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2011-06-24

僕たちは、ひとりじゃない。『SUPER8/スーパーエイト』

注・内容、台詞に触れています
謎に包まれていた『SUPER8/スーパーエイト
製作総指揮スティーヴン・スピルバーグ、監督がJ・J・エイブラムス。このふたりががタッグを組むと聞いた時からワクワク。しかも特報や予告編が期待値を上げるような出来栄え。踏切にピックアップトラック、そして宇宙人がからんでいそうなイメージ。(実際、よい意味でそのままでしたけど)。出演はジョエル・コートニー、「SOMEWHERE」のエル・ファニング

物語・1979年の夏。オハイオの小さな町で保安官の父と暮らす少年ジョー(ジョエル・コートニー)は、ある夜、出演してくれることになったアリス(エル・ファニング)ら仲間たち5人と家を抜け出し、8ミリ映画の撮影に出かける。だが、その撮影中に偶然、米軍の貨物列車の大事故に遭遇。そこで絶対に知ってはいけない“何か”を撮影してしまう。そして…。

スピルバーグ作品を70年代からリアルタイム体験してきた人とインディ・ジョーンズ、ジュラシック・パーク以降から見始めた人とでの捉え方の振り幅が大きい(と、思う)。とはいえ、これぞ夏休み映画の王道と呼べる作品。

多くの初期スピルバーグ作品が「父親不在」がキーだったものが「SUPER8/スーパーエイト」では「母親不在」がキーとなっている。スピルバーグ作品の宇宙人は最初、友好的なものから途中から侵略型に変わっていったが本作は(もしかすると)また対話可能な方向への分岐点になるかもしれない(そんなことを考えさせられる)ラスト。

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Memo1(やや脱線気味に)
アリスにメイクをするジョー
「誰に教わったの」
ディック・スミスの本で」
(1979年という設定にディック・スミスは抜群のキーワード。「エクソシスト」のリーガンによって特殊メイクアップの言葉が一般化されていくワケですから)
ボーイミーツガールもの(仲間うちであるある台詞)
ジョーとチャールズの会話
「なんで、お前急に撮影に熱心になるねん」「撮影やなくてアリスのことがすきなんやろ」「俺、あいつのこと好きやから映画に出演してほしかったのに」「え!?そうなん」「にぶいなぁ」「しかも、お前らムカつくことに相思相愛やんけ」(以上・関西弁バージョンでお届けしました)…イメージ壊したらすみません(・・;

Memo2
1979年には無かったという理由でAvidを使わずに編集 (あ、でもCGは使っていますとExcuse) (出典 : TVBros掲載の監督インタビュー)
確かに、ややゆったりした切り替えやアップのシーン
エイリアンのデザインは「クローバーフィールド」でも監督と組んだネヴィル・ペイジ(そりゃあ似ていて当然ですよね)
スピルバーグが必ず映画ベストテンで選ぶ「A Guy Named Joe」(自身もリメイク作「オールウェイズ」を監督)にあわせて主人公がジョー?(これは考えすぎ?)
本作、最大のお楽しみはやはりエンドクレジットでの完成した8ミリ映画「ザ・ケース」ですねー (定石通りのオチも◎)。そしてThe Knack「My Sharona」Electric Light Orchestra (ELO) 「Don't Bring Me Down」 も。
Title DesignはAndrew Kramer(同じJ・J・エイブラムス監督「スター・トレック」も)
↓記事、まだ続きます(エンドクレジット後もご注意みたいに…)

