2018-04-04

『スリー・ビルボード(THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI)』マーティン・マクドナー監督、フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、他

スリー・ビルボード
THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI

監督 : マーティン・マクドナー
出演 : フランシス・マクドーマンド
ウディ・ハレルソン
サム・ロックウェル
ルーカス・ヘッジズ
ピーター・ディンクレイジ
ジョン・ホークス
アビー・コーニッシュ、他

物語・ミズーリ州の田舎町。7か月ほど前に娘を殺されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は、犯人を逮捕できない警察に苛立ち、警察を批判する3枚の広告看板を設置する。彼女は、警察署長(ウディ・ハレルソン)を尊敬する彼の部下や町の人々に脅されても、決して屈しなかった。やがて事態は思わぬ方へ動き始め…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Board

Memo
行間を読むという表現。
映画だとジャンプカットの間合いだとか場面省略などに対して観客の想像にまかせる形となるのだろうけれど本作から受けた「行間を読む」感覚は、はじめて味わったような気がする。
それは見終わった後に湧いてくる登場人物たちの多面性。
驚くべきオリジナルの物語(脚本)。
架空の話の中で動かす人物造詣の深さ、セリフの妙(シニカルでありユーモアもあり)
人の起こす行動、考えは見ただけでは判断がつかない。
そして、時に間違った思い込みを持ってしまう。
警察署長ウィロビー(ウディ・ハレルソン)の自殺
(あとで判るミルドレッドに対して、こっそり広告料を払っていたという行動、残した手紙)
なかでもミルドレッドが小馬鹿にしていた前夫の彼女ペネロープの言葉。
なんとも薀蓄のある的を得たひとこと。
(彼女がホントに言ったの?と聞き返すミルドレッド)
怒りは怒りを来す(きたす)」
「週刊文春」連載コラムで宮藤官九郎さんが3回見たと書いた記事が出た頃にSNS等で話題になっていた「感情移入できる、できない。できないものは駄作?」論。
その意味で言うと本作は誰かに感情移入して云々の作品ではなく、その一元的ではない人間の描き方からくる「味わい」のようなものをじっくりコトコトと煮込んだスープのように楽しんだ次第。
(見終わった後にも、いろいろなシーンをじわ~と思い起こさせてくれる)

3枚のビルボードがある場所が実はミルドレッドの近所、しかも家自体が少し登った土地にあるものだから、いつも目にすることとなる。
(このことは最初の15分ぐらいまでは映らないので気がつかなかった)
そして、広告社と警察署が道を挟んだ斜め真向かいにある(まさにここも西部劇的シチュエーション)など建物の配置からして秀逸。
それまで、ふつふつとしていたものが転調(爆発)する中盤。
ワンシーン・ワンカット(ハンディカメラ)で撮られたディクソン巡査(サム・ロックウェル)が警察署長の死を知り、エビング広告社に乗り込んでレッド(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)を窓から放り投げるシーン。
ラスト。
犯人ではないが、あきらかに同様の事件を他の場所で起こした男を探しにディクソンとミルドレッドが車で向かう(しかし、迷いながら…)。
「本当にやるのか」
「それほど」
I guess we can decide along the way.

本作も『マラソンマン』『リトルショップ・オブ・ホラーズ(フランク・オズ監督版)』や『アウトレイジ』に連なる「歯科治療シーンあるよ」映画の系譜?(とも言える←逆反撃するけれど)

『スリー・ビルボード』公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/threebillboards/

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2018-03-20

If we do nothing neither are we.『シェイプ・オブ・ウォーター(The Shape of Water)』ギレルモ・デル・トロ監督、サリー・ホーキンス、ダグ・ジョーンズ、他

シェイプ・オブ・ウォーター
The Shape of Water

監督 : ギレルモ・デル・トロ
出演 : サリー・ホーキンス
マイケル・シャノン
リチャード・ジェンキンス
ダグ・ジョーンズ
マイケル・スタールバーグ
オクタヴィア・スペンサー、他

物語・1962年、米ソ冷戦時代のアメリカで、政府の極秘研究所の清掃員として働く孤独なイライザ(サリー・ホーキンス)は、同僚のゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)と共に秘密の実験を目撃する。アマゾンで崇められていたという、人間ではない“彼”の特異な姿に心惹かれた彼女は、こっそり“彼”に会いにいくようになる。ところが“彼”は、もうすぐ実験の犠牲になることが決まっており…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

