2018-12-02

『ボヘミアン・ラプソディ(BOHEMIAN RHAPSODY)』ブライアン・シンガー監督、ラミ・マレック、グウィリム・リー、ベン・ハーディ、ジョー・マッゼロ、ルーシー・ボーイントン、他

ボヘミアン・ラプソディ
BOHEMIAN RHAPSODY

監督 : ブライアン・シンガー
出演 : ラミ・マレック
グウィリム・リー
ベン・ハーディ
ジョー・マッゼロ
ルーシー・ボーイントン
エイダン・ギレン
アレン・リーチ
トム・ホランダー
マイク・マイヤーズ、他

物語・1970年のロンドン。ルックスや複雑な出自に劣等感を抱くフレディ・マーキュリー(ラミ・マレック)は、ボーカルが脱退したというブライアン・メイ(グウィリム・リー)とロジャー・テイラー(ベン・ハーディ)のバンドに自分を売り込む。類いまれな歌声に心を奪われた二人は彼をバンドに迎え、さらにジョン・ディーコン(ジョー・マッゼロ)も加わってクイーンとして活動する。やがて「キラー・クイーン」のヒットによってスターダムにのし上がるが、フレディはスキャンダル報道やメンバーとの衝突に苦しむ。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Br1

Memo1
伝記映画やドキュメンタリーではないので全て事実に基づいて映画化する必要もなく、一種のファンタジーライヴ映画として見た。
これが実に素晴らしい!
ラストのライヴエイドに向けて集約されていく構成の妙。
前半で見られるレコーディング風景のテンポの良さ
メアリーを演じたルーシー・ボイントンがよかった!(「シング・ストリート 未来へのうた」とは違って70~80年代ということからか、時にテリー・ガー、時にナンシー・アレン、もしくはキャサリン・ロスのような趣き)
やはり圧巻はラスト20分のライヴエイド
(実際は照明も入っていたし、テレキャスを弾いての「Crazy Little Thing Called Love」などが多い)
再現という意味では最初のピアノの前に座ってモニター調整をするフレディの姿やPAモニターに貼られたセットリストの位置など「おぉっ!!」と思うところ多数。

Br2

Memo2
こちらの検証記事が面白い。
RollingStone誌(Web版)
クイーン自伝映画『ボヘミアン・ラプソディ』を事実検証
https://rollingstonejapan.com/articles/detail/29421
タイトルデザイン(Graphics and Title)
当然のように英国制作ものといえば、この人。
マット・カーティス(Matt Curtis)
クレジットではGraphics関連も行っているとうことなので、世界ツアー時のネオン管的デザインなどもそうなのかな?

映画『ボヘミアン・ラプソディ』公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/bohemianrhapsody/

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タイトルデザインやロケ地のこと_2 『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』『ヴェノム』『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』『500ページの夢の束』『バスターのバラード』

最近のタイトルデザインやロケ地をまとめて。

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生
Fantastic Beasts: The Crimes of Grindelwald
タイトルデザイン(Main and End Titles)
マット・カーティス(Matt Curtis)
あのロケ地はどこ?
Where was Fantastic Beasts 2: The Crimes of Grindelwald filmed?
https://www.atlasofwonders.com/2018/11/fantastic-beasts-2-grindelwald-filming-locations.html

Cg

ヴェノム
Venom
ルーベン・フライシャー監督
珍しい(前半)ヘタレな役柄を演じたトム・ハーディも見ものだが、やはりここは小林信彦先生の教えに従って「映画は女優で」ということでミシェル・ウィリアムズの意外なマーベル作品キャスト起用にビックリしたり嬉しかったり。
タイトルデザイン
Main Title > General Population >
Lead Designer > Paul Cayrol
https://paulcayrol.com/VENOM

チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛
Tulip Fever
ジャスティン・チャドウィック監督
タイトルデザイン
MAIN ON END TITLES
MIKE ELLIS
END ROLLER > FUGITIVE

500ページの夢の束
Please Stand By
ベン・リューイン監督
タイトルデザイン(Main and End Titles)
ポン・ジュノ監督「オクジャ」のタイトルデザインなどを手がけた
GARETH SMITH / JENNY LEE

Bbs

バスターのバラード
The Ballad of Buster Scruggs
ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン監督
それにしても、まさかコーエン兄弟作品の新作を配信で見る日がやってくるとは!本作こそ大スクリーンで見たい風景、ショットに溢れている(特にトム・ウェイツのチャプター部分!)
タイトルデザイン
Titles and Book Designed
RANDY BALSMEYERBIG FILM DESIGN
http://bigfilmdesign.com/titles/
章立てのブックアートワークが洒落ている。
Book Artwork by GREGORY MANCHESS

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2018-10-26

『ペンギン・ハイウェイ』森見登美彦原作、石田祐康監督、北香那、蒼井優、釘宮理恵、潘めぐみ、他

ペンギン・ハイウェイ

監督 : 石田祐康
脚本 : 上田誠
原作 : 森見登美彦
出演(Voice Cast) :
北香那蒼井優
釘宮理恵潘めぐみ
福井美樹、能登麻美子
久野美咲、西島秀俊
竹中直人、他

物語・毎日学んだことをノートに書きためている小学4年生のアオヤマ君が暮らす郊外の街に、突如ペンギンが現れる。アオヤマ君は、海のない住宅地になぜペンギン たちが出現したのか、その謎を解くために研究を始める。そして、行きつけの歯科医院で仲良くしているお姉さんが投げたコーラの缶がペンギンに変身する瞬間 を目の当たりにし…。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Penguin

