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2012-06-12

ミア・ワシコウスカ、マイケル・ファスベンダー主演、キャリー・ジョージ・フクナガ監督『ジェーン・エア』(Jane Eyre)

「闇の列車、光の旅」でサンダンス映画祭監督賞を受賞したキャリー・ジョージ・フクナガ監督による古典的文藝作(シャーロット・ブロンテ原作)『ジェーン・エア』の映画化。出演はミア・ワシコウスカマイケル・ファスベンダージュディ・デンチジェイミー・ベルほか。第84回アカデミー賞衣装デザイン賞にノミネート。

物語・幼くして両親を亡くし、育てられていた伯母からも疎まわれていたジェーン。寄宿学校を卒業すると母校で教師をした後、ソーンフィールド館の家庭教師となる。館の主人はロチェスターという男だったが屋敷で会う事はなかった。ある日、外出中に偶然、ロチェスターと遭うが乗っていた馬を驚かせ落馬させてしまう。横柄な態度に驚くジェーンだったが無骨な中にも純粋な魂を感じ、次第に惹かれていく。(darksalmon部分、goo映画より抜粋)

Jane_eyre

Memo1
元々、評価が高い事を知っていて鑑賞したけれど、ここまで素晴しいとは!今年のベストテンというか長く記憶として残りそうな秀作。まずミア・ワシコウスカ、マイケル・ファスベンダーのキャスティングが今までになかった空気感を作り出している(もちろんジュディ・デンチ他、脇の配し方も含め)。ロケーション撮影の生かし方、またそれと対をなす繊細な人物演出がデヴィッド・リーン監督の諸作を思い出したりもした…。
過去に何回となく映画化されているが2時間の上映時間の中でどこにポイントを置くかが、それぞれ特徴的で面白い。鑑賞したことがある作品のみ、少し比較してみました。
・1943年版
ロバート・スティーヴンソン監督
(「メリー・ポピンズ」の監督!)
ジェーン→ジョン・フォンテーン
ロチェスター→オーソン・ウェルズ
モノクロ。ゴシック調、バーナード・ハーマンの音楽!開巻、伯母に閉じ込められた部屋から出されると、そこにはローウッド学園の校長が。キスシーンは嵐の中、まるで呪われるが如く樹に雷が落ちる。
・1970年版
デルバート・マン監督
(「マーティ」でアカデミー監督賞を受賞)
ジェーン→スザンナ・ヨーク
ロチェスター→ジョージ・C・スコット
冒頭、伯母たちや校長とのやり取りはなく、ジェーンがローウッド学院に入学するシーンから始まる(馬車で降り立つシーン)。ロケ全体の印象が最もフクナガ版に近い。キスシーンはソーンフィールド館の前。曇りがちだが昼間。続く緑の散歩道で話す二人、明るい印象。ラストは焼失したソーンフィールド館。ベンチに腰掛けているロチェスターにジェーンが近づいていく。伯母のリード夫人のエピソードがなく代わりにセント・ジョン・リヴァースとジェーンのことが描かれている。
・1996年版
フランコ・ゼフィレッリ監督
ジェーン→シャルロット・ゲンズブール
ロチェスター→ウィリアム・ハート
伯母に鏡が多く置かれている赤い部屋に閉じ込められるジェーン。キスシーンは夜。月灯りの中。ハドンホールがフクナガ版と同じソーンフィールド館としてロケ地とされている。

そして本作は冒頭ジェーンが荒涼たる平原を彷徨うところから始まる(これは物語が進むに連れてロチェスターの秘密を知り、館を出て行ったあとのシーンと判る)。そして続くリヴァース家でのシーンと回想シーンでの伯母やローズウッド学院の描き方の見事さ(ちなみに原作でのリヴァースはいとこ)。さらに特筆すべきはジェーンとロチェスターの会話シーンと背景としてのロケーション(桜の樹、うっすらと霧の立ち込めた森、ジェーンが何かある度に歩く庭、そこに射す陽の光…)

Memo2
撮影、美術、衣装と共にサウンドデザインが素晴しい!風の音、軋む床の音、衣の擦れる音、森のざわめき、そして”あの音”…。エンドクレジットに微かに被さる鳥の声、鐘の音も。
写真を基に全て手作りで作成された衣装。衣装デザインはマイケル・オコナー
・衣装デザインのスケッチなど 
Jane Eyre: Behind The Scenes With The Costume Department
http://www.mydaily.co.uk/2011/09/07/jane-eyre-behind-the-scenes-costume-department/#photo-4423628
・Exhibition「20th Annual Art of Motion Picture Costume Design」での「ジェーン・エア」「ヒューゴ」「アーティスト」衣装
http://blog.fidmmuseum.org/museum/2012/02/20th-annual-art-of-motion-picture-costume-design-exhibition-now-open.html
タイトルデザイン他
Grading, Sound Mix, ADR, Online Editing, VFX & Titlesは「LipSync Productions」(エンドクレジットに大きく表記されていました)

