2017-03-19

"ココロネひとつで人は空も飛べるはず"『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』原作・脚本・監督 : 神山健治、高畑充希、他

注・内容に触れています。
ひるね姫 ~知らないワタシの物語~

原作・脚本・監督 : 神山健治
出演(Voice Cast) : 高畑充希
満島真之介
古田新太
釘宮理恵
高木渉
前野朋哉
清水理沙
高橋英樹
江口洋介、他

Hirune1

Memo1
早くも今年の本ブログ"日本映画・お気に入りベストテン"!
"ココロネひとつで人は空も飛べるはず"
(↑パンフレット表記もそうですが、ここはあえてカタカナで)
既視感あれど、この手の話はめちゃくちゃ好き!
あまり情報を入れずに見た方が面白さ倍増。
(予告編やTV特番などは後で見るパターンでなるべく遮蔽して見た)
前に座っていた、かなりご年配の方2人連れも「楽しかった〜」って言ってたから、これはホントそういう映画。
宮崎駿監督作品、エヴァ、ベイマックス、メトロポリス(手塚治虫原作・りんたろう監督版)、スチームボーイ…などなど、既視感があるのはあたり前。
(いや、あえて狙っている?とさえ思える)
なんといってもそれらの作品などに深く関わってきたそうそうたる面々によるクリエイトチームなのだから。
ファンタジー要素と"SFみ"が入り交じったおはなしのように見えて実は"家族の物語"
ラストはそれまで森川モータース前の道(表側)からのシーンばかりだったのが、一転して縁側のある森川家の庭側でココネ、モモタロー(父)、一心(祖父)の3人がスイカを食べるシーンでエンディングを迎える。
ココネの台詞。
「ほんならお母さんのこと、もっと知りたいし大学どこにするか目標できたけん、これからちょくちょく東京行くな、そんときはよろしく。お祖父ちゃん、お父さん」
"コニー・ウィリスみ"を感じた…と、思っていたら以前『この世界の片隅に』の片渕須直監督がtwitterで"時の流れを感じる10の小説"でコニー・ウィリスをあげられていて『アリーテ姫』のキャラクターデザインが森川聡子さんだった!ということを思い出した(しかも『アリーテ姫』ご覧になった方は解ると思いますが「科学」と「魔法」…)
と、いうことで本作に感じた"コニー・ウィリスみ"や"マイクル・コーニィみ"とか"梶尾真治さんの『美亜へ贈る真珠』み"とかの(同じという意味ではないが)空気のようなものが自分の好みとピッタリ!
べワンが倒される時の音がトイレの水を流す音に聞こえたけれど、実際にそう?(現実世界の渡辺一郎はどーなったと思うけれど、まあトイレに流されたので、その辺は"水に流そう"…というのは冗談で現実世界で捕まったシーンなどは、あえて入れなくてよかったなー、と思っている次第)
整合性がないとかつじつまが合わないとかは、どーでもよくて後述パンフで上橋菜穂子さんが書かれているとおり心地よさという映画全体の醸しだす雰囲気がほんとうに素晴らしい。
そして、これは"夢のおはなし"。
さらには見る側の(文字通り、ここは漢字で)"心根"(こころね)に残る"忘れられないおはなし"なのですから。

Hirune2

Memo2
パンフレットには監督インタビューの他にキャストインタビューが5P
スタッフインタビューが8P
レビューは『精霊の守り人』原作の上橋菜穂子さん。
高畑充希さんが主人公・森川ココネとして歌う『ディ・ドリーム・ビリーバー』歌詞。
その歌が流れるエンディングは、まさに歌詞と一体化した母イクミの物語(そして父・モモタローとどうやって知り合ったかもわかる)
主題歌予告(デイ・ドリーム・ビリーバー)
https://www.youtube.com/watch?v=ztm99tdbs

映画『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』オフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/hirunehime/

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2016-12-29

『ヒッチコック/トリュフォー(Hitchcock/Truffaut)』ケント・ジョーンズ監督、マーティン・スコセッシ、デヴィッド・フィンチャー、黒沢清、他監督多数

ヒッチコック/トリュフォー
Hitchcock/Truffaut

監督 : ケント・ジョーンズ
出演 : マーティン・スコセッシ
デヴィッド・フィンチャー
アルノー・デプレシャン
ウェス・アンダーソン、黒沢清
ウェス・アンダーソン
ジェームズ・グレイ
オリヴィエ・アサイヤス
リチャード・リンクレイター
ピーター・ボグダノヴィッチ
ポール・シュレイダー