Memo
今年(2018年)の夏。
ちょうど使用開始したTOHOシネマズ・フリーパスで最もリピートした作品となった。
(本当はレベッカ・ファーガソンが出ている『ミッション・インポッシブル:フォールアウト』に合わせてフリーパス期間設定したのだが、終了してみると本作の方がリピート数が多くなっていた、と、それぐらいお気に入り作品となった)
森見登美彦作品としては昨年の『夜は短し歩けよ乙女』に続いてのアニメ化作品。ボイスキャストが素晴らしかったが本作もよい。お姉さんの蒼井優(言われてじっと聞くと蒼井優とわかるが普通に物語に没入していると忘れてしまうほど)、アオヤマ君の北香那を演じたふたりの間合いもよくて抜群の上手さ。
(まあまあ、そこそこの森見愛読者として)原作は随分前に読んでいたのだけれど、ものすごく上手くエッセンスを損なわず脚色された脚本もさすがというところ。
何よりも省略されたエピソード(ひとつにまとめられたエピソード)が部分のチョイスが絶妙。

大阪メトロに乗り入れているコスモスクエア行きの車両がはっきりと映ってた。
インタビューなどで答えているとおり、本作いつもの京都ではなく奈良郊外が舞台。(と、なるとお姉さんとアオヤマ君が行こうとしてた「海」は「大阪港」?)
海辺のカフェでのお姉さんとの別れ。
「泣くな、少年」
「ぼくは泣かないのです」
原作のラスト数行はアオヤマ君のボイスオーバーによって、そのまま使われている。(この締めは原作でも「いいなぁ」と思った箇所)
「僕らは今度こそ電車に乗って海辺の町へ行くだろう~(略)~つまりぼくがふたたびお姉さんに会うまでに、どれぐらい大人になったかということ。
そして、ぼくがどれだけお姉さんを大好きだったかということ。どれだけ、もう一度会いたかったかということ。」

最後のペンギン探査船を発見するところは原作と違うところ。
この締めの部分に宇多田ヒカルによる主題歌「Good Night」がかぶさっていくところも、この上なく好きだ。


映画『ペンギン・ハイウェイ』公式サイト
http://penguin-highway.com/


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2018-04-06

『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書(THE POST)』スティーヴン・スピルバーグ監督、メリル・ストリープ、トム・ハンクス

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書
THE POST

監督 : スティーヴン・スピルバーグ
出演 : メリル・ストリープ
トム・ハンクス
サラ・ポールソン
ボブ・オデンカーク
ブラッドリー・ウィットフォード
トレーシー・レッツ
マイケル・スタールバーグ
ブルース・グリーンウッド
サーシャ・スピルバーグ、他

物語・ベトナム戦争の最中だった1971年、アメリカでは反戦運動が盛り上がりを見せていた。そんな中、「The New York Times」が政府の極秘文書“ペンタゴン・ペーパーズ”の存在を暴く。ライバル紙である「The Washington Post」のキャサリン(メリル・ストリープ)と部下のベン(トム・ハンクス)らも、報道の自由を求めて立ち上がり…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Post

Memo1
トランプ米大統領から「ハリウッドで最も過大評価された女優」と名指し攻撃されたメリル・ストリープがワシントン・ポストの社主役(なんと痛烈で痛快な素晴らしいキャスティング!←トランプ氏『ワシントン・ポスト』嫌ってますからねー。最近もamazon批判で間接的に攻撃してたし)。
1971年の物語ながら、まさしく「今そこにある報道の自由の危機」を描いた現代の話となっている。
ヤヌス・カミンスキーによる35mmフィルム撮影。
スキップブリーチではないと思われるが彩度・カラーパレット含め、そこから感じ取れる70年代映画質感。
(後述リンク先にレンズの事などについて書かれたものあり)
アン・ロスによる衣装。
ジョン・ウィリアムズのスコアも控えめながら渋い旋律。
『ニューズウィーク日本版』2018年4月3日号に「ベトナム戦争の嘘を暴いた男」ペンタゴン・ペーパーズをリークしたダニエル・エルズバーグについての記事が掲載されていました。
おぉっ!ここが映画の冒頭で政府側の嘘、欺瞞を知ってしまった が機密文書を持ち出し複写機(デカイ!)をかけてコピーをとる、あのシーンとつながるのか!と膝をうつ内容。
そしてスピルバーグ監督の時間省略など映画的手際よさにも気づく。
(実際は文書持ち出しまでに数年のタイムラグがある)
メリル・ストリープ演じるキャサリン。
夫の死によって突如「ワシントン・ポスト」社主となり完全に男社会丸出しだった世界へ入ってきてやっている感がものすごくよく表れていた(そして経営者でもあり数字も追わなければいけない。そんなこと自分にやれるかしらとオドオドした様子も)。
・会議の時に重たい資料を全部手持ちでテーブルの上に置いた際「そんなものはスタッフが用意するものだ。何も知らないで」的な馬鹿にしたような視線をおくられる。
・ベンがキャサリン宅に訪ねてきた際、就寝時の服で歩きまわり子どもが走り回っている緊張感の無さにやや言葉を失う。
・その後、近しい友人であったマクナマラのついていた嘘(自分へと国民へとの二重の嘘)と報道の公正さの間に立ち、社主としての
・そして、ニクソン側の圧力に対して輪転機が回る締切りぎりぎりの深夜の決断。
ベンや経営陣、弁護士の輪の中。
「出します」
続く台詞が洒落ている。
「寝るわ」
ベン・ブラッドリーの娘が売ってるレモネードに対して「いくらで売ってるんだ?」「25セント」「倍の値段に。インフレだよ」とひとこと。
(次のシーンでダンボールに書かれた値段が50セントに 笑)
これだけで当時のインフレ状態をあらわす茶目っ気たっぷりの上手さ(ちなみにニクソンショックは文書公表記事のあと)
そう言えばトム・ハンクスって『フォレスト・ガンプ』でウォーターゲート事件、目撃してたし…(このシーン、本作のラストカットとそっくりだったような…)

