2017-09-16

「それ、もらうよ」『散歩する侵略者(BEFORE WE VANISH)』黒沢清監督、長澤まさみ、松田龍平、長谷川博己、高杉真宙、恒松祐里、他

注・内容、台詞に触れています。
散歩する侵略者
BEFORE WE VANISH

監督 : 黒沢清
原作 : 前川知大

出演 :
長澤まさみ松田龍平、
長谷川博己、
高杉真宙、恒松祐里、
前田敦子、満島真之介
児嶋一哉、光石研
東出昌大、小泉今日子
笹野高史、他

物語・鳴海(長澤まさみ)の夫・真治(松田龍平)が、数日間行方をくらまし、別人のようになって帰ってくる。これまでの態度が一変した夫に疑念を抱く鳴海は、突然真治から「地球を侵略しに来た」と告白され戸惑う。一方、町ではある一家の惨殺事件が起こったのを機に、さまざまな現象が発生し、不穏な空気が漂い始める(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Vanish

Memo1
車から見える冥界スクリーンプロセス、斜めに交差する梁や柱、突然暗転する画面など、お馴染みの黒沢清監督たる刻印シーンもたっぷり。
本作見て、もしかして既に世界中、日本中の政治家の中に「概念」が奪われてる人、いるんじゃないの?などと、ふと思う。
(で、どのような「概念」?)
笑えないけど。
アヴァンタイトル部分は黒沢清監督らしい、ちょっとホラー的な要素も。
なんとも、つかみが派手。
前半戦にかけてはウルトラセブン風味。
(実際に原作者も「ウルトラセブン」については影響を受けていると語っている)
後半のグダグダ感は実際に有事が起これば、こんなもんだろうなぁーと思えるチグハグさをはらんだ人々の思考停止ぶり。それに呼応するかのような物語のグダグダ感トンデモ系。
(ありえないマシンガン使用とかパンデミックかもしれないという設定の割には病院の体制がゆるゆる)
"家族、自由、所有、自分、仕事…そして、愛"
「概念」を奪われていく登場人物が、それぞれ面白すぎて秀逸なアイロニカルコメディとも見られる。
デザイン会社のセクハラ社長(肩かけカーディガン 笑)、溜まってたのねー。
「仕事」という「概念」がなくなったら、途端にピーヒャララ状態に。
1番可笑しかったのが東出昌大が牧師姿で現れたとき。
なんといっても「寄生獣」の島田やTVドラマ「あなたのことはそれほど」のあの役から考えると、登場人物の誰よりも、宇宙人。
(だからなのか、牧師から何も「概念(説く愛)」を奪わず立ち去る真治…と、いうかイメージしてもらったのに中身は何もなくガランドウだったのかも?)
キャスト陣も素晴らしい。
中立的な立場を持っているようなイメージの宇宙人、天野を演じた高杉真宙、凶暴性をはらんだマシンガン女子高生・立花あきら役、恒松祐里の身体性の高さ、前田敦子の「家族」概念を奪われて反射的に崩れ落ちる姿、そして「嫌!」といった姉を拒絶する動き、表情。
台詞いろいろ。
・「これから侵略がはじまるというのに取材だなんて、のんきだなぁ
・真治が運転する車の中。
(もはや空を飛んでいるかのようなリアウィンドウの風景)
「侵略が始まったの?」
「いや、あれは夕陽だよ」
・終盤近く、駅の広場で。
「彼らは散歩する侵略者なのです」
演説するジャーナリスト、そして宇宙人ガイド役の桜井(長谷川博己)
「うーん、まあ、そうだよね。そういう反応だよね」
「満足した?」
そして宇宙人やUFOを攻撃するのではなく長谷川博己を爆撃するドローンプレデター 笑
これ、どう考えても可笑しい。
そして、また長谷川博己が嬉しそうに嬉々として飛び跳ねるのだ、これが 笑
『散歩する侵略者』のWOWOWスピンオフドラマ『予兆』は、まだ未見。
予告編や見聞きする話からすると、これもまた期待大。
やはり「夫婦の物語」である。
これ、もし宇宙人に乗っ取られていることがわからない、傍から見ればボンクラ夫を甲斐甲斐しく支える妻みたいに見えたりもする。
その妻、鳴海役の長澤まさみがものすごくよい。
「もぉ、しようがないなぁー」
プンスカしながらスタスタと歩く姿が立ち位置として際立っている。
愛"という「概念」を奪うことによって生まれる"愛"
「再生」して「リセット」することの意味を含めて「概念」という言葉の意味同様、いろいろな捉え方ができるラストだ。

Sampo16

Memo2
パンフレットは表紙含め全76P。
監督、出演者、原作者インタビュー。
プロダクションノート。
コラムは佐々木敦、樋口尚文、大森望3氏。
その時代時代の戦争のメタファーとして、無数の侵略SF映画が作られてきた~略~要するに戦争、映画、侵略SF、この三つは腐れ縁のようにつながって、20世紀のネガディヴな気配をかたちづくっているのだ。鳴海の絶望はまさにここからきている。
『散歩する侵略者』原作・文庫版・黒沢清監督による解説より。
監督インタビューで語られる俳優へのオーダーの話。
"長澤まさみさんには「杉村春子風に」松田龍平さんには侵略者だけど「そのままで」長谷川博己さんには「カート・ラッセル風に」"
…カート・ラッセルって… 笑
(シネフィルらしく、そういう話ばかりしていたとインタビューで知りました)

