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2012-02-18

ラース・フォン・トリアー監督『メランコリア』(Melancholia)

注・内容、台詞に触れています。
ラース・フォン・トリアー監督メランコリア 出演はキルスティン・ダンスト(本作でカンヌ国際映画祭主演女優賞受賞)、シャルロット・ゲンズブールキーファー・サザーランドシャーロット・ランプリングジョン・ハートもちろん常連のウド・キアステラン・スカルスガルドも。

物語・マイケルとの結婚を決めたジャスティン(キルスティン・ダンスト)は、姉・クレア(シャルロット・ゲンズブール)の豪邸で結婚パーティーを行う。最初は楽しそうに振舞っていたジャスティンだが、段々と浮かない顔を見せ始める。やがてパーティーを抜けしたり、マイケルとのベッドを離れたり、奇妙な行動を取り始めたジャスティン。そんなジャスティンに怒ったマイケルは、彼女をクレアの家に置いて帰ってしまう。その頃、天体異常が起こり、メランコリアという惑星が地球に近付いていた…。(green部分、goo映画より抜粋)

Melancholia01

Memo1
第1部ジャスティン第2部クレアで構成。
冒頭8分間、ジャスティンのビジョンとも言うべき絵画的な美しいビジュアルが続く。続いて徐々に気が滅入っていき見ているこちら側までハラハラする奇行が始まる。そして第2部クレアでジャスティンの鬱は惑星メランコリア接近と共にクレアへと転写し逆にジャスティンは惑星の衝突への恐怖もなく冷静になっていく。ラスト、訪れる不思議な多幸感。(光に包まれるビジョンは特に西洋的終末感からくるもの?)
トリアー監督のいつもの「嫌〜な感じをこちらに与える陰々滅々とした人たちの描写」(シャーロット・ランプリングやキーファー・サザーランド←ジャスティンの顔も見たくないと言ったあとは、パーティ中ずっと手で自分の顔を被っているw)と「手持ちカメラの極度の揺れ」は、ほぼ第1部のみ(と、少なめ)。トリアー監督作品中では最も見やすかった気がします(それでも観客を選ぶタイプの作品ではありますが…)
披露宴でのイベントとして用意された瓶の中のビーンズの数を言い当てての台詞。(ジャスティン)
「地球以外に生命はないのよ」
淡々と告げる。
第2部クレアでのジャスティンはラストに近づくにつれ落ちついていく。
「体が思うように動かない…」の台詞は冒頭シークエンスビジョンのウェディングドレス姿のジャスティンの体にまとわりつく樹木イメージに繋がっている。その他絵画ビジョンは書斎で取り出し並べていく画集と繋がる

Memo2
撮影に使われたカメラ(Digital)は(最近、RED ONEと並び多くの映画監督に使用されている)「Arri Alexa
絵画と音楽
アルブレヒト・デューラー「メランコリアI
ミレイ「オフィーリア
(そしてテーマ曲とも言える)
Richard Wagner - Tristan and Isolde
ドイツ人による絵画と音楽が使用されている。
(監督自身がドイツロマン主義の影響についてインタビューで答えていました)
他、音楽に(こちらもよく映画に使われてます)
samuel Barber "Adagio for Strings"
しかしパーテイのダンスシーンで使われている音楽が「La Bamba」「Fly Me To The Moon」とベタな楽曲を使ってる辺りトリアーらしい嫌味さ(←褒め言葉)
(ちょっと蛇足)
最小単位の家族に起こる終末を描いたという点ではシャマラン監督「サイン」をふと、思い起こしたり…。

Melancholia02

映画「メランコリア」公式サイト
http://melancholia.jp/

Melancholia - by Lars von Trier
http://www.melancholiathemovie.com/


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