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2010-03-31

山田宏一・和田誠「ヒッチコックに進路を取れ」

昨年、山田宏一・和田誠著「ヒッチコックに進路を取れ」が出て以来、本文で語られているお2人の会話があまりに楽しくて改めて未見のものも含めてヒッチコック監督の映画をDVDで再見中。で、読んでいて楽しいのは、ヒッチコック作品以外にも出てくる他の作品の多いこと多いこと。例えば「スミス夫妻」の項で語られるスクリューボール・コメディの数々。エルンスト・ルビッチ、フランク・キャプラ、レオ・マッケリー、プレストン・スタージェスの話題やキャロル・ロンバートの事など観たもの未見のもの含めて百花繚乱。とてもワクワクする。本文の構成はアメリカ時代の30本プラスヒッチコック劇場、イギリス時代の作品に分かれています。アメリカ時代の部分はかつてのLD(レーザーディスク)の解説が元で、イギリス時代は新たに主要な作品の論評が追加されています。さらに巻末には「ヒッチコックとその周辺」というヒッチコックにまつわる話題を語った対談も。ヒッチコック鑑賞後の最大のお楽しみ本!オススメ!

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タイトルデザイン_15・NINE/ナイン・Fugitive Studios

注・内容に触れています。
フェデリコ・フェリーニ監督による自伝的映画「8 1/2」の舞台ミュージカル「NINE/ナイン」をロブ・マーシャル監督がアカデミー賞を受賞した「シカゴ」に続いてミュージカル映画化。主人公グイドをダニエル・デイ=ルイス。そして豪華な女優陣。列挙するだけでもスゴイ。マリオン・コティヤール、ペネロペ・クルス、ニコール・キッドマン、ケイト・ハドソン、ジュディ・デンチ、ソフィア・ローレン、ファーギー
こうなると、期待してしまうのは各俳優陣の競演部分になるのだが、オープニングの全員によるアンサンブルのみ。まぁ、ひとりひとりに最低一曲ずつが割り当てられている楽曲による為なのか対俳優感のパワーバランスなのか、もしくはグイドを軸にした夢か現実か、といった物語のせいなのか、そのあたりはわからないが実に惜しい。
もともと「8 1/2」のミュージカル化自体が難しいと言われていたものを、舞台版よりさらに華やかなものにしていて楽しめる。

Title部分はシンプルな一枚Title(こちらの制作は不明)。しかし各キャストがフィナーレで紹介され、ラストと繋がるキャッチーなEndroll Titleの制作はFugitive Studios。最初、印象としてはカイル・クーパーっぽいのでPrologue Filmsによるものかと思ったが様々なVFXを手がけるFugitive Studiosでした(最近よく見かけます)。残念ながらWebの方には制作したTitle Designは公開されていませんでした。

映画「NINE」オフィシャルサイト
http://nine-9.jp/

NINE

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2010-03-25

タイトルデザイン_14・マイレージ、マイライフ・Shadowplay Studio

マイレージ、マイライフ」。しかし、ジェイソン・ライトマン監督。うまいなぁ~。テーマが失業問題だったり、インターネット社会のコミュニケーションについてだったり、家族の在り方だったりと、そのまま描くと重たい感じ、もしくは説教臭くなるところを軽妙な会話とテンポで紡いでいく往年のハリウッド映画を思い起こさせる仕上がり。
ジョージ・クルーニーも役にぴったり(主人公と同年齢ぐらい?)。声の抑制が淡々としていて「失業言い渡し人或いはマイル貯めることだけが目的人」らしい。あることがきっかけで人生を考え始めた時の微妙なうろたえぶり(表面はうろたえていないようだが)も絶妙。

メインタイトルデザインは「JUNO」「サンキュー・スモーキング」と同じShadowplay Studio
原題のup in the air、宙に浮いた、というイメージにピッタリのタイトルデザインから、既に映画に引き込まれる。

