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2012-03-25

ミシェル・ウィリアムズ主演『マリリン 7日間の恋』(My Week with Marilyn)

注・内容、台詞に触れています。
マリリン・モンローが「王子と踊り子」出演のためにイギリスに赴いた際のエピソードを同作のスタッフであったコリン・クラークの原作(books "My Week with Marilyn" and "The Prince, the Showgirl and Me")を基に映画化した『マリリン 7日間の恋』監督はサイモン・カーティス。出演はミシェル・ウィリアムズケネス・ブラナーエディ・レッドメインエマ・ワトソンジュディ・デンチジュリア・オーモンドドミニク・クーパー

物語・1956年、新作映画『王子と踊り子』の撮影のために、マリリン・モンローがイギリスにやってきた。監督&共演は名優ローレンス・オリヴィエ。撮影が始まるが精神が不安定なマリリンはたびたび遅刻し、オリヴィエらの反感を買う。孤立するマリリンが現場で心を許すのは、この映画の第3助監督コリンだけだった。上流階級の子弟で映画界に飛び込んできたばかりの23歳の青年コリンを、マリリンは何かと指名するようになり、やがて…(Skyblue部分、goo映画より抜粋)

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マリリン・モンローを演じたミシェル・ウィリアムズ。顔の感じは全く違うのに、時折浮かべる素のマリリン・モンロー(ノーマ・ジーン)の雰囲気まで演じていて感嘆(リスペクトしている事がわかる演技)。ケネス・ブラナーがローレンス・オリヴィエというのも(あまりにあまりな)ハマリ具合。なんといっても"あの台詞"(後述)まで出てくるのですから。そして魔法を使わないエマ・ワトソン。モンロースタジオの株式49%(モンローが51%)を持つミルトン・グリーンにドミニク・クーパー(彼もコリンと同じようにモンローに想いを寄せた時期があると忠告、というかジェラシー臭プンプン。写真家なので映画界については素人。で、やたらとウロウロしている)。コリン役、エディ・レッドメインもよい(育ちの良さからか誰からも嫌われない)
ヴィヴィアン・リー役をジュリア・オーモンド。
その頃の映画界の事が伺える台詞
「彼女はエリア・カザンの映画に出てメソッド演技法にうんざりしているんだよ」
アクターズスタジオのリー・ストラスバーグの妻でモンローのコーチとしてベッタリとくっつくポーラ・ストラスバーグにうんざりしていたオリヴィエの心情でもある。
元々は舞台劇(その時はオリヴィエとヴィヴィアン・リーが主演)だった「王子と踊子」
だが映画化の際に若いマリリン・モンローをキャスティングしたことに対してのヴィヴィアン・リーの台詞
「私はあまりにも歳をとっているのでフィルムの中では演じることができなかった。彼にとっては真実が全てなのよ」
(試写室でのふたりの会話もスゴイものがあったなぁ…・・;)
コリンやマリリン・モンローに親切に接する皇太后役、シビル・ソーンダイクをジュディ・デンチ。(映画「王子と踊子」の時のご本人と同年齢ぐらいでしょうか?)
オリヴィエがマリリン・モンローの事を評して。
「ハリウッドは彼女にいろいろなことを要求したけれど結局勝利したんだよ」
ラスト近く試写室で。
"The Coconut Girl”(このシーンの撮影時、スターのオーラにキャスト、スタッフとも唖然と見つめる場面はあらためてマリリン・モンローの凄さを伝える秀逸な出来)で踊るモンローのシーンを見ているローレンス・オリヴィエ。
"台詞"のように言葉をつぶやいている。
それに対してコリンが「プロスペロー…」
そして、あの有名な台詞で締める
We are such stuff as dreams are made on, and our little life is rounded with a sleep. (我々は夢と同じ物で作られており、我々の儚い命は眠りと共に終わる)」

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撮影スタジオが「王子と踊子」が撮影された同じ「Pinewoods Studio」現在は撮影からポスプロまで手がける巨大スタジオ(カナダ、ドイツ、マレーシアにも拠点)に。
Pinewood - Film & Television studio
http://www.pinewoodgroup.com/
タイトルデザイン名義はLipsync(VFXなども)
アレクサンドル・デスプラ(音楽名義クレジットはコンラッド・ポープ)が作曲したメインテーマをラン・ラン(Lang Lang)が演奏 ←ちなみに「のだめカンタービレ最終楽章」の上野樹里ピアノ演奏部分はこの人。
ミシェル・ウィリアムズ、次回作はサム・ライミ監督【Oz: The Great and Powerful】(Red One進化系「Red Epic」で撮影)でミラクニス、レイチェル・ワイズらと共演。(オズがジェームズ・フランコというのも楽しみ)

