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2011-01-26

1969年、夏。宇宙の中心へようこそ『ウッドストックがやってくる!』

注・内容と台詞、ラストシーンに触れています。
エリオット・タイバーとトム・モンテ原作の回想録『ウッドストックがやってくる!』をトークショーの同じ日に収録に来ていた際に受け取ったことがきっかけでアン・リー監督が映画化。主人公エリオットにオーディションで選ばれたディミトリ・マーティン。友人ビリー(ベトナム帰りで心に傷を負っている)にエミール・ハーシュ。フェスティバルのプロデューサー、マイケル・ラングにジョナサン・グロフ。音楽が(ちょっと意外な)ダニー・エルフマン。

物語・1969年夏、エリオット(ディミトリ・マーティン)はニューヨーク州ホワイトレイクの実家に戻る。かんしゃく持ちの母(イメルダ・スタウントン)と父(ヘンリー・グッドマン)が経営するモーテルが火の車だったのだ。借金返済に悩む彼はある日、ウッドストック・フェスティバルの開催許可が取り下げられたという記事を目にした。そして…(ブルー部分記載シネマトゥディより)

ウッドストック・フェスティバルは1969年8月15日からの3日間、ホワイトレイク近郊の町の牧場を会場として開かれた。(劇中、実在の牧場主マックス・ヤスガーの登場シーンもあります)
本編中に全く演奏シーンは登場しないが、その分開催までのバックステージものとしての面白さの方に主眼が置かれている。

Wood_1

MEMO(数々の台詞)
強欲な母親の尻に敷かれてエリオットともしっくりこなかった気の弱い父親がコンサートの準備の中で変化していく。そして、当日、エリオットへの台詞。
「宇宙の中心を見てこい」
また、フェステイバル終了後、こんな台詞も。
「祭りは終わった。若者は旅立ちだ」

ビリーがエリオットと雨上がりの会場で泥と戯れて(ドキュメントでもよく見られるシーン)、一瞬ベトナム帰りの後遺症から解放されてのシーン。
「この丘、見覚えがある」
遠くのステージから「I Shall Be Released」が聴こえる。
ふたりが「Freedom」を実感する瞬間。

プロデューサー、マイケル・ラングの浮世離れ感を表す台詞。
問題が山積みで困惑しているエリオットに。
「大丈夫。いい波動が出てるから」
そしてラストシーン。
「サンフランシスコに来いよ」
「無料コンサートをやるから」
馬上(ドキュメンタリー映画『ウッドストック』ではバイク)から耳打ちするように
「ローリング・ストーンズ」
「ストーンズ?」
(聞き返すエリオット)
「そう」
明るいトーンを残すラストシーンだが、実は苦い。
そのサンフランシスコでのフリーコンサートこそ後に「オルタモントの悲劇」として記憶されるイベントの事なのだから…。

ちょこっとMEMO
・エンドクレジットにマーティン・スコセッシの名前が。
・ポスターがドキュメント『ウッドストック』のリチャード・アムセルがデザインしたもの(ドイツ制作ポスター版)を踏襲していて秀逸。
・エリオットのイメージが『あの頃ペニーレインと』の主人公ウィリアムと重なって見えた。

映画『ウッドストックがやってくる!』公式サイト
http://ddp-movie.jp/woodstock/

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2011-01-24

タイトルデザイン_23・『グリーン・ホーネット』PictureMill

注・内容、台詞に触れています。
グリーン・ホーネット』。監督は『エターナル・サンシャイン』『恋愛睡眠のすすめ』『僕らのミライへ逆回転』のミシェル・ゴンドリー。『スーパーバッド 童貞ウォーズ』のセス・ローゲンが主演(脚本も)、TVオリジナル版でブルース・リーが演じた相棒カトー役にジェイ・チョウ(エンディングの歌、一部分も)。秘書レノア役にキャメロン・ディアス、ギャング・ボスにクリストフ・ヴァルツ(出た!『イングロリアス・バスターズ』)。音楽はジェームズ・ニュートン・ハワード