Ht1

Ht2

Memo1
堪能した!
(そして短い!延々と見ていられる。もし完全版なるものが存在するならば、是非Blue Ray化などの際に出してほしい!)
そして、これは世にも珍しい『映画術』という本(名著)についの考察およびメイキング(この場合メイキングと呼ぶのはおかしいけれど…)
ポール・シュレイダー監督がマーティン・スコセッシ監督と一緒に見たと語っていた『めまい』
(当時はビデオもなく、ましてや上映されることもなかったので海賊版の16ミリフィルムをくいいるように見たとも)
ビデオが無い→つまりは映画館にかけられた時にしか見られない!→「映画術」掲載の『サイコ』シャワーシーン連続写真や『知りすぎた男』のカット写真、『鳥』絵コンテなどの貴重なこと貴重なこと。
パンフレットに滝本誠氏が書かれていたけれども、ヒッチコックとトリュフォーの生々しい声(合間に漏れた喘ぎ声のようなものなど)が本作の、まさに貴重なる肝だと思える。
ラストの記念撮影のやり取りなどもボツになったコマ部分も見せつつ、とても面白い。
ヒッチコック作品、ロードショー公開時にリアルタイムで見られたのは『ファミリー・プロット』が最初にして最後。
(現在のTOHOシネマズ梅田の地に、かつて華々しく構えられていた旧・北野劇場で)
あと、当時はヒッチコック側(ヒッチコック財団)が権利を保有していて公開されていなかったカラー5作品(『めまい』『裏窓』『知りすぎた男』『ロープ』『ハリーの災難』)が見たくても見られない渇望状態だったので1984年にヒッチコックフェスティバルと銘打たれて公開されたときは小躍り状態だった、と記憶(それは世界的なことで本編中スコセッシ監督が海賊版と思しき状態で見た話を語っている通り『めまい』などは本当に幻。
小林信彦さんのコラムを遡って読むと『サイコ』や『北北西に進路を取れ』『鳥』などの当時のリアルタイムな世評、状況なども含めて垣間見ることができる。

Fp

Memo2
いくつかの興味深いリンク
(2016年12月時点でのリンク切れ無し確認)
淀川長治 解説 "めまい"(動画)
https://youtu.be/pKakG8WAFR0
黒沢清監督「映画の全てが込められている」
『ヒッチコック/トリュフォー』トークショー
(動画)
(於 : Tokyo International Film Festival)
https://youtu.be/fDJQSX1-lcs
映画『ヒッチコック/トリュフォー』
K・ジョーンズ監督が選ぶ、自分に影響を与えた映画5本
http://rollingstonejapan.com/articles/detail/27280

映画『ヒッチコック/トリュフォー』公式サイト
http://hitchcocktruffaut-movie.com/

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2016-10-13

『BFG ビッグ・フレンドリー・ジャイアント(The BFG)』スティーヴン・スピルバーグ監督、マーク・ライランス、ルビー・バーンヒル、他

BFG ビッグ・フレンドリー・ジャイアント
The BFG (2016)
Director : Steven Spielberg
Writers : Melissa Mathison (screenplay),
Roald Dahl (book)

Thebfg

※Memo
『チョコレート工場の秘密』(ティム・バートン)『ファンタスティック Mr.FOX』(ウェス・アンダーソン)『ジャイアントピーチ』(ヘンリー・セリック)『マチルダ』(ダニー・デビート)とロアルド・ダールが書いた原作(児童文学)へのアプローチの仕方が各監督によって違っているのも興味深い。
スピルバーグはまさにド直球な形でのファンタジー(『フック』以来!)
"For our Melissa"
脚本メリッサ・マシスンというエンドクレジットにジーンとする。
(ちょっと『E.T.』想起のシーンもあったりして更に…)
BFGを演じたマーク・ライランスのまなざし、声が素晴らしい!そして、ソフィーを演じたルビー・バーンヒルの実にイキイキとしたこと。
デビュー初劇場公開作から現在に至るまでリアルタイムで見続けている監督は誰だろう?と思って考えてみるとスピルバーグ監督作品がそれにあたる。
(『激突!』は淀川長治さんによる名解説TV放映後、今は閉館した梅田コマゴールドで見た!『続・激突カージャック』は阪急プラザ劇場『ジョーズ』は梅田東映パラス『未知との遭遇』はOS劇場と作品と映画館が結びついた形で記憶されているのも印象深い)
映画を見始めた時期、ヒッチコックもビリー・ワイルダーも劇場で新作として見られたのは『ファミリープロット』『フロントページ』のそれぞれ1作品ずつ(まさにすべりこみ)という中、ずっと撮り続けコンスタントに新作として公開されるスピルバーグ作品を見られることは幸せなことである。
Main and End Title Design
Scarlet Letters
http://scarletletterstitles.com/Our-Services/Main-Titles/Projects/159

BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント
http://www.disney.co.jp/movie/bfg.html

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2016-08-28

『ブルックリン(BROOKLYN)』ジョン・クローリー監督、シアーシャ・ローナン、エモリー・コーエン、ドーナル・グリーソン、他

ブルックリン
BROOKLYN

監督 : ジョン・クローリー
出演 : シアーシャ・ローナン
エモリー・コーエン
ドーナル・グリーソン、他

物語・アイルランドの町で暮らすエイリシュ(シアーシャ・ローナン)は、きれいで仕事もバリバリこなす姉ローズ(フィオナ・グラスコット)とは正反対だった。内気な妹の未来を心配するローズの考えもあり、エイリシュはニューヨークに渡ることを決意する。だが、田舎町での静かな生活とは全然違う暮らしが彼女を待ち受けていた。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Brooklyn