映画『SUPER 8/スーパーエイト』公式サイト
http://www.super8-movie.jp/

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未知との遭遇」「E.T.」「グーニーズ」などスピルバーグ・オマージュに溢れた(溢れかえった)本作。と、いうことで公開時のチラシを3点。「未知との遭遇」のコピーは「宇宙にいるのは われわれだけではない。」でした。(「SUPER8」で、やたら指摘されている)レンズフレアも懐中電灯の光から砂漠の太陽、マザーシップシーンと盛り沢山(「未知との遭遇」)。そして物語が展開する郊外の住宅地のイメージだと「ポルターガイスト」も?あ、もしかするとジョー・ダンテ監督「グレムリン」「エクスプロラーズ」「マチネー 土曜の午後はキッスで始まる」辺りも?(2作はスピルバーグ製作ではありませんが)…そう言えば「マチネー」のジョン・グッドマンが「SUPER8」のジョーの親友チャールズ(監督)に似ているw と、いうか「MANT!」の蟻モンスターとエイリアン、似てる!?
※追記
ジョー・ダンテ監督→「濃いくちスピルバーグ」みたい…って醤油みたいですが( ̄▽ ̄)

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2011-06-23

ダニー・ボイル監督『127時間』

注・内容に触れています。
原作はアルピニストとして活動しているアーロン・ラルストン氏の実体験をもとにした「127時間」。監督は『スラムドッグ$ミリオネア』でアカデミー賞8部門に輝いたダニー・ボイル。主演はほぼ谷底での一人芝居を演じきったジェームズ・フランコ
物語・アーロン・ラルストン(ジェームズ・フランコ)はいつものように1人でロッククライミングを楽しむため慣れ親しんだユタ州、ブルー・ジョン・キャニオンに向けて出発する。そんな彼を待ち受けていたのは、まったく助けの声も届かない狭い谷間で右腕を挟まれ動けなくなってしまう過酷な運命。彼は必死に脱出を試みるが…。

アーロンは自分の人生を振り返ることとなるのだが、それがウェットな感覚ではなく(前向きというありきたりな感覚でもなく)アルピニストらしい冷静さと精神的肉体的瞬発力を持ってイメージしていく。だから見ているこちらも同時体験ではない「生」への湧き上がるエネルギーのようなものを鑑賞後も(もしくはしばらく経ってからも)ふつふつと得られるのだ。
エンドクレジットで実際のアーロン本人が登場して、いかにジェームズ・フランコが「その人自身」が纏っている(AttitudeやAtmosphereなどの)ベールそのものも演じていたかがよくわかる。

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Memo
編集と音楽の妙。ダニー・ボイル監督相変わらずの手際よさ。彩度が高くハイコントラスト、スプリットスクリーン、ハイスピードカメラ…。冒頭のラッシュやスタジアムの群衆シーン(人ごみの中からの逃避)はアーロンが生還してからラストもう一度写される。今度は別の意味を持って…
撮影が「スラムドッグ$ミリオネア」のアンソニー・ドッド・マントルと「28週後…」のエンリケ・シェディアックというタイプの違うカメラマンというのもメリハリがついた要因。
Title DesignMatt Curtis
家を出発して車を飛ばしマウンテンバイクにカメラを取り付けて疾走し途中知り合ったミーガン、クリスティと洞窟で楽しいひとときを過ごし、そして谷底へ落下した瞬間、静寂の中出されるTitle「127 HOURS」
Matt Curtisは同じダニー・ボイル監督「スラムドッグ$ミリオネア」「サンシャイン2057」や「キック・アス」など多数。

映画『127時間』公式サイト
http://127movie.gaga.ne.jp/

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Soundtrack

127時間 (小学館文庫)

スラムドッグ$ミリオネア [DVD]


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2011-06-18

"いま 生きているということ"『奇跡』是枝裕和監督、前田航基、前田旺志郎、オダギリジョー、夏川結衣、他

注・内容、台詞に触れています。
奇跡を信じた子供たちと、彼らを見守る大人たちを描く『奇跡』。
監督は「誰も知らない」「歩いても歩いても」「空気人形」の是枝裕和
出演は本作が映画初主演となるお笑いコンビ“まえだまえだ”の前田航基前田旺志郎。両親をオダギリジョー夏川結衣。他に阿部寛長澤まさみ原田芳雄大塚寧々樹木希林
音楽/主題歌はくるり

