大林宣彦監督『この空の花 ―長岡花火物語』
『この空の花 ―長岡花火物語』
出演 : 松雪泰子、髙嶋政宏、原田夏希、猪股南(新人)、富司純子、寺島咲、尾美としのり、柄本明、他多数!
監督:大林宣彦
物語・地方紙記者の遠藤玲子は、新潟県長岡市で教師をする昔の恋人・片山健一から、生徒が創作した舞台と花火を見てほしいという手紙を受け取り導かれるように長岡を訪れる。中越地震を乗り越え復興し東日本大震災の被災者を迅速に受け入れた同地の様子を新聞記者として取材したい思いのあった玲子は行く先々で出逢う人々と数々の不思議な体験を重ねてゆく。そしてそのほとんどが実際に起きた長岡の歴史と織り合わさっていた……(Darkgreen部分、goo映画より抜粋)
※Memo
●いやー、噂には聞いていたけれど圧倒的な情報量の多さにビックリ。特にテロップの出し方は斬新(TVのテロップとは意味が違っていていいなぁ)。台詞だけだと同音異義語になってしまうものも文字として見せられると(意味の取り方を間違えることもなく)更に見ることと読むことの二重のメッセージにハッとすることしきり。
●これはもしかして夢?そう思わせるほどの幾重にも重なるイメージ。時間も空間も形式も映画さえも超えてしまった体験。考える余裕も与えない密度。戊辰戦争、太平洋戦争での長岡大空襲、中越地震、東日本大震災、7月豪雨…。それらを結びつける大輪の花火。
●本作を見終わって、ふと、画家の横尾忠則さんが公開制作で200号サイズの油絵を描いている姿を思い出した。速さとか、迷いのなさとか、自由さ、とか。
●新人の猪股南が演ずる元木花。一輪車で縦横無尽に駆け巡る。あちら側もこちら側も関係なく越境し浮遊する。
●"みんなが爆弾なんかつくらないで きれいな花火ばかりつくってたいら きっと戦争なんか起こらなかったんだな"
「たま」でパーカッション、ボーカルを担当していた時から山下清スタイルでドキッとさせられていた石川浩司がそのものズバリご本人を演じたのが本作というのも素晴しい。実際にあった花火師とのエピソード、そして有名な作品「長岡の花火」
●5台のデジタルカメラに5人の撮影カメラマン。そして一台のパソコンでの編集。まさに8ミリカメラを玩具の如く愛でて扱われていた大林監督の新たなる出発点がこの作品。是非、劇場で体験を(長く上映を続けていきたいと監督がインタビューで語っていたので、まだ公開されていないところでも見られる機会があると思います。ホントに映画が終わったときが"おわり"ではない。そんな現実とも陸続きの作品だと思います)。
映画『この空の花 ―長岡花火物語』
http://konosoranohana.jp/
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