Memo2
ニューズウィーク日本版ウェブの記事
映画で描かれない「ブラッドレー起用」秘話
ワシントン・ポスト社主キャサリン・グラハム自伝・第2章より抜粋。
その3回目
https://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2018/03/post-9860.php
Main and End Title
SCARLET LETTERS
IMDbでアスペクト比を見ると1.85 : 1 (アメリカンビスタ)になっていたので何か理由があるのかと思っていたら、Kodakのニュースレターにこの記事が。
「ヤヌス・カミンスキー(ASC)がスティーヴン・スピルバーグ監督の『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』をコダック35mmフィルムで撮影
https://www.kodakjapan.com/motionjp-mag102
実際のアメリカ国立公文書記録管理局によるペンタゴン・ペーパーズ(全文/英語サイト/ファイルはいくつかのPDFに分割されています)
https://www.archives.gov/research/pentagon-papers

Memo3
2018年「春のスピルバーグまつり
本作と『レディ・プレイヤー1』と続けて見られる幸福感。
デビュー時から現在までリアルタイムで公開時に作品を見続けられている監督って誰だろう?と考えたときにすぐに思い浮かんだのはスピルバーグ監督。
(ヒッチコック監督は遺作となった『ファミリープロット』だったし、ビリー・ワイルダー監督は『フロントページ』からだったし、コッポラ監督は『ゴッドファーザーPART2』からだったしウディ・アレン監督は『アニー・ホール』からだったしと…以下略)
また、見た作品と劇場(映画館)の名前がセットになって覚えているのも思えば個人的映画記憶となっています。
特に1970年代。
『激突』梅田コマゴールド(←こちらはテレビ放送後、劇場公開パターン)『続・激突 カージャック』阪急プラザ劇場『ジョーズ JAWS』梅田東映パラス『未知との遭遇』OS劇場…
ずっと見続けている映画監督が今もなお最新作を撮り、しかも傑作を生み続けているのはとても嬉しい!

映画『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』公式サイト
http://pentagonpapers-movie.jp/


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2018-02-28

さあ、お飛び ! お飛び !!『花筐/HANAGATAMI』大林宣彦監督、窪塚俊介、満島真之介、長塚圭史、柄本時生、矢作穂香、山崎紘菜、門脇麦、常盤貴子、他

花筐/HANAGATAMI

監督 : 大林宣彦
原作 : 檀一雄
出演 : 窪塚俊介満島真之介
長塚圭史柄本時生
矢作穂香
山崎紘菜門脇麦
常盤貴子
村田雄浩、武田鉄矢
入江若葉、他

物語・1941年春、叔母(常盤貴子)が生活している佐賀・唐津に移り住んだ17歳の俊彦(窪塚俊介)は新学期を迎え、美少年の鵜飼(満島真之介)やお調子者の阿蘇(柄本時生)、虚無僧の如き吉良(長塚圭史)らと勇気を試す冒険に熱中していた。肺病に苦しむ従妹の美那(矢作穂香)に恋する一方、女友達のあきね(山崎紘菜)や千歳(門脇麦)とも仲がいい。そんな彼らに、いつしか戦争の影が忍び寄り…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Hanagatami

Memo1
「さあ、お飛び ! お飛び !!」
「殺されないぞ、戦争なんかに!」
いつの間にか「戦争三部作」とよばれるようになった『この空の花-長岡花火物語』『野のなななのか』に連なる作品(確か最初はそう呼ばれていなかったと思うけれど、本当にいつのまにか)
デジタルの扱いがこなれてきたと言えば失礼にあたるかもしれないが、そのバランス、ケレン味含め、本作が個人的には三部作中最も好きな作品となった。
上映時間2時間49分。
決して短くはない。
だが長くもない。
むしろ気がつけば終わっていて短いぐらいだ。
なんという芳醇な時間的贅沢さ。
映画が終わって場内が明るくなった時に湧き立つ観客席の"静かな熱"とも呼べる空気感(高揚感)は忘れられない。
冒頭のナレーション。
「昭和12年はまことに陰鬱な年であったと檀は述べている」
「その年、檀一雄25歳」
「これはあの戦争の時代を一生懸命に生きぬこうとした当時の若者たちによる青春の筐である」
そのあとに続くナレーション(僕こと主人公である俊彦)では「ここは架空の町であってもよい。またいつの時代であってもよい」と続く。
そう!この映画は現在へとも地続きなのだ。
鵜飼に憧れて煙草を拾う俊彦、それを見ていた笛を吹く吉良。調子にのり熱湯に手をつける阿蘇。美しい叔母、舞う花びらと血と月のイメージ美那、吉良との刹那的な思いが揺れる千歳、店の切盛りで男顔負けのあきね。各人のキャラクター立ちが際立っている。
そこで芽生える考えの対立、不良のまねごと、恋心…
それらを全てかき消してまうように忍び寄る戦争の影(教授に届いた赤紙のくだりなど、本当に怖い…)
鵜飼の台詞。
青春が戦争の消耗品だなんて、まっぴらだ

