ウディ・アレン監督『ローマでアモーレ (To Rome with love)』
ウディ・アレン監督によるローマを舞台に描かれるお馴染みの恋愛群像劇(艶話)『ローマでアモーレ (To Rome with love)』「タロットカード殺人事件」以来の本人出演の他にアレック・ボールドウィン、ロベルト・ベニーニ、ペネロペ・クルス、ジュディ・デイヴィス、ジェシー・アイゼンバーグ、エレン・ペイジ、オルネラ・ムーティ、他
※Memo1
●開始早々、久々にジタバタするウディ・アレン本人の登場。飛行機の中で「乱気流が〜」と言ってジュディ・デイヴィスにすりすりするアレン。←ファンとしてはもう、これだけで嬉しいのですが( ´ ▽ ` )
「んなアホな」設定でオペラを歌うファビオ・アルミリアートや突然、わけわからず「有名人」になったロベルト・ベニーニの話などローマの休日、甘い生活、終着駅…と、映画的記憶名所を廻りつつ4つのエピソードが語られる。
●ひょんなことからアントニオ(アレッサンドロ・ティベリ)の妻ミリー(アレッサンドロ・マストロナルディ)と勘違いされた高級コールルガール、アンナ(ペネロペ・クルス)。叔父たちに招かれた実業家パーティで次々と「アンナ」「アンナ」とセレブたちから声をかけられる件が可笑しい。その度に「ミリーよ」「今はミリー」と訂正するところも可笑しい。で、その間に実は妻ミリーにもツヤツヤの艶話が起きようとしていた。
●著名なアメリカの建築家ジョン(アレック・ボールドウィン)は、30年前に住んでいた界隈をウロウロしているときに若いアメリカ人男性で、建築家志望のジャック(ジェシー・アイゼンバーグ)と出会う。その後まるで(最初はその場にもいたのだが、そのうちシャドーイメージ、心の声として)付きまとう助言マンになってジャックの彼女サリー(グレタ・ガーウィグ)の友人モニカ(エレン・ペイジ)へ惹かれていくジャックに対して「やめておけ」と忠告する。このエピソード、アレンお得意のひとつの語り口。(それにしても心の声にしては圧が高いアレック・ボールドウィンw)
●ウディ・アレン演ずるイタリア語が読めない(話せない)前衛オペラ演出家wという設定からして既に笑えるけど劇中、やたらと聞き間違い、言い間違いを繰り返すのもひとつのギャグになっている。娘の彼氏の名前「ミケランジェロ」をひたすら「マイケランジェロ」と言ったり(字幕には出ていなかったけど多分→)「ナポリ(napoli)」を「ニプル(nipple)」と聞いたり。
1番可笑しかったのが葬儀屋を営む義理の父親と初対面の時。中から出てきて握手をした際に「すみません。仕事中だったもので」の台詞のあとアレンがじーっと「??」マークで手を見つめるシーン(←確かに、その仕事中ってなんだw)
●例によって最後は丸く納まっていくアレン節(実はいろいろあるのだが表面的に)。それは「誘惑のアフロディーテ」で叶わぬ恋と失意の中、車を運転しているミラ・ソルヴィーノの前に突然、道路に不時着してくるセスナの操縦士とメデタシメデタシチャンチャン♫となるとか「世界中がアイ・ラブ・ユー」のドリュー・バリモアが婚約者(エドワード・ノートン)をふってフラフラ〜とティム・ロス演ずるちょっといかがわしい男に惹かれるが結果、元の鞘に収まるのと同じように(ややアイロニーをこめつつ)大団円を迎えるのだ。
●ロベルト・ベニーニとウディ・アレンの同一画面共演シーンが無いのは少し残念だが下記に書いたとおり、主役がローマの街なので、この語り口となったのかな、と推測。
●全体にかかるエッセンスは「有名人」
建築家やオペラ演出家、歌手や突如「有名人」になる一般人やミリーに言い寄るイタリアのスター役者サルタや超有名コールガールまで様々。それらが交通整理のおじさんが語るとおりローマの街では全てがドラマとなる訳ですね。
※Memo2
●ロケ地ガイド「Movie Tourist」より
『ローマでアモーレ』ロケ地
http://movie-tourist.blogspot.jp/2013/01/to-rome-with-love-2012.html
