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2013-06-21

ナオミ・ワッツ、ユアン・マクレガー『インポッシブル (Lo Imposible)』J・A・バヨナ監督

注・内容、台詞に触れています。
スマトラ島沖地震後に発生した津波に遭遇した一家の実話を基に映画化『インポッシブル』監督は『永遠のこどもたち』のフアン・アントニオ・バヨナ(J・A・バヨナ)。主演はナオミ・ワッツ(本作でアカデミー賞にノミネート)、ユアン・マクレガー、トムホランド、ジェラルディン・チャップリン、他

物語・2004年末、マリア(ナオミ・ワッツ)とヘンリー(ユアン・マクレガー)は、3人の息子と共にタイにやって来る。トロピカルムードあふれる南国で休暇を過ごすはずだったがクリスマスの次の日、彼らは未曾有の天災に巻き込まれる。一瞬にして津波にのみ込まれ、家族は散り散りになってしまう。そして…。(Brown部分シネマトゥデイより抜粋)

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Memo
冒頭、いきなりの爆音ですぐに津波のシーンから?と思ったら飛行機のジェット音。おだやかなスマトラ島沖の海上が映しだされる。
そして島についてからホテルの中での様子やクリスマスの日、デッキにおかれたプレゼントを手にしてはしゃぐ子供たち(赤いボールも)などが描かれる。
プールサイドでくつろぐマリアたち。開始から13~14分のところで津波のシーンとなる。一瞬の風。転がる赤いボール。マリアの読んでいた本からメモが飛ばされる。そのメモが張り付いたガラス越しに映る倒れる樹々。そして。
この後の流されていく描写。ルーカスを見つけてからの数分間、見ているこちら側もグッと力が入る、そして恐い。
(更に、ここで描かれなかった水中でもみくちゃになるマリアの描写が終盤、手術中の夢の部分で出てきます)
マリアとルーカスは島の中心部へと流された瓦礫と樹々の中を歩いているとき、近くで子どもの声が。
「早く、あの高い木に登らないと次の津波が来るよ」と言うルーカスに「あの声が弟だったら、どうする?」医師であったという立場もあるだろうけど、この姿勢は最後まで変わらない。そして助けだされる小さい子供。「名前は?」「ダニエル」
高い木の上に退避しているとき、マリアの手をそっと撫でるダニエル。思わず顔を見合わせて微笑みあうマリアとルーカス。
(このシーンはラストと対になっている)
無事、病院まで搬送されたマリア。
そして、またルーカスに
「わたしは、ここから動かないから大丈夫だから、誰かの役に立ちなさい」尋ね人を聞いて回るルーカス。この、ものすごい状況下で成長していくルーカスの物語として見ていけるというのが本作のいい所だと思います。

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父親のヘンリー、ふたりの弟と無事再開。
その後、マリアの手術を待っている時、ルーカスに
「助けてくれてありがとう」
「いや、助け合ったんだ」
同じ台詞がラストにも
最後に保険会社のチャーター機の中で安堵の中、
ルーカスに「助けてくれてありがとう」
「ダニエルを見たよ」
「多分、あれはパパだと思うんだけどすごく嬉しそうだった」
微笑み返すマリア。
(あの時助けて良かったという想いが、言葉ではなく表情から読み取れて素晴らしいシーン)
監督フアン・アントニオ・バヨナがVFXがスペインのスタジオなどで行われたせいかもしれないが、津波のシーンもハリウッド製のものとどこか違う印象。
(これはこの作品にとってよいベクトルになっていた気が)
ナオミ・ワッツの熱演はあまりに凄すぎて「エッ」と思うこと数々(しばしば)。それとルーカス少年を演じたトム・ホランド君が、すごくよかった。ちょっと『太陽の帝国』(こちらも両親と逸れて…)クリスチャン・ベールを思い出したり。

映画『インポッシブル』公式サイト
http://gacchi.jp/movies/impossibl

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2013-06-18

レオナルド・ディカプリオ、キャリー・マリガン、トビー・マグワイア、バズ・ラーマン監督『華麗なるギャツビー (The Great Gatsby)』"Young and Beautiful"

