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2007-02-26

「さくらん」金魚と花魁(おいらん)

監督・蜷川実花、脚本・タナダユキ、原作・安野モヨコ、音楽・椎名林檎(初映画音楽 ! )、主演の「きよ葉(後に日暮)」役に土屋アンナと、まさに女性たちによる究極のコラボレーション「さくらん」。注・内容に触れています。物語・吉原遊郭「玉菊屋」に 8歳で連れてこられた少女は「きよ葉」と名付けられた。女だらけの世界が怖くて脱走、あえなく捕まる「きよ葉」。しかし、彼女は厳しい折檻に涙も見せず、いつか自分の足で吉原を出る!と言い放つ。次第に、その美貌と誰にも媚びない負けん気の強さで、売れっ子となっていく「きよ葉」。そして遂に花魁「日暮(ひぐらし)」へと成長する…(プレスを元に記載)。「きよ葉」に影響を与える「粧ひ」に菅野美穂。対照的な「高尾」に木村佳乃。(「日暮」VS「高尾」ありって、相撲取り組みみたいですが本当に乱闘だったりするわけで〜)、玉菊屋の女将に夏木マリ(ピッタリ! )「きよ葉/日暮」が「恋したり」「裏切られたり」「元気づけられたり」する男優陣も豪華。椎名桔平、成宮寛貴、安藤政信、永瀬正敏…。「金魚は川に放せば鮒になる」金魚は台詞でもイメージでもこの映画のキーポイント。

さくらん写真集 『さくらん』オフィシャルガイドブック この世の限り

衣装(着物)はスタイリスト伊賀大介と着物スタイリスト杉山優子によるもの。花のアレンジに東信。照明は超大ベテラン、熊谷秀夫。美術は長編の美術監督は初めてという岩城南海子(金魚鉢の大門や緑の畳のアイデアはこの人)。その照明、美術のふたり(熊谷79歳 !!、岩城31歳)による対談がキネマ旬報2007年3月上旬号に掲載されています。
その対談より
中心になった色は」「照明にとってもは難しいんですよ。当てないと色が出ないし、当てすぎるとフラットになっちゃう」「撮影に入る前にSAYURIを二度観たんですよ」など。他にも紅葉のシーンのエピソードやフィルムを使っての直編集(HD上のAVID編集でなく)のことなど興味深い話がいっぱい。

映画「さくらん」公式サイト
http://www.sakuran-themovie.com/

安野モヨコ
オフィシャルウェブサイト 蜂蜜
http://www.annomoyoco.com/

キネマ旬報 2007年 3/1号 [雑誌] さくらん

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2007-02-25

「バッテリー」野球って何ですか?

刊行以来380万部を突破する大ベストセラーとなっている、あさのあつこ原作「バッテリー」の映画化。注・ここより内容に触れています。物語・中学入学を控えた春休み、原田巧(林遣都)は岡山県に家族で引っ越してくる。巧はピッチャーとしての才能に絶大な自信を持つと同時に他人を寄せ付けない孤独な面も持っている。家族には病弱な弟・青波(鎗田晟裕・やりたあきひろ)と青波をいたわるあまり巧に冷たくあたってしまう母・真紀子(天海祐希)、野球に余り関心のない父・広(岸谷五朗)、甲子園出場校の有名監督だった祖父・洋三(菅原文太)。暖かい家族でさえ、巧の孤独な面に対する接し方に迷う時があった。巧みはそこで、同級生・永倉豪(山田健太)と出会う。その投球に惚れた豪は、バッテリーを組むことを熱望。2人は新田東中学野球部に入部する。そして…(ここまで物語部分プレスより記載)。バッテリーを組む2人、同級生たちの伸び伸びとした演技が見ていて心地よい。監督は滝田洋二郎。

バッテリー バッテリー〈2〉 バッテリー 3
バッテリー〈4〉 バッテリー〈5〉

幾度となく出てくるフレーズ
野球って何ですか?
「野球は中学にあがるまでの約束でしょう」と反対している豪の母親に対して巧の言葉「野球はさせてもらうものじゃなくて、するものです」や、祖父・洋三の「巧の野球は孤独じゃな」や父・広の「巧の野球は祈りだと思わないか…体の弱い弟の事を思って…」とか「野球ってメッセージを伝えるスポーツだと思うんです」、いろいろな形で語られる。もちろんラストで巧の野球は楽しむ野球となり、End Creditで父・広や青波、巧たちのその後が微笑ましく描かれている。

MEMO
もしかすると文字化けしてしまうのでは?と思うぐらい、特別な名前の出演者が多い本作。念のため再表記、林遣都・はやしけんと、鎗田晟裕・やりたあきひろ、巧みに惹かれるヒロイン・繭(まゆ)に蓮佛美沙子・れんぶつみさこ。主題歌は熊木杏里「春の風」

MEMO2
映画「ピンポン」以来、ボールをCGでという表現が多く見うけられるようになりましたが、この映画ホントに投げているシーンが多く素晴らしい(もちろん正面へ向かって飛んでくるボールなどはCGですが)。Cinema Scope Sizeも野球映画として効果的。

バッテリー
http://www.bt-movie.jp/

バッテリーSCORE BOARD 春の風

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「善き人のためのソナタ」回復の回路

弱冠33歳のフロリアン・ヘンケル・フォン・ドーナスマルク監督による監視国家の真実を描いた傑作「善き人のためのソナタ注・内容、台詞、ラストシーンに触れています。物語・1989年ベルリンの壁崩壊前の東ベルリン。国家保安省(シュタージ)局員ヴィースラー(ウルリッヒ・ミューエ)は反体制の疑いをもたれている劇作家ドライマン(セバスチャン・コッホ)と同棲相手の舞台女優クリスタ(マルティナ・ゲデック)を監視して証拠をつかむよう命じられる。ドライマンのアパートに盗聴器をしかけ、徹底した監視をはじめるヴィースラー。しかし…。2時間18分、まったく途切れることのない緊密な空気。サスペンス的にケレン味たっぷりに描いてしまうところを品位と気高さを持って描く。役者は演技を感じさせずカメラはカメラの存在自体を感じさせない演出(時折、挟み込まれる俯瞰で撮った道路が効果的)。ヴィースラーがドライマン、クリスタのふたりが喧嘩をしてしまうようにし向ける意地の悪い行動をおこすシーンがある。しかし、その後ヴィースラーが盗聴機越しに聞いた会話は…(この辺りを境にヴィースラーは目覚めていく)。タイトルのソナタはひとつのアイテムだが物語自体が音楽のような主旋律とコーダ部分(ベルリンの壁崩壊後のエピソード)を含ませて忘れがたい余韻を残す。

Das Leben der anderen. Geschwaerzte Ausgabe.