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If we do nothing neither are we.
"彼"を助けないと私たちは人間ではない。
イライザが"彼"を助けようとジャイルズに必死に懇願するシーン。
手話による心の声、叫び。
(そのあとに続くシーン。ジャイルズが受けるふたつの疎外)
そして…
冒頭、イライザとジャイルズがテレビで「小連隊長(he Little Colonel)」でのビル・ロビンソンシャーリー・テンプルの階段タップダンスを見ているシーンから続くシーンへの流れがすごくいい!(音楽のタイミングも)
ダグ・ジョーンズは『パンズ・ラビリンス』の時にもその動きにパントマイム的香りが漂っていて素晴らしかったが本作はさらに!
それがイライザの手話とのやりとり、コミュニケーションの中でとても豊かな広がりをみせる。
まるでチャップリンの作品をみているようだ。
マイケル・シャノン演じる政府サイドの責任者ストリックランド。
彼が信奉するもの、それこそがモンスターだ。
アメリカ的豊かさとしての絵に描いたような画一的ピカピカ社会と規範、自己啓発、メンタルマネージメント、歪む人格…。
パンフレットで知ったけれど壁の染みが葛飾北斎神奈川沖浪裏」が描かれていたとは。気がつかなかった!(他にも鱗なども浮世絵によるモチーフ)
この映画そのものが、すべての映画に対するラブレターになっている。モンスター映画、メロドラマ、ミュージカル、スパイ映画、コメディ…いわゆるクラシカルなハリウッドムービーにしたかった。
(TV Bros. 2月24日号 ギレルモ・デル・トロ監督インタビュー)
同じインタビュー記事でカメラ(撮影/ダン・ローストセン)が一時もじっとしていなくて、すべてのシーンで水の中をたゆたうようにゆらゆらと動いていることも知りました。
(と、いうことなどを踏まえて観る2回目の楽しいこと、楽しいこと!)
多くの批評などで指摘があるとおり、わかりやすいからへのカラーアプローチ。(デル・トロ監督インタビューでもカラーパレットについて言及)
イライザのカーディガン、ヘアバンド、研究室の壁やプール、タイムカード、研究室の制服、ジャイルズのワゴン車、ライムケーキ、ストリックランドが買うキャディラック…と、とりわけ緑はベースとなる色。
それがいろづきはじめたとき(生命力として)赤に変わる。
イライザが"彼"と愛を交わした次の日、いつものバス通勤の際のヘアバンドや洋服が赤に。そしてハイヒールも。
この赤と緑といった色相環で対となる補色の関係性をパレットとして設定したことも本作の美しさのひとつだ。
日本語字幕の色。黄色はあったけれど、浅葱色というか鶯色というか、あの色は初?(やはり全体のカラートーンに配慮してのこと?白の字幕だとすごく浮いて目立ってしまうので、これは素晴らしい配慮だなぁ、と思った次第)

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あのロケ地はどこ?
WHERE WAS THE SHAPE OF WATER FILMED?
http://www.atlasofwonders.com/2017/12/shape-water-filming-locations.html
航空宇宙研究センターやゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)の家の外観、イライザ(サリー・ホーキンス)の住む家の階下にある映画館内部(撮影に使用された有名なエルジン・シアター)などのロケ地。
Main Title Designer > CAM McLAUCHLIN

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2018年 90th アカデミー賞
作品賞、監督賞、作曲賞、美術賞4冠!
パンフレットがFOXサーチライト・マガジンのVol.11仕様。
下記、画像は同じ今年のアカデミー賞で賞をわけあった『スリー・ビルボード』(Vol.10)
(そういえば本作でホフステトラー博士を演じたマイケル・スタールバーグは『スリー・ビルボード』マクドナー監督の戯曲「ピローマン」に出演していたという繋がりも)

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『シェイプ・オブ・ウォーター』オフィシャルサイト
http://www.foxmovies-jp.com/shapeofwater/

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2018-03-19

PlayそしてPray『15時17分、パリ行き(The 15:17 to Paris)』クリント・イーストウッド監督、スペンサー・ストーン、アレク・スカラトス、アンソニー・サドラー、他

15時17分、パリ行き
The 15:17 to Paris

監督 : クリント・イーストウッド
出演 : スペンサー・ストーン
アレク・スカラトス
アンソニー・サドラー
他、実際に事件に遭遇した多くの人たち。

物語・2015年8月21日、554人の客が乗るアムステルダム発パリ行きの高速鉄道タリスに、武装したイスラム過激派の男が乗り込み無差別テロを企てる。乗客たちが恐怖に凍り付く中、旅行中で偶然乗り合わせていたアメリカ空軍兵スペンサー・ストーンとオレゴン州兵アレク・スカラトス、二人の友人の大学生アンソニー・サドラーが犯人に立ち向かう。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

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Memo
とても奇妙な映画だ。
通常、事件の当事者が出演するとなると証言を交えたドキュメンタリーとなるところをイーストウッド監督はそのまま本人たち(素人)によるドラマ映画として仕立てあげた。しかも再現フィルムではなく旅日記のようなプライベートフィルムの趣きも交えながら。
(少年時代を描いたシーンが再現フィルムとも言える。と、なると構成は再現フィルムプライベートフィルムドキュメンタリーフィルムということになる)
まるで絵に描いたように観光地をトレースしていく旅。
(本当にここへ来たかったーーっ!といった意志があるわけではなくセルフィカメラに興じる若者を撮るセンター部分は緩くもあり、あぁ、こんなもんだろうなぁと思わせてくれたりと妙にリアル…リアルと書きつつ本人たちなのだからリアルも何も…)
構成としては直線状時間軸で描いたほうがサスペンス的には盛り上がるであろうところを、わざわざ細切れにしてずらす手法をとっている。
(イーストウッド監督にしてみたら、そういった撮り方、語り口は既に演じ尽くし、やりつくしてきたことなのだ)
もし、彼らがWi-Fiの入る1等車両に移っていなければ…
もし、スペンサーが救護班でなく希望通りパラシュート部隊に入っていたら…
もし、前日のパーティ含めすごく気に入ってしまったオランダにそのまま滞在してフランスへ向かわなかったら…。
そして、もし、彼ら3人が少年時代に出会ってなかったら…。
偶然なのか必然なのか…
運命なのか、宿命なのか…。
『ヒアアフター』『ハドソン川の奇跡』(こちらも、もしあの便に機長が乗っていなかったら…)と通底したテーマが浮かびあがる。
そこで出てくるのが…(映画独自?)
聖フランシスコの平和の祈り
主よ、私をあなたの平和の道具にしてください
ラストで実際に当時のフランス大統領オランドから勲章を授与されるシーン。実際の映像と今回、本人たちが新たにトレースして撮ったシーンとの境い目がわからない(そりゃあ、そうだ本人たちだもの)
イーストウッド監督はここに対して思いついたのでは?
よく実話のドラマ映画化の際、ラストに当時のフィルム、現在のことを紹介する映像がエンドクレジット前に流れたりするが本作ではまったくもってシームレス。
なんたる大胆さにして、ある種茶目っ気さえ感じる87歳イーストウッド監督の自由さを感じる。
蛇足
もし、イーストウッド監督が「世界ぶらり街歩き」のようなテレビ番組を撮ったとしたら…(撮られへん撮らへん←関西弁)