物語・両親の離婚で福岡と鹿児島と離れ離れに暮す兄弟、航一(前田航基)と龍之介(前田旺志郎)。ある時、九州新幹線開業の朝、福岡からのつばめと鹿児島からのさくらの1番列車がすれ違う瞬間に奇跡が起きるという噂を聞いて…。

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客席が孫を見守るような空気でホンワカしていた。ちょっと久々に感じたオーディエンス巻き込んでの映画体験

子供たちの人数が7人っていうのがいい。そして背丈のバランスも。横一列に歩くと、とてもいい感じ。兄弟の性格の違いも楽しい。

ちょっと小姑っぽい細かさのある航一
桜島の火山灰に対して、しきりにつぶやく台詞
「意味わからんし」
(それ故に熊本から帰ってからのラスト、桜島への挨拶 「行ってきます」が効いている)
逆にちゃっかりした弟の龍之介
ゴミ出しも友達付き合いもチャッチャとしてる。
笑えたのが→タコ焼きのタコだけ取って御飯のおかずw

かるかんと観覧車アミュラン
光一と祖父(橋爪功)が観覧車の中で有名店の「かるかん」を試食。
その後、祖父の作った「かるかん」を食べての台詞
「なんや、ぼんやりした味やなあ」
さりげない台詞だけど後々まで繋がっている。

図書室で憧れの三村先生(長澤まさみ)を見て
「裸足や」
「裸足やったな」
「ちがうでナマ脚って言うんや」

7人が新幹線を見るためにやってきた熊本で出会った(危うく補導されるかもしれないところを助けてもらった)夫婦
実は「奇跡」はそこに起こっていた。
孫娘そっくりの有吉恵美(内田伽羅)を見て。
「もう十分かなえてる」
髪をとかすシーンが素晴しい。
翌朝、新幹線が見られる場所まで送ってもらっての台詞
「あの人たち、いい人すぎるから
振り込み詐欺にあいませんように」

思い出しただけで、こんなにいろいろな台詞が思い出される映画は久々かも(他にも大人たちの反応などいいシーンがいっぱい)

Memo : 是枝監督がインタビューで→劇中出てくる谷川俊太郎「いま 生きているということ」と新幹線がすれ違うときにフラッシュで思い浮かべるシーンは対になっているそうです。

映画『奇跡』公式サイト
http://kiseki.gaga.ne.jp/

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2011-06-16

タイトルデザイン_27 (PIC AGENCY)・アマンダ・セイフライド主演『赤ずきん』

注・内容に触れています。
「トワイライト~初恋~」のキャサリン・ハード ウィック監督によるグリム童話『赤ずきん』のアナザーストーリー(童話、その後の話ともとれる)。出演は主人公ヴァレリーに「マンマ・ミーア!」「CHLOE/クロエ」のアマンダ・セイフライド(アマンダ・セイフリッド)、「ダークナイト」「ザ・ウォーカー」のゲイリー・オールドマン、そして(なんと)ジュリー・クリスティルーカス・ハース

物語・人狼に怯えつつも生贄を捧げ(表向きは)平穏に暮らしてきた村が、突如正体不明の人狼に襲われる。そこには受け継がれてきた恐怖の血脈の秘密が。また禁断の恋が。そして村人たちの元に人狼退治で有名なソロモン神父がやってくる…。

人狼は人の姿をして「この村の中にいる」と語るゲイリー・オールドマン演ずるソロモン神父の方がかなり危なっかしいw。ラスト重要なアイテムとなる二本の銀の爪、物々しく運んできた「蒸し焼き幽閉象の像」とか見るからに変。誰が人狼かという謎解き部分。有名な童話の一節絡みでの祖母や恋敵など怪しい人物は数多く。しかし、こういう場合、ほとんど画面に出てこない人が実は!?というセオリー通りの結末。雪の白RedRidingHoodが映えて極めてキャッチーなビジュアルが美しい。