ラスト、これ以上はない幕切れ。
ヴィースラーがふと、目にする書店の広告。
ドライマンの著書「善き人のためのソナタ」
その本に記された献辞。
… HGW XX/7へ捧げる …
(HGW XX/7はシュタージでのコードネーム)
「ギフト包装しますか?」
「いや、これは私のための本だから」

追記
アカデミー賞外国語映画賞受賞

善き人のためのソナタ
http://www.yokihito.com/

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2007-02-24

ディズニーのプロダクションデザイナー

約30年間にわたって「美女と野獣」「ライオン・キング」「アラジン」「ムーラン」などのディズニー映画に参加してきたハンス・バッハーの著作「Dream Worlds 幻想の世界をデザインする 」が発刊されました。アニメーション映画に関してのデザインプロセスが余すことなく(本当に詳細に)紹介されています。画面構成やリズム&スタイル、色、それぞれのデザイン構築の手法がConcept Sketchや画像によって見ることができます。

既に著作として、これまたデザイナー必見の「ハンス・バッハーPhotoshopブラシコレクション」が発刊済みです。こちらは著者が作り上げてきたPhotoshopブラシ20,000点の中から厳選された7,000点のブラシデータが著作権フリーとしてDVD-ROM収録されています。

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2007-02-22

字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ

字幕翻訳家の太田直子さん(「ヒトラー最後の12日間」「そして、ひと粒のひかり」など1000本を超える字幕に携わる)の「字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ」が発刊されたので早速読みました ! いやぁ〜、おもしろかった ! 字幕翻訳に関するあれこれエピソード満載(字数のこと、表現のこと、文法のことなどなど)。既に下記WEBで連載しているときから著作を楽しみ(結構本質を突いた辛辣なところもあるんですよね〜)にしていたので読み進むと「字幕と吹き替えに関して」「日本語のズレに関して」と「ことば」に対しての「ひとことひとこと」が鋭くておもしろい。

「字幕屋通信・酔眼亭夜話」太田直子
通訳翻訳WEBにて隔月掲載中
http://www.tsuhon.jp/title/title_index.html
( 2007年2月22日リンク確認 )

字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ

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2007-02-20

踊る博物館「ナイトミュージアム」

夜の理科室、夜の蝋(ろう)人形館と並んでコワイ夜の博物館「ナイトミュージアム」…と、言ってもコワイ話ではなくてユカイな話。物語・バツイチ失業中のラリー(ベン・スティラー)は前妻の元にいる息子ニッキー(ジェイク・チェリー)の絆のためにもと自然史博物館の夜警の仕事に就く。しかし、その博物館の展示物は夜になると動き始めるのだった。そして…。

Night at the Museum [Original Motion Picture Soundtrack]

注・ここから内容に触れています。
動く展示物のみなさん(笑)はサカジャウィア(アメリカ先住民の女性)に恋心のルーズベルト大統領(ロビン・ウィリアムス)、ローマ帝国初代皇帝オクタヴィウス(ジオラマなのでミニミニサイズ)やブロンズ銅像のままのコロンブス(ラリーに名前を思いだしてもらえない小ギャグネタあり)、予告編でお馴染みティラノザウルスの骨格標本(すっかり愛犬元気〜扱い)、やっぱり争ってる南北戦争の兵士たち、風船ガムネタ・モアイ像、ノドジロオマキザルVSラリー(サル対決って、失礼)、後はもう動物たちの大量「ジュマンジ」乱舞。アダモちゃん語(古っ)が乱れ飛んだり、展示物が動き出す原因となる石版をめぐるセントラルパーク追っかけもあり、ラストは本当にディスコ(クラブではなくディスコ)状態の踊る博物館。あ、でも展示物が動くことよりビックリしたのは夜警の先輩( ? )3人組でミッキー・ルーニー、ディック・ヴァン・ダイク( Mary Poppins !!! )が出演していたこと(う〜んホント驚いた)。さらに、カメオ出演と言いながら、お馴染みのあの相棒がミニミニサイズでも目立っていますよ〜(笑)。監督は「ピンクパンサー」のリメイクを撮ったショーン・レヴィ。春休み向けファミリーピクチャー(子供が字幕版で見てもわかる内容ですよ )にしてデートムービー。試写会のウケも概ね良好だったので日本でのベン・スティラー初のヒットとなるかも。タイトルデザインは PictureMill

ナイト ミュージアム
http://movies.foxjapan.com/nightmuseum/

小説 ナイト ミュージアム

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タイトルデザイン_12・ナイトミュージアム、ドリームガールズ

注・公開前、公開中の作品のTitle Designについて触れています。ナイトミュージアム」のOpening SequenceのTitle Designを見たとき「パニックルーム」と似てるな〜と思っていたら同じPictureMill制作によるものでした。前述の「ドリームガールズ」の美しいEnd TitleもPictureMill。PictureMillについては既に「タイトルデザイン_3・パニックルーム」( 2006-04-18 )で紹介済みです(左サイドメニュー、カテゴリーのタイトルデザイン参照)。その他、最近の作品「レディ・イン・ザ・ウォーター」「オーメン666」「スキャナー・ダークリー」「呪怨2 THE GRUDGE 2」など

PictureMill( 英文 )
http://www.picturemill.com/
※「ナイトミュージアム」Opening「ドリームガールズ」End Title、他多数の作品のタイトルデザインを見る事ができます。
(Flash Playerが必要)
注・タイトル部分がフルにご覧になれます。
鑑賞後の「お楽しみ」としてご覧下さい。

レディ・イン・ザ・ウォーター 特別版 オーメン666

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2007-02-17

「あなたになら言える秘密のこと」

「死ぬまでにしたい10のこと」のイサベル・コイシェ監督、サラ・ポーリー主演「あなたになら言える秘密のこと物語・ハンナ(サラ・ポーリー)には誰にも言えない秘密があった。そのため友達も恋人も作らず、職場と1人暮らしの部屋を往復するだけの生活を送っていた。ある日、上司から無理やり休暇を取らされたハンナは、見知らぬ街を訪れる。ふとしたきっかけで、油田の事故で負傷したジョゼフ(ティム・ロビンス)という男を看護することになるハンナ。一時的に視力を失ったジョゼフは会話からハンナを知ろうとするが、彼女は自分の過去を語ろうとしない。そして…。(ここまでプレスより記載)
ハンナの生活はまるで定規で引かれたように淡々としている。無遅刻無欠勤の職場、白米、チキン、リンゴ、白米、チキン、リンゴ…、と、淡々と繰り返される食事、アーモンドフレーバーの四角い石けんが並ぶ青いタイル。整然としたキッチン。全体の色彩基調がブルーというところもすごく活きている。サラ・ポーリー、ティム・ロビンス(表情だけであの演技!)は、もちろんうまいのだがハンナが食べる楽しみを知るきっかけをつくる油田のシェフ、サイモン(ハビエル・カマラ)をはじめ、脇を固める俳優陣も本当に素晴らしい。

