2017-02-16

『たかが世界の終わり(Juste la fin du monde/It's Only the End of the World)』グザヴィエ・ドラン監督、ギャスパー・ウリエル、マリオン・コティヤール、ヴァンサン・カッセル、レア・セドゥ、ナタリー・バイ

注・内容、ラストに触れています。
たかが世界の終わり
Juste la fin du monde
It's Only the End of the World

監督 : グザヴィエ・ドラン
出演 : ギャスパー・ウリエル
ヴァンサン・カッセル
マリオン・コティヤール
レア・セドゥ
ナタリー・バイ

End

Memo1
フィックスで、この家族劇を捉えてしまうと本当にきつくて耐えられなかったかもしれないところを、表情のアップと心象風景、編集と色彩のリズム、効果的な音楽(「マイアヒ」が流れたときの一瞬、表出する思いで)などで見せる。
冒頭、空港からのタクシー移動中にリアウインドウ越しに見える、ふたつの寄りそって上がる風船はわざわざ飛ばしたのだろうか?
(他にもペア、対としていろいろなものが写る。それを車中からながめるルイ)
ルイ(ギャスパー・ウリエル)と母親マルティーヌ(ナタリー・バイ)、ルイと妹シュザンヌ(レア・セドゥ)、ルイと兄アントワーヌ(ヴァンサン・カッセル)
それぞれ、ふたりきりになろうとも、そのよそよそしさ、もどかしさ、ためこんできたものの12年の距離は埋まらない。
その中で兄の妻カトリーヌ(マリオン・コティヤール)だけは初対面(冒頭、エッ!?初めて顔をあわすの?と母や妹が驚くシーンがある)ということもあって、少し抱いている感情は違う。それどころか家族が気づかないルイの病気のこともわかってしまう。
「あと、どれぐらいなの?」
(コティヤールのこの表情芝居のなんという上手さ!)
また母親(これまた『わたしはロランス』に続いてナタリー・バイがスゴイ)のなんとか空白の空気と気まずさを埋めようとする饒舌ぶり、そして「母親にも新しい住所が教えられないの」といいつつも抱きよせ「それでも愛している」というときの表情、指先。
ふたりだけのシーンと家族全員が揃うシーンがバランスよく配置されている構成もスゴイ。
感情がぶつかり合うドラマなのだが、どこか理知的、理性的な印象をうけるのは、そのせいかもしれない。
いわば"感情"を"外部化"して見せているともいえる、その演出作法は演劇ではない"ディスコミュニケーションを表した現代の映画文法"として、ものすごく先鋭的だ。
先の母親の指先もそうだが、兄の拳の傷の生々しさ(あきらかに人に暴力をふるったとおぼしき傷あと)、手紙・葉書をすごい早さで繰る手など、それぞれの登場人物たちの"手の表情"も素晴らしい。
カンヌでの監督とマリオン・コティヤールとのインタビューでの監督の言葉。
「重要なのは、ある午後彼らが一緒に時を過ごしてひとつの空間でどうなっていくのか。誰かが耳を傾けていて誰かは上の空。誰が誰を見ていて誰が誰を守ろうとしているか。そしてそれは人生そのものだ。これは瞬きのような、とても限られた一幕だ。お互いに驚くほど無関心で愛し合い方を知らない人たちの人生の中でね」

Memo2
いったいどうすればこのようなブレのない色彩設計になるのか?
・美しい思いでとしての心象風景の色(空の青、幸せな光の色…)
・兄と車の中なら話せるかもしれないと出かけたドライブ、その際の曇天たる外の風景の色。
・ラスト、時刻が夕刻ということでオレンジ色に燃えさかるような色合いに変わる。
(そこで感情と感情がぶつかり合い、最後、何も告げずふりかえることもなくルイは去っていく)
カラリストは誰?ということで調べてみた。
Jerome Cloutier
http://www.imdb.com/name/nm4656752/
(前作『Mommy/マミー』と次回作も!)
ドラン監督によるAdeleのミュージックビデオ ‘Hello’についてCOLORIST ジム・ウィックスによる記事
https://www.jimwicks.com/adele-says-hello-to-color-grading/
パンフレットデザインは大島依提亜さん。
表1~4を除く正味本文が56ページ!(黒に銀刷り)
ジャン=リュック・ラガルス原作『まさに世界の終わり』の訳者齋藤公一氏、他、Reviewが6本!
監督、出演者インタビュー、フィルモグラフィ、
プロダクションノートと超充実した内容。
"家は救いの港じゃない"と繰り返される
オープニング Camille 「Home Is Where It Hurts
"誰にも届かない 心の叫び"と歌われる
エンドタイトル Moby「Natural Blues
(共に訳詞も掲載)

End_2

Memo3
『たかが世界の終わり』と『マリアンヌ』のマリオン・コティヤールを見て思いついたけれど、昔あったテレビ『どっちの料理ショー』もじりで『どっちのコティヤール』という番組はどうでしょう?全く別人か!?と思えるほど落差のある役を演じた俳優を特集。
(あ、『どっちーも・デ・ニーロ』という響きもいいなぁ)
ドラン監督次回作は初の英語作品。
キット・ハリントン、ジェシカ・チャスティン、ナタリー・ポートマン、エミリー・ハンプシャー、スーザン・サランドンらが出演する"The Death and Life of John F. Donovan" (既にファンメイド予告編とか撮影風景とか結構出ていてビックリ)

映画『たかが世界の終わり』公式サイト
http://gaga.ne.jp/sekainoowari-xdolan/

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2017-01-28

"そっと涙をふくマント"『ドクター・ストレンジ(Doctor Strange)』スコット・デリクソン監督、ベネディクト・カンバーバッチ、レイチェル・マクアダムス、マッツ・ミケルセン、ティルダ・スウィントン、他

