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2013-10-25

ジェシー・アイゼンバーグ、マーク・ラファロ、メラニー・ロラン『グランド・イリュージョン(NOW YOU SEE ME)』ルイ・ルテリエ監督

※注・内容、ラストに触れています。
プロット、展開など全く知らずに見ることがベスト『グランド・イリュージョン』原題は"NOW YOU SEE ME"
監督は「トランスポーター」「タイタンの戦い」のルイ・ルテリエ

物語・マジシャンとして一流の腕を持つアトラス(ジェシー・アイゼンバーグ)、メリット(ウディ・ハレルソン)、ヘンリー(アイラ・フィッシャー)、ジャック(デイブ・フランコ)ら、スーパーイリュージョニストグループ「フォー・ホースメン」。彼らはマジックショーの中で、ラスベガスから一歩も動くことなく、パリにある銀行から金を奪ってみせた。この件を受けて、次の計画を彼らが実行する前に食い止めようとFBI特別捜査官のディラン(マーク・ラファロ)とインターポールのアルマ(メラニー・ロラン)は捜査を始める。

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Memo
オープニング、10分ほどで"フォー・ホースメン"となる4人が、その技と共に紹介されていく。そして残されていくカードに導かれるように集まる4人。そこに浮かび上がるロゴ・ホログラム。
「誰がこんな手のこんだことを…」
そして1年後。
1stイリュージョンが始まる…
イリュージョンは大掛かりであればあるほどイリュージョン。このタイプの映画はトリックを見破るとかネタを探るような感覚で鑑賞せず、ゆだねてしまうのがベスト。「近づいて見るほど、見えるはずのものが、見えなくなる」冒頭でアトラスがカードマジックイリュージョン(ビル自体を使った)を行う際の台詞の如く、実は物語自体が大きな仕掛けとなっているのだ。(と、終了時に気づく)
マジシャンの決まり文句
"Now you see me, now you don't"

日本だとさしずめ「よってらっしゃい、見てらっしゃい」や「タネも仕掛けもございません」みたいな感じだろうか。
キャスティングが見事にはまっている。途中、影の黒幕はフォー・ホースメンのスポンサーである富豪トレスラー(マイケル・ケイン)かと思いきや(ニューオーリンズ2ndイリュージョンで)あっさりと騙される側となってしまうし、トリックを暴くことを生業とするサディアス(モーガン・フリーマン)が実は?でもなく、ラスト近くであれあれ?ということになるし、はたまた(FBI捜査官ディランとずっと行動を共にする)インターポールのアルマ?といろいろ疑えるように仕掛けられている。途中、ジャックが車で追われている際に死亡したり(←この書き方w)、盗んだ巨大金庫が忽然と消えるフラグも織り込まれ(全体像を)見えにくくしていたことにあとで気づく巧妙さ。(←実際、そのフラグの時、どちらも1番近くにいたディランこそ、この大仕掛の黒幕なのだ)
ラストは三段階。
種が色々とあかされ呆然とするサディアス。自慢気に種明かしを語ったのに実は最もはめられていた(←復讐されていた)ことに気づく(←ここ、なんだかスッととした気分になります)。
続いてディランとフォー・ホースメンの再会。
(少し説明が足りない気もするけれど)"ザ・アイ"の事が
これは、彼らにとっては"ザ・アイ"としてのテストでもあったのだ。
終幕
アルマとディランが無数の鍵がつけられた橋の上で再会。
そこで語られる真実。
「完璧な計画を創り上げた」
「でも、予想外のハプニングが起きた」
「君だ」
(アルマはディランと最も近くにいたことになる。
だが、それこそがまさに「近すぎて見えなくなっていた」のだ)
タイトルデザインはPicagency
Main TitleとThe Eye Sequence(ザ・アイ)歴史
(動画あり)
http://www.picagency.com/index.php?option=com_content&view=article&id=301&Itemid=427

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映画『グランド・イリュージョン』オフィシャルサイト
http://www.grandillusion.jp/

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2013-10-23

アシュトン・カッチャー主演『スティーブ・ジョブズ(jobs)』"Think different"