耳が不自由なハンナと目が不自由なジョゼフ…閉ざされた北海油田での出会いは閉ざされた心の扉を開いていく…。「あなたになら言える秘密のこと」…、いわゆる天使がよぎる映画の系譜。傑作です。

あなたになら言える秘密のこと
http://www.himitsunokoto.jp/

あなたになら言える秘密のこと 死ぬまでにしたい10のこと

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2007-02-16

ウディ・アレンと撮影監督

ウディ・アレン監督の映画というとモノクロ作品を除いて、ほぼ暖色系(※)で撮影されている事が特徴。それほど色調には気をつかっている訳ですから撮影監督は本当に超一流ばかり。

アニーホール」(1977年)から「カイロの紫のバラ」(1985年)までがゴードン・ウィリス(元々はドキュメンタリー出身、「ゴッドファーザー」のあの色調 !! アレン監督とは、やはり「マンハッタン」のモノクロ・ワイドスクリーンが美しい)、「ハンナとその姉妹」から「セプテンバー」、間が少し空いて「アリス」(1990年)から「地球は女で回ってる」(1997年)までがカルロ・ディ・パルマ(アントニオーニ監督「欲望」の、あの色彩設計 !! 間が空いているのはインタビューによると病気による手術が必要だったため。アレン作品、暖色系画調の基調を創ったとも言えるのでは? )。「私の中のもうひとりの私」「重罪と軽罪」(共に1989年)「セレブリティ」(1998年)、3人の監督によるオムニバス作品「ニューヨーク・ストーリー」はスヴェン・ニクヴィスト(イングマール・ベルイマン監督の作品多数)。「ギター弾きの恋」(1999年)「おいしい生活」(2000年)「スコルピオンの恋まじない」(2001年)の3作品をチャオ・フェイ(「紅夢」「始皇帝暗殺」)。

以降、1作毎に撮影監督が変わっていく。「さよなら、さよならハリウッド」はウェディゴ・フォン・シュルツェンドーフ(「13F」)、「僕のニューヨークライフ」はダリウス・コンジ(ジャン=ピエール・ジュネ監督の「デリカテッセン」や「ロストチルドレン」、「セブン」もこの人)、「メリンダとメリンダ」はアメリカン・ニューシネマの立役者にして名カメラマン、ヴィルモス・ジグモンド(「さすらいのカウボーイ」「スケアクロウ」、「未知との遭遇」でアカデミー賞撮影賞を受賞、「ブラックダリア」など多数)。ロンドンで制作された「マッチポイント」「タロットカード殺人事件」はイギリス人撮影監督レミ・アデファラシン(「エリザベス」でアカデミー賞撮影賞にノミネート)。

現在 post-production 中の最新作「Cassandra's Dream」(ユアン・マクレガー、コリン・ファレル、ミッシェル・ウィリアムス)の撮影は「メリンダとメリンダ」に続いてアレン作品2度目の登場となるヴィルモス・ジグモンド。尚、ペネロペ・クルス主演の「Woody Allen Spanish Project」(仮称)が pre-production に入っている(現時点でStaff Credit不明)。

暖色系
おいしい生活」に関しては鮮やかな色彩が用いられている(なんといってもアレンとトレーシー・ウルマンですから…)。「マッチポイント」はロンドンの天候も相まって新局面を開いた色彩設計(少しグレーが加味された)。

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2007-02-14

ロバート・アルトマン監督「プレタポルテ」

まもなく遺作となった「今宵、フィッツジェラルド劇場で」が公開となるロバート・アルトマン監督。1994年3月のパリコレクションにカメラを持ち込んで一大群像劇をとりあげた映画が「プレタポルテ」です。キャストはジュリア・ロバーツ、ティム・ロビンス、キム・ベイシンガー、ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、ローレン・バコール、ミッシェル・ブランなどなど約30人。そして実際のデザイナーとしてジャンポール・ゴルチェ、イッセイ・ミヤケ、ソニア・リキエル、クリスチャン・ラクロワ、そしてスーパーモデルとしてナオミ・キャンベル、クラウディア・シーファーらが実名で登場しています。
パリコレを舞台に繰り広げられるデザイナー、モデル、編集者、レポーター、カメラマン、バイヤー、有名人の人間ドラマをまるでドキュメンタリーのように描いた作品。ラストに皮肉の効いた結末が用意されているあたりは、いかにもアルトマン監督。

Title Sequence Design
冒頭、Diorでネクタイを買うマストロヤンニ。カメラが引いて映し出されたのはモスクワ、赤の広場。そのままカメラが横にくるくる回り始める(どこの場所かは不明だが風景)。その上にキャストが描かれた色とりどりのドレープ(布地)が小さくたなびきながら表記されていく。最後カメラが止まるとパリ。シネスコサイズにもマッチしている。

プレタポルテ

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2007-02-13

トライアングル、いろいろなかたち。「天国は待ってくれる」

ドラマ「ちゅらさん」「イグアナの娘」「Antique〜西洋骨董洋菓子店」映画「いま、会いにゆきます」などの脚本家・岡田惠和、初の書き下ろし長編小説の映画化「天国は待ってくれる物語・子供の頃からいつも一緒に過ごしてきた宏樹(井ノ原快彦)、武志(清木場俊介)、薫(岡本綾)の3人は、かけがえのない大切な仲間だった。3人の友情は、このままいつまでも続くと思っていた。そんなある日、宏樹の目の前で、武志が薫へ突然プロポーズする。武志の突然の告白に、宏樹は戸惑い、薫の顔を見ることが出来ない。そんな宏樹を見つめながら、薫もまた自分の想いを隠してプロポーズを受け入れるのだった。しかしその数日後、不慮の事故が武志を襲う。(ここまでプレス参考)

天国は待ってくれる

宏樹、武志、薫の関係がトライアングルなら、3人の勤務先である銀座、築地市場、朝日新聞社の位置関係もトライアングル(この位置関係、当初からのアイデアだそうです。ちなみに、それぞれの叔父、父、母も)。かつてドリカムパターンと言われた(言われてないか…?)男2人に女性ひとりスタイルのグループ(ドリカムやELTやマイラバや…)はことごとく2人組になっているようにトライアングル関係って、ホント、ビミョ〜なんですよね〜(ビミョ〜さを保ち続けると、ふたりや4人よりも長く続く関係ではあると思いますが…)。
武志役の清木場俊介は素に近い役柄かセリ職人姿がきまっていて好印象。前述の叔父、父、母親役で蟹江敬三、中村育二、いしだあゆみ。他に戸田恵梨香、石黒賢、佐々木勝彦。監督は土岐善將。撮影は「星に願いを」「天国の本屋〜恋火」「地下鉄(メトロ)に乗って」の上野彰吾。実際の築地市場、朝日新聞社を使ってのロケーションが効果的。