映画『ジェーン・エア』公式サイト
http://janeeyre.gaga.ne.jp/

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» ジェーン・エア(2011) [とりあえず、コメントです]
シャーロット・ブロンテ著の名作をミア・ワシコウスカ主演で描いた作品です。 この物語は何度も映像化されていますけど、今作の彼女の横顔が写っているチラシを観た時から、 何てぴったりなのだろうと楽しみにしていました。 冷たい空気が伝わってくるような自然と主人公たちの佇まいに魅せられながら、 運命の物語に引き込まれていくような作品でした。 ... [続きを読む]

受信: 2012-06-12 22:28

» ジェーン・エア [花ごよみ]
19世紀に生きた英国の女流作家、 シャーロット・ブロンテの名作を映画化。 原作は昔々、 読んでいるはずなのに 内容はすっかり忘れてしまっていました。 幼くして両親を亡くし 孤児として不幸な境遇の中、 育ったジェーン・エア。 ジェーン・エア役にはミア・ワシコウ...... [続きを読む]

受信: 2012-06-12 22:43

» 『ジェーン・エア』 2012年5月22日 シネマート六本木 [気ままな映画生活(適当なコメントですが、よければどうぞ!)]
『ジェーン・エア』 を試写会で鑑賞しました。 ミア・ワシコウスカの演技が素晴らしかった 【ストーリー】  早くして両親を失い、孤児院でつらい思いをしながら育ったジェーン・エア(ミア・ワシコウスカ)。家庭教師の免許を獲得した彼女は、ソーンフィールド邸に住み込みながら働くことになる。孤児院時代とは打って変わった充足した日々を送っていた彼女は、それまで不在であったソーンフィールド邸の主人ロチェスター(マイケル・ファスベンダー)と出会う。どこか暗くて冷たい雰囲気に包まれた彼と徐々に心を通わせるようになり... [続きを読む]

受信: 2012-06-12 23:16

» ジェーン・エア [あーうぃ だにぇっと]
ジェーン・エア@シネマート六本木 [続きを読む]

受信: 2012-06-13 05:45

» 「ジェーン・エア」凜とした愛 [ノルウェー暮らし・イン・原宿]
ちょっと幸薄い顔ではぴか一のミア・ワシコウスカが、幸薄い状況を凜とした姿で乗り越えていく、彼女にぴったりの役柄を得て大成功。 多少予告編で必要以上にサスペンスチックに煽りすぎるのが問題。 本当は古くから親しまれている小説だけあって、サスペンスでもなんでもない純愛ものなのに。... [続きを読む]

受信: 2012-06-13 10:13

» 『ジェーン・エア』 [・*・ etoile ・*・]
'12.06.06 『ジェーン・エア』鑑賞@TOHOシネマズ・シャンテ これは見たかった! 試写会応募したけどハズレ・・・ 急に思い立って、レディースデイに行って来たー♪ *長文です! 全てネタバレしてます! (o´ェ`o)ゞエヘヘ 「19世紀イギリス。両親を亡くしたジェーンは、引き取られた叔母と従兄弟に疎まれ、寄宿学校に入れられてしまう。成長したジェーンはソーンフィールド館で家庭教師の仕事を始める。主のロチェスター氏は気難しい性格だったが、ジェーンの魂と共鳴するものがあった・・・」という話。... [続きを読む]

受信: 2012-06-17 01:08

» ジェーン・エア [映画的・絵画的・音楽的]
 『ジェーン・エア』をTOHOシネマズシャンテで見てきました。 (1)エミリー・ブロンテの原作の方は、なんだか少女趣味的な感じがしてとうとう手つかずのママ現在に至ってしまったところ、本作が公開されると耳にし、手っ取り早く名作の粗筋でも知っておこうというくらい...... [続きを読む]

受信: 2012-06-23 06:34

» 映画『ジェーン・エア』を観て [kintyres Diary 新館]
12-52.ジェーン・エア■原題:Jane Eyre■製作年、国:2011年、イギリス・アメリカ■上映時間:120分■字幕:古田由紀子■観賞日:6月23日、TOHOシネマズシャンテ □監督:キャリー・ジョージ・フクナガ□原作:シャーロット・ブロンテ◆ミア・ワシコウスカ(ジェーン...... [続きを読む]

受信: 2012-11-04 23:41

» ジェーン・エア [いやいやえん]
ミア・ワシコウスカ、マイケル・ファスベンダー共演。 お話はさすがに知っているので、ロチェスターの秘密の驚きとかはないのですが(予告編でもバレバレだし)、凛としたジェーンには好感を持ちます。映画はダイジェスト版な感じで原作をまとめていたように思います。 原作はシャーロット・ブロンテの古典的名作ですね。 時代がかった服装とか好みなので、目の保養になりました。あと、マイケル・ファスベンダーのロチェスターはなかなか素敵だったと思います。 女性が自分の意見を持ち自立しようとすることがタブー... [続きを読む]

受信: 2013-01-21 09:13

» 「ジェーン・エア(2011年)」 [或る日の出来事]
ミアちゃん、やるじゃん! [続きを読む]

受信: 2013-09-27 06:21

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