映画『散歩する侵略者』公式サイト
http://sanpo-movie.jp/




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2017-08-17

タイトルデザイン_52 Perception『スパイダーマン : ホームカミング(SPIDER-MAN: HOMECOMING)』ジョン・ワッツ監督、トム・ホランド、ロバート・ダウニー・Jr、マイケル・キートン、他

注・内容、ラスト、エンドクレジット後に触れています。
スパイダーマン : ホームカミング
SPIDER-MAN: HOMECOMING

監督 : ジョン・ワッツ
出演 : トム・ホランド
ロバート・ダウニー・Jr
マイケル・キートン
マリサ・トメイ、他

物語・15歳の高校生ピーター・パーカー(トム・ホランド)は、まるで部活動のようなテンションでスパイダーマンとして活動していた。まだ若い彼の才能に気付いたアイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は、ピーターを真のヒーローとして育てようとする。スタークに新しいスーツを新調してもらったピーターは、意気揚々と街へ乗り出し…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Home

Memo1
マーベル作品でも、ちょっと傍系(と、勝手に呼んでいる)『アントマン』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『ドクターストレンジ』が好物な自分としては、本作展開は嬉しい限り。
(そして『アイアンマン』とのDIY系映画繋がりも←1作目の手作りロケッティア風アイアンマンあたりのノリ)
シビルウォーに参加した際「キャプテン・アメリカの盾を奪った」と有頂天モードがいかにも高校生(授業にはちゃんと戻るのも偉い 笑)
泥棒から奪い返した自転車に残したメモとラストのバルチャー捕獲時のメモが同じノリというのも可笑しい。
ほとんどのスタントを行ったトム・ホランドの身体性。みるからに軽々としていて、それだけで全体に躍動感が生まれている。
Netflixにジョン・ワッツ監督『クラウン』『COP CAR/コップ・カー』そしてジョン・ヒューズ監督『フェリスはある朝突然に』『ブレックファスト・クラブ』が揃っているという、まるで準備していたかのような‥
(エンドクレジットに『フェリス〜』も記載)
脱出経路を指示するイスの男(笑)ネッド。
最初、ウザい感じが見ているうちに「お、これは名パートナー」と思えてきた。
「絶対に話すなよ」に対して普通だったら「いや、話さないよ」と返すところをすかさず「絶対喋りまくってしまう」と即反応するのも、笑える(で、この感覚もSNS時代の脊髄反応っぼくて面白い)
この最初から正体バレているというのも新機軸。
(今後も絶対うっかり喋りそう 笑)
また次回以降に展開されていくと思しきラストで明かされるミシェル(デンゼイヤ)の愛称「MJ」など楽しみな伏線も用意されている。
『ファウンダー』で"(吉本新喜劇風関西弁で)「エっゲツなぁ~」"企業人を演じたヴァルチャー役のマイケル・キートンが中小企業人(しかも雇った従業員のことを考えての悪事動機。バットマンとバードマンを演じて)
また『ファウンダー』で最も大事なのは「忍耐」と語っていた台詞が、偶然なのかエンドクレジット後のキャップによる教育ビデオ(日本だと松岡修造が熱く語りかけてくるようなノリ?笑)でも出てくるあたりが面白い。
(おそらくはカーネギーなどによる"アメリカ自己啓発的なもの"の根っこが同じなのだろうなぁ、などということを思った←『ファウンダー』に出てきたトランプ大統領愛読の"あの啓蒙書"とか)
スーツ内蔵AI「カレン」
声がジェニファー・コネリー。吹き替え版は井上喜久子さんという抜群の布陣。
恋のアドバイスから各種モード(瞬殺モードからおまかせまで 笑)とやりとりが面白い。(スーツの眼が細く釣り上がっり変化するのも斬新)
ラストのトニー・スターク秘書、ペーパー・ポッツ(グウィネス・パルトロウ)再登場も嬉しい限り。(『アイアンマン』初公開時には秘書限定試写会などという企画もあったような)

Memo2
バルチャー戦を終え、アベンジャーズ入りも断り"ご近所ヒーロー"の道を選び、自宅の部屋に戻るとトニー・スタークからの紙袋がベッドの上に。
中にはスターク製スパイダーマンスーツが。
すかさず嬉々として着替えると…。
「なにしてるの?」
鏡に写るメイ叔母さん。
(あ!?み、見つかっちゃったー?!と、いったピーターの顔)
絶妙タイミングで監督クレジットが入って、POPなアニメーションエンドタイトルシークエンスへ。
そのタイトルデザインはPerception
(該当動画は coming soon! 表記となっていますがスケッチ関連はART BOOKから掲載されたもの有り)
http://experienceperception.com/homecoming.html