『15時17分、パリ行き』オフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/1517toparis/

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2017-12-17

転がるBB-8は苔むさず『スター・ウォーズ/最後のジェダイ(STAR WARS : THE LAST JEDI)』脚本・監督 : ライアン・ジョンソン、デイジー・リドリー、アダム・ドライバー、キャリー・フィッシャー、マーク・ハミル、他

注・内容、台詞に触れています。
スター・ウォーズ/最後のジェダイ
STAR WARS : THE LAST JEDI

脚本・監督 : ライアン・ジョンソン
出演 : デイジー・リドリー
アダム・ドライヴァー
マーク・ハミル

キャリー・フィッシャー
ジョン・ボイエガ
オスカー・アイザック
ドーナル・グリーソン
アンソニー・ダニエルズ
ベニチオ・デル・トロ
ローラ・ダーン
アンディ・サーキス、他

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『LOOPER/ルーパー』をオリジナル脚本で撮り上げたライアン・ジョンソン監督ならではの新たなる『スターウォーズ』素晴らしき始まりである。
『フォースの覚醒』はいかにもJ.J.エイブラムス監督という、そつない仕上げで再始動といった引き継ぎと新キャラクターの橋渡し的な意味合いが強かったけれど、本作は過去のさまざまなこと(ルーカス監督の根っこにある価値観、闇と光の二元論的対立構図物語軸など)から脱却していく意志が、とりもなおさず良いのだ。
そもそもがシスとかスノークとか最高指導者とか暗黒卿とかラスボス(裏で操る影の実力者)とか、そのたぐいの話にやや飽き気味だったところもあるので、あっさりスノーク真っ二つの乱暴な持って行き方が、割れたライトセーバーのごとく物語構築を壊していて、そういったところが良いと思ったポイントかも。
故にレイとレン、ふたりの構図(光でも闇でもない、そこに在るだけの何か←何かは判りません。そこは今世紀に作家や映画監督らによって生み出される新たなメンタリティや物語としての何か)以外のファーストオーダーとレジスタンスのダメダメ作戦やグダグダ展開などは、まどろっこしくはあるものの「あぁ、こんなものだろうなぁ。帝国軍のような絶対悪のイメージのない、ファーストオーダーに対しての戦い方は…」とも思いながら見ました。
そういう点では師が弟子に技術などを伝授する形(レイがルークを訪ねていったのは覚醒しつつあると思われるフォースの使い方やジェダイのことを教えてもらうため)も、ほぼ途中放棄に近い形になっている。
(カイロ・レンがファーストオーダーに加わった本当の経緯を知ってしまったことなどもあってのことだが)
さらに終盤。
あっさり燃える(ルーク、一瞬躊躇するがヨーダに落雷一撃)ジェダイの寺院にある古木。中にジェダイについて書かれた書物があったのだが、それだけでも取り出そうとするがヨーダがたしなめる。
(実は、この古書。レイがミレニアム・ファルコン号の中に持ち出していることがラスト近くで判るカットが)

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転がるBB-8は苔むさず
廻る廻る走る走る。
今回も多めに回っています。
ポー・ダメロンに「先に行って準備を」と言われた瞬間、ギュルルルーンと速度をまして走り去るシーンが。
ガンマンよろしく「ふっ」と火を吹き消すようなポーズも(前作踏襲)
「おれ、ファービーちゃうでー」
「おれ、トトロとちゃうでー」
「おれ、たべものちゃうでー。チューバッカさん、食べんといてやー」ポーグ(関西弁)
マズ・カナタの登場シーン(交戦中)。
「労使交渉中」に笑った。
冒頭のハックス将軍とポーのやりとり。
「ハグス」
「ハックスだ」
「ハグス将軍」
「ハックス」
「おちょくっとんのかー、ワレー」(関西弁)とか言い出しそうなコテコテなギャグ(ギャグではないが)
それにしても、やはり見ていて心配になる役の多い「どーなる?ドーナル・グリーソン」
しかも『エクス・マキナ』同様、オスカー・アイザックにいじられてる 笑
フィンとちょっといい感じになる今作登場のローズ。
(あっさり目覚めるフィン含め、このペアブロックはやや、はしょりすぎ感があり、ちょっと惜しい)
ローズがカント・バイトにいた馬のような生物に話しかけている姿を見て思わず想起したのが→「オクジャ?」
そのカント・バイトのカジノで遊興にふける武器商人。
その武器商人からデル・トロ演じる(捜していた人物ではなくパチもんの方のコードブレイカー)DJが盗んだシャトルのホログラム映像に映しだされる取り扱い兵器。
で、見ていくとファーストオーダー、レジスタンス(共和国軍)。どちらにも兵器を売っているというのがいかにも今日的。
この中間部分で搾取する連中が実は全ての元凶であったりするとも思うのだが(そもそもエピソード1で描かれていた「スターウォーズ」「もめ事」の発端は通商問題だ)
前作『フォースの覚醒』でのスノークの台詞。
「カイロ・レンと共にここから離脱せよ」
「今、おこなっている修行を終わらせる」←この意味は?本作でわからなかった…(「カイロ・レンにとっての指導者殺し?スノーク次回作で違う姿で出てきて、これが修行だったのだ、とかないよね?)

