2007-02-01

コッポラ監督・人工の街「ワン・フロム・ザ・ハート」

ロケ撮影をいっさい行わずに全てセットとミニチュアで作られたフランシス・フォード・コッポラ監督「ワン・フロム・ザ・ハート物語・7月4日の独立記念日を明日に控えた、ラスベガスの街。旅行会社に勤めるフラニー(テリー・ガー)の夢は南の楽園ボラボラ島へ行く事。しかし、同棲生活5年を迎える恋人ハンク(フレデリック・フォレスト)はそんな島へ行く事よりも彼女との平凡な家庭生活を密かに望んでいた。そして、そのような性格不一致の2人はささいな事からケンカ、フラニーは遂に家を出て行ってしまう…。

撮影ヴィットリオ・ストラーロ(ベルトルッチ監督作品をほとんど手がける名カメラマン。「ラストエンペラー」でのゴールデンアンバー調の色彩設計はストラーロの特色と呼べるもの)。オープニングのミニチュアの看板を使ったタイトルロールから沿道、そしてフラニーの働く旅行会社のオフィスめがけてショーウィンドウを一気に突き破ってしまうカメラワークは圧巻です。

 ゴッドファーザー PART II

美術はコッポラ監督と「ゴッドファーザーPART2(正確にはロシア数字表記)」以来の付き合いとなるディーン・タブラリス。コッポラ監督の無理難題にも「俺にできない美術(デザイン)はない ! 」と答える程。
ラスベガスのミニチュアから終盤に登場するマッカーラン空港のセットまで制作したのはグレッグ・ジーン(「未知との遭遇」のマザーシップ!を作ったのはこの人)

そして、公開当時に話題になったのが高品位ビデオカメラを導入して撮影された事(現在のデジタル撮影の「デ」の字も無い時代においては最先端、と、いうか先駆者だったのではと思われます。当然、AppleのMacも生まれていないし、CGも研究段階だった)。
その時の撮影の様子が記録されています。(以下、公開時のプログラムより抜粋)。あらかじめ全ショットを1枚ごとの絵コンテにし、効果音と全台詞を入れたサウンド・テープ(ラジオドラマのようなもの)を作成。この2つをビデオテープにシンクロさせたのち、アテレコの要領でリハーサルを行う。ビデオに収められたコンテに合わせ、役者たちは大体の動きを決めていく。さて、本番。ラスベガスのセットの中で、役者たちはあらかじめ決められたとおりの動きをし、セリフをしゃべる。これを2インチのビデオテープに収め、フィルムにトランスファーしていくのだ。この間、コッポラ監督は何をしていたのかというと現場には姿を見せず、もっぱらトレーラーを改造したビデオ調整室にいて、ブラウン管とにらめっこ。「TV局のディレクターのような仕事ぶり」と評されたわけである。高品位ビデオカメラのおかげで、画質はいたって鮮明。色のひずみも硬さも無い。明るく、そして柔らかい。特に赤が驚く程の発色を見せている。

この映画のキーとなる色彩は。オープニングとエンディングに現れる緞帳は。タイトルは。フラニーは、ハンクは。ふたりの心情が混じる部分は
と、はっきりと色分けされているのもわかりやすい趣向となっています。
音楽も男心をトム・ウェイツが女心をクリスタル・ゲイルが歌っていて渋く、そしてロマンティックに盛り上げています。

MEMO
元々は「砂漠の真ん中の街で、撮影ができるか ! 」のコッポラ監督のひと声で、ラスベガスの街を含むオールセット撮影になったという逸話も残っています。

MEMO2
さて、そのコッポラ監督、現在公開中の「マリー・アントワネット」を監督した娘ソフィアの前々作「バージンスーサイズ」のDVD特典・メイキング映像に(しっかり)嬉しそうにアドバイスしている姿が映っていて結構、微笑ましかったりします。

ワン・フロム・ザ・ハート(エクスパンディッド・ヴァージョン)

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2006-06-21

私の頭の中の消しゴム・ファッション演出

昨年、公開されて大ヒットした「私の頭の中の消しゴム」。若年性アルツハイマーで記憶を失っていくスジン(ソン・イェジン)、そして、その事実を知ってもスジンを大きく包み込むチョルス(チョン・ウソン)。スジンは映画の冒頭(過去)シーンでは昔、日本でもサーファーがしていたような真っ青なシャドーの濃いメイクに派手派手のファッションで登場。「あれ?」と思っていると駅のホームで誰かを待っている様子。(実は不倫相手を待っていたのだが、この不倫に関しての過去のいきさつが発病の一端となっている)。それから現在のシーンに戻って今度は(冒頭シーンとはうって変わって)スジンのいかにも育ちの良いお嬢さんのイメージをファッションで表しています。髪の毛を後ろにまとめてスッと鉛筆をさして止める仕草や清楚なイメージのメイクアップ、やはりブランドということでヴィトンのバッグ、モノグラム・ヴェルニを持っていたりと、いかに不倫をしていた時のスジンは本来の自分と違って無理があったんだなぁと思わせるファッション演出となっていました。

尚、ソン・イェジンは「四月の雪」でペ・ヨンジュンと共演(共にユン・ソクホ監督のTVドラマ「夏の香り」「冬のソナタ」に主演)。チョン・ウソンは現在公開中の「デイジー」でチョン・ジヒョンと共演。チョン・ジヒョンとソン・イェジンはクァク・ジェヨン監督の作品に共に主演(「僕の彼女を紹介します」「ラブストーリー」)という見事にループする繋がりなんですよね。

私の頭の中の消しゴム

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