前述キネ旬の前号)『歩いても歩いても』にも出てきた蝶々の件(くだり)についても書かれていて、そのシーンの台詞。
「この道歩いてると蝶々がね、あとをつけてくるのよ」
「お父さんかと思った」
「まだ迎えにこないでくださいよね」
・(あー、まだまだたくさんのセリフたち。きりがないのでこれぐらいで。時々、追記して、ずらりと並べるかも)
興信所、所長(リリー・フランキー)が、ポツリと言う台詞
「時代に感謝しないとなぁ、ちっちゃい時代に」
歌謡曲の歌詞から連想されたというタイトル。
いしだあゆみ「ブルーライトヨコハマ」→『歩いても歩いても』
テレサ・テン「別れの予感」→『海よりもまだ深く』

Memo2
いつも印象的に残る食事シーン。
フードスタイリストは飯島奈美さん。
前作『海街diary』がしらすカレー
本作はカレーうどん(母・淑子による隠し味手法も披露!)

Koreeda
広告美術は葛西薫さん。
ちなみに「幻の光」から「花よりもなほ」「歩いても歩いても」は葛西さんによるアートディレクション「そして、父になる」は服部一成さん「空気人形」「海街diary」は森本千絵さんによるもの。

映画『海よりもまだ深く』公式サイト
http://gaga.ne.jp/umiyorimo/



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2016-03-10

"DAISY BELLのメロディが聴こえる"『オートマタ(Autómata)』ガベ・イバニェス監督、アントニオ・バンデラス、メラニー・グリフィス、他

注・内容に触れています。
オートマタ
Autómata

監督 : ガベ・イバニェス
出演 : アントニオ・バンデラス
メラニー・グリフィス
ビアギッテ・ヨート・ソレンセン
ディラン・マクダーモット
ロバート・フォスター

物語・太陽風の増加が原因で砂漠化が進み、人類存亡が迫りつつある2044年。人間に代わる労働力としてオートマタと呼ばれる人工知能搭載ロボットが人々の生活に浸透していた。さらに、生命体に危害を加えない、自身で修理・改善しないというルールが製造時に組み込まれており、人間との共存に支障が出ないシステムが確立されていた。そんな中、オートマタ管理者ジャック(アントニオ・バンデラス)は彼らが自発的に修理を行っていたのを知って驚く。その首謀者と目的を探る彼だが思わぬ事実に突き当たる。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Automata

Memo1
元々の語源から機械人形ないしは自動人形。人工知能とシンギュラリティを扱った「エクス・マキナ」(2016年3月時点未公開←そろそろ公開を←ブログ内で何度も言ってますが)が"機械仕掛けの〜"というタイトルがついていることも興味深い。
そして本作、既視感が多々。(ディストピアなイメージは多くの方が指摘している通り「ブレードランナー」世界。またガラクタに囲まれたガジェット感は「チャッピー」「WALL・E/ウォーリー」と。)
しかし、いろいろ寄せ集めた感や全体に雑なイメージがあるにも関わらず、何故だか鑑賞後の全体の印象は好ましい。
レイ・カーツワイルによるシンギュラリティ(技術的特異点)が起こると予想されている2045年。その前年、2044年の物語。
おそらく実世界でも"まかり間違えば"そうなるであろうことが予測される量子コンピュータの件(くだり)も見せてほしかった。
(個人的には実世界でシンギュラリティは起こらずにプレ・シンギュラリティの段階で別の方向へいくと思っていますが…)
ふたつのプロトコル
(アシモフのロボット三原則の第一条を思い起こさせる。プロトコル2はまさにシンギュラリティへの予防線)
1st Protocol
:
Prevents The Robot Cannot Harm Any Form of Life.
2nd Protocol :
Prevents The Robot Cannot Alter Itself or Others.
1.全ての生命体への危害の禁止
2.自他のロボットの修理・改善の禁止
メラニー・グリフィスを久々に見た気が…と、思ったら「あれれれ」という呆気無さで撃たれてエンド。(アントニオ・バンデラスと2015年に離婚しているので撮影中に何かあって出演部分が縮まったのでは?と、穿ったことも考えてみたり…)
この博士役、やたらと「ドクター」と言い直させたりする、ちょっと面白そうな役だったのでちょっと残念。
エンドクレジットの一番最後に流れるオルゴール曲
"DAISY BELL"
なんといっても世界で初めてコンピュータが歌った曲として有名。(もちろん「2001年宇宙の旅」でHAL9000が機能を失いつつ声が変わっていきながら歌ったシーンが思い浮かぶ)
その歌声。
First computer to sing - Daisy Bell
https://www.youtube.com/watch?v=41U78QP8nBk
さらにアントニオ・バンデラス演じるジャックとオートマタ : クレオとのダンスシーンで使われた曲が「ラ・メール(La Mer)」(「裏切りのサーカス」!)