注・内容、台詞に触れています。
ドクター・ストレンジ
Doctor Strange

監督:スコット・デリクソン
出演 : ベネディクト・カンバーバッチ
レイチェル・マクアダムス
マッツ・ミケルセン
ティルダ・スウィントン
キウェテル・イジョフォー
ベネディクト・ウォン

Ds1_2

Memo
いやー、面白かった!!!
マーベル作品でも、ちょっと傍系(と、勝手に呼んでいる)『アントマン』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』が好物な者として、これはホントに楽しい(ギャグに走りがちだけど、まぁ無手勝流にいろいろやれるところが、またヨロシ。ディズニーはんも、主系絡ませといたら気ぃつけへんと思いますし←関西弁)
笑った台詞
(劇場でも1番ウケた)
「これはマントラ?」
「パスだ。Wi-Fiの」
「そこまで未開の地ではないからな」
ひとことキャッチフレーズで言い表せる名シーン
"そっと涙をふくマント"
いろいろ助けてくれるマント。
今後の活躍にも期待させてくれる行動 笑
"傷を負ったら飛び込めクリスティーン救急医療"
三段オチとしてはストレンジ、エンシェント・ワンと、あともう一回ほしいところだが、それをやっちゃあクドイということで(しかし、こちらのクリスティーンとの絡み方も次回作で出てきそうなパターン)
"ウォンを笑わせられたら一人前"
「名前はそれだけ?」
「エミネム」「ボノ」「ビヨンセ」といろいろやって見るが笑わない。
そのウォンが最後の最後(カエシリウスを追い払った後)に笑うシーンがオチとして用意されている。
クリスティーンを演じたレイチェル・マクアダムス(ガイ・リッチー『シャーロック・ホームズ』でアイリーン役だったというのも…←うっすらカンバーバッチ繋がり?)
拝みたくなってしまうほど神々しい頭のティルダ・スウィントン(エンシェント・ワン役←扇子を左手、後ろに持つポーズがカッコイイ)。
『007』『TVシリーズ・ハンニバル』から『スターウォーズ』までキャリア大横断中のマッツ・ミケルセン(カエシリウス役)と、"こりゃー、反則やん"とツッコミたくなるほど見事なキャスティング。
エンドクレジット後のお楽しみは恒例二段構え。
ひとつめはソーとロキの行方について(飲んでも飲んでも減らないビールジョッキシーンw)
ふたつめはラスト、兄弟子だったモルドが(いわゆるヴィラン)として登場するであろう予兆部分が描かれている。
全編通してテーマとしては"時間"
永遠の命のための時間、無限に繰り返される時間(結果、これが解決策となる)
そして最初からモチーフとして出てくるスティーブン(ドクターストレンジ)が集めていた時計コレクション。(←オレ様スゴイ感があふれる時計が1点ずつ回るディスプレイですがw)
だが、手の手術のために全て売り払ってしまうこととなり最後に残っているのがクリスティーンからプレゼントされた時計(これを最後まで持っていたということもよいなぁ)。
ラスト。
その時計をしっかりとつけ直すシーンできっちりと締めくくられる。
出てきた瞬間「おぉっ」と思った音楽について、書かれた記事。
ロッキング・オンの音楽情報サイト RO69
"ピンク・フロイドとの意外な関係。そして、ヴィサージって…"
http://ro69.jp/blog/rockinon/155348
タイトルデザイン(main-on-end titles)は『アントマン』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』なども手がけたsarofsky
サイト記事にも書かれているとおりマンダライメージ。
(これはマンダラの概念とも被る時計モチーフでもありますね)
sarofsky(エンドタイトル部分画像あり)
http://www.sarofsky.com/work/#!/doctor-strange

Ds2_2

ドクター・ストレンジ 公式サイト
http://marvel.disney.co.jp/movie/dr-strange.html

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2017-01-22

タイトルデザイン_47 BIG FILM DESIGN『沈黙‐サイレンス‐(Silence)』マーティン・スコセッシ監督、リーアム・ニーソン、アンドリュー・ガーフィールド、アダム・ドライヴァー、窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形、他

沈黙‐サイレンス‐
Silence

原作 : 遠藤周作
監督 : マーティン・スコセッシ
出演 : リーアム・ニーソン
アンドリュー・ガーフィールド
アダム・ドライヴァー
窪塚洋介、浅野忠信
イッセー尾形
塚本晋也、小松菜奈
加瀬亮、笈田ヨシ、他

