2008-03-21

コインの裏表「ノーカントリー」

注・内容に触れています。
「このコインは1958年製造だから今、この手元に来るまでに22年旅をしてきた事になる」途中、荒野にポツンと佇む雑貨店での会話。そしてラスト…「おれはコインのように生きてきた」。あまりに有名になったオカッパ・ヘアースタイルでのハビエル・バルデム演ずるアントン・シガーの台詞(台詞はスクリプトからの記載ではないので正確ではありませんが…)。まさにコインの裏表(いろいろな意味が含まれている)のように生真面目な追跡者を演じてアカデミー賞を手にしました(おそらく長く記憶に残るであろうキャラクター)。
撮影監督はロジャー・ディーキンス。9作品連続登板でコーエン兄弟との息もピッタリ。今作はシネマスコープで撮影されており、テキサス、ニューメキシコの風景を乾いた砂埃とともにパースペクティブに描きだしている。衣装メアリー・ゾフレス、音楽カーター・バーウェルもコーエン組の常連。
トミー・リー・ジョーンズ演ずるベル保安官は最後の最後までシガーという「影」を追いかける形になっていて(ニアミスはあるが面と向かわない)、それがそのままラストの長い会話の意味(見た「夢」の話とも)と繋がっている。

ノーカントリー
http://www.nocountry.jp/

血と暴力の国 (扶桑社ミステリー マ 27-1)ファーゴ (ベストヒット・セレクション)

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2007-02-20

踊る博物館「ナイトミュージアム」

夜の理科室、夜の蝋(ろう)人形館と並んでコワイ夜の博物館「ナイトミュージアム」…と、言ってもコワイ話ではなくてユカイな話。物語・バツイチ失業中のラリー(ベン・スティラー)は前妻の元にいる息子ニッキー(ジェイク・チェリー)の絆のためにもと自然史博物館の夜警の仕事に就く。しかし、その博物館の展示物は夜になると動き始めるのだった。そして…。

Night at the Museum [Original Motion Picture Soundtrack]

注・ここから内容に触れています。
動く展示物のみなさん(笑)はサカジャウィア(アメリカ先住民の女性)に恋心のルーズベルト大統領(ロビン・ウィリアムス)、ローマ帝国初代皇帝オクタヴィウス(ジオラマなのでミニミニサイズ)やブロンズ銅像のままのコロンブス(ラリーに名前を思いだしてもらえない小ギャグネタあり)、予告編でお馴染みティラノザウルスの骨格標本(すっかり愛犬元気〜扱い)、やっぱり争ってる南北戦争の兵士たち、風船ガムネタ・モアイ像、ノドジロオマキザルVSラリー(サル対決って、失礼)、後はもう動物たちの大量「ジュマンジ」乱舞。アダモちゃん語(古っ)が乱れ飛んだり、展示物が動き出す原因となる石版をめぐるセントラルパーク追っかけもあり、ラストは本当にディスコ(クラブではなくディスコ)状態の踊る博物館。あ、でも展示物が動くことよりビックリしたのは夜警の先輩( ? )3人組でミッキー・ルーニー、ディック・ヴァン・ダイク( Mary Poppins !!! )が出演していたこと(う〜んホント驚いた)。さらに、カメオ出演と言いながら、お馴染みのあの相棒がミニミニサイズでも目立っていますよ〜(笑)。監督は「ピンクパンサー」のリメイクを撮ったショーン・レヴィ。春休み向けファミリーピクチャー(子供が字幕版で見てもわかる内容ですよ )にしてデートムービー。試写会のウケも概ね良好だったので日本でのベン・スティラー初のヒットとなるかも。タイトルデザインは PictureMill

ナイト ミュージアム
http://movies.foxjapan.com/nightmuseum/

小説 ナイト ミュージアム

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2006-11-07

WOW !!「ナチョ・リブレ 覆面の神様」

「スクール・オブ・ロック」のジャック・ブラックと「バス男」(原題「ナポレオン・ダイナマイト」)のジャレッド・ヘス監督が組んだ独特のテンポでみせる怪作「ナチョ・リブレ 覆面の神様」。物語イグナシオ(愛称ナチョ)はメキシコの修道院で育てられ、現在は料理番として働いている。そんなある日、町中で「新人ルチャ・ドール(レスラー)求む!」のチラシを目にした彼は、お金を稼いで子供たちやひとめぼれしたシスターにおいしい食事を出してあげようとリングに上る決意をする。とにかく相変わらずの弾けっぷりの、まさにジャック・ブラック・ショーとでもよべる仕上がり。特訓シーンは、おいおい、それでは意味ないじゃんの連続です(笑)。
ちなみに本作は、かの「タイガーマスク」の原案とも言われるメキシコの伝説的レスラー、フライ・トルメンタの実話が元(「ブルースブラザース」でのジョン・ベルーシの「バ〜ンド !」ともダブりますが…)。