「天国は待ってくれる」公式サイト
http://tengoku.gyao.jp/

天国は待ってくれる(初回限定盤)(DVD付)

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2007-02-12

小林信彦「イエスタディ・ワンス・モア」「ミート・ザ・ビートルズ」

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前述「バブルへGO !! タイムマシンはドラム式」に続いてタイムマシン( Thyme Leapもの)繋がりで「キュートな小説を(※)」。小林信彦「イエスタディ・ワンス・モア」とその続編「ミート・ザ・ビートルズ」(現在、単行本・文庫本共に入手困難だそうです)。急死した育ての親であった叔母のアパートで目覚めたとき、そこは1959年の東京だった。タイムスリップした主人公・桐島夏夫に巻き起こる30年のカルチャーギャップ、そして彼は自分が生まれる前の叔母と再会してしまうのだが…。映画ネタ、小説ネタ、ビートルズネタ(来日時を軸に展開するのが「ミート・ザ・ビートルズ」)、変わってしまった東京の風景ネタを織り込んで、すご〜く読みやすい文体で読後感も抜群の小説ですよ(是非図書館で)。吉田秋生さんの挿画も素敵。

キュートな小説
著者が巻末の作者ノートに記載した言葉。

映画のコラム
映画ファンならお馴染みの小林信彦さんの映画批評やコラム(「コラムは〜」シリーズも現在は入手しにくくなっていますね〜。是非、通巻で再版もしくは全集的に発刊してほしいものです)。

映画が目にしみる ぼくが選んだ洋画・邦画ベスト200 テレビの黄金時代

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2007-02-11

「バブルへGO !! タイムマシンはドラム式」

タイムマシンにお願い ! 助けてバブルマン〜。ホイチョイプロダクションズ8年ぶりの新作「バブルへGO !! タイムマシンはドラム式」(監督・馬場康夫)。物語・2007年日本の財政破綻の危機を救うため財務省経済政策課の下川(阿部寛)はある計画を進めていた。それは1990年にタイムスリップし「バブル崩壊」を止め、歴史を作りかえるという仰天プラン! その極秘プロジェクトが白羽の矢をたてたのは借金返済に追われるフリーターの真弓(広末涼子)だった(ここまでプレス参考)。注・以下、内容に触れています。薬師丸ひろ子がうっかり洗濯機を改造中にタイムマシンを発明してしまう真弓の母親役(先にタイムスリップしている。しかし、この人なら役ではなく本当に「うっかりタイムマシンをつくる」なんてことがありえそうですよね〜)。他(ゲスト出演含む)に、ほとんど誰か判別できないメイクで劇団ひとり(借金取り役)、TV局レポーターに吹石一恵、お立ち台ギャルに飯島愛、新人アナウンサーに八木亜希子、新人タレント役で飯島直子、ラモス瑠偉が本人役(ドーハで起こることを忠告される…って、おいおい)など。

「ALWAYS三丁目の夕日」でひとつの方向性(過去を再現する)を示したと思われるVFXや美術の使い方が本作でもいかんなく発揮されている。1階と4階を除く全フロアがディスコだったスクエアビルや六本木ヒルズがまだ無い六本木の風景、はちみつレモンやスカイラインネタ、あ、フジテレビ、河田町にあるし(笑)。もちろん当時のファッション(ボディコン、DCブランド、メイク、Hairstyleなどなど)のネタもいっぱい。脚本は君塚良一。音楽、本間勇輔。クライマックスのアクションシーンの絵コンテは樋口真嗣。主題歌「Eyes on you」(加藤ミリヤ)は当時の時代的気分を表現していて高ポイント。

「バブルへGO!!タイムマシンはドラム式」オリジナル・サウンドトラック Eyes on you

バブルへGO!!〜タイムマシンはドラム式〜
公式サイト
http://www.go-bubble.com/

ホイチョイプロダクションズといえばコンセプトムービーなんて呼ばれ方をしていた三部作「私をスキーに連れてって」「彼女が水着にきがえたら」「波の数だけ抱きしめて」(ユーミン、サザンの楽曲の使い方がいかにもでしたね〜)だが、やはり広告業界を描いた4コママンガ「気まぐれコンセプト」が思い浮かぶ。映画公開にあわせて1984年から2006年まで収録された「気まぐれコンセプトクロニクル」(全976ページ !! )と東京ディズニーランド誕生の物語「エンタメの夜明け」(これ、最高によかったですよ! )が発刊されました。

気まぐれコンセプト クロニクル 「エンタメ」の夜明け ディズニーランドが日本に来た!

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2007-02-10

オードリー・ヘップバーン「おしゃれ泥棒」

オードリー・ヘップバーン主演、ウィリアム・ワイラー監督(「ローマの休日」)「おしゃれ泥棒」(1966年)。父親が贋作の名人で、その絵を美術館に寄贈する事に胸を痛めている娘ニコル役をヘップバーンが演じています。美術商に雇われた探偵(ピーター・オトゥール)がニコルに一目惚れしてしまい、逆に父親が寄贈した絵を美術館から盗み出すはめに陥るという、おもしろい設定のロマンティックコメディ。ヘップバーンのめまぐるしく変わるファッションはタイトル通り、とても「おしゃれ」( 衣装はGIVENCHY、ジュエリーはCartier、有名な白のサングラス姿はこの映画。なお原題はHow To Steal A Million )。額縁に絵画のメインタイトルデザインはCINEFX/PHILL NORMAN。

この映画のヒント(参考?)となったと言われているのが実在の贋作者、ハン・ファン・メーヘレン。メーヘレンはフェルメールの贋作「キリストと悔恨の女」をナチスに売り渡した罪で捕まる事となるが国家反逆罪の罪よりも贋作者としての罪の方が軽いということで、実は自分は贋作者だったと名乗り出る。その証明のために法廷で実際に作品を描いてみせるという美術史に残る一大事件でした。

