リチャード・プレス監督『ビル・カニンガム&ニューヨーク』(Bill Cunningham New York)
New York Times の人気ファッション・コラム「ON THE STREET」と社交コラム「EVENING HOURS」を長年担当する名物カメラマン、ビル・カニンガムのドキュメンタリー『ビル・カニンガム&ニューヨーク』。監督は今作が長編作品デビューとなるリチャード・プレス。
※Memo1
●颯爽として飄々として、その審美眼は誰もが認めるスーパーお爺ちゃん。名物フォトグラファー。誰かが言っていた「全身写真家」という表現がピッタリ。
●とにかく一瞬足りともストリートで出会うファッションを取り逃さないように目を皿のようにして自転車に乗るビル(案の定、タクシーにドシンというところも一瞬写される)。
●清掃員用の青いジャンパー(パリのデパートで20ドル)、そして黒いビニールの雨合羽(ガムテープでいっぱい補強)
「みんなは嫌がるんだが、ちょっと薔薇の花みたいだろ」とニコニコ語るビル。
●「これで29台目の自転車」「28台は盗まれた」と、またまたニコニコ語るビル。
●「好きなことを仕事にしたのではなく、好きなことをしているだけ」といった姿勢が滲み出る私生活、着るものも食べるものに無頓着。
「すまないね。いつもこんな食べ物ばかりで」
(このあたりの、やりとり含め時々垣間見せる監督との信頼関係も、このドキュメンタリー作品から感じる暖かさの一端)
●パリ・コレで入口付近でパスを見せながら係の人に説明していると中から出てきた人が「この方はもっとも重要な人だから」とサッと入場させる重鎮ぶり(でも、全く何処へ行っても飄々としている)
●そのパリへ行くことについて、こんな言葉「目には何度でも学ばせないと」
●そんなビルが一瞬だけ言葉をつまらせるシーンがある。過去の恋愛や家族のこと、信仰について尋ねられた時だ。「答えたくなければ答えなくてもいいですが」との前置きに丁寧に答える。その言語の行間から(もしかすると、両親や恋愛に対して、いろいろな確執もあったろうなぁ)いろいろなことがうかがえる。
※Memo2
●「ヴォーグ」のアメリカ版編集長アナ・ウィンター(もう、とっても有名になってなってしまったことだけど「プラダを着た悪魔」のモデル)、ファッションモデル(というかアイコン)のパトリック・マクドナルド、同じカーネギーホールの古いスタジオに住む(住んでいた)写真家エディッタ・シャーマンなど様々な人が実際に登場してくる。(失礼ながら、判らない方もいました)
●タイトルデザイン&写真アニメーション(Photographic animation designer)はキーラ・アレクサンドラ(Keira Alexandra)
New York Times YouTube Edition
Bill Cunningham - On the Street
http://www.youtube.com/playlist?list=PL074352F6ACE39E76
映画『ビル・カニンガム&ニューヨーク』公式サイト
http://www.bcny.jp
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