映画『スパイダーマン:ホームカミング』
公式サイト
http://www.spiderman-movie.jp/

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2017-08-06

『セールスマン(Forushande)』アスガー・ファルハディ監督、タラネ・アリシュスティ

セールスマン
Forushande

Director : Asghar Farhadi
Writer : Asghar Farhadi
Stars : Taraneh Alidoosti
Shahab Hosseini
Mina Sadati
Babak Karimi

Sales

Memo
戯曲『セールスマンの死』は古い建物が壊され新しい建物が次々と作られてていくニューヨーク。
冒頭、隣のビル解体のためエマッドたちの住むアパートも倒壊の危険性があるということで出るはめとなる。
そのように本作も都市化が進むイランという町全体がひとつのメタファーとしての装置として働いている。
『セールスマンの死』舞台照明の、娼婦役の着るいコート、そして主人公ラナの巻くヒジャブ(スカーフ)の、血痕の…、と
ファルファディ監督作品のカラーアクセントの使い方がとても好み。(以前の作品などからもわかるとおり)そもそもがカラコレ自体がきっちりとしている。
前の住人、アフーについては姿を現さないことによって逆にイメージが膨らむ。
それは戯曲『セールスマンの死』での娼婦の存在と補完関係にある。
明るい音楽が流れる食事シーンが一転、重~い空気充満の見ているこちらも息がつまる場面。
「食べるな」
「例の男が残した金だ」
アスガー・ファルハディ監督『彼女が消えた浜辺』主演のふたり。
タラネ・アリシュスティゴルシフテェ・ファラハニがそれぞれ本作『セールスマン』まもなく公開ジム・ジャームッシュ監督『パターソン』と続けて公開されるというタイミング。
それにしても、なんという上手さだろう!

映画『セールスマン』公式サイト
http://www.thesalesman.jp/

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2017-05-14

"わくわくシャマラン・ランド"『スプリット(Split)』M・ナイト・シャマラン監督、ジェームズ・マカヴォイ、アニヤ・テイラー=ジョイ、他

注・内容、他のシャマラン監督作品にも触れています。
スプリット
Split

監督・脚本 : M・ナイト・シャマラン
出演 : ジェームズ・マカヴォイ
アニヤ・テイラー=ジョイ
ベティ・バックリー
ジェシカ・スーラ
ヘイリー・ルー・リチャードソン

物語・高校生のケイシー(アニャ・テイラー=ジョイ)は、クラスメートのクレア(ヘイリー・ルー・リチャードソン)の誕生パーティーに招待される。帰りは、彼女とクレアの親友マルシア(ジェシカ・スーラ)をクレアが車で送ってくれるが、途中で見ず知らずの男性(ジェームズ・マカヴォイ)が車に乗り込んでくる。彼に拉致された三人は、密室で目を覚まし…。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Split2

Memo1
やー、やっぱりやってくれました"わくわくシャマランランド"
マクガフィンに次ぐマクガフィン 笑
シャマランのシャマランによるシャマランのための映画。
今までも『アンブレイカブル』乗客全員が死亡した列車事故。その中、全く無傷で生き残ったデイヴィッド・ダン。何故?
物語が進んでいくと…「なーんや、漫画(コミック)の世界の話やったらなんでもありやん」(←関西弁)
サイン』かつての矢追純一氏の"木曜スペシャル"ノリでジャジャジャーンとテーマ曲が聞こえてきそうな雰囲気のテレビ映像のみで宇宙人襲来を見せてーの、けったいな(←関西弁)ホンモノ宇宙人をバットで倒したり『ヴィレッジ』何故、塀の外へ出てはいけないのか。結局、塀の中のコミューンでしたチャンチャン(←関西風オチ擬音)などなど、まずは大上段で謎を提示して"つかみは最強""はたして結末は!?""来るか!大どーんでーん返し"といった期待値までをもフックとするシャマランテイストが本作は極めて高い精度で復活している。
"イメージが超人や獣人や宇宙人や怪物や境界をつくり出す"
元をただせば『シックス・センス』でのオチ(小林信彦先生に言わせるとはじまってすぐの段階でブルース・ウィリスは死んでいることがわかってしまう、というか亡くなっていないとおかしい作劇となっているとのこと)ありきのシャマラン監督への"どんでん返しオチ期待"が肥大していったことに起因すると思うのですが…。
予告編では一切見せなかった父親と叔父、そして子供時代のケイシー。
3人でハンティングに出かけているシーン。
そのケイシーを見る目つきが最初からおかしい叔父。案の定、全裸でケイシーに近づいてくる。
そして…。
それらが拉致された室内のシーンの合間に(夢もしくはイメージとして)はさみこまれる(ケイシーが目覚めたときに必ず男が側にいる。例えば食事を手に「お寝坊さんね」)
父親の死後(写してはいないが、このハンティングの際に何かあったのは推察できる)、育ての親となった叔父による虐待は高校生の今になっても続いていることから逃れようと放課後もなかなか家に帰らないことが会話の中から読み取れる。
本当の"ビースト"それは…。
23人格とは別にもうひとり生み出される妄想の怪物"ビースト"
そのことについて極めつけの台詞は「人格によって肉体も変化する」
ヒッチコック作品への目配せはもちろんだが、どちらかというと精神科医との件でデ・パルマ監督『殺しのドレス』を想起。
奇妙なシーンのつなげ方や展開、ショット(冒頭、クレアとマルシアとのレストラン部分のカメラ視点、ケイシーが衣服を男に渡すところでは手元は写らない、最初は一緒の部屋だった三人のボジション、黄色の花の位置…)などで見方によっては全てケイシーの妄想だったとも捉えられる。
(『アンブレイカブル』と同じ世界の物語とすればケイシーの叔父へのイメージ自体が"ビースト"そのものであり、その事自体の妄想が"ビースト"を実体化させたと見るのがマクガフィンにつぐマクガフィン映画として妥当かもしれない←前述予告編や公開されているBEHIND SCENE全てにおいて叔父のことは隠されていたし)
ジェームズ・マカヴォイの多重人格者演技はもちろん、さすがだがケイシーを演じたアニャ・テイラー=ジョイの眼力(目ヂカラ)はラストバトルでの"ビースト"化したマカヴォイと向かい合った際にも決して負けてはいない凄みがあり、注目度があがってきている女優としての面目躍如。
シャマラン監督が本作のプロモーションで来日した際に日本時間4月27日午前1時に「重大発表あり」と予告の上『アンブレイカブル』の続編についてツイートしてたから公開前に既にネタバレ済み。
それにしても『アンブレイカブル』『スプリット』それぞれにおいて妄想がヒーローとビーストを生み出し『GLASS』となって帰ってくる…って、な、何、それ!?
エンドクレジットの最後の告知は笑いが起こっていたのでつかみはOK?