おしゃれ泥棒   Audrey Style  

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2007-02-09

「蒼き狼 地果て海尽きるまで」

総制作費30億円、2万7000人のエキストラなどCGに頼らないライヴアクションが話題の「蒼き狼 地果て海尽きるまで」。以下、内容、ラストシーンに触れています。物語・12世紀末のモンゴル。部族の長の息子として生まれ、彼らの始祖「蒼き狼」の生まれ変わりと言われたテムジン(のちのチンギス・ハーン/反町隆史/少年時代・池松壮亮)は、モンゴルの未来を担う存在として大切に育てられた。ところが14歳で父親イェスゲイ(保坂尚希)を対立する部族に殺されると、すべてが一変する。母親ホエルン(若村麻由美)が敵から略奪された身であることを理由に、父の部下たちから見捨てられたのだ。その上、母は父と出会う前に、すでにテムジンを身ごもっていたのではないかという疑いまで向けられる。「俺には蒼き狼の血が流れていないのか?」苦悩しながらも不屈の魂を持つテムジンは、母と弟妹たちを守るため、「蒼き狼」の血筋であることを自ら証明するため、様々な困難に決然と立ち向かっていく。しかし、モンゴルを統一するという壮大な夢に向かって踏み出した時、最愛の妻ボルテ(菊川怜)を敵の部族に略奪されてしまう。10ヶ月後、ようやく妻を救出した時には、彼女は身ごもっていた…。やがて生まれた、自分の子かどうかわからない赤ん坊ー再び繰り返される宿命に苦悩するテムジン。やがて成長した息子ジュチ(松山ケンイチ※ジュチはよそ者の意)に、テムジンは過酷な任務を与えるのだが…。(ここまでフライヤーを元に役名、出演者を加えて作成)

蒼き狼 地果て海尽きるまで Music Collection(DVD付)

他にテムジンの弟ハサルに袴田吉彦、少年時代にアンダ(盟友)の誓いをたて後に対立することとなるジャムカに平山祐介、親友にして信頼のおける部下・ボオルチュ(父の死後、まだ少数部族であったテムジンの馬が盗まれた際に通りがかった盗賊から取り返していてくれたエピソードが前半に描かれている)に野村祐人、女性戦士クランに新人Ara、デイ・セチュンに榎木孝明、ケレイトの王トオリル・カン(最初はテムジンと同盟を結んでいるがジャムカに乗せられテムジンたちを攻撃する。映画のクライマックス部分はこの戦闘)に松方弘樹、また即位式(戴冠式)シーンにシャーマン(巫者)・ケクチュに津川雅彦が一瞬、出演している。監督・澤井信一郎、脚本・中島丈博 / 丸山昇一、原作・森村誠一、主題歌・mink「InnocentBlue〜地果て海尽きるまで〜」

ラストの台詞
父と子が理解し合えたシーンに続いてラスト、中国の金へ攻め入る直前、万里の長城に向けて弓が放たれる「ジュチ…、お前が一番乗りだ」

蒼き狼 地果て海尽きるまで ナビゲート ~史上最大の帝国を築いた男 チンギス・ハーン~

MEMO
ジュチ役の松山ケンイチ登場シーンは一瞬「あ、Lだ」って思ってしまいました(膝を抱えて座る「デスノート」のLとダブりましたよ)。

即位式(戴冠式)のシーンは首都より1時間30分ほど離れたウンドルフ。そこに集められたエキストラの移動に要したバスは140台、ミニバン450台。End CreditにでるTransportの数の多さが物語っています(日本映画でこんなにTransport Staffが出たのは初めてかも…)

チンギス・ハーン率いる騎馬隊のキーカラー、TurquoiseBlueが美しい。

MEMO2
チンギスハーンを描いた映画・TVドラマ
「征服者」(1955年)・ジョン・ウェイン
「蒼き狼 成吉思汗の生涯」(1980年)・加藤剛
こちらは井上靖原作をTVドラマ化
監督を森崎東、他があたっている。

蒼き狼 地果て海尽きるまで
http://www.aoki-ookami.com/

Innocent Blue~地果て海尽きるまで~(DVD付)

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2007-02-08

夢の始まりと終わり、そして再生「ドリームガールズ」

マイケル・ベネット(演出・振付)による伝説のブロードウェイミュージカル「ドリームガールズ」の映画化(舞台初演は1981年)。物語・1962年デトロイト。エフィー・ホワイト(ジェニファー・ハドソン)、ディーナ・ジョーンズ(ビヨンセ・ノウルズ)、ローレル・ロビンソン(アニカ・ノニ・ローズ)の3人トリオ・ドリーメッツは辣腕プロデューサー・カーティス・テイラー Jr(ジェイミー・フォックス)に見出され人気歌手ジミー・アーリー(エディ・マーフィ)のバックコーラスに抜擢される。そして…。監督は「シカゴ」の脚本を書いたビル・コンドン。インタビューなどで語っている通り、歌の間もストーリーが進行するノンストップミュージカル。バックステージものとしても最高だが、黒人と白人の文化対岐クロニクルとしての描き方も素晴らしい。キャストも最良。

ドリームガールズ

注・以下、内容・台詞・各シーンの使用楽曲などに触れています。

各シーンと主な楽曲 
アマチュアコンテストでドリーメッツとして歌う「Move」まだ垢抜けない3人組(驚くべき事にビヨンセはオーラ消している…)がカーティスの目に留まりジミーのバックコーラスに。エフィーの兄、C.C.ホワイト(キース・ロビンソン)がジミーとドリーメッツに楽曲を作った「Cadillac Car」は黒人専門のラジオ局のチャートを駆け上がる、が、すぐに白人シンガーに無断で盗られてしまい当時の音楽業界の常であった人種の壁を感じる。この事がきっかけでカーティスは本格的にレインボーレコードを起ち上げてチャレンジをはじめる(ラジオ局へのあからさまな買収も)。その様子と共に歌われる「Steppin' To The Bad Side」。そんな情熱(と、裏工作)の甲斐あってジミーとドリーメッツの人気は上昇、と、同時にカーティスはディーナのカリスマ性に目をつけリードボーカルの変更を告げる。最初は猛反発のエフィー、しかしカーティスの説得に渋々承諾する。そこで歌われる(ジェイミー・フォックス、メインボーカルで)「Family(この曲は後半にもRepriseとして歌われる)」

象徴的な会話
「まるで商品みたいね」
「そう商品だ」

名前をザ・ドリームズに変えてのデビュー曲はキャッチーなナンバー「Dreamgirls」売れていく様子がテンポ良く描かれていて見ているこちらのテンションもあがっていく(映画ならではのダイナミズム溢れるシーン)。だがエフィーの不満は募るばかり(ディーナへの嫉妬も)。亀裂がもはや修復不可能になったステージ上で歌われる「And I Am Telling You I'm Not Going」(舞台版では第一幕Last Number)。舞台にひとり、エフィー…

新しいメンバーを加えたザ・ドリームズの人気は更に加熱。カーティスとディーナは結婚。エフィーには子供が…(実はカーティスとの間の娘)。そんな中、ジミーの元マネージャー、マーティ(ダニー・グローバー)がエフィーのためにセッティングしてくれたオーディションで歌への情熱をみせる「 I Am Changing」。逆に売れるためにメロウ路線を強いられ、自分を見失っていくジミー最後の登場シーンとなる「 I Meant You No Harm/Jimmy's Rap」(エディ・マーフィらしさが出たナンバー)。

