2017-10-17

『マインドハンター(Mindhunter)』デヴィッド・フィンチャー監督、他 / ジョナサン・グロフ、ホルト・マッキャラニー、アナ・トーヴ、ハンナ・グロス、他

注・内容、ラスト、使用楽曲などに触れています。
マインドハンター
Mindhunter

原作・制作 : ジョー・ペンホール
監督 : デヴィッド・フィンチャー、他
出演 : ジョナサン・グロフ
ホルト・マッキャラニー
アナ・トーヴ
コッター・スミス
ハンナ・グロス、他

物語・1970年代後半、殺人犯の心理を研究して犯罪科学の幅を広げようとするFBI捜査官2人。研究を進めるうち、あまりにリアルな怪物に危ういほど近づいてゆく。(物語項、公式サイトより抜粋)

Mind_h

Memo1
シーズン1全話、見た。
傑作!
映画ともドラマとも違った、この味わい。
次回へ続くという引っ張り方ではないにもかかわらずやめられない。
この感触はなんだろう?しいて言えばじっくり読む小説の味わい。
エピソード毎の時間が通常ドラマより不規則なのも章立て(チャプター)の感覚。
決して1話完結ではないにも関わらずエンドクレジット(特に有名な楽曲を使っているエピソード)がクロールしている時の締めくくり感も不思議だ。
フィンチャー監督は(1,2,9,10話)の4エピソードを監督しているが、他の監督も全エピソードを通して、そのトーン&マナーにブレはない。
『特捜部Q』などの"変わり者たちだし、何の役にたつかわからない部署だから始まりは地下の窓のない部屋からスタート"する話は大好物なので、この点もまたよいなーと思ったポイント。
ウェンディ・カー博士のアナ・トーヴはキャスティング段階から「おぉっ!」ドラマ『FRINGE/フリンジ』のヒロイン役ではないですか!と期待していた女優(『フリンジ』もFBI捜査官だけれど、J・J・エイブラムスドラマということでパラレルワールドSF)
本作は研究一筋といった趣の博士役。
ホールデンの恋人デビーを演じたハンナ・グロスがよい。
フィンチャー監督は『ソーシャル・ネットワーク』ルーニー・マーラ『ゴーンガール』ロザムンド・パイクと女優を他作品とは一線を画す撮り方で魅力的に(時に発掘して)映す名手と常々思っていたけれど、本作も。
プロファイリング手法が確立されていない時代、それを構築していく段階のドラマ。
途中から"ミイラ取りがミイラになる如き"自身がシリアルキラー(特に最初から登場している殺人鬼エド・ケンパー)と転写同化していくような感じになる。
目つきもおかしい。
日常生活までプロファイリング化して人の行動の先を読み過ぎ空回り。
デビーとの仲もギクシャクしてくる。
(確かにエピソード10でデビーが言うように最初出会ったときは好奇心に満ちた姿で、これからやろうとすることを語っていたホールデンに惹かれていたのだから)
そして、ラスト。
自殺を図ったケンパーの入院している病院。
まさに恐怖をつきつけられる(それは襲われた瞬間の恐怖よりも、あることに気づいた恐怖だ)
心の闇の奥底は、まさに誰にも(当の殺人鬼にも)「わからない」のだと…。
メインタイトル前に何回かあるカンザス州の謎の男の事(それに対しての細かいフリ→ふと、目にとまる現場写真の手首のロープの結び方→船舶関係?→そのカンザス州の男が紐を結んでいるシーン)などは全て続きに?シーズン2?

Memo2
タイトルデザイン
MAIN TITLE DESIGNED BY KELLERHOUSE,INC.
END TITLES BY SCARLET LETTERS
Neil Kellerhouse >「ソーシャル・ネットワーク」「ドラゴン・タトゥーの女」「ゴーン・ガール」のキービジュアルとなる美しく洗練されたポスター類も(他に「レヴェナント」やクライテリオン版「ふたりのベロニカ」パッケージなど多数)
デヴィッド・フィンチャー監督ファンサイト
The Fincher Analyst
https://thefincheranalyst.com/
Adobe Premiere Proによる編集を行っている動画。
(初回アクセス時USA側を選択/現時点ではAdobe USAサイトのみ公開されています)
The minds behind David Fincher's Mindhunter.
https://www.adobe.com/creativecloud/video/customer-stories.html
デヴィッド・ボウイからトーキングヘッズ、ブームタウン・ラッツ、レッド・ツェッペリンまで使用されている楽曲も素晴らしい!
ソングリスト(Songs by Episode)
https://www.tunefind.com/show/mindhunter/season-1
なんとバンド名が「地球の静止する日」由来で名付けられた、クラトゥ(Klaatu)のこの曲が出てきてビックリ!(ドラマ設定年の曲)
エピソード4のラスト
行動科学課の3人が所長に呼ばれ、何か嫌ごと言われるのかと思いきや「予算がついた」「もはや私の手を離れた。監査も厳しくなるぞ」
乗り込んだエレベーターの中。
嬉しさを隠しきれないで、微妙に笑みがもれる3人の姿のバックに流れ、そしてエンドクレジットへ。
Calling Occupants Of Interplanetary Craft
https://www.youtube.com/watch?v=9URM_5R-vWk

マインドハンター | Netflix公式サイト
https://www.netflix.com/jp/title/80114855

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2017-05-19

"あなたの人生の物語"『メッセージ(Arrival)』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、エイミー・アダムス、ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカー、他

注・内容、台詞、ラストその他全般に触れています。
メッセージ
Arrival

原作 : テッド・チャン
監督 : ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演 : エイミー・アダムス
ジェレミー・レナー
フォレスト・ウィテカー、他

物語・巨大な球体型宇宙船が、突如地球に降り立つ。世界中が不安と混乱に包まれる中、言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は宇宙船に乗ってきた者たちの言語を解読するよう軍から依頼される。彼らが使う文字を懸命に読み解いていくと、彼女は時間をさかのぼるような不思議な感覚に陥る。やがて言語をめぐるさまざまな謎が解け、彼らが地球を訪れた思いも寄らない理由と、人類に向けられたメッセージが判明し…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Arrival1