物語・父親の急死により新聞社の若き社長となったブリット・リード(セス・ローゲン)は、夜になれば全身グリーンのスーツとマスクで身を包み、グリーン・ホーネットとして街中の犯罪者と戦うヒーロー(悪人が悪人を倒すという一概にヒーローと言えない設定)。ハイテク装置満載の愛車を駆って相棒のカトー(ジェイ・チョウ)と共にギャングの支配者、チェドノフスキー(クリストフ・ヴァルツ)を追い詰めるのだが……。

とてもセコくてボンクラなブリット(後に目覚めますが)と拳法に発明にメカニックに美味しい珈琲が入れられるとなんでも出来るカトー、これは(ある意味)アメリカではややウケが悪いかも。最初から、TV版『グリーン・ホーネット』のリメイクと思わずゴンドリーによるコメディとして見ていた分、スゴク楽しめました。黄昏やコクーンなんて映画ネタから超小ネタまで。ゴンドリー早送りも有り^^

MEMO1(いろいろmemo)
・「ベン・ハーみたいだ」
タイヤの横から出たドリルを見てブリットの台詞。
このハイテク(ややローテク、無駄にハイテクw)クラシックカー(ブラックビューティー)、スイッチ類の表記が英語でなくて中国語(これによるジタバタシーンあり)。
・カトーのスケッチブックにブルース・リーが書かれていた。
・寿司型USBや鉄板焼きのお店の名前がGonpachiHibachi(権八火鉢?)w
・無駄に使う3Dがおちゃめ(後処理3Dに対しての回答?)。画面分割3Dで奥行きを出したりグラフィック的には結構好み。

MEMO2
エンドタイトルシークエンスなどを製作したのは PictureMill。アメコミタイプのデザイン処理と3Dが相まっての素晴らしい仕上がり。「エアベンダー」「ハングオーバー!」「ナイトミュージアム2」「パニックルーム」「ドリームガールズ」「アイロボット」「宇宙戦争」などのタイトルデザインも製作。

PictureMill( 英文 )
http://www.picturemill.com/

グリーンホーネット オフィシャルサイト
http://www.greenhornet.jp/

Green_1

Green_2


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2011-01-18

デヴィッド・フィンチャー監督『ソーシャル・ネットワーク』

注・台詞、内容に触れています。
ハーバード大学在学中に19歳でSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)「Facebook」を立ち上げ、その後一躍有名人となり史上最年少の億万長者となったマーク・ザッカーバーグ。その「Facebook」の誕生とそれを取り巻く虚々実々を描いた映画『ソーシャル・ネットワーク
監督は『セブン』『ファイト・クラブ』『ゾディアック』など、これまでも密度の高い作品を世に送り出してきたデヴィッド・フィンチャー。脚本は法廷劇の秀作『ア・フュー・グッドメン』を書いたアーロン・ソーキン。撮影はジェフ・クローネンウェス。音楽はトレント・レズナー。

物語・2003年、ハーバード大学の学生マーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)は学内で友人を増やすためのサイトを親友のエドゥアルド・サヴェリン(アンドリュー・ガーフィールド)と共に立ち上げる。サイトは瞬く間に学生たちの間に広がり、ナップスター創設者ショーン・パーカー(ジャスティン・ティンバーレイク)との出会いを経て、社会現象を巻き起こすほど巨大に成長していくが……。(ブルー部分シネマトゥデイより抜粋)

この押し寄せる洪水のような映画を一括りで語ることは難しい。脚本面、音楽面、撮影〜編集などのデジタル技術面、演技・演出面、様々な領域から語れる作品。しかも物語自体が見た人それぞれの置かれている立場、経験、考え方などによって大きく変わる余白部分、懐深さを持っています。まさに見た人と感想を語り合いたくなる映画です。

MEMO1
膨大な台詞のある本作。冒頭でのガールフレンド・エリカとの会話はマークの性格や思考を端的に表している。その後、寮に戻って彼女の悪口をブログに書いた上でパッと思いついた女子学生ランク付けサイト「フェイスマッシュ」。ここまでのスピード感はそのままIT企業の起業スピード感とも一致する。
また、こんな台詞も。
エドゥアルドと画面に広告を表示させる、させないの口論の際にでた台詞。Facebookは常に進化し続けるので広告を入れるとクールさが無くなってユーザーはすぐに去っていくとマーク。
「ファッションに完成はない」
「まったくファッションに縁のない君から、そんなセリフを」
そして最後、マークへ対しての台詞。
「あなたは嫌な奴じゃないわ。そう振舞ってるだけ」