Memo1
シアーシャ・ローナンは(実年齢からみてもキャリアからみても)本当によい役を得たなぁ、と思う。
最初は(それは出自によるものだと思うけれど)愛想も悪く人との接し方もままならず、上司からは注意をうけていたエイリッシュ、フラッド神父のこころづかい、教会でのボランティア、簿記の学校へ通い始め、イタリアから移民してきたトニーとの出会いなどを経て次第にニューヨークでの生活に馴染むようになる。
入国管理局のブルーグリーンのドア(コートの色もグリーン!)を開けた、その先が白い光につつまれていて、いかにも新天地での夢と希望がこれから始まるのだという雰囲気が素晴らしい。
またエイリッシュが故郷をあとにしてニューヨークへ渡る際、船の同室女性にアドバイスをうけた事と同じように、ラスト、再びニューヨークへ戻る船のデッキで不安そうにしている、これから移民しようとする女性に入国審査のアドバイスをする円環構造もすごくよい(グリーンのコートではじまりペールエメラルドグリーンのカーディガンで終わる色の円環も)
下宿先の寮母キーオ婦人の的確な毒づき(笑)
(そして、よく人を見ている)
アイルランドと1950年代ニューヨークでの色彩設計の違い。
そのメリハリの美しさ。
全体的に彩度を抑えたアイルランドの住宅街、逆にウォームトーンで華やかなニューヨーク。
『アバウトタイム』『エクス・マキナ』など出演作の役柄がいつも"どーなる、ドーナル・グリーソン"と誰もが語るとおり、本作でも"エッ!?エイリッシュに選ばれるの、選ばれないの" "どーなるの?"というジム役を演じている。
水着の着替え方。
トニーと初めてコニーアイランドへ出かけた際に洋服の下に最初から水着を着ていくことを知らずにビーチで着替えるエイリッシュ。
アイルランドに帰国して親友ナンシーやジムたちとも馴染みの海へ出かける。その時、ひとりだけさっと洋服を脱ぎ水着になるエイリッシュ。(←ちょっと鼻高々 笑)
わざわざ呼び出して(エイリッシュがニューヨークでイタリア移民と結婚したことを小耳に挟んだのよと鬼の首をとったかのように)嫌味な言葉を投げかける食料雑貨店のミス・ケリー。
「今思い出したわ」
「ここはこういう場所だったことを」
(すぐに決心してニューヨークへ帰ることを決意するエイリッシュ。
「一番、早い便は?」)
ラストが鮮やか。
(エイリッシュがもたれかかっている壁にほのかにライトをあてて、少しそこだけ明るく見えるようにしているのもよい)
もう戻ってこないかもと思っていたトニーがエイリッシュを見つけ、同僚に工具を渡し嬉しそうに駆け寄ってくる。
抱き合うふたり。

Memo2
パンフレットが『バードマン』『グランド・ブダペスト・ホテル』と同じFOXサーチライトマガジンとして編集されたもの。
(マガジンとしての後半別記事も『ブルックリン』に繋がるものが多々)
衣装デザイナーはオディール・ディックス=ミロー
発想を広げるために参考にしたという、ふたりの写真家。
Elliott Erwitt オフィシャルサイト(日本語)
http://www.elliotterwitt.com/lang/ja/index.html
Vivian Maier
こちらはヴィヴィアン・マイヤー・サイト
http://www.vivianmaier.com/
Film Locations - On the set of New York
(現時点ではコニーアイランドのみ)
サイトの特性からみて、今後アップデートされ追加ロケ地が記載されるものと思われます。
http://onthesetofnewyork.com/brooklyn.html
BBC - Brooklyn - Writers Room
Nick Hornby (adapted from the novel by Colm Toibin)
脚本(英文)がPDFで読めます。
http://www.bbc.co.uk/writersroom/scripts/brooklyn
Title Design > Matt Curtis
(↓タイトル部分の画像あり)
http://annyas.com/screenshots/updates/brooklyn-2015-john-crowley/
(それにしてもMatt Curtis、最近のイギリス制作作品には必ずと言っていいほど携わっている)

映画『ブルックリン』公式サイト
http://www.foxmovies-jp.com/brooklyn-movie/

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2016-07-30

『ふきげんな過去』前田司郎監督、小泉今日子、二階堂ふみ、高良健吾、板尾創路、他

注・内容、台詞に触れています。
ふきげんな過去

監督 : 前田司郎
出演 : 小泉今日子二階堂ふみ
高良健吾、板尾創路、他

物語・東京・北品川に位置する食堂で生活している女子高生・果子(二階堂ふみ)の前に、18年前に他界したはずの伯母・未来子(小泉今日子)が突然現れる。とある事件によって前科持ちとなった未来子は果子の実母だと告白し、そんな彼女の登場に周りの家族はうろたえる。自分の部屋に住み込む空気を読めない未来子に、イライラする果子だったが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Kako