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TITLE DESIGN
Main TitleとEnd Crawl Artwork&Mix(エンドタイトルは、まず元テクスチャー動画を作成して、その上に雪原を歩くヴァレリーの姿をかぶせている)は「PIC AGENCY」。「ボーン・アルティメイタム」「GIジョー」のエンドタイトルデザインや「PUSH」のメインタイトルなど数多く手がけています。ブログ「伊藤計劃:第弐位相」で伊藤計劃氏が取り上げていた「キングダム」の冒頭「3分でわかるサウジ石油史」のモーショングラフィックスを作成したのもPIC AGENCY。あ、もちろん「トワイライト」のMain Titles and End TitlesやDream Sequenceも。

PIC AGENCY
http://www.picagency.com/

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2011-06-11

『X-MEN:ファースト・ジェネレーション ( X-Men : First Class )』

注・内容に触れています。
X-MEN」が人間社会との共存「X-MEN2」が人間との全面対決「X-MEN : ファイナル ディシジョン」が治療薬キュアを巡っての最終戦争を描いてきた。そして本作はX-MEN起源の物語(いろいろな謎が明かされる)『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』。監督は『キック・アス』のマシュー・ヴォーン(マシュー・ボーン)。ブライアン・シンガーが製作として本作に復帰。新しくなったキャストが素晴しい。後のプロフェッサーXことエグゼビアにジェームズ・マカヴォイ、後のマグニートー、エリックにマイケル・ファスベンダー、ミスティークにジェニファー・ローレンス、世界征服を企てるヘルファイヤークラブ、ショウにケヴィン・ベーコン

今まで見てきたアメコミ映画化作品で一番好きかも。予告編の潜水艦をスクリュー側から引き上げるシーンを見た瞬間からワクワク。しかも設定が米ソ冷戦下の1962年。予想通り、その当時を軸に描かれていた007的ルックを持っていて対することとなるケビン・ベーコン演ずるショウのポジションがしっくりくる。美術周りも面白いものが多い(博士の異常な愛情?)

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MEMO  
本作、リブートらしく1作目と同じナチスの収容所でのエリック少年から物語が始まる。一瞬、同じ?と思っているとカメラがパンプアップして窓から様子を見下ろすショウの姿。エリックの能力覚醒シーンが続く。
「サイボーグ009」の時代(懐い)から仲間探しシーンが出てくる映画がとても好き。一瞬登場する、いかにもらしい「あのキャラ」サプライズ出演シーンw あ、ウルヴァリン。
エグゼビア(プロフェッサーX)の「ハゲるかも」ネタが2回出てくる(笑っていいシーンですよねw)。
ハンク(ビースト)が開発した治療薬、訳されていませんが「キュア」が既に!
20世紀FOXの「X」の文字が強調されていたのは1〜3作目(本作もスピンオフ「ZERO」に続き通常通り)。オープニングは細胞、遺伝子をCGで派手に描いていた1〜3作目と違ってシンプル。逆にエンドタイトルは「X」を遺伝子の二重らせん的に表現。
Title Sequence DesignはPrologue Films

iTunes Movie Trailers
US予告編に追加(劇中シーン6クリップ)
「鑑賞後のお楽しみ」として御覧下さい。
しかしこれ見ると、また見たくなったなぁ…。
http://trailers.apple.com/trailers/fox/xmenfirstclass/

ちょっと追記(ホントに追記)+

ヘルファイヤークラブ側エマ・フロスト役のジャニュアリー・ジョーンズが森下愛子さん(拓郎夫人)に似ているなぁ…とボソリ(でも「アンノウン」の時のほうが、もっと似ていると思う)
全米公開とタイムラグがないからか見た劇場での観客1割ぐらいが外人(あきらかにアメリカ人)。でも、ドイツ語、ロシア語に英語字幕がついていなかったけど理解できたのでしょうか?(かつては英語字幕が付くことによって、そのシーンは英語以外の言語だという事と区別されるようになっていたのですが…) 