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Memo3
The Weinstein Company/My Week with Marilyn
http://twcguilds.com/film/my-week-with-marilyn
(↑DOWNLOAD SCREENPLAY PDFをクリックで
脚本がPFD保存出来ます)←表紙付き
(パラパラと見た限り削除されたシーンもありです)
Type/Face : the movies of Marilyn Monroe
(マリリン・モンロー出演作品のタイトルType/Faceが見られます)
もちろん「王子と踊子」も
http://annyas.com/screenshots/updates/type-face-the-movies-of-marilyn-monroe/

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映画『マリリン 7日間の恋』公式サイト
http://marilyn-7days-love.jp/


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2012-03-20

マイク・ミルズ監督『人生はビギナーズ』

注・内容、(かなりの)台詞に触れています。
マイク・ミルズ監督
が自身と父との体験を基に映画化『人生はビギナーズ』。出演はユアン・マクレガークリストファー・プラマー(アカデミー賞・助演男優賞を受賞)、メラニー・ロランゴラン・ヴィシュニック、そしてコスモ(アーサー)

物語・44年連れ添った母に先立たれた父ハルが突然「私はゲイだ」と告白。若々しいファッションに身を包んで年若い恋人を作り癌を告知されても尚新たな人生を謳歌する老いた父に38歳で独身のオリヴァーは戸惑う。慎重な性格が災いしてか心を許せるのは愛犬アーサーだけ。そんな一人息子に父は素直に愛し愛されることの素晴らしさを教えようとする。やがてオリヴァーは運命の女性アナと出会い恋に落ちるのだが…(glay部分、goo映画より抜粋)

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Memo1
メインの3人と一匹の素晴しいこと素晴しいこと。会話や部屋のインテリア、趣味、行動パターンなどの些細な描写でそれぞれのキャラクター、心情が浮かび上がる。ハルの慈愛。母親のとまどい(でかける父親ハルにキスをして見送ったあとの表情)。それを見てきたオリヴァーの気持ち(さらに父のカミングアウトで困惑)。そして喪失感。ずっとホテル住まいのアナ(全く生活感がなく浮遊した感じ←クローゼットに服を入れない)など…
台詞いろいろ
なかなか外に出て行かないオリヴァーをデザイン会社の同僚がパーティ(仮装パーティー)に誘われ出かける。
オリヴァーはフロイト博士になって診療まねごとをしている。
そこにアナ(扁桃炎で喋れないことにしている←この辺り、アナも人との関係性が上手くとれないことがわかる←その後も)が座り
「悲しそうな顔をして、どうしてパーティに来てるの?」
「どうして、わかったの」
(メモに目の絵を描く)
(あ、という顔をするオリヴァー)

ハルとオリヴァーの会話
「ライオンを待ち続けて待ち続けて、なかなか現れなかったときにキリンが現れたら、どうする」
「ライオンを待つよ」
「そういうところが心配だ」

両親との関係性がわかる台詞
「変人(怪物)ふたりに育てられたから」
その両親に育てられたからか慎重さが伺えるオリヴァーの台詞
「質問すると相手が嫌がるから、推測ばかりしてたんだ」

「わたしにあなたは癒せない」
アナのこの台詞のあと、オリヴァーと一緒に暮らすがしっくり来ない。そしてニューヨークに戻って行くアナ。

めちゃめちゃ可愛いアーサーの台詞(字幕)
「150ワードぐらいは理解するけど話せない」
「もう結婚したの?」
「始めからうまくいかないと思ってた」
↑この時、ハッと気づくオリヴァー。
アナを迎えにニューヨークへ

そして戻ってきたアナとオリヴァーの会話
(ベッドの上に列んで座って)
「これから、どうなる?」
「わからない」
そして、始めてみよう
TITLE「Beginners」
(いいエンディングだなぁ♫)

話題の名演技犬
人生はビギナーズ】アーサー役コスモ(Cosmo)
http://www.imdb.com/name/nm4814926/
アーティスト】アギー(Uggie)
http://www.imdb.com/name/nm4398171/
共に職業、Actor
ちなみにIMDbでチェックするとコスモの表記がCosmo (IX)になっています。
と、いうことはコスモ9世!?