Memo2
タイトルデザイン他、ポスター、リミテッドポスターデザイン(←これがカッコイイ!)など
Robots,City,Opening and End Title Design
USER T38
http://usert38.com/filter/design/AUTOMATA
カラーグレーディング > COLORSPACE MEXICO
http://www.colorspacemexico.com/
The Art of VFX記事
AUTOMATA: VFX Breakdown by Worldwide FX
http://www.artofvfx.com/automata-vfx-breakdown-by-worldwide-fx/

映画『オートマタ』公式サイト
http://automata-movie.jp/

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2016-02-07

"火星の砂の色"『オデッセイ(The Martian)』リドリー・スコット監督、マット・デイモン、ジェシカ・チャステイン、マイケル・ペーニャ、クリステン・ウィグ、他

注・内容、台詞に触れています。
オデッセイ
The Martian
原作:アンディ・ウィアー
監督:リドリー・スコット
脚本:ドリュー・ゴダード
出演 : マット・デイモン
ジェシカ・チャステインマイケル・ペーニャ
クリステン・ウィグショーン・ビーン
キウェテル・イジョフォー
ジェフ・ダニエルズ、他

物語・火星での有人探査中に嵐に巻き込まれた宇宙飛行士のマーク・ワトニー(マット・デイモン)。乗組員はワトニーが死亡したと思い、火星を去るが、彼は生きていた。空気も水も通信手段もなく、わずかな食料しかない危機的状況で、ワトニーは生き延びようとする。一方、NASAは世界中から科学者を結集し救出を計画し、仲間たちもまた大胆な救出ミッションを敢行しようとしていた。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Martian_1

Memo1
冒頭、突然の砂嵐により火星に取り残されることとなったワトニー。
その際、吹き飛ばされアンテナの一部が腹部に刺さり負傷するも、次に何をなすべきかの瞬時の判断、冷静さと手際よさによる手術などが描かれ、ここだけで主人公の(こういう人物ならと)資質が伺える見事なシーン。
そして、問題となる水や食料、通信手段などの問題点をユーモアを交えて次々とクリアーしていく。
DIY精神溢れるなぁ〜、と思ったのは宇宙服にカッチリ止められてるガムテープ(宇宙だからガムテープではなくて特殊な素材の養生テープだと思いますが)←これのおかげでヘルメット破損時に助かったりするシーンも。
ジェシカ・チャステインにマット・デイモンというと、どうしても『インターステラー』の事を思い出してしまう妙な(そして嬉しい)繋がり。
("あの星"にただひとり残っているアン・ハサウェイの姿とかも)
火星のワトニーと地球でのNASAやJPL、ブースター協力をすることを申し出た中国の宇宙局との救出作戦の進行具合。ヘルメス号乗組員と地球との家族のやり取りなどがDavid Bowie『STARMAN』が流れる中、カットバックで描かれる。
中でも笑ったのが地球で帰りを待つ夫が「これをフリーマーケットで手に入れたよ」とオリジナルのABBAグレイテスト・ヒッツのレコードをケリーにみせるシーン。(←後述通り70年代ディスコサウンドファンのケリーはめちゃくちゃ嬉しそうに笑う)
そういえば本作、NASA・アニー役のクリステン・ウィグがベン・スティラーと共演した『LIFE!』にも作品中屈指のシーンにボウイ『Space Oddity』が使われていた繋がりも。
宇宙船ヘルメス号でジェシカ・チャステイン演じるケリー船長が船内移動するシーンが惚れ惚れするぐらいカッコイイです。
(宇宙なので上下ありませんが画面上)下降して斜めに通路に入っていくあたり、いかにも慣れてる感が。
ずっと記録用のGoPro(カメラ)に話しかけるワトニー(『キャスト・アウェイ』でバレーボールを友として話しかけるトム・ハンクス想起)。
マット・デイモンが実にうまく、いろいろなトーンで話しかけるので単調になるかも?と思ってた危惧はふっとぶほどの名調子。
そして「Hot Stuff」「Waterloo」そして(あまりにピッタリなw)「 I Will Survive」などのディスコサウンドに彩られ(ワトニー曰く"絶望的なことに"船長の選曲の趣味 笑)その音楽も相まっての独特の風合いをもたせている。
マイケル・ペーニャが『アントマン』に続いて"おいしい"役どころ。
最後の最後まで、こんな調子(という台詞)
ケリー船長がワトニーをヘルメス号近くで確保した瞬間。
「あなたの音楽の趣味は最悪だ」
これぞ"余裕のユーモア"