Memo2
再会
チューバッカと。
(ハン・ソロのこととかいろいろ話したいことが沢山)
・(ひと通り懐かしく中を見回した後)
R2-D2とミレニアム・ファルコン船内で。
この時にエピソード4での若きレイア姫のホログラム映像を流すシーン。
「ズルいぞ、R2」
C-3POと。
去り際にルークがウィンク。
・そして、ルークとレイア
「髪型を変えたの」
「わかってる」
(『フォースの覚醒』ハン・ソロとの夫婦再会シーンでの「髪型が変わった」「同じジャケットね」に引き続き)
そして、前述マスター・ヨーダとも。
ハン・ソロとだけ再会出来ていなかったり、ポーとレイが前作では会っていなかったりしていることを考えるとエピソード7・PART1とエピソード7・PART2としてもよかったのでは?とも思える。
ラスト。
ルークがカイロ・レンに投げかけた言葉。
「お前の父と同じように私もお前のそばにいる」
また会おう」(See You)
ふたつの太陽。
古代ジェダイ寺院の石の上のルーク。
カント・バイトの厩舎で働いていたフィンたちの逃走の手助けをする少年(テミリ・ブラッグという役名がついている)。
若きルーク・スカイウォーカーと同じように銀河の果てを見上げる。
「オイディプス王の悲劇」「カラマーゾフの兄弟」や「ハムレット」の如きに、父殺しが描かれた『フォースの覚醒』
本作でカイロ・レンは母であるレイアに対しても(祖父ダース・ベイダーに模したマスクをたたき壊し)「私はやりとげます」と言いつつ、最後の瞬間に攻撃のボタンが押せなかった。
その、一瞬の揺れ。
このあたりにもラストに向けていかようにも、もっていける物語軸がある。
(戦争と父権の関連性、および母性と生命や宇宙・惑星との繋がりなど)
さて、エピソード9。エイブラムス監督はどのように締めるのだろうか?

Sw8_2

Memo3
衣装デザインは前作に引き続きマイケル・カプラン
前にも書いたけれど「ブレードランナー」「スタート・レック」「スター・ウォーズ」と全ての衣装を担当したデザイナー。
あのロケ地はどこ?
WHERE WAS STAR WARS: THE LAST JEDI FILMED?
http://www.atlasofwonders.com/2017/10/the-last-jedi-filming-locations.html
Art of the Title記事→『スター・ウォーズ(1977)』タイトルシークエンス・メイキング(手描きのアウトラインなども)とタイトルデザイナーDan Perriへのインタビュー
http://www.artofthetitle.com/title/star-wars/

スター・ウォーズ/最後のジェダイ
公式サイト
http://starwars.disney.co.jp/movie/lastjedi.html

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2017-10-19

『猿の惑星: 聖戦記(War for the Planet of the Apes)』マット・リーヴス監督、アンディ・サーキス、ウディ・ハレルソン、スティーヴ・ザーン、アミア・ミラー、他

猿の惑星 : 聖戦記
War for the Planet of the Apes

監督 : マット・リーヴス
出演 : アンディ・サーキス
ウディ・ハレルソン
スティーヴ・ザーン
カリン・コノヴァル
アミア・ミラー、他

物語・猿と人類の全面戦争が始まってから2年が経ち、シーザー(アンディ・サーキス)が率いる猿の群れは、森の奥深くのとりでに姿を隠していた。ある日、奇襲によってシーザーの妻と息子の命が奪われる。シーザーは人類の軍隊のリーダーである大佐(ウディ・ハレルソン)に復讐するため、オランウータンのモーリス(カリン・コノヴァル)らと共に旅立つ。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

War

Memo1
「目は心の窓」のことわざ通りシーザーを演じたアンディー・サーキスの眼の力がCGさえも引っ張っていく素晴らしさ。
(普通にアカデミー賞、ノミネートされないかなぁ)
1968年版への目配せも多々。
(コーネリアスや途中、出会って連れていくこととなる少女の名前ノヴァ、言葉を話せなくなる理由など)
スティーヴ・ザーンによるバッドエイプ。
全体に悲劇性が漂う重いトーンの本編でのコメディリリーフ(←立ち位置ジャージュービンクス説がいくつか 笑)
あるシーンで映画版『トワイライトゾーン』4話、機上のグレムリンよりも目の玉飛び出させて驚かせてくれたジョン・リスゴーなみにビックリ顔をするシーンがあるのだが、これってシンバルでシャンシャンさせて動く猿のオモチャのあの表情そのもの(一瞬、止まるのも可笑しい)←先に見ていた知人が新キャラで坂田利夫師匠が出てるでー(関西弁)って言ってて、もはや、そうとしか見えなくなってしまった 笑
"人間動物園"へ案内することになったバッドエイプが帽子にダウンベストで現れるのは笑った(これも1968年版『猿の惑星』の服を着た猿つながりかも?ALZ-113の影響で体毛を失ったとされていて、それ故寒さへの耐性がなくなっているため服を着用?)
ウディ・ハレルソンの"頭が晴れるぞー"とばかりにスキンヘッドをノーミラーで剃りながら見下ろし現れる姿はまさに。
指摘されているとおり「地獄の黙示録」カーツ大佐。
トンネル内に残された文字→「猿の黙示録(APE-OCALYPSE NOW)」
そして"人間動物園"に収容されたシーザーたちの『大脱走』(トンネルは掘らないけれど)
やっぱり脱獄ものは面白い。(子どもたちの電線伝わり脱出とか猿ならではの軽快なアイデア)
オラウータンのモーリスも3作全てに登場している。
(オリジナル版で政治家や行政を司っていたのがオラウータンだったことと大いに関係ありそう)←シーザーの死を看とったのも伝承者として次作(も、あるらしい)登場の可能性大。
とにもかくにも1作目と本作をまとめあげたマット・リーヴス監督の手腕はスゴイ。リブートでありつつオリジナルへの繋がりを残す余白も素晴らしい。

Memo2
タイトルデザイン
前2作のあらすじを伝えながら、それぞれのサブタイトル(赤い文字で)を浮かび上がらせるシンプルでスマートな手法。
Main Title Design > Elastic
End Title > SCARLET LETTERS

