ギデンズ・コー監督、クー・チェンドン、ミシェル・チェン主演『あの頃、君を追いかけた (You Are the Apple of My Eye)』
台湾の人気作家ギデンズ・コーが初めて長編映画のメガホンを取り、自身の自伝的小説を映画化した『あの頃、君を追いかけた (原題:那些年,我們一起追的女孩、You Are the Apple of My Eye)』
物語・1994年、コートン(クー・チェンドン)は、台湾の地方都市の彰化で中高一貫の高校に通っていた。彼は同じクラスの親友ボーチ(イエン・ションユー)、アハ(スティーブン・ハオ)、グオション(ジュアン・ハオチュエン)、マタカキ(ツァイ・チャンシエン)らとつるんでふざけてばかり。5人はクラスのマドンナ・チアイー(ミシェル・チェン)に夢中で……。
※Memo
●自転車で学校へ向かう冒頭登校シーンから王道。5人の紹介をサクサクっと見せる。コー監督の演出がストレートで素直なことによるのか下ネタが結構あってもどこか可愛らしい(高校生にしては、やや幼い気もするが80年代だと、こんな感じだったのだろうか)男子のみでじゃれ合う感じや、それを「あらあら」みたいな視線で見つめる女子。その積み重ね描写がイキイキとしている。
●チアイーへのアピールもそれぞれ。家の下でリコーダー(笑)、突然目の前で手品、すぐばれる代筆してもらったラブレター作戦など。そんななか、教科書を忘れてきたチアイーに自分の教科書を渡して身代わりとなって怒られるコートン。それもきっかけとなって好意を寄せ始めるチアイー。ほどなくコートンへ勉強を教え始めるチアイー。そういうこともあってのグループ交際的な7人の描写(みんなで、海←王道だなぁ)。その後、それぞれが別々の大学(別々の道)を歩み出す。ポニーテール、SLAM DUNK、飯島愛、天下一武道会、師匠がブルース・リー(父親と共に裸族は笑った、と動じないよう母親)。懐かしきカルチャー描写を織り交ぜて、あくまでもストレートにして、もどかしくも可愛らしい作品となっている。
●コートンとチアイーの席が前後ろ。名前を呼ばずに、なにかというと背中をボールペンでツンツンとつつく仕草と反応。そして青いボールペンのあとがいっぱいついたシャツ。
●大陸版のDVDは10分近くカットされていて(下ネタ部分が全て、大学寮内での様子←AVを見ているシーンやシャワーブースのシーンなど全部カット)これでは、かなり本作の意味が変わってしまいそうな気もしたけど(とても爽やかな青春ドラマ…あ、短くなってるけれどラストの結婚式での、あのキスは入ってる)
●(少し歌詞と年齢層は違うけれど個人的にうかんだのは)拓郎さんの「サマータイムブルースが聴こえる」ですよ、これは。(歌詞の中に「Tシャツの背中に口紅の文字」とか「こんな馬鹿なことができるのも二十歳になるまでさ、それもいいよね」などなど、懐かしさと切なさと甘さを兼ね備えているあたり妙に重なってきてツボでした)
●台湾映画としてはエドワード・ヤン監督に師事していたアーヴィン・チェン監督「台北の朝、僕は恋をする」と双璧マイベスト。(もちろんエドワード・ヤン監督作品と侯孝賢監督の初期作品は別として)
●ミシェル・チェンが吉田拓郎さん作曲「ふゆがきた」を歌っている頃の加藤紀子に似ているなー、と思ったり。あと、twitterで金子修介監督が(若い頃の)ひし美ゆり子に似てる、と画象付きでツイートしていました(←画象、確かに似てた)。コー監督がインタビューでミシェル・チェンに「ファンです。いつか映画に出てください」と告げていたらしく、監督にとってもまさに夢の実現。あと制作開始時に出資者が「素人ばかりのスタッフで不安」という理由で資金を引き上げられ、結局貯金を全てはたいて作ったとも(←当然大ヒットしたことによるリターンはすごかったみたいですが)。
映画『あの頃、君を追いかけた』公式サイト
http://www.u-picc.com/anokoro/
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