心が痛い「麦の穂をゆらす風」
今年のカンヌ映画祭でPalme d'Orを受賞したケン・ローチ監督「麦の穂をゆらす風」ラストまでドラマの緊密度が途切れることなく続く「こころにヒリヒリと届く」映画。主演のキリアン・マーフィ(「プルートで朝食を」)が素晴らしい!! 物語・1920年、緑深きアイルランド。医師になる将来を捨て、兄とともにイギリス支配からの独立を求める戦いに身を投じる青年デミアン(キリアン・マーフィ)。戦いは終わり、ついにイギリスは独立を認める。しかし今度はアイルランド人同志が敵味方になる内戦が始まりデミアンと兄、そして恋人シネードとの絆をも引き裂いていく…。注・ここより内容に触れています。映画の中盤、分岐点となる出来事が起こったとき、デミアンがシネードにつぶやいた言葉「心が何も感じなくなってしまった…」。その出来事は、そのままラストでのシネードと兄のやりとりと重なり合う。悲痛なラストシーンに軍靴の響きが聞こえてきてエンドクレジットが流れていく。監督のカンヌ受賞の際のスピーチ「過去について真実を語れたなら、私たちは現実についても真実を語ることができる」。このスピーチ通り悲劇を描いているが見終わった後に残るものは悪いものではなく「映画が伝えることのできること」の希望すら感じる。傑作です。
MEMO
アイルランドというと美しい風景と濃厚なメロドラマが紡ぎ出す一編の詩のような映画、デビッドリーン監督の「ライアンの娘」を思い起こさずにはいられません(今年、DVD化されました。オススメです)。
ケン・ローチ監督作「麦の穂をゆらす風」公式サイト
http://www.muginoho.jp/
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» 「麦の穂をゆらす風」:南青山六丁目バス停付近にて [【映画がはねたら、都バスに乗って】]
{/kaeru_en4/}「麦の穂をゆらす風」ってさあ・・・。
{/hiyo_en2/}いきなり、なに?なんで、ウィスキー会社の前で「麦の穂をゆらす風」の話題が出るの?
{/kaeru_en4/}だから、「麦の穂をゆらす風」っていうから、俺の大好きなウィスキーができるまでの映画かなにかだと思って観たら、全然違うんだよな。
{/hiyo_en2/}アイルランド紛争を描いた戦争映画よ。「麦の穂をゆらす風」っていうのは、アイルランドで�... [続きを読む]
受信: 2006-11-23 17:07
» 『麦の穂をゆらす風』 [M[エム]]
製作年度:2006年上映時間:126分監督:ケン・ローチ出演:キリアン・マーフィ 、ポードリック・ディレーニー 、リーアム・カニンガム 、オーラ・フィッツジェラルド 、メアリー・オリオーダン 、メアリー・マーフィオススメ度:★★★★★ストーリー:1920年。長きにわたりイギリスの支配を受けてきたアイルランドでは、疲弊した人々の間に独立の気運が高まっていた。そんな中、南部の町コークでは、医師を志していた青年デミアンが、ついにその道を捨て、兄テディと共に武器を取り、アイルランド独立を目指す戦...... [続きを読む]
受信: 2006-11-23 21:51
» 『麦の穂をゆらす風』 [映画を観よう☆]
製作年度:2006年
上映時間:126分
監督:ケン・ローチ
出演:キリアン・マーフィ 、ポードリック・ディレーニー 、リーアム・カニンガム 、オーラ・フィッツジェラルド 、メアリー・オリオーダン 、メアリー・マーフィ
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受信: 2006-11-23 21:53
» 『麦の穂をゆらす風』 [試写会帰りに]
「なんの為に戦うのか」「こんなことの為に戦ったんじゃない」という言葉が何度も頭を過ぎります。 医師を志した青年デミアンが、銃を手に取らずにはいられなかった背景。 自ら仲間を殺さなければならなかった理由。 家族や兄弟が、敵味方に分かれ傷つけ合うことになる、その..... [続きを読む]
受信: 2006-11-23 22:00
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1920年、アイルランド南部の町・コーク。 イギリスからの独立を求めて若者たちは銃を取る。 2006年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞「麦の穂をゆらす風」。 [続きを読む]
受信: 2006-11-26 21:30
» *麦の穂をゆらす風* [Cartouche]
{{{ ***STORY*** 2006年 イギリス=アイルランド=ドイツ=イタリア=スペイン
1920年のアイルランド南部の町・コーク。医者を志す青年デミアンはロンドンでの勤務がきまり、アイルランドを離れようとしていた。そんな時、仲間がイギリスから送り込まれていた武装警察ブラック・アンド・タンズの暴行を受け、命を落としてしまう。事件をきっかけに医師になる志を捨てたデミアンは、やがてアイルランド独立を目指す戦いに、仲間とともに身を投じていく。そんな彼らのゲリラ戦に苦しめられたイギリスは停戦..... [続きを読む]