Split1

Memo2
スコープサイズのセンターに人物を配した撮影ショットがいいなぁと思ってIMDbをチェックしたら『イット・フォローズ』(そのデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督次回作『Under the Silver Lake』も)を撮ったマイク・ギオウラキス(Mike Gioulakis)だった。
900万ドル低予算映画のためか、最新撮影機材使用ではないにもかかわらず、この仕上がりは素晴らしい。
Title Design > Filmograph
昨年の秀逸な『10 クローバーフィールド・レーン』タイトルデザインに続く(勝手にこう呼んでいる→)ソール・バス系デザイン。
Filmographはジェームズ・ワン監督の一連の作品や『ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション』カーテンコール(Curtain Call Sequence)のデザインなどを手がけている。(これから公開の『ジョンウィック2』や『パワーレンジャー』も)。
↓下記サイトは『スプリット』モーションテストやインタビューなど(タイトルシークエンス動画もあり)
http://www.artofthetitle.com/title/split/

映画『スプリット』公式サイト
http://split-movie.jp/

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2017-04-02

忘れるな、かつて束の間ありし場所 "キャメロット"での黄金時代を『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命(Jackie)』パブロ・ラライン監督、ナタリー・ポートマン、グレタ・ガーウィグ、ピーター・サースガード、他

ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命
Jackie

監督 : パブロ・ラライン
出演 : ナタリー・ポートマン
グレタ・ガーウィグ
ピーター・サースガード
マックス・カセラ
ベス・グラント
ジョン・ハート、他

物語・1963年11月22日、テキサス州ダラス。パレードをしていたジョン・F・ケネディ大統領が、群衆とファーストレディであるジャクリーン(ナタリー・ポートマン)の目前で暗殺される。父の死を理解できない子供たちと向き合いながら、彼女は葬儀の取り仕切り、リンドン・ジョンソン副大統領の大統領就任式への立ち会い、ホワイトハウスからの退去といった業務に追われる。そんな中、亡き夫が過去の人として扱われていくことに憤りを覚えた彼女は…。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Jac