1974年にロバート・レッドフォード主演で映画化もされた、米作家F・スコット・フィッツジェラルドの小説「グレート・ギャツビー」を『ムーラン・ルージュ』のバズ・ラーマン監督が映画化『華麗なるギャツビー』主演はギャツビーにレオナルド・ディカプリオ、デイジーにキャリー・マリガン、ニックにトビー・マグワイア、他にジョエル・エドガートン、エリザベス・デビッキ

物語・1922年、ニューヨーク。毎夜のように開かれるギャツビー邸の豪華絢爛なパーティへの招待状が、隣家にひとりで暮らすニックのもとに届いた。ギャツビーと親しくなったニックは、彼に親戚のデイジーとの橋渡しを頼まれる。そして…。(DarkBrown部分DVD&ブルーレイでーたより抜粋)

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(ビスタ張りキャンタイプではなく)きっちりとスコープサイズがかかる大きなスクリーン、3Dで見るのがベスト「狂騒の20年代(Roaring Twenties)」パーテイ・シーンはもっと長くてもよいぐらい。室内における立体演出も面白い。もちろんサウンド的にも。
3D効果について
VintageFilmの趣で配給、制作などのロゴに続き1920年代当時のニュース映像までもが3D処理されている。これが実に違和感なく仕上げられていて実際の物語へもすっと入っていける。そして奥へ奥へと入っていくパースペクティブなカメラワークやギャツビーが見つめ続けていた"グリーンライト"の輝き(これ、目線が一致する場所で鑑賞すると本当にこちら側へ照らされているよう)など、まさに計算された3D効果となっている。また神の視点のように見つめ続ける打ち捨てられた眼鏡店(T・J・エクルバーグ医師の眼)の青い看板がある灰の谷も綺羅びやかなゴールド基調の色彩設計の点と点を結ぶブリッジポイントとなっていて素晴らしい。
その3D効果、中でもLana Del ReyYoung and Beautiful」(この曲は幾つかのバリエーションをもって映画全体を彩る名曲)が流れる中、再会したデイジーをギャツビー邸に招いての流れるような描写、3D。なんと衣類までもが飛んでくるのだから。ここのシークエンスだけのために、もう一回3Dで見てもいいと思うぐらい好きな場面だ。

そもそもが文体自体に魅力があるフィッツジェラルドの小説。ギャツビーの口癖であり、ひととなりの特徴、普通、誰も使わない言葉をあえて使うことによる周囲との違和感などを表しているとされる「old sport」。
村上春樹・訳版では「オールドスポート」のままであった。ちなみに映画(本作)での字幕では「友よ」が用いられている。
ギャツビーは親しみを持ってトムにまでも「old sport」と語りかける(本来はニックのみに使用。事実、ニックは最終的にはギャツビーのよき理解者にもなっていたのだ。最後に交わした台詞が「君はあの下らない連中と違って価値があるんだ」)。しかし。そのトムからは(嫌みたらしく)「君の口癖の"old sport"みたいに云々〜」のような台詞を浴びせられる。このラスト前に訪れる切なさの頂点のようなプラザホテルでの室内劇はやがて迎える結末を予兆させ(気温の高さまで伝わる)見事な場面だ。
(全くの蛇足的に→)「old sport」を「我が良き友よ」って(無理矢理)訳すと拓郎さんの曲になるし古典的な言葉(古い言い回し)として「貴公」では硬すぎるし…。

ラストのトム(=フィッツジェラルド)の語り部分"ギャツビーがはじめて、この桟橋の突端で緑色の灯りを〜"は、ほぼ原作のまま使われていたような気がします(Script未見なので断言はできませんが)
※追記(2Dで再鑑賞)
ラストは原作と同じ有名な一節で締めくくられる。
So we beat on, boats against the current, borne back ceaselessly into the past.
原作者のフィッツジェラルドは「ラスト・タイクーン」6章第1エピソードを書いた翌日に心臓麻痺で急死した。物語の残りの部分のアウトラインと人物や場面など記した作者ノートが残されている。最後のページに書かれた一行 >  "行動は性格である"
この言葉はフィッツジェラルドの創作の上での人物造形を考える上で、とても興味深いことだと常々思っていたのだが本作を見て、キャラクター全てをややステレオタイプに描くことに徹した監督の意図は、原作に近いのではないかとも思えた。

