バーティとライオネル『英国王のスピーチ』
※注・内容、台詞に触れています。
吃音(きつおん)症に悩む英国王ジョージ6世とその妻エリザベス、スピーチ矯正の専門家ローグとの実話に基づく物語『英国王のスピーチ』
監督は『くたばれ!ユナイテッド − サッカー万歳!−(日本未公開・DVD発売)』のトム・フーパー。ジョージ6世を『シングルマン』のコリン・ファース、スピーチ矯正の専門家ローグを『シャイン』ジェフリー・ラッシュ、ジョージ6世の妻エリザベスを『鳩の翼』やティム・バートン作品多数のヘレナ・ボナム=カーター。脚本は『タッカー』デヴィッド・サイドラー。
物語・1936
年の英国。国王ジョージ5世(マイケル・ガンボン)の後継として長男のエドワード8世(ガイ・ピアース)が即位するが、離婚歴のある米国女性と結婚するために1年もしないうちに王座を捨ててしまう。ジョージ6世(コリン・ファース)として王位に就くことになった弟のヨーク公は内気な性格に加え幼い頃から吃音症に悩み、公務でのスピーチは常に苦痛の種だった。そんな夫
を優しく励ます妻のエリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)は、オーストラリア人のスピーチ矯正専門家ローグ(ジェフリー・ラッシュ)を見つけ出すのだった。(ブルー部分goo映画より抜粋)
控えめにタイプライター系のフォント(Courier?)で「The King's Speech」のタイトル。アナウンサーがマイクとの距離を測ったり喉の調子を整えたりする冒頭からドラマにすっと入っていける語り口の見事さ。このトーンは最後まで一貫している。そして、散りばめられたユーモアとジョーク、ウィットに富む会話やエピソード(1シリングのやりとり)。役者のアンサンブル。堪能!
※MEMO1
●吃音の原因を探っていくローグ。そこには厳格な父、利き手・X脚の矯正、(ある)乳母の厳しい躾(映画どおりだとするとほぼ虐待に近い。それに伴って身
体も弱くなってしまう。このことに周囲が気づくまでに時間がかかっている)、弟の死など様々な要因が。それらが少しずつ浮かび上がっていく構成が秀逸。
●ジョージ6世の事をバーティと呼ぶローグ。また自分のことはライオネルと呼んでくれとも。対等な立場で。(これはローグの孫によると無かった話らしい)
●ジョージ6世が王位を継いで娘たちにあった時、そうしなさいと言われたのだろう父親の事を「陛下」というシーン。ちょっと困惑するジョージ6世。子供たちと普通に接してきたんだなぁ、ということが垣間見られるいいシーン。
●広角レンズ撮影(主に聴衆を写す際に)とアップの対比。実にサスペンスフル!
●ジョージ6世の妻、エリザベスを演じたヘレナ・ボナム=カーター。元々、上流階級の出身ということもあって、その立ち居振舞い含め好演。
●イーストウッド監督「ヒア アフター」に本人役で出ていたデレク・ジャコビが大司教役で出演。他にもチャーチル役にティモシー・スポール、ジョージ5世にマイケル・ガンボンと英国の渋い俳優陣が配されている。
●自身も吃音に悩まされていたという脚本のデヴィッド・サイドラー。『タッカー』の物語構造と本作が少し似ていてニンマリ。(「英国王のスピーチ」は開戦スピーチになるので「タッカー」の裁判所スピーチとは、やや意味は違いますが…)
●競走名にも→ ダービー、凱旋門賞と共に欧州競走馬最高峰レースのひとつが「キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス( King George VI & Queen Elizabeth Stakes )」
※MEMO2
戴冠式リハーサルのシーンで重要な台詞
「私には王として伝える言葉がある」
(少し違うかもしれませんが、そのような意)
ラスト、世紀のスピーチを終えた後
ふたりのユーモアある台詞。
「やっぱりWでつまりましたね」
「僕が話したという印を残しておかないと」
※追記
超飛躍的解釈→このW、まさかWarでつまるという意味を含んでいる理由(わけ)はないですよね。
※追記2
第83回アカデミー賞・受賞
作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞
※MEMO3
ロゴ含めたポスター等の宣伝ビジュアルは大島依提亜さん。
(英文フォント)Blackletterを連想させる日本語タイトルロゴ。(知人が地下鉄に貼っていたポスターにすぐ目がいったと言っていました)。
『英国王のスピーチ』公式サイト
http://kingsspeech.gaga.ne.jp/
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