各シーンとロケ地の写真が掲載されています。
映画『ローマでアモーレ』公式サイト
http://romadeamore.jp/
| 固定リンク
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: ウディ・アレン監督『ローマでアモーレ (To Rome with love)』:
» ローマでアモーレ ★★★★ [パピとママ映画のblog]
巨匠ウディ・アレン監督が、古都ローマを舞台にさまざまな男女が繰り広げる人間模様を軽妙なタッチで描くロマンチック・コメディー。『タロットカード殺人事件』以来となるウディが自身の監督作に登場するほか、ベテランのアレック・ボールドウィン、『それでも恋するバル...... [続きを読む]
受信: 2013-06-17 20:06
» ローマでアモーレ / To Rome with Love [勝手に映画評]
ウディ・アレン脚本・監督・出演のラブコメ。
いやぁ、ウディ・アレンの作品は一筋縄では行きませんね。『ミッドナイト・イン・パリ』の時もそうだったんですが(って言うか、『ミッドナイト・イン・パリ』は元々、現実と虚実が絡み合っているのがテーマ)、現実と虚実が...... [続きを読む]
受信: 2013-06-17 21:50
» ローマでアモーレ [だらだら無気力ブログ!]
クスクス笑えて面白かった。 [続きを読む]
受信: 2013-06-18 01:12
» ローマでアモーレ [とりあえず、コメントです]
ウディ・アレン監督の最新作です。 このところ舞台をヨーロッパ各国で転々としていて、今回はローマ!と聞いて楽しみにしていました。 歴史ある街並みと文化を織り交ぜながらのドタバタでラブコメな展開に笑ってしまうような作品でした~ ... [続きを読む]
受信: 2013-06-18 08:35
» ローマでアモーレ [心のままに映画の風景]
イタリア人と婚約した娘に会うため、ローマにやって来た元オペラ演出家のジェリー(ウディ・アレン)は、フィアンセの父親の美声に驚き、オペラ界への復帰を目論む。
建築家の卵ジャック(ジェシー・アイ...... [続きを読む]
受信: 2013-06-19 00:04
» 『ローマでアモーレ』 2013年5月15日 よみうりホール [気ままな映画生活(適当なコメントですが、よければどうぞ!)]
『ローマでアモーレ』 を試写会で鑑賞しました。
久しぶりに笑った×5
【ストーリー】
娘がイタリア人と婚約した音楽プロデューサーのジェリー(ウディ・アレン)は、ローマを訪れる。婚約者の家に招待されたジェリーは、浴室で歌う婚約者の父がオペラ歌手のような美声であることに驚く。一方、恋人と同居中の建築学生ジャック(ジェシー・アイゼンバーグ)の家に、恋人の親友モニカ(エレン・ペイジ)が身を寄せてくる。かわいらしい外見とは裏腹に恋愛に対しては積極的な彼女を、ジャックは少しずつ気になり始めていて……。
... [続きを読む]
受信: 2013-06-22 23:47
» ローマでのアレン模様 [笑う社会人の生活]
18日のことですが、映画「ローマでアモーレ」を鑑賞しました。
毎年のように見せてくれる ウディ・アレン監督作です
スペイン、パリ、ロンドンと続いて 今回はイタリア!
アレンお得意のさまざまな男女の人間模様が描かれる
4つのストーリー
やはりイタリアというお国...... [続きを読む]
受信: 2013-06-24 23:29
» ローマでアモーレ [映画的・絵画的・音楽的]
『ローマでアモーレ』を渋谷のル・シネマで見ました。 (1)本作は、『恋のロンドン狂騒曲』でロンドン、『ミッドナイト・イン・パリ』でパリというように、このところヨーロッパの大都市を舞台にして映画を制作しているウディ・アレン監督が、今度はローマに場所を移し...... [続きを読む]
受信: 2013-06-27 05:47
» ローマでアモーレ [I am invincible !]