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Memo2
パンフレットデザインは岡崎直哉氏。
48ページ。
監督による演出ノオト。
完成版ではカットされた冒頭に入っていたといわれる大林監督が少年時代に描いた「戦争画」についても写真と絵、テキストで紹介されている。
批評、対談、盛りだくさんの充実した内容。

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Memo3
いくつかのインタビューなど。
1月27日
大阪ステーションシネマ舞台挨拶。
監督が舞台袖から現れて、まず行ったのはスクリーンを見上げて手を振り挨拶。
話はフレッド・アステアから手塚治虫(10歳年上「手塚治虫お兄ちゃん」と呼んでいた)、そしてガンとの関わり方についてなど、まったく途切れることなく、あっという間にマスコミ用フォトセッションが入るか入らないかの30分ぎりぎりまで話されていた。
1月30日 MBS「ちちんぷいぷい」
27日の舞台挨拶の映像(上記画像)とインタビュー
「このごろ大林は戦争映画を撮りだした」と言われているんですが、それは間違いであって「戦争を体験したから映画を撮っているんだ」と。
と、いう言い方のほうが私の場合は正しいんだろうと。
2月22日「ゴロウデラックス」
課題図書は『大林宣彦の体験的仕事術』
番組内では、なんと!16mmで撮られた『喰べた人』の岸田森さん出演シーンやマンダムCMや『HOUSE/ハウス』『転校生』などが紹介された。
「3歳 映写機で遊ぶ」のテロップ。
監督のひとこと。
映画館で観る前に映画を作っていた

『花筐/HANAGATAMI』公式サイト
http://hanagatami-movie.jp/

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2018-02-25

『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』ソフィア・コッポラ監督、ニコール・キッドマン、キルスティン・ダンスト、エル・ファニング、コリン・ファレル、他

The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ
The Beguiled

監督 : ソフィア・コッポラ
出演 : ニコール・キッドマン
キルスティン・ダンスト
エル・ファニング
ウーナ・ローレンス
アンガーリー・ライス
アディソン・リーケ
コリン・ファレル
、他

物語・南北戦争下のアメリカ南部。世間から隔絶された女子寄宿学園で生活している園長マーサ(ニコール・キッドマン)や生徒(エル・ファニング)ら女性7人は、けがを負った北軍の兵士・マクバニー伍長(コリン・ファレル)と遭遇する。敵方ではあるが、彼女たちは彼を屋敷に運んで介抱する。園長をはじめ学園の女性たちは、容姿端麗で紳士的な彼のとりこになってしまう。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

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Memo1
南部のプランテーション様式の館、そしてあの土地独特の植物スパニッシュ・モス(「真夜中のサバナ」を思いだした!)、きのこ(粘菌質)。
培養されているような女性たちだけの寄宿舎に異物(負傷した男性兵士)が…。
ソフィア・コッポラ監督らしく、さらりと描いているように見えてレイヤーの下にはじっとりと…
(もっと、どろっとした感じで描かれるのかと思いきや一般的に言われる愛憎劇とは違った感触。しかし終盤、突如変貌するマクバニー伍長は現代におけるDV的要素の意味合いも?)
比較
同じ原作を元に映画化されたドン・シーゲル監督『白い肌の異常な夜』はタイトルバックからして南北戦争のスチールにラロ・シフリン(!)の音楽が重なる濃いオープニング。
マーサと兄との間に起こっていたこと(ドロドロ)、黒人のメイド(いかにも南北戦争時)や象徴的な傷を負った鴉など省かれたエピソードも多い。
そして、マーサと教師エドウィナの嫉妬に燃えるシーンはもっと激しく(終盤、叩きあうシーンもあった)やラストの歓送会と称した企みのディナーで出される毒きのこもエミーが(それこそ、さりげなくマーサから採ってきてと匂わされつつも自分の意志で)採ってきたものという設定(口元がニヤッとする場面の怖いこと怖いこと)
しかし本作では上流階級出身のマーサと教師のエドウィナ(キルスティン・ダンスト)との育ちの違いをドレスの肩出しに対してチクリと言葉で射す程度。(ほとんどが視線か言葉で)
衣装が戦時の割には清潔な汗のイメージがひとつもない白基調のものが多いことも特徴的。(ドレスはさらにカラフル)
室内インテリアや食器、フランス語の授業、お祈りの時間、洗濯を乾したり畑を耕したりの日常などが細かく描写されている。
The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』がヨーロッパビスタ(1.66:1) ドン・シーゲル監督『白い肌の異常な夜』はアメリカンビスタ(1.85:1)とアスペクト比が違う。
(よって、シネコン張りキャン・スクリーン上映では左右に黒みが残っていました)