Silence

Memo1
年初にガツン!
堂々たる風格の時代劇を海外のスタッフが日本ではなく台湾でロケをし、いささかの違和感も感じさせない考証のもと、創り上げてしまった!
今から40年以上前に(多分、毎日ホールで毎月日本映画を特集上映していた「映像のロマン」で)篠田正浩監督版の『沈黙』を見た記憶が…(調べてみると撮影監督・宮川一夫、音楽・武満徹!)
さすがに深く理解できる年齢ではなかったので、ぼんやりとした印象しかないのが残念。
もし、この作品を誰が撮ったのかを伏せて鑑賞した場合、どのような印象を受けたのだろうかということを想像してみる。
もう、何年にもわたってスコセッシ監督が映画化という話を聞いていたので、どうしても『最後の誘惑』『クンドゥン』のライン上に作品を置いてしまうからだ。
ある意味、この2本と『沈黙』は根本のところで繋がっているとも思える←それ故、フェレイラとロドリゴが再会する寺での問答("大日"についての解釈など)は興味深い内容だった←まさに"日本は沼のようなもの"の意も。
公開前から既に、そのキャスティングに対してクワイ=ガン・ジンとカイロ・レンとスパイダーマンが共演!と書かれていた本作。
(もっともリーアム・ニーソンとアダム・ドライバーは同一画面に出てきませんが…)
その俳優陣にまざって窪塚洋介(ユダとして重要な役回りキチジローを好演)、さすがに(いくつものハリウッド映画出演多数だけあって)上手い浅野忠信による通辞。さらには塚本晋也監督がおどろくほどの溶け込み方(本当に、この時代にこういう人がいたと感じさせるリアリティ)、そして、まさに怪演といっていいイッセー尾形による長崎奉行、井上筑後守。
鑑賞後に判明したので見ているときは気付かなかったキャストも多いけれど、本当に多くの日本人俳優が出演(中村嘉葎雄、PANTA、片桐はいり、SABU…)。リストを見てると、プロレスラーの高山善廣の役名がLarge Manって(←こちらはすごくわかりやすいところで出てた)。黒沢あすかがロドリゴの妻として、ラスト、亡くなったロドリゴの棺桶を送り出す件(くだり)で、ちょっといい締めくくりの役を(棄教後も何度となく行われた踏み絵の場面でのロドリゴの心中察するかのような表情など、ここまで細かく演出指示がなされていたのかと感嘆)。

Memo2
衣装&プロダクションデザインをスコセッシ監督と何度も組んでいるダンテ・フェレッティ
17世紀の日本、それも長崎を見事に再現したセットデザインが本作の肝のひとつといっても過言ではない(密航のための中継地、マカオもきっちりと)
後半の主たる舞台、長崎奉行所による牢が置かれた役所も、その地面の土の色含め本当に素晴らしい。
タイトルデザインはRandall Balsmeyer (BIG FILM DESIGN)
黒字に白、細みのフォントを使ったシンプルなタイトルロゴ
(エンドクレジットに至るまで全て、非常に端正)
そしてバックに流れる虫の声や木々のざわめき、風の音、遠くに聞こえる雷鳴…などとも調和している。
(まさに余韻!!)

『沈黙‐サイレンス‐』公式サイト
http://chinmoku.jp/

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2016-12-08

『ダゲレオタイプの女(La Femme de la plaque argentique/DAGUERROTYPE)』黒沢清監督、タハール・ラヒム、コンスタンス・ルソー他

ダゲレオタイプの女
La Femme de la plaque argentique
DAGUERROTYPE


監督 : 黒沢清
出演 : タハール・ラヒム
コンスタンス・ルソー
オリヴィエ・グルメ
マチュー・アマルリック
マリク・ジディ

Kurosawa1

Memo
(個人的)黒沢清監督作品のお気に入りベスト3に入る傑作!
フランス人スタッフと共にフランスで撮影された作品であるにもかかわらず漂う『雨月物語』のような気配と品に満ちた作品!
マリーを演じたコンスタンス・ルソー
そのインタビュー他記事でよく目にした"瞳が微妙にぶれている"という特質のせいか独特の脆さ、儚さを醸し出していて素晴らしい!
そのマリーを撮影した出来上がったばかりのダゲレオタイプ(下記掲載のシルバーグレイモノクロ2点目の画像)の目が少し動いたように見えたのは気のせいだろうか…。
そもそもがこのダゲレオタイプという等身大の写真自体が"ある種のゴースト"ではないか…
誰もがそう思ったであろう(或いは言及している)ヒッチコック『めまい』と『ソラリス』における実体化、ヌーヴェル・ヴァーグ期の事件を起こし逃げていく男女(最もシャブロル監督はじめヒッチコック作品の影響下のもと、つくられた作品が多々あった訳でもありますが)など、もはや"映画的ごちそう"である。
音楽、グレゴワール・エッツェル
マリーを車で連れて逃げるジャン。
そのシーンのスコアがまさにバーナード・ハーマン"あの作品"を想起させるのが素晴らしい(意図していなかったようだけれど、まるで導かれるように…)
「これは現実なのか…」
「幻と言うなら」
「どこが境い目?」
それに呼応するようにステファンが写真"ポートレート"を撮る老婆の台詞
「死は幻です」
鏡、階段、窓から射しこむ光、揺れるカーテン、(脚の無いように)スーっと移動する人物(もう最初のマリーの母親のゴーストらしき人物だけで、こころ持って行かれました)、遠くに不意に立つ人影…フランスで撮ろうが、そこには紛うことなく今までの作品と同じように"しるし"がいくつも現れる。
文學界2016年11月号・黒沢清監督インタビュー「ものすごく贅沢な幽霊映画」なるほど!(←見た方は解る!)
前述ヒッチコックに関しての言及も。
そして驚いたのは階段落ちシーンでの"あの埃"がCGだったこと!
(あまりの偶然度に最初ビックリした)
思えば、あの瞬間マリーは誰かに落とされたのではないかとも見える。
とにかく、もう一度再見してみた時の楽しみに取っておこう。

Kurosawa2

映画『ダゲレオタイプの女』公式サイト
http://www.bitters.co.jp/dagereo/




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2016-07-31

『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男(Trumbo)』ジェイ・ローチ監督、ブライアン・クランストン、ダイアン・レイン、ヘレン・ミレン、ジョン・グッドマン、他

注・内容、台詞に触れています。
トランボ ハリウッドに最も嫌われた男
Trumbo

監督 : ジェイ・ローチ
脚本・製作 : ジョン・マクナマラ
出演 : ブライアン・クランストン
ダイアン・レインヘレン・ミレン
エル・ファニング、ジョン・グッドマン
ルイス・C・K、他

