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2007-02-02

フライパンと赤いペディキュア「魂萌え!」

魂萌え!(たまもえ)」(桐野夏生・原作)は阪本順治監督、久々の女性が主人公の映画。物語・59歳、平凡な主婦として平穏に暮らしてきた敏子(風吹ジュン)。しかし定年退職の3年後に夫・隆之(寺尾聰)が急死。さらに葬儀の日、夫の携帯にかかってきた見知らぬ女性、昭子(三田佳子)が長く愛人だったことがわかり驚きとともに激しい憤りを感じる。そして…。出演は他に田中哲司(長男役)、常盤貴子(長女役)、林隆三、加藤治子、豊川悦司。注・内容に触れています。冒頭、ごしごし洗っていた重たいフライパンはテフロン加工に変わり、はじめて自分の携帯や手帳を持ち、最初(初対面時)はよろけるぐらいにショックを受けた昭子の赤いペディキュアは映画の終盤、サンダル履きの疲れた素足に変わっていたりと様々な変化が敏子の「変わりたい ! 」心と行動によって巻き起こっていく鮮やかさ。このあたり、やっぱり阪本監督なんですよね〜。この敏子と昭子、ふたりの向かい合った演技の凄さ!! そして敏子の高校時代の友達3人組(由紀さおり、今陽子、藤田弓子)が、いかにもという感じで楽しそうに(リアル ! )演じています(お互い「ちゃん」づけで呼んでるし〜)。また「ひまわり」や「あじさい」「桜」などの花のショットが要所要所に組み込まれて、それがとってもよいアクセントになっています。最後の最後は「ひまわり」。おまけにヴィットリオ・デ・シーカ監督の映画「ひまわり」まで !!! ほんと、お見事です。「ファイト ! 」

魂萌え!
http://www.tamamoe.com/

魂萌え ! 魂萌え!〈上〉 魂萌え!〈下〉

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コメント

TBありがとうございます。
往年の邦画の手法、良いところも十分に取り入れた、「これぞ!」と思わせる坂本監督ならではの作品に仕上がっていて、とても嬉しく思います。題材も脚本も、ご自身で手がけられていたことが、功を奏していますね。身につまされる壮年諸氏は多いのではないでしょうか?(^^;)

投稿: あかん隊 | 2007-02-03 02:03

コメント失礼します。
TBもさせていただこうと思ったのですが、
もしかしたらちゃんと送れていないかもしれません。
その時はご容赦ください。
本作ですが、見事な女性賛歌だと思いました。
敏子の変わりたいという願望、
そして変わっていく様子が見ていてすがすがしかったです。

投稿: 現象 | 2007-02-04 15:43

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