Memo
全体的に彩度を下げてレンズフィルター、オレンジをかけたような色調は好み。
そして、それはまた北品川の運河を行き来する"ここではないどこか"の曖昧領域な人たちにピッタリのトーン。
さらには、これはいい風が通り抜けるのだろうなぁー、と、思えるエジプト風豆料理店の雰囲気や2階の果子の部屋、着ている衣装などから醸しだされる"夏の空気"映画でもあります。
twitterにも書いたけれど最初、ずっと『ふきげんな過去』のことを『ふざけんな過去』と思い込んでいた(あながち間違ってなさそうな気もしたけれど果子と過去をかけていることを考えると"ふざけんな"は無いよなぁー、などと)
母(実母ではない)サトエの友人、レイの娘カナちゃん(←『花子とアン』でヒロインの幼少期を演じていた山田望叶がめちゃくちゃ上手い!)と果子のやりとりにしばしば現れる"ふきげんな言動"
「面白さなんて期待するほうが間違いでだいたい同じことの繰り返しの中で感覚を麻痺させていくのよきっと」
「想像を超えることなんて起こらない、起ったとしても、すぐに対処できて、想像内の出来事に収まっていくの」
「だから、もともとつまらないものなの、世界は」
なんとペシミスティックな 笑
そして、いちいち反応するカナに対して受け答えしていて、どこか禅問答のようでもあり面白い。
二階堂ふみが小泉今日子に向かって言う台詞を借りるならば、遠くを見ながら"いいこと"言ってる映画。
そのシーンの台詞。
「みんな寂しいんじゃない?ひとりで居ても家族と居ても」
「(前略)〜欲望が人と人を結びつけるのよ。でもね、誰かと結びついたら、それはやっぱり孤独なのよ〜(後略)」
「欲望の行き着く先は結局孤独なの。それでも人は欲望するんだわ」
実際の母娘であるふたりの言動は(実のところ)よく似ていることがわかる。
やがて、果子は(爆弾を嬉々として作ったりしている)未来子に停滞したままの過去に絡み取られた現状から、まさに未来を垣間見るのだ。
それがラストの(噂だけで本当にいないと思われた)ワニが現れ、暴れ逃げ出すところを見ていて「これ、これ、これですよー」と言い出しそうなイキイキとした果子の表情に繋がる。
前田司郎監督、演劇的な間合いを感じるところもあるけれど台詞回しの妙として、これまた好みの領域。
(要はお気に入り色彩トーンの中でのあーだこーだ会話とかを絶妙のカメラポジションで撮ってくれることが嬉しいのだ)
パンフレット(オフィシャルブックとして書店売りも有り←こちらは帯が付いてる)デザインは大島依提亜/中山隼人
映画本編、ラストを華々しく(笑)飾るワニがモチーフの表紙。
(写真、インタビュー、対談など90ページ)
シナリオが掲載されているのは嬉しい。
(実際の脚本の最初に載っていたという年表も掲載←映画本編では多くを語られない登場人物たちを巡る"激動の歴史" 笑 が詳細に)
※文中敬称略

映画『ふきげんな過去』公式ホームページ
http://fukigen.jp/

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2016-05-18

『ヘイル、シーザー!(HAIL,CAESAR!)』ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン監督、ジョシュ・ブローリン、ジョージ・クルーニー、チャニング・テイタム、スカーレット・ヨハンソン、フランシス・マクドーマンド、他

ヘイル、シーザー!
HAIL,CAESAR!

監督 : ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
出演 : ジョシュ・ブローリン
ジョージ・クルーニー
チャニング・テイタム、レイフ・ファインズ
スカーレット・ヨハンソン
フランシス・マクドーマンド
ジョナ・ヒル、アルデン・エーレンライク、他

物語・1950年代のハリウッド。スタジオの命運を左右する超大作『ヘイル、シーザー!』の撮影中、主演俳優ウィットロック(ジョージ・クルーニー)が何者かに誘拐されてしまう。事件解決を任されたスタジオの何でも屋(ジョシュ・ブローリン)は、魅力あふれる若手女優(スカーレット・ヨハンソン)や著名なミュージカルスター(チャニング・テイタム)ら個性豊かな俳優たちを巻き込み、ウィットロック奪還に向け奮闘する。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Caesar

Memo1
"チャニング・テイタム"とつぶやくだけで頬がゆるみ "ジョシュ・ブローリン"と3回唱えると顔がひと回り大きくなり"ティルダ・スウィントン"が気のせいか、ふたりに見える、そんな映画を見た『ヘイル、シーザー!』
これは、まさにコーエン兄弟の「アメリカの夜」!(違う違う…でも、ちょっとひねった映画愛がある。そんな作品)
コーエン兄弟、久々の"そっち系"映画で楽しめました!
ジョシュ・ブローリン演じる"なんでも屋"(ゴシップぬぐいから、もめ事の後始末、撮影をスムーズに行うためなら何でもやる男、航空機会社から転職の誘いを受けていて、こころ揺れているが、その実、映画のことが気になって気になってしようがないという役どころ)が素晴らしい。
レイフ・ファインズ演じる映画監督。
その名も「ローレンス・ローレンツ」笑
(IMDbトリビアによるとヴィンセント・ミネリ監督がモデル。確かに写真で見比べても似てる)
そのローレンツ監督は、きっちりとセットを組んで文芸ものを撮影中。
そこに撮影所の意向で訛りのきつい演技もおぼつかない西部劇役者ボビー・ドイル(若きハン・ソロ役が決まって超注目のアルデン・エーレンライク。こちらもティム・ホルトというモデルあり)が主演として登場。
キャスト全員が定位置について既にスタンバイ状態のところに「どぉぅもぉ〜」といった雰囲気で現れる(もう、このあたりからおかしくて可笑しくて)
そして実際に撮影が始まる。
やたら訛る(←ちなみにこのシーンを使った日本版予告編、字幕が大阪弁バージョンや広島弁バージョンなど複数あり 笑)
何度も台詞の言い回しをレクチャーする監督。
名前を「ローレンス監督」と間違えてばかりのボビー・ドイル。
「ローレンツ監督」名前も訂正してキレる寸前となるレイフ・ファインズの顔が 笑
ティルダ・スウィントン演じるソーラとセサリーのライバル心むき出しの双子ゴシップ記者(帽子が見分ける目印 笑)←こちらもモデルとなる記者がいるらしい(えっ!?ホントに)
エスター・ウィリアムス(水中レビュー映画は「ザッツ・エンタティンメント」で初めて見て「おぉっ」と思った)がモデルと思われるスカーレット・ヨハンソン。渋いナレーションはマイケル・ガンボン。
フランシス・マクドーマンドが『ヘイル、シーザー!』本編編集を行っている場面はさすがコーエン組。キレキレの編集ウーマンで場面をさらう(ここで観客も本編シーンの一部が見られる)
そして、チャニング・テイタム演じるミュージカルスターの正体にはひっくり返った。(飼っているワンちゃんの名前にもひっくり返った。潜水艦、ジャーンプのシーン、一瞬「メル・ブルックスの大脱走」の飛行機飛び乗りワンちゃん思い出した)
これまたモデルとされるジーン・ケリーは逆に赤狩りの嵐が吹き荒れる時代において疑いをかけられた友人をかばうなど本作とは全く逆のスタンスの人だったということが皮肉がきいている。
すっかり(本人は気づいていないが)誘拐された教授たちの思想に影響を受けたウイットロック。
その様子を見て、しっかりしろ!と言わんばかりにビンタをくらわすジョシュ・ブローリン演じる撮影所なんでも屋のひと言。
スターであることを証明してこい