Memo2
"火星の砂の色"
『アラビアのロレンス』のロケ地として有名なワディ・ラム砂漠で撮影された屋外シーン。
それらと室内セットとの砂の色を合わせ、さらに火星の砂の色として調整されている。
そのカラーグレーディング(色彩調整)に関してのデモンストレーション動画
Step by step demonstration of a color grading process.
https://vimeo.com/145806739
MPCによる動画
VFXメイキング映像。
The Martian VFX breakdown
https://vimeo.com/152962689
Main Title DesignerはMatt Curtis
End TitleはSCARLET LETTERS
↓こちらはMovie titles and typographyによるリドリー・スコット監督作品のタイトルデザイン記事(タイトル部分の画像あり)。
http://annyas.com/screenshots/directors/ridley-scott/

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映画『オデッセイ』オフィシャルサイト・公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/odyssey/

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2016-01-29

『イット・フォローズ(IT FOLLOWS)』デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督、マイカ・モンロー、他

イット・フォローズ
IT FOLLOWS
監督 : デヴィッド・ロバート・ミッチェル
出演 : マイカ・モンロー
ジェイク・ウィアリー
キーア・ギルクリスト、ダニエル・ゾヴァット
オリヴィア・ルッカルディ、リリー・セーペ、他

物語・ある男と熱い夜を過ごす19歳のジェイ(マイカ・モンロー)だったが、彼は突如として彼女を椅子に縛り付けて奇妙な告白をする。それは性行為をする ことで、ほかの者には見えない異形を目にするようになり、彼らに捕まると殺されてしまう怪現象を相手にうつすことができるというものだった。さらに、その 相手が異形に殺されたら怪現象は自身に戻ってくるという。信じられないジェイだったが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