MEMO2
フィルム上映とデジタル上映、両方見ましたが今作は間違いなくデジタル上映(4K/2K DLPで)鑑賞がベスト。

夜間、室内撮影の細かいディテールまで再現された感嘆に値する色彩、質感。これらは
完全なフィルムレスで制作するからこそ、その真価が現れるDLP。最終ポストワークでの18メートル・スクリーンと4Kデジタルプロジェクター!驚きました!(この時点での劇場DLP環境と同じかそれ以上の状態でチェックされている)。下記リンク記事参照。
ゾディアック』の時点で既に一線画す映像質感(フィルムルック)だったのが頷ける。
(『ゾディアック』はRED ONEではなくViper)

PRO NEWS・新センサー搭載RED ONEカメラで撮影の映画作品をフィルムレスに近いDI環境で制作
http://www.pronews.jp/news/1010151645.html


MEMO3 (ホントにメモも兼ねて)
排他的にして特権階級的な大学の男子社交団体、ファイナルクラブ。選ばれたものへの招待状はこっそり届けられるだけあって封蝋まで設えている。
ロスでの仕事兼住居で「カミカゼを使え」とショーン・パーカーが言っているシーンのゲームは何?(エンドクレジットによると)「鉄拳3」となっているみたいですが…
そのショーン・パーカーの台詞
初めてマークと対面した帰り際。
「ザを取れ」「フェイスブック」
「これの方がクールだ」
壊されるパソコンがMacBookPRO…むむむ
ラスト、流れるビートルズ「Baby You're A Rich Man」。ちょっと皮肉っぽく聞こえる歌詞。「とうとう金持ちの仲間入りをしたね」
脚本が公開されているので見てみると台詞の上に台詞が被さるように書かれている。2000を超える字幕量!
淡々と描いているようにみえてシーンによって撮影バリエーションを変えている。チルトレンズ(ティルトレンズ)使用(?)のミニチュア風景風ショット(ウィンクルボス兄弟のボートレースシーン)や実は人物と一緒に移動するカメラなど。
そのウィンクルボス兄弟について的確(かもしれない)台詞。「彼らがどうして訴えたか、わかるか。物事がはじめて思うようにならなかったからだ」
ビル・ゲイツの講演シーン。マークを見つけて話しかけてくる学生達の会話。「講演者がマークのことを次のビル・ゲイツって言ってた」「で、講演者は誰」「ビル・ゲイツ」「お前、そんなことも知らずに見てたのか」
部活のノリから起業へ。この喧騒の中からの留まることのないスピードと映画自体のうねりが素晴らしい。
ハーバード学長の台詞
「誰かに雇われるのではなく新しい仕事を生み出せ」


ソーシャル・ネットワーク
オフィシャルサイト
http://www.socialnetwork-movie.jp/

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『アンストッパブル』

『クリムゾン・タイド』『マイ・ボディガード』『デジャヴ』『サブウェイ123 激突』と、これまで4度コンビを組んできたトニー・スコット監督デンゼル・ワシントンが再びタッグを組んだ『アンストッパブル』。共演は『スター・トレック』のクリス・パイン

物語・操車場でのミスによって大量の化学薬品を積んだ無人の貨物列車が暴走。止める手立てが無い中、同じ管区内を走っていたベテラン機関士フランク(デンゼル・ワシントン)と初めてコンビを組んだウィル(クリス・パイン)が列車を止めるべく立ち上がる。

MEMO1
列車が暴走というと、すぐに黒澤明監督の幻の企画『暴走機関車』を思い起こします。コンチャロフスキー監督が黒澤監督のシナリオを原案として作り上げた作品は走りだすまでに30分以上の時間がかかっていますが実際は映画が始まって5分程で列車は動き出す設定。『アンストッパブル』も操車場でのミス(不注意)で開巻すぐに暴走を始めます。この辺りの描き方と(フランクやウィルの家庭の事情)ドラマが外に膨らむかと思えば膨らまない見事なトニー・スコットスタイル(と、呼ぶのかw)が見事に功を奏して、まさに列車が主役(と、呼べる)ダイナミックなアクション映画に仕上がっています。