※Memo
厳密な言葉選び、イントネーション。
インタビュアーに対しての受け答え。
涙を流しながら「そのときのことが知りたいんでしょ」と言ったかと思えばケロッとしてタバコ片手に「今の部分は書かないで」と返したりと、本心が全く見えてこない、非常に捉えどころがない人物像をナタリー・ポートマンが貫禄のオーラで演じる。
ケネディ大統領暗殺直後、最後まで脱がなかったシャネルのピンク色のスーツ。
有名なエアフォースワン内でのジョンソン副大統領の大統領への宣誓に立ち会うシーンも再現される。
そのあとも、ずっとスーツを着たままのシーンが続く。
そして、やっと自分の部屋に戻った際にカメラが全身を映し、スカートに付いた血の跡が生々しく残っていることがわかる、ドキッとするシーン。
もうひとりの主役はホワイトハウス。
とにかく、ここ(長い廊下など)を歩いていくカットが多い。
「こどもたちにはわたしから伝えます」
「パパは?」
キャロラインにこう話しかける。
「パトリックの元に行ったのよ」
「また会えるの?」
(キャロラインの名前が出たときに客席で「あー、この子が」といった親近感空気があったような…)
神父との会話。
非常に複雑なジャッキーの心情をあらわすシーン。
次々と投げかける問いは神父を困らせる(困惑しているようにも見える)
まるで禅問答のように。そして…
「失望させてしまうかもしれないが、こうしか言えない」
「答えはないのだということを」
グレタ・ガーウィグの公的秘書ナンシー・タッカーマン役にビックリ!
(あらゆるサジェスチョンを送り、ジャッキーを支えた人物を役柄同様に抑えた芝居で演じていて上手い)
またピーター・サースガード(この人の目が笑っていない表情演技がこのときのボビーの立場や状況にピッタリ)による弟"ボビー"ケネディのキャステイングにも。
ジャッキーがステレオでケネディ大統領が好んでいたというミュージカル『キャメロット』(※)の一節(忘れるな、かつて束の間ありし場所、キャメロットでの黄金時代を)を流すシーン。
追い払われるように去っていかなくてはならない、自分が手塩にかけて威厳を再構築していったホワイトハウス。
「ファーストレディはすぐにホワイトハウスから出ていけるように支度できることよ」
ジョンソン大統領と次のファーストレディがカーテンの色の話をしている傍らを通って行くシーンも。
※「キャメロット」の作者のひとりはアラン・ジェイ・ラーナー(ケネディ大統領とは大学が一緒だった)
SoundtrackにはRichard Burtonによる"Camelot"が収録されている。
アスペクト比がヨーロッパビスタ。
当時のテレビやニュースフィルムの映像がスタンダードサイズ(1.33:1いわゆる、かつてのテレビ4:3)なので差異が少ないサイズで撮られたのだろう。
(16mmフィルムから35mmフィルムへブローアップ、もしくはデジタル化)
(かつて大阪にあった名画座)大毎地下劇場だっら『ジャッキー ファーストレディ 最後の使命(Jackie)』と『ボビー(Bobby)』の2本立て上映をやっていただろうなぁと連想。

映画『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』公式サイト
http://jackie-movie.jp/

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2017-03-21

"長澤まさみさんのヤマアラシ・アッシュ歌唱があまりにも良かったのでメモ"『SING/シング』(字幕・吹替連続鑑賞) ガース・ジェニングス監督

SING/シング
SING

監督:ガース・ジェニングス
出演:マシュー・マコノヒー
リース・ウィザースプーン
セス・マクファーレン
スカーレット・ヨハンソン
ジョン・C・ライリー
タロン・エガートン

内村光良、MISIA
長澤まさみ、大橋卓弥
山寺宏一、他

Sing

Memo
(小林信彦先生の教えに従って映画は女優で、ということで) 長澤まさみさんのヤマアラシ・アッシュ歌唱、良かったー!
…と、そのことが記したくて短いですがブログメモに。
(昔だとシングルカットで是非〜、となるところ)
もちろんスカーレット・ヨハンソンのアッシュもビックリするほど上手い!
予備知識無しで見て、エンドクレジットでひっくり返ったマシュー・マコノヒー(バスタームーン)、タロン・エガートン(ジョニー)にはさらにさらに5億点。
バスターが劇場を創りたいという夢のきっかけとなった、伝説の舞台女優、ナナ・ヌードルマンの吹替を大地真央さんが。
(字幕版は『コララインとボタンの魔女』でミス・スピンクの声を演じていたジェニファー・ソーンダース)
字幕版も吹替版もそれぞれ、その国にあった歌合戦(※)となっている 笑
(きゃりーぱみゅぱみゅは共通←共通って…)
麒麟からかたつむりにいたるまで「んな、アホな」といった縮尺無視(歌えるのかぁー)生態系で面白い。
※『glee』とか『ピッチパーフェクト』とかいろいろ言われてたけれど、まさに歌合戦として集約されているラストが素晴らしい。
TOHOパス期間だったので字幕、吹替を続けてみたけれど、これ、ディスク化レンタル化された際は(両方が1枚でおさまってるので)超人気作になるのでは?
もちろん劇場でライヴのように見るのがオススメ!
監督は『銀河ヒッチハイク・ガイド』『リトル・ランボーズ』のガース・ジェニングス。出てくるだけで楽しませてくれた(そしてアクセントとなる)イグアナ秘書、ミス・クローリーの声も(「目玉、目玉…」って横山やすし師匠の「めがね、めがね…」みたいな)
Blue Ray(英語版)に収録される短編「Gunter Babysits」などは日本盤発売の際に収録されるのだろうか。
http://www.imdb.com/title/tt6536766/

映画『SING/シング』公式サイト
http://sing-movie.jp/

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2017-02-10

"ポーカーをする犬"『ザ・コンサルタント(The Accountant)』ギャヴィン・オコナー監督、ベン・アフレック、アナ・ケンドリック、J・K・シモンズ、ジョン・リスゴー、他

