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2012-09-14

『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』を見て思い出す1979年、そして吉田拓郎「アジアの片隅で」

レゲエ・ミュージックを世界に広めた伝説的なアーティストとして知られるボブ・マーリー。数多くのヒット曲、名曲を発表すると同時にその思想、その発言は音楽シーンのみならず世界中の人々を魅了していった。波乱に満ちた人生を家族や友人への貴重なインタビューとライヴ映像で綴るドキュメンタリー『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』 (この部分、goo映画より一部抜粋)

Bob_marley

Memo1
ライヴ映像や既存フィルムを繋ぎ合わせるだけでなく圧倒的な量の証言インタビューを元に綴る正攻法ドキュメンタリー。興味深いのがレゲエが生まれた瞬間に関しての証言、そしてスタジオ映像。"スカ"と"レゲエ"の違い。そのリズムのまま"いかにしてレゲエ、ボブ・マーリーは世界へ浸透していったか"が描かれる。エンドクレジット、そうきましたかぁー(と、納得)
オフィシャルドキュメンタリーと言えども女性関係について隠したりせず、そのままの私生活まで浮き彫りにしていて驚いた。出てくる女性たちのボブ・マーリーとの思い出を語る目が本当に嬉しそうで、あー、本当にモテたんだろうなぁということが伺える。
ある証言者
「レゲエはどこまで広がると思いますか?と質問したら"求めている人のところまで届くまで"…つまり世界中って事」

映画『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』公式サイト
http://www.bobmarley-movie.jp/

Memo2
(ここからは少しイレギュラー的な記事になりますが…)
1979年のボブ・マーリー日本公演、最終公演地が大阪フェスティバルホール(そして日本での最初にして文字通り最後となったステージ)。今と違って最初から観客が総立ちになるライヴは少なかった時代にボブ・マーリーが姿を表した瞬間からゾワワワワーという感じでリズムが会場を沸き立たせた(鳥肌もの!)。この年と前年は70年代が終わるということからか多くのミュージシャンが記憶に残るライヴを行っていた。

1979年ボブ・マーリーの日本公演の後(6月頃から)、フォーライフレコード社長業に専念していた吉田拓郎はライヴ活動、オールナイトイベント(アイランドコンサートin篠島)と圧倒的な量で音楽活動を再開(これも前述の70年代の終りと呼応した印象)。翌年80年代に入って、すぐに生まれた曲がレゲエのリズムに乗せた(後にライヴの最後に歌われ続けた)「アジアの片隅で」(詞は岡本おさみ)
過去に作った古い歌は歌わないと宣言された春のツアーのスタート数曲後にレゲエのリズムを刻むギターリフと共に語り口調のメッセージが続き、初めて、この曲が歌われた。(レゲエを取り入れた曲はもう一曲、同年発表の「いつか夜の雨が」)
それほどレゲエと(拓郎さんにしては珍しい直接的なメッセージが込められた)「アジアの片隅で」におけるボブ・マーリーとの有形無形の影響について、ふと、この映画を見ていろいろな思い(思い出したことなど)が頭をよぎった。
(ちなみに1978年発表「英雄」は1977年に死去したエルビス・プレスリーの事を歌ったとされています)

  

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2012-09-13

7人の監督によるアンサンブル『セブン・デイズ・イン・ハバナ』(7 Days in Havana)

7人の監督が、キューバの首都ハバナを舞台に綴るオムニバス『セブン・デイズ・イン・ハバナ』(7 Days in Havana)。

各作品の監督は下記の通り
ユマ/月曜日★ベニチオ・デル・トロ
ジャムセッション/火曜日★パブロ・トラベロ
セシリアの誘惑/水曜日★フリオ・メデム
初心者の日記/木曜日★エリア・スレイマン
儀式/金曜日★ギャスパー・ノエ
甘くて苦い/土曜日★ファン・カルロス・タビオ
泉/日曜日★ローラン・カンテ

Havane

Memo
デル・トロ初監督作品「ユマ/月曜日」実は、あのリメイクされた原題が「3:10 to Yuma」の「ユマ」のこと(これは出てくる会話も楽しい)。こんな台詞「ソビエト映画ばかり上映されていたところへ(「ユマ」が)急に上映されたんだ」「でも元の方が好きだな」(←と、いうことはオリジナルの方も上映されてた?)

ジャムセッション/火曜日」クストリッツァ監督が(映画祭での表彰式にハバナへやってきたという設定)そのままクストリッツァ監督で登場!(映画祭アテンドはつらいよ~、でも楽しそう♫その案内をする運転手のジャムセッションが見事←それを見たクストリッツァがデビューさせるからと言ったときに「また」見たいな顔をして、何度もスカウトされては話だけで終わったんだなぁ、ということがうかがい知れる←で、演じているのがアレクサンダー・アブレウというのが洒落ている)

初心者の日記/木曜日」は(あとで知ったのだが)キューバのある指導者のインタビューを行う仕事で来た男の抱いていたキューバ(ハバナ)のイメージと現実の違い「チェ・ゲバラは遠きになりて」といったところか。(TVではカストロ議長、海岸では熱きカップル、度々じっと見つめる主人公。そして毎回迷うホテル内部)

そして本作中、最も奇妙な「儀式/金曜日」の監督はギャスパー・ノエ。(これもあとで判ったことだが女性と抱き合って寝ていた娘の清めの儀式)。その儀式の時の音が凄まじい。不気味に繰り返されるベース音が脳内シンコペーションを起こして、かつて見たNGラバンダ(NG La Banda)のライヴを思い出した(村上龍さんMCの分←この時点でのオリジナルメンバーの数人は後年、亡命)。

ローラン・カンテ監督「泉/日曜日」も大団円に相応しい。お告げにしたがって壁を壊し、色を塗り、泉を作りマリア像を飾る(泉には魚も泳ぐし下の階には水漏れするし)ホント、号令一下動く人々の活力が素晴しい(そして、ものすごーくテキトーでそこがまた<いい!)。「甘くて苦い/土曜日」のケーキはここに繋がる(「セシリアの誘惑/水曜日」の歌手セシリアはその土曜日に登場する夫婦の娘)

本作、全くノーマークだったけどフライヤーと予告編で急遽見ることに。いやー、見てよかった(あの波が打ち砕ける海岸線も見られたし)結構、実際のハバナでの生活実態みたいなものも垣間見られて不思議な高揚感が残る素敵な映画でした。エンドクレジットも楽しい!

映画「セブン・デイズ・イン・ハバナ」
http://7dayshavana.com/

   

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