受信: 2006-11-28 17:34
» 麦の穂をゆらす風 [悠雅的生活]
静かな風が峡谷をわたり黄金色の麦の穂をゆらしていた [続きを読む]
受信: 2006-12-01 19:59
» 麦の穂をゆらす風 [とにかく、映画好きなもので。]
1920年のアイルランドの町・コークを舞台にしたカンヌ映画祭パルムドール作品。
ロンドンで研修医として勤務が決まっていたデミアン(キリアン・マーフィ)は、アイルランドから離れようとしていた矢先に仲間の少年がイギリスの武装警察ブラック・ア....... [続きを読む]
受信: 2006-12-17 10:18
» 映画『麦の穂をゆらす風』 [コラムニスト宣言]
1920年代、英国の支配下で辛酸を舐めていたアイルランドの若者たちが蜂起する。前半は英国軍との苦闘、後半は中途半端な停戦協定に意見を二分させた自治領での絶望的な内戦を描く。
タイトル『麦の穂をゆらす風(The wind that shakes the barley)』は、アイルランドの伝統歌からそのままとられたものである。
ふたりの絆を断ち切るつらい言葉は
なかなか口にできなかった
しかし外国の鎖に縛られることは
もっとつらい屈辱
だから私は彼女に告げた
「明日... [続きを読む]
受信: 2006-12-17 15:24
» 麦の穂をゆらす風(ToT)/~~~ [銅版画制作の日々]
名匠ケン・ローチ監督と新星キリアン・マーフィーによる最高傑作『麦の穂をゆらす風』をこの間鑑賞しました。なかなか記事を書くことが出来ず
《お話》1920年緑深きアイルランドの南部の町コーク。医者を志す青年デミアンはロンドンでの勤務が決まり、アイルランドを離れようとしていた。ところが仲間がイギリスから送られてきた武装警察ブラック・アンド・タンズの暴行によって命をおとすこのことによって、医者になる将来を捨て、兄と共... [続きを読む]
受信: 2006-12-19 22:00
» 麦の穂をゆらす風 [映画と本と音楽にあふれた英語塾]
原題: The Wind that Shakes the Barley (2006)
2006年11月18日 日本初公開
公式サイト: http://www.muginoho.jp/
アミューズCQN シアター1 G-15
2006年12月20日(水)10時45分の回
ゴウ先生総合評価: B+
画質(ビスタ): A-
音質(SRD): A-
英語学習用教材度: B+... [続きを読む]
受信: 2006-12-22 18:10
» リール&ジグ:麦の穂を揺らす風(2006) [ORGANIC STONE]
英国の社会派監督ケン・ローチによる、アイルランド独立戦争とその後の内戦をテーマにしたドラマ。2006年カンヌ最高賞受賞作で、しかも私の専門(なんの?)アイルランド物、その上マイお気に入り登録済みのキリアン・マーフィー主演ですから。そして映画館が満員で3度も映画館へ通ってやっと座れたという盛況ぶりに、期待度500%で見た待望作。... [続きを読む]
受信: 2007-01-07 19:57
» 麦の穂をゆらす風(06・アイルランド・英・独・伊・西) [no movie no life]
山形にもやってまいりました1週間上映!初日一番の回はパイプ椅子が出るほど満席でしたー。
しかし映画途中でところどころからイビキが・・・3人は確実にいましたね。喝!!!!!
この映画のどこに居眠りしたくなるシーンがあるのか不思議。しかも初日から失礼千万。
さて... [続きを読む]
受信: 2007-01-16 00:58
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硬派な作品ですが、第1次大戦後のアイルランド独立戦争とその後の分裂が実にわかりやすく描かれています。 とはいうものの、今となって80年前 [続きを読む]
受信: 2007-01-18 03:17
» 映画レビュー#43「麦の穂をゆらす風」 [Production Rif-Raf]
基本情報 「麦の穂をゆらす風」(2006、イギリス、アイルランド) 監督:ケン・ローチ(ケス、リフ・ラフ、マイ・ネーム・イズ・ジョー) 脚本:ポール・ラヴァティ(カルラの歌、マイ・ネーム・イズ・ジョー、スウィート・シックスティーン) 製作:レベッカ・オブライエン..... [続きを読む]
受信: 2007-03-10 10:09
コメント
はじめまして。やっとこの作品を観ることができました。
「映画が伝えることが出来ること」の希望に同感です。
アイルランドを舞台に、人間同士の報復の連鎖と言う普遍的なものを見せてくれたと思います。
TBさせていただきました~
投稿: カオリ | 2007-01-16 00:54