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2012-01-23

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『灼熱の魂』

注・内容、結末に触れています。
レバノン出身の劇作家ワジディ・ムアワッドの原作をドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映画化した『灼熱の魂』。出演はルブナ・アザバル、レミー・ジラール。

物語・自らのルーツを語る事はおろか我が子にすら心を開く事もなく急逝した中東系カナダ人女性ナワル・マルワン。故郷を追われた若き日の誓いを知る者は誰もいない。双子のジャンヌとシモンに母ナワルが託した2通の手紙。宛先は死んだはずの父と存在すら知らなかった兄。彼らを捜し出して手紙を渡す事が姉弟への遺言だった。母の真意を計りかね戸惑うシモンを残し、ジャンヌはひとり母の祖国へ旅立つ。(Brown部分、goo映画より抜粋)

Incendies

Memo1
何も予備知識無しで見た場合とプロットを読んで見た場合、印象変わるだろうなぁ…。去年の「彼女が消えた浜辺」もそうでした。はたして母は何を思って、このような遺言を残したのか…、そして父と兄の行方は?何故母は過去を語らなかったのか…?
ミステリーの骨格を保ちながら物語は真実を暴いていく。
(観客は)その過程をジャンヌ、シモンと共に旅の帰結に知る。父は兄でもあったのだ…。(宗教の違いから離れ離れになった母・ナワルの息子、探し続け、もはや亡くなったと思い込み転向後復讐を遂げ牢獄へ。そこで「歌う女」と呼ばれていたこと。送り込まれてきた拷問人が実は息子であったこと。そこで生まれたのがジャンヌ、シモンであったこと)
現在と過去のシーン。(ロングショットや同一場所と思わせたり)繋がっているように見せるミスリード的編集の仕方が巧み。冒頭の丸刈りにされる少年。なんの躊躇いもなく少年を狙撃するスナイパーの青年。事実が判明した時、そのシーン、実はジャンヌたちの父(兄)の描写であったことがわかる。数式のシーンもそうだ「1プラス1は2ではなく1+1=1」(事実を知ったジャンヌがシモンに告げるときに再び使われる)。
民族間、宗教間に横たわる「暴力の連鎖」にどう向き合うべきか。その答えを声高には語らない。ただ、こういう言葉だけが告げられる「ここに共にいることが大事」

Memo2
チャプターで使われるフォントがヘルベチカ(Helvetica)のようなフルティガー(Frutiger)ような、或いはゴダール・フォントの趣。
オープニングシーンの曲はRadioheadYou and Whose Army

映画『灼熱の魂』公式サイト
http://shakunetsu-movie.com

Incendies2

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