2011年に逝去したアップル社の創業者、スティーブ・ジョブズの伝記ドラマ。『スティーブ・ジョブズ(jobs)』監督は『ケビン・コスナー チョイス!』のジョシュア・マイケル・スターン。出演はアシュトン・カッチャー、ダーモット・マローニー、ジョシュ・ギャッド、ルーカス・ハース、マシュー・モディーン、ジェームズ・ウッズ(既に大学を辞めていたジョブズを特例クラスで籍を残した教授として一瞬)、他

物語・誰からも天才と認められるも、周囲との衝突が絶えないスティーブ・ジョブズ(アシュトン・カッチャー)。既存の組織に所属するのに向いていないと悟った彼は、自分のような友人らと自宅ガレージをオフィスにしてアップルコンピュータ社を設立する。革新的な商品を次々と放ってはヒットさせ、たった4年で株式の上場に成功、IT界の寵児となる。そして…(Blue部分シネマトゥデイより抜粋)

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映画は冒頭、ジョブズによるAppleタウンホールミーティングでのiPod発表のプレゼンシーンから始まる。新たな「デバイス」という表現。全編通して語られる自らの「デザイン」哲学。GUI登場以前の時点からの「フォント」へのこだわり(フォントセットについて激昂するシーンが)。カリグラフィーへの興味、インド、LSD、彼女とのことなどが前半。(実際に起業したガレージで撮影)
アップル・コンピューター社、立ち上げ時、無茶な製品納期に対応するため基板を作っているウォズニアックに対してガレージでのやりとり。
取り付けられたコンデンサやトランジスタを指さして
「ここはシンメトリーにならないかな」
「そんなところを誰が見るんだ」
「僕が見る」
(ハード内部にまでこだわってデザインされるのは有名な話だが、ここでこの台詞が使われていたのかどうかは不明だったような気も)
Bob Dylanの曲は絶対使われるだろうなぁ、と思っていたら意外な曲が。「時代は変わる」に入っていてカバーされることも多い「スペイン革のブーツ(Boots of Spanish Leather)」
この曲は太田裕美が歌った(作詞・松本隆)「木綿のハンカチーフ」の元(モチーフ)とされる楽曲なので娘・リサとブレナンの件(くだり)あたりがピッタリのような気もするけどウォズニアクがappleを去るシーンで(ジョブズも追われる寸前)流れる。アシュトン・カッチャーのジョブズ似せが話題になっていますがウォズニアックもかなり似ていたなぁ(エンドクレジット前に実際の写真と映画内の写真が並べて紹介されれます)
TVムービーとして制作された「Pirates of Silicon Valley」(日本でのタイトルは「バトル オブ シリコンバレー」)はジョブズとビル・ゲイツを軸にパソコン黎明期から本作と同じiMac発売近辺までが描かれていて合わせて鑑賞すると面白いです。
できてもいないOSを売り込みに行くビル・ゲイツやマウス、GUIをゼロックス研究所から(聞こえは悪いですが)ちゃっかり盗んでいくジョブズと仲間たちのシーンなどが盛り込まれていてまさにPirates of Silicon Valley (かなり脚色されているので、あくまでもフィクションとして)

ジョブズがappleを追われ再び帰還する際に広告代理店もシャイアット・ディ(現在はTBWA\CHIAT\DAY←フランク・ゲーリーが設計、クレス・オルデンバーグ双眼鏡付き建築が本社ビル←今も?)に戻せという指示を出しているのが面白い。
復帰を特徴付けるのはデザイナー、ジョナサン・アイブの登場。そこで出てくるスケッチや(おそらく曲線表現のための)金属モックアップこそがiMacとなっていく。
ラストはジョブズによるボイスレコーディングシーン。
有名な"Think different"キャンペーン(前述のシャイアット・ディによる。リドリー・スコット監督起用「1984」も)のあの言葉を録っている。
締め括りはこうだ。
「自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが本当に世界を変えているのだから」
※蛇足的に
appleをずっと使い続けていて(初代iMac、記念で残しています。今でも動きます。←Illustrator8が動いてた)その成り立ちやバックボーン的なことも知っての鑑賞なので、全く何も知らずに(評伝も読まずに)本作を見たら、どういう印象になるのかその部分ではちょっと伺い知れない。
生でスティーブ・ジョブズを見たのはMacEXPOが東京でも開催されていた最後の年の基調講演。扮装(いでたち)はお馴染みのあのスタイルで出てきただけで「おぉっ」と感動ものでした。