ドリームガールズ オリジナルサウンドトラック

エフィの再出発(レコードデビュー)のためにC.C.ホワイトが書いたバラード「One Night Only」。しかし、カーティスのラジオ局などへの妨害でせっかくのエフィのレコードは葬られ、ディスコ調に変えられたザ・ドリームズが歌う「One Night Only ( Disco )」にとって代わられる(それは、かつて自分たちの受けた仕打ちと同じ事)。そしてディーナ(エフィーの一件を知ってしまう)とカーティスとの別れが決定的になった時に歌われるのが「Listen」(これは、もうビヨンセの超々熱唱)。

Last Sequenceはザ・ドリームズ解散コンサート。客席にはレインボーレコードに関わったすべての人たちが…。ザ・ドリームズによる「Hard To Say Goodbye」そして「ザ・ドリームズは4人です」のひとことにエフィーも加わってバラードテンポで「Dreamgirls ( Finale )」
End Titleへ

ドリームガールズ:デラックス・エディション(DVD付)

舞台とStaff、CastへのRespect
ラストナンバー「Dreamgirls ( Finale )」からEnd Titleへ入る瞬間がとても綺麗、きらきらと輝き舞い落ちる雪のような光。そしてカーテンコールの如くCastが紹介され(スマートなカット割り)、Staffもそれぞれ意味のある表記のされ方(例えば衣装デザイナー、シャロン・デイヴィスの場合デザイン画が映って実際の映画シーンがカットインされる)。本当にRespect溢れるタイトルロール。
そして最後に「マイケル・ベネットに捧ぐ

※ End Title DesignはPictureMill

ドリームガールズ
http://www.dreamgirls-movie.jp/top.html

Dreamgirls (1982 Original Broadway Cast)

追記
ジェニファー・ハドソンがアカデミー賞助演女優賞を受賞。

MEMO
ダイアナ・ロスとザ・シューブリームス、モータウンレコードがモデルといわれる本作。確かに、そのモータウンレコードの設立者はベリー・ゴーディ Jr、「ドリームガールズ」のレインボーレコード創立者はカーティス・テイラー Jr。どちらもカーディーラーというところも同じ。

Welcome to Motown.com
http://www.motown.com/
(英文)classic motownをClick

アルティメイト・コレクション The #1's Reflections: The Definitive Performances 1964-1969

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「華麗なるハリウッド衣装展」開催

華麗なるハリウッド衣装展」が3月1日より開催されます。「タイタニック」ケイト・ウィンスレットとレオナルド・ディカプリオの有名な「あのシーン」の衣装、オードリー・ヘップバーンの「マイフェアレディ」の衣装、「恋をしましょう」でマリリン・モンローが着た衣装、他にも「風と共に去りぬ」「裏窓」から「ムーランルージュ」「ラストサムライ」まで約40点の実際に映画で着用した衣装、スチール、衣装デザイン画などが展示される予定です。総合監修・米国映画テレビ衣装デザイナーズ・ギルド役員理事メアリー・ローズ(昨年開催された「マリリン・モンロー綺麗のヒミツ」展の総合監修)

3月1日〜3月13日
大丸ミュージアム・東京
(大丸東京店12階)

3月21日〜4月2日
大丸ミュージアム・神戸
(大丸神戸店9階)

DAIMARU MUSEUM
http://www.daimaru.co.jp/museum/index.html

タイタニック アルティメット・エディション マイ・フェア・レディ 特別版 ムーラン・ルージュ

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2007-02-07

BORN TO RUN !「世界最速のインディアン」

その永遠の5分に。BORN TO RUN、まさに走るために生まれてきた !!「世界最速のインディアン」傑作です !! 物語・63歳にして世界最速に挑む男、バート・マンロー(アンソニー・ホプキンス)。彼は21歳の時に出会った「インディアン」という名のバイクに惚れ込み40年以上もかけて独力で改造し続け、ライダーの聖地、アメリカ・ユタ州ボンヌヴィルの「スピードウィーク」を目指してニュージーランド最南端の町から遙かなる旅に出る(物語部分プレス参考)。脚本・監督ロジャー・ドナルドソン(34年前にバートに出会い、彼のドキュメンタリーを作って以来の「夢」であった映画化を実現 !! このことも素敵)。注・ここより内容、台詞に触れています。ユタ州に向かうまでのロードムービー部分でバートの性格のよさ(少年のような天衣無縫さ。誰に対しても色めがねを持って接しないフラットさ)が描かれ、まわりの人たちがすべて協力的になっていってくれる様子が見ていてとっても心地よい。一番印象的なシーンは初めて夢にまで見た地「ボンヌヴィル」に着いたときの感慨深げな表情。こちらまでジーンとしてしまいます(ヒッチハイクで一緒に乗っていた青年が「着いたときの顔が見たいから」と予定を変更してボンヌヴィルまでついてくるほどバートに「よい影響」をうけてるんですよね〜。もちろん映画を見た観客に対しても「よい影響」)。最後に字幕で出る実話としての(もっとすごい、その後の)事実にさらに驚き !

いろいろ名台詞がいっぱい。
隣に住む少年との会話
「夢を持たないヤツは野菜と同じだ」
「どんな野菜?」
「キャベツだ、そうキャベツだ」

「こういうマシンでスピードに挑むときは、5分が一生に勝る」

「危険が人生に味をつける。リスクを恐れちゃいかん」

オープニングの海岸を疾走するシーンにタイトルロゴ(かっこいいDesign)。Filmの質感も抜群。是非、劇場で、シネマスコープで、地平線を走り抜けるバートの姿をご覧下さい。

世界最速のインディアン
http://www.sonypictures.jp/movies/theworldsfastestindian/index.html

The World's Fastest Indian [Music from the Motion Picture] バート・マンロー スピードの神に恋した男

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2007-02-06

色彩設計はブルー「ゴッド・ディーバ」

2095年のニューヨークを舞台に人間やミュータント、エイリアン、神々が混在している世界を描いた「ゴッド・ディーバ」。監督はフランス製コミック「バンドデシネ」の巨匠、エンキ・ビラル。(オールカラーで作成されたコミックはどちらかというとアートと呼んだ方がマッチしている)。「ゴッド・ディーバ」は、彼のコミックの代表作ニコポル3部作の「不死者のカーニバル」「罠の女」が下敷きになっています。そのコミックで描いてきた世界観は「ブレード・ランナー」「フィフス・エレメント」などに多大なるインスピレーションを与えたといっても過言ではありません。
エンキ・ビラルのこの映画における独特の色彩設計は一言で例えるなら「ブルー」(単純なブルーではなくブルーグレー系)。その「ブルー」を表現するのにあたって「色は単独で存在するものではない」とコメントしている通り、照明や光の影響を考えながら画面の中で自分の気に入ったトーンに仕上げていった労作。主要キャスト3人(リンダ・アルディ、トーマス・クレッチマン、シャーロット・ランプリング)以外は、ほぼCGで作成された。

