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2012-02-26

ジェイソン・ライトマン監督、シャーリーズ・セロン主演『ヤング≒アダルト』

注・内容、台詞に触れています。
「JUNO/ジュノ」の監督・脚本コンビ、ジェイソン・ライトマンディアブロ・コーディが再びタッグを組んだ『ヤング≒アダルト』出演はシャーリーズ・セロンパトリック・ウィルソンパットン・オズワルト

物語・ヤングアダルト小説のゴーストライターをしているバツイチ
37歳のメイビス(シャーリーズ・セロン)の元に高校時代の恋人バディ(パトリック・ウィルソン)から父親になったとメールが届く。そしてある思い込み(勘違い)のもと故郷へ戻る。そして…

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冒頭からメイビスのくたびれ具合の描写が見事(メインタイトル前で全て判る)。昨日(もしくは今朝)帰ったままの姿でベッドの上にうつぶせ寝、散らかった部屋、起きてすぐコーラのがぶ飲み、ずれたヌーブラ、汚れの目立つMac Book(白)、ペットへの対応…。故郷に帰ってからの私はイケてるのよ感バリバリの嫌〜な描写もめちゃめちゃ上手い(そして面白いw)

高校時代にメイビスに憧れていたというマット(いじめから障がい者になっている)を演ずるパットン・オズワルト(Patton Oswalt)が素晴しい。彼は誰かを非難するわけでもなく(他の人もそうであるように)町に居て自分の趣味の枠内でいまを楽しんでいる(スターウォーズの酒場風密造バーボン酒を作ったり、オリジナル的フェバリットフィギュアを作ったりしている)。結局、(最初、会ったときに全く覚えていなかったうえにバディの前では陰口までたたいているのに)ことある毎にメイビスはマットにクダをまき、話し相手になってもらう(逆にそうしてあげているマット←あこがれのメイビスと話せるちょっと嬉しい部分もあり←この辺の演技のさじ加減とか上手いなぁ)

そして、まわりの町の人たちも、メイビスがそんなにうまくいっていないことは判っていて気をつかっていたことがバディの子供の命名式パーティの日に判る。感情の持っていきようがないジレンマの中のメイビス。それでもどちらが良いとか悪いとかの決めつけはなく描くあたり「あるある」「思い当たる」「ドキリとした」と納得させられるライトマン監督の品の良い演出持ち味ですね。
YA絡みでこんな台詞
「YA?」
(どういう小説かを聞いている)
「ヤングアダルト、ティーン向けの小説」
「ヴァンパイア?」
(↑通じるぐらいに共通代名詞になってますねーw)
しかしシャーリーズ・セロン、こんなにうまい役者だったんだ、と感心した一作でもありました(相手によって変わる口元の笑み、とか←スゴイ!)。

Memo2
Title Designer : main and end titlesはGareth Smith
前「Shadowplay Studio」→現「Gareth Smith & Jenny Lee」
ジェイソン・ライトマン監督「JUNO」「サンキュー・スモーキング」「マイレージ、マイライフ」も全て制作(Shadowplay Studio名義になっています)。

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映画『ヤング≒アダルト』公式サイト
http://www.young-adult.jp/



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ヴィム・ヴェンダース監督『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』

独自の舞踊芸術で演劇とダンスを融合させ舞踊界に新しい世界を確立したピナ・バウシュ。2009年に亡くなった彼女の人生そのものともいえるヴッパタール舞踊団の作品を捉えた映像を、ヴィム・ヴェンダースが3Dダンスドキュメンタリーとして映画化したものが本作『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』(gray部分、goo映画より抜粋)

Pina

XpanD 3Dで昨年鑑賞(ヨーロッパ映画祭・オープニング上映)、今回(公開時)masterimage 3Dで再鑑賞(当然、今回の方が軽量で少し明るめの画面となるが前回の中央、やや仰角で見たものがインパクトが強かった←故に鑑賞座席位置は重要なポイントかも)

