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2011-05-09

ビックバンとビッククランチ。ジャコ・ヴァン・ドルマル監督 『ミスター・ノーバディ』

「トト・ザ・ヒーロー」のジャコ・ヴァン・ドルマル監督、13年ぶりの新作『ミスター・ノーバディ』。幾つもの時間と選択の物語が交錯するパズルのような設定はSF的だが実は「初恋純情録」。主人公ニモに「レクイエム・フォー・ドリーム」「チャプター27」のジャレッド・レトー。3人の女性(妻たち)エリースアンナジーンにそれぞれサラ・ポーリーダイアン・クルーガー、リン・ダン・ファン。また15歳の時のニモとアンナを演じたトビー・レグボ、ジュノー・テンプルはこれから注目されそうな瑞々しさ。

(一応)物語・2092年、化学の進歩で不死が可能となった世界で、118歳のニモ(ジャレッド・レトー)は唯一の命に限りある人間だった。ニモは記憶をたどり昔のことを思い出す。かつて9歳の少年だったニモの人生は、母親について行くか父の元に残るかの選択によって決まったのだった。(ブルー部分シネマトゥデイより抜粋)

物語と言っても登場する3人の女性×母親と父親の合計12通りの物語を2092年のニモが記者と医者に語る構成になっているため順列はない(あ、それとニモの夢の中も…)

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※MEMO1
少し前に見た『アレクサンドリア』がGoogle Earth的天空からと地上からの空間軸目線とすると、この『ミスター・ノーバディ』はビックバンとビッククランチ(ビッグバンとビッグクランチ)の時間軸視点・映画と呼べるかも。

※MEMO2
(未来)コンセプトデザインは『トト・ザ・ヒーロー』でも組んでいたベルギーのコミック・アーティストFrancois Schuiten (フランソワ・スクイテン)。少し前に某漫画のキャラがスクイテンのものと似ているなんて話が出てました。
監督インタビューによるとエリースアンナジーンそれぞれの洋服が色分けされていてニモがその少女を選ぶと他の色彩が消えていくように色彩設計がなされているそうです。そして年老いたニモには色の無い世界、白だけが残っていると…。

※MEMO3
「トト・ザ・ヒーロー」というと「♪ブン」と口ずさむぐらい音楽がよかったけれど。またまた本作も素晴らしい。繰り返し流れる「MISTER SANDMAN」(アーティストが変わる)。運命のバタフライエフェクト時のBuddy Holly 「 Everyday」やネーナ、サティ、オーティス・レディング、ピクシーズまで。オリジナルスコアもイイなぁ。

Mn_3

ミスター・ノーバディ
http://www.astaire.co.jp/mr.nobody/

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