礼節の極み「硫黄島からの手紙」
「硫黄島からの手紙」注・内容に触れています。最も衝撃的なことは、これは紛れもなく「ハリウッド映画」(イーストウッド監督作品は正確にはハリウッド映画と呼べないかもしれないが便宜上ハリウッド映画と表記しています)であるということ。最後に「監督クリント・イーストウッド」と出るまで何の違和感もなく「日本映画」として見てしまっていた。それほど、この映画はある種の畏怖の念とRespectが全体を通して貫かれている。栗林中将を演じた渡辺謙も堂々たる風格の演技でさすがだが、物語全体の語り手となる西郷役・二宮和也のうまさは、この映画の成功のひとつの要因だと思います(全ての主要人物と交錯するわけですから)。その他、バロン西役の伊原剛志、憲兵隊を訳ありで除隊させられた(このエピソードを挟み込むこと自体がハリウッド映画的ではない)清水役の加瀬亮も素晴らしかった。
情緒に流されない潔い各シーンのカット割り、それとは逆になんと耳に残る主題曲の旋律。これこそ伝えられてこなかった事柄への鎮魂歌( Requiem )と言えるのではないだろうか。ラスト「父親たちの星条旗」と同じく硫黄島の海岸が映し出されるが、そこには兵士の姿もなく、ただ暗い水と黒いすりばち山が佇んでいるだけである。
イーストウッド監督の「礼節の極み」に感応して涙してしまった。
「父親たちの星条旗」との繋がり
上陸時のカットで同じものが使われているのでは?というシーンがいくつかと「父親たちの星条旗」で米兵士が塹壕の中に入って「ひどい」と言って出てきたシーンの前部分とおぼしきシーンが初見で見る限りの繋がったところだと推測できます。
その色彩
彩度を抑えた、モノクロに近い色彩処理(「銀残し」かデジタル処理かは未確認)。ラストシークエンスのいくつかにいたっては、ほぼモノクロにしか見えないほど。
父親たちの星条旗 | 硫黄島からの手紙
http://wwws.warnerbros.co.jp/iwojima-movies/
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