If

Memo
スコープサイズをいかしたカチッとした画作り。
(POVではなくカメラぶれぶれが無いのがよいなぁ〜)
主観としてはジェイの目を通した樹々のざわめきや栗鼠や小鳥、小さな草花に触れる手などに特化している。
(それぞれのショットがジェイの感応性、感受性を感じさせているあたりが凡百な"怖がらせ映画"とは違ったものにしている)
一ヶ月足らずで撮影された低予算映画ということもあってロケ地が監督の地元、ミシガン州デトロイト。
冒頭、ジェイとヒューが映画を見に行った劇場がRedford Theatreで「おぉっ!」となった。(美しい劇場!)
↓こちらは劇場オフィシャルサイト
http://redfordtheatre.com/
一部特別上映されただけの「アメリカン・スリープ・オーバー」を監督したデヴィッド・ロバート・ミッチェルだけあって青春ホラー映画の趣き。
(お泊り会メンバーがいつも同じで、しかも同じ家。そして家族不在)
そのお泊り会メンバーのなかのひとり、ヤラが使っている電子書籍リーダーがシェル型であったりテレビがブラウン管だったりと、いつの時代のどのような場所なのかが特定できない感じがよい。
見えているものと見えないもの。
"それ"が移った人には見える、が、観客もそれが実際の人間なのか"それ"なのかは区別がつかない。
それ故のラスト。
ジェイとポールの後ろに見える人は"それ"なのか人間なのかはわからない。
(前段のポールが取った行動から察するにおそらくは…。)
本作のもうひとつの特異点が音楽。リチャード・ヴリーランドによるエレクトロサウンドが全体の印象を決定づけている。
ジョン・カーペンター監督「ザ・フォッグ」や「サスペリア」(ゴブリン!)の風合いを想起した。
さあ、これから何か起こるぞ!といった使われ方ではなく空間を広げていくようなサウンドが素晴らしい。
ジェイのヴォイスオーバーによる台詞。
(ある意味、気になる台詞ではある。ラスト、既にジェイとポールは"それ"になっているのかもしれないという飛躍的オチともとれる)
「最も恐いことは死の瞬間に1時間あとか、あるいは1分後かに魂が体から抜けて人間でなくなるという、そのことを知ることだ」

映画『イット・フォローズ』オフィシャルサイト
http://it-follows.jp/

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2015-11-12

『アデライン、100年目の恋(The Age of Adaline)』リー・トランド・クリーガー監督、ブレイク・ライヴリー、ミキール・ハースマン、 ハリソン・フォード、エレン・バースティン、他

注・内容、台詞、ラストに触れています。
アデライン、100年目の恋
The Age of Adaline
監督 : リー・トランド・クリーガー
出演 : ブレイク・ライヴリーミキール・ハースマン
ハリソン・フォードエレン・バースティン

物語・サンフランシスコの市立資料館に勤務する29歳のきれいな女性ジェニー(ブレイク・ライヴリー)は、ある年越しパーティーで出会った青年エリス・ジョーンズ(ミキール・ハースマン)と恋に落ちる。彼の両親の結婚記念日に招待されたジェニーが実家を訪ねると、初対面のはずのエリスの父親ウィリアム(ハリソ ン・フォード)から「アデライン」と呼び掛けられる。それは、ウィリアムが以前真剣に愛した女性の名前で…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Adaline_1

Memo
自分だけ歳をとらずに延々と生き続けたならば…。
いつしか娘は自分の外見を追い越して人には叔母や御祖母さんと紹介するしかなくなり(実際は同年代の)何人もの人の死を見送り(代々、飼ってきたワンちゃんも)やがては自分ひとりだけになってしまう事の孤独。(誰にも真実を告げることができない孤独も)
(手塚治虫さんの『火の鳥』で出てくる不老不死の身体となった猿田彦博士の話を思いだした。あの宇宙にたったひとりとなった姿が重なる)
アンガス・ストラシー、衣装デザイナー冥利につきるブレイク・ライヴリーの着こなし。コスチュームが時代を越えたところに存在するアデラインの聡明さや品格の説得力となっているところが本作の要の部分。
ダークワインカラーのベルベット・ドレスにグリーンのGUCCIヴィンテージのコート(袖丈が七分丈になっていて、そこに黒の手袋をあわせる)
また、このコートのラインが美しい!
あと、タートルネックセーターの色合い(ブラウンとベージュ、ミントグリーン系の組合せに対しての袖口の濃い色)が綺麗。これに合わせるヴィンテージのバッグがすごくマッチしている。
(写真は下記、リンク先記事に他のファッションも含め掲載されています)
↓衣装についての記事(英文)
The Age of Adaline fashion :
modern Gucci & designer vintage

http://www.cinemazzi.com/15-blake-lively-fashion-moments-from-the-age-of-adaline-trailer-to-get-you-really-excited