Memo2
撮影はロジャー・ディーキンス
「アンブロークン」の邦題に「不屈の男」ってついてたけれど彼こそ不屈の男だ。コーエン兄弟作品多数含むアカデミー賞ノミネートされること、13回
(そろそろそろそろディーキンス先生に受賞を…。)
『トゥルー・グリッド』より続行中の35mmフィルムによる撮影。
衣装デザインは、これまたコーエン組のメアリー・ゾフレス
タイトルデザインはまたまたまた、お馴染みのBig Film Design
そのBig Film Designによるコーエン兄弟作品のタイトルデザインいくつか(ファーゴ、ビッグ・リボウスキ~シリアスマン) 他に『ファクトリー・ガール』『マグノリア』 など現時点で代表作38作品公開中
http://bigfilmdesign.com/titles/
メイキング映像
Hail, Caesar! Behind The Scenes B-Roll & Featurettes
https://www.youtube.com/watch?v=o_9_ODd5uIs

映画『ヘイル、シーザー!』公式サイト
http://hailcaesar.jp/


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2016-03-27

『バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生(Batman v Superman: Dawn of Justice)』ザック・スナイダー監督、ベン・アフレック、ヘンリー・カヴィル、ガル・ガドット、エイミー・アダムス、ジェシー・アイゼンバーグ、他

注・内容、台詞などに触れています。
バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生
Batman v Superman: Dawn of Justice

監督 : ザック・スナイダー
脚本 : クリス・テリオ
デヴィッド・S・ゴイヤー
出演 : ベン・アフレック
ヘンリー・カヴィルガル・ガドット
エイミー・アダムス、ダイアン・レイン
ジェシー・アイゼンバーグ
ジェレミー・アイアンズ
ローレンス・フィッシュバーン
ホリー・ハンター、他

物語・バットマン(ベン・アフレック)は、両親の殺害現場を目撃したという過去のトラウマから犯罪者一掃に力を注ぎ、一方超人的能力を持つスーパーマン(ヘンリー・カヴィル)は、その力を人類のために惜しみなく使ってきた。だが、その破壊力の強大さゆえに、スーパーマンは人々からバッシングを受けるようになり…(シネマトゥデイより抜粋)

Bvs

Memo1
何と言ってもワーナー。あのジェームズ・キャグニーのワーナー、クリント・イーストウッドのワーナーなのだから、このトーンになるのは至極当然。(と、いうことであっちのユニバースよりこっちのユニバースの方が好きかも)
ベン・アフレックによるバットマン。
ブルース・ウェインパートがものすごくよくて、今後のジャスティスリーグ続編に期待大。『アルゴ』の脚本家クリス・テリオを引っぱってきて本作のリライトに参加させたのもベン・アフレックらしいし、その点からも◎二重丸。
知人が言ったひとこと→確かに"あの顎なら腹筋も割れる"(おいおい 笑)
で、本編に出てくる、まさかの巨人の星"思いこんだらタイヤ引き回し特訓"シーンには「おぉぉ」と、これは「あんな鋼鉄の男には負けられまへん(関西弁)」というバットマンの意地を見せた良いシーンです。そういえばマッスル・アンド・フィットネス誌が「主役のふたりのスターが取り組んだ体づくりのプログラムを公開」という特集を組んでたぐらいだから(エンドクレジットにジムトレーナー名も出てた)
レックス・ルーサー(ジェシー・アイゼンバーグ)の部屋に飾られた"絵画は逆さま"
「父親が気にいっていた、この絵画は逆さまなんだ」
天と地。
救世主と悪魔。光と影。
そのことは冒頭とラスト。
父と母の葬儀の日に走り出し、穴に落ちる少年ブルース・ウェイン。そこには無数のこうもりが。
死せるスーパーマン/クラークケントの棺のシーンにも効いてくる。
(ロイス・レインが棺の上に撒いた砂が少し浮くところでエンドクレジット)
"地より蘇りしもの"
「鍵を握るのはロイス・レイン」
夢のなかでメッセージ(幻視/ゴーグルをつけたナイトメア版バットマンが猫耳に見える)を見るブルース・ウェイン/バットマン。
これは文字通り、クリプトナイトの槍の件(くだり)でのラストシーンもそうだけれども続く次回作への"ふり"でもあるようにも考えられる台詞。
クリプトナイトで作った槍で止めを刺そうとする瞬間、クラーク・ケント/スーパーマンの台詞。
「マーサを…」
手が止まるバットマン
(やや、激高気味に)
「なぜ、その名前を知っている」
(ここで気がつくぐらい、すっかり忘れていたけれどブルース・ウェインの母親もマーサだった。しかも冒頭部分で父親がつぶやいているのに)
まさに、父権の世紀ではなく母系たる地球だったという返し。
(画面や物語世界はダークにかつての明るい赤と青やらカラフルなコミック世界ではなくなっているのに、その実、嫌な気がしないのはそういうことかも、と、思ったり。"強いアメリカ"の幻想は父権社会の最たるものだと思えるし)
まあ、なんにしてもワンダーウーマンである。
(レベッカ・ファーガソン、シャーリーズ・セロン、デイジー・リドリーと昨年以来のカッコイイヒロインの系譜はまだまだ続いていて、本作はガル・ガドット)
ミステリアスなブルース・ウェインとのからみ部分は、もう少し膨らませても良かった気もするけれど、そうすると軸がぶれるので丁度よいあんばいかも。
ガル・ガドット。元々美人だけれどもワンダーウーマンにあたってのメイク(特に眉)など、素晴らしい面構えでよいなー(小林信彦さんの言葉通り"映画は女優で")
そして最も笑ったシーン。
戦いに加わることとなって現れたワンダーウーマン。
ブルースウェイン/バットマンがすかさずクラーク・ケント/スーパーマンに。
「連れか?」
「君の連れでは?」
ワンダーウーマンが写るたびにタイミングよく流れるテーマ曲 "Is She With You"(サントラ>Hans Zimmer & Junkie XL)が本作、スコア中1番好きな曲。