映画『猿の惑星:聖戦記』オフィシャルサイト

http://www.foxmovies.jp/saruwaku-g/

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2017-09-21

「でも、いい話ですね。それはいい話だ」『三度目の殺人(THE THIRD MURDER)』是枝裕和監督、福山雅治、役所広司、広瀬すず、他

内容、台詞、ラストに触れています。
三度目の殺人
THE THIRD MURDER

監督 : 是枝裕和
出演 : 福山雅治
役所広司広瀬すず
吉田鋼太郎、斉藤由貴、
満島真之介、松岡依都美、
市川実日子、橋爪功、他

物語・勝つことを第一目標に掲げる弁護士の重盛(福山雅治)は、殺人の前科がある三隅(役所広司)の弁護を渋々引き受ける。クビになった工場の社長を手にかけ、さらに死体に火を付けた容疑で起訴され犯行も自供しており、ほぼ死刑が確定しているような裁判だった。しかし、三隅と顔を合わせるうちに重盛の考えは変化していく。三隅の犯行動機への疑念を一つ一つひもとく重盛だったが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Sando1

Memo1
「マッチポイント」の予告編がカンヌで初めて流れたとき「あれ?誰の作品?」という空気。
最後に"監督 : ウディ・アレン"と出た際「ほぉ!」という感嘆の声があがった。本作もクレジットがなければ是枝監督の作品だとはわからないかもしれない。それほど全く異なるタイプの映画。
とはいえ、もちろん底流には是枝監督作品ならではの"目にみえないもの"といったモチーフも垣間見える。
開巻、倒叙的なシーン。
観客は、この時点で役所広司が犯人だと思って映画を見始める。
それは見ているうちに弁護士である重森と同じ気持(こころの動揺をもって)で、二転三転する三隅の証言に惑わされていく。
また、重森にも三隅にも娘がいる。そこに被害者である父親の娘がかぶさっていく。
その上で「もしかして、広瀬すず演じる娘咲江の単独犯?」
「父親を呼び出したのが娘で殺害したのは重森?」と、いかようにも捉えられるショットが挟みこまれる。
後述パンフレット記事で知ったのだが、三隅と咲江が接見室で無言で手を合わせるシーンを撮影していたそうだ。
本編ではカットされたけれど、もし入っていたら全体のトーンがまた変わっていたかもしれない。
いろいろな台詞。
(ちょっと気にかかった台詞)
・「ガソリンはどうしたの?」
「会社まで取りに行きました」
「わざわざ?」
「最初から用意していた訳じゃないんだね」
(この一回目の接見シーンの三隅発言の曖昧さで、よくわかっていないのだが実際ガソリンはどうだったのだろう?)
・事務所のデスク、服部(松岡依都美)が事件現場の写真を見てひとこと。
「当分、焼肉は無理だわ」
(と、言ったその直ぐ後に全員で焼肉を食べているシーンが 笑)
・咲江と母・美津江(斉藤由貴)の会話。
「お母さん、寂しくて死んじゃうかもしれない」
「死なないでしょ。寂しいくらいじゃ…」
この母娘の関係がよくわかる台詞だ。
最初に重森が被害者であるふたりの家を尋ねたとき、三隅の手紙をビリビリッと破る母・美津江の姿を写さない。実は…ということが判明する前に表情をとらえない厳密な演出。
・判決後の接見シーン。
「重森さんがそう考えたから、わたしの否認に乗ったと…」
「でも、いい話ですね。それはいい話だ」
「わたしはずっと生まれてこなければよかったと思ってるんです」
「こんな私でも誰かの役に立つことができる」
「駄目ですよ。重森さん。こんな人殺しの話に乗っちゃあ」
あなたは…ただの器…?」
ラストは幾重にもはられた電線。
そして十字路に立つ重森をやや俯瞰で捉えるショットで終わる。
ダンケルクがジャム。
本作はピーナッツクリーム。
さりげないアイテムが効果的。
小鳥も十字架もピーナッツクリームも…

Sando2

Memo2
瀧本幹也による撮影。
光と影。
銀残しのトーン、スコープサイズをいかした人物配置。質感も美しい。
7回ある接見シーン。
ラスト、ふたりの顔が重なりあう場面は圧巻。
『三度目の殺人』のパンフレットは見た目は通常のよく目にする版型だが、中身は写真の配置から余白まで極めて緻密。
そして掲載されている出演者インタビューも「エッ!?」と驚く初出の内容が多い (鑑賞後に読むことを大前提に編まれている)
また本編、法律監修も行った岩月泰頼「法廷におけるいくつかの真実」記事も興味深い内容が多々。
カラー44P
批評は道尾秀介森直人
アートディレクション(宣伝美術)は「そして、父になる」に続いて服部一成
(パンフレットデザイン表記は服部一成+山下ともこ)
ちなみに「幻の光」から「花よりもなほ」「歩いても歩いても」は葛西薫。
「空気人形」「ゴーイング マイ ホーム(TV)」「海街diary」は森本千絵。
『文藝別冊/是枝裕和』葛西薫特別寄稿。
以下『幻の光』パンフレットについて書かれている部分より抜粋。
"タイトルは海外版に合わせて『MABOROSI』としている。
ヘボン式ではなく日本式ローマ字表記であるべきだろうと、こだわって末尾の綴りをSHIではなくSIとしたのだった"

(ブログ記事中の敬称略)

『三度目の殺人』公式サイト
http://gaga.ne.jp/sandome/



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2017-09-16

「それ、もらうよ」『散歩する侵略者(BEFORE WE VANISH)』黒沢清監督、長澤まさみ、松田龍平、長谷川博己、高杉真宙、恒松祐里、他

注・内容、台詞に触れています。
散歩する侵略者
BEFORE WE VANISH

監督 : 黒沢清
原作 : 前川知大

出演 :
長澤まさみ松田龍平、
長谷川博己、
高杉真宙、恒松祐里、
前田敦子、満島真之介
児嶋一哉、光石研
東出昌大、小泉今日子
笹野高史、他

物語・鳴海(長澤まさみ)の夫・真治(松田龍平)が、数日間行方をくらまし、別人のようになって帰ってくる。これまでの態度が一変した夫に疑念を抱く鳴海は、突然真治から「地球を侵略しに来た」と告白され戸惑う。一方、町ではある一家の惨殺事件が起こったのを機に、さまざまな現象が発生し、不穏な空気が漂い始める(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Vanish