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衣装デザイナーはラーマン監督の実際のパートナーでもあるキャサリン・マーティン(「ムーラン・ルージュ」でアカデミー賞衣装賞を受賞)
公開前から話題になっていたコラボレーションの数々。衣装などの提供にプラダ、ミュウミュウ、ブルックスブラザーズ、ジュエリーにティファニー、Jay-Zによるサウンドトラックと豪華。
TITLEはVFXまわりも含めMethod Design SYDNEY
撮影カメラはRed Epic, Zeiss Ultra Prime Lenses

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参考となる関連リンクをまとめて
(2013年6月18日現在リンク切れ無し)
映画「華麗なるギャツビー」から見る1920年代 -
NAVER まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2136850658129617901
華麗なるジャズ・エイジがよみがえる「グレート ギャツビー」コレクション
Tiffany & Co. | Web Magazine OPENERS
http://openers.jp/women/watch/features/great_gatsby_collection.html
Behind the Scenes of Carey Mulligan's Great Gatsby--Themed Cover Shoot
http://youtu.be/bl8oo_0_HVk
Behind the Scenes: The Great Gatsby and Brooks Brothers
http://youtu.be/gfyHhyI3SNw
The Great Gatsby, by F. Scott Fitzgerald
(原文で原作を)
http://ebooks.adelaide.edu.au/f/fitzgerald/f_scott/gatsby/index.html

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映画 『華麗なるギャツビー』 公式サイト
http://www.gatsbymovie.j


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2013-06-16

ウディ・アレン監督『ローマでアモーレ (To Rome with love)』

ウディ・アレン監督によるローマを舞台に描かれるお馴染みの恋愛群像劇(艶話)『ローマでアモーレ (To Rome with love)』「タロットカード殺人事件」以来の本人出演の他にアレック・ボールドウィンロベルト・ベニーニペネロペ・クルスジュディ・デイヴィスジェシー・アイゼンバーグエレン・ペイジ、オルネラ・ムーティ、他

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開始早々、久々にジタバタするウディ・アレン本人の登場。飛行機の中で「乱気流が〜」と言ってジュディ・デイヴィスにすりすりするアレン。←ファンとしてはもう、これだけで嬉しいのですが( ´ ▽ ` )
「んなアホな」設定でオペラを歌うファビオ・アルミリアートや突然、わけわからず「有名人」になったロベルト・ベニーニの話などローマの休日、甘い生活、終着駅…と、映画的記憶名所を廻りつつ4つのエピソードが語られる。

ひょんなことからアントニオ(アレッサンドロ・ティベリ)の妻ミリー(アレッサンドロ・マストロナルディ)と勘違いされた高級コールルガール、アンナ(ペネロペ・クルス)。叔父たちに招かれた実業家パーティで次々と「アンナ」「アンナ」とセレブたちから声をかけられる件が可笑しい。その度に「ミリーよ」「今はミリー」と訂正するところも可笑しい。で、その間に実は妻ミリーにもツヤツヤの艶話が起きようとしていた。
著名なアメリカの建築家ジョン(アレック・ボールドウィン)は、30年前に住んでいた界隈をウロウロしているときに若いアメリカ人男性で、建築家志望のジャック(ジェシー・アイゼンバーグ)と出会う。その後まるで(最初はその場にもいたのだが、そのうちシャドーイメージ、心の声として)付きまとう助言マンになってジャックの彼女サリー(グレタ・ガーウィグ)の友人モニカ(エレン・ペイジ)へ惹かれていくジャックに対して「やめておけ」と忠告する。このエピソード、アレンお得意のひとつの語り口。(それにしても心の声にしては圧が高いアレック・ボールドウィンw)
ウディ・アレン演ずるイタリア語が読めない(話せない)前衛オペラ演出家wという設定からして既に笑えるけど劇中、やたらと聞き間違い、言い間違いを繰り返すのもひとつのギャグになっている。娘の彼氏の名前「ミケランジェロ」をひたすら「マイケランジェロ」と言ったり(字幕には出ていなかったけど多分→)「ナポリ(napoli)」を「ニプル(nipple)」と聞いたり。
1番可笑しかったのが葬儀屋を営む義理の父親と初対面の時。中から出てきて握手をした際に「すみません。仕事中だったもので」の台詞のあとアレンがじーっと「??」マークで手を見つめるシーン(←確かに、その仕事中ってなんだw)