Shadowplay Studio | Design and Content(英文)
http://www.shadowplaystudio.com/
ジェイソン・ライトマン監督のすべてのメインタイトルが見られます。
もちろん「マイレージ、マイライフ」も。
鑑賞後のお楽しみにどうぞ!
※要QuickTimePlayer

マイレージ、マイライフ (小学館文庫)

JUNO/ジュノ<特別編> [DVD]

サンキュー・スモーキング (特別編) [DVD]

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2010-03-18

映画宣伝・増えてきたお試しBOOK(試し読みBOOK)・「ソラニン」「のだめカンタービレ」「ライアーゲーム」・・・

昨年辺りから新しい紙関係(ポスター、フライヤー、うちわなど)の映画宣伝物として増えてきたのが漫画原作本と映画のコラボ、お試しBOOK。最初は劇場版の「名探偵コナン」や「クレヨンしんちゃん」など、アニメ作品に限られていましたが昨年秋ぐらいから実写映画のお試しブックが続々。つい最近も「ソラニン」「のだめカンタービレ最終楽章 前編」「ライアーゲーム」などがお試しBOOKとして映画館で配布されていました。配布と言ってもチラシと同じ形で置かれている場合が多いですが。
なかでも来月公開の「ソラニン」お試しBOOKは原作コミック4話分64頁収録のボリュームでビックリ。浅野いにおさんの原作の雰囲気を伝えて映画とシンクロ。

「・・・で、とりあえず曲、何やる?」
「ソラニン。」

MEMO
3月29日発売のビッグコミックスピリッツ17号に「ソラニン」スピンオフストーリー読切と特別インタビューが掲載されます。

Book

ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)

ソラニン 2 (ヤングサンデーコミックス)

ソラニン

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2010-03-15

タイトルデザイン_13・シャーロック・ホームズ、Prologue Films

ガイ・リッチー監督による「シャーロック・ホームズ」、ロバート・ダウニー・Jrジュード・ロウのふたりで今までのホームズ、ワトソンとは違った、ある種バディムービーとでも呼べるほどのアクティブなイメージで再構築されています。
※内容については追記記載します。

これから御覧になる方はご注意。以下のタイトルデザイン部分紹介で内容に触れています。
オープニングのスタジオロゴ(もはや、ここから19世紀末ロンドンのイメージ)、そして新聞の紙面から変わるタイトルや手書きスケッチ風のエンドタイトルなど印象的なデザインをおこなったのは多くのTitleDesignを制作しているPrologue Films
アイアンマン」から「インクレディブル・ハルク」、「俺たちフィギュアスケーター」「アクロス・ザ・ユニバース」などなど。

ホームページ(英語サイト)でメインタイトルなどが紹介されています。
まずENTER SITEをクリック
FILMをクリックすると現時点の最新作「シャーロック・ホームズ」のメインタイトル、エンドタイトル、VFXなどが御覧いただけます。さらに右下の_MOVIEをクリックすると映像で見ることができます(劇場で映画を見てから御覧下さいね) ※要QuickTimePlayer

その他のPrologue Films制作のメインタイトルは左側に原題で出ています。

追記1
Imaginaryforcesを退いて後、Prologue Filmsで制作しているカイル・クーパーはガイ・リッチー監督の前作「ロックンローラ」ではtitles executive producer
「シャーロック・ホームズ」は記載なしです。

追記2
表記訂正・Prologue Films

Prologue Films (英文)
http://prologue.com/

シャーロック・ホームズ オリジナル・サウンドトラック

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2010-03-13

2010年・吉田拓郎展・大阪

映画「時をかける少女」で劇中流れる「春だったね」繋がりで少し番外編。全国巡回中の「吉田拓郎展」(東京、広島など終了)が大阪・道頓堀・中座くいだおれビル「studio ZAZA」で3月22日まで開催されています。

Takuro_po
展覧会告知ポスターが駅などに大量に貼られています。

Takuro_t2
会場の入口前の様子。くいだおれ太郎の人形もありますよ。
近くには先日オープンしたばかりのH&Mが。
展覧会の内容が開催されている場所で少しずつ変更されているようで、数日前からつい最近撮影された「オールナイトニッポンGOLD」の様子(2010年3月8日放送分)も流されています。