映画のフレームの中に舞台のフレーム(ここに舞台作品)、さらに一番奥のスクリーンにピナ・バウシュの過去2D映像が投射される構造(その映画フレームを3Dメガネをかけた観客が見る構造がメタとして存在)。そういえば冒頭すぐに映る市立劇場のミニチュア立体感に「おっ」と思った。
舞台とそこから外界へと飛び出していくダンサー。砂、赤い布、水、プール、モノレール、モノレール車内、工場、森、どこまでも続いている気がするエスカレーター、巨大な岩、川、舞台装置のカバ、ガラス張りの建築物…
ダンサーへのコメントインタビューは表情のみをバストショットで捉えボイスオーバーとして被せられている。

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構成
「カフェ・ミュラー」
「春の祭典」
「フルムーン」
「コンタクトホーフ」
4作品をライブとして収録
その他の作品からのダンスシーンもあり。
使用3Dカメラ
・Sony CineAlta HDC-1500
・Sony HDCP1
・Sony PMW-EX3
デジタルプロセスはHDCAM SR (1080p/24)
dual-strip 3-D
思い出したこと→ ヴッパタールの吊り下げ型モノレールといえばヴェンダース監督【都会のアリス】あ、それとフェデリコ・フェリーニ監督【そして船は行く】にピナ・バウシュ自身が盲目の皇女役で出演していたこと。もちろんアルモドバル監督【トーク・トゥ・ハー】での「カフェ・ミュラー」のシーン。

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パンフレット仕様
定価:1600円(税込)
判型:たて189mm×よこ262mm
ページ数:68ページ
ハードカバー仕上げ
(↑以上松竹Web通販ページ記載)
デザインは大島依提亜さん
16ページカラー写真。テキスト部分はヴェンダース監督、ダンサーへのインタビュー、コラム、プロダクションノート他、充実した内容。

ヴェンダース監督のオフィシャルサイト
(インタビュー、メイキング映像等が最下部リンクより見られます)
Welcome to the OFFICIAL SITE of WIM WENDERS
http://www.wim-wenders.com/

映画『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』公式サイト
http://pina.gaga.ne.jp/


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2012-02-23

スティーブン・ダルドリー監督『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』(Extremely Loud & Incredibly Close)

注・内容、台詞に触れています。
ジョナサン・サフラン・フォアの小説をスティーブン・ダルドリー監督が映画化『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』出演はトーマス・ホーントム・ハンクスサンドラ・ブロックマックス・フォン・シドージョン・グッドマン

物語・9.11同時多発テロで最愛の父トーマスを亡くした少年オスカー。その死に納得できないまま一年が経ったある日、父のクローゼットで見覚えのない一本の鍵を見つける。そしてオスカーは父と楽しんだ“調査探索ゲーム”のようにその鍵で開けるべき鍵穴を探す計画を立てる。そして…(gray部分、goo映画より抜粋)

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小説を先に読んだ方からは辛辣な意見も多い本作(ちなみに未読で鑑賞しました)
確かに鍵に合う鍵穴を捜す過程でオスカーが出会っていく人たちの描写(エピソード)が駆け足気味であることや調査探索ゲームの意味(「すごく利口だけど、不器用な人」と語るアスペルガー症候群についての部分←父親がそのことに対して人と接するように考えだしたゲーム)など端折っている感もあるけど映画としての手法はこれでよかったのでは、と思う。(ダルドリー監督の特色でもあるループ気味音楽にのせてのリズムやテンポ)
「私が目を離すと思う?」
サンドラ・ブロック演じる母親はオスカーの目からは抜け殻のように見えていたが実は…。この辺りの経緯が判明することによって、すっと距離が縮まるふたり(母子)。そして、溜まっていた感情がどっと噴きだすオスカー。
「私の話は私のものだから」
お祖母さんの部屋に住む喋ることが出来ない間借り人(英語役名表記でもThe Renter ←実はオスカーのお祖父さん)の台詞。
演じるマックス・フォン・シドー、よかったなぁ。時折、困ったなーという顔になったり、慈愛に満ちた目でオスカーを見つめたり…(もう、これで満足なんですけどね)
もうひとつ嬉しいのは「マチネー/土曜の午後はキッスで始まる」(←すぐにこの作品を思いつくけど「モンスターズインク」のサリーの声の主でもあります←で、コーエン兄弟初期作品常連)のジョン・グッドマンがドアマン(スタン)で出演していた事(「アーティスト」にも出ていて、こちらも嬉しい)