Memo1
ブログ記事タイトル名は原作"あなたの人生の物語"を。
映画を観終わったときに、その原作タイトルがまた違った深度を持って問いかけてくれる。
(これより以降、思いつくままにメモを元に台詞やシーンをランダムに記載しています。エイリアン表記ではなく全てヘプタポッドとして記載)
フラッシュバックと思われていた娘、ハンナ"HANNAH"との映像。
実は"これから起こるできごと"フラッシュフォワードであることが後半にわかってくる。
"起こりうる未来が過酷なものであっても、それを受け入れる?"
ラスト
(ルイーズとイアンと小鳥が描かれた絵)
「パパとママが動物に会ったの」
撤収していく軍や関係者たち。
ルイーズのモノローグ。
「あなたの物語はこの日から始まる」
イアンの台詞。
「ずっと宇宙に憧れてきた」
でも1番驚いたことは彼らにではなく、君に出会ったことだ
「パートナーが君でよかった」
「数学者のような考え方をする」
理系と文系がタッグを組んで問題解決に挑む。
このふたりでよかったと思えるシーンの積み重ね。
性急な結果(ここで言う結果とは"彼らが地球に来た目的は何かということを知ること)を求めてくる政府。そしてウェバー大佐。
それに対して語彙がもっと必要だと解くルイーズ。
そこで、こういう話をする。
オーストラリアに初めて上陸した際、先住民族に対して「あのお腹の袋に子どもを入れて飛び跳ねている動物はなんだ」という質問に対して「カンガルー」と答えた。
でも、実際は彼らの言葉では「理解不能」という意味。
「お見事」というイアン。
「(字幕では)都市伝説よ」
(実際はうるおぼえですが→「真実ではないけれど私の伝えたいポイントをおさえている話」)
(前段として、ウェバー大佐が大学に訪ねてきた際、去り際の大佐に別の教授にあたる際にサンスクリット語で"戦争"の意味を聞いてほしいというシーンもある)
ファーストシーンとラストが繋がる円環構造についてはSFマガジンでの添野知生氏による批評(5ページにわたって紹介。他に基本、善人しか出てこないこと「ある日どこかで」のことなど鑑賞後に読むテキストとして最良)やパンフレット中のレビューでもいくつか記述されている。
(そのシーンのために始めと終わりに使用されるマックス・リヒター「On the Nature of Daylight」←End title crawlにも単独表記されるほど重要な楽曲)
殻"Shell"の中でルイーズたちとヘプタポッドの間にある"Wall"。
それはまるで見ているこちら側(観客側)のスクリーンのようでもある(本作自体がスコープサイズだし)。
スクリーンの中にスクリーンがある感じ
そこに近づいていくルイーズと観客はヘプタポッドとの遭遇を同じような気持ちで見ることとなる。
また"Shell"自体のサイズ感(ヘリコプターの俯瞰から見たものと地上から近づいていったときののものとの比率)が分からなくなるように被写界深度の浅・深を巧みに取り入れている撮影手法も素晴らしい。
"Shell"は宇宙船というよりは、まさに容器のようでもあり通路のようでもある。
ゆえにラストに去って行く姿は舟が離れていくというよりは、その場から消滅していくようだ。
ルイーズとイアンが兵士たちによる爆弾テロに巻き込まれ"Shell"から弾きだされる(事実上ヘプタポッド"アボットとコステロ"に助けられたことに)直前に受け取った膨大なロゴグラム。
「時間についての表示が多い」
「点と余白の数を計算してみた」
0.0833
「分数で表すと」
1/12
"武器を与える"その意味するところと世界の12地点に現れたことなど全てが合致して出てきた答え…。
娘ハンナとのフラッシュフォワード映像がよぎる(その前後の描き方の見事さ)。
ある語句を思い出せないでルイーズに質問するハンナ。
「取引?」
「ウィンウィン?」
「違う。もっと数学的な感じの…」
「それだったらパパに電話してみなさい」
そして。
未来の自分が現在の自分から答えをもらう。
(切迫した状態で各国お互いのデータをどう渡しあうのか…。ウェバー大佐らに説得するルイーズ。そこでポツリとイアンが…「ノンゼロサムゲーム」)
ハッとするルイーズ。
そしてハンナに。
「ノンゼロサムゲーム」
("non-zero-sum game" 日本語字幕で「非ゼロ和ゲーム」と出ていた)
原作で出てくるフェルマーの光の最小径路が省かれているのは映画としての選択だったのかはよくわかる。
それでも、それっぽい台詞がさりげなく織り込まれている。
それはルイーズの姿勢も表している。
「急がば回れよ」
初見の際に「!」と思ったチャン将軍との(フラッシュフォワード)1年半後の会話。
「あなたに会いたくて来た」
「あの時、わたしの携帯電話に電話をくれたから今こうして会えた」
「わたしは番号を知らない」
チャン将軍が携帯の番号を見せながら…
今、知りましたよ
手が無意識に震えるほどの恐怖もありながら与えられた使命(目的)のために勇敢に立ち向かう聡明にして孤独を内に秘めた言語学者ルイーズ。演じたエイミー・アダムスが本作でアカデミー賞にノミネートされなかったことは謎。
そのエイミー・アダムスの透きとおるようなブルーアイと防護服のオレンジ色が補色になっている点も美しい。

