ナオミ・ワッツ、ユアン・マクレガー『インポッシブル (Lo Imposible)』J・A・バヨナ監督
注・内容、台詞に触れています。
スマトラ島沖地震後に発生した津波に遭遇した一家の実話を基に映画化『インポッシブル』監督は『永遠のこどもたち』のフアン・アントニオ・バヨナ(J・A・バヨナ)。主演はナオミ・ワッツ(本作でアカデミー賞にノミネート)、ユアン・マクレガー、トムホランド、ジェラルディン・チャップリン、他
物語・2004年末、マリア(ナオミ・ワッツ)とヘンリー(ユアン・マクレガー)は、3人の息子と共にタイにやって来る。トロピカルムードあふれる南国で休暇を過ごすはずだったがクリスマスの次の日、彼らは未曾有の天災に巻き込まれる。一瞬にして津波にのみ込まれ、家族は散り散りになってしまう。そして…。(Brown部分シネマトゥデイより抜粋)
※Memo
●冒頭、いきなりの爆音ですぐに津波のシーンから?と思ったら飛行機のジェット音。おだやかなスマトラ島沖の海上が映しだされる。
そして島についてからホテルの中での様子やクリスマスの日、デッキにおかれたプレゼントを手にしてはしゃぐ子供たち(赤いボールも)などが描かれる。
プールサイドでくつろぐマリアたち。開始から13~14分のところで津波のシーンとなる。一瞬の風。転がる赤いボール。マリアの読んでいた本からメモが飛ばされる。そのメモが張り付いたガラス越しに映る倒れる樹々。そして。
この後の流されていく描写。ルーカスを見つけてからの数分間、見ているこちら側もグッと力が入る、そして恐い。
(更に、ここで描かれなかった水中でもみくちゃになるマリアの描写が終盤、手術中の夢の部分で出てきます)
●マリアとルーカスは島の中心部へと流された瓦礫と樹々の中を歩いているとき、近くで子どもの声が。
「早く、あの高い木に登らないと次の津波が来るよ」と言うルーカスに「あの声が弟だったら、どうする?」医師であったという立場もあるだろうけど、この姿勢は最後まで変わらない。そして助けだされる小さい子供。「名前は?」「ダニエル」
高い木の上に退避しているとき、マリアの手をそっと撫でるダニエル。思わず顔を見合わせて微笑みあうマリアとルーカス。
(このシーンはラストと対になっている)
●無事、病院まで搬送されたマリア。
そして、またルーカスに
「わたしは、ここから動かないから大丈夫だから、誰かの役に立ちなさい」尋ね人を聞いて回るルーカス。この、ものすごい状況下で成長していくルーカスの物語として見ていけるというのが本作のいい所だと思います。
●父親のヘンリー、ふたりの弟と無事再開。
その後、マリアの手術を待っている時、ルーカスに
「助けてくれてありがとう」
「いや、助け合ったんだ」
同じ台詞がラストにも
最後に保険会社のチャーター機の中で安堵の中、
ルーカスに「助けてくれてありがとう」
「ダニエルを見たよ」
「多分、あれはパパだと思うんだけどすごく嬉しそうだった」
微笑み返すマリア。
(あの時助けて良かったという想いが、言葉ではなく表情から読み取れて素晴らしいシーン)
●監督フアン・アントニオ・バヨナがVFXがスペインのスタジオなどで行われたせいかもしれないが、津波のシーンもハリウッド製のものとどこか違う印象。
(これはこの作品にとってよいベクトルになっていた気が)
●ナオミ・ワッツの熱演はあまりに凄すぎて「エッ」と思うこと数々(しばしば)。それとルーカス少年を演じたトム・ホランド君が、すごくよかった。ちょっと『太陽の帝国』(こちらも両親と逸れて…)クリスチャン・ベールを思い出したり。
映画『インポッシブル』公式サイト
http://gacchi.jp/movies/impossibl
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2004年末、マリア(ナオミ・ワッツ)とヘンリー(ユアン・マクレガー)は、3人の息子と共にタイにやって来る。トロピカルムードあふれる南国で休暇を過ごすはずだったが、クリスマスの次の日、彼らは未曾有の天災に巻き込まれる。一瞬にして津波にのみ込まれ、散り散りになった家族はそれぞれの無事を祈りつつ再会への第一歩を踏み出す。
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