物語・『恋愛手帖』で第13回アカデミー賞脚色賞にノミネートされ着実にキャリアを積んできたダルトン・トランボ(ブライアン・クランストン)。しかし、第2次世界大戦後の冷戦下に起きた赤狩りの標的となり、下院非米活動委員会への協力を拒否したことで投獄されてしまう。釈放後、彼は偽名で執筆を続け『ローマの休日』をはじめ数々の傑作を世に送り出す。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Trumbo

Memo1
今年公開されたコーエン兄弟『ヘイル!シーザー』が同時代のハリウッドをネタに描いていた部分(帽子がトレードマークのゴシップ記者 笑←『トランボ』ではヘレン・ミレンが赤狩り急先鋒のひとりヘッダ・ポッパーを実に嫌みたらしく演じていて流石です 笑)といろいろ重なる。←こちらはソ連スパイがハリウッドに潜り込んでいるあたりをブラックコメディとして描いているのに対して本作は当時の赤狩りが行われていたハリウッドの様子をそのまま描いている(ただしノンフィクションでは無い。友人の脚本家アーレン・ハードは何人かの脚本家を合わせたもの)
トランボを演じたブライアン・クランストンをはじめ妻クレオ役のダイアン・レイン、娘ニコラ役のエル・ファニングとキャスティングのバランスもすごくイイ!
"ジョン・グッドマンの出てる映画はいい映画"という格言があるが本作も、その格言はいきている。
実名では脚本が書けないトランボ(他の脚本家など)に、とにかくB級映画をどんどん量産したいプロデューサーのフランク・キングが圧力など"なんのこともない!"とばかりに依頼する。

ジョン・ウェインやカーク・ダグラス、MGMのルイス・B・メイヤーなどの実名登場と共に『ローマの休日』などの本編映像も出てくるバックステージものとしてのお楽しみも多々。
なかでも、いちいち名前を連呼するオットー・プレミンジャー監督の件(くだり)は笑った(しかも似てる!)。
才能が"実態のない脅威"を凌駕していく話は痛快。
(しかし、いつの世も似たような出来事が起こりえるわけで…)
そのプレミンジャー監督。どこかからカーク・ダグラスが依頼した『スパルタカス』の脚本を入手していて自分の『栄光への脱出』の脚本をトランボに依頼する。
「もし脚本の出来がよくなかったら実名で公開するからな」
と、実に粋な言葉を返す。
その前に「チケットの不買運動を起こす」などといった圧力にも屈せず制作を続けたカーク・ダグラスと共に2作品でとランボの名前が実名でクレジットされる。
(プレミア試写でトランボの眼鏡に映る自分の名前!奇しくも両作品のタイトルデザイナーがソール・バス!)

ハリウッド内でとランボの噂は広まり、もはやブラックリストの存在自体が有名無実化しようとしはじめた歳のテレビ局のインタビューに対して。
「私には13歳の娘がいます。3歳の時に私がブラックリストに入り、そのあと書いた全作品の題名をあの子は知っています。今まで一度も誰にも話さなかった。まさに戦士です。"お父さんは何してるの"友達にそう聞かれるたびに娘はどんな思いだったのでしょう。もし私がオスカーをもらったら、おそらくあの子にあげるでしょう。こう言ってあげます。もうこれからは抱えていく秘密はないんだと。私たちは名前を取り戻したんだと」
そしてラストはSWG(映画脚本家ギルド)から贈られた功労賞授賞式のスピーチで締められる。
「英雄も敗者もいなかった。いたのは被害者だけだ」

ちょっと蛇足
ダルトン・トランボの名前を知ったのはラジオ大阪で放送さ れていた「ヒットでヒット バチョンといこう!」浜村淳による『ジョニーは戦場へ行った』解説でした(あまりに見事な紹介で、その時点でまるで見た気分になってしまった訳ですが…← 実際、この時の作品紹介がよかったのか何回となく取り上げられていた記憶があります)。その後『パピョン』がおそらくリアルタイムでクレジットされた作品の最初だったと思います(『ダラスの熱い日』は後年、名画座で)

Memo2
Main and End Title DESIGN >
Pacific Vision Productions, Inc.

(本編からのタイトル部分の画像あり)
http://annyas.com/screenshots/updates/trumbo-2015-jay-roach/
ジョン・グッドマンによる最もスカっとするシーン
(Universal Pictures Home Entertainment公式サイトのBlue Ray告知より本編シーン)
https://youtu.be/zhehd9XW0_U
第29回アカデミー賞授賞式。
『黒い牡牛』がロバートリッチ名で受賞するシーン。
the 29th Academy Awards
Dalton Trumbo (as "Robert Rich")
Writing Winners: 1957 Oscars
https://youtu.be/c2KdnI1N8AU
映画本編にも使われたCBSインタビュー
Dalton Trumbo Bill Stout Interview, January 1959
https://youtu.be/ugjwNgnH0Kg

映画『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』公式サイト
http://trumbo-movie.jp/

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2016-06-18

『10 クローバーフィールド・レーン(10 Cloverfield Lane)』ダン・トラクテンバーグ監督、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ジョン・グッドマン、ジョン・ギャラガー・Jr、他

注・内容、ラストに触れています。
10 クローバーフィールド・レーン
10 Cloverfield Lane

監督:ダン・トラクテンバーグ
製作:J・J・エイブラムス

メアリー・エリザベス・ウィンステッド
ジョン・グッドマン
ジョン・ギャラガー・Jr、他

物語・ミシェル(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)は目覚めると、自分が見ず知らずの2人の男性とシェルター内にいることに気付く。その日を境に、彼女を助けたと主張するハワード(ジョン・グッドマン)とエメット(ジョン・ギャラガー・Jr)との奇妙な共同生活がスタートする。ミシェルは、外は危険だという彼らの言葉を信じるべきかどうか悩んでいた。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