MEMO2
ベテランと新米。いわゆる対立の構図だが、こんな台詞で少し打ちとける。フランクの娘が学費のためにバイトをしているという話から。
「店は」
「フーターズだ」
「何ニヤニヤしてるんだ」
「顔が赤いぞ」
このシーン、ふたりは何とも言えない表情で会話を交わす。

MEMO3
・ハイコントラスト、彩度の高い映像。(予告編はもっと彩度が高かったような気もしますが…)
・デジタル上映とフィルム上映、両方鑑賞しましたが彩度や色彩調整に大きな差は確認できませんでした。
・エンドタイトルを見るとタイトルデザイン表記はSKIP FILMになっているがIMDbには何故か記載無し(『サブウェイ123 激突』は記載あり)。エンドタイトルは最近、ほぼ、ここが製作では?と思えるSCARLET LETTERS。(『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』『ソーシャル・ネットワーク』など)

映画『アンストッパブル』公式サイト
http://movies.foxjapan.com/unstoppable/

Stop_1

Stop_2

Ost: Unstoppable

クリムゾン・タイド 特別版 [DVD]

マイ・ボディガード 通常版 [DVD]

デジャヴ [Blu-ray]

サブウェイ123 激突 コレクターズエディション [DVD]


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2011-01-06

ウディ・アレン『人生万歳!』

注・内容、台詞に触れています。
ウディ・アレン監督記念すべき40本目の作品『人生万歳!』。久しくニューヨークを離れロンドン、バルセロナを舞台とした映画を撮っていたアレンが古巣に戻っての(しかも、いささかシニカルだが)ロマンティック・コメディ。偶然と幸運についての素敵な考察。

物語・かつて物理学でノーベル賞候補にもなったボリス(ラリー・デヴィッド)は、自殺に失敗、妻にも去られ今では子供相手にチェスを教えて生計を立てる古アパートでのトホホ生活。そんなボリスのもとに、ひょんなことから南部の田舎町から家出してきたメロディ(エヴァン・レイチェル・ウッド)という若い女性が転がり込んできた。最初は戸惑っていたボリスだが…。


MEMO1
ボリスは必ずある歌を歌いながら手洗いをする。
その時の台詞「2回繰り返すと細菌が落ちる」。ボリスの変人ぶりを端的に表すシーンw
そして締めの台詞
「あなたが存在してるのも運なのだ」

MEMO2
撮影はハリス・サヴィデス。ガス・ヴァン・サント、デヴィッド・フィンチャー監督作品の撮影監督として有名。(と、いうことは『ゾディアック』のあのデジタル撮影も!)。そしてソフィア・コッポラ『Somewhere』が本年公開。『人生万歳!』におけるウォームトーン(Yellow Under Base)の画面は物語ともピッタリマッチ。

MEMO3
パンフレットデザインはアレン映画といえば、お馴染みの大島依提亜さん。何やら丸い、もしくはマウスパッド?開くとアレンの眼鏡モチーフ?まったくアレン映画に興味のない人が「可愛い」と言った表紙と形^^ この形、ご本人曰く「すべては丸く納まる」だそうですw
なるほど、映画本編のエンディングからパンフレットへと見事に丸く納まりました^^

※追記
そういえばアレン『誘惑のアフロディーテ』も、ある種、偶然と幸運についての素敵な考察でした(ミラ・ソルヴィーノとエヴァン・レイチェル・ウッドのキャラもダブってるし^^)

※追記(2011.5)
DVD特典としてアレンへのインタビュー
前回のインタビューに続いて今回も眠そうだけどw すごく幅広い質問で面白い。中でもこれ→次の企画(「Midnight in Paris」の次) についての質問に「何年も出演してないから僕が出る映画にしようかな」←やった( ´ ▽ ` )ノ


ウディ・アレン『人生万歳!』
公式サイト
http://www.jinsei-banzai.com/

Allen_01

Allen_02

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