北野武監督、超絶的正攻法。『アウトレイジ』
注・内容に触れています。
ネタばれしています。鑑賞後に御覧下さい。
北野武監督が久々に描く本格バイオレンス・アクション『アウトレイジ』。タイトルは極悪非道を意味し、登場人物すべてが悪人。いつもの北野組(寺島進や大杉漣ら)以外の俳優がズラリ。これだけでもスゴイが今までの北野武映画的話法も変えて、正攻法で描ききっている。しかも超絶的に上手い。音楽は「座頭市」に続いて2作目となる鈴木慶一。衣装デザイン、黒澤和子。
物語・関東一円を仕切る巨大暴力組織、山王会(会長役に北村総一朗)の若頭である加藤(三浦友和)が、直参である池本組の組長、池本(國村隼)に苦言を呈するところから、物語は始まる。
とにかく今までの北野作品と違って、よく喋ること喋ること。(「なんだ、この野郎」「テメェ、この野郎」「なんだと」も多いですが)
突然、時間的に跳んだり、省略されたり、幻惑的なカットが挟まれたりも無く、スッキリと時間軸に沿って描かれていく。そして、いわゆるキタノブルーと評される色調のシーン(正確には違うかもしれないが)。ラスト近く椎名桔平演じる水野がロープと車を使った残忍な報復にあうシーン後の俯瞰ショットやサイドからのスローモーション部分に印象的に使われている。
今まで味方側と思っていたものが簡単に裏返る。そのドラマ的オモシロさと怖さ。堪能するためには相関図や誰がどの役なのかを知らずに見る方が更に楽しめる。全員主役級の俳優だけに誰がどうなっていくのかが、わからない訳ですから。
※痛いシーン(主に石橋蓮司の…思い出しただけで…)歯医者の治療中に、組事務所で舌を出して、風呂場(サウナ)で、カッターナイフで…、耳に尖った…、指詰めで、トイレで…、そして首にロープを巻きつけて走り出す車。北野監督がインタビューで「中間部分がダレそうなんで痛いシーンを」、と語っていました。
神戸ロケ
東京が舞台だが、全体の4割のロケが神戸で行われた。そのことが神戸市の広報メルマガ「神戸めるまが倶楽部・5月25日号」に掲載されていました。
以下、抜粋
旧居留地の高砂ビルがビートたけしさん演じる大友の組事務所、東門街が物語序盤の繁華街として登場する他、東門街のクラブとアパート、北野坂のクラブ、市役所裏の道路、ポートピアホテル、神戸国際展示場の地下駐車場、ポートアイランドの用地と道路、神戸市中央卸売市場、なぎさ公園、県立工業技術センター、旧市立高校など、市内各所で撮影されました。
神戸フィルムオフィス
http://www.kobefilm.jp/
※MEMO1
神戸市内の3つの上映劇場では、オフィス北野の協力で劇場のロビーに、“神戸ロケ地ガイド”という大きなバナーが掲出されています。
※MEMO2
なお、迫力あるタイトルバックは(つくば)北部工業団地で撮影しました。
つくばフィルムコミッション
http://www.tfcr.jp/
「アウトレイジ」オフィシャルサイト
http://office-kitano.co.jp/outrage/main.html
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