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あゝあれは春だったね。仲里依紗・主演、谷口正晃監督『時をかける少女』

注・内容に触れています
今まで幾度となく映像化されてきた「時をかける少女
(キネマ旬報3下旬号で大森望さんが時をかける「時をかける少女」のタイトルで映像化の歴史を詳しく紹介しています)今回の谷口正晃監督版「時をかける少女」は柴山和子(大林宣彦監督版の主人公・今作では安田成美が演じている)の娘、・あかり(細田守監督アニメ版で真琴の声を演じた仲里依紗)が1974年(本当は1972年のところを間違ってにタイムリープ)大林宣彦監督版の続編という設定。

Tokikake

今作は今(3月~4月)、見ると時期的にもピッタリ
桜の花
がキーポイントになっています。
そして、
おでんの屋台であかりと涼太(中尾明慶)が座っている時に
ラジオから流れていたのは吉田拓郎の「春だったね」

あかりの台詞
あ、この曲、この頃の歌だったんだ
(映画の冒頭で前フリあります)

二人の声も消えてしまった あゝあれは春だったね

映画『時をかける少女』オフィシャルサイト
http://tokikake.jp/indexp.html

MEMO1
アニメ版主人公のポロポロ涙の表情と声、同じ仲里依紗が
実写で演じても同印象なのはオドロキ
(アニメ版成功の要因の一つだったんだなぁと再確認)


そして大林宣彦監督版「時をかける少女」


MEMO2

大森望さんが多数、翻訳しているコニー・ウィリス
いろいろ映画ネタが出てきて楽しめるが
中でも「リメイク」はズバリ、映画界が舞台

MEMO3

「春だったね」が収録されている吉田拓郎(よしだたくろう)のアルバム「元気です」は1972年の発売。年間売上を見ると1972年は2位、1973年は4位と今では考えられないぐらいのロングセラーだったのですね~

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2010-03-11

「ヴィクトリア女王 世紀の愛」の衣装デザインでサンディ・パウエルがアカデミー賞

ヴィクトリア女王 世紀の愛」でサンディ・パウエル
恋におちたシェイクスピア」「アビエイタ」に続いて
第82回アカデミー賞で衣装デザイン賞、3度目の受賞となりました。

ちなみに「ベルベット・ゴールドマイン」も「ヘンダーソン夫人の贈り物」もサンディ・パウエルによるもの(共にアカデミー賞ノミネート作品)

Victoria

MEMO1
使用された衣装生地はシルクが多く(刺繍がほどこされたものも)、
袖口にはオリジナルアンティークレースが !!
MEMO2
白いウェディングドレスのイメージが一般に定着していくきっかけは1840年、ヴィクトリア女王の結婚式での白(乳白色)のシルクサテンのドレスといわれています。
MEMO3
戴冠式の王笏と指輪にはスワロフスキークリスタルが !!

最後に少し物語を。
英国を太陽の沈まない国と呼ばれるほどの最強の帝国に押し上げたヴィクトリア女王。そのビクトリア女王とベルギー国王が王位継承者の座を狙って送り込んだアルバート(しかしそんな策略とは関係なく二人は惹かれていく)との純粋で一途な愛を描いたラブストーリー

シリーズ・映画の中のシーリングスタンプ
その二人の間で交わされる手紙にはしっかりと封蝋(ふうろう)が。
シーリングスタンプが実際に押されるシーンもあります。
(横向きの獅子が描かれたシンプルなものでした)
また同じサンディ・パウエルがアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞した「恋におちたシェイクスピア」の中にもシェイクスピアが書き上げた新作戯曲が、まだ誰も読んでいない証として結びつけた紐の上に封蝋が押されていました。

映画『ヴィクトリア女王 世紀の愛』公式サイト
http://victoria.gaga.ne.jp/

アビエイター プレミアム・エディション [DVD]

 Movie/ヘンダーソン夫人の贈り物(Dled)

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