Arrival

Memo2
タイトルデザインはLouis-Martin Duval
(抱き合うふたり。待ち受ける未来を知りつつも…)
そして静かに暗転。浮かびあがるARRIVALのタイトル。
http://annyas.com/screenshots/updates/arrival-2016-denis-villeneuve/
コンセプトアート
(かなり違っているものもある)
Concept artist Meinert Hansen
Arrival: Concept Art, Part 1: The Shell
https://meinerthansen.com/2016/11/13/arrival-concept-art-part-1-the-shell/
Arrival: Concept Art, Part 2 – The Aliens
https://meinerthansen.com/2016/11/19/arrival-concept-art-part-2-the-aliens/
ポスター右下に記載されている12ヶ所の緯度・経度が確認できるサイズで閲覧できるポスターサイト。
http://www.impawards.com/2016/arrival_gallery.html
音をスペクトラムで表した図。
モンタナがその中で抜け出てピークを指している。
(後半は'TED'における8次元についてのスピーチ関連記載)
https://medium.com/colorless-green-ideas/the-arrival-a-colorless-story-of-your-life-312504e04700
一貫しての言語学者ルイーズの視点で描かれる本作。その根幹たる「使用言語によって思考は影響される」というサピア=ウォーフの仮説についての(おそらく)唯一の書籍『言語・思考・現実』(L・ベンジャミン・ウォーフ/著)
公開後に突如、売れ始めるかも?
音楽は同じヴィルヌーヴ監督の『プリズナーズ』『ボーダーライン』を手がけたヨハン・ヨハンソン(『ブレードランナー 2049』も控えている)
公式ウェブサイト
http://www.johannjohannsson.com/
既に日本以外ではBlue Rayが発売されており特典マテリアルとして1時間を超えるメイキング関連映像が収録されています。
テッドチャンへのインタビューから音響設計、ロゴグラムの製作過程など多数。
IMDbで下記タイトルで検索可。
• Xenolinguistics: Understanding Arrival
• Acoustic Signatures: The Sound Design
• Eternal Recurrence: the Score
• Nonlinear Thinking: The Editing Process
• Principles of Time, Memory and Language
こちらの語句で画像検索するとその他、いろいろと面白いものが… → "arrival mathematica code"
数式処理システム"Mathematica"について
(言語、図像解析に用いられていて画面に多々登場)
https://mathematica.stackexchange.com/questions/137156/where-is-abbott-how-to-make-logograms-from-the-film-arrival
【TVブロス】5月20日号。ヴィルヌーヴ監督への渡辺麻紀さんのインタビュー。監督自身が「えっ、そうなの?それは知らなかった!」と反応した『スター・トレック ファーストコンタクト』でも人類が初めて異星人と遭遇するのがモンタナだったという話をはじめ、妙にツボにはまる話が掲載されています。(「『デューン』はまだやるか決まってないよ。」なども)
メイキング映像(約15分)
Go Behind the Scenes of Arrival
https://www.youtube.com/watch?v=QOMIL_6bkiU
"WIRED"掲載のロゴグラムのメイキング記事
"映画『メッセージ』制作陣はいかにして「エイリアンの文字」をデザインしたか?"
http://wired.jp/2017/05/20/arrival-alien-alphabet/

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Memo3
パンフレットデザインは大島依提亜‏さん。
"Shell"の型抜きが表1、表4に施されている。
(中にはモンタナと帯広の写真。合計全12ヶ所の"Shell"出現地の写真も掲載)
A5サイズ/本文52ページ。
プロダクションノートが12ブロック。
レビューが12本。
(原作、SF映画、コミュニケーション、音楽のことなど本編に関わる要素が網羅された内容)
ロゴグラムの素敵な仕掛けがセンターに。
映画史に残るSF作品に相応しい手元に置いておきたいパンフレット。

映画『メッセージ』 | オフィシャルサイト
http://www.message-movie.jp/


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2017-04-08

"Unchained Melody"『未来よ こんにちは(Things to Come /L'avenir)』ミア・ハンセン=ラブ監督、イザベル・ユペール主演

未来よ こんにちは
Things to Come /L'avenir

監督 : ミア・ハンセン=ラブ
出演 : イザベル・ユペール
アンドレ・マルコン
ロマン・コリンカ
エディット・スコブ
サラ・ル・ピカール、他

物語・教師の夫と巣立っていった2人の子供を持ち、自身も高校で哲学を教えているナタリー(イザベル・ユペール)。高齢の母親を世話しながら、哲学書の執筆に忙しくしている状況で、夫が別に付き合っている女性がいたことがわかる。夫に彼女と生 活を共にすると告げられてあぜんとしていると、今度は母親が亡くなってしまい、さらには付き合いの長かった出版社からも契約を打ち切られる。バカンスシー ズン直前にひとりぼっちになってしまったナタリーは…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

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Memo1
イザベル・ユペール演じるナタリーがスタスタスタと前を向いて歩いて行く姿が、もうとにかくカッコイイ!この姿だけで原題のL'avenirを体現している。
そしてフィルム撮影による光のゆらめきのなんと美しいこと!
室内から見える外の風景。そして樹々のざわめき。
(大好きな)『あの夏の子供たち』の時にも感じたけれど、風がフィルムに定着されている。
いろいろなシーン
・ブルゴーニュの元夫の実家に荷物を取りにいったナタリー。
携帯の電波が届かず、外へ出て海岸をペタペタと裸足で歩く姿(痛っイタタタって感じが実にもう…)
・夫か、もしくは、その彼女によるものと思われる花瓶の花を「何、これ(怒)」みたいな感じでIKEA(?)のバッグにばさばさと投げ入れ、それをそのままゴミ箱に捨てる(勢いあまって指を怪我する)→思い直したようにバッグだけゴミ箱から取り出す。何が起ころうとも動じないようようにみえたナタリーが一瞬みせる八つ当たりシーンだが、すぐに冷静になる場面)
・ナタリーがひとりで観に行く映画が、ふとしたことで夫婦を演じるふたりの話を描いたキアロスタミ監督『トスカーナの贋作』(変な男につきまとわれて最後まで観られない…と、いうことはラストの"鐘の音が鳴るシーン"は見ていない?)
ドキッとする台詞
・母親の養護施設への入所シーン。
「いやな匂い」
「死の匂いがする」
(あまりにも救急隊や周囲へ迷惑がかかりすぎることから、仕方なく施設に入れてしまったナタリーがショック気味につぶやいた台詞)
・教師としての自分の考え。
「自分の頭で考える若者をつくること」
印象的な選曲
(それは場面を伴って)
・母親の葬儀のシーン
César Franck 
前奏曲、フーガと変奏曲 Prélude, Fugue et Variation
・子供たちからは"お気に入りの"とひやかされ、ナタリーは否定しているけれど、ほのかに"いいな"と思っている教え子ファビアンが暮らすアルプス。
迎えに来てくれた車の中で流れる
「いい曲ね」
「この車、これしか、かからなくて覚えてしまった」
Woody Guthrie   
My Daddy (Files A Ship In The Sky)
・ラスト。
クリスマスに集まった娘と孫、そして息子。
孫を抱き抱えているナタリーとダイニングルームを写しつつ、カメラがゆっくりと引いていく。柔らかな暖色の灯り。
(解き放たれた自由、ピッタリの締めくくり)
Fleetwoods
Unchained Melody
そのままエンドクレジットへ。
・そして予告編などでも使われていたシューベルトの歌曲
Dietrich Fischer-Dieskau 歌唱による
Franz Peter Schubert 
水の上で歌う Auf dem Wasser zu singen
https://www.youtube.com/watch?v=m-jwCVMLQj8