Memo2
Main Title Design > Method Studios
ワーナーロゴに一枚、枯れ葉がひらひらと舞い落ちる。
続いて、また一枚。
そして前述、ブルース・ウェイン/バットマンの過去、父と母の死、葬儀の回想的シーンへと連なっていく
End Title > SCARLET LETTERS

映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』
オフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/batmanvssuperman/


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2016-03-17

『フランス組曲(Suite Francaise)』ソウル・ディブ監督、ミシェル・ウィリアムズ、マティアス・スーナールツ、クリスティン・スコット・トーマス、他

注・内容に触れています。
フランス組曲
Suite Francaise

原作 : イレーヌ・ネミロフスキー
監督 : ソウル・ディブ
出演 : ミシェル・ウィリアムズ
マティアス・スーナールツ
クリスティン・スコット・トーマス
サム・ライリールース・ウィルソン
マーゴット・ロビー、ランベール・ウィルソン
トム・シリング

物語・1940年、ナチス・ドイツの占領下にあるフランス。田舎町で厳格な義母と生活しながら、出征した夫の帰りを待っているリュシル(ミシェル・ウィリアムズ)。彼女の前に、ナチス・ドイツのブルーノ(マティアス・スーナールツ)が現れる。占領国の男と被占領国の女、さらに人妻という立場でありながら、共に愛している音楽を通じながら心の距離を縮めていく二人。ふつふつとわき上がるブルーノへの思いに戸惑うと同時にリュシルは住んでいる田舎町しか知らず、誰かに従うように生きてきたそれまでの自分を見つめ直す。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

France

Memo1
原作未読での鑑賞。
その小説の発表経緯自体が既にドラマティック。
(本作に登場するユダヤ人母娘がモデル?)
その母親役が「ヒトラー〜最後の12日間〜」でヒトラーの秘書役を好演していたアレクサンドラ・マリア・ララ!(「コッポラの胡蝶の夢」にも出演していて印象的)
映画本編中、ナチスという言葉は出てこない。
特徴的なハーケンクロイツもほんの少し写るぐらいだ。
(町長が処刑されることとなった朝、ドイツ軍本部を俯瞰から捉えたショットとあと数カ所に)
だが占領の際の第一歩が強制的に変えられるドイツ時間であることからも、まごうことなくドイツ軍なのだ。
(この"自分たちの時間"を勝手に変えられることというのは、そこに住む者にとって本当に屈辱的なことだろうなぁ、と思う)
田舎町での陰口がドイツ軍に告げ口の手紙として届いている歪さ。
元々、この土地自体を支配していた貴族や領主などの特権階級への不満は強者が現れたときに告げ口という形で顕在化していく。
ミシェル・ウィリアムズが亡き父親の言われるがままに、それが愛なのか何なのかもわからないで結婚したリュシル役。
そこに滞在することとなったドイツ軍中尉のブルーノ。
(音楽、ピアノを愛していることがわかる)
戦地へ夫が赴いて3年。揺れるリュシルのこころ。
ブルーノから手紙を書けばよい、と言われて書いてみるもののなかなか書けない。この時の庭でのやりとりが、ふたりのはじめて交わした会話らしい会話。
義母(まー、なんとも息が詰まる窮屈な空気を醸し出しまくっている姑)であるクリスティン・スコット・トーマスがさすがの上手さ。
スコープサイズに広がる畑と直線的な道路。
(この田舎町の風景が美しい)
冒頭パリから逃げ延びていく人々を乗せた列車や、その道路を歩く列にドイツ軍からの砲撃。意外な始まり方に少し驚いた。
ラスト、その同じ畑に置かれた検問所。
ブルーノに疑いを持つドイツ兵が通行証に書き添えた「怪しいのでチェック」という文のせいで車から降ろされ、検問所のドイツ兵を撃ってしまうレジスタンスのブノワ(サム・ライリー←確か前述、アレクサンドラ・マリア・ララと実生活で結婚している)
そこに現れたブルーノ。
逃がしてくれる際のふたりの距離。
抱き合うこともなく一瞬、ブルーノの手がリュシルの身体に触れる。
すっと避けるような仕草が切ない。
乗り込んだ際に、泣いているリュシル。
全く言葉は交わさない、ふたり。
そして車を出しハンドルを握るリュシルの後部座席のガラスに見えるブルーノ。
ここが、またスコープサイズならではのショット。
(ボイスオーバーで、その後の事が語られてエンド)