Memo2
映画の中に出てきた(コピックで描かれていた)イラストは監督自身によるもの。「Drawings From the Film Beginners」が発刊されています。
メイキング映像(撮影風景)を見るとRed One Cameraが使用されていました。基本4Kデジタルフォーマットで撮影されていたようです(詳細未確認)。

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映画『人生はビギナーズ』公式サイト
http://www.jinsei-beginners.com/

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2012-03-17

メリル・ストリープ主演『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(The Iron Lady) 行動は性格である。

注・内容、台詞に触れています。
英国史上初の女性首相の生涯(ある一面)を描いた『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙
監督はフィリダ・ロイド。出演は本作によってアカデミー主演女優賞を受賞したメリル・ストリープジム・ブロードベントアレクサンドラ・ローチハリー・ロイドアンソニー・ヘッド、他

物語・
夫 デニスを亡くして8年、ようやく始めた遺品整理の手を止めてマーガレット(メリル・ストリープ)は遙か昔を振り返る。勤勉で雄弁な父を尊敬して育った小さな雑貨商の娘はオックス フォード大学に進学し、政治家を目指す。初めての下院議員選に落選し落ち込んでいた時にプロポーズしてくれたのがデニス・サッチャー(ジム・ブロードベント)だった。専業主婦にはならないと宣言して男女の双子をもうけた後、ついに当選して国会議事堂に乗り込むのだった。(DarkViridianGreen部分、goo映画より抜粋)

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脚本が「SHAME シェイム」(←共同脚本)の
アビ・モーガン。この全体の浮遊感ある物語運びはこの人の特徴かも(監督によって相当印象が変わると思います←脚本そのものを読んでみたいなぁ)
思っていたよりもシーンとしては晩年の比率が多い。そして回想(※)の形をとっているのでメリル・ストリープが演じていることを忘れてしまうぐらいに違和感がない(見るまでは"そっくりさん"演技かと思ったが、さすがにアカデミー主演女優賞納得の迫力)
実は認知症を患っている事から、実際に時間軸は関係なくなっているかもしれない←暗にそう描いている←観客は寝て見ている夢回想幻覚とを並列で見ることとなる←故にシンプルに感動できないような図式になっていたのかも
夫であり人生の伴走者でもあるデニスを演じたジム・ブロードベントが、また上手い。時にチャップリン、時にユル・ブリンナー(何度か出てくる「王様と私」そして主題歌「Shall we dance?」)などをおどけて見せるユーモラスな演技が素晴しい。

市長までも務めていた父親の影響・大ということを表すシーンが多数。「必要なことは全て父から学んだ」
また、こういう台詞も。
「"考え"が人格を作るの」
「"感じてているか"ではなく"アイデア"や"考え"が大事なの」
ふと、フィッツジェラルドの未完にして遺作「ラストタイクーン」収録の作者によるノートに記された一行を思い出した。
「行動は性格である」
ラスト近く。デニスの遺品を袋に詰めながら(靴を撒き散らしたり)の台詞。「男ども」(強気の台詞と呼応「腰抜け」や「このままでは選挙に勝てない」の側近の言葉に対して「自分のことばかり考えて」など)。
その強気さと対になるのがハンドバッグのショットやストによる停電の際に出てくる懐中電灯。会議が紛糾したときにさっと紅茶を入れて「ここは母親として」などの面。これらをメリル・ストリープは実にメリハリの効いた芝居でみせてくれます。
ケン・フォレット「針の眼」を読んでいるシーン(小説発表が1978年なので首相になる前かなった直後のシーン)。デニスがオチを話すw。(フォークランド紛争が1982年で映画が1981年なのでその辺りも絡めてのシーンともとれる)

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(シンプルながら美しいフォント処理の)Main TitlesはMatt Curtis(「127時間」「キック・アス」など)。CとJの形からフォントはTrajanと推測。

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映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」公式サイト
http://ironlady.gaga.ne.jp/


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2012-03-14

スティーヴ・マックィーン監督『SHAME シェイム』"New York, New York"…

注・内容、台詞に触れています。
ヴェネチア国際映画祭主演男優賞を受賞したマイケル(ミヒャエル)・ファスベンダーと「17歳の肖像」のキャリー・マリガンによる衝撃作『SHAME シェイム』監督は長編映画2作目のスティーヴ・マックィーン

物語・ブランドンは上司に認められる有能な会社員。外見も魅力的で、洒落たマンションにひとりで暮らす彼は仕事以外の全ての時間を“セックス”に注ぎ込んでいる。プロの女性を買い、時には行きずりの女性と駐車場で事におよびアダルトサイトを常に閲覧するという毎日を送っていた。ある日、妹のシシーが突然転がり込んでくる。人との繋がりを持たず感情を排して生きてきた彼は、愛を渇望し感情をあらわにするシシーの出現に心乱される。(Darkgreen部分、goo映画より抜粋)