Jobs

映画『スティーブ・ジョブズ』公式サイト
http://jobs.gaga.ne.jp

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2013-10-20

ミシェル・ゴンドリー監督『ムード・インディゴ うたかたの日々(L'Écume des jours)』ロマン・デュリス、オドレイ・トトゥ

ボリス・ヴィアンの小説「うたかたの日々(日々の泡)」を『エターナル・サンシャイン』『恋愛睡眠のすすめ』などのミシェル・ゴンドリー監督が映画化『ムード・インディゴ うたかたの日々(L'Écume des jours)』

物語・舞台は、パリ。働かなくても暮らしていける財産で自由に生きていたコラン(ロマン・デュリス)は、無垢な魂を持つクロエ(オドレイ・トトゥ)と恋におちる。友人たちに祝福されて盛大な結婚式を挙げた二人は、愛と刺激に満ちた幸せな日々を送っていた。ところがある日、クロエは肺の中に睡蓮が芽吹くという不思議な病に冒されてしまう。そして…(DarkBluegreen部分、フライヤーより抜粋)

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いきなり登場するのはtypewriterがずらりと並んだ"物語オートメーション工場"。(ロマン・デュリス主演にしてデボラ・フランソワがカメオ出演と「タイピスト!」繋がりの離れ業)
レトロフューチャーにロマン主義をまぶしてゴンドリーイマジネーション工房を通過してできた映像は唯一無二。動く料理(食材)、這い回る呼び鈴、主のようなネズミ、料理レシピモニター(オマール・シー演ずるニコラが全体のバランスをとっているようで素晴しい)、ピアノカクテル、踊るとビョーンと脚が長くなる架空のダンス"ビグルモア"、文字通り雲に乗るゴンドラ(工事中クレーン仕様)、透明リムジン、そして窓から差し込む光は幾重にも伸びた長く白い紐(終盤、効果的な使われ方が!)。
ChloeやTake the 'A' Trainなどデューク・エリントンの名曲が、特別に時代設定を原作通りにしていなくても、その空気にいざなってくれる(コランの住居は列車がジョイントされている豪華さ)。そして出会うべくして出会ったクロエに。
「クロエ…君を編曲したのはデューク・エリントン」
実存主義哲学者ジャン=ポール・サルトル想起のジャン=ソオル・パルトル。そのコレクターであるコランの友人シック(ガッド・エルマレ)。このふたりの絡むエピソード部分(主に'仕事'について描かれるところ)が後半にいくにしたがって極めて鮮烈(そして恐い。工場でのあのシーンがちょっとグロくて観客が一瞬引いたほど)。
「変わるのは物であって人じゃない」
華やかにして綺羅びやかな前半のカラーから一転して徐々に色彩を失っていく画面。気がついたときにはモノクロ映像へと変わっている。最後の水に浮かぶ蓮をねじ曲がった銃で撃つシーンのほとんど黒い画面(ハイキー)となった重たさ。ただ、終わってからの印象は最後の最後に"ほんとに小さくなった住居"からねずみが持ち出した絵のせいもあってか暗くはない。儚くも消えていく思い出もカタカタと動く8ミリ動画のような(音楽PVをはじめたとされる仏テレビ界のジャン=クリストフ・アヴェルティっぽく)ゴンドリーマジックで締めくくられる。