Be2

Memo2
あきらかに狙っている誰かの視線のような周辺が微妙に暗い、まるでピンホールカメラで撮ったようなショット。
該当場面→マクバニーがエミーが門に脱走兵がいる印として青い布を結んでいるところをマクバニーに見つかり悲鳴をあげる。あわてて庭に飛び出したマーサを捉えたシーン。
(いろいろ記事などを読んでいくとビンテージレンズが使用とある)
メイキング映像を見ると驚くことに、ものすごく明るいライティングで撮られている(自然光もいかしてはいるが、かなり意図的に光のコントロールが行われていてビックリ。)
ゆえに全体の屋外と室内との差異を色彩調整したものと思われる。
Go Behind the Scenes of The Beguiled
https://www.youtube.com/watch?v=ipAT_WzPK-Y
Title Design > PETER MILES STUDIO
(ソフィア・コッポラ監督の前2作「SOMEWHERE」「ブリングリング」に続いて)
ポスターなどに使用されているものと本編のメインタイトルでは同じスクリプト系でも書体が違うものになっている。
衣装デザイナーはステイシー・バタット
スケッチなどが掲載されたEW誌・記事
南北戦争が始まる前に持っていた衣装しかないという設定(故にパステルカラーの衣装を着ている)で、何度も何度も洗濯され日にやけて、少し褪せたイメージを作り出した。
http://ew.com/movies/2017/10/04/the-beguiled-sofia-coppola-costume-design/
そう考えると記事タイトルにあるように一種のゴーストストーリーとしても捉えられるかもしれない。その象徴的な門に閉ざされた館の中は時が止まった戦前のままなのだから(遠くで砲撃の音がずっと聞こえているが戦争のシーンは出てこないし…)

『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』公式サイト
http://beguiled.jp/

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2017-10-28

『ブレードランナー 2049(Blade Runner 2049)』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード、アナ・デ・アルマス、シルヴィア・フークス、ジャレッド・レトー、他

注・内容、ラストシーン、会話など盛大にネタばれしています。
ブレードランナー 2049
Blade Runner 2049

監督 : ドゥニ・ヴィルヌーヴ
撮影 : ロジャー・ディーキンス
出演 : ライアン・ゴズリング
ハリソン・フォード
アナ・デ・アルマス
シルヴィア・フークス
ジャレッド・レトー
ロビン・ライト
カーラ・ジュリ、他

物語・2022年にアメリカ西海岸で大規模な停電が起きたのをきっかけに世界は食物供給が混乱するなど危機的状況を迎える。2025年、科学者ウォレス(ジャレッド・レトー)が遺伝子組み換え食品を開発し、人類の危機を救う。そして、元捜査官デッカード(ハリソン・フォード)が突然行方をくらませて以来30年の月日が流れた2049年には、レプリカントの寿命に制限がなくなっていた。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Br2049a

Memo1
独特のペシミスティックさがもたらす、実世界の延長線上にあってもおかしくない直近未来。
ヴィルヌーヴ監督の美意識が隅々まで行き届いた端正な作品。
それはロジャー・ディーキンスの撮影からサウンドデザイン、エンドクレジットで使用されるフォント(その色も)まで全てにおいて。
『ブレードランナー』(1982年)にも出ていた用語「SKIN JOB」が本作にも。
署内でKとすれ違う署員から完全に差別用語として吐き捨てられていた。
訳は「人間もどき」「もどき」
(「人間もどき」というと『マグマ大使』を思い出してしまいますが 笑)
前作のフォークト=カンプフ検査と同じようにレプリカントに対しての検査が行われる。
Kが警察署に入る前に行われる部屋の会話。
「接続」の意の「interlinked」を何度も言わされる。
最後は3回繰り返して
「Within cells interlinked」
「Within cells interlinked」
「Within cells interlinked」
(ふたつで十分かもしれないけれど)前作繋がりでもうひとつ。
一角獣を折っていたガフの折り紙が。
それも羊って…笑 (もっとも主人公がKというのも原作者もじりかもしれませんが←未確認)

Memo2
冒頭、デッカードに解任(処分)されたレプリカント、サッパー・モートンの住居近くの木の下から見つかった骨(のちにレイチェルのものと判明するのだが、このときはまだ知らない)を調べるデッカード。
ホログラフィAI、ジョイ(アナ・デ・アルマス)との会話。
「A、G、T、C…」
たったの4文字で表される
わたしは0と1の2文字
(鋭く、どこか切なさもある会話)
ハンディ機器エマネーターで初めて屋外に釣れだしてもらった際の手のひらでうける雨、他人のボディと同期してデッカードとの肉体的に交わり…。
その4と2文字の差異。
ジョイはどこまで感じていたのだろう。
どのような感じだったのだろう?
ラストシーン。
自分の記憶(移植された記憶とわかるまでのほんの僅かなあいだだが)としての、よりどころであった木馬をデッカードに手渡す。
(前作では揺らぐ記憶、存在証明、時間…その補完として写真を集めていたレプリカント)
デッカードのためにラヴと死闘をくりひろげ、命燃え尽きようとするK(命を託す前作のロイのようだ。さらにはロビン・ライト演じるジョシが台詞でふれていた自己犠牲?)
ステリン研究所の前で静かに横たわるK
その上に、ひたひたと雪が舞う。
続いて、手に落ちる雪のカットに。
デッカードとレイチェルとの間に生まれた娘。
アナ・ステライン(カーラ・ジュリ)。
「少し待ってください」
隔離された室内の中央に立っている。
「美しい…」
そして、近づいてくるアナ。
視線をあわせる。
手のひらを隔てているガラスにあてるデッカード。
このアナ・ステラインがレプリカントにうめこむための記憶を作り出す、最高の研究者という設定が素晴らしい。
Kがもしかすると自分が探しているレプリカントから生まれた子どもではないかと思って、訪ねてきた際のシーンもとてつもなく美しい。
(ここでアナはKの記憶は自分のものであることに、気づいて涙する)
オランダ出身という意味も含めて、前作のルトガー・ハウアーと対になると思しきウォレス社のラヴ(シルヴィア・フークス)←メチャクチャ強いし、意志強固にして冷徹。
最後のウォールでのKとの海上対決。
死の間際。
溺れゆく中、見たのはKの顔ではなく自分の創造主であるウォレスの姿が重なるように映しだされる。(この死の間際に…という点でも前作の屋上シーンと重なる部分が)
公開前に発表された30年間の空白を埋める短編。
ブレードランナー ブラックアウト 2022
2036:ネクサス・ドーン
2048:ノーウェア・トゥ・ラン
特にこの2048は本作冒頭にそのまま繋がっていくレプリカント/ネクサス8型、サッパー・モートンのエピソードが描かれている。
映画は女優でという小林信彦先生の教えに従ってジョイ役が魅力的だったアナ・デ・アルマスの他作品をNetflixでチェック。
キアヌ・リーヴスがノックアウトされた『ノック・ノック』と主演サスペンス『サイレント・ウェイ』(←タイトルシークエンス最高!)が現在配信中。
黒いブレードランナーと白いブレードランナー。
ロンドン・イメージの酸性雨の降る『ブレードランナー』とグレーの空・イメージの『ブレードランナー 2049』
色彩トーンアプローチの仕方が全く違う。
本作では、前半のロスアンゼルスPARTと後半ラスベガスPARTでの色調がグレイッシュオレンジブラウンと分かれている。