Enki Bilal - Le site
http://bilal.enki.free.fr/
イラスト、作品解説など(仏語サイト)

ゴッド・ディーバ リミテッド・エディション ゴッド・ディーバ The Nikopol Trilogy: The Carnival of Immortals/the Woman Trap/Equator Cold

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世界のホットドリンク、祝祭日とお菓子

以前、映画本の傑作「weird movies a go! go!」を出版したプチグラパブリッシングから2005年に発刊された「Hot Drinks around the World 世界のホットドリンク」のシリーズ第2弾「Holiday Sweets of the World 世界の祝祭日とお菓子」が発売されました。世界各地から集められた55の祝祭日のお菓子を素敵なレイアウトでレシピと共に紹介されています。尚、レシピメモがプチグラのサイトで3ヶ月連続公開中ですよ。

Petit Grand Publishing
http://www.petit.org/
 

Hot Drinks around the World 世界のホットドリンク 世界の祝祭日とお菓子

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2007-02-05

「幸せのちから」

ホームレスから億万長者へとアメリカン・ドリームを体現した男、クリス・ガードナーの実話の映画化「幸せのちから物語・セールスマンのクリス(ウィル・スミス)は仕事が思うようにいかず、妻に出ていかれアパートも追い出されてしまう。息子のためにもと、職を探して見つけた仕事は証券会社のインターン(6ヶ月無給)だった…。話題はやはりウィル・スミスと実の息子、ジェイデン・クリストファー・サイア・スミス(長っ! )との親子共演。息が合っていると言うよりはプロ2人といった趣さえある名演。日本初登場のイタリア人監督、ブリエレ・ムッチーノ。これが実にうまくて「お涙ちょうだいもの」にせず「いろいろな示唆を含む、ひとつのドラマ」として成立させた手腕は今後注目 ! 原題の綴りが「The Pursuit of Happyness(幸福の追求)」とスペルミス(正確にはHappiness)のようだが実は息子が託児所で書いた落書きからきている。

幸せのちから - オフィシャルサイト
http://www.sonypictures.jp/movies/thepursuitofhappyness/

Christopher Gardner Official Site
http://www.chrisgardnermedia.com/
クリス・ガードナー本人のサイト(英文)

The Pursuit of Happyness [Original Motion Picture Soundtrack] The Pursuit of Happyness 幸せのちから

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2007-02-04

アジアの風「墨攻」

90年代に「ビッグコミック」で連載された森秀樹の同名漫画「墨攻(ぼっこう)」(元は酒見賢一による小説)を映画化。物語・春秋戦国時代の中国。侵略、併合を否定する思想集団「墨家」から大国・趙(ちょう)の侵略に怯えている小国・梁(りょう)に革離(かくり)(アンディ・ラウ)が遣わされる。包囲された敵の数10万人、かたや援軍と思われた「墨家」からは革離(かくり)ただひとり。はたして、いかにして梁(りょう)を守るのか…。スタッフ、キャストに香港、韓国、中国、台湾、日本から才能が集結。趙(ちょう)の将軍に韓国の名優アン・ソンギ、革離(かくり)に好意を抱く逸悦(いつえつ)にファン・ビンビン、他にワン・チーウェン、チェ・シウォン、ウー・チーロン。監督は香港のジェイコブ・チャン。

墨攻

※注・以下、内容に触れています。
前半と後半、はっきりと分かれる構成。いかにして10万人の敵に対抗して梁城を守り抜くかを描いた「前半」。「戦わず」とはいえ、守るために起こる敵にも味方にも出る戦死者。革離(かくり)が「墨家」の考え方(「非攻」「兼愛」など「墨家十論」と称される)自体に疑問を持つ件(くだり)と梁(りょう)内部での革離(かくり)への妬みと疑心暗鬼からくる政変が「後半」。その後半、戦禍の後の俯瞰パンニングシーン(一瞬、絵画的描写に)は黒澤明監督「影武者」のラスト数分間映し出される戦禍の跡(おびただしい数の横たわる騎馬)を思い起こさせた。セットは原作と同じ河北省易県に建てられた(この空気感は別の場所では再現できなかったのでは ? )

映画「墨攻」公式サイト
http://www.bokkou.jp/

The Making of 墨攻

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2007-02-03

フワフワのゆらゆら「スキャナー・ダークリー」

「ウェイキング・ライフ」で使用されたロトスコープ(※)を更に深めて制作されたリチャード・リンクレイター監督の新作「スキャナー・ダークリー」(原作フィリップ・K・ディック)。ただ、DigitalCameraで映したOriginalDataにペイントをしていくだけではなく、レイヤーを重ねること(およびフレーム間の流動的な彩色)によって表現された「グニャグニャ・フニャフニャ・ゆらゆら感」が独特の気持ち悪さと心地よさを同居させている。物語・今から7年後の近未来のロサンジェルス郊外。麻薬捜査官ボブ・アークター(キアヌ・リーブス)は、究極のドラッグ「物質D」の供給源を突きとめるため「おとり捜査」を開始していた。しかし、何者かの「タレコミ」により、いつの間にか自身が監視されるはめに陥る。さらに「物質D」の影響もあり次第に人格が分裂していく悪夢に苛まれていく。出演は他にウィノナ・ライダー、ロバート・ダウニーJr、ウディ・ハレルソン(この内容にこのキャスティング !! それ自体がすごいなぁ〜)

ウェイキング・ライフ

※ロトスコープ作業は「Combustion 4」や「AfterEffects」などのエフェクトツールではなく専用のSoftware(CNET Japanによると「Rotoshop」)により作成された。
※余談だが今年リリースされるレタッチソフト「Photoshop CS3」から動画がサポートされることになっており「ロトスコープ的、似た表現作品」が多数出てくるのでは?と予想されます。

