ミア・ワシコウスカ、マイケル・ファスベンダー主演、キャリー・ジョージ・フクナガ監督『ジェーン・エア』(Jane Eyre)
「闇の列車、光の旅」でサンダンス映画祭監督賞を受賞したキャリー・ジョージ・フクナガ監督による古典的文藝作(シャーロット・ブロンテ原作)『ジェーン・エア』の映画化。出演はミア・ワシコウスカ、マイケル・ファスベンダー、ジュディ・デンチ、ジェイミー・ベルほか。第84回アカデミー賞衣装デザイン賞にノミネート。
物語・幼くして両親を亡くし、育てられていた伯母からも疎まわれていたジェーン。寄宿学校を卒業すると母校で教師をした後、ソーンフィールド館の家庭教師となる。館の主人はロチェスターという男だったが屋敷で会う事はなかった。ある日、外出中に偶然、ロチェスターと遭うが乗っていた馬を驚かせ落馬させてしまう。横柄な態度に驚くジェーンだったが無骨な中にも純粋な魂を感じ、次第に惹かれていく。(darksalmon部分、goo映画より抜粋)
※Memo1
●元々、評価が高い事を知っていて鑑賞したけれど、ここまで素晴しいとは!今年のベストテンというか長く記憶として残りそうな秀作。まずミア・ワシコウスカ、マイケル・ファスベンダーのキャスティングが今までになかった空気感を作り出している(もちろんジュディ・デンチ他、脇の配し方も含め)。ロケーション撮影の生かし方、またそれと対をなす繊細な人物演出がデヴィッド・リーン監督の諸作を思い出したりもした…。
●過去に何回となく映画化されているが2時間の上映時間の中でどこにポイントを置くかが、それぞれ特徴的で面白い。鑑賞したことがある作品のみ、少し比較してみました。
・1943年版
ロバート・スティーヴンソン監督
(「メリー・ポピンズ」の監督!)
ジェーン→ジョン・フォンテーン
ロチェスター→オーソン・ウェルズ
モノクロ。ゴシック調、バーナード・ハーマンの音楽!開巻、伯母に閉じ込められた部屋から出されると、そこにはローウッド学園の校長が。キスシーンは嵐の中、まるで呪われるが如く樹に雷が落ちる。
・1970年版
デルバート・マン監督
(「マーティ」でアカデミー監督賞を受賞)
ジェーン→スザンナ・ヨーク
ロチェスター→ジョージ・C・スコット
冒頭、伯母たちや校長とのやり取りはなく、ジェーンがローウッド学院に入学するシーンから始まる(馬車で降り立つシーン)。ロケ全体の印象が最もフクナガ版に近い。キスシーンはソーンフィールド館の前。曇りがちだが昼間。続く緑の散歩道で話す二人、明るい印象。ラストは焼失したソーンフィールド館。ベンチに腰掛けているロチェスターにジェーンが近づいていく。伯母のリード夫人のエピソードがなく代わりにセント・ジョン・リヴァースとジェーンのことが描かれている。
・1996年版
フランコ・ゼフィレッリ監督
ジェーン→シャルロット・ゲンズブール
ロチェスター→ウィリアム・ハート
伯母に鏡が多く置かれている赤い部屋に閉じ込められるジェーン。キスシーンは夜。月灯りの中。ハドンホールがフクナガ版と同じソーンフィールド館としてロケ地とされている。
そして本作は冒頭ジェーンが荒涼たる平原を彷徨うところから始まる(これは物語が進むに連れてロチェスターの秘密を知り、館を出て行ったあとのシーンと判る)。そして続くリヴァース家でのシーンと回想シーンでの伯母やローズウッド学院の描き方の見事さ(ちなみに原作でのリヴァースはいとこ)。さらに特筆すべきはジェーンとロチェスターの会話シーンと背景としてのロケーション(桜の樹、うっすらと霧の立ち込めた森、ジェーンが何かある度に歩く庭、そこに射す陽の光…)
※Memo2
●撮影、美術、衣装と共にサウンドデザインが素晴しい!風の音、軋む床の音、衣の擦れる音、森のざわめき、そして”あの音”…。エンドクレジットに微かに被さる鳥の声、鐘の音も。
●写真を基に全て手作りで作成された衣装。衣装デザインはマイケル・オコナー
・衣装デザインのスケッチなど
Jane Eyre: Behind The Scenes With The Costume Department
http://www.mydaily.co.uk/2011/09/07/jane-eyre-behind-the-scenes-costume-department/#photo-4423628
・Exhibition「20th Annual Art of Motion Picture Costume Design」での「ジェーン・エア」「ヒューゴ」「アーティスト」衣装
http://blog.fidmmuseum.org/museum/2012/02/20th-annual-art-of-motion-picture-costume-design-exhibition-now-open.html
●タイトルデザイン他
Grading, Sound Mix, ADR, Online Editing, VFX & Titlesは「LipSync Productions」(エンドクレジットに大きく表記されていました)
映画『ジェーン・エア』公式サイト
http://janeeyre.gaga.ne.jp/
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