Br2049_ab

Memo3
タイトルデザイン
今年のベスト!タイトルデザインと言えるデジタルノイズとオレンジ色のフォントとの饗宴(競演ではなく)。
Prodigal pictures
Danny Yount
http://www.prodigalpictures.com/
メイキング、クリップなど
Created with Blade Runner 2049
いくつかのbehind Scene動画を見たけれど、VICE取材による、このメイキングが長さとバランスがよい。
(本当に撮影中の現場に取材に行っている)
Inside the Making of 'Blade Runner 2049' (VICE)
https://www.youtube.com/watch?v=T0kobbjpdUg
The Cast and Crew of 'Blade Runner 2049' on the Original Film
https://www.youtube.com/watch?v=T0kobbjpdUg
Blade Runner 2049 Experience LUV
https://www.youtube.com/watch?v=8fzWBNUr8Zo
Blade Runner 2049 - Fire
https://www.youtube.com/watch?v=8QvJajVj28w
ホログラフィAI、ジョイの起動音
(もしかしてSONY製品で既にある?もしくは、これから出てくる?)
プロコフィエフ「ピーターと狼
Joi Notification Sound
Peter and the Wolf Opera 67
Sergei Prokovief
https://www.youtube.com/watch?v=b07U7DtAflY
サウンドデザインについて
SoundWorks Collection: The Sound of Blade Runner 2049
https://www.youtube.com/watch?v=b07U7DtAflY
あのロケ地は何処? Filming Locations
主にブダペストで撮影
(リバティー広場にある旧ブダペスト証券取引所など)
ウォレスの事務所ホールとして、未完成のNeanderthal Museumからイメージをコンセプトアーティストが許可を得て使用したものも(写真あり)。
また、現在識別中のものもあり、新たに判別すると更新。
http://www.atlasofwonders.com/2017/10/blade-runner-2049-filming-locations.html

COLOR of CINEMA内、過去記事
『デンジャラス・デイズ : メイキング・オブ・ブレードランナー(Dangerous Days: Making Blade Runner)』と粗編集版(ワークプリント)を含む5つの『ブレードランナー』
http://color-of-cinema.cocolog-nifty.com/blog/2017/10/dangerous-days-.html

『ブレードランナー2049』オフィシャルサイト

http://www.bladerunner2049.jp/

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2017-10-26

タイトルデザイン_55 Richie Adams『バリー・シール/アメリカをはめた男(American Made)』ダグ・リーマン監督、トム・クルーズ

注・内容、台詞に触れています。
バリー・シール/アメリカをはめた男
American Made

監督 : ダグ・リーマン
出演 : トム・クルーズ
ドーナル・グリーソン
サラ・ライト・オルセン
、他

物語・民間航空会社のパイロットでトップクラスの操縦技術を持つバリー・シール(トム・クルーズ)は、CIAにスカウトされる。偵察機のパイロットとなった彼は極秘作戦の過程で麻薬組織と接触し、麻薬の運び屋としても才能を発揮する。政府の命令に従う一方で、違法な密輸ビジネスで荒稼ぎするバリーだったが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Am