映画「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」オフィシャルサイト
http://movies2.foxjapan.com/xmen-fg/

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Xmen2

Soundtrack

X-MEN クアドリロジーBOX (初回生産限定) [DVD]

ウルヴァリン:X-MEN ZERO クアドリロジー ブルーレイBOX〔初回生産限定:デジタル・コピー付〕 [Blu-ray]

X-MEN [Blu-ray]

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X-MEN:ファイナル ディシジョン [Blu-ray]

ウルヴァリン:X-MEN ZERO [Blu-ray]


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2011-06-10

山下敦弘・監督『マイ・バック・ページ』Have You Ever Seen The Rain?

注・内容、台詞に触れています。
川本三郎がジャーナリスト時代の経験を記したノンフィクション『マイ・バック・ページ』を『リンダ リンダ リンダ』『松ヶ根乱射事件』『天然コケッコー』の山下敦弘監督が映画化。主演は妻夫木聡松山ケンイチ(初共演)。他に忽那汐里、石橋杏奈、韓英恵、中村蒼。そして、まるで本物?と思わせる脇を固めた長塚圭史、山内圭哉、古舘寛治、あがた森魚、三浦友和。脚本は向井康介、撮影は近藤龍人という監督の盟友ふたり。

物語・1969年、新聞社の週刊誌編集部で働く記者・沢田(妻夫木 聡)は全共闘運動が激しい中、理想に燃えながら日々活動家たちの取材を続けていた。それから2年、取材を続ける沢田は先輩記者・中平とともに梅山(松山ケンイチ)と名乗る男からの接触を受ける。そして彼が語る武装決起に疑念を抱きながらも不思議な親近感を覚え次第に引きこまれていく。そして、事件は起きる…。(ブルー部分・プレスより抜粋)

原作、脚本(撮影稿)ともに読んだ上で感じるのは「あの時代」を描いているのではないということ。脚本(撮影稿)から本編でカットされたシーンをみると多くは梅山の登場している部分(ここが入っていると偏った感じになったかも…)
ラスト、沢田の流す涙は懐かしさでも悔恨の念でもない、なんとも表現しがたい涙。青春の終わりとも取れるし、何者ともしっかり接してこれなかった「にせもの感」漂う自分、もう戻ることはできない場所…いろいろな思いが込められている。(後述、映画を見に行ったシーンでの「涙」についての会話とも繋がる)
そして監督インタビューでよく目にする「実際、人がひとり死んでるんでしょう」という事実。そこは突出して長く克明に描かれていることでも、本作へのスタンスがよくわかる。

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MEMO1
原作と映画の間で

川本三郎・著「マイ・バック・ページ」目次

『サンソレイユ』を見た日
69年夏
幸福に恵まれた女の子の死
死者たち
センス・オブ・ギルティ
取材拒否
町はときどき美しい
ベトナムから遠く離れて
現代歌情
逮捕までⅠ
逮捕までⅡ
逮捕そして解雇


色変え部分主なエピソード
(もちろん全体から様々な部分も)

原作からそのまま使われた台詞
倉田眞子(忽那汐里)と映画を見に行くシーン。
『ファイブ・イージー・ピーセス』
「男の人が泣くのを見るのは好き」
「『真夜中のカーボーイ』でもダスティン・ホフマンは『怖い、怖い』っていって泣いたの。覚えてる?」
「いや、覚えていない。泣く男なんて男じゃないよ」
「そんなことないわ。私はきちんと泣ける男の人が好き」

「ギター弾くんですか」
「弾いていいですか?」
「Have You Ever Seen The Rain?」
「おー、雨を見たかい」
「これナパーム弾の事なんですよね」
CCR(Creedence Clearwater Revival)の歌と宮沢賢治「銀河鉄道の夜」この2点だけで沢田は梅山のことを信用してしまう(原作にも、そう書かれている)
※「これナパーム弾の事なんですよね」という妙な知ったかぶり台詞に梅山の胡散臭さも出ているのでは?