本作は偶然なのか意図的なのか『インターステラー』とDeep consciousnessとしてつながっている。
『インターステラー』の主人公クーパーが自分の年齢を越えた娘マーフとの再会を果たすラスト。
『アデライン〜』での娘ではあるが見た目は祖母の年代というフレミング。その、どちらもエレン・バースティンが演じている。
エリスの父親、ウィリアム(ハリソン・フォード)の回想シーン。
若きウィリアムがアデラインのエンストしている車を助けたことで出会ったシーンから森の中でのデートシーンで流れるのがボブ・ディラン『運命のひとひねり(Simple Twist of Fate)』(ぼくが生まれたのがあまりにも遅すぎた」という歌詞が)
ジェニー(アデライン)を招いて食事のシーン。
エリスの台詞。
「イタリアの古いことわざにこんな言葉があるんだ」
「次にあげる3つのものの数を言ってはいけない」
年齢、恋人の数、飲んだワインのグラスの数
劇中、登場した本
Henry James「Daisy Miller
Janet Fitch「White Oleander
そして!!
Ray Bradbury「Dandelion Wine
「たんぽぽのお酒」!!
ラスト。
一年後のジェニー(アデライン)と娘フレミング
発端と同じ出来事が起こり再び動き出した時間。
テロメアが作動し始め、でかける際に、ふと鏡を見ると一本の白髪が…
年齢を重ねることの幸せ感をにじませる、何とも言えない素晴らしいシーンで幕を閉じる。
ブレイク・ライブリーが実年齢に相応しい役回り(目尻の皺がそのまま主人公と重なって実にチャーミングだ)
タイトルデザイン >
Main & End Title > SCARLETLETTERS

Adaline

映画『アデライン、100年目の恋』オフィシャルサイト
http://adaline100.jp/

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2015-11-05

『アントマン(ANT-MAN)』ペイトン・リード監督、ポール・ラッド、マイケル・ダグラス、マイケル・ペーニャ、エヴァンジェリン・リリー、他

アントマン
ANT-MAN
監督 : ペイトン・リード
出演 : ポール・ラッドマイケル・ダグラス
マイケル・ペーニャエヴァンジェリン・リリー、他

物語・仕事や人間関係がうまくいかず、頑張ろうとすればするほど空回りしてしまうスコット・ラング(ポール・ラッド)。別れた妻が引き取った娘の養育費も用意することができず、人生の崖っぷちに立たされた彼のもとにある仕事が舞い込んでくる。それは肉 体をわずか1.5センチに縮小できる特殊なスーツをまとい、正義の味方アントマンになるというものだった。スーツを着用した彼は、ヒーローとして活躍する ために過酷なトレーニングを重ねていくが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Ant_man

Memo
twitterにも書いたけれどSFマガジン2015年10月号添野知生さんの映画評で『アントマン』がドナルド・E・ウェストレイク、ドートマンダーシリーズのパスティーシュと知り期待度Maxで見たら、まさに"それ"(しかも『ホットロック』!)
冒頭、いきなりケルプではなくてルイス(マイケル・ペーニャ)が出所するスコットを迎えにきて‥ ってそれだけでニマニマしてしまった。
盗みに入ったものを、また返しに行くノリ(ルイスの話に乗って金庫から持ち帰ったスーツがとんでもないものだということが判ってのマッハな返し方 笑)や儲け話、いい話を小耳にはさんでスコットに持ちかけるノリ、そして窃盗団ルイス、デイヴ、カート(情報収集、ドライバー、ハッカーとドートマンダーシリーズとポジションは微妙に違いますが)とスコットとのやり取りなどまさに!!
スコットの家の方向が大変なことになっているみたいだとかけつけるものの庭先で脱線している巨大機関車トーマスのおもちゃ(笑)や巨大蟻を目の当たりにして「オヨビでない…、あ、お呼びでない。これまた失礼しましたー」と、これまたバックで去っていくあたり、まさにピム博士(マイケル・ダグラス)言うところの三バカ。
見聞きした話(ウマイ儲け話…のような話)の映像にテンポよくマイケル・ペーニャの名人芸と呼べる早口がかぶさる部分が最高。そして物語をポンポーンと前進させる(続編にも期待させる)上手さ。
ペイトン・リード監督、今まで撮ってきた作品。『イエスマン』『恋は邪魔者』『チアーズ』とリアルタイムで見ているのに監督名をしっかりと意識したのは本作が初。(『New Girl』の第1シーズンで3本監督していて、これは再チェック)
できれば『アベンジャーズ』の中に組み込まれなくていいから(ピム博士の経緯もあるから、そうも言えないけれど珍しく本作では繋がりを示すエンドロール内もしくは後のオマケシーンが無かった)、このまま単体シリーズで"スコット・ラングと3人の愉快な仲間たち&博士とその娘"のノリで撮り続けてほしい。
『ホビット』3部作の2、3作目に登場した映画オリジナルキャラクターであるタウリエルを演じたエヴァンジェリン・リリーがピム博士の娘、そしてアントマン=スコットのトレーニングコーチとなるホープ役。
このホープとピム博士、スコットと娘との関係性が軸として二重になっていて実に上手い描き方。
Main-on-End Title DesignはSarofsky
http://www.sarofsky.com