Memo1
陽気にトンデモ話をヒョイヒョイとこなしていく姿はスターオーラ全開、まさにトム・クルーズ磐石。
(昔、関西で流れてた某引越し会社CM)「ホンマかいなー、そうかいなー」を歌い出したくなるほどキテレツな話が実は実話。
「決して、機内は空っぽで空気を運んだりはしませんよ〜」とばかりに行きは機関銃などの武器(雇い主・CIA)、帰りは麻薬(雇い主・メデジン・カルテル)とある意味ビジネスとしては大正解だけれど、やってることはメチャクチャ。
『アルゴ』(こちらも偽映画撮影を偽ってイランから大使館員を脱出させる実話)にせよ本作『バリー・シール』にせよ、1970年代~1980年代中盤ぐらいが、今なら一瞬でバレる嘘が通ってしまう、ぎりぎりの年代だったのだなぁ、と思う。
↑そしてネタの宝庫年代なのかも。
(それにしても嘘もユルい→CIAを反対に読んだAICという社名が…オイオイ 笑)
CIA側の依頼主シェイファー。
どーなる?ドーナル・グリーソンと思ってみていると、やはり後半になるにしたがって(『エクス・マキナ』や『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』の時のように)「エッ?!どーなる?」状態に。
しかし、今回はイラン・コントラ疑惑事件の絡みもあり、全ての作戦を中止に。
そしてバリーシールにひとこと。
「シェイファー?誰のことだ」
FBIが資金流入調査をしている際、あまりにも莫大なお金がアーカンソー州のミーナという人口5000人の小さな町に流れていることが判明。
調べにいくと、あちらこちらに銀行や不動産会社、はては高級車が何台も走っている。
これをきっかけに(他にもいろいろほころび始め)逮捕へ。
州警察DEA(米国麻薬取締局)とFBI(米国連邦捜査局)とATF(爆発物取締局)が一斉に現れて「で、どこが逮捕するの?」状態のシーンは笑った。
そして捕まったあとの州司法局で。
もう絶対に許せないといきり立つ長官に電話。
バリーシールが部屋に通される前に廊下で。
「いやぁー、本当に迷惑かけたねぇー」「お詫びに車でも」
笑い飛ばすFBIや州警察の面々。
で、部屋から出てきて手錠を外されて。
結果、あっさりと無罪放免。
「車を損したな」
続いて、この台詞(ボイスオーバーで)
今度の雇い主はホワイトハウスだ
妻子を安全な場所に逃し、モーテルからモーテルへと、逃走しつつビデオテープに起こった出来事を時系列にセルフ録画していくバリーシール。
いつJB(義理の弟)と同じこと(麻薬カルテルによる暗殺)が起こるかわからない精神状態で、まわりに人が入れば避けてもらって車のキーを回す。
ドキドキ、ドキドキしながら回す。
近づく人影。
(カルテルからの魔の手のようにもみえるが、もしかすると今でもなかったことになっている事件だし都合が悪い、その筋の人たちかもしれない。その実はわからないような銃声の音)
ダグ・リーマン監督、以前に『フェアゲーム』も撮っているので、本作含めCIAネタ&アメリカ大統領裏面史をエンターテイメントの表カバーに包んだ形で通して描きたかったのかもしれない?

Memo2
撮影監督が『シティ・オブ・ゴッド』や『ナイロビの蜂』のセザール・シャローン
ジャングルの緑赤茶けた土の色を、ややハイキー気味に撮った画面はこの人ならではの本編とのマッチ具合。
タイトルデザイナー > Richie Adams
(River Road Creative名義はクレジットされていませんでした)
4:3 ビデオ画面のチラツキノイズにトラッキングずれを、わざわざ施した80年代的エンドクレジット。

『バリー・シール/アメリカをはめた男』公式サイト
http://barry-seal.jp/

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2017-10-17

『デンジャラス・デイズ : メイキング・オブ・ブレードランナー(Dangerous Days: Making Blade Runner)』と粗編集版(ワークプリント)を含む5つの『ブレードランナー』

注・デッカードはレプリカントなのか?の問いに答えるリドリー・スコット監督のインタビュー部分などに触れています。

デンジャラス・デイズ
メイキング・オブ・ブレードランナー
Dangerous Days: Making Blade Runner

2007年「ファイナル・カット」公開に合わせて発売された『ブレードランナー』25周年記念版BOX(DVD)に入っていた(現在も収録されているセットあり)3時間34分に及ぶIMDbでも高評価なメイキング作品の傑作!

Br

Memo1
BOXに収録された5つの『ブレードランナー
『粗編集版(ワークプリント)』
『アメリカ劇場公開版』(1982)
『インターナショナル・バージョン(完全版)』(1982)
『ディレクターズ・カット(最終版)』(1992)
『ファイナル・カット』(2007)
『粗編集版(ワークプリント)』(110min)はエンドクレジットなし。
デッカードとレイチェルがエレベーターに乗ってドアが閉まると共にTHE ENDの文字。上映が終わった瞬間、リドリー・スコット監督は「素晴らしい」と声を上げたが周囲は「エッ?!…」といった戸惑いの様相だったと語っている。
しかし、一番最初のこのバージョンの時点で既にのちの「ファイナル・カット」となる完成形はできていたのだ。
その後、追加撮影や新たに加えられることとなるナレーション(ハリソン・フォードによるボイスオーバー)収録なども見ることができる。
以下、いくつかのインタビュー部分より抜粋。
「10万ドルのネオンを作る予定だった。結局彼らは『ワン・フロム・ザ・ハート』のネオンを譲ってもらい撮影した。"お下がり"に見えないように工夫してね」
デッカードはレプリカントなのか?の問いにリドリー・スコット監督が。
ラストに触れて。
「ユニコーンの折り紙だ」
「こうして手に取る」
「これで誰もが気づくだろう?」
彼の脳に移植された情報を知る者がいることに
ハリソン・フォード演じるデッカード衣装について。
「赤っぽいハリスツイードで下襟が小さいヘリンボーンジャケットだ」
「あのネクタイは今でも持っている」
「さほど奇抜ではないんだ。それが衣装のポイントだった」
「彼がひとつだけ出した条件は帽子をかぶらないことだった」
「彼は帽子を見ると機嫌を損ねた」
「前回の映画で帽子をかぶりすぎたから今回は帽子がないと助かると」
(↑前回の映画 笑)
他にも特典ディスクにセット内を歩きながらパーキングメーターのことを解説するシド・ミードなどが記録された初期のメイキング映像などもあり。
先日、地上波(朝日放送)で『ブレードランナー』が放送されました。流れたのはいわゆる最初に映画館でかかった『インターナショナル版』ボイスオーバー付き、ハッピーエンド、鳩が舞う空は青いバージョンでした。