原作には映画に出てこない1971年中津川フォークジャンボリーを取材したことも。サブステージでの「はっぴいえんど」の事(「現代歌情」)が書かれていますが、拓郎ファンとしては、やはり「人間なんて」の演奏が…。
思えば「わたしたち」から「僕」への分岐点。

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撮影は16ミリを35ミリにブローアップ(フィルムの増感は約倍増感だそうです)。近藤龍人は「海炭市叙景」や「パーマネント野ばら」もそうでしたが、どこかATG映画のような趣のフィルムルックを持っていて、今1番いいなぁと思っている撮影監督です。 
映画館で沢田が見ていた映画(画面にシーンが映るもの)は川島雄三監督「洲崎パラダイス 赤信号」。会話の中や音声のみで出てくるものに前述の「ファイブ・イージー・ピーセス」「真夜中のカーボーイ」。そしてラスト(テロップはでないが1979年)試写会場での「十九歳の地図」。また部屋にいろいろな映画ポスターが貼られている。
主題歌「My Back Pages」はBob Dylanの名曲(Dylanの原曲は「ハッティキャロルの寂しい死」的ですが…)を真心ブラザーズ+奥田民生がカヴァー。

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2011-06-09

アトム・エゴヤン監督『CHLOE/クロエ』

注・内容に触れています。
『スイートヒアアフター』『フェリシアの旅』『秘密のかけら』などを撮ってきた鬼才アトム・エゴヤン監督による官能サスペンス『CHLOE/クロエ』。夫・デビッド(リーアム・ニーソン)の浮気疑惑の真実を知りたいため、ふとしたきっかけで面識ができた娼婦クロエ(アマンダ・セイフライド)に仕事として夫を誘惑してほしいと依頼するキャサリン(ジュリアン・ムーア)。だが…。

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本作はアンヌ・フォンテーヌ監督『恍惚』(2003年・仏)のリメイク。夫婦役をファニー・アルダンとジェラール・ドパルデュー、娼婦役マルレーヌをエマニュエル・ベアール。大まかな物語の骨格は同じ。ただしマルレーヌはナタリーという別の名前で夫役のドパルデューに接近する。妄想の共有という部分では本作『CHLOE/クロエ』と違う印象。
クロエの急変ぶりは同じアトムエゴヤン監督「フェリシアの旅」の途中からの転調(ドラマとしての登場人物の急変)を思い出した(本作はテーマとも違うからか幾分、弱)。
全編35mmフィルム撮影。手掛けたのはエゴヤン作品のほとんどを撮っているポール・サロッシー。
トロントのロケーションが素晴しい。雪解けのびしゃびしゃとした道路、残った雪、空気感までが伝わってくる。オンタリオ美術館やウィンザー・アームズなど著名な場所がいくつも登場する。
ラストはヒッチコック「めまい」的、「ダイ・ハード」(スネイプ先生)的落下シーン?

映画 | CHLOE/クロエ | 公式サイト
http://www.chloe-movie.jp/pc.html

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2011-06-07

シルヴァン・ショメ監督 『イリュージョニスト』

「ぼくの伯父さん」シリーズで名をはせたジャック・タチが娘のために書いた幻の脚本(「FILM TATI No.4」)を基に長編デビュー作『ベルヴィル・ランデブー』で独特のセンスを発揮したシルヴァン・ショメが映画化したアニメーション作品『イリュージョニスト』。

物語・1950年代のパリ。場末の劇場やバーで手品を披露していた老手品師のタチシェフは、スコットランドの離島にやって来る。この辺ぴな田舎ではタチシェフの芸もまだまだ歓迎され、バーで出会った少女アリスはタチシェフを“魔法使い”だと信じるように。そして島を離れるタチシェフについてきたアリスに、彼もまた生き別れた娘の面影を見るようになり…(ブルー部分・シネマトゥデイより抜粋)

