安田章大、麻生久美子主演、吉田恵輔監督『ばしゃ馬さんとビッグマウス』"俺はまだ本気出してないだけ"
『机のなかみ』『純喫茶磯辺』や『さんかく』の吉田恵輔監督3年ぶりの新作にして劇場映画4作目となる『ばしゃ馬さんとビッグマウス』盟友仁志原了と共同脚本。出演は麻生久美子、関ジャニ∞の安田章大、岡田義徳、山田真歩、他
物語・次々と脚本コンクールに応募するものの、一次審査すらも通らない34歳の馬淵みち代(麻生久美子)。そんな彼女と同じシナリオスクールに通う26歳の天童
義美(安田章大)は、自分の作品をほとんど書いたことがない割には常軌を逸した毒舌で他人のシナリオを酷評する。そんな彼らが出会ってしまい、何と天童がみち代に惚れてしまう。そして…
※Memo
●"夢を実現させる"話しではなく"夢の終わらせ方"のお話
「抱いた夢をどうしていいのか、わからないの」
「俺、本気出したらスゴイで」
ふたりが話すということは自分の未来(将来)と自分の過去がそれぞれに対して対(つい)になっているところが面白い。
●いろいろ、あーあるあると思いあたるシーンが数々。
・昔シナリオ教室で一緒だった人(相手は覚えていない)にエレベーターでバッタリ。「ほらー、10年前に一緒だったぁ、すごいよねー、活躍してるよね」この相手が困るパターンは(早く気付けよーって空気と共にとても気まずい)
・田舎の友人の結婚式で「あ、シナリオって何か最近やった作品とかあるの」「ドラマとかやってたら教えてね」と聞かれて、つい同じシナリオ教室に行っている友だちのちょっとうまくいきかけている映画の話を自分の話として喋ってしまう馬淵さん。
●いい台詞が多数あるのも吉田監督作品の特徴。
・ビッグマウスの割には先に相手の反応を伺うような台詞を言う天童。
こういう言いまわし
「〜って言ったらどないする?」
(台詞だけで天童の性格を表す上手い台詞)
・元恋人(岡田義徳)と寄りを戻しそうになった時
服のボタンをはずされて…
「いいの?」
「また好きになっちゃうよ」
慌てて(気まずく)起き上がるふたり
(これはなかなか書けないシーン。まあ前作「さんかく」の時にも「おおぉっ」と思うシーン多々ありましたからねー)
●ラストシーン
(最高にイイ!そして何やら、その先の匂いも残しつつ)
「あ…」
「新しい企画思いついたんやけど」
「何?」
「夢を叶えてやな、田舎に好きな女を迎えに行く天才作家の物語」
「どない思う?」
「…寒っ」
●安田章大が素なのか演技なのか、ものすごくいいテンポとテンション。テレビ「A Studio」に出演した際の鶴瓶とのからみ方とか家族との話し(接し方)など聞いてると(関西弁で言うところの)「あー、めっちゃええ奴やねんなー」と「驚くほど素直なんやー」と思った次第。確かにこの素養ありきでの断られても踏まれてもの馬淵さんアプローチだったと納得。
●「机のなかみ」と同じ仁志原了さんとの共同脚本が効いてる(続く「麦子さんと」も傑作の声高いし)。そう言えばロバート・ゼメキス&ボブ・ゲイルもバック・トゥ・ザ・フューチャー、抱きしめたい、1941と共同脚本による傑作が多い。天童と馬淵さんも、この先共同脚本で花が咲くというオチのつけ方もあるなぁー、などと思わせるラストでもありました。
映画『ばしゃ馬さんとビッグマウス』公式サイト
http://www.bashauma-movie.jp/index.html
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