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泡のようなイメージを体現した仕様のトレペ印刷(プラス加工、PP貼り&UVかな?)に包み込まれるように作られたパンフレット。デザインは大島依提亜さん。「タイピスト!」もデザインされていたので見事なtypewriter繋がりでもあります。
本作のキービジュアルのひとつである料理→参考にしたというジュール・グッフェ(Jules Gouffé)の本→調べると探している方が多いので多分、これ?→「Le livre de cuisine」→ちなみにJules Goufféで画象検索すると「おぉっ」と唸ってしまうような料理イラストが。
音楽PVをはじめたとされるフランス人気ポップTV番組「ディムダムドム」を制作したジャン=クリストフ・アヴェルティ(Jean-Christophe Averty)のコマ撮りアニメーションもイメージのひとつ
ミシェル・ゴンドリー監督のホームページ
http://www.michelgondry.com/
エンドクレジットに流れる Loane “Mais, Aime La”(視聴可・オリジナル版楽曲も)やハンドメイドポスターなども

追記
本記事はディレクターズカット版を鑑賞して記載しました。
ゴンドリー監督が日本の来場者に向けて出していたコメント
"原作『うたかたの日々』で描かれる様々な描写をより忠実に、細かな演出を盛り込んでいます"
インターナショナル版と両方が見られる(東京、大阪)はゴンドリー監督の編集の妙を味わうことができるファンにとってはこのうえなくラッキーな環境。
(現時点で、もしソフト化された場合に両バージョンが入るかどうかは不明)

映画『ムード・インディゴ~うたかたの日々~』
http://moodindigo-movie.com


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2013-10-19

タイトルデザイン_37(PICTURE MILL)『ゴースト・エージェント R.I.P.D.』ジェフ・ブリッジス、ライアン・レイノルズ、ケヴィン・ベーコン

ピーター・M・レンコフとルーカス・マランゴン原作コミック(9月に日本版刊行)「R.I.P.D.」の映画化『ゴースト・エージェント R.I.P.D.』監督は「フライトプラン」「RED」のロベルト・シュヴェンケ

物語・潜入捜査中に亡くなった刑事ニック(ライアン・レイノルズ)。だが、生前の刑事としての活躍や経歴を見込まれて、成仏できずに現世に紛れ込んでいる悪霊たちを逮捕しては霊界に送還する組織R.I.P.D.のエージェントにスカウトされ、200年前からからエージェントを務めている大ベテランのロイ(ジェフ・ブリッジス)とコンビを組むこととなる。(DarkBrown部分シネマトゥデイより抜粋)

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Memo
予告編段階から、どこかで見たことある感漂ってたけど(もう、やたらと書かれている、言われている「ゴーストバスターズ」+「MIB」です。あと個人的にイメージしたのが漫画「GS美神極楽大作戦」←女性のゴーストスイーパー、しかもボディコン←当時こう呼んでた←現世での姿がブロンド美女という繋がり)。しかもラスト、高所に登って封印を解く(ジェリコの壁を壊す)というところも「ゴーストバスターズ」とダブる。さて、では何が見物(みもの)かというと、やはりジェフ・ブリッジスのカウボーイハット姿で刑事を嬉々と演じる姿!相棒に「グリーンランタン」に続いてコミック原作キャラクター出演のライアン・レイノルズ。ふたりによるバディムービーの趣き(おもむき)。(重複が許されないので生きているときの姿で歩けないため)現世での姿がブロンド美女と老人。(ラストのオチでニックは別の現世用IDを手に入れてもらえるが、歯の矯正中と思しきティーエイジの女の子←運転したらまずいと思いますが…)。そして登場した時点ですぐにネタが判ってしまうぐらいベタな悪徳刑事を演じるケヴィン・ベーコンが例によって(←ホントに例によって)ゴースト親玉役。
R.I.P.D.「Rest In Peace Department」の略。「安らかに眠れ=Rest In Peace」と「警察署=Police Department」を組み合わせた造語。
ニックの妻、ジュリア(ステファニー・ショスタク)とのちょっと(「ゴースト」想起の)いいシーンもあり。
「葬式の時にもいた老人に昨日、会ったとき、ニックを感じたの…」
ゴーストが苦手とするもの(たまらなくなって人間の姿でいられなくなる)がニンニクならぬ(香辛料)クミン。(←これ。もっとカレーネタとかでいろいろ面白いシーンが考えられそうな気もするけど)。
メインタイトルデザインはPICTURE MILL
最近、このタイプのタイトルデザインが多いような気が(まもなく公開の「REDリターンズ」も)
※エンドタイトル部分動画あり
http://www.picturemill.com/RIPD.html