Memo2
『ふらんす 2017年4月号』(白水社) に対訳シナリオ掲載。
日仏対訳のシナリオ抜粋とともに紹介する、中条志穂さんによる『ふらんす』名物コーナー。目次をよく見たら"寝るまえ5分のパスカル『パンセ』入門"という連載も。
http://www.hakusuisha.co.jp/book/?book_no=285094
アリカム、ライカレンズ、35mmフィルムによる撮影。

Ttc2

Ttc

『未来よ こんにちは』公式サイト
http://crest-inter.co.jp/mirai/

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2017-04-01

"Hello Stranger"『ムーンライト(MOONLIGHT)』バリー・ジェンキンズ監督

注・内容、台詞に触れています。
ムーンライト
MOONLIGHT

監督・脚本 : バリー・ジェンキンズ
出演 :  トレヴァンテ・ローズ
アッシュトン・サンダース
アレックス・R・ヒバート
マハーシャラ・アリ
ナオミ・ハリス
アンドレ・ホランド

物語・マイアミの貧困地域で、麻薬を常習している母親ポーラ(ナオミ・ハリス)と暮らす少年シャロン(アレックス・R・ヒバート)。学校ではチビと呼ばれていじめられ、母親からは育児放棄されている彼は、何かと面倒を見てくれる麻薬ディーラーのホアン(マハーシャラ・アリ)とその妻、唯一の友人のケビンだけが心の支えだった。そんな中、シャロンは同性のケビンを好きになる。そのことを誰にも言わなかったが…。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Moonlight

※Memo1
ドキュメンタリーにならないよう、あえてスコープサイズで撮影し、すごく繊細に室内ライティング(蛍光灯の元での映像は特にドキュメンタリー色が出てしまうと思うのでカラーグレードでの調整込みで)に気を使ったガラス細工のような作品。
LGBTQ、いじめ、ドラッグ、人種などが表立って語られるわけではなく(それはレイヤーとして織りこんで)ひとりの少年の内面を通して描いていく美しさを秘めたドラマである。
幼少期( i.Little )、少年期( ii.Chiron )、青年期( iii.Black )のそれぞれ演じるのは3人の別々の俳優。
(監督が決め手としたのは"同じ雰囲気を感じさせる目")
1章、2章はかなり近い見た目だが、3章は場面が変わるなり「誰!?」と思わせるようなマッチョで金歯で、いかつい車に乗った姿で現れるシャロン(この見た目は変わっていても本質は変わらないことを体現するかのような構成とキャステイングは本当に上手い。そして、その本質の変わらなさがはっきりわかる、酷い仕打ちをしてきて「許して」という母親と交わす言葉とまなざし、態度にあらわれる)
アカデミー賞助演男優賞を受賞したマハーシャラ・アリ演じる麻薬ディーラー、ホアン。
シャロンにとって、父親代わりであり、メンターであり、手を差しのべる人でもある。冒頭、チラッと見た少年たちの走っていく姿。多くは語っていないが自身もそうだったのだろう、すぐにいじめられていると察知したのかシャロンが逃げ込んだ廃屋をみつけて、中へ入っていく。
そこで無理に喋らせないスタンスもよいし、まずは「何か、食うか?」の声のかけ方もひととなりが出ている。
(2017年3月30日放送『カンブリア宮殿』で「こども食堂」の経営者が言っていたが「子どもは自分の家のことをすぐには喋らないし、親のことを悪く言わない」ということがわかったうえでの対処って絶対あると思う。ホアンの台詞でそのことを思いだした。今年公開された荻上直子監督『彼らが本気で編むときは、』での主人公リンコが恋人の姪である母子家庭の子どもトモへも同じようなスタンスで接する姿が描かれていた)
海でシャロンに泳ぎを教えるシーン。
ホアンの台詞
「月明かりで、お前はブルーに輝く」
元となった戯曲のタイトル "In Moonlight Black Boys Look Blue"
ケビンとシャロンとの夜の海岸。
海は真っ暗で何も見えない。
(砂浜と波打ち際の境界線も見えず、画面でいうと上部だけが暗闇)
そこには波の音だけが聞こえる。
何回か繰り返される場面。
ラストシークエンス。
ケビンの営むダイナーのシーン
「シェフのおすすめ」にひとこと。
「いつからキューバ人になったんだ」
そして、「これを聴いて思い出したんだ」とジュークボックスでケビンがかけるバーバラ・ルイス(Barbara Lewis)のHello Stranger(1963)の歌詞が全てを語っている。
どんなに時が経とうとも、それがちょっと苦くつらい傷みをともなっていようとも、ふたりにとっては忘れえぬ思いでなのだ。
あの夜の海岸のできごとは。

※Memo2
美しいカラーグレード!
1章はブルー、2章は黄色み、3章はウォームトーン、そして被写界深度をあげてのクリアライトな風合い。
カラリストはアレックス・ビッケル
Color Collective
http://colorcollective.com/
‘Moonlight’ Glow:
Creating the Bold Color and Contrast of Barry Jenkins’ Emotional Landscape
http://www.indiewire.com/2016/10/moonlight-cinematography-color-barry-jenkins-james-laxton-alex-bickel-1201740402/
『ムーンライト』とウォン・カーウァイ作品を比較検証した動画
"Moonlight and Wong Kar-wai"
(TV Bros.16~17P、ファントムフィルム代表へのインタビューをまじえての記事より)
https://www.youtube.com/watch?v=66cIeb_nNO4
タイトルデザイン
使用フォント > Trade Gothic
Main-on-end titles、チャプタータイトルカード 画像
http://annyas.com/screenshots/updates/moonlight-2016-barry-jenkins/

映画『ムーンライト』公式サイト
http://moonlight-movie.jp/

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2017-03-12

『モアナと伝説の海(Moana)』ロン・クレメンツ、ジョン・マスカー監督、(Voice Cast) アウリイ・クラヴァーリョ、ドウェイン・ジョンソン、他

モアナと伝説の海
Moana

監督 : ロン・クレメンツ
ジョン・マスカー
Voice Cast : アウリイ・クラヴァーリョ
ドウェイン・ジョンソン
レイチェル・ハウス
テムエラ・モリソン
ニコール・シャージンガー
ジェマイン・クレメント
アラン・テュディック、他