10cl

Memo1
いわゆる情報遮断系の映画。
と、いうことで何も知らずに見に行くつもりが、あっさりとTVCMで"アレ"が流れてました。
とは言っても、この作品見どころはそちらではなくジョン・グッドマンの怪人ぶり。("ジョン・グッドマンの出る映画は良い映画"と昔からの格言にあるとおり)
それと「ミスト」や「エイリアン」や「ターミネーター」「未知との遭遇」(ガソリンスタンドなんて一瞬、デニス・ミューレンによるミニチュアに見えた)やら、いろいろな映画既視感テンコ盛りの楽しさ。
そしてシェルター内での密室サスペンス。
いい人なのか悪い人なのか、外では何が起ったのか、それは本当のことなのか…。
おいおいおいおい「フランシス・ハ」かよ、とツッコんだ「10 クローバーフィールド」の意味(←これは二重のネタバレかも?)
"クローバーフィールド10番地"
ハワードのシェルターのあった場所から脱出し、車を走らせるミシェル。
ラジオから流れる"ふたつのエリア"情報
(そのことはシェルター内でエメットと語った"選ぶ"ことと繋がる)
なんと!
ジョン・グッドマンがジョン・ヒューズの映画を見ている!?笑(映像もチラッと流れます)
「すてきな片想い?」
「プリティ・イン・ピンク」
その他、流れる音楽もちょっとビックリ!
(後述SONG LISTリンク参照)
"ジョン・グッドマン"ダンスが 笑
エンドクレジットで気がついたけれどミシェルの彼氏、iPhoneから聞こえるベンの声がブラッドリー・クーパー(ファンは声だけで判るのかな?)
ファーストカットのヒロインの部屋のシーンから、きっちりと後半へのフリを入れている親切設計。
窓辺のカーテン、その脇に服の型紙などがつるされている。
机に置かれた指輪。
(服飾をやっていること、カーテンを使って防護服をつくること、意を決して部屋を出たこと)
ラストは『ターミネーター』の「嵐がくる」「知ってるわ」の有名な台詞に続くサラ・コナーが真っ直ぐな道をメキシコへ向けて走っていく、あのシーンへ呼応。
ヒロイン、ミシェルは選んだのだ。
戦いの最中である応援を求められているヒューストンへの道を。
(ある意味、テレビドラマへの序章段階ともとれるラストだ)

Memo2
Main & End Title Design
Filmograph
シンプルなつくりながら「おぉっ」と身をのりだしてしまった、よい見せ方。
ソール・バス系(バス系って…)のモーションを彷彿。
(タイトル部分・動画あり)
http://www.filmograph.tv/project/10-cloverfield-lane
Behind the Scenes
(監督・出演者へのインタビューなど)
https://youtu.be/2LMCdE0osto
Soundtrack and Complete List of Songs
http://www.what-song.com/Movies/Soundtrack/1927/10-Cloverfield-Lane

映画『10 クローバーフィールド・レーン』公式サイト
http://10cloverfieldlane.jp/

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2016-06-05

タイトルデザイン_45. Blur Studio (End Title Sequence/CLAUS)『デッドプール(Deadpool)』ティム・ミラー監督、ライアン・レイノルズ主演 "緑から赤へ"

デッドプール
Deadpool

監督 : ティム・ミラー
出演 :ライアン・レイノルズ
モリーナ・バッカリン
エド・スクライン、T・J・ミラー
ジーナ・カラーノ
ブリアナ・ヒルデブランド

物語・ウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)は、以前は優秀な特殊部隊の傭兵として活躍していたが、今は悪者を気まぐれに痛めつけては金を稼いでいる。すっかり正義のヒーロー気取りの彼は恋人ヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)との結婚も決まり幸福の絶頂にあったが、いきなり末期ガンだと診断される。とある組織にガンを根治できると聞いたウェイドは、彼らに同行して人体実験を受ける。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Dp

Dp2

Memo1
オーマイガー!!!
まぁ、こんなヒーローですが何か??と言わんばかりにつっこまれる前に自らツッコむキャラ。
で、よく喋ります。
(観客に向かって、あ、時々ボソッと聞こえない声で毒づく←戦いのラスト、X-MENメンバー、コロッサスとネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドの前では良い子ちゃんっぽいセリフ、実は…のシーンは笑える)
そして、あまりに多くの小ネタ(元映画に気づかなかったものも多数)は鑑賞後のお楽しみとしても最多部類かも?
字幕版で鑑賞したのだが、吹替版の方がドッカンドッカンウケていたらしく、そのあたり字数の限りの限界か。
(エル・カンセルって、どういう日本語吹き替えになっているのだろうか?)
現在のシークエンスと何故、こうなったのか(デッドプールになってタクシー 笑 で追跡しているのか)を振り返るシーンを交互にミックスした進め方が、ややもたつく感があるが、しばらくするとデップー独り語りのリズムと合ってきて面白い。そしてビックリするようなラヴストーリーとしての着地点に、デップー冒頭から語ってたこと、ホンマや〜(関西弁)と椅子からずり落ちながら、おぉっ!と納得。
「ワム」ではなく「ワム!」
この「!」が大事。
この時の発音によるセリフ回しはオリジナルでも面白い。
(と、いうかライアン・レイノルズ、上手い!)
ヴァネッサがデップーに負けず劣らずの口の悪さでちょっと、今までにないタイプのヒロイン(ヒロインというには語弊があるかもしれにいけれど、ヒーローと呼ぶデップーに対してのヒロイン)。
そして、ふたりが不幸自慢で惹かれあうシーン←この不幸自慢がラストに、もう一度という部分が効いている。
コメディとして傑作!
『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』で既に同役(別人ですが 笑)を演じたライアン・レイノルズが遂に!(その前に『グリーンランタン』があった。からへ補色変身。あまり評価は高くないけれど結構好き。ブレイク・ライブリーも出てるし…と、いうか、ここで緑のランタン灯してハートをゲットした事が最大のラッキーだったのかも)
エンドロールの一番最後にある"お楽しみシーン"のことも、きっちりネタに。
「あれ?まだいたの」
「エンドロールの最後に次回作の予告編があると思ってる」
「待ってもサミュエル・L・ジャクソンがアイパッチして出てこないよ」