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映画『ゴースト・エージェント R.I.P.D』公式サイト
http://ghostagent-ripd.com/

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ギデンズ・コー監督、クー・チェンドン、ミシェル・チェン主演『あの頃、君を追いかけた (You Are the Apple of My Eye)』

台湾の人気作家ギデンズ・コーが初めて長編映画のメガホンを取り、自身の自伝的小説を映画化した『あの頃、君を追いかけた (原題:那些年,我們一起追的女孩、You Are the Apple of My Eye)』

物語・1994年、コートン(クー・チェンドン)は、台湾の地方都市の彰化で中高一貫の高校に通っていた。彼は同じクラスの親友ボーチ(イエン・ションユー)、アハ(スティーブン・ハオ)、グオション(ジュアン・ハオチュエン)、マタカキ(ツァイ・チャンシエン)らとつるんでふざけてばかり。5人はクラスのマドンナ・チアイー(ミシェル・チェン)に夢中で……。

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自転車で学校へ向かう冒頭登校シーンから王道。5人の紹介をサクサクっと見せる。コー監督の演出がストレートで素直なことによるのか下ネタが結構あってもどこか可愛らしい(高校生にしては、やや幼い気もするが80年代だと、こんな感じだったのだろうか)男子のみでじゃれ合う感じや、それを「あらあら」みたいな視線で見つめる女子。その積み重ね描写がイキイキとしている。
チアイーへのアピールもそれぞれ。家の下でリコーダー(笑)、突然目の前で手品、すぐばれる代筆してもらったラブレター作戦など。そんななか、教科書を忘れてきたチアイーに自分の教科書を渡して身代わりとなって怒られるコートン。それもきっかけとなって好意を寄せ始めるチアイー。ほどなくコートンへ勉強を教え始めるチアイー。そういうこともあってのグループ交際的な7人の描写(みんなで、海←王道だなぁ)。その後、それぞれが別々の大学(別々の道)を歩み出す。ポニーテール、SLAM DUNK、飯島愛、天下一武道会、師匠がブルース・リー(父親と共に裸族は笑った、と動じないよう母親)。懐かしきカルチャー描写を織り交ぜて、あくまでもストレートにして、もどかしくも可愛らしい作品となっている。
●コートンとチアイーの席が前後ろ。名前を呼ばずに、なにかというと背中をボールペンでツンツンとつつく仕草と反応。そして青いボールペンのあとがいっぱいついたシャツ。
大陸版のDVDは10分近くカットされていて(下ネタ部分が全て、大学寮内での様子←AVを見ているシーンやシャワーブースのシーンなど全部カット)これでは、かなり本作の意味が変わってしまいそうな気もしたけど(とても爽やかな青春ドラマ…あ、短くなってるけれどラストの結婚式での、あのキスは入ってる)
(少し歌詞と年齢層は違うけれど個人的にうかんだのは)拓郎さんの「サマータイムブルースが聴こえる」ですよ、これは。(歌詞の中に「Tシャツの背中に口紅の文字」とか「こんな馬鹿なことができるのも二十歳になるまでさ、それもいいよね」などなど、懐かしさと切なさと甘さを兼ね備えているあたり妙に重なってきてツボでした)
台湾映画としてはエドワード・ヤン監督に師事していたアーヴィン・チェン監督「台北の朝、僕は恋をする」と双璧マイベスト。(もちろんエドワード・ヤン監督作品と侯孝賢監督の初期作品は別として)
ミシェル・チェンが吉田拓郎さん作曲「ふゆがきた」を歌っている頃の加藤紀子に似ているなー、と思ったり。あと、twitterで金子修介監督が(若い頃の)ひし美ゆり子に似てる、と画象付きでツイートしていました(←画象、確かに似てた)。コー監督がインタビューでミシェル・チェンに「ファンです。いつか映画に出てください」と告げていたらしく、監督にとってもまさに夢の実現。あと制作開始時に出資者が「素人ばかりのスタッフで不安」という理由で資金を引き上げられ、結局貯金を全てはたいて作ったとも(←当然大ヒットしたことによるリターンはすごかったみたいですが)。

