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2013-06-18

レオナルド・ディカプリオ、キャリー・マリガン、トビー・マグワイア、バズ・ラーマン監督『華麗なるギャツビー (The Great Gatsby)』"Young and Beautiful"

1974年にロバート・レッドフォード主演で映画化もされた、米作家F・スコット・フィッツジェラルドの小説「グレート・ギャツビー」を『ムーラン・ルージュ』のバズ・ラーマン監督が映画化『華麗なるギャツビー』主演はギャツビーにレオナルド・ディカプリオ、デイジーにキャリー・マリガン、ニックにトビー・マグワイア、他にジョエル・エドガートン、エリザベス・デビッキ

物語・1922年、ニューヨーク。毎夜のように開かれるギャツビー邸の豪華絢爛なパーティへの招待状が、隣家にひとりで暮らすニックのもとに届いた。ギャツビーと親しくなったニックは、彼に親戚のデイジーとの橋渡しを頼まれる。そして…。(DarkBrown部分DVD&ブルーレイでーたより抜粋)

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(ビスタ張りキャンタイプではなく)きっちりとスコープサイズがかかる大きなスクリーン、3Dで見るのがベスト「狂騒の20年代(Roaring Twenties)」パーテイ・シーンはもっと長くてもよいぐらい。室内における立体演出も面白い。もちろんサウンド的にも。
3D効果について
VintageFilmの趣で配給、制作などのロゴに続き1920年代当時のニュース映像までもが3D処理されている。これが実に違和感なく仕上げられていて実際の物語へもすっと入っていける。そして奥へ奥へと入っていくパースペクティブなカメラワークやギャツビーが見つめ続けていた"グリーンライト"の輝き(これ、目線が一致する場所で鑑賞すると本当にこちら側へ照らされているよう)など、まさに計算された3D効果となっている。また神の視点のように見つめ続ける打ち捨てられた眼鏡店(T・J・エクルバーグ医師の眼)の青い看板がある灰の谷も綺羅びやかなゴールド基調の色彩設計の点と点を結ぶブリッジポイントとなっていて素晴らしい。
その3D効果、中でもLana Del ReyYoung and Beautiful」(この曲は幾つかのバリエーションをもって映画全体を彩る名曲)が流れる中、再会したデイジーをギャツビー邸に招いての流れるような描写、3D。なんと衣類までもが飛んでくるのだから。ここのシークエンスだけのために、もう一回3Dで見てもいいと思うぐらい好きな場面だ。

そもそもが文体自体に魅力があるフィッツジェラルドの小説。ギャツビーの口癖であり、ひととなりの特徴、普通、誰も使わない言葉をあえて使うことによる周囲との違和感などを表しているとされる「old sport」。
村上春樹・訳版では「オールドスポート」のままであった。ちなみに映画(本作)での字幕では「友よ」が用いられている。
ギャツビーは親しみを持ってトムにまでも「old sport」と語りかける(本来はニックのみに使用。事実、ニックは最終的にはギャツビーのよき理解者にもなっていたのだ。最後に交わした台詞が「君はあの下らない連中と違って価値があるんだ」)。しかし。そのトムからは(嫌みたらしく)「君の口癖の"old sport"みたいに云々〜」のような台詞を浴びせられる。このラスト前に訪れる切なさの頂点のようなプラザホテルでの室内劇はやがて迎える結末を予兆させ(気温の高さまで伝わる)見事な場面だ。
(全くの蛇足的に→)「old sport」を「我が良き友よ」って(無理矢理)訳すと拓郎さんの曲になるし古典的な言葉(古い言い回し)として「貴公」では硬すぎるし…。

ラストのトム(=フィッツジェラルド)の語り部分"ギャツビーがはじめて、この桟橋の突端で緑色の灯りを〜"は、ほぼ原作のまま使われていたような気がします(Script未見なので断言はできませんが)
※追記(2Dで再鑑賞)
ラストは原作と同じ有名な一節で締めくくられる。
So we beat on, boats against the current, borne back ceaselessly into the past.
原作者のフィッツジェラルドは「ラスト・タイクーン」6章第1エピソードを書いた翌日に心臓麻痺で急死した。物語の残りの部分のアウトラインと人物や場面など記した作者ノートが残されている。最後のページに書かれた一行 >  "行動は性格である"
この言葉はフィッツジェラルドの創作の上での人物造形を考える上で、とても興味深いことだと常々思っていたのだが本作を見て、キャラクター全てをややステレオタイプに描くことに徹した監督の意図は、原作に近いのではないかとも思えた。

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衣装デザイナーはラーマン監督の実際のパートナーでもあるキャサリン・マーティン(「ムーラン・ルージュ」でアカデミー賞衣装賞を受賞)
公開前から話題になっていたコラボレーションの数々。衣装などの提供にプラダ、ミュウミュウ、ブルックスブラザーズ、ジュエリーにティファニー、Jay-Zによるサウンドトラックと豪華。
TITLEはVFXまわりも含めMethod Design SYDNEY
撮影カメラはRed Epic, Zeiss Ultra Prime Lenses

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参考となる関連リンクをまとめて
(2013年6月18日現在リンク切れ無し)
映画「華麗なるギャツビー」から見る1920年代 -
NAVER まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2136850658129617901
華麗なるジャズ・エイジがよみがえる「グレート ギャツビー」コレクション
Tiffany & Co. | Web Magazine OPENERS
http://openers.jp/women/watch/features/great_gatsby_collection.html
Behind the Scenes of Carey Mulligan's Great Gatsby--Themed Cover Shoot
http://youtu.be/bl8oo_0_HVk
Behind the Scenes: The Great Gatsby and Brooks Brothers
http://youtu.be/gfyHhyI3SNw
The Great Gatsby, by F. Scott Fitzgerald
(原文で原作を)
http://ebooks.adelaide.edu.au/f/fitzgerald/f_scott/gatsby/index.html

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映画 『華麗なるギャツビー』 公式サイト
http://www.gatsbymovie.j


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