例によって最後は丸く納まっていくアレン節(実はいろいろあるのだが表面的に)。それは「誘惑のアフロディーテ」で叶わぬ恋と失意の中、車を運転しているミラ・ソルヴィーノの前に突然、道路に不時着してくるセスナの操縦士とメデタシメデタシチャンチャン♫となるとか「世界中がアイ・ラブ・ユー」のドリュー・バリモアが婚約者(エドワード・ノートン)をふってフラフラ〜とティム・ロス演ずるちょっといかがわしい男に惹かれるが結果、元の鞘に収まるのと同じように(ややアイロニーをこめつつ)大団円を迎えるのだ。
ロベルト・ベニーニとウディ・アレンの同一画面共演シーンが無いのは少し残念だが下記に書いたとおり、主役がローマの街なので、この語り口となったのかな、と推測。
全体にかかるエッセンスは「有名人」
建築家やオペラ演出家、歌手や突如「有名人」になる一般人やミリーに言い寄るイタリアのスター役者サルタや超有名コールガールまで様々。それらが交通整理のおじさんが語るとおりローマの街では全てがドラマとなる訳ですね。

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ロケ地ガイド「Movie Tourist」より
『ローマでアモーレ』ロケ地
http://movie-tourist.blogspot.jp/2013/01/to-rome-with-love-2012.html
各シーンとロケ地の写真が掲載されています。

映画『ローマでアモーレ』公式サイト
http://romadeamore.jp/


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2013-06-09

「また、木下惠介の映画が観たいです」原恵一 監督『はじまりのみち』加瀬亮、田中裕子、ユースケ・サンタマリア

注・内容、台詞に触れています。
「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲」「河童のクゥと夏休み」「カラフル」の原恵一 監督、初の実写作品『はじまりのみち』木下惠介生誕100年記念映画。

物語・戦時中、監督作『陸軍』が戦意高揚映画でないと軍部からマークされてしまった木下恵介(加瀬亮)は、次回作の製作が中止となってしまう。そんな状況にうんざりした彼は松竹に辞表を出し、脳溢血で倒れた母たま(田中裕子)が治療を行っている浜松へと向かう。戦況はますます悪化し山間地へと疎開すると決めた恵介は、体の不自由な母をリヤカーに乗せ兄(ユースケ・サンタマリア)と荷物運びの便利屋(濱田岳)と共に17時間に及ぶ山越えをする(Blueglay部分シネマトゥデイより抜粋)。

