« 2010年5月 | トップページ | 2010年7月 »

2010-06-13

北野武監督、超絶的正攻法。『アウトレイジ』

注・内容に触れています。
ネタばれしています。鑑賞後に御覧下さい。

北野武監督が久々に描く本格バイオレンス・アクション『アウトレイジ』。タイトルは極悪非道を意味し、登場人物すべてが悪人。いつもの北野組(寺島進や大杉漣ら)以外の俳優がズラリ。これだけでもスゴイが今までの北野武映画的話法も変えて、正攻法で描ききっている。しかも超絶的に上手い。音楽は「座頭市」に続いて2作目となる鈴木慶一。衣装デザイン、黒澤和子
物語・関東一円を仕切る巨大暴力組織、山王会(会長役に北村総一朗)の若頭である加藤(三浦友和)が、直参である池本組の組長、池本(國村隼)に苦言を呈するところから、物語は始まる。

とにかく今までの北野作品と違って、よく喋ること喋ること。(「なんだ、この野郎」「テメェ、この野郎」「なんだと」も多いですが)
突然、時間的に跳んだり、省略されたり、幻惑的なカットが挟まれたりも無く、スッキリと時間軸に沿って描かれていく。そして、いわゆるキタノブルーと評される色調のシーン(正確には違うかもしれないが)。ラスト近く椎名桔平演じる水野がロープと車を使った残忍な報復にあうシーン後の俯瞰ショットやサイドからのスローモーション部分に印象的に使われている。
今まで味方側と思っていたものが簡単に裏返る。そのドラマ的オモシロさと怖さ。堪能するためには相関図や誰がどの役なのかを知らずに見る方が更に楽しめる。全員主役級の俳優だけに誰がどうなっていくのかが、わからない訳ですから。

※痛いシーン(主に石橋蓮司の…思い出しただけで…)歯医者の治療中に、組事務所で舌を出して、風呂場(サウナ)で、カッターナイフで…、耳に尖った…、指詰めで、トイレで…、そして首にロープを巻きつけて走り出す車。北野監督がインタビューで「中間部分がダレそうなんで痛いシーンを」、と語っていました。

神戸ロケ
東京が舞台だが、全体の4割のロケが神戸で行われた。そのことが神戸市の広報メルマガ「神戸めるまが倶楽部・5月25日号」に掲載されていました。
以下、抜粋
旧居留地の高砂ビルがビートたけしさん演じる大友の組事務所、東門街が物語序盤の繁華街として登場する他、東門街のクラブとアパート、北野坂のクラブ、市役所裏の道路、ポートピアホテル、神戸国際展示場の地下駐車場、ポートアイランドの用地と道路、神戸市中央卸売市場、なぎさ公園、県立工業技術センター、旧市立高校など、市内各所で撮影されました。

神戸フィルムオフィス
http://www.kobefilm.jp/

MEMO1
神戸市内の3つの上映劇場では、オフィス北野の協力で劇場のロビーに、“神戸ロケ地ガイド”という大きなバナーが掲出されています。

MEMO2
なお、迫力あるタイトルバックは(つくば)北部工業団地で撮影しました。
つくばフィルムコミッション
http://www.tfcr.jp/

アウトレイジ」オフィシャルサイト
http://office-kitano.co.jp/outrage/main.html


Out

Out2

| | トラックバック (32)

2010-06-12

タイトルデザイン_16・アイアンマン2・Prologue Films

注・内容に触れています。
物語・天才科学者にして大企業の経営者、そしてパワードスーツの開発者でアイアンマンであるトニースターク(ロバート・ダウニー・Jr)の前に互角の能力を持つパワードスーツを身につけたウィップラッシュ(ミッキー・ローク)と名乗る男が現れる。そして…。監督は前作に続きジョン・ファヴロー。前作の秘書役、そして今回はスターク社の社長に抜擢されるペッパー・ポッツにグィネス・パルトロウ。他にスカーレット・ヨハンソン、ドン・チードル、サム・ロックウェル(軍需企業「ハマー・インダストリーズ」の社長←おいしい役だ~)、サミュエル・L・ジャクソン。

この作品は間違いなく前作を観てから御覧になることをオススメします。前作で描かれていたスタークとポッツとの関係やトニースタークは如何にしてアイアンマンになったか(パワードスーツを作ったか)、という背景がわかって観た方がさらに楽しめます。

秘書で恋人で母親のようで今回は社長のペッパー・ポッツとスタークとの言い合い(なんだか痴話喧嘩に見えたり)が前作同様微笑ましく笑えましたよ(ポッツ役のパルトロウ、チャーミングでは?)。

ナタリー(スカーレット・ヨハンソン)はニック(サミュエル・L・ジャクソン)率いるSHIELDの女スパイ役。このスカーレット・ヨハンソンのアクションシーンは切れ味鋭くカッコイイです♪

で、そのSHIELDが計画しているアベンジャーズ計画に相談役としてトニー・スタークが。と、いうところで前作同様のエンドクレジット終了時に次回作(続きますよね?)への前フリが!