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映画『あの頃、君を追いかけた』公式サイト
http://www.u-picc.com/anokoro/

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2013-10-11

タイトルデザイン_36(Becker Design) ジェームズ・ワン監督【The Conjuring (死霊館)】

ソウ」「インシディアス」のジェームズ・ワン監督がアメリカで実際に起こった実話を基に描くホラースリラー『The Conjuring (死霊館)

物語・1971年アメリカ・ロードアイランド州、両親と5人の娘たちが古びた一軒家に引っ越してくる。しかし、怪現象が次々と発生し、ついには娘たちに危害が及んだことから心霊学者の(エドとロレイン)ウォーレン夫妻(パトリック・ウィルソンヴェラ・ファーミガ)に解決してほしいと依頼する。夫妻が現地を調査すると恐るべき歴史が明らかになり、夫妻は館に巣食う邪悪な存在に立ち向かうが……。(DarkBrown部分シネマトゥデイより抜粋)

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Memo
ブログタイトル、この映画の持つ70年代ホラースリラー映画テイスト(「エクソシスト」「オーメン」「ヘルハウス」「夜を見つめて」「暗闇にベルが鳴る」など)を踏まえて、あえて原題「The Conjuring」をメインに据えて。映画本編のタイトルロゴ雰囲気もその趣き。(既視感はあるが、それを上回る作劇と演出)
抑え気味の前半、怒涛の怖がらせ方での後半(特にラスト30分)
冒頭、1968年エピソード(ここでウォーレン夫妻のことが描かれている)のアナベル人形部分は掴みとして恐い。
そしてメインタイトル
1971年オークションで手に入れた中古の家に引っ越してくるペロン一家。
(ここからの描写が静かにじわじわとくる)
何かに怯えて家に入ってこない愛犬サディ、不気味な樹の下で拾ったミラー付きオルゴール、かくれんぼの際に見つけた封印されていた地下室、身体にできる変なあざ、窓に体当りしてくる鳥、3時7分で止まる時計、寝ているときに何かが足をひっぱる、そして異臭(変な臭い)…。(ここまでで約30分弱)
そして、ついには直接的に危害を加え始め心霊学者ウォーレン夫妻を訪ねるペロン夫妻。

はじめてペロン家にやってきてあきらかに異変に気づく妻のロレイン(怖がり方が既に恐い)
細かい調査を始めるウォーレン夫妻とそのチーム(このあたりの描写もいいなぁ)
さらに起こる本当の恐怖(庭のシーツを使った、いよいよ姿が!!のシーンも見事)
果たして、この家で何が起こっていたのか…
登場する悪魔祓い…
ここからは実際に劇場で(音も恐いです)。
ただラストは少し感動的ですらある終わり方なので嫌な印象は残らなかったのがよかった(ここらあたりの印象「エクソシスト」に近い)

キャスティングではヴェラ・ファーミガが本作全体を支える素晴しい存在感です。(この点も、評価が高い要因ですね)
タイトルデザインは「インシディアス」のMain Title Sequenceも手がけたBecker Design
オーバーヘッドプロジェクター(Overhead Projector)を使用したアナログ感あふれる見事な仕上がり。
こちらは「Art of the Title」に掲載されたタイトルデザインメイキング&インタビュー(動画有り)
http://www.artofthetitle.com/title/the-conjuring/
本作はクエンティン・タランティーノ監督が2013年公開映画(今のところ)トップ10に選出。
(ふと思ったけど)グッズでアナベル人形とミラー付きオルゴール販売したらいいのに…(見た後だと恐すぎて売れないと思いますがw)

映画『死霊館』公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/theconjuring/

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是枝裕和監督、福山雅治、尾野真千子、リリー・フランキー、真木よう子『そして父になる(LIKE FATHER, LIKE SON)』