1組目。 旅行でローマにやって来たヘイリー(アリソン・ピル)は、道を尋ねたことがきっかけとなって、弁護士のミケランジェロ(フラヴィオ・パレンティ)とあっと言う間に婚約した。... [続きを読む]
受信: 2013-06-27 12:14
» 「ローマでアモーレ」 [セレンディピティ ダイアリー]
ウッディ・アレン監督の最新作、「ローマでアモーレ」(To Rome with L [続きを読む]
受信: 2013-06-27 15:06
» ローマでアモーレ [映画感想メモ]
浴室だと歌が上手く聞こえる……って、この発想は無かったわ( Д) ゚ ゚ いい加 [続きを読む]
受信: 2013-06-27 21:21
» 「ローマでアモーレ」 [ヨーロッパ映画を観よう!]
「To Rome with Love」2012 USA/イタリア/スペイン
ローマ、ヴェネチア広場にあるヴィットリオ・エマヌエーレ2世記念堂近くで交通整理する警察官の語りからドラマは始まる。やがてアメリカからやって来た旅行者ヘイリーがカンピドーリオ広場でローマに住むミケランジェロに道を尋ねる。道案内を申し出たミケランジェロと急接近したヘイリーはローマで恋に落ちる…
監督、脚本。出演(ジェリー)に「映画と恋とウディ・アレン/2011」のウディ・アレン。
フィリスに「地球は女で回っている/... [続きを読む]
受信: 2013-07-02 00:00
» ローマでアモーレ [映画の話でコーヒーブレイク]
前回の「グランド・マスター」を見た後、引き続き本作を鑑賞しました。
ウッディ・アレン監督はニューヨークからヨーロッパに作品の舞台を移し、
ロンドンからバルセロナ、パリ、そして本作はローマです。
それぞれの街の雰囲気がストーリーの中に色濃く活かされていて、
...... [続きを読む]
受信: 2013-07-02 22:52
» 映画:ローマでアモーレ To Rome with Love なぜか「都市の魅力度」について考察するはめに(笑) [日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF STRUGGLE 〜]
元々NYの魅力を描かせたら天下一品だったウディ・アレン。
最近では、
2010「恋のロンドン狂騒曲」
2011「ミッドナイト・イン・パリ」
ときて、今回の「ローマでアモーレ」、と世界の都市を巡っている。
さてローマ。
この物語の狂言まわしは、英語がほとんど...... [続きを読む]
受信: 2013-07-09 05:33
» 『ローマでアモーレ』 ウッディの欧州都市巡り [Days of Books, Films]
To Rome with Love(film review) 『ローマでアモーレ [続きを読む]
受信: 2013-07-12 21:46
» 愛しのローマ♪ ~『ローマでアモーレ』 [真紅のthinkingdays]
TO ROME WITH LOVE
旅行中に出逢った弁護士と婚約した娘に会うため、元オペラ演出家のジェリ
ー(ウディ・アレン)はローマにやってくる。ローマでホリデイを過ごすジョン(ア
レ...... [続きを読む]
受信: 2013-08-06 22:52
» 「ローマでア・モーレ」 [ここなつ映画レビュー]
ウディ・アレンは、自身の回顧趣味と若者(中年を含む)へのエールを上手くミックスした作品が最近多いように思う。今回のテーマは(きっと、多分、)「夢が叶ったら」。夢が叶った後どうなるか、その後行き過ぎていく中で夢が覚めたらどうなるか、をアイロニーも含めて描き出している。
昔はそうでもなかったのに、ウディ・アレンの作品最近すごく好き。私も年をとったという事か。それとも私って意外とスノッブなヤツだったのか…(笑)。
オムニバス調の作品。ローマで暮らす4組の夫婦、カップル、家族、個人のお話を、同時... [続きを読む]
受信: 2014-01-15 15:41