砂田麻美監督『夢と狂気の王国』"高畑勲監督の圧倒的不在による存在と宮崎駿監督は何故屋上に登るのか"「アニメーションは呪われた夢だ」
"アニメーションは呪われた夢だ"
「エンディングノート」の砂田麻美監督によるスタジオジブリを捉えたドキュメンタリー『夢と狂気の王国』宮崎駿監督、高畑勲監督、鈴木敏夫プロデューサーに密着し、その創作の現場を映し出す。
※Memo1
●キャッチコピーの「ジブリにしのび込んだマミちゃんの冒険」通りどこにでもスッと入っていく感じがとてもよい。(きっと監督に指名したのもこの辺りのことがわかってのことだったんだろうなぁ、と)
●スタジオジブリに居ついた半ノラネコのウシコ(←牛っぽい模様のせい?)。あらゆるところに出入り自由だが決して宮崎監督の作画エリアには入っていかない(窓の端から顔を半分覗かせて様子を伺う姿はもはや演技のよう)。屋上庭園のテーブルで寝転がるウシコ。「なんて平和な顔をしているんだ。スケジュールがないんだな」とモフモフをつんつんする監督(笑)
●"えん(縁)とかうん(運)とかそんなわからないもの"
庵野秀明のこと
「不思議だよね、庵野」
その彼が主人公・堀越二郎の声に決まる瞬間も描かれている。
(このシーンはNHKスペシャルでも登場したが、この後のアフレコシーンも描かれていくのでさらに多面的な描かれ方)
また日テレ新入社員研修でレクチャーする鈴木プロデューサーのこんなシーン。
「どうしてジブリ作品は日テレだけで放送してるか、わかる?」
「それは、当時(社長だったかどうかはわからないけど)日テレの氏家さんと徳間康快さんが友だちだったから」
「誰を捕まえたか。その誰を捕まえた人だけが生涯やりたい仕事ができる」
●「風立ちぬ」ラストのこと。
「死んだんですか?」
アフレコ台本が映される。
「きて」の文字が赤線で消され
「生きて」に。
ギリギリで変えられた台詞。
(その心境の変化とは?)
●車の後部座席からの撮影
鈴木プロデューサーと庵野監督
「終わりが変わってよかったですよ。
前のままだとみんな死んでしまいますからね」
●完成の日
宮崎監督が屋上に登って行くとそこにいるはずのない高畑勲監督が。
「彼がいなかったらジブリはなかったですよ、というかこういう形にはなってなかった」と。
お互いをリスペクトするふたり。
東映、組合運動をやっている頃の写真。(いかに高畑監督がグイっと引き寄せたかがわかる気がします)
※高畑勲監督があまり登場していないですが時々、会話の中に登場する「本当にできるんだろうか」とか「宮さんは必ず仕上げてくるけど高畑さんはわからないからなぁ」など端々にその存在の強烈さが見て取れる。
●そして本編屈指の場面のひとつ。
記者会見場の控え室で「緊張はしてないよ」とかいろいろと談笑する監督と鈴木プロデューサー。ふと窓に立っている監督が砂田監督を手招きして呼び寄せる。
窓の外の景色について
「屋根から屋根へ飛び移ったり、配管をつたってよじ登ったり、通れないところを通ったりして、どこまでも行ける気がするでしょ」
ここで初めて映画本編シーンが一気に映しだされる。
カリオストロの城、天空の城ラピュタ、千と千尋の神隠し、ハウルの動く城…
創造の源の一端がここに!
●"高畑勲監督の圧倒的不在による存在と宮崎駿監督は何故屋上に登るのか"が垣間見られる傑作ドキュメンタリー映画。
※Memo2
●宣伝デザインは goen°の森本千絵さん。記事によるとタイトル文字はピンクがいいというジブリ要望によるものだそう。
●下記写真はジブリの広報誌「熱風」
映画の中で新聞を広げて語っていた記事の発端はこの2013年7月号(左側)ちなみに右側の「特集・健康」の表紙が本作ポスターに使用されたもの。
映画『夢と狂気の王国』公式サイト
http://yumetokyoki.com/
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