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冒頭、留守電に出ないブランドンが部屋の周りを回るシーンが2回。あきらかに、ある種の情緒を欠く感じが伝わってくる。続く地下鉄での視線。じっと斜め前に座る女性(Cast表記ではWoman on Subway Train)を見つめる(ブランドンがハンサムなので女性も、やや困惑気味もまんざらではない)そして…。←このシーンはラストにも繋がる。
まあ、とにかくモテるのが判るシーンが何回かある(バーで上司がナンパをしにいった後にすっと現れたブランドンを見る女性の視線が瞬時に変った)。そう、この映画は視線の映画でもあるのだ。(もちろんセックス依存とコミュニケーション不全と空虚さを纏う物語でもある←オフィスの空虚感、上司や働く人を含めすごい…←ぎりぎりで保っているとも言える?)
そして(幾度と無く出てくる)地下鉄の中の孤独とでも呼ぶべきシーン。誰もが黙ったまま(そして何かを視ている)。サウンドデザインが絶妙(小さく耳障りな音が入っていると推測←爆音上映レベルの音響必要かも)

キャリーマリガン演ずるシシー("New York, New York" を歌うシーン、秀逸!)とブランドン。あきらかに顔が似ていないのでおそらく親が違うし以前(過去)何かがあったのが解るが説明的な台詞はない(リストカットの跡や感情から大凡の事はわかるが…)
終盤近く…
シシーの電話越しの台詞
「私たちは悪い人間じゃないわ」
「いた場所が悪いのよ」

Memo2
劇場を出てからも音楽がループし続けた印象的なSoundtrack(この映画全体を覆う不穏な空気を創りだした素晴しい音たち)を手掛けたのはハリー・エスコット(Harry Escott)「ハードキャンディ」の音楽もですね(繋がっている?意味深にw)
あ、劇中、グレン・グールドの楽曲も!
撮影はショーン・ボビット(Sean Bobbitt)
マイケル・ウィンターボトム監督「ひかりのまち」でロンドンの夜の街を写しだした人(←この作品もマイケル・ナイマンの音楽と画がループ)ちなみにマイケル・ナイマンの娘、モリー・ナイマンとハリー・エスコットコラボで音楽を担当した「マイティ・ハート/愛と絆」の撮影もSean Bobbitt(なんだか全部繋がっている)

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映画『SHAME -シェイム-』公式サイト
http://shame.gaga.ne.jp/

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2012-03-13

「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」西宮市大谷記念美術館

世界的に有名な「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」
1967年に始まって日本では、この西宮市大谷記念美術館が1978年に初の展覧会を開きました。その後、板橋区立美術館が1989年から日本におけるコーディネーターの役割を果たしています。

2012年は2012年8月18日(土)~9月23日(日)開催予定

2011イタリア・ボローニャ国際絵本原画展
2011年は58カ国2836名が応募、その中から日本人19名を含む20カ国76名の作家が入選。また今回は西宮市大谷記念美術館での特集展示として「関西ゆかりの作家9人展」も開催。
特別展示はフィリップ・ジョルダーノの「かぐや姫」
(原画とスケッチやページ台割なども同時に展示されたメイキング的趣もあって素晴らしい内容)

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たかい よしかず「ごちそうくろくま」

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正面入り口、入ってすぐにある記念撮影場所。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2010イタリア・ボローニャ国際絵本原画展
2010年は応募総数・58カ国 2454名。入選作家・87人(組)
今年の特別展示と図録表紙はタシエス

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正面入り口、入ってすぐにある記念撮影場所。
ケーストゥティス・カスパラヴィチュスの「ウサギのマーカス王」が全面フィーチャーされていました。
絵の中に入った感じで♪

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ロビーから中庭を望む。(ちなみに、こんなに空いている訳ではなく、人が一瞬いなくなるのを待って撮影です)。こちらの庭は外に出て散策もできますよ

2009イタリア・ボローニャ国際絵本原画展には(今や有名な)ショーン・タンも入選作家として展示されていました。(カタログ表記がシャウン・タン。原画は2011年発刊された「遠い町から来た話」)
特別展示と図録表紙はロベルト・インノチェンティ

※プラス、見落としがちなのが↓
西宮市大谷記念美術館・庭に展示されている岡本太郎作品「午後の日

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さすが西に向いて展示されていて、太陽の光をあびています。

西宮市大谷記念美術館 Home Page
http://otanimuseum.jp/home/

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2012-03-11

ガイ・リッチー監督『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』(Sherlock Holmes : A Game of Shadows)