ザ・コンサルタント
The Accountant

監督 : ギャヴィン・オコナー
脚本 : ビル・ドゥビューク
出演 : ベン・アフレック
アナ・ケンドリック
J・K・シモンズ
ジョン・リスゴー、他

Ta

Memo
監督は傑作『ウォーリアー』がなかなか日本で公開されなかったり(カリコレ限定公開)同じく警察モノの佳作ながらDVDスルーされた『プライド&グローリー』と、結構不遇な扱いをうけているギャヴィン・オコナー
クローゼットを開けたときに「おぉぉぉ!!!ベン・アフレックがいっぱい吊るされている」と一瞬、目を疑った同じ肩幅広いスーツ、スーツ、スーツ…(←あ、冗談です…と、いう風に"死んだ目"とか"顎がわれているからすぐにバットマンって判る"とかいろいろツッコまれ気味なところも含めて、どこか好かれている役者なんだなぁ、と思っておりますです。)
あちらこちらに書かれているとおりクリスがこころを落ち着かせるために呪文のように唱える「ソロモン・グランディ」はイギリス童謡、マザー・グースの唄の歌詞(そしてDCコミックスの不死身の怪物の名前にも使われている)
寸分たがわぬ正確なリズムで過ごすクリスのライフスタイル。
(ガレージの開いていくシャッターへギリギリ車体すれすれにノーブレーキで入って行く見事なカーテクニック←仕事が完結しないことへ苛立った際との極端な落差)
アナ・ケンドリック演じるディナとクリス(ベン・アフレック)、ふたりの距離が少しずつ縮まっていく描き方がすごくよかったなぁ。
最初の書類をまとめて疲れて寝ているディナへ(近づいて触れることもしない)ぎこちない起こし方、外で昼食を食べているクリスへ話しかけてくるディナ、不正が判明した時、説明するクリス、犯人に命を狙われていることが判ってから隠れ家たるキャンピングカー(ジャクソン・ポロックの絵画とライトセーバーにアメコミって…笑)、ホテルへと移動してソファに並んで座るまでの位置関係。
この流れの中で最初に出てきた台詞に出てきた"ポーカーをする犬"が最後の最後、オチとして用意されていて、ここでほっとさせる余韻を残す辺りも本作の後味のよさのひとつでは?
クリスの事を調べさせるレイ局長(J・K・シモンズ)の真の目的、クリスに的確に指示を出す謎の声の主の正体など、まさにジグソーパズルのピースが収まるようにラストで回収させていくのも見事。
ラスト
ラマー社長(ジョン・リスゴー!←『トワイライト・ゾーン』で機上の翼の上のグレムリンより怖いぐらい目玉を飛び出させたぐらいの際立ち方もほしかったけどw))に雇われていた用心棒たちのリーダーは弟ブラクストンと判明。
(再会の約束をして)クリスへブラクストンへの台詞
「どうやって見つければいいんだ?」
「大丈夫だ。俺がおまえを見つけるから」
(これって、昔からよくラストに使われていたタイプの台詞で最近でも『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』でイルサがイーサンに言った"You  know how to find me."みたいな…。続きはそこから始められるということで続編期待大)
タイトルデザインはSCARLET LETTERS
小文字、黒地に白のシンプルなメインタイトル。

映画『ザ・コンサルタント』オフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/consultant-movie/sp/

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2016-10-13

『ジェイソン・ボーン(JASON BOURNE)』マット・デイモン、トミー・リー・ジョーンズ、ヴァンサン・カッセル、ジュリア・スタイルズ、アリシア・ヴィキャンデル、他

ジェイソン・ボーン
Jason Bourne (2016)
Director : Paul Greengrass
Writers : Paul Greengrass,
Christopher Rouse
Robert Ludlum(characters)

Jb

※Memo
ドキュメンタリーを撮っていたポール・グリーングラス監督らしいアテネの抗議デモが起こっている中でのチェイスが際立っている。
そのグリーングラス監督がボーンシリーズで始めたアクションシーンだけでドラマ自体を繋いでいく手法、その後のクレイグ版007シリーズにも影響が顕著に表れていた(逆にボーンシリーズが007的なニュアンスを持ち始めていたりもする)
キネ旬10月上旬号・畑中佳樹氏による『ジェイソン・ボーン』批評「パラレル編集とはカップルの創造である」必読!
今までの作品を通して語られるパラレル編集の妙味。
最後はイーストウッド監督「ヒア アフター」で締めくくられる。
マット・デイモンと並ぶとアリシア・ヴィキャンデルの顔がさらに小さく見える本作(←そこかい 笑)
シリーズの構成から考えると次回作ではヴィキャンデル演じるCIA分析官ヘザー・リー(おそらくはCIA長官になってる?)は亡くなってしまうことになるのかぁぁぁぁ
Main and End Title Sequence Design
PIC Agency
http://picagency.com/portfolio/jason-bourne/
(↑エンドタイトル部分の動画あり)

映画『ジェイソン・ボーン』公式サイト

http://bourne.jp/

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2016-07-29

『シン・ゴジラ』庵野秀明脚本・総監督、樋口真嗣監督・特技監督、長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ、野村萬斎、他

注・内容に触れています。
シン・ゴジラ

脚本・総監督 : 庵野秀明
監督・特技監督 : 樋口真嗣
出演 : 長谷川博己
竹野内豊石原さとみ
野村萬斎、他

物語・東京湾アクアトンネルが崩落する事故が発生。首相官邸での緊急会議で内閣官房副長官・矢口蘭堂(長谷川博己)が、海中に潜む謎の生物が事故を起こした可能性を指摘する。その後、海上に巨大不明生物が出現。さらには鎌倉に上陸し、街を破壊しながら突進していく。政府の緊急対策本部は自衛隊に対し防衛出動命令を下し、“ゴジラ”と名付けられた巨大不明生物に立ち向かうが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)
※なお、こちらのブログメモは追記予定です。