Br

Memo2
制作会社名義のThe Ladd Companyのロゴ
『ブレードランナー(Blade Runner)』(1982)リサーチ用試写に使用された『粗編集版(ワークプリント)』ではおなじみの黒バックにグリーンのものではなく白地のものが使用されていた。
http://logos.wikia.com/wiki/The_Ladd_Company
『ブレードランナー』タイトルデザイン
Pacific Title and Art Studio
(動画)
http://www.artofthetitle.com/title/blade-runner/
(タイトルカード写真)
http://annyas.com/screenshots/updates/blade-runner-1982-ridley-scott/
劇場公開版、ファイナル・カットなど各バージョンによるシークエンス違い(エンディング、エフェクトなど)
Which "Blade Runner" Cut Should I Watch? A Visual Explainer.
https://www.youtube.com/watch?v=n70PtKIhitA

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2017-09-10

"a-ha"『パターソン(Patterson)』ジム・ジャームッシュ監督、アダム・ドライヴァー、ゴルシフテ・ファラハニ、永瀬正敏、ネリー(ブルドッグ) 、他

パターソン
Patterson

監督 : ジム・ジャームッシュ
出演 : アダム・ドライヴァー
ゴルシフテ・ファラハニ
永瀬正敏
ネリー(ブルドッグ)、他

物語・ニュージャージー州パターソンでバスの運転手をしているパターソン(アダム・ドライヴァー)は、朝、妻のローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)にキスをすることから始まる、変化のない毎日を過ごしている。そんな日々の中でパターソンは、周囲の会話やマッチ箱といった何げない物事に着想を得た詩をノートに書き留めていた。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Patterson1

バスの窓から見える風景は電車に乗って見える風景と違って見える。そんなことを、ふと思った。
Memo1
毎日同じことが繰り返されているように見えて、実は少しずつ違う。
その、ほんの些細なことかもしれない小さな変化を愛おしむように描くジャームッシュ監督の傑作!
パターソンに住むバスドライバーのパターソンを演じるアダム・ドライバー。
まさかポエトリー・リーディングの如き韻を踏むようなキャスティングだがインタビューを読むと全くの偶然とのこと。
第69回カンヌ映画祭パルム・ドッグ賞に輝くブルドッグ、マーヴィンにも(決まったルーティンのような)日常がある。
パターソンが毎朝、出かける際に直していく傾いた郵便ポスト。
(帰宅すると、また傾いている)
誰の仕業と思いきや、これもまた飼い主と同じく日課としていたマーヴィン 笑
詩のノートを破りちぎってしまって部屋に閉じ込められたことによって、そのルーティンが乱れる←思えば起点はカップケーキが売れたお祝いで居残りさせられたことから始まっている
そんな、細かーいパッと見わからないぐらいのヒトコマが随所に。
ローラの作ってくれるお弁当、玄関脇の花(コスモス?)の咲き具合
ローラはとてもマイペースのように見えて実は予見的にいろいろなことを察知できそう。
一番気にしていたのは「詩のノートのコピーを取っておいて」ということ(ふたつの願いの1つ。もうひとつはギター)。
パターソンの過去は描かれないがバーで恋人との別れ話から自暴自棄となったエヴェレットが拳銃を持った際の素早い動きと次のカットで映しだされる軍服姿の写真とでほのかになんとなく判るように描かれている。
繰り返されるシーン(写し方)
特徴的な手描きの詩。
重なるボイスオーバーと共に流れ落ちる瀧の水がオーバーラップで幾度となく写される。背景の音楽も同じ。
これが、また本作のリズムアクセントとなっていて美しい。
永瀬正敏演じる日本人詩人。
「アーハ(a ha)」と特徴的な台詞。
これまたアドリブや現場で書き足されたものかと思いきや、最初に脚本に書かれていたとのこと。しかも永瀬のために書かれた役!
お礼にと渡されたノート。

白紙のページに可能性が広がることもある

日本人詩人が立ち去ったあと、しばらくノートをくるくると回し見つめる。
ひとこと、つぶやくように「a-ha」
そして、すぐにペンを取り出して詩を書き始める。
カメラはゆっくりとパターソンに寄っていく。

Patterson2

パターソン出身のルー・コステロ。
そのアボット&コステロの映画ポスターが貼られている。

Memo2
Titles and Graphic Designer
RANDY BALSMEYER (BIG FILM DESIGN)
(コーエン兄弟作品タイトルデザインは、ほぼこの人)
パンフレット、宣材マッチなどのデザインは大島依提亜さん。
(カーテン除く)本文カラーページ含め42P。
表紙をめくるとローラがペインティングしていたカーテン柄(だけではないと思うけれど、どこのシーンの柄が使われていたかわからなかった)が。
そこをめくるとMONDAYから一週間のノンブルがうたれたカラーページ。
センター、テキストページ。最後にもう一度カラーページ(今度はマーヴィンとパターソン。そしてツインズが主に)
OHIO match companyによるブルーチップマッチ(映画本編に詩と共に登場するマッチ)←現在は作られていないので映画スタッフによって再現←そのマッチをさらに宣材として再現。

映画『パターソン』公式サイト
http://paterson-movie.com/

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