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音楽がややLoop気味で聞き覚えがあるなぁ、と思ったら「ゴーストライター」「ツリーオブライフ」他、最近よく耳にするアレクサンドル・デスプラ(Alexandre desplat)でした。
Alexandre desplatオフィシャルサイト
http://www.alexandredesplat.net/
衣装デザインが80歳を越えてなお第一線の大御所アン・ロス。ダルドリー監督前の2作品も担当。お互い舞台方面からの繋がりでしょうか?(ダルドリー監督は舞台演出家としての作品が圧倒的に多い)。2001年〜2002年頃の衣装を取り揃えるの結構、大変だったかも。
Title DesignはGRAVITY

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Monothika2

映画『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/extremelyloudandincrediblyclose/

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2012-02-18

ラース・フォン・トリアー監督『メランコリア』(Melancholia)

注・内容、台詞に触れています。
ラース・フォン・トリアー監督メランコリア 出演はキルスティン・ダンスト(本作でカンヌ国際映画祭主演女優賞受賞)、シャルロット・ゲンズブールキーファー・サザーランドシャーロット・ランプリングジョン・ハートもちろん常連のウド・キアステラン・スカルスガルドも。

物語・マイケルとの結婚を決めたジャスティン(キルスティン・ダンスト)は、姉・クレア(シャルロット・ゲンズブール)の豪邸で結婚パーティーを行う。最初は楽しそうに振舞っていたジャスティンだが、段々と浮かない顔を見せ始める。やがてパーティーを抜けしたり、マイケルとのベッドを離れたり、奇妙な行動を取り始めたジャスティン。そんなジャスティンに怒ったマイケルは、彼女をクレアの家に置いて帰ってしまう。その頃、天体異常が起こり、メランコリアという惑星が地球に近付いていた…。(green部分、goo映画より抜粋)

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第1部ジャスティン第2部クレアで構成。
冒頭8分間、ジャスティンのビジョンとも言うべき絵画的な美しいビジュアルが続く。続いて徐々に気が滅入っていき見ているこちら側までハラハラする奇行が始まる。そして第2部クレアでジャスティンの鬱は惑星メランコリア接近と共にクレアへと転写し逆にジャスティンは惑星の衝突への恐怖もなく冷静になっていく。ラスト、訪れる不思議な多幸感。(光に包まれるビジョンは特に西洋的終末感からくるもの?)
トリアー監督のいつもの「嫌〜な感じをこちらに与える陰々滅々とした人たちの描写」(シャーロット・ランプリングやキーファー・サザーランド←ジャスティンの顔も見たくないと言ったあとは、パーティ中ずっと手で自分の顔を被っているw)と「手持ちカメラの極度の揺れ」は、ほぼ第1部のみ(と、少なめ)。トリアー監督作品中では最も見やすかった気がします(それでも観客を選ぶタイプの作品ではありますが…)
披露宴でのイベントとして用意された瓶の中のビーンズの数を言い当てての台詞。(ジャスティン)
「地球以外に生命はないのよ」
淡々と告げる。
第2部クレアでのジャスティンはラストに近づくにつれ落ちついていく。
「体が思うように動かない…」の台詞は冒頭シークエンスビジョンのウェディングドレス姿のジャスティンの体にまとわりつく樹木イメージに繋がっている。その他絵画ビジョンは書斎で取り出し並べていく画集と繋がる

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撮影に使われたカメラ(Digital)は(最近、RED ONEと並び多くの映画監督に使用されている)「Arri Alexa
絵画と音楽
アルブレヒト・デューラー「メランコリアI
ミレイ「オフィーリア
(そしてテーマ曲とも言える)
Richard Wagner - Tristan and Isolde
ドイツ人による絵画と音楽が使用されている。
(監督自身がドイツロマン主義の影響についてインタビューで答えていました)
他、音楽に(こちらもよく映画に使われてます)
samuel Barber "Adagio for Strings"
しかしパーテイのダンスシーンで使われている音楽が「La Bamba」「Fly Me To The Moon」とベタな楽曲を使ってる辺りトリアーらしい嫌味さ(←褒め言葉)
(ちょっと蛇足)
最小単位の家族に起こる終末を描いたという点ではシャマラン監督「サイン」をふと、思い起こしたり…。

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映画「メランコリア」公式サイト
http://melancholia.jp/