Memo2
全国行脚したトラックの上のデップー(或いは雨の中のデップー)に偶然遭遇した際にパチリ。

Dp3

Main Titles & Main-on-end Titles Designed by Blur Studio (VFX部分も多数)
とにかく本作のノリを最初から決定づけたオープニングタイトルシーン。
ひとことで言うならばツッコミタイトル。
Art of the Titleよりタイトルデザインメイキングやインタビュー、テストリールなど(動画あり)
http://www.artofthetitle.com/title/deadpool/
可愛らしいエンドタイトルシークエンス
Designer/Illustrator : Justin Claus Harder
CLAUS
http://www.clausstudios.com/

映画『デッドプール』公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/deadpool/


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2016-05-11

『ちはやふる 上の句、下の句』同一スクリーンでイッキ見。小泉徳宏監督、広瀬すず、野村周平、真剣佑、松岡茉優、他

ちはやふる 上の句、下の句

監督 : 小泉徳宏
出演 : 広瀬すず
野村周平真剣佑
上白石萌音矢本悠馬
松岡茉優
松田美由紀
國村隼、他

上の句 - 物語・同級生の千早(広瀬すず)、太一(野村周平)、新(真剣佑)は、いつも仲良く競技かるたを楽しんでいた。小学校卒業を機に彼らはバラバラになってしまうものの、千早は単独で競技かるたの腕を磨く。高校に進学した千早は再会を果たした太一と一緒に競技かるた部を立ち上げ、この世界に導いてくれた新を思いながら全国大会を目標とする。

B

下の句 - 物語・創部1年にして東京都大会優勝を果たした千早は自分をかるたに導いてくれた新に優勝報告をした際、新の衝撃的な告白に動揺する千早だったが、全国大会のために仲間たちと練習に打ちこむ。そんな折、千早は同い年で日本一となった若宮詩暢(松岡茉優)のことを知り…

A

Memo1
今年の暫定1位!
上の句の評判を横目に"じっと我慢の子であった。5週間待つのぢゃぞ"状態で下の句公開まで待って一気に見てよかった!
(同一スクリーンで休憩20分をはさんで間髪入れずに)
続けて鑑賞することによって、ひとつの連続したテーマが浮かびあがり(下の句公開後に決まった)続編への余白も残した見事な締めくくり方。
また上の句の高揚感をもって、そのまま下の句へなだれ込む感じが極めて心地よい(上の句のエンドロールと最後にあらわれる下の句予告を、おぉっ続けて見られるのだという気分。これはロビーでも口々に言ってる人が多かった←おそらく同じ考えで鑑賞参戦した方多数だと思われる)
2部作公開というフォーマット。
監督インタビューによると最初は1本として撮り始めていたとのこと。
これは、はたして1本だと、このような印象になったかどうかは疑問(構成としては、かるた部をつくって全国大会を目指すまで、地区予選、全国大会とクイーン戦となるのだろうが、ひとつの物語ピークとして「よっしゃぁーーー全国大会ぃぃー」となった上の句クライマックスがあって、さらに全国大会を描くとなるとエネルギーの分散が起きてブレが生じたかもしれないなどとも思うのですが?
通して描かれる団体戦→個人戦→個人なのに団体戦のような戦い。
小学生の時から仲間とかるたをやってきた千早は高校に入って、まず仲間を集めるところから始める。
逆にひとり、福井に戻り名人であった祖父の跡を追い個人としてやってきた新。そして下の句に登場する若宮詩暢も、また孤高の存在としてかるたクイーンの座をひとり、守り続けてきた。
その図式を変える千早と瑞沢高校の仲間たち。
その姿を見た新と詩暢。
楽しかったね。また、かるたしようね
千早の言葉に、そっ気ない詩暢だが競技途中に一瞬、見せた、なんともいいようのない表情は嬉しそうにもみえた。
そう!この後もあるのだ!まだ、続きを見られるんだ!という思いにさせてくれる魅力ある登場人物というのは本当にすごい事だと思う(あぁ、また奴らに会える感覚ですね)
主人公らが成長していくというお約束部分、それが個人もそうなのだが、チームとしてもレベルアップしていくところも、まさに王道。
さらに実際の撮影時間経過と共に本当のチームとしてまとまっていったのだなぁ、ということが画面からも伝わってくる。(後述TV特番を見たら、まさにその雰囲気が映しだされていた!)
(個人の成長という部分では、やはり机くんエピソードが)
そして登場時点(テニス部)からコメディ役回りの中心ポイント、肉マンくん。
全国大会での惨敗シーンの後。
「肉マンくんは?」
「あそこで、ほら、ミンチになってる」
(ゆるキャラと隅のほうで縮こまっている)
「一枚しか…取れなかった…」
スカートにジャージ姿でかるた部のチラシを貼る千早。
「どこの業者だよ」
(このスカートにジャージはアニメ版でも1話に登場する、ちょっと残念美人を表すシーン)
最強かるたクイーン若宮詩暢を演じた松岡茉優、カッコイイ~!
ファントム(1秒間に約1000コマ撮影カメラ)を上回るハイスピード札どりと言えば大げさだが、ホントに早い。
そして落差のあるファッションと趣味 笑
で、この台詞「こ、これは、はらじゅくげんてい おめかしダディタオル
新の家での千早が忘れていったダディタオル発見瞬間反応シーン。
あと、印象に残る台詞。
団体戦なんて、お遊びやったって全員に言わせたるわ
クイーン戦のあと
「伝えといて」
「はよ、ここまで上がってきって」