Memo1
車から見える冥界スクリーンプロセス、斜めに交差する梁や柱、突然暗転する画面など、お馴染みの黒沢清監督たる刻印シーンもたっぷり。
本作見て、もしかして既に世界中、日本中の政治家の中に「概念」が奪われてる人、いるんじゃないの?などと、ふと思う。
(で、どのような「概念」?)
笑えないけど。
アヴァンタイトル部分は黒沢清監督らしい、ちょっとホラー的な要素も。
なんとも、つかみが派手。
前半戦にかけてはウルトラセブン風味。
(実際に原作者も「ウルトラセブン」については影響を受けていると語っている)
後半のグダグダ感は実際に有事が起これば、こんなもんだろうなぁーと思えるチグハグさをはらんだ人々の思考停止ぶり。それに呼応するかのような物語のグダグダ感トンデモ系。
(ありえないマシンガン使用とかパンデミックかもしれないという設定の割には病院の体制がゆるゆる)
"家族、自由、所有、自分、仕事…そして、愛"
「概念」を奪われていく登場人物が、それぞれ面白すぎて秀逸なアイロニカルコメディとも見られる。
デザイン会社のセクハラ社長(肩かけカーディガン 笑)、溜まってたのねー。
「仕事」という「概念」がなくなったら、途端にピーヒャララ状態に。
1番可笑しかったのが東出昌大が牧師姿で現れたとき。
なんといっても「寄生獣」の島田やTVドラマ「あなたのことはそれほど」のあの役から考えると、登場人物の誰よりも、宇宙人。
(だからなのか、牧師から何も「概念(説く愛)」を奪わず立ち去る真治…と、いうかイメージしてもらったのに中身は何もなくガランドウだったのかも?)
キャスト陣も素晴らしい。
中立的な立場を持っているようなイメージの宇宙人、天野を演じた高杉真宙、凶暴性をはらんだマシンガン女子高生・立花あきら役、恒松祐里の身体性の高さ、前田敦子の「家族」概念を奪われて反射的に崩れ落ちる姿、そして「嫌!」といった姉を拒絶する動き、表情。
台詞いろいろ。
・「これから侵略がはじまるというのに取材だなんて、のんきだなぁ
・真治が運転する車の中。
(もはや空を飛んでいるかのようなリアウィンドウの風景)
「侵略が始まったの?」
「いや、あれは夕陽だよ」
・終盤近く、駅の広場で。
「彼らは散歩する侵略者なのです」
演説するジャーナリスト、そして宇宙人ガイド役の桜井(長谷川博己)
「うーん、まあ、そうだよね。そういう反応だよね」
「満足した?」
そして宇宙人やUFOを攻撃するのではなく長谷川博己を爆撃するドローンプレデター 笑
これ、どう考えても可笑しい。
そして、また長谷川博己が嬉しそうに嬉々として飛び跳ねるのだ、これが 笑
『散歩する侵略者』のWOWOWスピンオフドラマ『予兆』は、まだ未見。
予告編や見聞きする話からすると、これもまた期待大。
やはり「夫婦の物語」である。
これ、もし宇宙人に乗っ取られていることがわからない、傍から見ればボンクラ夫を甲斐甲斐しく支える妻みたいに見えたりもする。
その妻、鳴海役の長澤まさみがものすごくよい。
「もぉ、しようがないなぁー」
プンスカしながらスタスタと歩く姿が立ち位置として際立っている。
愛"という「概念」を奪うことによって生まれる"愛"
「再生」して「リセット」することの意味を含めて「概念」という言葉の意味同様、いろいろな捉え方ができるラストだ。

Sampo16

Memo2
パンフレットは表紙含め全76P。
監督、出演者、原作者インタビュー。
プロダクションノート。
コラムは佐々木敦、樋口尚文、大森望3氏。
その時代時代の戦争のメタファーとして、無数の侵略SF映画が作られてきた~略~要するに戦争、映画、侵略SF、この三つは腐れ縁のようにつながって、20世紀のネガディヴな気配をかたちづくっているのだ。鳴海の絶望はまさにここからきている。
『散歩する侵略者』原作・文庫版・黒沢清監督による解説より。
監督インタビューで語られる俳優へのオーダーの話。
"長澤まさみさんには「杉村春子風に」松田龍平さんには侵略者だけど「そのままで」長谷川博己さんには「カート・ラッセル風に」"
…カート・ラッセルって… 笑
(シネフィルらしく、そういう話ばかりしていたとインタビューで知りました)

映画『散歩する侵略者』公式サイト
http://sanpo-movie.jp/




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2017-08-17

タイトルデザイン_52 Perception『スパイダーマン : ホームカミング(SPIDER-MAN: HOMECOMING)』ジョン・ワッツ監督、トム・ホランド、ロバート・ダウニー・Jr、マイケル・キートン、他

注・内容、ラスト、エンドクレジット後に触れています。
スパイダーマン : ホームカミング
SPIDER-MAN: HOMECOMING

監督 : ジョン・ワッツ
出演 : トム・ホランド
ロバート・ダウニー・Jr
マイケル・キートン
マリサ・トメイ、他

物語・15歳の高校生ピーター・パーカー(トム・ホランド)は、まるで部活動のようなテンションでスパイダーマンとして活動していた。まだ若い彼の才能に気付いたアイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は、ピーターを真のヒーローとして育てようとする。スタークに新しいスーツを新調してもらったピーターは、意気揚々と街へ乗り出し…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Home