Moana

Memo1
映画は見てみるまでは判らないもので(それこそ『フォレスト・ガンプ』に出てきたセリフのようだ)全く予想していたものと違った作品が眼前に繰り広げられての大拍手!
(その辺、日本版ポスターや予告編によるものだとは思うけれど、初日の観客層はおそらく女性客が7〜8割だったのでは?とパッと見の感じ)
それにしても、すごく違っていて、何この、めちゃくちゃな面白さ!
近年のディズニー作品がプリンス要らずのプリンセス独立ストーリーの趣き(昨年の『ズートピア』はポランスキー「チャイナタウン」まで匂わせつつのバディムービーだったし)が強くなっていく方向で本作もその流れ。
さらに今回は(も)ロマンス要素は、ほぼゼロ。
(なんといっても"マウイ"は半神ですし…←タトゥーが本心をビジュアルで見せ"こころの声"などというワンテンポ遅くなる表現ではないというところもアイデア)
モアナやマウイのキャラクターデザインがポスターやチラシなどの印象としてはあまりよい印象ではなかったのが、途中から俄然魅力的に。
まさに命を吹き込むアニメーション力!
先に試写で見た人がつぶやいていた"海のマッドマックスFR"(+スターウォーズ+ウォーターワールド)
ホントだ!確かに。
ココナッツ海賊"カカモラ"
(ドンドコドンドコシーンのディテール、じっくり見たい。きっといろいろ小ネタな動きをやっているに違いない)
と、なるとあいつはイモータンジョー?笑
(倒され方というか、ほとんどオウンゴール)
そして監督がインタビューで該当シーンについてジョージ・ミラー監督に言及してた!
スクリーン張りキャン、スコープサイズタイプ推奨(←勝手にそう名付けてますが、ビスタ・タイプ張りキャンだと上下黒みが出る場合が)。
これは大スクリーン案件作品!
冒頭、ちびっ子モアナがウミガメを助けて海に返してあげるシーン。
(↑葉っぱで日陰を作ってあげて、もう、ここだけでグッときましたが)
それに続く"海に選ばれたシーン"の水の表現の美しさ!
(こ、これは「十戒」や〜「アビス」や〜、とおぉぉぉっ!となった。ラストはまさに「十戒」そのもの)
モアナのペットであり友だちでもある子ブタの"プア"や、すっとぼけまくりの何をしでかすかわからないニワトリの"ヘイヘイ"らは今までのドラマセオリーだと、かなり重要な役回りになるところ、割りと小絡み(プアにいたっては海を怖がり、こころを返しに行く旅には参加せず)。
さらに(よくあるパターンである定石的ドラマツルギー)助けたウミガメの子が恩返しとばかりに登場することもないというあたりにも、今までとは違った次なる"ある種の流れの始まり"を感じてしまったりもするぐらい本作のストーリ展開はイイ!!
(字幕版に続いて日本語版も予備知識無しで見たら)タラおばあちゃんの声が夏木マリさんって…湯婆婆やん 笑
(そのタラおばあちゃんが、まさにメンターでありヨーダのようでもある)
モアナの台詞
(幾度となく繰り返される口上)
I am Moana of Motunui.
You will board my boat.
Sail across the sea.
And restore the heart of Te Fiti.


Memo2
Making of Moana
(Cast ADR / Animation B-roll / Scores)
島の粘土模型をいくつも造って、それをベースに作成していくところは驚き!(アートブックを見たらカカモラの島型戦艦の模型も!)
https://www.youtube.com/watch?v=rB5MpMDMpas

End Title Design > Brian Estrada
ロール前のタイトルカード部分。
シンプルに1点ずつ描かれた、力強さがあって本作のもつエナジーとピッタリで素晴らしい。
エンドタイトル後におまけあり。
(ロン・クレメンツとジョン・マスカーは『リトル・マーメイド』の監督ということで、このオマケにはなるほど~。そしてグラムロック・カニ"タマトア"(←笑)の日本語版キャストはROLLY←またしてもなるほどー)
そのエンドロールの一番最後に"あのキャラ"が登場(他にも隠れミッキーとか、あるらしいけれど画面では未確認)

モアナと伝説の海
http://www.disney.co.jp/movie/moana.html

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2017-02-11

"I want you to play the piano for me"『マリアンヌ(Allied)』ロバート・ゼメキス監督、ブラッド・ピット、マリオン・コティヤール、他

注・内容、台詞、ラストに触れています。
マリアンヌ
Allied

監督 : ロバート・ゼメキス
出演 : ブラッド・ピット
マリオン・コティヤール
リジー・キャプラン
マシュー・グッド
ジャレッド・ハリス、他

A1

Memo1
実写に戻り、全映画ジャンル網羅中のゼメキス監督。
(既にジャンルとしてはコメディ、SF、アドベンチャー、ドラマ、アニメ合成、シリアス、実話ものなどなど…)
ほどよいズーム、パン、カット割り…このゆとりある演出!
それにプラスして過去、未来の別時間(ある時はロックンロール誕生の瞬間、ある時は西部開拓時代、ある時はビートルズのいる時代、そして今回は第二次大戦中のカサブランカとロンドン)のその場所に連れていってくれるケレン味(砂漠のラブシーン、空襲のさなかの出産シーン)の溶けこみ具合(あ〜、映画見たァとニマニマしてしまいます)。
まさに二枚看板のスター映画。
ブラッド・ピットそしてマリオン・コティヤール
カサブランカパートでのふたり。
『カサブランカ』の変奏曲としてハンフリー・ボガードとイングリッド・バーグマンを思い起こしてしまう。
ラストが空軍の飛行場で、しかも上司である大佐が「彼が自らの手で射殺した。これは命令だ」と自殺であることを隠しマックスをかばう。
(一瞬『カサブランカ』のようにふたりを逃がすのか???とも思ったが、さすがにそこまでは)
さらに『カサブランカ』想起の…
どうしても妻がスパイだということを信じられないマックス。
無実であることの証明として弾けるはずだというピアノ。
(その曲がこちらも『カサブランカ』繋がりの"La Marseillaise")
その時の台詞
I want you to play the piano for me.
ロンドンパートの空襲シーン。
コニー・ウィリス『ブラック・アウト/オールクリア』でタイムトラベルした航時史学生が見た光景はこんな感じだったのでは?と思ったビジュアル。
カサブランカパートでのマリオン・コティヤールの視線、動作から醸しだされる誘惑度合い、そしてこんな台詞「カサブランカでは夫はセックスの後は、屋上で寝るのよ」
完全なハッピーエンドとは言えないが、少しほっとする余韻を残すのは終戦後、大きくなった娘のアンとマックスの夢であった(それはマリアンヌにも聞かせていた)メディシンハットの牧場で過ごすふたりの後ろ姿と窓辺に置かれたマリアンヌとの結婚式での写真のショットで締めくくられているからかもしれない。