アントマン|映画|マーベル|Marvel|
http://marvel.disney.co.jp/movie/antman.html


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2015-06-24

『海街diary』是枝裕和監督、綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、他

注・内容、台詞に触れています。
海街diary
原作 : 吉田秋生
監督・脚本・編集 : 是枝裕和
出演 : 綾瀬はるか長澤まさみ夏帆
広瀬すず、大竹しのぶ、堤真一、加瀬亮
風吹ジュン、リリー・フランキー
前田旺志郎、鈴木亮平、池田貴史
坂口健太郎

物語・鎌倉で暮らす、幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)。そんな彼女たちのもとに、15年前に姿を消した父親が亡くなったという知らせが届く。葬儀がとり行われる山形へと向かった三人は、そこで父とほかの女性の間に生まれた異母妹すず(広瀬すず)と対面する。身寄りがいなくなった今後の生活を前にしながらも、気丈かつ毅然と振る舞おうとするすず。その姿を見た幸は、彼女に鎌倉で自分たちと一緒に暮らさないかと持ちかける。こうして鎌倉での生活がスタートする。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Umimachi2

Umimachi1

Memo1
原作と同じ朝、彼氏の部屋で目覚める佳乃のシーンから映画は始まる。
(携帯からスマホに。電話はかけずにメールで父親の死を知る)
原作のかぶさるような会話部分が映画の中で再現されているところと省略されているところが絶妙のバランス。
是枝監督、傑作法事映画『歩いても歩いても』に続いて「キタァー!!」と思った法事シーン(お葬式シーン)が最初と最後と真ん中に配置された構成。
父親の葬儀、祖母の七回忌、海猫食堂店主二ノ宮さん(風吹ジュン)の葬儀。
それぞれに本作のキーポイントとなるシーンが配されている。
佳乃の性格を表す台詞
(と、いうか、これだとずっと飲んでるみたいですが 笑)
・山形、旅館に着いた途端。
「あー、あ〜、ビール~」
・海猫食堂で「あー、何にしようかな」と千佳たちが迷ってる時に、すかさず「とりあえずビール」
・「3人で話しませんか」とすずの提案に。
「あー、もうめんどくさいなぁ」「梅酒!ロックで」
メイキング特番で実際の撮影前に四姉妹そろっての顔合わせ。
実際に料理を作ったり、拭き掃除をしたり、障子を張り替えたりほんとに四姉妹で生活しているような形を体験させるところからはじまる、まさに是枝監督ならではの手法。
(障子の張替えシーンは本編にも使われた)
すずと幸、佳乃、千佳とそれぞれふたりだけになった時と四姉妹全員で話している時との会話や空気の違いが実に見事に描かれている。
(人によって話す内容が知らず知らずに変わってしまうこと、ありますよね)
・すずと幸。
キッチン(台所)に並んで料理の下ごしらえ中。
「奥さんがいる人を好きになるなんて、お母さんよくないよね」
・すずと千佳。
お祖母ちゃん直伝のちくわのカレーを食べながら
「わたし、ちっちゃかったから、ほとんど父親のこと覚えていないんだ」
「また、話せるようになったら、はなし、聞かせてね」
少し間をおいて、すずが「わたし、嘘ついてたんだ。しらす丼、よくお父さんがつくってくれたんだ。」