注・内容、台詞に触れています。
監督はガイ・リッチー、主演ロバート・ダウニー・Jrジュード・ロウのヒット作「シャーロック・ホームズ」の続編『シャーロック・ホームズ  シャドウ ゲーム』出演は他にノオミ・ラパスジャレッド・ハリススティーヴンフライ

物語・欧州各地で起こる連続爆破事件を調査中のホームズ(ロバート・ダウニー・Jr)は結婚式を明日に控えたワトソン(ジュード・ロウ)を連れてあるクラブを訪れる。そこでホームズは、爆破事件のヒントを求めてジプシーのシムを訪ねるが彼女は姿を消してしまう。翌日、無事に結婚式を挙げたワトソンだが、新婚旅行で何者かに襲われホームズに助けられる。爆破事件の首謀者・モリアーティ教授(ジャレッド・ハリス)が自分たち夫婦を狙っていると知ったワトソンはホームズと共に事件解決に乗り出すことに…。(Blue部分、goo映画より抜粋)

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本作、例えるとこんな感じ
ホームズ「ワ~トソンくーん、あ・そ・ぼ ♡」
ワトソン「もう、しゃーないなぁ~」(実は喜んでいる)
そんなイチャイチャ度満載(時にツンデレ)じゃれ合う探偵と助手といった趣のバディムービーとして観ると実に楽しい。お馴染みのガイ・リッチー的時間コントロール撮影(スーパースローモーション)によるホームズ脳内シュミレーションもたっぷり。
「新婚旅行がこんなに危険とは思わなかった」
新婚旅行中の列車で襲われた際のワトソンの台詞。この後も2回ほど「新婚旅行云々」セリフが出てきます。結局、フランス〜スイスとホームズ・ワトソンで新婚旅行しているような気が…(ピンチの連続ですが)
前作繋がりのアイリーン(レイチェル・マクアダムス)とのロマンスがあるかと思いきや、あっさりと序盤で殺害されてしまうしワトソンの妻も身の安全確保のためにということでホームズ・ワトソンコンビの前からは消えてしまう(邪魔はさせない?w)

宿敵・モリアーティ教授とホームズの兄(原作だと7歳上)のマイクロフトが!!
原作としてはモリアーティ登場「最後の事件」やマイクロフト登場「ギリシャ語通訳」(THE MEMOIRS OF SHERLOCK HOMES 収録)辺りか。このマイクロフト、原作通りの姿(政府絡みの職業も同じ)ではあるがワトソンの妻の前でも平然と裸でウロウロする、やや変わったキャラ設定になっていました(原作でも社交性のない人が集まる社交クラブのメンバーだったりしますが)。
マイクロフトの執事スタンリーがカップをカチャカチャいわせながらゼンマイ人形のように(直進専用みたいに)動いているのが笑いのツボ。思わずマイクロフトが言った台詞と同じく「おいおい、何処へ行くのかなぁー」とツッコんでしまった(間寛平がやってた杖振り回しお爺ちゃん思い出したり…)

ラスト、タイプライターにさされていた原稿の「THE END」に滝つぼへ落ちてモリアーティ教授と共に死んだかと思われたホームズが椅子と同化(見てのお楽しみ)していた状態から現れて「?」と打って終わる。これってありw(続編あるかもって感じがいいですね) → そしてエンドタイトルへ

Memo2
タイトルデザイン(MAIN ON END、MAIN TITLE、LOGOS)は前作に引き続きPROLOGUE FILM
↓下記Web、最下段クリックで動画あり。本編シーンが含まれていますので鑑賞後にご覧ください。
PROLOGUE FILM
http://prologue.com/projects/sherlock-holmes-a-game-of-shadows

エンドクレジットにPanavisionKodakが記載されていました。メイキング映像をチェックするとアクションシーンでは3〜4台のカメラが使われていて2台がフィルム(Panavisionロゴのフィルムマガジンを確認)、1台がデジタル、1台がスチルカメラ(おそらく連写)ではないかと予想(←未確認なので予想です)

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映画『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』
http://wwws.warnerbros.co.jp/sherlockholmes2/


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2012-03-10

ロマン・ポランスキー監督『おとなのけんか』(carnage)

注・内容、台詞に触れています。
ヤスミナ・レザ
戯曲『大人は、かく戦えり』(Le Dieu du carnage)を原作にロマン・ポランスキー監督が映画化『おとなのけんか』。出演はジョディ・フォスターケイト・ウィンスレットクリストフ・ヴァルツジョン・C・ライリー