Memo1
マーベル作品でも、ちょっと傍系(と、勝手に呼んでいる)『アントマン』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『ドクターストレンジ』が好物な自分としては、本作展開は嬉しい限り。
(そして『アイアンマン』とのDIY系映画繋がりも←1作目の手作りロケッティア風アイアンマンあたりのノリ)
シビルウォーに参加した際「キャプテン・アメリカの盾を奪った」と有頂天モードがいかにも高校生(授業にはちゃんと戻るのも偉い 笑)
泥棒から奪い返した自転車に残したメモとラストのバルチャー捕獲時のメモが同じノリというのも可笑しい。
ほとんどのスタントを行ったトム・ホランドの身体性。みるからに軽々としていて、それだけで全体に躍動感が生まれている。
Netflixにジョン・ワッツ監督『クラウン』『COP CAR/コップ・カー』そしてジョン・ヒューズ監督『フェリスはある朝突然に』『ブレックファスト・クラブ』が揃っているという、まるで準備していたかのような‥
(エンドクレジットに『フェリス〜』も記載)
脱出経路を指示するイスの男(笑)ネッド。
最初、ウザい感じが見ているうちに「お、これは名パートナー」と思えてきた。
「絶対に話すなよ」に対して普通だったら「いや、話さないよ」と返すところをすかさず「絶対喋りまくってしまう」と即反応するのも、笑える(で、この感覚もSNS時代の脊髄反応っぼくて面白い)
この最初から正体バレているというのも新機軸。
(今後も絶対うっかり喋りそう 笑)
また次回以降に展開されていくと思しきラストで明かされるミシェル(デンゼイヤ)の愛称「MJ」など楽しみな伏線も用意されている。
『ファウンダー』で"(吉本新喜劇風関西弁で)「エっゲツなぁ~」"企業人を演じたヴァルチャー役のマイケル・キートンが中小企業人(しかも雇った従業員のことを考えての悪事動機。バットマンとバードマンを演じて)
また『ファウンダー』で最も大事なのは「忍耐」と語っていた台詞が、偶然なのかエンドクレジット後のキャップによる教育ビデオ(日本だと松岡修造が熱く語りかけてくるようなノリ?笑)でも出てくるあたりが面白い。
(おそらくはカーネギーなどによる"アメリカ自己啓発的なもの"の根っこが同じなのだろうなぁ、などということを思った←『ファウンダー』に出てきたトランプ大統領愛読の"あの啓蒙書"とか)
スーツ内蔵AI「カレン」
声がジェニファー・コネリー。吹き替え版は井上喜久子さんという抜群の布陣。
恋のアドバイスから各種モード(瞬殺モードからおまかせまで 笑)とやりとりが面白い。(スーツの眼が細く釣り上がっり変化するのも斬新)
ラストのトニー・スターク秘書、ペーパー・ポッツ(グウィネス・パルトロウ)再登場も嬉しい限り。(『アイアンマン』初公開時には秘書限定試写会などという企画もあったような)

Memo2
バルチャー戦を終え、アベンジャーズ入りも断り"ご近所ヒーロー"の道を選び、自宅の部屋に戻るとトニー・スタークからの紙袋がベッドの上に。
中にはスターク製スパイダーマンスーツが。
すかさず嬉々として着替えると…。
「なにしてるの?」
鏡に写るメイ叔母さん。
(あ!?み、見つかっちゃったー?!と、いったピーターの顔)
絶妙タイミングで監督クレジットが入って、POPなアニメーションエンドタイトルシークエンスへ。
そのタイトルデザインはPerception
(該当動画は coming soon! 表記となっていますがスケッチ関連はART BOOKから掲載されたもの有り)
http://experienceperception.com/homecoming.html

映画『スパイダーマン:ホームカミング』
公式サイト
http://www.spiderman-movie.jp/

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2017-08-06

『セールスマン(Forushande)』アスガー・ファルハディ監督、タラネ・アリシュスティ

セールスマン
Forushande

Director : Asghar Farhadi
Writer : Asghar Farhadi
Stars : Taraneh Alidoosti
Shahab Hosseini
Mina Sadati
Babak Karimi

Sales

Memo
戯曲『セールスマンの死』は古い建物が壊され新しい建物が次々と作られてていくニューヨーク。
冒頭、隣のビル解体のためエマッドたちの住むアパートも倒壊の危険性があるということで出るはめとなる。
そのように本作も都市化が進むイランという町全体がひとつのメタファーとしての装置として働いている。
『セールスマンの死』舞台照明の、娼婦役の着るいコート、そして主人公ラナの巻くヒジャブ(スカーフ)の、血痕の…、と
ファルファディ監督作品のカラーアクセントの使い方がとても好み。(以前の作品などからもわかるとおり)そもそもがカラコレ自体がきっちりとしている。
前の住人、アフーについては姿を現さないことによって逆にイメージが膨らむ。
それは戯曲『セールスマンの死』での娼婦の存在と補完関係にある。
明るい音楽が流れる食事シーンが一転、重~い空気充満の見ているこちらも息がつまる場面。
「食べるな」
「例の男が残した金だ」
アスガー・ファルハディ監督『彼女が消えた浜辺』主演のふたり。
タラネ・アリシュスティゴルシフテェ・ファラハニがそれぞれ本作『セールスマン』まもなく公開ジム・ジャームッシュ監督『パターソン』と続けて公開されるというタイミング。
それにしても、なんという上手さだろう!