注・内容、台詞に触れています。
第66回カンヌ映画祭審査員特別賞を受賞した是枝裕和監督最新作『そして父になる』出演は福山雅治尾野真千子真木よう子リリー・フランキー樹木希林夏八木勲、他

物語・学歴や仕事、良き家庭と順風満帆な人生を勝ち取り歩んできた良多(福山雅治)が、ある日、6年間大切に育ててきた息子が病院内で他人の子どもと取り違えられていたことが判明する。血縁か、これまで過ごしてきた時間かという葛藤の中で、それぞれの家族が苦悩し……。

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類型的に描かれたふたつの家族。おそらく、この辺は意図的にステレオタイプ化(※)して周りに起こる微細な出来事から、いろいろな想い(観客の)が浮かび上がるように構築しているように思える。※例えば財布。かたや普通に黒の札入れ、かたやマジックテープ仕様(いつから使っているのだろう)の古い財布と、ここまでハッキリと分ける必要がないところまでやっている。軸としては本当の親子とは(遺伝的な)「血」か(育ててきた)「時間」か、ということになるのだろうけれど答えとしてハッキリと打ち出さない締め括りとなっている。(鑑賞してからの時間経過で見る側の考え方も変わりそうである)
井浦新演じる人口の森(林)を管理する研究員との会話
「ここまでになるのにどれぐらいかかるものなんですか」
「15年ぐらいで」
「15年も」
ちょっと「んっ」という表情の研究員。
このシーンの後、結構すんなりと状況を受け入れる良多
(ここでの「時間」は、かかるもの、或いは「時間」が、かかるというものという部分が転換点)
「知ってる?スパイダーマンって蜘蛛なんだよ」実の父である斉木(リリー・フランキー)から聞いた話を良多に話す慶多。なにげないやりとりだが、こういった部分こそ何年か経って、ふと思いだしたりするいいところだと思います。
ラストは何処か吹っ切れた主人公。どちらの親でもいいじゃないか。変な拘りを捨てそれまでの6年間は慶多の父親でもあったのだから。
子どもはよく親の事を見てるし時に顔色をうかがって、あまり好きではないピアノを習ってみたりもする、そんな些細な表情や仕草の捉え方は是枝監督ならでは。
染み入る台詞
「いいか、血だ。これからどんどんその子はお前に似てくるぞ。そして慶多は逆にどんどん相手の親に似ていくんだ」良多の父、良輔(夏八木勲)が告げる台詞。ぎくしゃくした親子関係が浮かび上がるやり取りがあった後だけにドキッとする。
「俺も家出したんだ。母に会いたくて」(自分の気持を吐露することによって、人の気持がわかるようになってきている。或いは人の気持がわかるようになってきたからこそ自分の心を外に向かって出せるようになったのか…)
「5年間はパパだったんだぞ。出来損ないだけどパパだったんだ」上下ふたつの歩道はやがてひとつに交わり"そして父になる"はじまりの物語を告げる。

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全体的なカラー質感はクールトーン。(暗部もつぶれ気味)いつもより暗めかなぁ、と思っていたら後半になるにしたがって明度が増していき(前述の)ラストショット、親子が上下に分かれた歩道を歩くシーン、見事に陽が射していて
画面から受ける空気感がいつもと少し違うのは撮影が山崎裕さん(「空気人形」は李 屏賓)ではなく写真家・瀧本幹也さん(「空気人形」スチル写真)によるものからきていたのか、と納得。
音楽にはクラシック楽曲が使用されバッハの「パルティータ」やグレン・グールドによる「ゴールドベルグ変奏曲」アリア(エンディングで流れている楽曲)などが映画の静謐感を強調する。
是枝監督というと「幻の光」から「花よりもなほ」「歩いても歩いても」に至るまでの葛西薫さんによるアートディレクション(タイトルワークや宣伝制作)が有名ですが本作「そして、父になる」のポスター、パンフレットデザインは服部一成さんによるもの。(「空気人形」は森本千絵さん)。全てを並べてみると是枝監督作品の空気感がそのまま表されていてグッとくる。

映画「そして父になる」公式サイト
http://soshitechichininaru.gaga.ne.jp



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