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2013-05-19

石井裕也監督、松田龍平、宮崎あおい・主演『舟を編む』

2012年本屋大賞に輝いた三浦しをんの小説を石井裕也監督が実写映画化した『舟を編む』。出演は松田龍平宮崎あおいオダギリジョー加藤剛小林薫池脇千鶴、他

物語・玄武書房に勤務する馬締光也(松田龍平)は辞書編集部に配属され、新しい辞書「大渡海」の編さんに携わることとなる。彼も営業部では変わり者扱いだったが辞書編集部もかなりの個性派ぞろい。徐々に辞書造りにのめり込み始めた頃、馬締は下宿の大家の孫娘・林香具矢(宮崎あおい)に一目惚れをする。そして…

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「ネットの海は広大だわ…」は映画「Ghost in The Shell」での主人公、公安9課・草薙素子の台詞だが本作はまさに「言葉の海も、また広大である」
邦画で直近10年見た中でベストテンを選ぶなら絶対に入れるぐらい、見てからかなり時間が経過しているけど「よかったなー」と言える作品。石井裕也監督作は劇場で見たのが本作で4本目になりますが、まさに正攻法な描き方でビックリしました。
辞書づくり自体も、どうやって造るのか興味津々だったけど「用例採集」って言葉に、まず惹かれた。昆虫採集するように、いろいろな場所に行っての「言葉集め」。ファストフード店で女子高生の会話にダンボ耳になってメモするおじさんふたりw(←かなり怪しいw)。この用例採集(カードも含めて)は相合傘を用例採集カードに書かれて手が震える馬締やちょっとした合間のアクセントポイントなど映画全体、そしてラストのパーティのシーンにいたるまで効いている。
(あとで知りましたが)1995年からスタートする映画オリジナルの時間の切り取り方もデジタル元年という意味合いで面白い(おそらく編さん作業中に"紙の辞書"は必要云々いろいろあったであろう事柄など想像できる)。
松田龍平演ずる馬締。パッと見、おいおい大丈夫かー、しかし不器用ながらも恋愛もするという(←この辺り、さらに大丈夫かー)役をドンピシャなかたちで演じていてよかった。
(文字通り月夜に)香具矢と出会って(一目惚れして)から、なんとか思いを伝えたいところからはじまって徐々に周囲ととけ合っていく(また、そのように努力して)姿も。最近、「世界にひとつのプレイブック」「横道世之介」「ムーンライズ・キングダム」、そして本作とこの"つい応援したくなる恋の行方見守り"型・映画多いような気もします(←まあ、好みのプロットでありますが ^^)
撮影は藤澤順一による35ミリフィルム撮影。もう本作、内容からいって絶対フィルムでしょう、と思ってインタビュー記事などを読むとプロデューサーも監督も申し合わせたわけではないけれど「フィルムでしょう」となったみたいで、やっぱりと思った次第。

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パンフレット表紙

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本作のパンフレットが内容、デザイン、アイデアなどすこぶる素晴らしい。本文128ページ(表紙〜表4除く)、シナリオ掲載、出演者インタビュー、メイキング、辞書造りについて、批評、対談など盛りだくさん。中でも劇中、気になってしようがなかった馬締がこだわっていた「大渡海」に使用した「ぬめり感」のある用紙。これを実際に使った「辞書を並べて読み比べ」特集ページまで用意されていて、もーめちゃめちゃ感激ですよ。
あと、宣伝関連も最初に配布された文字がいっぱい書かれたフライヤーから、書店に置かれるフライヤーとしおり、その他タイアップものフライヤーと非常にバリエーションに富んでいて映画の辞書造りとダブるような熱度。

映画『舟を編む』公式サイト
http://fune-amu.com

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