「あと、釣りに連れてかれた」
へらぶな釣りをやっている千佳がなんともいえない嬉しそうな顔になる
(ここは、ほんとよいシーンだなぁ)
・ラスト。
幸がすずを連れて高台へ登っていく。
鎌倉の街を見下ろす、その風景は山形ですずがよく父に連れられて登った高台の景色と同じような雰囲気だ。
「わーっ」
突然、叫び出す幸
「おとうさんのバカーっ」
「すずも叫んでみて」
一瞬、躊躇するが声を限りに叫ぶ、すず。
「おかあさんのバカーっ」
抱きしめる幸
「お母さんのこと、話していいんだよ」
「ここにいていいんだよ」
幸とすず。
どことなく似ているのは、この台詞に集約される。
あの娘、子供時代を奪われちゃったんだよ
(幸は出ていった母親のかわりに小さかった妹の世話をし、すずは父親の再婚で連子のいる継母の元気苦労が絶えない上に父親の病気の看病が重なったりと…。)
それゆえの、あのラスト。
すずと同級生の風太とのシーン。
こころにとどめている本音がちらほらのぞく台詞が何度か。
山猫亭でマスター考案のしらすトーストを食べた後、風太と歩きながら。
「お父さん、あそこの店に行ってたのかも。」
「わたし、お姉ちゃんにうそついちゃった。」
砂浜に舞落ちた桜の花びら。
「もう、終わりなんだ…。山形だとこれからなんだけれど」
そのあとの桜のトンネルへ連なる美しい流れ。
また、こんなシーンも。
「わたし、ここにいていいのかな」
「おれ、三男で、女の娘期待されていたのに、あー、男かって感じで、一番写真少ないんだ」(と、なんだか、的はずれな気もするけれど精いっぱいな励ましがすずには嬉しかっただろうなぁ、と思える、これまたいいシーン)
と、他にも母(大竹しのぶ)と幸の会話など本当にたくさんのいいシーンが四季折々の自然や空気の中に綴られた、四姉妹のまさにダイアリーなのである。

Memo2
ロケ地がお馴染みの極楽寺駅や桜橋(下を江ノ電が通る高架)など定番中の定番。ちなみに原作1巻の表紙は近年「スラムダンク」OPとして観光スポット化している鎌倉高校駅前交差点踏切。
印象的な食事シーン。
フードスタイリストは飯島奈美さん。
しらす丼、しらすトースト、ちくわカレー、おはぎ、アジフライ、そして梅酒…
四姉妹の性格、キャラクターがはっはりわかるファッション。
衣装は伊藤佐智子さん。
冒頭、父親の葬儀の際の喪服の違いまでもが如実(バッグや小物、靴にいたるまで)。話題となっていた浴衣も。
撮影は瀧本幹也さん。
(パンフレット掲載インタビューより抜粋)日本家屋を美しく描いてきた名匠たちの系譜がありますねの問いに「最初に四姉妹の座り位置を決める時、是枝さんがずっと悩んでいたのが印象的でした。円卓を斜めに向けると成瀬になる。畳に対して真っすぐに座ると小津になるって」

Umimachi3

アートディレクションは「空気人形」テレビドラマ「ゴーイングマイホーム」に続いて森本千絵さん。
パンフレットの紙質が「空気人形」と同じタイプのもの。選ばれたフォント、色彩チャート(例えば、四姉妹キャストインタビューページの紫陽花をイメージさせる四色の使い美しさ)は是枝監督作品と同じ静謐さ。これはデビュー作から脈々と続いている。
(「幻の光」から「花よりもなほ」「歩いても歩いても」は葛西薫さんによるアートディレクション「そして、父になる」は服部一成さんによるもの)

映画『海街diary』公式サイト
http://umimachi.gaga.ne.jp/




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