Memo2
Main and End Title DesignerはMatt Curtis
エンドタイトルは、そのバックベースの映像(画像)が推敲のあとがみてとれる原作の原稿の上にクレジットが表示される美しいもの。
音楽はラエル・ジョーンズ
重要なモチーフであるピアノ曲の作曲は(またしてもまたしても)アレクサンドル・デスプラ。もう、めちゃくちゃ多忙すぎて実際デスプラ10人位いるのじゃないかと思える多作ぶり。
衣装デザインがマイケル・オコナー
リュシルのファッションが最初は小花模様でいかにも従順な感じを醸し出していたのがラスト、意を決してレジスタンスのブノワ(サム・ライリー←確か前述、アレクサンドラ・マリア・ララと実生活で結婚している)をパリへ送り届ける際の帽子、スーツ(まるで「カサブランカ」のバーグマンのような)のパキっとした変化が印象的。

映画『フランス組曲』公式サイト
http://francekumikyoku.com/

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2016-02-28

『ヘイトフル・エイト(THE HATEFUL EIGHT)』クエンティン・タランティーノ監督、サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー、他

注・内容、台詞、重要登場人物、オチなどに触れています。
ヘイトフル・エイト
THE HATEFUL EIGHT

監督・脚本 : クエンティン・タランティーノ
出演 : サミュエル・L・ジャクソン
カート・ラッセル
ジェニファー・ジェイソン・リー
ウォルトン・ゴギンズデミアン・ビチル
ティム・ロスマイケル・マドセン
ブルース・ダーンゾーイ・ベル、他

物語・雪が降りしきる中で馬を失った賞金稼ぎマーキス(サミュエル・L・ジャクソン)は、同じ稼業であるジョン(カート・ラッセル)と彼が捕らえたデイジー・ドメルグ(ジェニファー・ジェイソン・リー)を乗せた駅馬車に同乗する。途中で保安官を名乗るクリス(ウォルトン・ゴギンズ)を拾った馬車は、猛吹雪から避難するためにミニーの紳士洋品店へ。メキシコ人の店番ボブ(デミアン・ビチル)や怪しげな絞首刑執行人オズワルド(ティム・ロス)などの存在にジョンが強い警戒心を抱く中で、事件が起こる。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

H8_1

Memo1
タランティーノ監督によるタランティーノ監督自己模倣とも言えてしまうタランティーノ監督印(じるし)映画。> お馴染みの誰かが誰かを撃って、その誰かが誰かを撃ち(または撃たない)パターンや少し戻って、或いはまるまるChapterごと戻っての時間軸移行スタイルなどなど。
実際に拳銃が抜かれるのは1時間30分を過ぎてから。
それまでは例によってのタランティーノ会話劇が続く。
(本作、スクリーンサイズのおかげで会話の後ろで何やら人物が映っていたり、ちょっと気が抜けない)
念のため、予備知識無しで見たけれどオープニングタイトルクレジットでネタバレ(と、いうか何処に出るのと気になってしようがなくなる 笑)
そう!さすがにチャニング・テイタムの名前が出ては…w
そのチャニング・テイタム演ずる9人目の男の台詞(実はドメルグの兄)
・ミニー(山小屋ロッジ、ミニーの服飾店のオーナー)と会話の中で出てくる
「ウイ」
(フランス語ができるということだが…←エーッ笑)
・「ジョン・ルースといえども2、3日足止めを食らっている間に眼を閉じる時があるはずだ。その時を待つ。忍耐が必要だ」と言い残し床下へ潜り込む。←もしかして、どこかにチラッと映るのかも?(俯瞰で捉えたショットは馬小屋だけだったのでミニー服飾店内では無かったと思うので映っていないとは思うのですが)
噂に違わずジェニファー・ジェイソン・リーがスゴイ。
(ほとんどキャリーかエクソシスト・リーガンもどきの形相)
山小屋の人物たちの正体が分かり、生き残るために(予定)保安官のクリスを懐柔させようとする声のトーンの変わり方も見どころ。
ブルーポットへの毒を混入するシーン、うまくドアから入って右側(バーがある方向)だけで撮影されている。
よって目撃するドメルグやジョー・ゲージは映りこんでいない(はず)
(超横長サイズなので端っこにオズワルドは映っていたかも)
リンカーンからの手紙(マーキスがリンカーンの文通相手ということになっている)
ジョン・ルースは駅馬車に乗せた際に読ませてもらい、すっかり信じてしまう。
逆にラスト。
クリスが息も絶え絶えにマーキスに、リンカーンからの手紙を見せてくれという。
全文読みながら最後の文言
"メアリートッドが呼んでいる。床に就く時間だ"
「メアリー・トッドとはうまく作ったな」
血だらけの手で手紙を丸めて
(この文言の件をマーキスは「この最後の"メアリートッド"の部分が泣かせる」と感動していた)
この最後の最後にマーキスとクリス(「ニガー」と何回言ったことか)が共闘して終わるあたりに何とも言えない皮肉さと凄惨な現場にもかかわらず爽快感まで漂わせる締め方が本作の上手さ。

