クリント・イーストウッド監督『J・エドガー』(J. Edgar)
注・内容、台詞に触れています。
クリント・イーストウッド監督『J・エドガー』(J. Edgar)
脚本はダスティン・ランス・ブラック(ガス・ヴァン・サント監督「ミルク」でアカデミー賞脚本賞受賞)
物語・FBI初代長官としてアメリカの秘密を握ってきた男、J・エドガー・フーバー(レオナルド・ディカプリオ)。彼は自分の業績を回顧録に残そうと考え、自らのキャリアについて語り始める。1919年、当時の司法長官の家が爆弾テロ事件の捜査で注目された彼は、FBIの前身である司法省捜査局の長官代行となる。独善的な彼には批判も多かったが、彼は成果を挙げ続けた。そんな彼を支えたのは、生涯彼の右腕であったトルソン副長官(アーミー・ハマー)と秘書のヘレン(ナオミ・ワッツ)、そして母親のアニー(ジュディ・デンチ)だった。(グレー部分、goo映画より抜粋)
※Memo1
●「チェンジリング」と同じくSaturation(彩度)を落とした映像。撮影はトム・スターン。このテイストはモノクロではないニュース映像的既視感を感じる。時系列に語られない物語は観客にConfusionを起こさせるが、それはまたフーバー=エドガーの混乱でもある(実際、彼は混乱しているわけではなく誰も信用できない極度の過剰防衛故の複雑な性格になっている、もしくはなった)
●母親とトルソン、(そしてヘレンも)だけがフーバーの事を「エドガー」と呼んでいる。(唯一信用していたふたりだが、このふたりが混乱の原因のひとつともいえる)
●ナオミ・ワッツが演じた秘書のヘレン・ガンディ。何故、彼女は最後まで秘書で在り続けたのか…(おそらく以下のシーンに要因の一つが?)
過激派対策課の室長になった直後、彼女に結婚を申し込むフーバー。国会図書館でキスをしようとするところを避けて「勘違いなさらないでください」「ミス、ガンディ、そんなつもりでは」(フーバーはプロホーズのつもりのようだ)
そして「結婚には興味がないので」と断られる。
(しかし個人秘書については引き受ける)
●小道具としてのハンカチ。握手の度にハンカチで手を拭くフーバー。トルソンと出会った時(面接時)、窓に置き忘れたハンカチをすっと渡される。
※Memo2
●いろいろな(キーポイントとなる)台詞
・司法省捜査局の局長代行になって直ぐのフーバーの台詞
「情報は力だ」
(早くからこのことに気づいている)
・アーミー・ハマー演ずるトルソンがフーバーに片腕になってくれと頼まれたときに出した条件。
「いかなる時も昼食を共にすること」
(これはまるで結婚の条件のように聞こえる。後々、ラストまで二人で食事をするシーンが本当に多く登場する、まさに公私共にパートナーであったといわれるふたりだ)
・ラスト近く
同じトルソンが(キング牧師への不信感をあらわにする)フーバーに
「もう何が真実かわからなくなっているんだ」
※Memo3
●衣装デザインはデボラ・ホッパー
約60年間に及ぶ時代を捉えた衣装の数々が。特にフーバーとトムソンのメンズワードローブ(トムソンと出会った後、フーバーのファッションセンスが変わっていくことにも注目)、そしてヘレン・ガンディのファッションとメイク。
●さすがワーナーの配給ということでジェームス・キャグニーの映画シーン(「民衆の敵」や「Gメン」)が登場。
●ジンジャー・ロジャース(Jamie LaBarber)の母親役で少しだけ(懐かしい)リー・トンプソン(Lea Thompson)が出演しています。
●パンフレット表紙は「J・エドガー」の文字はなくポスターにも用いられている英文筆記体「J. Edgar」のみ。1ページ捲ると星条旗版ポスターのフーバーの顔が。
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