Hajimari

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なんと真摯な姿勢なんだろう。かねてから木下監督作品の信奉者と語られていたとおり底辺に流れるリスペクト愛に溢れた美しい映画だ。さりげなく織り交ぜられている木下作品の数々。川原で見かけた対岸にいる先生(宮崎あおい)と生徒(無邪気に軍歌を歌っている)、それを手でフレームをつくって見つめる木下監督 >「二十四の瞳」険しい山道を母を連れて登る > 「楢山節考」便利屋が語るカレーライス(衣装は偶然だったそうです) > 「破れ太鼓」などなど…
そして、この構成の妙(こちらも原監督がインタビューで語っていた木下監督のアヴァンギャルドさもあってだと思う)。どうしても自作ドラマ部分に「陸軍」を挿入することによって起こるであろうと予想されたであろう"比較された批評"も恐れず、これを成し得たことに驚いた(そして感動した)
しかし、これをテレビで見てしまうと(最近よく目にする)「ドキュメンタリー+ドラマ」で構成されたものと同じ体感になってしまうかも。かつて多くの日本人が体験してきた「木下惠介監督」作品を(デジタル上映とはいえ)劇場のスクリーンと向かい合えることも本作の根幹たるものだと思います。(実際リアルタイムで「新作」として見てきたわけではないので当時の人気たる状態は知らないわけですが…)最後の名場面シーンには震えました。是非、劇場で!
96分の作品中、名場面シーンと「陸軍」のラストシーンとでかなりの時間が割かれているにもかかわらず本編ドラマ部分の芳醇なこと(いいシーンがいっぱい)。
兄とのさり気ないやりとり(ユースケ・サンタマリアが上手いのは意外)。病人がいると判ると断られ続けた宿探しの中、唯一、泊めてくれた「澤田屋」(エンドクレジットで現在の場面も)での母の顔を拭き、櫛で髪を整えてあげるシーンの神々しさ。
濱田岳演じるカレーライスの便利屋は全編通じて、本当に上手い。(最後の最後まで映画監督とわからず接しているので可笑しみが増す)
本編、白眉の場面
川原にいる木下監督に近づいて。
「映画館にお勤めだったら、あの映画見ました?」
「陸軍」
「泣いたなぁ」
「俺のおっかさんも、ああいう風に泣いてくれるかなぁ」
それを聞いて、すかさず
「自分の息子に立派に死んでこいなんて言う母親はいない」
どぎまぎして辺りを見回す便利屋。
「よさまいか、誰かに聞かれたらどうする」
「まあ、でもそういうことが言いたかったんだろうな」
また、ああいう映画が見たいなぁ
無事、疎開先の勝坂・鈴木家まで母を運び終えて庭で薪を切っていると母たまが木下監督を手招きして呼ぶ。
そして、木下惠介に宛てた手紙。
「ここにはみんなが居ますから、あなたは安心して撮影所に戻りなさい」と。
最後はこう結ばれている。
また、木下惠介の映画が観たいです
便利屋と母の声に後押しされるように颯爽と映画に向かう。(トンネルの暗闇の向こうは映画館の暗闇の中だ)
そして戦後、名場面シーンが流れる。最初は「こんな映画が撮りたいんだ」と語っていた「わが恋せし乙女」(牧歌的ミュージカルから馬車に乗る二人のシーン)よりスタート!
名シーン最後は1986年に制作された「新・喜びも悲しみも幾歳月」で締めくくられる。
見送る大原麗子さんの台詞
戦争にいく船でなくてよかった
追加シーン
「たまさんは家の中で天井ばかり見てるんだから、たまには空だってみたいよね」という思いで(唯一、原監督自らの意思で)絵コンテを描かれ追加となったシーン。日傘をずらして、青空が見える。つーっと流れる涙。

Memo2
録画していた「徹子の部屋」加瀬亮さんの回を見ていたら木下惠介監督が過去に出演した際(1982年)のVTRが流れて、リヤカーに乗せて母親を疎開させた実際の話を語られていた。
そして「こんな歳になっても、幽霊でもいいから、また会いたい…」と。
パンフレットに掲載されている長部日出雄さんのコラム"「はじまりのみち」の原風景"を読むと、母・たまが如何に映画監督になるための後押しをいろいろとしてきたかが解り、このインタビューでの監督の言葉と「また、木下惠介の映画が観たいです」という母の想いの根底が伺えた。
吉田拓郎浅田美代子共演で話題になった山田太一(木下惠介監督に師事)脚本のTBSドラマ「なつかしき海の歌(1975年)」って(内容的には全く関係ないですが) 木下監督「なつかしき笛や太鼓」のタイトルとダブってるなぁ、と思ったことを、ふと思い出した。さらに全くの偶然だと思うけど(木下惠介生誕100年記念映画「はじまりのみち」の)原恵一監督「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲」挿入曲が拓郎さんの「今日までそして明日から」

原恵一監督最新作『はじまりのみち』
www.shochiku.co.jp/kinoshita/hajimarinomichi/



「はじまりのみち」に登場する木下惠介監督作品
「わが恋せし乙女」「新・喜びも悲しみも幾歳月」は未単品化(DVD-BOXに収録)


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2013-06-03

黒沢清監督『リアル~完全なる首長竜の日~』佐藤健、綾瀬はるか : 主演

注・内容に触れています。
2011年に発表の乾緑郎の原作を、黒沢清監督が映画化した。『リアル~完全なる首長竜の日~』主演は佐藤健と綾瀬はるか。共演は中谷美紀、オダギリジョー、染谷将太、小泉今日子、堀部圭亮、など。

物語・自殺未遂が原因で1年も眠り続ける幼なじみである恋人・淳美(綾瀬はるか)を救い出すため、浩市(佐藤健)は昏睡状態の患者と意思の疎通が可能となる先端医療・センシングを受けることに。センシングを繰り返し淳美の潜在意識に接触していくうちに、浩市は不思議な光景を見始めることになる。現実と仮想の境界が崩壊していく中、浩市は淳美と幼少時代を過ごした飛古根島へと足を運ぶ。(Blue部分シネマトゥデイより抜粋)