Memo2
衣装デザインはジョアンナ・ジョンストン(Joanna Johnston)
今年の第89回アカデミー賞・衣装デザイン賞にノミネート。
マリオン・コティヤールの着ているリキッドサテンのドレスなど、ジョアンナ・ジョンストンによる衣装はもうひとつの主役ともよべる素晴らしさ!
1980年代からスピルバーグ、ゼメキス両監督作品を手がけてきてるけれど、そろそろ受賞しても…
こちらはコスチュームデザイン特別映像
(スケッチなども写っています。字幕付き)
https://www.youtube.com/watch?v=RNdWvW_VJjo
ゼメキス監督作品のタイトルデザインというと『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『フォレス・ガンプ/一期一会』『コンタクト』など多くを手がけているNINA SAXONが思い浮かぶが本作はSCARLET LETTERSによるシンプルなもの。
本ブログ内、ゼメキス監督関連過去記事
『抱きしめたい( I Wanna Hold Your Hand)』
http://color-of-cinema.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-6203.html
『フライト(Flight)』
http://color-of-cinema.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-124b.html
『ザ・ウォーク(THE WALK)』
http://color-of-cinema.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-a9b2.html

A2

『マリアンヌ』公式サイト
http://marianne-movie.jp/


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タイトルデザイン_48 Shine Studio『マグニフィセント・セブン(The Magnificent Seven)』アントワーン・フークア監督、デンゼル・ワシントン、クリス・プラット、イーサン・ホーク、イ・ビョンホン、ピーター・サースガード、他

注・内容に触れています。
マグニフィセント・セブン
The Magnificent Seven

監督 : アントワーン・フークア
出演 : サム・チザム:デンゼル・ワシントン
ジョシュ・ファラデー:クリス・プラット
グッドナイト・ロビショー:イーサン・ホーク
ビリー・ロックス:イ・ビョンホン
ジャック・ホーン:ヴィンセント・ドノフリオ
バスケス:マヌエル・ガルシア=ルルフォ
レッドハーベスト:マーティン・センズメアー
エマ・クレン:ヘイリー・ベネット
バーソロミュー・ボーグ:ピーター・サースガード、他

Seven

Memo
"原案"の"翻案"の"新案"
様々な人種によるメンバー構成は意図的なものなどと言われていたが、監督インタビューなどを読むとたまたま"組みたかった役者"を集めたらバラバラになっただけと語っていて結果としてキャラクター分けを生みやすいキャスティングになったようだ。
「七人の侍」でのラスト、有名な台詞。
「今度もまた負け戦だったな…」
「えっ!?」
「勝ったのはあの百姓たちだ。わしたちではない」
(↑「荒野の七人」でも出てくる)
その締めの言葉は本作では無い。
しかし、それもさもありなん。
そもそもがデンゼル・ワシントン演じるサム・チザムは賞金稼ぎであること。
そして、かつてボーグ一味に家族を殺されたという復讐という理由付けもあるからだ。
あと、戦う野武士たちの人数が50人程度だったことと比較して本作は数百人というケタ違いの(実際、軍隊と呼んでいた)人数ということも変更された大きな要因だったのでは?
詩情あふれるシーンとガンファイトの対比が生む美しさ。
それこそが西部劇・ウェスタンの魅力。
その見たかったものを「どうぞーーーー!!!」と提示してくれたのが本作。
関西弁で"いいもん""わるもん"が判然とした、まさに昔「日曜洋画劇場」でよーくかかっていた西部劇のスタイル!
もしかして、8人目じゃないの?と思えるほどの活躍をする紅一点ヘンリー・ベネット。(『ガール・オン・ザ・トレイン』で車窓から見ていた"理想の夫婦"の妻役を演じていた同じ女優だと気づかなかった!まさにメイクアップならぬメイクダウン←造語です)
ラスト、去りゆくデンゼルら三人の姿にかぶさるボイスオーバー
"they were MAGNIFICENT"に続いて、あのエルマー・バーンスタインのテーマ曲(前半すぐに、やや似せて作られた新スコアを使いながら最後にドーンという泣かせる"決め方")に乗せて出てくるエンドタイトル。
タイトルデザインはShine Studio
エンドタイトル部分動画あり!
http://shinestudio.com/projects/the-magnificent-seven/
『駅馬車』(ジョン・フォード監督多数)から『ヘイトフル・エイト』まで。
西部劇・ウェスタンのタイトルデザイン集
http://annyas.com/screenshots/westerns/
(そもそも西部劇といえば、この書体というパターンはいつから?と思ってチェックしてみると最初期からという結論。最近はシンプルな方向にいっていたけれど、やはり王道路線がピッタリ)

『マグニフィセント・セブン』 | オフィシャルサイト
http://www.magnificent7.jp/

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2017-02-04

『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち(Miss Peregrine's Home for Peculiar Children)』ティム・バートン監督、エヴァ・グリーン、エイサ・バターフィールド、エラ・パーネル、テレンス・スタンプ、ジュディ・デンチ、サミュエル・L・ジャクソン、他

注・内容、台詞、ラストに触れています。
ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち
Miss Peregrine's Home for Peculiar Children

監督 : ティム・バートン
原作 : ランサム・リグズ
出演 : エヴァ・グリーン
エイサ・バターフィールド
エラ・パーネル
ローレン・マクロスティ
フィンレー・マクミラン
サミュエル・L・ジャクソン
テレンス・スタンプ
ジュディ・デンチ、他