物語・公園で遊んでいた少年たちの間で争いが起こり少年ザッカリーに棒で叩かれたイーサンが前歯を2本折るケガをした。ザッカリーの両親である弁護士のアラン(クリストフ・ヴァルツ)と投資ブローカーのナンシー(ケイト・ウィンスレット)夫妻はイーサンの家を訪問し、イーサンの両親であるマイケル(ジョン・C・ライリー)とペネロペ(ジョディ・フォスター)夫妻と和解の話し合いを始める。 当初、話し合いはなごやかにすすむが次第に4人の話はかみ合わなくなり、険悪な雰囲気へと変わっていく。(RedBrown部分、goo映画より抜粋)

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もう面白くて思い出し笑いをしてしまう台詞が山のように出てきますw
「ジェーン・フォンダ…世界をよき世界に変えようとする」「同族よね」ペネロペのことを評しての台詞。もうとにかく途中から万事が万事、チクチクチクチク、ネチネチネチネチが延々続く(それがまたおかしい。そして、ど、どうなるの?とハラハラとしながら傍観者的に見られる楽しさ)
「ジョン・ウェインから学んだのは、こういう場面では何もしないことだ」な〜んて事を言いながら途切れることなくかかってくる携帯電話に出るアラン(しかもペネロペ特製コプラーを立って食べて変なゲップのような声を出す)。呆れるイーサン夫妻、イライラするナンシー。
そして遂にキレたナンシーが電話を花瓶の中に水ポチャ。完全にトホホな(うなだれた子供みたいに。で、この時にもチクチクセリフがあったような)マイケルの台詞。
「俺の全人生が」

ケイト・ウィンスレット演ずるナンシーのゲロゲロゲー(机の上の画集の上にも)があまりにスゴクて夫のアランにかかった瞬間がわからないぐらいでした(;´д`)←(絶対食べたコプラーのせいだと思っているけど口には出さずチクチク言うアラン&ナンシー夫妻にも笑ったけどw)
ナンシーが吐いた直後のペネロペの青ざめ落胆しての台詞
ココーシュカが…」
「フジタも」

(考えてみると、わざとらしく)そうよ、私たちはインテリでリベラルなのよ演出のためとおぼしき黄色いチューリップやテーブルの上に置かれた画集←ココーシュカ、ベーコン、フジタ(藤田嗣治)

Memo2
セットが素晴しいなぁと思っていたらプロダクションデザイナーが久々に名前を見たディーン・タヴォウラリス。コッポラ監督の主要な作品(ゴッドファーザー3作全て、地獄の黙示録など)多数。人工的ラスベガスセット→『ワン・フロム・ザ・ハート』もこの人。
窓の外のブルックリン風景は実写合成だと思うのですが、それとの違和感のないセット、照明など見事な調和です。そして衣装デザイナーが大御所ミレーナ・カノネロ。(←元々面白い戯曲を映画化するにあたって最強の布陣!)。音楽は(最近よく登場)アレクサンドル・デスプラ(「ゴーストライター」「ツリー・オブ・ライフ」「ハリポタ最終章」など)
タイトルデザイン(titles)はFred Roz .
(ポランスキー監督「ゴーストライター」も)

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おとなのけんか - オフィシャルサイト
http://www.otonanokenka.jp/





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2012-03-09

NHK大阪放送局アトリウムで【カーネーション祭り】オハラ洋装店セット公開&ドラマ衣装展示

NHK大阪放送局アトリウムで開催(2012年3月8日〜18日)の『カーネーション祭り』(オハラ洋装店セット公開&ドラマ衣装展示)に行ってきました。公開されているセットは現在放送中の夏木マリさんが小原糸子を演じている時代のもの。

セット変遷
・小原呉服店(~昭和9年)
・小原洋裁店(昭和9年~12年)
・オハラ洋装店1(昭和12年~26、27年頃)
・オハラ洋装店2(昭和26、27年頃~)
・オハラ洋装店3(公開セット)

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オハラ洋装店・正面店舗入口
隣は(木岡履物屋改め)八陣不動産(←時代の移り変わりを感じます)
下記写真2点正面より奥、店内

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リビング側から撮影

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写真立ては放送中のドラマのまま
北村のおっちゃん(ほっしゃん)が手前に( ´ ▽ ` )

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小原家・勝手口

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オハラ洋装店セット公開・裏側から勝手口、井戸
(カラーだとクーラー室外機が目立つのでちょっとモノクロにしてみました)
下記、井戸の写真
(小原家を見守り続けたといえるかも)