Memo2
下の句はメインタイトルが無しで、すぐに本編が始まる。このあたりの潔さ。
(これまた連続で鑑賞すると、さらに違和感がない)
上の句、下の句それぞれの30分間のTV特番を録画で見た。
撮影の数カ月前から行われた競技かるたの特訓の凄さ。畳の上に投げ出されたキャスト全員の足はあざだらけに。その他、千早、新の再会シーンや末次先生が広瀬すずを描いたバースデーケーキによるサプライズ場面など舞台裏の数々が。
(かるたが画面の方向にCG無しで実際に飛んでいくというシーンも撮影できたというエピソードも)
そのTV特番、詩暢を演じた松岡茉優コメント
「クイーン戦や名人戦、拝見しましたけれど、本物の。あれ、もっと早いんだろうなぁと思ったら恐ろしくなってきて。かるたがあったら、ここをもう一直線で取るんですよね。でもスローで見ると、わたし、一回浮いちゃってるんですよ。素人がよくやるんですけれど」(←ここで素人と言ってる時点でスゴイですが…)
小泉監督がtwitterに記載したコメント
"年に一本観るかどうかという人にも、数え切れないほど観るという映画ファンにも、どちらにも受け入れられる作品を作るのは針の穴を通すような難しさで。で も自分はその穴をこそめがけて映画を作りたく、映画『ちはやふる』はそのマニフェストだと、観てくれた人には伝わってる、のか?"
アニメーションディレクター : ファンタジスタ歌麻呂
fantasista utamaro
http://www.fantasistautamaro.com/index

映画『ちはやふる』公式サイト
http://chihayafuru-movie.com/

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2015-06-14

『トゥモローランド(TOMORROWLAND)』ブラッド・バード監督、ジョージ・クルーニー、ブリット・ロバートソン ラフィー・キャシディ、他

注・内容に触れています。
トゥモローランド
TOMORROWLAND
監督 : ブラッド・バード
出演 : ジョージ・クルーニーブリット・ロバートソン
ラフィー・キャシディヒュー・ローリー、他

物語 :17歳のケイシー(ブリット・ロバートソン)が見覚えのないピンバッジに触ると、自分が思い描いた別世界へと入り込んだ。バッテリー切れで現実の世界に戻ってきた彼女の前に、不思議な少女アテナ(ラフィー・キャシディ)が現れる。そしてケイシーにトゥモローランドに戻りたいのなら、フランク(ジョージ・クルーニー)という男性を訪ねるよう助言する。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Tomorrow

Memo
いったい、いつからピカピカの都市、流線型デザインの明るさに満ちあふれた未来をイメージしなくなったのだろうか?ということを、ふと考えた。
そんなことを思い起こさせてくれたという時点で映画としては成功しているのかも。
(アメリカだとベトナム戦争泥沼化以前、日本だと1970大阪万博あたりだろうか?)
1964年ニューヨーク万博と未来が地続き。
(リアルどこでもドアも出てくるし)
アテナが登場した時点で動き方が少し変なように演じていて「あ、これはロボットだな」と気づく(少年のフランクはわかっていなくて、アテナにほのかな恋ごころ。で、ロボットと気づいた時と訪れる未来の暗さも相まって厭世的極地の偏屈オヤジとなって秘密基地の中に閉じこもってしまう)
ちょっとアホアホな未来からの追っ手から逃げるアテナとケイシー。
車の中での会話。
「ロボットなの?」
「オーディオアニマトロニクスよ」
※実際のディズニーランド「イッツ・ア・スモールワールド」の人形のことを1964年NY万博の時からオーディオアニマトロニクスと呼んでいた。
「<未来>のつくり方 シリコンバレーの航海する精神」(池田純一著・講談社刊)という本を読んでいたら、こういうことが書いてあった。
「未来はやってくるものなのか」
「自ら築き上げるものなのか」
この2点の差異と本作における未来の捉え方のことも、いろいろと考えさせられた。
選民主義云々で批判的意見もあるようだけれど、そもそもが監督がインタビューなどで答えているとおり本作は極めて『未知との遭遇』的。
マザーシップに導かれていく銀色のユニフォームを着用したサングラスの人たちはの姿(←これ、公開時に見たときに?!と思った記憶が)は、まさに『トゥモローランド』のラストでピンバッジを世界にばらまいていくリクルーター達だし、発端となる1964年時点でのトゥモローランドへ入っていける人たちも選ばれていた。
『未知との遭遇』では、その選ばれた人とは別に何かを感じとったロイ(リチャード・ドレイファス)がラスト、マザーシップに乗り込んでいく。これまた、はじかれた形となっていたフランクやケイシーが"トゥモローランド"へと到達する。しかも、暗澹たる未来になることが判っている現代の未来をチェンジさせる人となって。
秘密結社プルス・ウルトラ
Plus Ultra→ラテン語でもっと先へ、更なる前進の意。
そもそもが未来(FUTURE)の語源がラテン語「これから起ころうとする(こと)」の意というのも面白いところ。
先にブログ記事で紹介した人工知能スリラー『エクス・マキナ(ex machina)』というタイトルも『トゥモローランド』のプルス・ウルトラ(Plus Ultra)もラテン語という繋がり。
プルス・ウルトラが仕掛けておいたエッフェル塔秘密基地と"トゥモローランド"入り口のためのロケット。
そこに登場するメンバー(人形)
トーマス・エジソン、ジュール・ヴェルヌ、ギュスターヴ・エッフェル、そして!ニコラ・テスラ(←クリストファー・ノーラン監督『プレステージ』でデヴィッド・ボウイが演じた発明家、さらには『インセプション』『インターステラー』と続くノーラン多元世界アプローチへのキーパーソンでは?と常々思っていたので、ちっと「おぉっ」と嬉しくなった)
未来を明るい方向へ変える件(くだり)のシーンで"broadcast"の日本語字幕が"洗脳"になっていたけれど、これはアイロニカルにして、的を得た素晴らしい訳(日本語吹き替えはどう言ってるのだろう?)
タイトルデザインは yU+co
レトロフューチャー・モダンなアニメーションは本作にピッタリ。
エンドクレジットの最後の最後にピンバッジが出てきて、それに触れたとたんプツッと画面が消えてディズニーのシンデレラ城ロゴが出てくる(オープニングはピカピカの未来仕様のお城というかタワーロゴ)