Mpp

Memo1
ティム・バートン監督、久々の"かいしんのいちげき!!!"
(大好きな)『ビッグ・フィッシュ』の趣きがあり随所に過去作を連想させられるシーンが散りばめられていてニマニマしながら最後まで見た。
確かに(少し前から言われていたとおり)ティム・バートン版『X-MEN』+『うる星やつらビューティフル・ドリーマー』(←同じ日を繰り返すループ仕様だけなのでちょっと違うか)でもあるけれど、やはりストップモーションを使ったイーノックの部屋で見せてもらった小型モンスターオモチャ人形の戦い(←こちら本物のアナログストップモーション)や(監督もインタビューで答えていた)ハリーハウゼン『アルゴ探検隊の大冒険』オマージュ、スケルトン・アーミーとホローガスト(字幕ではホロー表記)のブラックプールでの大乱闘シーンが最高!!(←雪がうっすら積もっている場所というのも良い←ちなみにエキストラとして監督自身も出演している)
キャステイングも面白い。
ティム・バートン監督の新たなるミューズ、ミス・ペレグリンを演じたエヴァ・グリーン、この人ならあり得ると思ってしまうジェイクのおじいちゃん役テレンス・スタンプ、まさかのジュディ・デンチ、そして"へらず口をたたきまくる悪役"をやらせたらピカイチのバロン役サミュエル・L・ジャクソン
ジェイク役、エイサ・バターフィールドも如何にもバートン好み。
そして(同じくおそらくバートン好み)エマを演じたエラ・パーネルも注目(『わたしを離さないで』ルース『マレフィセント』『ターザン』ジェーンと共に子供の頃や少女期を演じていた)
そして"奇妙なこどもたち"のキャラ分け。
ラストのチームワークをいかした総力戦の描き方に見事に繋がっている。
(双子の能力がバロンやホローとのラストバトルまでわからなかったけれど、ある意味"最強")
素敵なエンディング
バロンたちを倒し、祖父エイブも助かり、1943年9月3日の円環が閉じてしまってエマにさよならを言い、現代に戻ったジェイク。
すぐに祖父に会いに自転車を走らせるジェイク。
玄関前で抱き合う二人。
そのジェイクに祖父エイブが。
「誕生日プレゼントだ」
「まだ早いよ」
開いた本の間から世界中の紙幣が(一番上の紙幣が福沢諭吉!)
「エマのところへ行け」
「行き方はわかるはずだ」
(自分の居場所に戻って行くジェイク)

Memo2
ロケに使われたベルギーにあるお城(Torenhof Castle)、その他ロケに関しての紹介記事(←ここのWEB中「どこで撮影されたの?」はロケーション紹介サイトとしてもすごく楽しい!『ラ・ラ・ランド』『グランド・ブダペスト・ホテル』『インフェルノ』等々…)
http://www.atlasofwonders.com/2016/09/filming-locations-miss-peregrines-home.html
タイトルデザインは『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』など、最近、エンドタイトルにこの名前を見ない月はないというMatt Curtis
制作スタジオ > Fugitive
こちらはプロジェクトページにつき他の作品も掲載されています。
(オープニングタイトル部分動画有り)
http://www.fugitivestudios.co.uk/#projects
衣装デザインは『シザー・ハンズ』以来、ずっとティム・バートン作品を手がけているコリーン・アトウッド(Colleen Atwood)
※アカデミー賞・衣装デザイン賞を3回受賞
こちらは映画館(ArcLight cinema)での衣装展示(オリーヴ、エマ)を紹介しているブログ記事(オリーヴのイメージは、ちょっと『シザー・ハンズ』のウィノナ・ライダー想起←庭の植木などオマージュ部分もあるので、まさに!そしてエマの鉛の靴も展示)
Miss Peregrine's Home for Peculiar Children movie costumes on display...
http://hollywoodmoviecostumesandprops.blogspot.jp/2016/09/miss-peregrines-home-for-peculiar.html

Mpp2

『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』オフィシャルサイト
http://www.foxmovies-jp.com/staypeculiar/


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2016-06-17

『マネーモンスター(Money Monster)』ジョディ・フォスター監督、ジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツ、ジャック・オコンネル、他

注・内容、台詞に触れています。
マネーモンスター
Money Monster

監督 : ジョディ・フォスター
出演 : ジョージ・クルーニー
ジュリア・ロバーツ
ジャック・オコンネル
ドミニク・ウェスト
カトリーナ・バルフ、他


物語・リー・ゲイツ(ジョージ・クルーニー)が司会を務め、その巧みな話術で株価予想や視聴者への助言を行う高視聴率 財テク番組「マネーモンスター」。番組ディレクターのパティ(ジュリア・ロバーツ)の指示を聞かず、アドリブ全開でリーが生放送に臨む中、拳銃を手にした男カイル(ジャック・オコンネル)がスタジオに乱入してくる。彼は番組の株式情報によって財産を全て失くしたと憤慨し、リーを人質に番組をジャック。さらに放送中に自分を陥れた株取引のからくりを白日のもとにさらすようパティに迫るが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Mm

※Memo
ジョディ・フォスター、4作品目にして初の娯楽作品。
(盟友とのキャスティングも功を奏して)
上映時間も100分以内にまとめての手堅い演出。
そして"ジョージ・クルーニーはこう使え"のお手本のようなキャラクター。
(昔、テレビドラマの生放送回でやったようなネタ?)
知人とこんな会話をした(関西弁)
「昔『ソードフィッシュ』の中でトラボルタが『続・激突!/カージャック』はバッドエンディングとか講釈たれていたように人質映画は終わりかたが難しいけど、これはよかった」
「ちょっとシドニー・ルメットやね」
「『狼たちの午後』と『ネットワーク』のミックスモダン」
「ジョン・カザールは?」
「テレビ局から出て公会堂に向かう時に"銃は上に向けてと"か台詞があったら完璧や」
「この70年代中盤あたり映画テイストは、ジョディ・フォスターが自身が出てた"スコセッシおじさま"や"アラン・パーカーおじさま"との現場雰囲気を知ってるからこそのような気もするね」
「1970年中盤はまさに、このテイストの映画が花ざかりやったからね」
(さらに『サブウェイ・パニック』『オデッサファイル』『ゴールド』etc…70年代中盤映画話が延々と続く…以下略)
要所要所で活躍するのはほとんど女性。
中継を見ながらパブで昼間っから飲んでいる金融マン(と、思しき人たち)は、ほとんど男性。
瞬間、笑いがおきたシーン
カイルのガールフレンドが説得に来たのかと思いきや「あんた、母親から相続したお金まで使ってしまってどういうつもり!」と激しく罵られるは、三くだり半つきつけられるはでカイルかたなし(演じたジャック・オコンネル、上手い!)。
それを見ていたギャラリーの…。
「はぁぁ…」
溜息とも"気の毒に…"といった同情混じりともとれる声。
他にも走りまわされる(しかもイヤーモニターを渡そうとしただけなのに勘違いで撃たれてしまう)プロデューサーとか全体にトホホな男性陣。
極めつけは株価暴落の首謀者も、そのやり口(アルゴリズムのバグとか言いながら意外と単純な手法)全てを中継され、おまけに情けない姿がYouTubeにアップされて何百万人に見られることに 笑
ラストの台詞。
事件解決後。
病院の休憩室でイスに並んで座るゲイツとパティ。
(ここまでスタジオと調整室とのやりとりだけでツーショットになることがなかったジョージ・クルーニーとジュリア・ロバーツだけに一緒に映るシーンがここで、いきてくる)
「夕食は行けなくなったな」
デリバリーで買ってきたものを開ける。
「来週の番組、どうする?」
背中越しのふたりのショットがラストカット。
(他局から引き抜きがかかっていたパティと中継されていることを知らずにエレベーター内で、ちょっと本心のぞかせたゲイツの少しわかりあえた、ほんのりとした、いいエンディング)
タイトルデザインはVFX, Motion Graphicsも手がけた The Molecule
(他のMotion Graphicsを見ると、なるほど、ここが制作したのは解るといったものが多々)
http://www.themolecule.com/