Melancholia - by Lars von Trier
http://www.melancholiathemovie.com/


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アンドリュー・ニコル監督『TIME/タイム』

注・内容、台詞に触れています。
アンドリュー・ニコル監督
TIME/タイム』すべての人間の成長が25歳で停止して、余命が通貨として使われるようになった世界で、ひとりの青年がその世界のシステムの謎に挑む。出演はジャスティン・ティンバーレイクアマンダ・セイフライドキリアン・マーフィオリヴィア・ワイルド

物語・近未来か別の世界か。そこではお金の代わりに“時間”が通貨として売買されている。25歳になった時から体内時計が余命の時間を刻んでいく。スラムゾーンに住む青年ウィル(ジャスティン・ティンバーレイク)は余命あと23時間だが、偶然ひとりの男から100年分の時間をもらい、富裕ゾーンに入りこむ。そこでは、半永遠の命を持ち贅沢な生活を送る人々がいた。ウィルはそこで富豪の娘シルビア(アマンダ・セイフライド)と知り合う。しかし、時間の秩序を守る監視局員たちがウィルを追跡していた。(gray部分、goo映画より抜粋)

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TIME IS MONEY=時は金なり」
まさにそのままの世界。
「時間、ある?」「時間を稼ぐ」「時間を作る」映画劇中出てくる、これらの会話は(現実社会で)普段から使われていて、ある意味皮肉的。事実、時間を切り売りして(「時間」を稼ぐのではなく)「貨幣」を稼いでいる訳ですから…。意味としては同じでは?
不老不死から起こる倦怠、孤独については手塚治虫さんの「火の鳥」で繰り返し出てきたモチーフ(と、いうか必ずイメージしてしまう←特に未来・宇宙パート側のエピソードに)。果たして不老不死になった人間は生き続けたいものなのか…
アンドリュー・ニコル監督というと「ガタカ」「トゥルーマン・ショー」「シモーヌ」のようにあらかじめ決められたグリッドに並ぶ如き秩序ある世界やルールから逸脱する主人公ドラマの印象が(「シモーヌ」の原題、英語では0と1を当てはめて「S1M0NE」にするこだわり)。今回もその流れかと思いきやジャスティン・ティンバーレイクとアマンダ・セイフライドによる逃走アクションの趣(そうして見ると、かなり面白い。キリアン・マーフィの使い方含め)。ラストは「ボニー・アンド・クライド」想起のTIME BANK強盗へ向かうふたりで終わる。(しかし変な繋がり方のシーンとかいろいろあったけれど許せてしまう不思議な鑑賞後感)

Memo2
「繰り返して」の台詞。
これですね→「Time After Time」
ラスト
100万年分の時間が保管された金庫の前で
「番号は?」
「多分私の誕生日よ、試してみて」
「1809_2_12」
「ダーウィンの誕生日か…適者生存か」

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Title DesignerはAhmet Ahmet
Main title名義はImaginaryforces
End TitleはSCARLET LETTERS

In_time2

In_time3

映画「TIME/タイム」オフィシャルサイト
http://www.foxmovies.jp/time/

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沖田修一・監督『キツツキと雨』或いはキコリとゾンビとカントクと。

注・内容、台詞に触れています。
「南極料理人」の沖田修一監督による『キツツキと雨』。脚本は沖田修一・守屋文雄。出演は役所広司小栗旬高良健吾嶋田久作平田満伊武雅刀山崎努、他

物語・人里離れた山村に住む克彦(役所広司)は森林で木々を伐採する、いわゆる木こり。妻に先立たれ、定職に就かない息子(高良健吾)と二人暮らしをしていた。ある日、仕事の途中、映画の撮影で山に来た青年、幸一(小栗旬)と出会う。車が溝に嵌って身動きが取れない幸一らを撮影現場まで送ると、ゾンビのメイクをされエキストラ出演するハメに。嫌がりながらも内心はまんざらでもない克彦は、やがて幸一の姿に息子と自分自身を重ねるようになり…。(green部分、goo映画より抜粋)