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Memo
渥美のこの台詞に集約?
「生まれた時から、ずっとこうして一緒に暮らしている気がする」

これ昨年放送されたドラマ「贖罪」見てるの前提っぽい気がするけど…と思ったり…(とはいえ関係なく単体完結ドラマとしても見られるし、反転する位相レベルで深読みも出来るし一筋縄でいかなくて面白い)
例によって、本当に怖いシーンは事態が反転し始める前の精神科医、相原(中谷美紀)が通ると明滅する廊下の蛍光灯、飛古根島のリゾート開発の失敗で廃墟と化した建物の前や中に捨てられるゴミ(しかも分別してるよー渥美の父親、無愛想に怒りながら…怖いよー)、波間に漂う目印の竿に付けられた赤い旗(この入江の感じも薄ら寒く恐い)など枚挙にいとまがない。
鏡に映り込む"何か"とか主観と客観のカメラ目線切替を編集で見せるとか、そんなありきたりの演出をしないのが黒沢清監督であります。首長竜のCGはやたらとリアルだがドライブシーンのスクリーンプロセスは(初めて黒沢清作品に触れた人は特に意図されたものと判らないので)エッと思うほどズレがある違和感。
再チェック必要Memo
冒頭「これからも一緒だからね」に続く机の上の原稿。
(本編途中で浩市が首長竜が描かれたスケッチブックを実家に探しに行った際に、小さい頃に描いた他の絵も多くあることが判る。この辺りで昏睡状態は逆?と思えるようになっている。よって、映画冒頭の原稿に描かれていたものは、どういった内容か)
・浩市、渥美の暮らしているマンション(ロフトタイプ)。2階へ上がる階段の部屋が無かったり、扉が付いていたり、床が水に侵食されていたりと幾つかのバリエーション。
・"フィロソィカル・ゾンビ"のビジュアル的登場のタイミングは?
・精神科医、相原が病室の(センシングは行われていない時)浩市に囁きかけるシーンの挟み込まれた場面(位置)。
小泉今日子、オダギリジョー、そして中谷美紀といったキャスティングと揺れるカーテンとダンボール、水のイメージ、廃墟などの黒沢清監督作品印イメージも含め集大成的+実験的(ざっくり分けると前半ホラー、後半SF、軸はラブストーリーといった趣き)なる本作。

さて、物語が進んでいくと実は昏睡状態なのは浩市の方で目覚めさせようとセンシングを行っているのは渥美の方だということが判明してくる(反転が起こる)。そこには15年前に封印した事件(渥美に想いを寄せる"もりお"と呼ばれる少年がリゾート開発のために東京から転校してきた浩市に対して何かと敵意を顕にする、それは渥美が浩市にペンダントをプレゼントしているところを目撃して激しさを増す)。
ついには浩市を溺れさせようとして逆に溺れてしまう"もりお"。ふたりは溺れたのは全て首長竜によって起こったことだということにして絵を描き金庫の中へと封印してしまう。(この金庫も順番だと少しおかしい?)
自殺と思われた浩市が実は無くしたと思っていたペンダントを拾おうとして川に落ちたのが原因と判明。クライマックスの首長竜の引きずり込み、漁船に乗せて沖に連れ出す"もりお"のシーンを見て「なんだ、本当に引きずり込んでる!?」と思った瞬間、ゾゾッとしました。(一回しか見ていないので他にもいろいろ、ありそうです)
そういえば黒沢監督、舞台挨拶の際に中谷美紀さんから「絶滅危惧種のような作家性の高い貴重な監督」って言われてましたからw

「リアル」というタイトルが付いて何ひとつ実際に起こっている現象としての"リアル"は無い。そもそもが冒頭のふたりの会話(食事)シーンとラストの病室で浩市が目覚めるシーンが繋がって途中は全て意識の世界を描いていたとすれば、そこの冒頭・ラストシーンのみ「リアル」(当然、センシングや中谷美紀や堀部圭亮演ずる精神科医もあちら側ということになる…?)となるのだが、そう言い切れない"ざわざわ感"がずっと残るのだ…。