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上記2点は小原家・看板変遷
呉服店→洋裁店→洋装店

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「カーネーション」に登場した衣装
(画像をクリックで拡大別画像に変わります)
以下主だった衣装説明
右側が1番最初に糸子が作ったアッパッパと父・善作(小林薫)に作ったアッパッパ。
心斎橋百貨店の制服。
芸妓・駒子に作ったワンピース。
真ん中辺りに展示されているのが糸子(尾野真千子)が仕立てたサエ(黒谷友香)のイブニングドレス。
安岡美容室で奈津(栗山千明)が着ていた制服。
右端は三姉妹にまつわる衣装。
・聡子の紺色のミニワンピース
・優子のスカイブルーのサックドレス
・直子が東京から帰ってきたときの衣装

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そして糸子のだんじり「ミシン
(1番奥に置かれているのでセット両サイドからしか見られなかったのがちょっと残念。これから御覧になる方はチェックポイントです。こちらはリビング側から撮影)

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2012-03-03

戦場を駆ける馬。スティーブン・スピルバーグ監督『戦火の馬』(War Horse)

注・内容、台詞に触れています。
マイケル・モーパーゴ
によるイギリスの同名小説(1982年出版・なんと馬目線の一人称)をスティーヴン・スピルバーグ監督が映画化『戦火の馬』(舞台版は2011年第65回トニー賞を5部門受賞)。撮影監督ヤヌス・カミンスキー。出演はジェレミー・アーヴァインエミリー・ワトソンピーター・ミュラントム・ヒドルストンセリーヌ・バッケンズニエル・アレストリュプ

物語・第一次大戦前夜のイギリスの農村。貧しい農家にひきとられた一頭の馬はジョーイと名付けられ、少年アルバートと固い絆で結ばれる。折しも戦争がはじまり、 ジョーイは軍に徴用され、英国軍騎馬隊の軍馬としてフランスの最前線に送られてしまう。(Darkorange部分、goo映画より抜粋)

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ジョーイの旅路
・小さな村でアルバートに育てられる

・第一次大戦英国軍将校・ニコルズの元へ
(ここで戦友ならぬ戦友馬トップソーン登場)

・フランス前線でドイツ兵に捕獲(トップソーンも共に)されミヒャエル、ギュンター2人の兄弟が世話係に

・兄弟が隠していた風車小屋で2頭の馬を見つけた少女エミリー(ジョーイの名前がフランソワに←フランスらしいネーミング)

・しかし再びドイツ兵に捕獲されて重い大砲を引くというひどい扱いをうける(トップソーンはそのため亡くなってしまう)。そして退却命令の中、世話をしていた砲兵フリードリッヒがジョーイを逃がす

・戦場を疾走するジョーイ

・しかしノーマンズランド(中間地帯)で鉄条網にからまってしまう。
そして…
オマージュではなくスピルバーグ監督の映画的記憶の発露(映画少年へ戻ったかのようなオーソドックスさで)。家族の感じ(アルバートと父と母)や冒頭のショットはジョン・フォード「わが谷は緑なりき」、英国軍騎兵隊がドイツ軍内に攻め込むシーンは「アラビアのロレンス」アカバ襲撃(カメラの横移動から銃剣を振り下ろし馬が飛び越えていくところなど多数)、ラストの下から見上げるようにテクニカラー的夕陽の中、シルエットで浮かび上がる画は「風と共に去りぬ」を想起させる。
※CGをほとんど使っていないと語っていて、このラストも本当にそうなの?と思っていたらメイキング映像(Behind-the-Scenes Footage)に夕陽を背に立つ馬の姿を撮影しているスピルバーグ監督の姿が!

ラスト近くでの台詞2つ
アルバートがジョーイと野戦病院で奇跡的な再会をはたした後。ジョーイに語りかけるように→「僕たちは戦場を生き抜いたんだ」
ジョーイのことをアルバートが育てたことがわかった後のドクターの台詞(指示)
「同じ戦場で戦った者と同じように扱うんだ」 

Memo2
Main & End TitleDesignは「SCARLET LETTERS」
horse master and head horse trainerとしてクレジットされているのがハリウッドの馬の演技指導者ボビー・ラヴグレン(Bobby Lovgren)。今作で(出演した馬、8頭のうち)重要なシーンを演じた(「シービスケット」にも出演していた)ファインダーズキー(Finders Key)の馬主でありトレーナー。
馬映画で思い出したこと→三冠馬を達成した競走馬「セクレタリアト」とその女性馬主の半生をダイアン・レイン主演(共演ジョン・マルコビッチ他)で描いた【Secretariat】って未公開のまま未DVD化(是非、このタイミングで発売を!)
…と、書いていたらDVD&Blu-rayで発売が決まりました!(2012_3_9追記)

追記
『群像』4月号の蓮實重彦「映画時評・40」は【戦火の馬】なんと始まって5分で嗚咽(!)とのこと(遂にスピルバーグが馬映画を撮ったとも)。そして本作をジョン・フォード「香も高きケンタッキー 」のリメイクと。←未見なので見たいなぁ(幻の作品と化しているらしい)