トゥモローランド
http://www.disney.co.jp/movie/tomorrowland.html

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2015-05-26

『チャッピー(CHAPPIE)』ニール・ブロムカンプ監督、デーヴ・パテル、シャールト・コプリー、ヒュー・ジャックマン、シガーニー・ウィーヴァー、他

チャッピー
CHAPPIE
監督・脚本 : ニール・ブロムカンプ
出演 : シャールト・コプリーデヴ・パテル
ヒュー・ジャックマンシガーニー・ウィーヴァー
ディー・アントワード(ニンジャ、ヨーランディ)、他

物語・2016年、南アフリカ。ディオン(デヴ・パテル)は、世界初の自身で感じ、考え、成長することができる人工知能搭載ロボットのチャッピーを開発する。しかし、世界でも有数の危険地帯ヨハネスブルクに巣食うストリートギャングにチャッピーと一緒に誘拐されてしまう。起動したばかりで子供のように純粋なチャッピーは、ストリートギャングのメンバーたちと接し、彼らから生き抜くためのスキルを学んでいく。圧倒的スピードでさまざまな知識を吸収していくものの、バッテリー残量が5日分しかなく…。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Ch1

Memo1
傑作『第9地区』でエビに感情移入させた監督にとってロボットに感情移入させるなんてことは、"おちゃのこさいさい"とばかりなのだなぁー、と、ノって見た。
ちょっと話や展開が大雑把でも、(apple製品が全く出てこなくても←SONYですからw)この独特な感慨を起こさせるのはブロムカンプ監督ならでは。
(そして、『エリジウム』の時と違って、やはり南アフリカ共和国で撮るとハジケ度合いが違う!)
監督がかねてからインタビューなどで答えているとおりチャッピーは『アップルシード』のブリアレオスだしヒュー・ジャックマン操る(旧来型遠隔操作タイプ)ロボット、ムースは『ロボコップ』のED-209と、その出目はあきらか(そのリスペクトと大好きさの公言度合いも、この監督の特徴)
生みの親より育ての親
(と、思わせつつのラスト展開もあり※)
※カーツワイル博士の唱えるところの「マインド・アップローディング」?
"はじめて見たものを親に"的に、その姿を捉えるチャッピー自身の視点モニタリング画面がよい。(チャッピーは完全な自立学習型AIなので善悪の区別なく、常に見たものや聞いたものを自分の中で自ら構築していくディープランニングに立脚していると思われる)
本作で最も魅力的なのはチャッピーの育ての親を演じたラップユニット、ディー・アントワードがそのままの名前(ニンジャ、ヨーランディ)でストリートギャングとして出演していること。
(チャッピーがすっかり馴染んでラップユニットメンバーの一員になったようなショットが面白いというか微笑ましい)
ベッドでヨーランディ演ずるママがチャッピーに絵本の読み聞かせなんて、ちょっと反則的に上手いショット。
AIについて2014年頃から多々、警鐘をならしたコメント(※0を発表している起業家イーロン・マスク氏がブロムカンプ監督と同じ南アフリカ共和国出身ということを最近知った。
※AIは核兵器よりも危険かもしれない

Memo2
今年3月に刊行された『AIの衝撃』(講談社現代新書・小林雅一著)の中にGoogleが昨年買収したディープマインドについて書かれていた部分が非常に興味深かった。
ディープマインドが専門とするAI技術はディープラーニングにおける「強化学習」と呼ばれる細分化さされた領域。
"このAIプログラム(ニューラルネット)に何かの仕事をさせ、それが上手くできたら「よくできたね」と私たち人間が褒めてあげる。逆に失敗したら「駄目じゃないか」と叱る。たったこれだけのことで、このAIプログラムは自分のやり方のどこが良くて、どこが悪かったかを自分で発見して、どんどん上達していく。これが強化学習に基づくAIです"(「AIの衝撃」P36より引用)
まさに本作におけるチャッピーとニンジャ、ヨーランディとの関係。
Main Title > LITTLE MONSTER VFX
End Credit > JAY JOHNSON
(共にIMDbに記載がなかったのでエンドロールで表示のものをメモ)
エンドクレジットの手描き文字は、やはりJAY JOHNSONによるものだろうか?(オフィシャルサイトにhand lettering項目はあるのだが未掲載につき未確認)

Ch2

映画『チャッピー』オフィシャルサイト
http://www.chappie-movie.jp/


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