映画『リアル~完全なる首長竜の日~』
http://www.real-kubinagaryu.jp/


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2013-06-01

ジョセフ・コシンスキー監督、トム・クルーズ主演『オブリビオン』(oblivion)

『トロン:レガシー』のジョセフ・コシンスキー監督が、自らのアイデアをもとに描いたSF超大作『オブリビオン』(oblivion)。出演はトム・クルーズオルガ・キュリレンコ、アンドレア・ライズボロー、モーガン・フリーマン、メリッサ・レオ、ゾーイ・ベル、ニコライ・コスター=ワルドー

物語・2077年、異性からの侵略者“スカヴ”により半壊してしまった地球。生存者は全て土星の惑星タイタンに移住してしまった中、ジャック・ハーパー(トム・クルーズ)はパートナーのヴィクトリアと共に地球に残り偵察を続けていた。そんなハーパーの前に砂漠に墜落した生存者の女性ジュリア(オルガ・キュリレンコ)が現れる。彼女は何度も夢に出てくる女性だったのだ。そして…

Ob

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いっぱいサブタイトルが付けられるなぁ。「忘却の彼方で」(←そのまま過ぎる)「クリスティーナの世界」(←これまた、登場する絵画のまま)「生まれたところを遠く離れて」(←浜田省吾風、これは飛躍し過ぎ)
さすが「トロン:レガシー」の監督だけあって、とってもパースペクティブな画面構成。まるでアーキテクチャーのように。スコープサイズに地平線、しかも音響設計まで構造的。既視感SF(※)としても斜め45度の上を跳ぶ。空の青が美しい(この青は珍しい)
※「2001年宇宙の旅」を筆頭に「ブレードランナー」(スピナー的デザイン、そしてVangelis風サントラ)「猿の惑星」(自由の女神像)「未知との遭遇」(砂漠の船舶)、そして「ウォーリー(WALL-E)」「サイレント・ランニング」(←これ、かなり近いかも)、最近では「月に囚われた男」Etc…。あと手塚治虫さんの「火の鳥」未来編、復活篇、宇宙編など、(おそらく)コシンスキー監督自体は読まれていないかもしれないけれど作品が描かれた年代からして、そのイメージや物語は世界中に意識的、無意識的に流布された影響は計り知れないのではないのかなぁと常々思っています。
●アーキテクチャーのようにと、このブログ記事を書く前にツイートした後、コシンスキー監督の略歴を見ると、スタンフォード大学工学部機械工学デザイン科卒、コロンビア大学建築大学院修士課程・修了とありました。なるほどと頷ける建築家的パースペクティブさだったのですね。

ふたつの象徴的なもの。
・エンパイアステートビル屋上(Top of the World)の風景
Top of the World」で会おう。
そこで渡される指輪。
・アメリカの画家アンドリュー・ワイエスの「クリスティーナの世界」が登場。(メイン州の別荘近くに住んでいたオルソン家の足の不自由な女性クリスティーナを描いたもの。ワイエスは30年間彼女が亡くなるまで描き続けた。)
プロコル・ハルム(Procol Harum)「青い影」(A Whiter Shade Of Pale)
クリスティーナの絵ではないが湖畔の山小屋風の家にハーパーが集めていたレコード(アナログ盤!)の中の一枚としてかかる(ここの音響設計がすごく美しい)。ジャックがオリジナルとしての自分を失っていない事の微かなる希望が印刷された紙の本とアナログレコードというところが、この場所も含めて(ヤンキースの帽子やベアーぬいぐるみも)いいなぁ。
撮影カメラが噂の4K出力、ソニーのCineAltaF65。それを用いたブルースクリーンなしのセット背景投射によって、あの不思議な雲と空の青が出ていたんですね(素晴らしい使用方法だ)
ラスト、ジャック・ハーパーがジュリアに告げる言葉。
「僕らの夢を見て」
これは実際にテット(三角錐の巨大基地)に関する真実が判った時に二重になって告げられた言葉だとわかる。

Memo2
タイトルデザインはお馴染みの「Prologue」 (Main TitleとMain On End)
両方の動画あり(鑑賞後にご覧ください)
http://prologue.com/media/film/projects/oblivion

映画『オブリビオン』公式サイト
http://oblivion-movie.jp/

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