War_horse2

映画 |『戦火の馬』公式サイト
http://disney-studio.jp/movies/warhorse/



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2012-03-01

"夢の発明" マーティン・スコセッシ監督『ヒューゴの不思議な発明』(Hugo)

注・内容、台詞に触れています。
マーティン・スコセッシ監督、初の3D作品『ヒューゴの不思議な発明』原作はブライアン セルズニック。出演はエイサ・バターフィールドクロエ・グレース・モレッツジュード・ロウベン・キングズレーサシャ・バロン・コーエンクリストファー・リー、他

物語・ひとりぼっちの少年ヒューゴ(
エイサ・バターフィールド)は、時計のネジを巻きながらモンパルナス駅に隠れ住んでいた。彼は駅の中の玩具店で玩具を盗もうとし、店主のジョルジュ(ベン・キングズレー)に見つかってしまう。ジョルジュは、ヒューゴのポケットの中にあった手帳を見つけ取り上げた。父の遺品であるその手帳には、父が見つけてきた不思議な機械人形の修理法についての研究結果が書かれていた!手帳を取り返すため、ヒューゴはジョルジュの養女・イザベル(クロエ・グレース・モレッツ)に協力を頼む。(ブルー部分、goo映画より抜粋)

Hoshi

雪が舞う中ゼンマイ仕掛けの如しパリ市街がキラキラと動き出し、すっとカメラがモンパルナス駅へ向かって寄っていく…。この冒頭部分から、この映画こそ3Dで見るべき映画と思わせてくれるワクワク度。
そして物語が進んでいくと湧き出してくる映画の先駆者への溢れるリスペクト。ジョルジュ・メリエスリュミエール兄弟ハロルド・ロイド、チャップリン、イントレランス…。まさに "夢の発明"を描くために最新の3D技術を使って再現した見事な作品。(劇中、リュミエール兄弟の列車シーンやロイドの時計台ぶら下がりの文字通り再現シーンまであります。そして最近の3Dは奥行き重視で前方に飛び出させることは少ないですが、本編ではメリエス撮影現場でそれをやってみせる離れ技)

Hugo_1

Memo1
メインキーカラーはターコイズブルーゴールド
モンパルナス駅構内とパリ市街地遠景との対比から時計台通路、構内店舗にいたるまで本当に美しい色彩設計。公安官の制服がまた目を引く(そして目立つ)ターコイズブルー。ヒューゴの瞳もブルーアイズ
幼い頃、よく父親に映画へ連れていってもらっていたヒューゴ。逆に一度も見たことがないというイザベラ。そこでヒューゴはイザベラと映画館に忍びこんで「ロイドの要心無用」を見る。
そして、この台詞。
映画館は特別なんだ
ヒューゴの心を打つ台詞
「目的をなくすと人は壊れるんだ」
機械人形を治すことによって(結果的に)人のこころを治すこととなる(メリエスの失意も、幼い頃に孤児になってメリエスの養女となっているイザベラも。もちろん自分自身も)
そして、一番大事な時のこの台詞。
「今、必要とされているんだ」
ジョルジュ・メリエスのこの台詞も後に効く
「ハッピーエンドは映画の中だけのものだ」 
ジョルジュのことを知ろうと映画アカデミー図書館で読んでいた映画学者、ルネ・タバール(マイケル・スタールバーグ)が著した映画史の書籍名が "夢の発明"

Memo2
使用されたデジタルカメラは(最近、多いです→)Arri Alexa, Cooke S4 and 5/i Lenses。撮影監督はロバート・リチャードソン
フュージョン・カメラ・システム(Pace Fusion 3-D Camera System)を開発した会社ペイス・テクノロジーのヴィンセント・ペイス(Vince Pace)に師事したディミトリ・ポーテリ(Demetri Portelli)がステレオグラファーstereographer(←additional 3D photographyやtechnical consultant表記だったものが最近、こちらの記載が多くなっています)として参加。
衣装デザインはアカデミー賞衣装デザイン賞を「恋におちたシェイクスピア」「アビエイター」「ヴィクトリア女王 世紀の愛」で3度受賞しているサンデイ・パウエル
Title designerはRandall Balsmeyer
Big Film Design(Randy Balsmeyer名義)でコーエン兄弟作品のタイトルデザイン他多く手がけている。(Big Film Design→ウディ・アレン作品も多し)

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映画『ヒューゴの不思議な発明』公式サイト

http://www.hugo-movie.jp/

Hoshi_2



Hoshi

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