その色彩
やはりメキシコ・テイストということでハイコントラストに原色。なんといってもマスク、タイツのターコイズブルー(TurquoiseBlue)が黄色黄土色茶褐色のイメージに映えるんですよね。あ、タイトルバックかわいい。

ナチョ・リブレ 覆面の神様

http://www.nacho-movie.jp/top.html

バス男 スクール・オブ・ロック スペシャル・コレクターズ・エディション

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2006-11-04

虹の女神 Rainbow Song

「行くなって言ったら、きっと、行くのやめると思う。ずっとそばにいてくれって言われたら、なにもかも捨てて、ずっとそばにいると思う」。「ニライカナイからの手紙」を撮った熊澤尚人監督、岩井俊二監督プロデュースによる「虹の女神  Rainbow Song」はもどかしくも、じれったい、でも、あるよねという「想い」を綴った秀作。物語岸田智也(市原隼人)は小さな映像製作会社に入社したばかり、そんな彼の元に大学時代の友人・佐藤あおい(上野樹里)の飛行機事故の訃報が入る。彼女とは大学の映画サークルで8ミリの自主映画を苦労しながら作っていた仲。あおいの家へ向かう車の中、いろいろな思いがよぎる。そして、あおいの隠された、ある思いを知ることに…。注・ここより内容、ラストシーンに触れています。あおいとあおいの妹と3人で出かけた、お祭りのシーン、帰りのバスのシーンもよいし(その妹を演じた蒼井優。ラストの一言「馬鹿だよ、ふたりとも…」のぽつりとつぶやく台詞が泣かせる)、劇中のキスシーンで相手の唇噛むシーンもよい(こちらもラストで上映される8ミリ作品でいきています)。また、2回出てくる缶を蹴るシーンも(2回目は文字通り、遠回しの告白の末の失恋ですよね)もよかった。ほんのちょっとしたディティールの積み重ねが、とてもとても素敵な映画でした。他に唐突に盛り込まれている(でも、岩井俊二的です)智也のおしかけ女房(笑)千鶴(相田翔子)のエピソードも秀逸。

虹の女神 Rainbow Song(初回生産限定盤)(DVD付)
その色彩
劇中、あおいがこだわっていたフィルム・コダクローム、黄色の発色がよく高彩度の暖かみのある色調でファンが多い(残念なことに今年、販売が終了してしまいました)

アドバイス
原案、脚本の桜井亜美さんが月刊誌「papyrus(幻冬舎)」での岩井俊二監督との対談の中で「友達以上恋人未満の方は男女で見に行くと絶対カップルになれますよ」と語っていました。なるほど。

虹の女神・公式ホームページ
http://rainbowsong.jp/

「虹の女神」公式ブログ
http://rainbow.toho-movie.jp/

虹の女神―Rainbow Song Rainbow Song―虹の女神PHOTO BOOK

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2006-07-27

「ニュー・ワールド」緑と灰色と。

20年間の沈黙を破って発表された前作「シン・レッド・ライン」から7年、テレンス・マリック監督の最新作「ニュー・ワールド」(しかし、驚くべき寡作ぶり)。主演、ジョン・スミス役は「アレキサンダー」のコリン・ファレル。ヒロインとなるポカホンタス(ふたりの話はアメリカで最も有名な伝説物語)には15歳の新人クオリアンカ・キルヒャー。他に「バットマン・ビギンズ」のクリスチャン・ベール、「ナショナル・トレジャー」のクリストファー・プラマー。テレンス・マリック監督で必ず語られるのが、その映像の美しさです。1978年公開の「天国の日々」の黄金色の麦畑、農場の四季の移り変わりを撮影したネストール・アルメンドロスはこの年のアカデミー撮影賞を受賞。テレンス・マリック監督はカンヌ映画祭のパルムドールを受賞しています。

天国の日々

それで今作ですが前作「シン・レッド・ライン」の時に感じた森や草原の「グリーン」のイメージは、「ニュー・ワールド」でも色濃く出ています。(と、いうか「グリーン」の印象だけが残っているほど、鮮烈)。まるで、写真集をめくるが如く繰り広げられるショットの数々‥。しかし、今作で違っている点が一点あります。ジョン・スミスが開拓者の砦に戻ってきた時に砦内で疑心暗鬼から、仲間割れが起こっているのですが、その時の色彩がほとんど彩度のないグレー調になっていて、先住民たちの村の豊かさとの対比がはっきりとわかるようになっています。(生彩が無いとは、まさに、この事ですね)