スキャナー・ダークリー
http://wwws.warnerbros.co.jp/ascannerdarkly/

スキャナー・ダークリー

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2007-02-02

フライパンと赤いペディキュア「魂萌え!」

魂萌え!(たまもえ)」(桐野夏生・原作)は阪本順治監督、久々の女性が主人公の映画。物語・59歳、平凡な主婦として平穏に暮らしてきた敏子(風吹ジュン)。しかし定年退職の3年後に夫・隆之(寺尾聰)が急死。さらに葬儀の日、夫の携帯にかかってきた見知らぬ女性、昭子(三田佳子)が長く愛人だったことがわかり驚きとともに激しい憤りを感じる。そして…。出演は他に田中哲司(長男役)、常盤貴子(長女役)、林隆三、加藤治子、豊川悦司。注・内容に触れています。冒頭、ごしごし洗っていた重たいフライパンはテフロン加工に変わり、はじめて自分の携帯や手帳を持ち、最初(初対面時)はよろけるぐらいにショックを受けた昭子の赤いペディキュアは映画の終盤、サンダル履きの疲れた素足に変わっていたりと様々な変化が敏子の「変わりたい ! 」心と行動によって巻き起こっていく鮮やかさ。このあたり、やっぱり阪本監督なんですよね〜。この敏子と昭子、ふたりの向かい合った演技の凄さ!! そして敏子の高校時代の友達3人組(由紀さおり、今陽子、藤田弓子)が、いかにもという感じで楽しそうに(リアル ! )演じています(お互い「ちゃん」づけで呼んでるし〜)。また「ひまわり」や「あじさい」「桜」などの花のショットが要所要所に組み込まれて、それがとってもよいアクセントになっています。最後の最後は「ひまわり」。おまけにヴィットリオ・デ・シーカ監督の映画「ひまわり」まで !!! ほんと、お見事です。「ファイト ! 」

魂萌え!
http://www.tamamoe.com/

魂萌え ! 魂萌え!〈上〉 魂萌え!〈下〉

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「レイモン・サヴィニャックの原画展」

2005年に開かれた展覧会で一般的にも知られるようになったレイモン・サヴィニャック(広告芸術家にしてポスター作家)。その原画展が2月10日よりグッドデザインカンパニー(ラーメンズのフライヤーなどを手がけるデザイン会社)のギャラリー(g)にて開催されます(東京・渋谷)。詳細は下記WEBまで。

グッドデザインカンパニー

http://www.gooddesigncompany.com/

レイモン・サヴィニャック フランスポスターデザインの巨匠

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ブライアン・デ・パルマ監督「ブラック・ダリア」

ジェームズ・エルロイのノワール小説「ブラック・ダリア」(映画化された「LAコンフィデンシャル」を含めて暗黒のLA4部作と呼ばれる)をブライアン・デ・パルマが監督。出演・ジョシュ・ハーネット、アーロン・エーカット、スカーレット・ヨハンソン、ヒラリー・スワンク。
ブライアン・デ・パルマというとギミックに溢れた映像(廻る廻るカメラや思い切り横移動)が有名で時にやりすぎ(?)てしまったり、ヒッチコックへのオマージュ(「めまい」から「愛のメモリー」という作品を作り上げた…傑作 ! )が多すぎると、言われたりしていますが本作は「その部分」が非常にバランスよく織り込まれた映画となっています。(ワンカットでの俯瞰横移動やまわりこむカメラ、光と陰の演出などなど)。「アンタッチャブル」でキーアイテムとなったマッチが、今作にも…(思わずニンマリ)。そうそう「ファントム・オブ・パラダイス」のあの人も !

その撮影、映像
白黒映画的なルックについてデ・パルマ監督は「ハイキーにするということだ。暗いところは暗く、黒いところは黒く、フレームの中の白いところは白く。デジタル・インターメディアを使って、撮影素材をコンピュータ処理してやればどんな色補正でも可能だからね」と語っています。(この部分、プレスより引用)

衣装はアカデミー賞ノミネートの常連ジェニー・ヒーヴァン(ジェームズ・アイボリー監督作品の衣装を多く手がけています)

The Black Dahlia ファントム・オブ・パラダイス

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2007-02-01

フランシス・フォード・コッポラ監督・人工の街『ワン・フロム・ザ・ハート』

ロケ撮影をいっさい行わずに全てセットとミニチュアで作られたフランシス・フォード・コッポラ監督ワン・フロム・ザ・ハート

物語・7月4日の独立記念日を明日に控えた、ラスベガスの街。旅行会社に勤めるフラニー(テリー・ガー)の夢は南の楽園ボラボラ島へ行く事。しかし、同棲生活5年を迎える恋人ハンク(フレデリック・フォレスト)はそんな島へ行く事よりも彼女との平凡な家庭生活を密かに望んでいた。そして、そのような性格不一致の2人はささいな事からケンカ、フラニーは遂に家を出て行ってしまう…。

撮影ヴィットリオ・ストラーロ(ベルトルッチ監督作品をほとんど手がける名カメラマン。「ラストエンペラー」でのゴールデンアンバー調の色彩設計はストラーロの特色と呼べるもの)。オープニングのミニチュアの看板を使ったタイトルロールから沿道、そしてフラニーの働く旅行会社のオフィスめがけてショーウィンドウを一気に突き破ってしまうカメラワークは圧巻です。 

Ofth

美術はコッポラ監督と「ゴッドファーザーPART2(正確にはロシア数字表記)」以来の付き合いとなるディーン・タブラリス。コッポラ監督の無理難題にも「俺にできない美術(デザイン)はない ! 」と答える程。
ラスベガスのミニチュアから終盤に登場するマッカーラン空港のセットまで制作したのはグレッグ・ジーン(「未知との遭遇」のマザーシップ!を作ったのはこの人)

そして、公開当時に話題になったのが高品位ビデオカメラを導入して撮影された事(現在のデジタル撮影の「デ」の字も無い時代においては最先端、と、いうか先駆者だったのではと思われます。当然、AppleのMacも生まれていないし、CGも研究段階だった)。
その時の撮影の様子が記録されています。(以下、公開時のプログラムより抜粋)。
あらかじめ全ショットを1枚ごとの絵コンテにし、効果音と全台詞を入れたサウンド・テープ(ラジオドラマのようなもの)を作成。この2つをビデオテープにシンクロさせたのち、アテレコの要領でリハーサルを行う。ビデオに収められたコンテに合わせ、役者たちは大体の動きを決めていく。さて、本番。ラスベガスのセットの中で、役者たちはあらかじめ決められたとおりの動きをし、セリフをしゃべる。これを2インチのビデオテープに収め、フィルムにトランスファーしていくのだ。この間、コッポラ監督は何をしていたのかというと現場には姿を見せず、もっぱらトレーラーを改造したビデオ調整室にいて、ブラウン管とにらめっこ。「TV局のディレクターのような仕事ぶり」と評されたわけである。高品位ビデオカメラのおかげで、画質はいたって鮮明。色のひずみも硬さも無い。明るく、そして柔らかい。特に赤が驚く程の発色を見せている。

この映画のキーとなる色彩は。オープニングとエンディングに現れる緞帳は。タイトルは。フラニーは、ハンクは。ふたりの心情が混じる部分は
と、はっきりと色分けされているのもわかりやすい趣向となっています。
音楽も男心をトム・ウェイツが女心をクリスタル・ゲイルが歌っていて渋く、そしてロマンティックに盛り上げています。
元々は「砂漠の真ん中の街で、撮影ができるか ! 」のコッポラ監督のひと声で、ラスベガスの街を含むオールセット撮影になったという逸話も。

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