Kikori_zombie

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ミイラ取りがミイラではなくゾンビ取りがゾンビにといった感じで(ゾンビにとり憑かれるわけでなく)映画撮影にとり憑かれるプロセスが面白い(そして、描かれ方がとても丁寧)
フィックスで撮られた画をきっちりとした編集で繋ぐ、その点からしても丁寧(逆に劇中劇がかなりのグダグダ感なところもよい)
撮影が素晴しいなぁ、と思ったら月永雄太さんでした。「東京公園」「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」ですっかりお気に入りの撮影監督です。デジタルカメラによる撮影は現在の日本映画においてダントツじゃないかなぁ…→(デジタルゆえのピント合わせやデータ変換時の色彩調整に対しての勘というかセンス)

Memo2
小さいエピソードの積み重ね
木で作った将棋台で将棋をさす克彦と幸一。海苔をムシャムシャ食べながら(←とてもイイ)←これが、ラストの息子(実は同じ幸一という名前)と将棋をさすシーンへと繋がる。
そして、この台詞
「なんか、この駒ベトベトしてない」
幸一登場シーンでの台詞
「え?」
助監督が何かを言っている。
チェーンソーの音で聞こえない。
そしてラストカットを撮影前に雨に降られ困っている幸一は一瞬、声を聞く
「晴れるよ」
隠れ家的露天風呂で遭遇する克彦と幸一。2回出てくるシーン。ふたりの距離のつめ方のメリハリが楽しい。
洗濯ものをたたむ克彦が正座してたたんでいたり、海苔を指先にちょんとくっつけてご飯にのせ食べる親子の仕草とか些細なディティールも楽しい( ´ ▽ ` )
あ、ラストシーンの木で作ったディレクターズチェアも。

映画『キツツキと雨』公式サイト
http://kitsutsuki-rain.jp/

映画「キツツキと雨」ロケ地めぐり|ぎふの旅ガイド
http://www.kankou-gifu.jp/feature/cinema/

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2012-02-10

デヴィッド・フィンチャー監督『ドラゴン・タトゥーの女』(The Girl with the Dragon Tattoo)

注・内容、核心部分およびスウェーデン版映画についても触れています。
2009年に映画化されたスティーグ・ラーソンのベストセラー小説をデヴィッド・フィンチャー監督が再映画化『ドラゴン・タトゥーの女』(The Girl with the Dragon Tattoo)脚本はスティーブン・ザイリアン主演ダニエル・クレイグルーニー・マーラクリストファー・プラマー

物語・雑誌「ミレニアム」の発行責任者ミカエル(ダニエル・クレイグ)は実業家の不正を暴くが、逆に名誉毀損で有罪判決を受ける。そんな中、かつての経済界の大物一族の長ヘンリック(クリストファー・プラマー)がある依頼をする。40年前に起きた、彼が最も愛情をかけていた16歳の娘ハリエットの失踪事件の謎を解く事だ。やがて彼の助手として情報収集能力に長けた天才的ハッカーの“ドラゴン・タトゥーの女”、リスベット(ルーニー・マーラ)が加わる。そして2人は、一族の忌まわしい過去を知る事になる。
(gray部分、goo映画より抜粋)

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クリスマスの頃に始まった話は同じクリスマスの頃に終わる。ヴァンゲル一族の住む島を結ぶのは一本の橋。その橋で起こった事故の直後から始まった事件は同じ橋を越えたところでの犯人の死で終わる(まるで彼岸と此岸を結ぶみたいに、そして閉じ込められた過去の開放のように)。ハリエットも忌まわしき事実から抜け出せることを思って(車のトランクに隠れ)この橋を渡った。
そしてミカエルも危ないことを判りつつ一歩踏み入れてしまうシーンがある(犯人に、その点をつかれる)犯人宅への侵入もそうだが橋を渡ったところから始まっている(ヘンリックの屋敷への一本道のショット、そしてミカエルの表情)

原作、スウェーデン版映画と既に発表されているので「読んでから観るか」「見てから観るか」「読んで、さらに見て、そして観るか」で印象が変わると思う。
やはり、かなりの部分を原作から外した事によるダイジェスト感は否めないものの、映像(撮影)と音に(そして編集)の素晴らしさと158分の尺を飽きさせずに魅せてくれた。(そして監督自身、おそらく原作を読んで見に来ていることを前提に描いているフシもある)←本編の80%ぐらい流れ続けるSoundtrackとか(注・実測はしていません)
リスベットの過去の部分は最後に少し本人が語る程度だがスウェーデン版映画は父親に火をつける幾つかのシーンがはさみこまれている。