ニュー・ワールド コレクターズ・エディション

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2006-07-19

2006年の「日本沈没」

注・物語に触れています。1973年版と2006年版「日本沈没」の大きな違いは33年の間に進化し続けたビデオカメラによるリアルな災害(地震・津波)の映像を体験してしまった「その後の2006年におけるドラマ」であるという事。極めて市井な人々(「ひょうたん」に集う人々、若干特異な職業ではあるが主人公・小野寺俊夫と阿部玲子)を描きつつ視点は鳥瞰的(たびたび登場する日本全体の衛星画像)で、本来描かれるであろう悲惨な災害現場はまるでアトラクションのようですらある。逆にそういう方法でしか描けなかったと判断するべきか‥(本編を神戸で見たのでなおさら、そう感じたのかも‥)。ちなみに1973年版は政治家センセイたちを描いて、まるで逆の構造。2006年版「日本沈没」後半は、ほとんど東宝特撮科学映画の様相(トンデモ映画、一歩手前です)。でも、このオチのつけ方も個人的には悪く無かったかも‥とも、思います。最後、カメラが引いていった「山々が水没して島のように点在する富士山近くの風景」が瀬戸内海の島々のようで少し美しくもあるのは、そこに残った「希望」のようなものと関係があるのかもしれません。

日本沈没
http://www.nc06.jp/

「日本沈没」PHOTO BOOK featuring 草なぎ剛 日本沈没OFFICIAL BOOK―沈没へのカウントダウン

日本沈没 ナビゲートDVD 日本沈没

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2006-07-11

映画「ネバーランド」のこと。

ネバーランドに住む永遠の少年、ピーターパンとダーリング家の子供たちとの冒険を描いた「ピーターパン」にはモデルとなった少年がいた‥。監督は「チョコレート」でハル・ベリーにオスカーをもたらしたマーク・フォスター。主演はまもなく「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」が公開されるジョニー・デップ(作家ジェームズ・バリ役)と、この「ネバーランド」がきっかけで「チャーリーとチョコレート工場」で再共演したフレディ・ハイモア(ピーター役)。ケイト・ウィンスレットも母親シルヴィア役を好演。ポーランド出身の作曲家、ヤン・A・P・カチュマレクのサントラも美しい。

映画「ネバーランド」オリジナル・サウンドトラック

衣装はアレクサンドラ・バーン(前述・2006-06-28・豪華絢爛 !! 243分のハムレット参照)。「ネバーランド」では得意とする伝統的コスチューム以外にも当時としては進歩的だったシルヴィア一家(ディヴィズ家)の着る、ゆったりした上着(一般的にはコルセットを用いた、きっちりしたファッションが多かった)、ベレー帽、子供たちのニッカーボッカーなどもデザインしました。また、一見女の子と見間違うような当時の少年たちが見せびらかせていた大きく丸い襟は、後に「ピーターパンカラー」と呼ばれるファッションスタイルのひとつです。

バリと子供たちとの公園の出会いから、エンディングまで見終わった後「あ〜いい映画を見た」と思えるステキな作品でしたね。

付記ちょっと、いい話
「ピーターパン」に関する著作権料はバリの遺言でイギリスのグレート・オーマン小児病院(Great Ormand Street Children's Hospital)に遺贈されたそうです。

ネバーランド

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2006-07-03

「ナイロビの蜂」、バラ色の湖の如く

レイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ共演による「ナイロビの蜂」。監督は前作「シティ・オブ・ゴッド」でアカデミー監督賞、脚本賞、撮影賞、編集賞にノミネートされたフェルナンド・メイレレス。そのドキュメンタリータッチな手法とハイコントラストとハイキーな彩度の鮮烈なイメージは本作でも発揮されています。撮影監督は監督のCMディレクター時から15年以上の付き合いとなるセザール・シャロン。原作はスパイ・サスペンス小説の巨匠、ジョン・ル・カレ(「寒い国から帰ってきたスパイ」「ロシアハウス」など)。物語の骨格がサスペンスを用いていて最後まで飽きさせません。(ホント、オープニングからビックリさせられました)。

The Constant Gardener

とにかくケニアにおいてのロケ撮影が素晴らしい美しさです。まるで凍った雪のような巨大な塩床に取り囲まれたマガディ湖のこの世のものとは思えないバラ色の色彩は、撮影に際して更にハイキーなコントラスト(※)と相まって息をのむ風景です。

レイチェル・ワイズは「ハムナプトラ」「コンスタンティン」といった大作からマイケル・ウィンターボトム監督の「I Want you」まで幅広く演じていて、いつのまにか現在のポジションを得ていたといった不思議なスタンスを持った女優。情熱的にボランティア活動にのめり込み、まったく夫の事を顧みていないように見えていて、実は‥と、いった大変むずかしい役を演じていて納得のアカデミー賞獲得の熱演でした。

I Want You あなたが欲しい【廉価版2500円】

彩度を落としたり、銀残しを用いたりと全体に淡いグレースケールのイメージの映画が多い中、いわゆるPhotoshopなど画像レタッチ系ソフトでの色調補正の彩度やコントラストのスライダーをプラス方向(ハイキー)に動かした映像。

付記
今年の始めに試写で観て未だに印象が残っている、まさに「映画ができること」の到達点

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