ラナ&アンディ・ウォシャウスキー、トム・ティクヴァ『クラウド アトラス』
注・内容、台詞に触れています。
「マトリックス」シリーズのラナ&アンディ・ウォシャウスキー(以下ウォシャウスキー監督と表記します)と「パフューム ある人殺しの物語」のトム・ティクヴァが共同で監督した『クラウド アトラス』。原作はデヴィッド・ミッチェルの同名ベストセラー小説。19世紀から文明崩壊後までの異なる時代に舞台を置いた6つの物語を描く。キャストそれぞれが複数の人物を演じ、各エピソードにより主役が脇役を演じ脇役が主役を演じる。エンドロールでの誰が誰を演じたかを再チェックするのも楽しみのひとつ。
※Memo1
●6の異なる時代、異なる物語を描いているが見始めるとものすごく分かりやすい。始まりは2346年(場所は特定されていないがラストで判る)。脚本では「VILLAGE NIGHT」と書かれている。そして最後の締めも「VILLAGE NIGHT」で。共に物語るザックリー(トム・ハンクス)。ただしラストで、この場所が地球ではないことがわかる。
●「火の鳥」鳳凰編(てんとう虫のエピソードや茜丸の転生のこと)や黎明編と未来編の繋ぎ方(未来編ラストが黎明編の頭に繋がるループ構造は秀逸)を虫プロCOM版リアルタイムで読んできた世代としては延々続いても大丈夫な3時間。
●トム・ティクヴァ監督が加わったことによって、ある種のケミストリーが起こったのではないかとも思う(『ラン・ローラ・ラン』『パフューム ある人殺しの物語』そしてキェシロフスキ監督の遺稿となっていた脚本を映画化した『ヘヴン』)。そのキェシロフスキ監督「ふたりのベロニカ」がドイツの音楽家を軸に描かれていたあたりも密かなる偶然性?
※Memo2
●魂の転生と共に伝承されていくメディアの記録でもある。それは紙であったり、レコードであったり、データであったり、口伝であったり…。
「アダム・ユーイングの太平洋航海誌」→「クラウドアトラス 六重奏」(ユーイングの名前を名乗る、後半が破かれた航海誌)→シックススミスの「手紙」→1973年のレコード店(店主)→「小説・カベンディッシュの大災難」(車中で新人の作品を読む「ルイサ・レイの事件」)→「映画・カベンディッシュの大災難」(カベンディッシュ役をトム・ハンクス)→(その映画を見るソンミ451)→「犯罪者の餌食にはならない」の台詞→「ソンミ451の言葉、記録映像」→崩壊後の世界の"神"→別の惑星で物語る(トム・ハンクス)
●ソンミ451と取調官の台詞
「彼を愛していた」
「愛しています」
「"今も"という意味?」
「これからもずっと」
(この後に帰国できたユーイングと妻の再会シーンが。既に過去に出会っていて、そして、またここネオソウルでも)
もうひとつ、こういう台詞も。
「誰もその真実を信じなかったら」
「すでに信じている人がいます」
(取調官との視線)
※Memo3
●クラウド アトラス表記、映画は半角空けで原作は「クラウド・アトラス」と中黒。
●タイトルデザインは本編VFXも多く手がけたMethod Design (昨年のアベンジャーズも)
映画『クラウド アトラス』公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/cloudatlas/index.html
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