映画『セールスマン』公式サイト
http://www.thesalesman.jp/

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2017-05-14

"わくわくシャマラン・ランド"『スプリット(Split)』M・ナイト・シャマラン監督、ジェームズ・マカヴォイ、アニヤ・テイラー=ジョイ、他

注・内容、他のシャマラン監督作品にも触れています。
スプリット
Split

監督・脚本 : M・ナイト・シャマラン
出演 : ジェームズ・マカヴォイ
アニヤ・テイラー=ジョイ
ベティ・バックリー
ジェシカ・スーラ
ヘイリー・ルー・リチャードソン

物語・高校生のケイシー(アニャ・テイラー=ジョイ)は、クラスメートのクレア(ヘイリー・ルー・リチャードソン)の誕生パーティーに招待される。帰りは、彼女とクレアの親友マルシア(ジェシカ・スーラ)をクレアが車で送ってくれるが、途中で見ず知らずの男性(ジェームズ・マカヴォイ)が車に乗り込んでくる。彼に拉致された三人は、密室で目を覚まし…。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Split2

Memo1
やー、やっぱりやってくれました"わくわくシャマランランド"
マクガフィンに次ぐマクガフィン 笑
シャマランのシャマランによるシャマランのための映画。
今までも『アンブレイカブル』乗客全員が死亡した列車事故。その中、全く無傷で生き残ったデイヴィッド・ダン。何故?
物語が進んでいくと…「なーんや、漫画(コミック)の世界の話やったらなんでもありやん」(←関西弁)
サイン』かつての矢追純一氏の"木曜スペシャル"ノリでジャジャジャーンとテーマ曲が聞こえてきそうな雰囲気のテレビ映像のみで宇宙人襲来を見せてーの、けったいな(←関西弁)ホンモノ宇宙人をバットで倒したり『ヴィレッジ』何故、塀の外へ出てはいけないのか。結局、塀の中のコミューンでしたチャンチャン(←関西風オチ擬音)などなど、まずは大上段で謎を提示して"つかみは最強""はたして結末は!?""来るか!大どーんでーん返し"といった期待値までをもフックとするシャマランテイストが本作は極めて高い精度で復活している。
"イメージが超人や獣人や宇宙人や怪物や境界をつくり出す"
元をただせば『シックス・センス』でのオチ(小林信彦先生に言わせるとはじまってすぐの段階でブルース・ウィリスは死んでいることがわかってしまう、というか亡くなっていないとおかしい作劇となっているとのこと)ありきのシャマラン監督への"どんでん返しオチ期待"が肥大していったことに起因すると思うのですが…。
予告編では一切見せなかった父親と叔父、そして子供時代のケイシー。
3人でハンティングに出かけているシーン。
そのケイシーを見る目つきが最初からおかしい叔父。案の定、全裸でケイシーに近づいてくる。
そして…。
それらが拉致された室内のシーンの合間に(夢もしくはイメージとして)はさみこまれる(ケイシーが目覚めたときに必ず男が側にいる。例えば食事を手に「お寝坊さんね」)
父親の死後(写してはいないが、このハンティングの際に何かあったのは推察できる)、育ての親となった叔父による虐待は高校生の今になっても続いていることから逃れようと放課後もなかなか家に帰らないことが会話の中から読み取れる。
本当の"ビースト"それは…。
23人格とは別にもうひとり生み出される妄想の怪物"ビースト"
そのことについて極めつけの台詞は「人格によって肉体も変化する」
ヒッチコック作品への目配せはもちろんだが、どちらかというと精神科医との件でデ・パルマ監督『殺しのドレス』を想起。
奇妙なシーンのつなげ方や展開、ショット(冒頭、クレアとマルシアとのレストラン部分のカメラ視点、ケイシーが衣服を男に渡すところでは手元は写らない、最初は一緒の部屋だった三人のボジション、黄色の花の位置…)などで見方によっては全てケイシーの妄想だったとも捉えられる。
(『アンブレイカブル』と同じ世界の物語とすればケイシーの叔父へのイメージ自体が"ビースト"そのものであり、その事自体の妄想が"ビースト"を実体化させたと見るのがマクガフィンにつぐマクガフィン映画として妥当かもしれない←前述予告編や公開されているBEHIND SCENE全てにおいて叔父のことは隠されていたし)
ジェームズ・マカヴォイの多重人格者演技はもちろん、さすがだがケイシーを演じたアニャ・テイラー=ジョイの眼力(目ヂカラ)はラストバトルでの"ビースト"化したマカヴォイと向かい合った際にも決して負けてはいない凄みがあり、注目度があがってきている女優としての面目躍如。
シャマラン監督が本作のプロモーションで来日した際に日本時間4月27日午前1時に「重大発表あり」と予告の上『アンブレイカブル』の続編についてツイートしてたから公開前に既にネタバレ済み。
それにしても『アンブレイカブル』『スプリット』それぞれにおいて妄想がヒーローとビーストを生み出し『GLASS』となって帰ってくる…って、な、何、それ!?
エンドクレジットの最後の告知は笑いが起こっていたのでつかみはOK?

Split1

Memo2
スコープサイズのセンターに人物を配した撮影ショットがいいなぁと思ってIMDbをチェックしたら『イット・フォローズ』(そのデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督次回作『Under the Silver Lake』も)を撮ったマイク・ギオウラキス(Mike Gioulakis)だった。
900万ドル低予算映画のためか、最新撮影機材使用ではないにもかかわらず、この仕上がりは素晴らしい。
Title Design > Filmograph
昨年の秀逸な『10 クローバーフィールド・レーン』タイトルデザインに続く(勝手にこう呼んでいる→)ソール・バス系デザイン。
Filmographはジェームズ・ワン監督の一連の作品や『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』カーテンコール(Curtain Call Sequence)のデザインなどを手がけている。(これから公開の『ジョンウィック2』や『パワーレンジャー』も)。
↓下記サイトは『スプリット』モーションテストやインタビューなど(タイトルシークエンス動画もあり)
http://www.artofthetitle.com/title/split/

映画『スプリット』公式サイト
http://split-movie.jp/

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