大衆演芸場の終わりとロックンロールの始まり。それは離島に初めて電気が灯り魔法と思っていたものが(やがて)実は手品だと知ることとなるアリスと重なる。ラスト、列車で子供に見せた種明かし。ほろ苦さもまたイリュージョン…。

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タチシェフとユロ氏のスクリーン対面シーンはまさに「おぉ」と声を上げてしまいそうなサプライズ。
トリュフォーがスクリーンにユロ氏を登場させたいとジャック・タチに連絡したところ「ユロ氏のそっくりさん」が現れた、という話。ユロ氏になりきり訓練をうけた影武者たちが7人!
そのトリュフォー作品は『家庭』
パンフレットが大判ロビーカードサイズ仕様(ちなみに『ベルヴィル・ランデブー』の時は紙芝居風仕様)。
公開された国によって違うポスターのキーカラー。随分イメージが違うものになるものですね。

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映画『イリュージョニスト』公式サイト
http://illusionist.jp/

ベルヴィル・ランデブー [DVD]

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COLOR of CINEMA Twitter Edition

COLOR of CINEMA Twitter Editionについて。
ユーザー名はemanon23
梶尾真治×鶴田謙二おもいでエマノン」「さすらいエマノン」から。emanonはNO NAME、それを逆さに読んでエマノン。40億年の記憶を持ったエマノンという少女のあてどない旅。ちなみに梶尾真治さんの小説自体は1979年に発表されたものが最初。

さすがにTwitterユーザー名でemanonはすでに使用されていたのでemanon23で。

ブログの更新と補足追記などをTwitterで。
その他、ブログとは関係ない部分もゆる~く、ツィート。
blog Editionに未掲載の映画短評も今後はTwitterで。
(以上の記事は2010年3月記事)

Twitterは時々ツイート非公開になることがあります&一定期間で削除する記事もあり。

Twitter
Follow us on Twitter @ emanon23

COLOR of CINEMA Twitter Edition
http://twitter.com/emanon23

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2011-06-04

午前十時の映画祭『ザッツ・エンタテインメント』

30数年ぶりにスクリーンで対面。
午前十時の映画祭
で『ザッツ・エンタテインメント』。
序曲、終曲まで上映(公開時は、どちらも無かったような気が…)。
音声はモノラル(DVDは5.1chサラウンド)。
オープニングの1929年「ハリウッドレビュー」で既に歌われていた「雨に唄えば」初登場から「踊るニューヨーク」アステア&パウエルの宙を舞うようなステップ、「ジーグフェルド・フォーリーズ」でのジーン・ケリーとアステア唯一の共演シーン、そしてジーン・ケリーが告げる「もしMGMミュージカルから1本選ぶとしたら」と紹介される1951年「巴里のアメリカ人」までワクワクが続く。初見の時、あとで知ったのだが、その「巴里のアメリカ人」のナンバー(本編でもラストナンバー)が実は編集で縮められているということ。今回もじっくり見たけれど気づかないリズムとテンポ。素晴しい!編集はジャック・ヘイリー・ジュニア(「オズの魔法使い」でジュディ・ガーランドの相手役ブリキ男を演じたジャックヘイリーの息子)。
パンフレットの解説は淀川長治さん(3段組で書かれた嬉々としたレビューが今読んでも楽しい)。

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ザッツ・エンタテインメント公開時のパンフレット(表紙)

そして続編が『ザッツ・エンタテインメント PART2』。(来年も午前十時の映画祭があるとすれば)是非、こちらも上映して欲しい作品。なんといっても「Main Title Sequence」をソール・バスが制作(見本帳的趣き)。
そしてフレッド・アステアとジーン・ケリーが全編通しての司会。しかも77歳と63歳(公開時)のふたりが新たにダンスナンバーを踊る。パンフレットの解説は双葉十三郎さん(ちなみにパンフレットを見たら200円でした)。

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ザッツ・エンタテインメント PART2
公開時のパンフレット(表4)

午前十時の映画祭
http://asa10.eiga.com/

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