リスベットが読んでいた本はチェス教本として有名な「ボビー・フィッシャー 魂の60局」(My Memorable 60 Games)。ちなみに脚本のスティーブン・ザイリアンが脚本・監督した映画(傑作)が【ボビー・フィッシャーを探して】(Searching for Bobby Fischer)です。(ここはきっちりと字幕にも出てて、リスベットらしい読書、そしてちょっとした洒落っ気?)
それとミカエルが一枚一枚破いて(薪ま代わりに)暖炉にくべているのはカート・ヴォネガットのエッセイ集「国のない男」(A Man Without a Country)←これは刊行年と舞台設定年の関係?

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撮影は「ソーシャル・ネットワーク」と同じジェフ・クローネンウェス

使用デジタルカメラは「ソーシャル・ネットワーク」でも使用されていた「RED ONE」と新たにスーパー35mmサイズ相当の5K撮像素子を持つ次世代カメラ「EPIC」(RED ONEより小型)
ツェッペリン「移民の歌」をヤー・ヤー・ヤーズカレン・Oトレント・レズナーがカバーした曲が流れる中キーボードやリスベッドの頭部などに黒いもの(コールタールの如き)が流れてまとわりつく美しいTitle Sequence(フィンチャー監督曰く「リスベットの悪夢」)を制作したのは「Blur Studio」(フォントの処理がカッコイイ!)
その
Title Sequenceに関しての3D Worldの記事
(
Title Sequence動画あり)
The Making of The Girl with the Dragon Tattoo title sequence

Soundtrack表記
All songs written and composed by Trent Reznor and Atticus Ross
本作公開に合わせてスウェーデン本国版、ニールス・アルデン・オプレブ監督【ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 <完全版> 】劇場版153分より33分長い186分オリジナル版もDVD発売された。原作を映画化となると、やはり180分以上は必要かと… フィンチャー監督版もディレクターズカットとか出るかもしれませんね(と、いうか見たい)
「ソーシャル・ネットワーク」の時と違ってSONY・VAIOではなくapple(Mac Book PRO)この辺りSONYの懐深さでしょうか(さすがに携帯音楽プレーヤーはSONY製品←機種未確認)
使用アプリケーションが主にiPhoto(スムーズに写真閲覧を進める上でもビジュアル的にも重要な役割、スライドショーにもしていた)。それとPhotoshopも使っていました。
パンフレットが珍しい仕様→ 表紙が(ミカエルとリスベットの写真)でスミのせ部分が多いので重ねたときの汚れ保護のために白紙を外側に最初から付けていた(綴じてある)。それと日本語タイトルを入れていないのがよい(最近、オリジナルの英文タイトルのみのパンフが増えてきて嬉しい)

ドラゴン・タトゥーの女 - オフィシャルサイト
http://www.dragontattoo.jp/


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2012-02-09

ジョン・ヒューズ映画以降の最重要作。ウィル・グラック監督、エマ・ストーン主演『小悪魔はなぜモテる?!』( Easy A )

注・内容、台詞に触れています。
なんということでしょう!このジョン・ヒューズ映画以降の最重要作。ウィル・グラック監督、バート・V・ロイヤル脚本、エマ・ストーン主演「Easy A」(日本語DVDタイトル『小悪魔はなぜモテる?!』)が未公開だったなんて(あぁ劇場で見たかった)

物語・どちらかというとモテない系に属す17歳のオリーヴ(エマ・ストーン)は友人に「私はもうエッチ済」と、ささいなウソをついてしまう。が、あっという間にそのウワサは学校中に知れ渡り「ビッチ」としてのレッテルが貼られてしまう。おまけにゲイ疑惑でいじめられているブランドンを助けてあげようと「エッチをした」という偽装の手伝いをして事態はさらに大変な方向に…。