God1

Memo1
まさに鷺巣詩郎音楽、テロップ、作戦別ブロック型スクリプトなど、エヴァレイヤーがかぶさった形で出現した、見たかった日本製怪獣映画の登場!
伊福部昭「ゴジラ」「キングコングVSゴジラ」「三大怪獣地球最大の決戦」「宇宙大戦争」「メカゴジラの逆襲」など多数使用されていて、それだけでテンション上がる!
"ぐずぐず政府"に対して首都圏に突如、怪獣が現れたら"どうする?"シミュレーションドラマとしても秀逸な本作。
さて、ここで問題です。
本編中、何回"この国は"という台詞が出てきたでしょう?(想定外も多かったけど最後まで出てきてたのが"この国は")
前半、やたらと会議、会議と何か起こるたびに会議は続く(わざわざ「では、大会議室に移動しましょう」には笑った…と、いうか笑えない、か…。←今、会議している部屋でいいでしょー。あと有識者を集めて意見聞いたも別部屋で)
市川実日子さん演じる環境省・尾頭課長補佐がよかった。
(この後、集められる「巨大不明生物特設災害対策本部」略して「巨対災」のメンバーにも←この各省庁内のはみ出し者、変わり者、オタクの集まりである「巨対災」が結果としてゴジラの活動を止めることとなるのが、また良いですね)
その尾頭課長補佐の(悠長なことを言ってる政府首脳陣の中で放つ)台詞。
肺魚のような脚があるとも推測できるので上陸の可能性もあるかと思います
秒速何ワードかを競うかのような早口台詞オンパレードの本作中にあってテキパキテキパキさで群を抜いて面白い。
「ここから退避します」の指示の出た時、他のメンバーがばたばたと書類や資料を集めてるメンバーの中で、ひとりノートパソコン小脇にさっと出ていこうとする姿。感情なんてあるの?と、思っていたら、見事ゴジラを血液凝固剤で活動凍結に追い込み終結した際に「よかったぁ」とひとこと安堵の声をもらして、こちらもほっとする。
破壊神としての姿はレジェゴジやエメリッヒゴジラなどをあっさり凌駕して、"うむ"も言わさない消滅のさせ方(壊し方ではなく、まさに消滅!見たかハリウッド!)
覚醒後の口、背部からの熱線の飛び散る乱舞ぶりは本当に2016年現在のゴジラだ!
(制御不能の巨神兵のシーンを想起)
自衛隊と米軍が合同で"仮想敵"を攻撃するシミュレーションドキュメンタリーのような(前述)"ヤシオリ作戦"
この順序立てた対ゴジラへの見せ方がクライマックスとして用意されている。
矢口と赤坂が熱核兵器の使用についての決定が下された後、遠くに動きの止まったゴジラを見ながら交わされた台詞のひとつ。
「戦後は続くよ、どこまでも」
公開日に情報開示されたモーションキャプチャーアクターを野村萬斎さんが務めたという情報。
エンドクレジットでメインアクターと同じ扱いで1名表記だったので「あれ??主要キャスト?って…ど、どこに出てたの?」と思っていたら、そうでしたか。
ラストカット。
全体にグロい造詣のゴジラにあって、さらに、あの尻尾の先の這い上がっていくような(背びれのあるような)ヒトの彫刻群が凄まじく怖い。
(彫刻協力で名前が出てる高野眞吾さん関連?)

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タイトルロゴデザイン(音響設計や宣伝ポスターも)は庵野秀明。
(東宝ロゴは現在のバージョンの前に以前のロゴもわざわざ使用。エンドクレジットの一番最後の「終」の文字も以前の「ゴジラ」のものを踏襲)

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パンフレットが「ネタバレ注意」と封印されているとおり、初公開写真が多数。
(予告編や告知などで小出しに放送されているミニチュア使用のメイキング映像など、てっきりゴジラに壊されているシーンだと思っていたら、最初のちょっとパッと見では判らない、もしや別怪獣?と思わせられた第一形態ゴジラだったとは!見事なミスリードっぷりでした。その意味ではあの予告編もかなり外してつくりこんでいた気が…)
パンフレットの最後にはエンドクレジット表記が全て掲載されています。
公開に合わせてふたつの展覧会が。
鶴岡アートフォーラムと福岡市美術館。

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シン・ゴジラ』追記版

Expo1

Expo2

8月10日に上映が終了する駆け込みでレーザーIMAX版を見た。
元がシネマスコープのためフルサイズではないが音圧と大きさとディティールの再現性(なんと!尾頭さんのうぶ毛まで見える←すみません。見えてしまったのはしようがない…と、いうか、これも輝度の差?)
※8月25日から9月9日まで追加上映決定
しかし、それにしても圧倒的な量の「シン・ゴジラ」関連記事やツイートや"まとめ"や、その他もろもろ。常盤橋プロジェクトのビルが既に建っているから始まってゴジラの生体を科学的に分析した記事、尾頭ヒロミをいろいろな漫画家タッチで描く、関西ゴジラあるあるのような大喜利ネタまで。全てをまとめたら書籍が出せそうな程。