Memo2
張りキャンタイプの固定スクリーンが多数を占めているので、その中でもスコープサイズがかかるスクリーンを選んで鑑賞。それでも入り口に"上下に黒みがあります"の表記が。2.76:1の超横長Ultra Panavision 70ならでは。ここはかつての(関西だと阪急プラザ劇場の)D150とは言わないが比較的大きな湾曲をもった劇場のため、きっちりと長方形が再現されていた。
もはや日本では70ミリ上映が不可能な分、デジタル上映の劇場差が。
(「映画秘宝」に試算だと60億ぐらいあると日本でも70ミリ上映劇場が、という記事が出ていましたが…←誰か大富豪が趣味で70ミリ上映劇場建ててくれないかなぁ)
パンフレット価格が880円と"8"へのこだわりを受け継いだ?(さすがに売店に迷惑がかかるからだろうけど888円ではなかったですが)
ちなみにパンフレット、表紙、扉ロゴ、内容(エンニオ・モリコーネの音楽についての記載もあり)含め充実しています。
脚本(PDF) > 先にネット流失していたものではなく撮影用として公開されたもの > Chapter3のドメルグの歌は撮影時に急遽変更されたそうなので、この脚本は内容が違う。
http://twcguilds.com/wp-content/uploads/2015/12/H8_SCRIPT_CleanedUp_Final1.pdf
タイトルデザイナーはタランティーノ作品には欠かせないJay Johnson(Pacific Title and Art Studio) > 特にタイポグラフィ
タランティーノ監督のタイトルデザイン集
(1作目「レザボア・ドッグス」〜8作目「ヘイトフル・エイト」まで全作品)
DESIGN > Pacific Title and Art Studio、他
http://annyas.com/screenshots/directors/quentin-tarantino/

H8_2

映画『ヘイトフルエイト』 公式サイト
http://gaga.ne.jp/hateful8/


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2016-01-13

『母と暮せば』山田洋次監督、吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信、他

母と暮せば
監督 : 山田洋次
音楽 : 坂本龍一
出演 : 吉永小百合二宮和也
黒木華浅野忠信、他

物語・1948年8月9日、長崎で助産師をしている伸子(吉永小百合)のところに3年前に原爆で失ったはずの息子の浩二(二宮和也)がふらりと姿を見せる。あまりのことにぼうぜんとする母を尻目に、すでに死んでいる息子はその後もちょくちょく顔を出すようになる。当時医者を目指していた浩二には、将来を約束した恋人の町子(黒木華)がいたが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Haha

Memo
作家・井上ひさし氏が広島を舞台にした自身の戯曲「父と暮せば」と対になる作品として実現を願いながらもかなわなかった物語を山田洋次監督が映画化。
冒頭、モノクロではじまる長崎への原爆に向かう爆撃機シーン。
母に見送られ慌ただしく家を出て、それでも市電に乗り遅れそうになる浩二。
授業が始まり、学生たちが各々のインク瓶の蓋を開ける。
ふと、見上げる空に機影。
瞬間、全てが吹き飛ぶ。一瞬に。
(瓶がぐにゃっとした感じとなる)ここの描写、本当に恐い。
映画「父と暮せば」でも空を見上げて一瞬、点のようにピカっと光るシーンがあり、このあたりも対となる部分)
「浩二、浩二、どうしたの?あなたは悲しくなるといなくなるのね」
涙を流すと消えてしまう。
「だから泣かないで」
キネ旬で立川志らくさんが書かれていたとおりファンタジーというよりはホラーではないか、と…。
そのホラーの意を考えるとき、思いおこすのは『地獄の黙示録』のラスト。つぶやかれる「ホラー…ホラー」(字幕ではこれが"恐怖"と訳されていた)の感触のことを考えてしまう。
後半になるにしたがって薄暗くなっていく室内の照明、全体のトーン。
(町子が浅野忠信演じる結婚相手を連れて久々に訪ねてきた時に既に予兆が場面に充ちている)
ラスト。
師走の木枯らし吹きすさぶ荒涼たる風景。
まさに、その時が近づいていることがわかる。
浩二は会いに来たのではなく、迎えに来たということのほうが正しい。母は直ぐに爆心地の付近を探しまわったと語っているとおり被爆という意味では相当早い時期から影響が出ていたと思われる。
2015年に公開された黒沢清監督『岸辺の旅』にも浅野忠信さんが出演していて何やら、このなんともいえない此岸と彼岸の地続き感は何だろう。
二宮和也さんは安定の演技。そして黒木華さんがやはりめちゃくちゃ上手い。吉永小百合さんとの会話場面が突然、熱をおびてくるシーンがある。
題字は100%ORANGE

『母と暮せば』公式サイト
http://hahatokuraseba.jp/

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