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ナサニエル・ホーソーンの古典的小説「緋文字」がモチーフになっているので、それ自体がギャグに使われるシーンも(←主に映画化された作品ネタ)。で、一応知らない人のために10秒ぐらいで判る「緋文字」ストーリー(これ自体がギャグっぽい)もあります。
その「緋文字」の映画の話でこの台詞
「デミ・ムーアの入浴シーンのないオリジナルの方の話よ」
スタンリー・トゥッチがオリーヴ(エマ・ストーン)の父親役で出てて、また「プラダを着た悪魔」「バーレスク」みたいな(そーいう)設定(を、匂わせる台詞が)
家族で映画を観るシーンでその父親(トゥッチ)が迷う映画「ブーリン家の姉妹」「素敵な人生の見つけ方」
極めつけオリーヴの台詞
私の人生はジョン・ヒューズの映画じゃない
途中「そんな80年代映画のようなことは〜」の時に登場する映画→「フェリスはある朝突然に」「セイ・エニシング」「キャント・バイ・ミー・ラブ」「すてきな片想い
しかしラストは(ラジカセではないがw 両手にスピーカーを持って)窓の外に幼なじみにして好きだったトッドが、という80年代映画のようなシーンで締めくくられます。
ちょっと蛇足
書店でオリーヴが店員に聞く「聖書は?」に対して字幕では「ベストセラーの隣に」ですが実際は「『トワイライト』の隣に」

そして、外せないのが音楽。IMDbよりSoundtrack資料
Easy A (2010) Soundtracks
http://www.imdb.com/title/tt1282140/soundtrack

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(Main&End)タイトルデザインは PictureMill。(「パニックルーム」でアッと言わせたパースペクティブに背景と文字を並べるデザイン) 同じウィル・グラック監督「ステイ・フレンズ」もPictureMillによるもの。
ところで、同じエマ・ストーン出演のこちらも未公開(DVD化もされていないので輸入Blu-rayで鑑賞)→【Paper Man】(監督・脚本はミシェル&キーラン・マロニー/ガイ・リッチー「シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム」脚本)。エマは子どもがいないのに雇われるベビーシッター役。ライアン・レイノルズが架空のヒーロー、キャプテンエクセレントを演じてた(まさか、この後本当にグリーンランタンになるとは本人もビックリではw)


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3Dよりも立体視できる美しさ。レフ・マイェフスキ監督、ルトガー・ハウアー主演『ブリューゲルの動く絵』

16世紀フランドル絵画の巨匠ブリューゲルの傑作「十字架を担うキリスト」をポーランドの鬼才レフ・マイェフスキ監督が再現『ブリューゲルの動く絵』。出演はルトガー・ハウアーシャーロット・ランプリングマイケル・ヨーク

物語・16世紀のフランドル地方。農村の夜明けと共に巨大な風車が動き出す。人々は目覚め、一日の仕事が始まる。スケッチブックを片手に画家ブリューゲルは村を散策する。そこへ兵士たちが馬に乗って現れ、無実の男を残虐にも車輪刑にするが殺された男の妻以外は誰も関心を払わない。この非情な光景を嘆く友人ヨンゲリンクに求められるままブリューゲルは、聖書にあるキリスト受難の物語を再現してみせるのだった。(Brown部分、goo映画より抜粋)

Bruegel

Memo
いくつものレイヤーが合成されて動く様子に目が点。3Dよりも立体視できる美しさ。これは今後のアート系絵画映画の扉を開いた作品。
ブリューゲルさん(あえて「さん」付けで)による「十字架を担うキリスト」の解説という贅沢さ(なによりも人物の配置や構図について本人が語るのですから!)。観終わってから「絵」を見ると風車小屋の小さな人影からゴルゴダの丘の人垣、その他様々なエピソードの集約が込められていることがわかる。
映画の中に絵画、動き出す絵画、思い出したのが油絵と実写によるレイヤー、エリック・ロメール監督「グレースと公爵」、そして黒澤明監督「夢」のゴッホエピソード。ピーター・グリーナウェイ監督作品も(初期段階のHD使用によるBOOKを動かした「プロスペローの本」など)
「Roger Ebert's Top 20 Movies of 2011」で【ブリューゲルの動く絵】(THE MILL & THE CROSS)は19位にランクインしていました。

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大島依提亜さんデザインによるパンフレットが超絶仕様(ボール紙金色特色折り返して「十字架を担うキリスト」美麗印刷)←本編後のチェックに◎
上記写真、表紙が傷んでいるようで見えますが実はそういった造りになっている手の込み具合。本文Critiqueも読み応えあり。

映画『ブリューゲルの動く絵』公式サイト
http://www.bruegel-ugokue.com/

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