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2013-10-20

ミシェル・ゴンドリー監督『ムード・インディゴ うたかたの日々(L'Écume des jours)』ロマン・デュリス、オドレイ・トトゥ

ボリス・ヴィアンの小説「うたかたの日々(日々の泡)」を『エターナル・サンシャイン』『恋愛睡眠のすすめ』などのミシェル・ゴンドリー監督が映画化『ムード・インディゴ うたかたの日々(L'Écume des jours)』

物語・舞台は、パリ。働かなくても暮らしていける財産で自由に生きていたコラン(ロマン・デュリス)は、無垢な魂を持つクロエ(オドレイ・トトゥ)と恋におちる。友人たちに祝福されて盛大な結婚式を挙げた二人は、愛と刺激に満ちた幸せな日々を送っていた。ところがある日、クロエは肺の中に睡蓮が芽吹くという不思議な病に冒されてしまう。そして…(DarkBluegreen部分、フライヤーより抜粋)

Indigo

Memo1
いきなり登場するのはtypewriterがずらりと並んだ"物語オートメーション工場"。(ロマン・デュリス主演にしてデボラ・フランソワがカメオ出演と「タイピスト!」繋がりの離れ業)
レトロフューチャーにロマン主義をまぶしてゴンドリーイマジネーション工房を通過してできた映像は唯一無二。動く料理(食材)、這い回る呼び鈴、主のようなネズミ、料理レシピモニター(オマール・シー演ずるニコラが全体のバランスをとっているようで素晴しい)、ピアノカクテル、踊るとビョーンと脚が長くなる架空のダンス"ビグルモア"、文字通り雲に乗るゴンドラ(工事中クレーン仕様)、透明リムジン、そして窓から差し込む光は幾重にも伸びた長く白い紐(終盤、効果的な使われ方が!)。
ChloeやTake the 'A' Trainなどデューク・エリントンの名曲が、特別に時代設定を原作通りにしていなくても、その空気にいざなってくれる(コランの住居は列車がジョイントされている豪華さ)。そして出会うべくして出会ったクロエに。
「クロエ…君を編曲したのはデューク・エリントン」
実存主義哲学者ジャン=ポール・サルトル想起のジャン=ソオル・パルトル。そのコレクターであるコランの友人シック(ガッド・エルマレ)。このふたりの絡むエピソード部分(主に'仕事'について描かれるところ)が後半にいくにしたがって極めて鮮烈(そして恐い。工場でのあのシーンがちょっとグロくて観客が一瞬引いたほど)。
「変わるのは物であって人じゃない」
華やかにして綺羅びやかな前半のカラーから一転して徐々に色彩を失っていく画面。気がついたときにはモノクロ映像へと変わっている。最後の水に浮かぶ蓮をねじ曲がった銃で撃つシーンのほとんど黒い画面(ハイキー)となった重たさ。ただ、終わってからの印象は最後の最後に"ほんとに小さくなった住居"からねずみが持ち出した絵のせいもあってか暗くはない。儚くも消えていく思い出もカタカタと動く8ミリ動画のような(音楽PVをはじめたとされる仏テレビ界のジャン=クリストフ・アヴェルティっぽく)ゴンドリーマジックで締めくくられる。

Memo2
泡のようなイメージを体現した仕様のトレペ印刷(プラス加工、PP貼り&UVかな?)に包み込まれるように作られたパンフレット。デザインは大島依提亜さん。「タイピスト!」もデザインされていたので見事なtypewriter繋がりでもあります。
本作のキービジュアルのひとつである料理→参考にしたというジュール・グッフェ(Jules Gouffé)の本→調べると探している方が多いので多分、これ?→「Le livre de cuisine」→ちなみにJules Goufféで画象検索すると「おぉっ」と唸ってしまうような料理イラストが。
音楽PVをはじめたとされるフランス人気ポップTV番組「ディムダムドム」を制作したジャン=クリストフ・アヴェルティ(Jean-Christophe Averty)のコマ撮りアニメーションもイメージのひとつ
ミシェル・ゴンドリー監督のホームページ
http://www.michelgondry.com/
エンドクレジットに流れる Loane “Mais, Aime La”(視聴可・オリジナル版楽曲も)やハンドメイドポスターなども

追記
本記事はディレクターズカット版を鑑賞して記載しました。
ゴンドリー監督が日本の来場者に向けて出していたコメント
"原作『うたかたの日々』で描かれる様々な描写をより忠実に、細かな演出を盛り込んでいます"
インターナショナル版と両方が見られる(東京、大阪)はゴンドリー監督の編集の妙を味わうことができるファンにとってはこのうえなくラッキーな環境。
(現時点で、もしソフト化された場合に両バージョンが入るかどうかは不明)

映画『ムード・インディゴ~うたかたの日々~』
http://moodindigo-movie.com


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