あ!今回スタークの運転手の活躍あり!(笑)

TitleDesign
アイアンマン2』のタイトルシークエンスからVFXモンタージュまで広範囲にわたってのデザインワークを行ったのはTitleDesignを制作しているPrologue Films。まもなく公開の『ザ・ウォーカー』のタイトルデザイン。『ロビン・フッド』のエンディングの手書きペインティング的デザインも素晴らしい。
Prologue Filmsは「アイアンマン」から「インクレディブル・ハルク」、「俺たちフィギュアスケーター」「アクロス・ザ・ユニバース」「インベージョン」などなど、それはそれは多数のタイトルシークエンスやデザインワークを行っています。

ホームページ(英語サイト)で今まで制作してきたタイトルシークエンス、エンドタイトルなどが紹介されています。左側に原題で出ています。
もちろん『アイアンマン2』も。
鑑賞後のお楽しみとして御覧下さい。
※要 QuickTimePlayer

Prologue Films (英文)
http://prologue.com/

アイアンマン2」オフィシャルサイト
http://www.ironman2.jp/

Iron

Iron Man 2(輸入版:北米・アジア)

アイアンマン [Blu-ray]

IRON MAN 2 ARTFX アイアンマン MARK IV (1/6スケールPVC塗装済み簡易組み立てキット)

【ムービー・マスターピース】 『アイアンマン2』 1/6スケールフィギュア ウィップラッシュ

【ムービー・マスターピース】 『アイアンマン2』 1/6スケールフィギュア ブラック・ウィドー

アイアンマン2  ブルーレイ&DVDセット

アイアンマン2 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

| | トラックバック (38)

2010-06-09

『告白』執拗に挟み込まれる空のカットのように。

※ネタバレ注意
映画の話法に乗っかって、
いつもと違う書き方で。

愛美は事故で死んだのではなく、
このクラスの生徒に殺されたからです。
私の告白は以上です。
ぱちん どっかーん なぁんてね 
ここから更生するのよ

冒頭の30分、ほぼ森口悠子(松たか子)の
告白」と37人の生徒たちのみのシーン。
ラスト、体育館での終業式当日。
森口先生と犯人の少年。
それを取り囲む生徒たちのシーン。
始まりと終わり。

語られている告白は告白なのだろうか?
黒バックに白抜きで告白・森口悠子、
告白…、告白…と出ているが…
映っているものが
全て真実とは限らない…かも?

生徒たちのリアル
起きた事件を忘れ去るために
異様な明るさで振舞う。
(ザッツザウェイ)
ひとたび異物を見つけた時の執拗さ。
寄せ書きに仕込まれた「…」の文字。
(これは、確実にこころに
突き刺さったままの傷からと見た方が…)

モノローグ、台詞、演者、映像、音楽が
幾重ものレイヤー構造となって
虚実、判断しかねる「映画体験」に誘う(いざなう)

舞台劇風にせず
『羅生門』的アプローチ(Rashomon Approach)にもせず
「告白」というアプローチを使って
話法をずらして描いていく巧みさ。

この映画のスゴさは「善悪」や「命」の考察、テーマを
語るのではなく見ている観客にも
登場人物すべてが受けたであろう
「傷(引っ掛かり)のようなもの」を確実に
こころの中に滑り込ませたところにあるような気がします。
劇中、執拗に挟み込まれる空のカットのように

■映画『告白』インフォメーション
6月5日(土)命がけの全国ロードショー
監督・脚本:中島哲也
出演:松たか子、岡田将生、木村佳乃と
37人の13歳
原作:湊かなえ「告白」(双葉社刊)
配給:東宝(C)2010「告白」製作委員会

MEMO
Radioheadの「Last Flowers」の主題歌もスゴイが
The XXの「Fantasy」が使われていてオドロキ。
しかしFantasyって…。

映画『告白』公式サイト
http://kokuhaku-shimasu.jp/
生徒たち37人の裏告白動画あり。

Koku

告白 オリジナル・サウンドトラック

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

コミック版 告白

| | トラックバック (47)

2010-06-07

川口浩史監督「トロッコ」。風景も眼差しも美しい。

芥川龍之介の短編小説『トロッコ』を台湾を舞台に移して再構築。3年の歳月をかけてオリジナル脚本として生まれ変わった。監督は篠田正浩監督、行定勲監督の助監督をつとめてきた川口浩史。撮影監督に侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督作品でおなじみのリー・ピンビン。そのリー・ピンビンの「台湾にはまだトロッコが残っている」というひと言から当初は日本で撮影予定だった映画の軸が台湾に移ったことによって山々の緑が生える美しい作品に仕上がった。
物語・急死した父親の遺灰を届けるために8歳の少年、敦(原田賢人)と弟の凱(大前喬一)、母親の夕美子(尾野真千子)の3人は父の故郷である台湾へ。そこは山深いところにある、しかしどこか懐かしさもある、小さな村だった。

少年を演じたふたりの顔がいい。最初はゲームばかりして、ふてくされていた兄の敦が徐々に母親とのもどかしい距離や自分の抑えていた気持ちがほどけていく感じが良く出ている。少年たちの母親を演じた尾野真千子も(よく言われているとおり)どこか昭和の女優(褒め言葉です)の趣があり映画全体のトーンとあっていて美しい。そして、日本語を話すおじいさん役(日本に対しての複雑な感情吐露のシーンも上手いなぁ)にホン・リウ(「戯夢人生」)。

MEMO1
撮影監督、リー・ピンビン。誰もいない室内や風景のワンショットがいいなァ。トラン・アン・ユン監督「ノルウェイの森」も。期待。

MEMO2
音楽、ヴァイオリニストで作曲家の川井郁子。(フィギュアスケートのミッシェル・クワンが「レッドヴァイオリン」の曲を使用していました)

※追記
モントリオール世界映画祭・新人コンペ部門へ正式出品(^^)/

トロッコ 公式サイト
http://www.torocco-movie.com/

Toro

| | トラックバック (7)

« 2010年5月 | トップページ | 2010年7月 »