「ナイロビの蜂」、バラ色の湖の如く
レイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズ共演による「ナイロビの蜂」。監督は前作「シティ・オブ・ゴッド」でアカデミー監督賞、脚本賞、撮影賞、編集賞にノミネートされたフェルナンド・メイレレス。そのドキュメンタリータッチな手法とハイコントラストとハイキーな彩度の鮮烈なイメージは本作でも発揮されています。撮影監督は監督のCMディレクター時から15年以上の付き合いとなるセザール・シャロン。原作はスパイ・サスペンス小説の巨匠、ジョン・ル・カレ(「寒い国から帰ってきたスパイ」「ロシアハウス」など)。物語の骨格がサスペンスを用いていて最後まで飽きさせません。(ホント、オープニングからビックリさせられました)。
とにかくケニアにおいてのロケ撮影が素晴らしい美しさです。まるで凍った雪のような巨大な塩床に取り囲まれたマガディ湖のこの世のものとは思えないバラ色の色彩は、撮影に際して更にハイキーなコントラスト(※)と相まって息をのむ風景です。
レイチェル・ワイズは「ハムナプトラ」「コンスタンティン」といった大作からマイケル・ウィンターボトム監督の「I Want you」まで幅広く演じていて、いつのまにか現在のポジションを得ていたといった不思議なスタンスを持った女優。情熱的にボランティア活動にのめり込み、まったく夫の事を顧みていないように見えていて、実は‥と、いった大変むずかしい役を演じていて納得のアカデミー賞獲得の熱演でした。
※彩度を落としたり、銀残しを用いたりと全体に淡いグレースケールのイメージの映画が多い中、いわゆるPhotoshopなど画像レタッチ系ソフトでの色調補正の彩度やコントラストのスライダーをプラス方向(ハイキー)に動かした映像。
付記・
今年の始めに試写で観て未だに印象が残っている、まさに「映画ができること」の到達点
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