カヨコ・パターソン語録

(↑これも各キャラクター別に既出されていると思うけれど、一応メモ)
「さすがはお祖母ちゃんの国、仕事が早い」
「ZARAはどこ?」
(↑エキスポシティ内にあるので鑑賞した何人かは「あ、そこにあるよ」と思ったかも 笑)
「ここからはパーソナルサービス」

↓最前列から見上げた状態

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映画『シン・ゴジラ』公式サイト
http://shin-godzilla.jp/

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2016-05-11

『山河ノスタルジア(MOUNTAINS MAY DEPART)』ジャ・ジャンクー監督、チャオ・タオ、チャン・イー、リャン・ジンドン、ドン・ズージェン、シルヴィア・チャン、他

注・内容、台詞、ラストに触れています。
山河ノスタルジア
MOUNTAINS MAY DEPART

監督 : ジャ・ジャンクー
出演 : チャオ・タオチャン・イー
リャン・ジンドンドン・ズージェン
シルヴィア・チャン、他

物語・1999年、山西省汾陽の小学校で教師を務めるタオ(チャオ・タオ)は、炭鉱作業員リャンと実業家のジンシェン(チャン・イー)から求愛されていた。その後タオはジンシェンを結婚相手に選び、二人の間に男の子が生まれダオラーと名付けられる。2014年、離婚して汾陽で一人暮らしのタオは離れて生活しているダオラーと久々に顔を合わせるが、ジンシェンと一緒にオーストラリアに移り住むことを知らされ…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Md

Memo1
タイトルから悠々たる大河ドラマを想像してしまうが全く違う展開をみせて驚く。そして、各ショットも驚くほど短い。だが挿まれた何気ない風景は不可逆なる取り戻せない時間と失いつつあるアイデンティティの残像のように心に沁みる。
冒頭とラストに使われたPet Shop Boys"Go west"が輪舞曲のよう。
スクリーンサイズが過去、現在、未来と年代に応じてスタンダード、アメリカン・ヴィスタ、スコープサイズと変わる。
そして色彩も。
目にも鮮やかなが踊る1999年。
(時折挿入されるビデオ映像の荒れた画質に彩度の高い映像)
そのビビッドな活力あふれた色彩の世界は時が経つにつれ、人々の繋がりが薄れていくとともに、すっきりとした(光に溢れた)しかしどこか空虚な感じのするペールトーン主体のイメージへと変わっていく。
タオの台詞
「それは幾何?関数?」
「三角は1番安定してるのよ」
最初の三角関係は形を変えて2025年パートまで続く。
1994年パート
息子を送り届ける<、母タオ。
「どうして特急に乗らないの?早く着くのに」
「こうすれば長くいられる」
(急速に移り変わっていく中国や中国人への暗喩的な意味もあるのだろう。座っている向きも進行方向とは逆だ)
2025年オーストラリアパート
全く広東語が話せなくなっているダオラー。
逆に英語が話せない父親のジンシェン。
ダオラーが言う。
「Google翻訳の息子」
中国語学校の教師ミア(シルヴィア・チャンが演じていてビックリ!)
母の記憶としての面影と思慕。
「前にこんな場面があった気がする。デジャヴのような」
ミアもまた、中国を離れ自らのルーツが薄らぎつつある。
ふたりでみつめる水平線の先には母国が…。
「タオ‥」
母の名をポツリとつぶやくダオラー。
ふと、声を聞くタオ。
そのシーンに続いての終幕。
犬の散歩に出かけた先の風景は、炭鉱などがあった、あの河の近く。
雪が舞う中、冒頭のダンスを踊るタオ。
しんしんと降る雪の音。
(この音がいい!)
肯定的な美しいラストだ。
"麦穂餃子"が3つのパート全てに出てくる。
・タオとリャンが仲良く食べるシーン。
・父親の葬儀のために帰ってきた7歳のダオラーに冷まして食べさせるシーン。
・ラスト、時が経っても変わらずに
麦穂餃子を作っているタオ。
また1999年パートでタオが着ていたカラフルなボーダー柄のセーターは2015年パートで2代目ワンちゃんのセーターに編み直されている。
・三国志に出てくるような大刀を持った少年が青年となって一瞬、出てくる。
・唐突にタオの目の前で起ったセスナ機の墜落シーン。
2014年パート、その道路の場所に佇む親子(遺族?)など、年代を通してさりげなく織り込まれている。

Memo2
昨年のフィルメックス含め、いくつもの監督インタビューやQ&Aが公式に公開されています。
2015/11/28 『山河ノスタルジア』Q&A
TOKYOFILMeX
有楽町朝日ホール
https://youtu.be/lGykOoHbAvY
『山河ノスタルジア』半野喜弘 レコーディング映像

https://youtu.be/UgakiAE1b9Q

映画『山河ノスタルジア』オフィシャルサイト
http://www.bitters.co.jp/sanga/

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