ウディ・アレン監督『ミッドナイト・イン・パリ』(Midnight in Paris)
注・内容、台詞に触れています。
ウディ・アレンの監督生活47年、監督作42本目にして自己最高の興行成績を樹立した『ミッドナイト・イン・パリ』本作でゴールデン・グローブ賞の脚本賞を受賞。アカデミー賞では作品・監督・脚本・美術の主要4部門にノミネート(脚本賞で受賞)
物語・映画脚本家のギル(オーウェン・ウィルソン)は、婚約者イネズ(レイチェル・マクアダムス)の父親の出張に便乗して憧れのパリにやってきた。脚本家として成功していたギルだが虚しさを感じ、現在は本格的な作家を目指して作品を執筆中だ。そんなギルの前にイネズの男友達ポールが出現。心中穏やかでないギルだが真夜中のパリの町を歩いているうち、1920年代にタイムトリップしてしまう。そこはヘミングウェイ、ピカソ、ダリなど、ギルの憧れの芸術家たちが活躍する時代だった。(TurquoiseBlue部分、goo映画より抜粋)
※Memo1
●冒頭、Sidney Bechet "Si tu vois ma mère"が流れる中、パリ観光案内の趣で約3分間。
朝の人通りの少ない時からお昼、しとしととした雨、土砂降りの雨、雨上がりの補導、夕暮れのパリ、夜のシャンゼリゼ通りやエッフェル塔…。観客を街自体が魅惑的なパリへと誘う(いざなう)
※一瞬ですが映画館もしっかり映していますよ。
●真夜中を告げる鐘の音
座り込んでいたギルの目の前にビンテージなプジョー。
そしてついて行った先にはギルが憧れていた1920年代のパリが。(この辺りの説明なしでスッとタイムスリップしても違和感なく描かれているのはアレンならでは)
フィッツジェラルドとゼルダ、ヘミングウェイ、コール・ポーター…数多くの芸術家たち。
そしてヘミングウェイに連れられて行ったサロンでピカソとその愛人アドリアナ(マリオン・コティヤール)と出会う。
●1番笑った台詞
ギルとアドリアナの前に馬車が表れ、連れられて行くとそこにはベル・エポックのパリが。キョロキョロと辺りを見回してマキシム・ド・パリの中へ入って行く時。
「なんて素晴しい街なんだ」
「商工会議所にお礼を言わないと」
(これウディ・アレンが言いそうな台詞で思わず脳内変換したw)
●ガートルード・スタイン(キャシー・ベイツ)がマティスの新作を「500フランで買うことに」の台詞にギルが(驚いた顔で)「それはお買い得だ」
●ギルは雨のパリを気に入っているがイネズやその母の反応はいまひとつ。そのギルの台詞。
「雨に濡れたパリが美しい」
ラスト、パリに留まることにしたギルは(コール・ポーターのレコードがかかっていたアンティークショップで知り合った)ガブリエルと偶然出会う。
そこでも、同じ台詞。
そして、あの真夜中を告げる鐘の音が…。
(昔の方がよいと思っていたギル。実は1920年代での出来事が微妙に現在を書き換えている。それがこの出会いであったり…)
●そのガブリエルを演じたレア・セドゥー(レア・セイドゥ) は2本の「MIP」に出演したことに→「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」と「ミッドナイト・イン・パリ」(髪の色が違うと別人のよう)
●ギルの婚約者イネズを演じたレイチェル・マクアダムスはちょっと損な役回り。しかし、これ他の役者では引っ掛かりが多すぎて過去軸の物語がぼやけてしまうので実は重要なキャスティングだったと思います。
●夜な夜な出かけるギルを怪しんだ義父が頼んだ探偵がタイムスリップのオチに(乗る車か馬車で行く時代が変わる?w)
※Memo2
●ウディ・アレン監督、見た目の印象からあまりインタビューなどを受けないと思われがちですが実はめちゃめちゃ多くのインタビューに答えていたりします。(DVDの映像特典にも、度々収録。その際に次回作などについて語っています)
●特に面白かったのが「キネ旬・2012年6月上旬号」ウディ・アレン監督インタビュー(16P特集・表紙も!)
「タイムスリップできるとしたら、どの国のいつの時代」の問いに「〜(略)〜行きたいところはあるけど住みたいとは思わないんだ。だってエアコンがないところ、抗生物質がないところには住めない」(←らしい答え 笑)←しかも本編と関連ありw
●ちなみに雑誌など過去ウディ・アレンの大特集が組まれたのは「マッチポイント」公開時のキネ旬2006年9月下旬号(36ページ)と月刊PLAYBOY2006年5月号「総力特集・ウディ・アレンはなぜ美女に愛されるのか」(オールカラー・37ページ)
※Memo3
●魅惑的なロケ地(いかにも観光地的な場所から1920年代と繋がるいわれの場所まで多数)→セーヌ河岸、オランジュリー美術館、ロダン美術館、ジヴェルニーのモネの庭園、ヴェルサイユ宮殿、マキシム・ド・パリ…
●ロケ地ガイド(Film locations for Midnight In Paris)
http://www.movie-locations.com/movies/m/Midnight_In_Paris.html
●ロケ地マップ(Midnight in Paris filming locations — Movie Maps)
http://moviemaps.org/movies/bw
※Memo4
●制作順だとひとつ前になる「恋のロンドン狂騒曲」が今年(2012年)の秋、次回作「To Rome With Love」が2013年に公開決定になっていて、一安心。既にUS版DVD(2枚組)が発売になっているドキュメンタリー映画「Woody Allen : A Documentary」も公開される模様。
※追記
「Woody Allen : A Documentary」は「映画と恋とウディ・アレン」(113分版)のタイトルで公開。
映画『ミッドナイト・イン・パリ』公式サイト
http://www.midnightinparis.jp/
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