映画『マネーモンスター』 オフィシャルサイト
http://www.moneymonster.jp/

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2016-04-14

"ビスケット!ビスケット!"『ミラクル・ニール!(Absolutely Anything)』テリー・ジョーンズ監督、サイモン・ペッグ、ケイト・ベッキンセール、ロビン・ウィリアムズ、他

注・内容、台詞に触れています。
ミラクル・ニール!
Absolutely Anything

監督 : テリー・ジョーンズ
出演 : サイモン・ペッグ
ケイト・ベッキンセール
ロビン・ウィリアムズ(VC)
ロブ・リグル、他

物語・はるか銀河系の彼方ではエイリアンたちが地球を滅ぼそうと画策していたが、一度だけ地球存続のチャンスを与えなくてはならないというルールが存在してい た。そこで彼らはロンドンの教師ニール(サイモン・ペッグ)を適当に選出し、全知全能の力を授ける。何も知らぬまま地球の命運を託されたニールだったが、 そのパワーで愛犬デニスと会話をするなど、くだらないことに能力を使ってばかりで…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Aa

Memo1
「もしも、どんなことでも可能な"全能の力"を手に入れたら」と、いった過去既に何作もあったような気がする設定をサイモンペッグが演じたら…そして、その作品をあのモンティ・パイソン、テリージョーンズ監督が撮ったなら。
初め宇宙人が"銀河連盟"云々で集まって評議会シーン、あ、これって手塚治虫先生の『W3』?(←地球を滅ぼすか滅ぼさないかの判断をする調査のために送り込まれたのがW3)
と、思いきや、まぁ見事なタカ派丸出しな辺りがおかしい。
地球人の言葉に翻訳して会議するのが決まり。
(その言語が地球の何処のエリアかが終盤「オーストラリア」と判明して、腐すあたりいかにも)
そして消滅させようということになり、そのカウントダウン。
「カウントは"3"で」
宇宙人言語で"1"と"2"がめちゃくちゃ長い(何を言ってるかわからないけれど、とにんく長い)
「"3"は普通」
で、その宇宙人のボイスキャストがモンティ・パイソンのメンバー全員 笑
(テリー・ギリアム監督もしっかり参加)
ニールが右手を振ることで手に入れた全能の力
まず目にしたのが歩く愛犬デニスのウンチ 笑
(続いてナニを世界一でかくしろ、で、後ろへ押し倒されるようにひっくり返る。他にも言う事を聞かない生徒たちのクラスを爆破したり、アメリカ大統領になってみたり)
この全能の力、状況説明を丁寧に唱えないととんでもないことに。
「バスへ移動」
バスの屋根に乗っている
「バスの上じゃない、バスの中へ」
ボンネットの中に入っている
「じゃなくて、バスの車内へ」
と、いった具合。
ニールと同じアパートに住むキャサリン(ケイト・ベッキンセール)のサイコな(ほぼ一方的な)元彼、グラント大佐(名前がグラントといったところで何やらおかしい)を演じたロブ・リグル(実際、元・海兵隊員というところが、さらにおかしい 笑)←さらにさらに『帰ってきたMr.ダマー バカMAX!』でも大尉役で出てた。←さらにさらにさらにニールを捕まえて自分の望みを叶えさせる、その望みの"阿呆らしさ"
「色の白いイギリス人の耳をデカくして、足を水かき付きにしろ」
「警察官の制服をピンクにしろ」
「信号を全部、赤にしろ」…などなど
愛犬デニスの声をロビン・ウィリアムズ
ほとんどアドリブではないかと思える至芸。
「ビスケットビスケット」
「ひとつのことを考えると、そのことだけが頭に浮かぶんだ」
「お前はいいなぁ」
「ビスケット」
ラストのオチ
画面中央にデニスと元グラント大佐だったワンちゃんw
この有名なセリフ(『お熱いのがお好き』)と同じ台詞で締めるところにニヤリ
I'm not a dog, I'm a man.
Hey, nobody's perfect.

Memo2
PDF公開中のプロダクションノート(英文)
http://www.lgukpublicity.co.uk/uk/images/Prodnotes/FINAL_Absolutely_Anything_UK_Production_Notes.pdf
「ビスケット!ビスケット!」
「キッチンの上の棚にあるビスケット!」
まさにロビン・ウィリアムズならではの至芸!
Robin Williams' Last Role: 'Absolutely Anything' Exclusive Clip
https://youtu.be/J1txirbfVGo
ABSOLUTELY ANYTHING: Making of for the Aliens
The Art of VFX (動画Flash 6分2秒)
http://www.artofvfx.com/aa/
カイリー・ミノーグ"Absolutely Anything and Anything At All"に乗せて流れる可愛らしいエンドクレジット(最後まで楽しい!)
そしてロビン・ウィリアムズのアフレコ風景も!
Titles and End Roller Designはモンティ・パイソン作品にもかかわったJustin Weyers

映画『ミラクル・ニール!』公式サイト
http://miracle-neil.jp/sp/


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